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住居侵入、強姦、強姦未遂再審被告事件
事件番号平成19(た)1
事件名住居侵入,強姦,強姦未遂再審被告事件
裁判年月日平成19年10月10日
法廷名富山地方裁判所  高岡支部
結果その他
裁判日:西暦2007-10-10
情報公開日2017-10-13 01:38:14
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平成19年(た)第1号

住居侵入強姦強姦未遂再審被告事件

主文
Aは無罪。

第1


公訴事実
本件公訴事実は,下記のとおりである。
記1
平成14年5月24日付け起訴状記載の公訴事実(以下本件公訴事実1という。)
Aは,正当な理由がないのに,平成14年1月14日午前8時30分ころ,富山県内所在の被害者B方に侵入し,同所1階廊下において,Bを認めるや劣情を催し,強いてBを姦淫しようと企て,Bに対し,

後ろを向け。

などと申し向けて後ろ向きに立たせた上,所携のナイフをBの右頬に突きつけ,ビニール紐でBの両手を後ろ手に縛り,タオルでその顔面を覆った上,Bを同所2階のBの居室まで連行し,同所において,さらにBに対し

警察に言ったら殺す。

旨申し向け,Bをベッドの上に押し倒し,着衣を剥ぎ取るなどの暴行脅迫を加えてその反抗を抑圧し,強いてBを姦淫したものである。
2
同年6月13日付け起訴状記載の公訴事実(以下本件公訴事実2という。)
Aは,女性を強姦する目的で,平成14年3月13日午後2時40分ころ,富山県内所在の被害者C方1階8畳間において,Cに対し,ビニール紐でその両手を後ろ手に縛り,

声を出すな。

と申し向けて,付近にあった布をCの口に押し込み塞いだ上,所携の果物ナイフ(刃体の長さ約9.5センチメートル)をCの首に押し当て,

騒いだらこれで刺してもいいんだぞ。

などと語気鋭く申し向け,Cを押し倒して着衣を剥ぎ取り,その陰部を手指で弄ぶなどの暴行脅迫を加えてその反抗を抑圧し,強いてCを姦淫しようとしたが,Cに抵抗されたためその目的を遂げなかったものである。
第2

再審公判に至る経緯
本件記録によれば,次の事実を認めることができる。

1
Aは,平成14年5月24日,本件公訴事実1で,同年6月13日,本件公訴事実2で,それぞれ富山地方裁判所高岡支部に起訴された(同裁判所同支部平成14年(わ)第67号,第84号)。同裁判所同支部は,同年11月27日,下記の事実を認定して,Aに対し,懲役3年,未決勾留日数中130日算入の有罪判決を言い渡した。

Aは
第1

平成14年1月14日午前8時30分ころ,盗みの目的で,富山県内所在の被害者B方の無施錠の玄関から屋内に土足のまま侵入し,同所1階廊下においてBを認めるや,Bを強姦しようと思い,Bに対し,

後ろを向け。

などと言って後ろ向きに立たせ,所携のナイフ(刃体の長さ約9.5センチメートル)をBの右頬に突きつけ,所携のビニール紐でその両手を後ろ手に縛り,タオルでその顔を覆った上,Bを2階のB居室まで連れて行き,さらに,同所において

警察には絶対言うな。言ったら殺すぞ。

などと言い,Bをベッドの上に押し倒し,その着衣を剥ぎ取るなどの暴行脅迫を加えて,その反抗を抑圧した上,強いてBを姦淫し
第2

同年3月13日午後2時40分ころ,富山県内所在の被害者C方1階8畳間において,Cを強姦しようと思い,Cに対し,その両手をビニール紐で後ろ手に縛り,

声を出すな。

と言って,その口に布を押し込んでその場に押し倒し,さらに,所携の前記ナイフをその首に押し当て,

騒いだらこれで刺してもいいんだぞ。

などと語気鋭く言い,着衣を剥ぎ取って,その陰部を指で弄ぶなどの暴行脅迫を加えて,その反抗を抑圧した上,強いてCを姦淫しようとしたが,Cに抵抗されて時間が経過したことから家人の帰宅を恐れるとともに,泣いているCをかわいそうに思って姦淫を断念したため,強姦の目的を遂げなかった
ものである。
2
前記判決に対する控訴はなく,同判決は確定した(以下,同判決の確定までを確定審といい,同判決を確定判決という。)。その後,Aは,服役することとなり,平成17年1月13日,仮出獄し,同年7月19日,刑の執行が終了した。

3
富山地方検察庁高岡支部検察官は,平成19年2月9日,富山地方裁判所高岡支部に対し,Aに対して無罪を言い渡すべき明らかな証拠があらたに発見されたとして,確定判決に対する再審の請求をした。同裁判所同支部は,同年4月12日,前記請求には理由があると認め,確定判決に対する再審開始の決定をした。前記決定に対する即時抗告はなく,同決定は確定した。

第3
1
当裁判所の判断
関係証拠によれば,確定判決は,Aが本件公訴事実1に係る犯行の犯人である点について,Aが,本件公訴事実1に係る犯行を認める供述をし,さらに,前記犯行を再現したり,その関係箇所を指示説明したりしている(以下,併せて本件自白1という。)こと,Bが,警察官に対し,写真台帳からAの写真を選んだ上,犯人にとても良く似ている旨,また,Aを透視鏡越しに5分間見た上,声の感じもそっくりで,犯人にほぼ間違いない旨供述し,さらに,検察官に対し,Aが犯人に間違いない旨供述している(以下,併せてB供述という。)ことを根拠とし,Aが本件公訴事実2に係る犯行の犯人である点について,Aが,本件公訴事実2に係る犯行を認める供述をしている(以下本件自白2という。)こと,Cが,警察官に対し,写真台帳からAの写真を選んだ上,犯人に良く似ている旨供述している(以下C供述という。)ことを根拠としていると認められる。2

しかし,次の証拠によれば,本件公訴事実1,2に係る各犯行の真犯人はDであると認められる(確定審提出分は確と,再審提出分は再とそれぞれ表示する。)。
Dの検察官調書(謄本)(再),警察官調書(謄本)(再)及び任意提出書(再)
捜査報告書(謄本)(再)
医師Eの任意提出書(再)
領置調書(再)
鑑定嘱託書(謄本)(再)
鑑定書(再)
口腔内細胞等の採取についてと題する書面(再)
鑑識資料採取報告書(再,確)
引当て捜査報告書(謄本)(再)
起訴状(謄本)(再)
公判調書(抄本)(再)
鑑識資料送付書(謄本)(確)
現場足跡等対照結果通知書(確)
現場足跡相互間対照結果(同種足跡)報告書(確)
すなわち,Dは,本件公訴事実1,2に係る各犯行を自白しているが,前記各犯行の状況については具体的な記憶も一部残存しており,前記各犯行の現場や関係箇所に警察官を案内するなどしていること,平成14年5月5日に石川県内で発生した強姦事件(この事件における被害者の膣内容物中のヒト精液のDNA型はDの口腔内細胞のDNA型と合致している。)の犯行現場に遺留された足跡と本件公訴事実2に係る犯行現場に遺留された足跡は同種足跡であり,同一の運動靴により印象されたものであると推定されること,本件公訴事実1,2に係る各犯行現場に遺留された足跡は同種足跡であり,合致足跡である可能性が認められることなどから,前記自白は十分に信用することができるといえる。
そうすると,本件自白1,2及びB,C供述は,いずれも信用性のないことが明らかである。
また,本件公訴事実1,2について,ほかにもAの犯人性を疑わせる証拠,すなわち,平成14年3月13日午後2時40分ころ,Aが自宅で電話をかけていたことを裏付ける証拠(捜査報告書(再))が存在している(前記のとおり,本件公訴事実1,2に係る各犯行現場に遺留された足跡は同種足跡であり,合致足跡である可能性が認められることからすると,前記各犯行は同一の犯人によるものである可能性が相当程度認められるから,一方の犯行についてアリバイが成立すれば,他方の犯行の犯人である可能性も小さくなる関係にある。)。
なお,再審において,本件公訴事実1,2に係る各犯行を認めるAの検察官調書(再),本件公訴事実1に係る犯行を認めるAの弁解録取書(再),勾留質問調書(再)及び警察官調書(再)並びに本件公訴事実2に係る犯行を認めるAの弁解録取書(再),警察官調書(再)及び検察官調書(再)が提出されているけれども,これらについても信用性のないことは,本件自白1,2及びB,C供述と同様である。
3
以上によれば,Aが本件公訴事実1,2に係る各犯行の犯人でないことは明らかであって,本件公訴事実1,2について犯罪の証明がないことになるから,刑事訴訟法336条により無罪の言渡しをすることとし,主文のとおり判決する。
平成19年10月10日
富山地方裁判所高岡支部
裁判長裁判官


裁判官


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大田敏孝野治正男
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