判例検索β > 昭和30年(さ)第2号
住居侵入、食糧管理法違反被告事件につきなした一、二審判決及び三審決定に対する非常上告
事件番号昭和30(さ)2
事件名住居侵入、食糧管理法違反被告事件につきなした一、二審判決及び三審決定に対する非常上告
裁判年月日昭和30年9月29日
法廷名最高裁判所第一小法廷
裁判種別判決
結果破棄自判
判例集等巻・号・頁刑集 第9巻10号2102頁
原審裁判所名最高裁判所
原審裁判年月日昭和29年12月2日
判示事項決定刑を超えた刑を科した第一審判決の違法を看過した控訴または上告審判決と非常上告理由
裁判要旨第一審が法定刑を超えた刑を科した違法がある場合において控訴または上告審が職権調査をなさず、右違法を看過しても、法令に違反したものということはできない。
参照法条刑訴法457条,刑訴法458条,刑訴法392条,刑訴法411条
裁判日:西暦1955-09-29
情報公開日2017-10-17 14:30:10
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主 文
第一審判決(福井地方裁判所小浜支部が、昭和二七年(わ)四八号、同四九号、同七八号事件につき各被告人に対し言渡した判決)を破棄する。 被告人Aを罰金二千五百円に、被告人Bを懲役四月及び罰金二千五百円に夫々処する。
但し三年間右懲役刑の執行を猶予する。
各被告人において罰金を完納することができないときは金二百円を一日に換算した期間労役場に留置する。
第二審、第三審判決に対する非常上告の申立を棄却する。 理 由
昭和二八年六月一六日福井地方裁判所小浜支部が昭和二七年(わ)四八号、同四九号、同七八号事件において建造物侵入の罪につき各被告人に対し罰金一万円に処したこと、建造物侵入の罪の罰金の法定刑の最高額が金二千五百円であること、およびかかる判決が違法であることは所論のとおりであるから、該判決は破棄するを相当とする。そして右判決は各被告人に対し不利益であるから、刑訴四五八条一号但書により原判決を破棄して被告事件につき更に判決をするものとする。 第一審判決の確定した犯罪事実に法令を適用すると、被告人両名に対する判示第一の所為は刑法一三〇条に、被告人Bに対する判示第二の所為は食糧管理法三条一項、同三二条一項一号同法施行規則三条一項に基く昭和二七年福井県告示六四号に各該当するところ、前者については罰金刑を後者については懲役刑を各選択し、被告人Bの所為は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条一項本文を適用して懲役及び罰金を併科すべく、罰金については罰金等臨時措置法二条三条に則り、被告人Aを罰金二千五百円に被告人Bを懲役四月及び罰金二千五百円に処し、情状懲役刑の執行を猶予すべきものと認め刑法二五条により三年間その執行を猶予すべく、罰金不完納の場合は同法一八条に則り金二百円を一日に換算した期間各被告人を労役場に留置すべきものとする。
さらに、申立人は、右事件の第二審名古屋高等裁判所金沢支部の控訴判決および第三審最高裁判所の上告棄却決定の審判法令違反を主張し、その違反部分の破棄を求めている。しかし、刑訴三九二条二項および四一一条の規定は、裁判所が職権として調査することができる旨を定めたに過ぎないものであつて、控訴または上告の趣意書に包含されない事項についても職務として調査しなければならない旨を定めたものと解することはできない(判例集四巻五号八二六頁、同一一号二三二三頁参照)。このことは、被告人または検察官からの上告事件においても、検事総長からの非常上告事件においても、裁判所が職権調査を怠りまたはこれに過失があることを主張し、これを違法とすることは許されない。そして本件のごとく第一審が法定刑を超えた刑を科した場合においても、控訴審および上告審に所論のような職務としての調査義務があるとすることはできない。それ故、所論の控訴審、上告審の判決ないし審判手続に法令の違反があるとは認められないのである。よつて第二審、第三審判決に対する申立については四五七条により主文のとおり判決する。この判決は裁判官全員の一致した意見による。
本件公判には検察官安平政吉が出席した。
昭和三〇年九月二九日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 真 野 毅 裁判官 斎 藤 悠 輔 裁判官 岩 松 三 郎 裁判官 入 江 俊 郎
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