判例検索β > 平成20年(わ)第685号
事件番号平成20(わ)685
裁判年月日平成21年2月17日
法廷名神戸地方裁判所
裁判日:西暦2009-02-17
情報公開日2017-10-13 01:36:55
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平成20年(わ)第685号,第771号,第918号
覚せい剤取締法違反(変更後の訴因覚せい剤取締法違反,大麻取締法違反)被告事件主文
被告人を懲役2年6月に処する
未決勾留日数中180日をその刑に算入する。
神戸地方検察庁で保管中の覚せい剤錠剤49錠(平成2
0年領第1400号符号25,26),覚せい剤結晶粉
末2袋(同領号符号1,10)及び大麻草4袋(平成2
0年領第1437号符号7,16,18,19)を没収
する。
本件各公訴事実中,平成20年9月18日付け訴因等変
更請求書第1による変更後の同年7月3日付け起訴及び
同年9月3日付け起訴にかかる各覚せい剤取締法違反の
点については,被告人はいずれも無罪。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,
第1(平成20年7月23日付け起訴状記載の公訴事実第1)
法定の除外事由がないのに,平成20年6月12日,神戸市a区b丁目c番d号所在のホテルAにおいて,覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパンの塩類若干量を含有する水溶液を自己の身体に注射し,もって,覚せい剤を使用した
第2(平成20年9月18日付け訴因等変更請求書第2による変更後の同年7月23日付け起訴状記載の公訴事実第2)
みだりに
1
平成20年6月12日午前7時50分ころ,神戸市e区f丁目g番h号所在
のBのi号室の当時の被告人方において,同室南西リビング内のテーブル上に前同様の覚せい剤を含有する錠剤49錠(神戸地方検察庁平成20年領第1400号符号25,26はいずれもその鑑定残量)を所持し,同室南東和室内のクローゼット内等に大麻である大麻草約171.075グラム(同領第1437号符号7,16,18,19はいずれもその鑑定残量)を所持した2
同日午後10時6分ころ,前記被告人方において,自己が所持するポーチ内
等に前同様の覚せい剤結晶約1.342グラム(同領第1400号符号1,10はいずれもその鑑定残量)を所持した
ものである。
(事実認定の補足説明)
1
判示第2の1の事実について,検察官は,被告人が大麻草を所持していたのは営利目的であった旨主張し,弁護人は,被告人の供述等に基づき,被告人の所持していた大麻草のうち吸引に適する部分約21グラムは自己使用目的で,残りの吸引に適さない部分は捨てるつもりで所持していたのであって,いずれも営利目的ではない旨主張しているので,以下,営利目的の有無について検討する。
2
検察官は,被告人が所持していた大麻草は約171グラムと大量であり,これは被告人の使用量で約1700回分に相当するもので,被告人がすべて自分で使用するつもりで所持していたというには不自然であり,また,被告人は大麻草をビニール袋に入れて圧縮して密封していたことから,他人に売却する目的で大麻草を所持していたといえ,検挙の危険があるにもかかわらず大量の大麻草を利益を得ずに譲渡することは考え難く,また,被告人の友人であるCの信用できる公判供述によれば,被告人は,平成20年5月ころ,栽培した大麻草を売りたい旨述べ,また,収穫後の大麻草についても,

どないかしたい。

と述べており,これらの発言は被告人が栽培した大麻草を他に売却するつもりで所持していたことを示すものであるから,大麻草を自己使用目的であるいは捨てるつもりで所持していたという被告人の公判供述は信用できず,被告人は営利目的で大麻草を所持していたものであると主張する。
3
そこで,まず,所持していた大麻草のうち約21グラムは吸引に適する部分であったが,残りは吸引に適さないので捨てるつもりであった旨の被告人の公判供述の信用性について検討する。
被告人が所持していた大麻草のうち21.285グラム(神戸地方検察庁領第1437号符号7,16)は被告人方のクローゼット内で発見され,そのうち20.83グラム(同領号符号7)はチャック付ポリ袋に入れられ,更にプラスチック製容器に入れられた状態で発見され,その余の0.455グラム(同領号符号16)は,パイプとともに白色ビニール袋に入った状態で発見されているのに対し,それら以外の大麻草149.79グラム(同領号符号18,19)は,大麻草の栽培時に使用済みのゴミであるガラスウールとともに密封もされず床に置かれたごみ袋の中に入った状態で発見されており(甲65),これらの発見状況は,所持していた大麻草のうち約21グラムは吸引に適するものとして所持していたが,残りは吸引に適さないので捨てるつもりであったという被告人の供述と整合しており,被告人の前記供述は信用できる。
したがって,本件大麻草約171グラムのうち,吸引に適するのは約21グラムのみであり,その余は吸引に適さないものと認められるから,被告人が使用可能なものとして所持していた大麻草の量から直ちに営利目的を推認することはできない。
次に,大麻草を密封していた理由について,被告人は,密売するためではなく,大麻草の効能を保つためであると説明しているところ,その説明が不合理であるとはいえず,この点も,直ちに営利目的を推認させるものとはいえない。また,被告人が栽培した大麻草を売却したい旨述べていたというCの供述についても,Cは,被告人の栽培した大麻草は質が悪く,被告人は栽培した大麻草を売却したことはないとも述べており,被告人も大麻草は栽培に失敗し質が悪かったと述べており,両者の一致する供述からは本件大麻草は自分で使用することはできても売却には適さない質が悪いものであったと認められる。そうすると,被告人が,Cが供述する前記発言をしており,本件大麻草を栽培中から,その収穫後に売却したいと思っていたとしても,収穫できた大麻草は質が悪かったから,これでは本件大麻草を売ることは難しいと思い,したがって,その大麻草は自分で使用しようと考えたということも十分想定できる。そうすると,C供述から直ちに売却目的で本件大麻草を所持していたということもできない。なお,Cは,以前知人に大麻草の入手を頼まれ,被告人に20グラムから30グラム程度の大麻草を用意してくれるよう頼み,被告人が用意した大麻草を利益を乗せて知人に売り,代金をそのまま被告人に渡したことがあるなどと述べているものの,前記2のとおり,本件大麻草は質が悪く売却に適さないものであり,Cも,被告人は栽培した大麻草を売却したことはないと述べていることからすれば,被告人が,過去に第三者から入手した大麻草を営利目的で譲渡したことがあったとしても,そのことを理由として,自ら栽培した本件大麻草を営利目的で譲渡するために所持していたということはできない。
4
もっとも,自己使用目的で大麻草を栽培し所持していたという被告人の公判供述は,被告人が,売人から大麻を買うと高いので大麻草を栽培したと述べる一方で大麻種子の購入や栽培用具の購入に合計で約5万円もの費用を支出している点,以前の大麻草の栽培でこれらの費用を予測していたにもかかわらず今回も大麻草を栽培している点,被告人が密封のためだけにラミネーターを購入したとしている点で不自然であり,これらは,営利目的所持を推認させる方向の事実ではあるものの,前記のとおり,本件大麻草が売却に適さない質の悪いものである以上,これらの点から直ちに営利目的で本件大麻草を所持していたというにはなお合理的な疑いが残る。

5
以上のとおり,約21グラムは自己使用目的で,その余は捨てるつもりで所持していたとの被告人の弁解を容れる余地があり,被告人が本件大麻草を営利目的で所持していたと認めることはできない。
(累犯前科)
被告人は,平成17年2月10日神戸地方裁判所で大麻取締法違反,覚せい剤取締法違反の各罪により懲役3年に処せられ,平成20年1月10日その刑の執行を受け終わったものであって,この事実は前科調書(乙11)によって認める。(法令の適用)


判示第1の所為につき,
覚せい剤取締法41条の3第1項1号,19条
判示第2の1の所為のうち,
覚せい剤所持の点は,覚せい剤取締法41条の2第1項
大麻所持の点は,大麻取締法24条の2第1項
判示第2の2の所為につき,
覚せい剤取締法41条の2第1項

科刑上一罪の処理
判示第2の1の罪につき,刑法54条1項前段,10条(重い覚せい剤取締法違反の罪の刑で処断)
再犯加重
いずれも刑法56条1項,57条
併合罪の処理
刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の最も重い判示第2の2の罪の刑に法定の加重)
未決勾留日数の算入
刑法21条


覚せい剤錠剤49錠及び覚せい剤結晶粉末2袋につき,いずれも覚せい剤取締法41条の8第1項本文(判示第2の各覚せい剤所持の罪にかかる覚せい剤で犯人の所持するもの)
大麻草4袋につき,大麻取締法24条の5第1項本文(判示第2の1の大麻所持の罪にかかる大麻で犯人の所持するもの)
訴訟費用の不負担
刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
被告人は,17歳ころから覚せい剤の使用を始め,覚せい剤取締法違反の罪で3回(そのうち1回は大麻取締法違反の罪も併合されている。)有罪判決を受け,これらの中には本件と同様の覚せい剤の自己使用及び所持,大麻所持も含まれているにもかかわらず,平成19年8月に前刑について仮釈放された後ほどなく覚せい剤の使用を再開し,大麻も使用するようになり,当初は売却目的で大麻草の栽培まで行うようになって,本件各犯行に至ったもので,所持していた覚せい剤や使用に適する大麻の量が少なくないことも併せ考えれば,被告人の薬物に対する親和性,依存性は顕著であるといわざるを得ない。
以上の諸点に照らすと,被告人の刑事責任は相当重い。
他方,本件大麻草のうち吸引に適する約21グラム以外の分は吸引に適さない質が悪いもので捨てるつもりであったこと,被告人は,判示各犯行をいずれも認め,それなりに反省の態度を示していること,社会復帰後は以前の勤務先で働くことができること,高齢の母親が被告人の帰りを待っていることなど,被告人のために酌むべき事情も認められる。
以上の諸事情を総合考慮し,主文のとおり量刑した。
(一部無罪の理由)
第1

公訴事実の要旨及び本件の争点
本件各公訴事実中,訴因変更後の平成20年7月3日付け起訴状記載の公訴事
実の要旨は,被告人は,D,E及びFと共謀の上,営利の目的で,みだりに,同年5月27日,神戸市j区k丁目l番Gの号棟m階通路内において,覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩類の結晶約49.938グラム(以下本件覚せい剤という。)を所持した,というものであり,同年9月3日付け起訴状記載の公訴事実の要旨は,被告人は,Dと共謀の上,法定の除外事由がないのに,同年5月26日午後7時15分ころ,神戸市a区n丁目o番p号所在のHのq号室の当時の被告人方において,フエニルメチルアミノプロパンの塩類若干量を含有する水溶液をDの身体に注射し,もって,覚せい剤を使用した,というものである。
弁護人は,被告人の供述等に基づき,前者について,被告人は本件覚せい剤を現に所持していたDをはじめ,共犯者とされている者らと共謀しておらず,いずれも無罪である,仮に共同所持が認められたとしても営利目的は認められない旨主張し,後者について,被告人がDに覚せい剤を注射した事実はなく無罪である旨主張している。
第2

訴因変更後の平成20年7月3日付け起訴状記載の公訴事実について
1
検察官は,被告人に,Dほか数名との共謀による覚せい剤共同所持の罪が成
立する旨主張し,被告人とDとの間に共謀があったことを根拠付ける主要な事実として,主にDの供述に基づき,①Dは,平成20年5月25日ころ,被告人から,電話で,覚せい剤を売って欲しい旨告げられ,同日夕方ころ,当時の被告人方へ行き,被告人から現金48万円を受け取った,被告人は,Dに,48万円のうち2万円はDの足代にして,残りの46万円で覚せい剤を買えるだけ買って被告人に売って欲しい旨言ったこと,②Dは,同月26日夕方ころ,被告人に電話で,この日の夜にIから覚せい剤を買うことができるかもしれない,Iが50グラムまとめてであれば1グラム2万3000円で売ってくれる旨言ったところ,被告人は,Eの分として更に10グラムを買うと言ったこと,③Dは本件覚せい剤はすべて仕入れた値段で各共犯者に譲渡する予定であり足代として被告人から受け取った2万円のほかに転売利益を得る予定はなかったことを指摘している。
2
ところで,覚せい剤取締法にいう所持とは,人が物を保管する実力支配
関係を内容とする行為であり,覚せい剤所持につき,実力支配関係があるというためには,必ずしも物を物理的に手にしていることは必要でなく,その存在を認識してこれを管理し得る状態に置けば足り,また,二人以上の者が意思を相通じ合って覚せい剤を実力支配し得べき状態に置けば共同所持といえる。しかし,覚せい剤を手にした共犯者と行動を共にしておらず,覚せい剤を現に手にしていない共犯者(本件では被告人)に共謀による覚せい剤の共同所持が認められるためには,共犯者(本件ではD)が覚せい剤を手にした時点で,被告人が,Dと意思を通じ合って自らの行為として当該覚せい剤を所持した,すなわち,未だ共犯者の手にある当該覚せい剤を実力支配し得べき状態に置き,かつ,その旨を認識していたと認められなければならない。
3
関係証拠により認められる本件の事実経過の概要は以下のとおりである。(1)

被告人とDは,平成19年12月から平成20年2月(以下,特に断ら
ない限り,日付は平成20年である。)ころの間に知人の紹介で知り合った後,Dが被告人に覚せい剤を売るようになった。最初は1回につき1グラムか2グラムの覚せい剤を売っていたが,5グラム,10グラムの覚せい剤を売ったことも数回あった。その際,Dは,被告人に,代金と引換えに覚せい剤を渡していた。被告人が,Dに対し,質が悪いことを理由に,覚せい剤の受取りを拒んだり,返品したりしたことはなかった。
(2)

遅くとも5月22日か同月23日ころ,被告人はDに覚せい剤の入手方
を依頼し,同月27日の時点でも被告人がDから覚せい剤を購入する話は続いていた。
(3)

同月25日か26日ころ,Dは被告人に,Eの分として覚せい剤10グ
ラムを購入するよう頼み,被告人はこれを受けて同月26日ころEにDから覚せい剤を10グラム購入しないかと聞き,Eはこれを承諾して被告人に覚せい剤10グラムの代金として26万円を支払った。被告人はDにこの26万円を渡していない。
(4)

同月27日午前9時半ころ,IがDに電話をかけ,覚せい剤を譲渡でき
る旨告げ,同日午後零時30分又は同45分に,rの喫茶店で待ち合わせて覚せい剤の受渡しをすることになった。
(5)

同日午後零時45分ころ,待ち合わせ場所の近くに停めた車の中で,D
はIに115万円を渡し,Iから本件覚せい剤を受け取った。
(6)

その後,Dは一旦自宅に戻り,妻と一緒に覚せい剤に関する捜査対象と
なっていたsのJ方を訪れたところ,同日午後1時45分ころ同所付近で捜査官に発見され,同日午後2時8分,本件覚せい剤を発見されて覚せい剤所持の現行犯人として逮捕された。
(7)

Dは,逮捕までの間に,被告人に,Iから覚せい剤を仕入れたことを伝
えていない。
4
本件では,3の事実に加え,検察官が主張する前記①ないし③の事実がすべ
て認められた場合には,被告人に共謀による本件覚せい剤の共同所持が認められる余地がある。そこで,検察官が主張する前記①ないし③の事実が認められるか否か,以下検討する。
(1)

Dの公判供述の信用性について

アDは,公判廷において,前記3のほか,以下のとおり供述している。(ア)

5月25日午後3時半から午後4時過ぎころ,被告人から電話で再
度覚せい剤を売ってくれと言われ,親戚の葬式の後,被告人,Kと待ち合わせ,ラーメン屋やLに行き,その後H内のEの部屋に行き,被告人の部屋に移動した。被告人は,Dに,48万円を渡し,2万円はDの足代にし,残りの46万円で覚せい剤を買えるだけ買ってきてくれと言った(検察官主張の前記①に対応する。)。
(イ)

その後,大阪の密売人Mの所に行ったが,覚せい剤は仕入れられず,注射器4箱を代金後払いで購入した。
(ウ)

同月26日午後1時過ぎころ,Dは,Fに電話をかけ,IがDに覚
せい剤を出してくれるかIに聞いてくれるよう頼み,Fは

Iさんなら50固めてなら2万3000円で出すんじゃないか。

などと告げた。Fは,Dの依頼を受け,同日夕方ころ,Iに電話をかけた。
(エ)

同日午後3時過ぎころ,DがIに電話をかけたところ,Iは,覚せ
い剤50グラムまとめてであれば1グラム当たり2万3000円で譲渡する旨述べ,Dは譲渡を依頼した。
(オ)

同日夕方ころ,Dは,電話で,被告人に

今日,Iさんから,ひょっとしたら晩に引けるか分からん。

と言い,Iが50グラムまとめてなら1グラム当たり2万3000円で出すという話なので,誰かもう一人乗ってくれないか,という話をし,被告人は,Eに10グラム乗ってもらおうかなどと答えた(検察官主張の前記②に対応する。)。(カ)

その後,同日午後6時過ぎから6時半ころ,FがDに電話で,Iが
覚せい剤50グラムまとめてであれば1グラム当たり2万3000円でDに覚せい剤を出す旨述べていたと言い,Fは

わしも10乗る。

,すなわちFも覚せい剤を10グラム買うと言った。
(キ)

Dは,本件覚せい剤のうち10グラムは自分の物として買うつもり
であった。
(ク)

同日DはNに覚せい剤の譲渡を頼まれ,同日午後7時過ぎころ,被
告人方に行ってNに渡す覚せい剤を被告人から譲ってもらい,その場で被告人に覚せい剤を注射してもらった(これが平成20年9月3日付け起訴状記載の公訴事実である。)。Dは,自分では覚せい剤の注射ができない。
(ケ)

その後,Dは一旦帰宅し,同日午後8時過ぎころ再び被告人方に行
った。その際,被告人とはE分の代金の話はしなかった。同日午後9時過ぎころ,DがIに電話で確認したところ,その日は覚せい剤を出せないということであった。その後,大阪に覚せい剤を仕入れに行ったが仕入れることはできなかった。
(コ)

同月27日午前11時過ぎころのFとの電話で,Fは金ができたと
言ったが,Dは,Iとの取引時刻が迫っていたため,後で品物を持って行った時に金をもらう,受渡しの場所などは後で電話で連絡する旨答えた。
(サ)

Iに渡すべきEとFの分の覚せい剤の代金合計46万円は,D方に
里帰りしていた娘に,車を買うために必要であると嘘をつき,同日午前11時半前ころ,娘が持っていた現金の中から借りた。娘はすぐには金を貸してくれず,しばらく頼み続けてようやく金を借りることができた。Dの分の覚せい剤の代金23万円は,その手持ちの現金の中から用意した。
(シ)

Dは,通常,覚せい剤の密売の際に仕入値に利益を乗せていたが,
本件覚せい剤は,すべて仕入れた値段で譲渡する予定であり,被告人から足代として受け取った2万円のほかは転売利益を得るつもりはなかった(検察官主張の前記③に対応する。)。
イ検察官は,Dの公判供述は,供述内容が合理的かつ自然で,客観的事実や信用できるI,Nの供述とも整合し,供述の重要部分は捜査段階の初期から一貫しており,反対尋問に対しても動揺しておらず,また,Dには被告人の関与の有無や程度について虚偽の証言をする理由がないから,信用できると主張する。
Dの供述内容は概ね通話履歴と整合しており,本件覚せい剤の購入量や購入価格もIの供述と整合しており,その限度では信用できる。しかし,その余のDの公判供述は,以下のとおり,その内容自体にも不自然な点がみられ,捜査段階の供述との間で不合理な変遷も多く,虚偽供述をする動機もあり,全体として信用性が高いとはいえない。
ウ供述内容自体について
まず,前記ア(ア)(10頁)につき,覚せい剤の代金46万円という金額は,DとIの取引価格で覚せい剤20グラム分と符合するところ,5月25日の時点ではIとDの間で取引価格が決まっていなかったにもかかわらず,被告人が偶然このような金額を渡したとする点,及び,前記3(1)(9頁)のとおり,これまで,被告人は,Dに,覚せい剤と引換えに代金を渡しており,D自身,同月23日ころは覚せい剤と代金は引換えに取引する予定であったと述べているにもかかわらず,特段の理由もなく同月25日の時点で前払いの取引に変更され,代金を前払いしたという点はいずれも不自然である。
また,Dは,同月27日午前9時半ころIとの取引が決まった後,被告人と電話で話しているにもかかわらず被告人に取引が決まったとの事実を告げておらず,Iから本件覚せい剤を仕入れた後J方付近で捜査官に声をかけられるまでの1時間余りの間にも被告人に仕入れの事実を告げていないが,46万円もの代金を事前に受け取っており,入手した覚せい剤に利益を上乗せしないでその代金に見合う量の覚せい剤をそのまま被告人に渡すつもりであったという者の態度としては相当不自然である。
さらに,D供述によれば,同月26日の時点でEとF分の覚せい剤購入資金として46万円が不足していたにもかかわらず,前記ア(ケ)(12頁)のとおり,被告人に対しE分の代金の話をしておらず,同日資金の準備に奔走していた様子は全くない。また,同月27日には自分の買い手であるFからその代金の用意ができたと告げられており,特段の事情がない限り,Fから金を受け取ろうとするのが自然であるのに,これを受け取ろうとしていない。Dは,被告人にE分の代金の話をしなかった理由について,E分の代金を預かるとプレッシャーになるためであると述べているが,他方でDは被告人から預かっていたという代金は覚せい剤をすぐには仕入れられないと判明した後も返していないと述べており,態度が一貫していない。また,前記ア(エ)(11頁)のとおり,Dは,同月26日午後3時過ぎにIから覚せい剤を譲渡することができると告げられたと述べており,近く入手できる可能性が高いことを認識していたのであるから,それ以降であればEの代金を受け取ることに支障はないはずであり,Dの説明に合理性は乏しい。Dは,前記ア(コ)(12頁)のとおり,Fから代金を受け取らなかったことについて,Iとの取引時刻が迫っていたからであると説明するが,Fとの電話からIとの受渡時間まで1時間半程度時間があり,Iとの約束時間が変更できない理由も窺えず,説得的とは言い難い。また,前記ア(サ)(12頁)の46万円についての,里帰りしていた娘に対し,車の購入資金として突然借金を申し込み,娘がこれを了承し,たまたま所持していた現金の中から同金額を貸してもらったなどという供述は,その内容自体,相当不自然である。
前記ア(シ)(12頁)についても,Dは,通常,覚せい剤の密売の際に利益を乗せていたにもかかわらず,今回は50グラムもの大量の覚せい剤の取引で,発覚すれば長期間の服役が予想され,また,D供述によれば大阪まで行くなど覚せい剤を入手するため積極的に動いていたのに,被告人から足代として受け取った2万円のほかは転売利益を得るつもりがなかったという点も不合理である。また,後記エ(16頁以下)のとおり信用できるE供述によれば,被告人はEにDとの取引は覚せい剤10グラムで26万円である旨述べていたことが認められ,このほか,Eと被告人は,被告人がEの30万円の借金を肩代わりしてやるほど親しく交際しており,両名の間では覚せい剤の取引において利益を乗せていなかったと一致して述べおり,その供述に不自然な点はなく信用できるところ,そうだとすると,Dは1グラム当たり3000円の利益を乗せて本件で共犯者とされている者らに譲渡するつもりであった可能性が高く,この点のD供述の信用性も乏しい。
以上のほか,前記ア(オ)(11頁)につき,Dは,同月26日遅くとも午後3時過ぎころ,Iから覚せい剤を50グラムまとめてであれば譲渡する旨告げられた後,同日夕方ころ,被告人に対し,被告人にもっと多くの覚せい剤を買えないかとは聞かずに誰かもう一人乗ってくれないかと言ったという点,前記ア(ア)(10頁)及び(キ)(11頁)について,本件覚せい剤50グラムのうち,Dの客である被告人分が20グラムであるのに対し,本件覚せい剤を仕入れたD自身の分は10グラムにすぎないとする点,前記ア(ク)(12頁)につき,Dは,同日遅くとも午後3時過ぎころには,Iから覚せい剤を譲渡することができると告げられており,近く入手できる可能性が高いことを認識していたのに,Nの依頼に応じた,すなわち,被告人が,当時Dに対し覚せい剤の入手方を依頼しており,その手持ちの覚せい剤が乏しかったことをDも分かっていたにもかかわらず,わざわざ被告人に連絡を取り,Nのために覚せい剤の取引を持ち掛けたという点も,不自然な感を免れない。また,Dは,同日夕方ころ,Dから被告人に電話をかけたと述べているが,そのような通話履歴がない点でも,Dが同日ころにつき正確な記憶を保持しているのか疑いがある。これらの供述は,本件の争点に直接関わるものではないが,Dの供述傾向として,本件の主要な争点に関する前記ア(ア)(10頁),(オ)(11頁)及び(シ)(12頁)についての信用性を低下させる要素となることは否定できない。エE供述との不整合について
(ア)

Eは,公判廷において,5月26日午後1時13分の電話で被告人
から,Dから覚せい剤を買う話があるが,Dは20グラムまとめてでなければ出せないと言っており,被告人は10グラム分しか金が用意できない旨聞いた,そこで,Eは,午後2時ころ,被告人方に行き,覚せい剤10グラム分の代金26万円を被告人に渡した,Eは,被告人に金を渡した後,v区の知人に覚せい剤を売りに行ったが,午後2時17分及び同37分にその知人との通話履歴が残っているので,被告人方に行ったのは午後2時ころである旨供述している。
Dは,前記ア(エ)及び(オ)(11頁)のとおり,同日午後3時過ぎころのIとの電話で覚せい剤の仕入量及び価格が決まった旨供述し,同日夕方ころ被告人と電話で,Eにも覚せい剤を購入させる話をしたと述べているところ,Eはそれ以前に前記の内容を被告人から聞き,被告人に代金も払ったとしており,両者の供述内容は食い違っている。
この点に関し,検察官は,被告人が覚せい剤の入手を急いでいたため,Dからの連絡を待たずにEに覚せい剤取引への参加を持ち掛けたのであり,Eが聞いた覚せい剤代金が1グラム当たり2万6000円とIからの仕入値よりも3000円高いのも,このように被告人がDから価格を聞かずにEに連絡したためであり,Eの前記供述はD供述と食い違うものではないと主張する。しかし,D供述を前提にすれば,被告人がEに電話をした同日午後1時13分ころの時点では,被告人は覚せい剤20グラムをまとめてDから購入しなければDが覚せい剤を仕入れられない旨の話は聞いていないのであるから,被告人が同時点で覚せい剤の入手を急ぐためにEに取引への参加を持ち掛ける必要はなく,その主張は採用できない。
Eは,被告人と親しく交際しており同人に有利な供述をする動機を有し得る者であるが,Eの前記供述は,時刻の根拠も具体的に挙げられている上,接見禁止が付され被告人との通謀もなし得ない状況のもと,捜査段階において捜査官からDが被告人からE分の代金を受け取ったと言っていると告げられ,それを信用して本件への自己の関与を認めた状況下で供述し,その後この点については公判廷に至るまで一貫して供述していたのであり,しかもその供述内容は同様に接見禁止が付されていた被告人供述とも一致しており,その供述状況からも信用性が認められるということができ,これに反するDの前記ア(エ)及び(オ)(11頁)の供述は信用性が低い。
(イ)

また,Dは,前記ア(ア)(10頁)のとおり,同月25日にK,被
告人と3人でE方に行ったと述べているが,Eは3人がE方に来た日について,同月21日ころと供述している。Eは,同月19日ころ交際相手と喧嘩していたが,その2日後くらいに交際相手から話をしにE方に行くと電話で言われ,その際3人が部屋にいたため帰ってもらったのを覚えているので同月21日ころのことであると特徴的な出来事を挙げて理由を説明している上,この供述も前記のような状況下の捜査段階における供述から一貫していることが窺われ,通謀できない状況下でも被告人の供述と概ね整合する供述をしており,同供述は信用できるといえ,これに反するDの前記ア(ア)(10頁)の供述の信用性も低い。オ供述の変遷について
(ア)

Dは,捜査段階において,<ア>E分の覚せい剤として被告人から,
Fのそれとして同人から,23万円ずつ受け取っていた(職9,19,28,30,32,33),<イ>密売人Mの名を秘し,5月25日に大阪で会った密売人を被告人,Eの関係者である(職16,18,28,30,32)との供述をし,これら供述は,現時点では虚偽であることが判明している。これら虚偽供述につき,検察官は,<ア>は,E及びF分の覚せい剤購入資金を娘から借りたことを隠すため,<イ>は,Mの名前を隠すためにしたのであり,それぞれ了解可能な理由によるものであるから,その公判供述の信用性は否定されないと主張している。
しかし,<ア>に関する娘から借りたという公判供述が不自然であることは前記のとおりであり,<イ>も,Dは,捜査段階において,Mについてある程度詳細に供述した(職19)後も,同日に会った密売人は被告人らの関係の密売人であるという供述を続けており(職28,30,32),また,被告人らの関係の密売人と会った後Mにも連絡したとして,Mと被告人らの関係の密売人は別人物であることを前提とする供述もしており(職28),Dの説明は捜査段階の供述と矛盾しており不合理である。
また,Dは,<ウ>公判廷では,前記ア(ク)(12頁)のとおり,同月26日Nを被告人方に連れて行き,同日午後7時10分から20分ころ被告人に覚せい剤を注射してもらった旨述べているが,捜査段階では同月25日にNを被告人方に連れて行ったとも供述しており(職5,16,30,32),同月26日であったと訂正した後も,7月22日付けの警察官調書では注射の時刻は午後9時半ころと供述していたようであり,その供述は変遷している。
検察官は,日付の点の変遷は,Dが日付の根拠としていた親戚の葬式の日を1日勘違いしていたことに伴い訂正したものであり,時間の点は通話履歴を見て訂正したものであるから,変遷にはいずれも合理的な理由があると主張する。
しかし,通話履歴を見て記憶を喚起したとしても2時間以上時間を変更するのが自然であるとは言い難いし,Dは,公判廷で5月25日に被告人から金を受け取り,その翌日にNと被告人方に行ったと述べているところ,捜査段階では被告人から金を受け取った日とNと被告人方に行った日は同じであると供述し(職16,30,32),その後公判供述と同内容に変遷させたものであり,変遷理由については何ら説明しておらず,葬式の日を訂正したことだけに起因する変遷とはいえない。むしろ,弁護人が指摘するとおり,Dは,同月26日午後7時過ぎころDと被告人方に行ったというNの供述を受け,これに沿うように供述を変遷させたとみるのが自然といえ,Dの記憶は明確でないということができる。
(イ)

また,検察官は,D供述は前記(ア)<ア>ないし<ウ>(17,18
頁)以外の重要な部分については捜査,公判を通じて一貫しており信用できると主張している。検察官の主張するとおり,Dは,本件で共犯者であるとしている者に関し,逮捕の翌日である5月28日の警察官調書で,本件覚せい剤は自分が購入した10グラム及び知人3名から依頼されて購入した40グラムである旨供述し(職4),6月3日の警察官調書で,本件覚せい剤のうち40グラム分の購入を依頼した知人が被告人,E及びFであること並びに被告人から覚せい剤代金として48万円を受け取った旨供述し(職9),6月7日の警察官調書で,5月25日に,当時の被告人方で,覚せい剤代金及び足代としてすべて1万円札で48万円を受け取った旨供述し(職16),これらの点についてはその後一貫した供述をしている。
しかし,D供述は,以下の諸点においても捜査段階の供述から変遷している。

前記ア(ア)(10頁)の供述は,5月25日に被告人方で48万円を受け取ったという点については捜査当初から一貫しているものの,受け取った日が同日であるといえることの根拠や受け取った状況については変遷している。すなわち,公判廷においては,前記ア(ア)(10頁)のとおり,親戚の葬式の日である同日にK,被告人と3名で被告人方にいた際に受け取ったと述べているが,捜査段階においては,親戚の葬式の日である同月24日の翌日に被告人から金を受け取ったと供述したり(職16),FとEから金を受け取っていなかったにもかかわらず,FとEから金を受け取った同月26日の前日に被告人から金を受け取ったと記憶していると述べたり(職17),前記オ(ア)<ウ>(18頁)のとおり,Nと被告人方に行った日についてのD供述は変遷しているところ,Nと被告人方に行ったのと同じ日である同月25日に被告人から金を受け取ったと供述するなど(職16,30),同月25日であるとする根拠や受け取ったとする状況について変遷を繰り返している。
このように,同月25日であるとする根拠や受け取ったとする状況について様々に変遷している以上,たとえ同月25日に被告人方で48万円を受け取ったこと自体については捜査当初から一貫して供述していたとしても,この点についてのD供述の信用性は低いといわざるを得ない。

Dは,公判廷では,前記ア(オ)(11頁)のとおり,5月26日の夕方の電話で,被告人に,誰かもう一人乗ってくれないかという話をしたと述べているが,捜査段階では,同日,被告人に対し

あと10グラムのってくれたら50になる。

旨告げたと供述しており,このように告げた場所について,当初は被告人のマンションであると述べていた(職19,28)が,その後同日夕方の電話であると訂正するなど(職30,32,39),供述の内容自体及びその際の状況についても変遷している。


前記(ア)<イ>(18頁)に関しても,大阪で被告人らの関係の密売人と会ったという供述にとどまらず,その密売人から被告人らの注射器4箱を受け取り,被告人から覚せい剤の代金として預かっていた現金の中から代金4万円を支払った(職18,19,28),5月26日に被告人から注射器の代金として4万円を受け取ったという虚偽の供述をし(職19,28),その後公判供述と同内容に供述を変遷させている。

(ウ)

さらに,前記(ア)<ア>,<イ>(17,18頁),(イ)a(19頁)及びc(21頁)の各供述は,8月21日作成の検察官調書(職38)及び同月22日作成の検察官調書(職39)において公判供述と同内容に変更されており,Dは,5月27日の逮捕から3か月近くの間虚偽の供述を繰り返し行っていたものである。
また,前記(ア)<ア>(17頁)のFから代金を受け取ったという供述に関しては,同月26日にFから特定のパチンコ店内で23万円を受け取ったという虚偽供述をし(職19,28,30,32,33),パチンコ店の防犯ビデオの画像を示されると別人の画像についてFとよく似ているなどと言い(職32),公判供述によれば,捜査段階では別人の画像をD自身であると供述したこともあり,更に特定の通話履歴を示してパチンコ店で待ち合わせた際の通話であると供述するなど(職30,32),具体的に嘘を重ねていた。
(エ)

このように,Dは,捜査段階において,本件の全般にわたる複数の
点で,合理的な理由もなく虚偽供述をし,その後供述を変遷させ,逮捕から3か月近く経過するまでの間虚偽供述を繰り返していたものである。しかも,Dは,捜査段階において,Dが共犯者であるとする者らに不利な虚偽供述をしており,被告人を本件に引き込もうとする態度は明らかであったといえる。
カ虚偽供述の動機について
検察官は,Dには虚偽供述の動機はなく,妻や娘をかばうためであるという弁護人の指摘に対しては,同人らをかばうために被告人らについて虚偽供述を行う必要はないと述べている。
しかし,Dの妻は,Dが本件覚せい剤の所持で現行犯逮捕された際,Dと一緒に覚せい剤関係者の部屋に向かおうとしており,妻は秤や多数のポリ袋といった覚せい剤の小分け道具を所持していたためDとともに現行犯逮捕されており(甲1),妻の携帯電話には,Dが仕入れた注射器と同型のものの画像や覚せい剤関係者の連絡先のデータが入っており,同関係者らとの通話履歴も残っていた。娘についても,今回Dが本件覚せい剤代金のうち46万円は娘に借りたと述べているほか,娘の部屋から注射器が発見されている。このように,捜査当時,Dの妻と娘について,本件覚せい剤への関与が疑われる事情にあり,Dには妻と娘をかばうために共犯者らについて虚偽供述をする動機を有していたといえ,現に,Dは,前記のとおり,娘をかばうため,捜査段階ではEやFから23万円ずつ受け取ったと虚偽の説明までしていたのである。
キ以上のとおり,Dの公判供述は,その内容自体不自然,不合理な点が多く,Eの信用できる供述とも齟齬しており,重要な点について捜査段階から合理的な理由もなく供述が変遷しており,これを裏付ける客観的状況や他の者の信用できる供述と符合する部分を除き,総じて信用性が乏しい。(2)

被告人の公判供述の信用性について

ア被告人は,公判廷において,前記3(9頁以下)のほか,以下のとおり供述している。
(ア)

被告人とEは親友であり,覚せい剤を譲り合ったり,覚せい剤を仕
入れる際に互いの分を一緒に購入したりしていた。被告人とEの間では,覚せい剤の取引の際に利益は乗せていなかった。また,被告人は,以前Eがギャンブルで作った約30万円の借金を肩代わりしたことがあった。(イ)

5月25日か26日ころの午前中,Dが,電話で,被告人に対し,
もうちょっとしたら品物が手に乗る,1グラム2万6000円であると言い,被告人に10グラム買わないかと持ちかけ,後でEにも聞いておいてくれと付け加え,Eと被告人とで覚せい剤を10グラムずつ,合計20グラム買うように言った。被告人は,10グラム購入することを承諾した。
(ウ)

同月25日は夕方ころから交際相手であるOと被告人方におり,午後8時40分ころKを家まで迎えに行き,K,Oと3人でKのかつての勤め先であるPに行った。被告人は,その際のKの言動に立腹し,それ以来Kとは会っていない。同日,KとDと会ったことはなく,Dに金を渡したこともない。
(エ)

同月26日,被告人はEに電話で

Dさんが,覚せい剤,2万6000円で,おれと二人でね,10ずつ買わないかと言うとる。お前どうする。

と言うと,Eは同日昼過ぎころ被告人方に来て,

ほんなら自分も10いっとくわ。

などと言い,被告人に26万円を渡した。(オ)

同日の夜,NとDは被告人方には来なかった。被告人はNを本件以
前に見た覚えがない。
(カ)

今回は,覚せい剤の取引量が多かったので,覚せい剤の質を確かめ
てから代金を支払うつもりだった。
(キ)

被告人は,Dに対し,同月27日の午前中とDの逮捕直前に電話を
かけたが,いずれも覚せい剤の話はしていない。
(ク)

Dの逮捕後,DがIから覚せい剤を約50グラム仕入れたことを知
った。
(ケ)

D,Kと3人でラーメン屋やLに行った後Eの部屋に行き,その後
被告人方に行ったことはあるが,それは同月25日ではなく,同月半ばから同月20日過ぎころまでの間で,時間は夜中であった。E方に行ってすぐに,Eが当時喧嘩していた交際相手からE方に話をしに行くと連絡があったため,被告人方に移った。
(コ)

被告人は,本件以前は,I,Fのことを全く知らなかった。

イ検察官は,被告人は,捜査段階において,当初本件覚せい剤への関与を完全に否定しており(乙2,4),Dが仕入れた覚せい剤の一部を自分が譲り受けることになっていたことを認めた後も,5月27日の数日前,Dは,被告人に,

Eと二人で,1グラム2万6000円で10グラムずつくらい買えるか。

と言い,被告人がその日のうちにEに話すとEは了承し,その日か,翌日に,Eから現金26万円を受け取ったと供述したり(乙5),同月25日か26日の2,3日前にDから,覚せい剤1グラム2万6000円で,どれくらいの量であれば買えそうかと聞かれ,被告人の方から10グラムと答えた,その際Dに,Eにも聞いてくれるように頼まれ,Eに聞いたところ,Eも自分から10グラム買う旨答えた,Eはその2,3日後に代金26万円を被告人に渡したと述べ(乙7),更に公判廷においては前記ア(エ)(23頁)のとおり述べており,Dが被告人とEの話を同時に持ち出したのか,10グラムという数字をDが持ち出したのか,Dから話があった日とEから代金を受け取った日との関係について,変遷しており,信用できない旨主張している。
この点に関し,同月25日か26日の2,3日前にDから話があったという乙7号証の供述について,被告人が変遷の理由として述べる,同月23日ころ,Dから覚せい剤が入る話があったので,そのことを話したつもりが混同していたとの点は,乙7号証が具体的な取引量や値段,Eの件も出た際の会話を内容とする供述であることからすれば,若干不自然ではある。もっとも,乙7号証で,10グラムという数字がDではなく,被告人及びEから出たとされている理由について,被告人は捜査官には一貫してDから10グラムという数字が出たという説明をしていたつもりであるとする点は,乙7号証以前に作成された乙5号証でも公判供述と同様に10グラムという数字はDから出たとされていることと整合している。また,被告人は,一貫して,Dから50グラムの覚せい剤を仕入れることは聞かされていなかったと供述しており,これまで自分やEがDから覚せい剤を仕入れる際,5グラムや10グラムという単位で仕入れたことはあったものの,多くは1グラムか2グラムという単位で仕入れていたと述べているにもかかわらず,被告人の方から10グラム仕入れると述べ,Eも同様に述べたというのはやや不自然である。しかるに,乙7号証ではこれらの供述がされた理由につき,説得的な説明はされていない。そうすると,乙7号証には,被告人の供述がそのまま記載されていない疑いが払拭できず,乙7号証が他と異なる供述内容になっていることから,被告人の公判供述が全て信用できないとまではいえない。
ウ被告人の,前記ア(ケ)(24頁)の被告人がK,Dと行動した日は5月25日ではないという供述,前記ア(エ)(23頁)の被告人がEにDとの取引価格は覚せい剤1グラム2万6000円であると述べ,Eは被告人に10グラム分の代金として26万円を渡したという供述は,前記(1)エ(ア)(16頁以下)のとおり信用できるE供述と整合しており信用できる。また,前記ア(ア)(22頁)の被告人の供述は,Eとの間では覚せい剤の取引において利益を乗せていなかったという点でEの供述と整合しているところ,前記のとおり被告人がEに本件覚せい剤は1グラム2万6000円であると述べていることからすれば,Iからの仕入値である1グラム2万3000円と比較すると1グラム当たり3000円の利益を乗せていたといえ,Dは本件覚せい剤の仕入値に利益を乗せていたという被告人の供述も信用できる。
前記ア(ウ)(23頁)の被告人の供述について,被告人は,捜査当初はKの店に行った日や店のママの名前は分からない旨述べていたが,乙23号証でこれらを述べるに至った理由について,乙23号証を作成した捜査官が店に行った日は同月25日であることとママの名前を教えてくれたためそれ以降その内容で供述している旨述べており,その説明には一定の合理性がある。また,同供述は,Eの,同月26日ころ,被告人から,Kの給料未払いの件でKと一緒にKの働いていた店に行ったが恥をかかされたという話を聞いた,店に行った日の翌日か翌々日に話を聞いたという供述とも整合しており,排斥できない。なお,被告人の公判供述のうち,同月26日の昼過ぎころ,Eから,Dに支払うべき覚せい剤10グラムの代金として26万円を受け取ったことを,それ以降複数回Dと電話で話した際に伝えていない点はやや不自然ではあるが,前記のとおり,本件覚せい剤の取引はDから持ちかけられたものであり,また,被告人は覚せい剤の質を確かめてから買うつもりだったと供述していることからすれば,了解できる。
エこれらの点をはじめ,被告人供述は,Nを本件以前に見た覚えがないとの点を除き,供述内容自体に明らかに不自然な点はなく,Dから,本件覚せい剤をIから全部で50グラム仕入れることやその仕入値は聞いていない,Dは被告人に1グラム当たり2万6000円と述べており,仕入値に3000円利益を乗せていたという供述を一概に排斥することはできない。(3)

以上のとおり,Dの公判供述は,これを裏付ける客観的状況や他の者の
信用できる供述と符合する部分を除き信用できず,Dに本件覚せい剤の代金を支払っていない,本件覚せい剤をIから全部で50グラム仕入れることやその仕入値は聞いていない,Dは被告人らに対し利益を乗せて売っていたという被告人の供述を排斥することはできない。そうすると,本件において,検察官が共謀を根拠付ける事実として主張する前記1①ないし③(8,9頁)の各事実のうち,5月26日夕方ころ,被告人とDが電話で話をしたこと,その電話で被告人が自分の分として覚せい剤10グラム,Eの分として10グラム買うことを承諾していたことを認定できるにすぎない。したがって,本件では,検察官主張事実がすべて認められた場合には共謀による覚せい剤の共同所持を認める余地があるものの,証拠上認定できる事実を前提にすれば,Dが覚せい剤を入手した時点で,被告人がそれを実力支配し得べき状態に置いたと認定することはできず,共謀による覚せい剤の共同所持を認めることはできない。
第3

平成20年9月3日付け起訴状記載の公訴事実について
1
検察官は,NとDは,公判廷において,5月26日午後7時過ぎころ被告人
方へ行き,その際に被告人がDに覚せい剤を注射した旨の一致した供述をしており,これらの供述はいずれも具体的かつ詳細で,反対尋問にも動じず一貫しており,Nのスケジュール帳の記載とも符合しているから十分に信用でき,他方,これと相反する,Dがその密売客を連れて被告人方に来たことはなく,Nにも見覚えがない,被告人がDに覚せい剤を注射したことは1回もない旨の被告人の公判供述は信用できない旨主張している。
D供述は,前記のとおり,客観的状況や他の者の信用できる供述と符合する部分を除き信用性が低いところ,Dに対する被告人の覚せい剤使用に関する供述についても,前記第2,4(1)ウ(13頁以下)のとおり不自然な点があり,同第2,4(1)オ(ア)(17頁以下)のとおり,その日時について変遷しており,その供述の信用性は低いといえる。
そこで,以下N供述の信用性について検討する。
2
Nの公判供述の信用性について

(1)

Nは,公判廷において,以下のとおり供述している。

ア5月26日午後5時半ころ,Nは,Dが紹介した谷本への車の納品の件でD方を訪れた際に,Dに,覚せい剤が欲しいと言った。Dは,案内するので知合いのところに覚せい剤を取りに行こう,午後6時か6時半ころD方に来い,と言った。
イNは同日午後6時半から7時前ころD方に行き,Nの車で被告人方に向かった。
ウ同日午後7時ころ被告人方に着き,Dと一緒に中に入った。部屋の中には被告人のほか,女が一人いた。
エ4人で,座卓タイプのテーブルを囲んで座った。Nの右隣に女,左隣にD,Dの左隣に被告人が座った。
オNがDを介して1万5000円程度の金を被告人か女に渡すと,被告人が覚せい剤の入った袋を出してきて,空の袋に覚せい剤を少し移し入れ,Dに渡した。テーブルの上には注射器が置かれており,Dは,被告人に渡された袋の中から注射器に覚せい剤を入れていた。Dが

ヨッさんもやれや。

と言って袋をNに渡したので,Nもテーブルの上にあった別の注射器に覚せい剤と水を入れ,自分の腕に注射しようとした。そのころ,DがNに

ヨッさん打ってくれへんか。

と言って,Dの身体に覚せい剤を注射するよう頼んだが,Nは自分に注射しようとしていたところだったので断った。Dは,自分では注射することができない旨述べていた。
カDは,被告人か女に覚せい剤を注射するよう頼むと,被告人が

おれ打ったるわ。

おれ打つのうまいねん。

わしは早打ちマックと呼ばれとるんや。

などと言っていた。キNは,自分の身体に注射しようとしてうつむいており,Dが注射されるところは見ていなかったが,Dがどちらかの腕をまくって被告人に差し出しており,そのころ女はNの右隣におり,Dの方に体をのりだしたような気配もなかった。被告人とDはずっとテーブル付近に座っていた。クその後,Dは,女に

血が出てきたんで,何かふくもんないか。

などと言い,女が出したタオルで腕をふいていた。Nは血は見ていない。ケNは,覚せい剤を使用したので,Dに頼み,被告人にもう5000円分の覚せい剤を追加してもらった。
コ被告人方を訪れたのが5月26日といえるのは,手帳の同日の欄にQt号と自分で記載していたからである。この記載は,被告人方を訪れた日のうちに書き込んだものであり,被告人方はq号室であるが,記憶違いでt号と記載した。
(2)

検察官は,前記1(27頁)のとおり主張するところ,Nは,Dから覚
せい剤の注射を依頼されたとの点を除けば,本件公訴事実自体に直接の利害関係を有していないので,ことさら虚偽の供述をするとは考えられず,以下で検討するとおり,その供述中,主に日付の点に関する部分を除けば,N供述は十分信用できる。
すなわち,Nの被告人方の内部についての供述は,テーブルが椅子に座るタイプであったのに座卓であったと述べている点を除き室内の状況に関する被告人の供述と食い違いはなく,被告人方での出来事についてのNの供述は内容自体に特段不自然な点はなく,被告人がDに,自分のことを早打ちと言ったことなど特徴的な事柄を挙げた具体的なものであり,また,被告人方での出来事についてのN供述は,被告人がDに注射した場所がベッド付近かテーブル付近かという点を除いてD供述と概ね整合しており,被告人がDに注射した場所について,Nはテーブル付近と述べ,Dはベッド付近と述べて両者が食い違っている点については,Nは自分の身体に覚せい剤を注射しようとしてうつむいており,Dが注射しているところはよく見ていないと述べているから,この点の食い違いはN供述全体の信用性を左右するものとはいえない。したがって,Dと被告人方に行ったこと及び被告人方での出来事についてのN供述は,主に日付の点に関する部分を除き,十分信用することができる。
(3)

しかし,N供述のうち,被告人方を訪れた日が5月26日であるとの点
は信用できない。この点に関し,Nのスケジュール帳の同日欄にQt号との記載があり,客観的証拠による裏付けがあるようにみえる。しかし,Nは,前記記載につき,被告人方を訪れた後,その当日中に記載したとはいうものの,具体的にいつ,どこで記載したのかは覚えていないと述べており,また,その日の被告人方を出た後の行動について,公判廷で,当初はuの獅子が池のほとりで覚せい剤を使用したと供述したが,捜査段階のRのトイレで覚せい剤を使用したとの供述を指摘されると捜査段階で述べたとおりであるとして供述を訂正し,その後の行動についても当初は自分の店に帰ったと供述したが,捜査段階では交際相手の家に行ったと述べていることを指摘されるとどちらか覚えていないと供述するなど変遷しており,さらに,Nは,同日被告人方を出た後複数回覚せい剤を使用したと述べていることから覚せい剤の影響も否定できず,被告人方を出た後については正確な記憶を保持しているとは認め難く,加えて,被告人方の部屋番号が実際にはq号であったのにt号と間違って記載している。以上の諸事情からすれば,同日中にスケジュール帳に記載したというNの供述は必ずしも信用できず,被告人方を訪れた日の後に記載した可能性が否定できない。もっとも,当該スケジュール帳は,日付ごとに記載欄が設けられており,使用者は,その日付ごとに,その日の予定や出来事をその日付の欄に記載するものと思われるから,ある日付の欄に記載された事柄は,その後日に記載されたとしても,一般的には,その日付の日の事柄として記載された可能性が高いものといえる。しかし,後日,Nが被告人方を訪れた日を5月26日と考え,スケジュール帳の同日欄に前記のとおり記載したとしても,結局,Nが被告人方を訪れたと考えた根拠は,同人の記憶のほかにないことになり,記憶の保持に疑義があることは前記のとおりである。また,Nは,被告人方をスケジュール帳に記載した理由につき,今後の覚せい剤の入手先として記録するためであった旨供述するところ(なお,Nは,自分が覚せい剤事犯で警察に逮捕された際に入手状況を説明する目的もあった旨供述するが,その内容自体不自然で信用できない。),そうであるならば,被告人方を訪れた日付はNにとって特に重要ではなく,その正確性に関心が薄かったとも考えられる。したがって,スケジュール帳の前記記載が日付の点でN供述を裏付けるものとみることはできない。
(4)

また,Dとともに被告人方を訪れたのが5月26日午後7時ころである
とするNの供述部分については,D供述と整合しているが,前記のとおり,Dは,遅くとも同日午後3時過ぎころには覚せい剤を近く入手できる可能性が高いことを認識しており,当時被告人の手持ちの覚せい剤が乏しかったことが分かっていたのであるから,Dが被告人に連絡して覚せい剤を譲ってくれるように言い,Nとともに被告人方に赴いたことがあったとしても,それが5月26日であるというのは不自然であって,日付に関するN供述の信用性は高いとはいえない。
(5)

以上のとおり,スケジュール帳の5月26日欄の記載を考慮しても,N
が被告人方を訪れた日が同日より前の日であった可能性を排斥できず,Nが同日被告人方を訪れたと認定することはできない。
3
ところで,Dは,覚せい剤の常習的使用者であり,公判廷において,5月2
5日にK,被告人とE方を訪れた際に,被告人かEのどちらかに覚せい剤を注射してもらい,同月26日にもNと被告人方を訪れた際に被告人に覚せい剤を注射してもらったと述べていることからすれば,連日覚せい剤を使用する可能性もあるといえる。そうすると,DがNと被告人方を訪れた際に被告人に覚せい剤を注射してもらって使用したこと自体は認められるものの,その日は5月26日より前である可能性があり,DがNと被告人方を訪れた際に被告人に覚せい剤を注射してもらって使用した後,逮捕されるまでの間にDが更に覚せい剤を使用した可能性は一定程度残るといわざるを得ない。

なお,この点に関

し,弁護人は,仮に5月26日に被告人がDに覚せい剤を注射していたとしても,Dが逮捕時に所持していた覚せい剤は49.938グラムであり,DとIのいう取引量50グラムと比較するとDの覚せい剤使用量1回分約0.05グラムに近い量少ないから,Dが同月27日にIから覚せい剤を入手した後逮捕までの間にIから入手した覚せい剤の一部を使用した可能性があり,公訴事実がDの覚せい剤の最終使用とはいえない旨主張している。しかし,覚せい剤取引においては,約束どおりの正確な量で取引されることは少なく,それよりは若干少ない量で取引されるのが通常であり,また,前記第2の3(6)(10頁)のとおり関係証拠により認められるIと別れた後逮捕までの間のDの移動距離や時間的間隔を考えると,Iと別れた後逮捕までの間家族にしか会っていないものと思われるところ,Dは自分では覚せい剤を注射することができず,Dの家族はDに覚せい剤の使用を禁止していたようであるから,DがIから購入した覚せい剤の一部を逮捕されるまでの間に使用する機会は乏しかったものと思われ,弁護人の主張には賛同し難い。
4
以上のとおり,NやDが供述しているDの被告人による覚せい剤の注射使用
は,5月26日より前である可能性が否定できない。また,人が覚せい剤を体内に摂取した場合,その後10日間ほどはその尿中から覚せい剤成分が検出されることが判明している。そうすると,検察官が本件公訴事実に関して証拠として請求しているDの尿の鑑定書(甲44)は,NやDが供述している被告人がDに注射してやった際の覚せい剤使用後にDが使用した覚せい剤成分が検出されている可能性が否定できず,本件公訴事実ないし使用日を特定しない訴因に変更された場合のNやDが当公判廷で述べている状況下でのDの覚せい剤使用を裏付けるものとはいえない。したがって,DがNと被告人方を訪れた際の覚せい剤の使用が,覚せい剤が検出された尿を採取する前の最終使用である,あるいは,前記鑑定書に対応する使用であると認めることはできず,結局,本件公訴事実の存在にはなお合理的疑いが残る。
第4

結論
以上のとおりであるから,本件各公訴事実中,平成20年7月3日付け起訴及び同年9月3日付け起訴にかかる各覚せい剤取締法違反の点については,いずれも犯罪の証明がないことになるから,刑事訴訟法336条により被告人に対し無罪の言渡しをする。

(求刑

懲役7年及び罰金100万円,覚せい剤錠剤49錠,覚せい剤結晶粉末2
袋及び大麻草4袋の没収)
(国選弁護人

河端亨)

平成21年3月17日
神戸地方裁判所第2刑事部
裁判長裁判官


裁判官


裁判官

中野十哲生嵐浩介田
ひろ


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