判例検索β > 平成20年(わ)第2864号
大麻取締法違反等被告事件
事件番号平成20(わ)2864
事件名大麻取締法違反等被告事件
裁判年月日平成20年12月9日
法廷名大阪地方裁判所
裁判日:西暦2008-12-09
情報公開日2017-10-13 01:37:05
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主文
被告人を懲役3年2か月及び罰金100万円に処する
未決勾留日数中100日を懲役刑に算入する。
罰金を完納することができないときは,金1万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
大阪地方検察庁で保管中のポリ袋入り大麻草6袋(同庁平成20年領第4414号符号31,32-2ないし32-8,33-2ないし33-6,34-2ないし34-5,35-2ないし35-5,36)及び現金14万円(同号符号45,46)を没収する。
被告人から金1041万0300円を追徴する。
理由
(犯罪事実)
1
被告人は,営利の目的で,みだりに,別表記載のとおり,平成20年4月29日ごろから同年5月8日ごろまでの間,14回にわたり,大阪府吹田市内の被告人方居室(当時)他1か所において,A外6名に対し,大麻である大麻草合計約39グラムを代金合計26万3500円(ただし,別表の1の3万2500円は代金未回収)で譲り渡すとともに,薬物犯罪を犯す意思をもって,同19年12月1日ごろから同20年5月8日ごろまでの間,多数回にわたり,上記被告人方居室等において,B外多数人に対し,大麻草様の乾燥植物葉片合計1938グラム余を大麻として,代金合計1031万9300円で譲り渡して,大麻を譲り渡す行為と薬物その他の物品を規制薬物として譲り渡す行為を併せてすることを業とした。

2
被告人は,上記1の際,営利の目的で,みだりに,平成20年5月8日,前記被告人方居室において,大麻である大麻草約20.932グラム(大阪地方検察庁平成20年領第4414号符号31,32-2ないし32-8,33-2ないし33-6,34-2ないし34-5,35-2ないし35-5,36は,その鑑定後の残量)を所持した。(証拠)
省略
(法令の適用)


判示1について

麻薬特例法5条2号(大麻取締法24条の2第2
項,1項,大麻を営利目的で譲渡した点)
,麻薬
特例法8条2項(大麻草様の乾燥植物葉片を大麻
として譲渡した点)

判示2について

大麻取締法24条の2第2項,1項
以上は,包括して麻薬特例法5条2号(大麻取締法24条の
2第2項,1項)
,8条2項に該当(判示2の大麻は,判示
1の犯行の一環として所持していたものであるから。


刑酌種の量選減択
懲役刑について有期懲役刑を選択


刑法66条,71条,68条3号

未決勾留日数の算入

刑法21条(懲役刑に算入)


刑法18条

役場留没置収
大麻について
現金14万円について

大麻取締法24条の5第1項本文
麻薬特例法11条1項1号


麻薬特例法13条1項前段(被告人が大麻の売上
げを記載していたノート〔甲43,44〕
,それ
に基づき大麻の売上額を算出した捜査報告書〔甲
45,48〕等の関係証拠によれば,判示1の犯
行により被告人が得た薬物犯罪収益〔麻薬特例法
11条1項1号〕は,合計1055万0300円(大麻についての代金回収分23万1000円と,大麻草様の乾燥植物葉片についての代金回収分1
031万9300円を合算したもの。
)と認めら
れるところ,上記没収に係る現金14万円は,そ
の一部であり,その余の薬物犯罪収益は,既に費
消していて没収することができないので,105
5万0300円から14万円を差し引いた額10
41万0300円を追徴する。

(量刑の事情)
1
本件は,
犯行当時大学生であった被告人が,
大麻の有償譲渡を業とし判示1)


その一環として大麻を営利目的で所持した(判示2)という麻薬特例法違反,大麻取締法違反の事案である。

2
被告人は,
大麻の吸引を続ける中,
密売人から大麻の密売をしないかと誘われ,
自己使用する大麻を簡単に得られるなどと安易に考え,大麻の密売に手を染めるようになって,中断していた時期はあるものの,本件犯行時には,これによって生活費等をまかなうほどにその規模を拡大させるに至ったものである。被告人は,
経営学の勉強になるので,大学を卒業するまでは密売を続けよう等と,事の重大さに全く思いを致すことなく,半ば遊び半分で本件密売行為を行っていたというのであるが,学生で社会経験が乏しかった点等を考慮しても,身勝手で,あまりにも浅はかな犯行動機に酌むべき点など認められない。
被告人は,約5か月間に,総計約1977グラム余の大量の大麻を譲渡していたものである。被告人は,卸元から仕入れた大麻を1グラム程度に小分けし,これらについて,譲渡相手に応じて仕入値に100円から2000円程度の利益の上乗せをして知人等多数の若者に譲渡していたのであって,その対価が,1055万0300円,得た利益も189万円余に上っていることからすれば営業として大がかりに密売を行っていたことが明らかである。しかも,被告人は,警察に検挙される危険がない等という理由で,在籍していた大学の構内でまで大麻の受け渡しを行っていたというのであり,その犯行態様は,大胆かつ悪質である。被告人は,このように多量の大麻を多くの若者に密売することによって大麻の害悪を社会にまき散らす一方,多額の不法な利益を得ていたもので,生じた結果も重大である。
判示2の営利目的所持に係る大麻の量も,20グラム余と相当多量である上,すぐに密売できるようにポリ袋に小分けされていて,
被告人が逮捕されなければ,
これらについても現実に密売に供され,その害悪が社会に拡散されていた危険性が極めて高かったといえる。
以上によれば,被告人の犯行は,相当悪質と言わざるを得ない。
3
そうすると,被告人が本件犯行を素直に認める等,遅まきながら事の重大さを認識し真摯に反省して更生を誓っている様子であること,被告人の両親が今後の監督を誓っていること,前科前歴がないこと,若年であること,当然のことながら大学を除籍され,また,本件が大きく報道されるなど社会的制裁を受けていること等の事情を考慮すると酌量減軽を行うのが相当であるが,先述のとおり,被告人の刑事責任は重大であるから,主文掲記の刑に処することはやむを得ない。
(求刑

懲役5年及び罰金100万円,主文同旨の没収及び追徴)

平成20年12月9日
大阪地方裁判所第2刑事部

裁判長裁判官

和田
裁判官

多田真裕一
裁判官

塚田有紀
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