判例検索β > 平成21年(あ)第995号

架空請求詐欺グループ仲間割れ殺人等事件

傷害致死、殺人、死体遺棄、逮捕監禁致傷、逮捕監禁、監禁、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
事件番号平成21(あ)995
事件名傷害致死,殺人,死体遺棄,逮捕監禁致傷,逮捕監禁,監禁,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
裁判年月日平成25年1月29日
法廷名最高裁判所第三小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集等巻・号・頁集刑 第310号117頁
原審裁判所名東京高等裁判所
原審裁判年月日平成21年5月12日
判示事項死刑の量刑が維持された事例(架空請求詐欺グループ仲間割れ殺人等事件)
裁判日:西暦2013-01-29
情報公開日2017-10-17 13:52:25
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平成21年(あ)第995号

傷害致死,殺人死体遺棄逮捕監禁致傷,逮捕

監禁監禁,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
平成25年1月29日

第三小法廷判決

主文
本件上告を棄却する
理由
弁護人渡邉良平,同竹内明美の上告趣意のうち,憲法13条,31条,36条違反をいう点は,死刑制度がその執行方法を含め憲法のこれらの規定に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)とするところであるから,理由がなく,その余は,単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
なお,所論に鑑み記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。
付言すると,本件は,(1)

多数の者から多額の金員をだまし取るいわゆる架空

請求詐欺を行う組織的団体の構成員であった被告人が,平成16年10月13日から同月16日までの間に,①

その構成員であったA,Bほか6名ないし10名と

共謀の上,同じく構成員であった被害者4名を逮捕監禁又は監禁し,その際,うち1名にナイフを突き刺して傷害を負わせ,②
A,Bほか7名と共謀の上,うち1

名に対し,こもごも殴る蹴るなどした上,熱湯を掛けるなどの暴行を加えて熱傷性ショック等により死亡させ,③

A,Bほか2名と共謀の上,同様に暴行を受けて

衰弱していた他の1名に対し,粘着テープを口元や胸部等に巻き付けるなどの暴行を加えて呼吸不全により死亡させ,④

上記③の4名と共謀の上,残った2名を,

それぞれその鼻口部を塞ぐなどして窒息死させて殺害し,⑤
A,Bほかと共謀の

上,被害者4名の死体を土中に遺棄したという傷害致死,殺人死体遺棄逮捕監禁致傷,逮捕監禁監禁,及び(2)

平成16年10月から同年11月までの間の

組織的詐欺からなる事案である。
上記のうち重大な事犯である(1)の犯行についてみると,被告人らは,被害者らが中国人マフィアに被告人らを襲撃させて多額の現金を強奪する計画を立てていると聞いて,被害者らからその計画の内容を聞き出すとともに,制裁を加えるために監禁及び暴行に及んだものである。そして,監禁した被害者4名の処置に困り,被害者らによる報復等を恐れた結果,被害者らを殺害するほかないと話し合い,殺害の実行を暴力団関係者に依頼する交渉をしていた間に,殺害行為に及ぶ前の暴行によって被害者2名を死亡させ,その交渉が失敗に終わったことから,残りの被害者2名の殺害に及んだものである。このような犯行に至る経緯及び動機に酌量すべき事情は認められない。暴行は激しく執ようであった上,殺害行為の態様は,寝袋に入れられ粘着テープにより何重にも緊縛されて身動きの取れない被害者2名の鼻口部を塞ぐなどして窒息死させたもので,冷酷で非情というほかない。死体遺棄は,犯跡を隠蔽するために,暴力団関係者に依頼して高額の報酬を支払い,被害者4名の死体を無造作に土中深くに埋めたものであって,死者に対する畏敬の念のおよそ感じられない犯行である。4名の命が失われた結果は甚だ重大で,遺族らの処罰感情は厳しい。被告人は,一貫して謀議の中核であり,主導的かつ中心的立場で犯行に及び,上記(1)①において自らも暴行を加え,上記(1)②の被害者の死亡後,AのBらに対する殺害実行の指示を容認し,暴力団関係者への殺害依頼の交渉が決裂した旨の連絡を受けて自らもBに対し殺害実行を指示するなどし,死体遺棄についても暴力団関係者に対する高額の報酬を用意しており,被告人が本件において果たした役割は大きい。被告人は,殺人への関与を否認するなど,真摯な反省の態度はうかがえず,更生の可能性に乏しい。
以上のような諸事情に照らすと,被告人の刑事責任は誠に重いというほかなく,殺人や組織的詐欺について共謀を争うほかは事実を認めていることや,実母や実姉が被告人の更生に尽力する旨を述べていることなどの被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,被告人の刑事責任は極めて重大であり,被告人を死刑に処した第1審判決を維持した原判断は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
検察官北岡英男,同石原誠二
(裁判長裁判官
寺田逸郎

岡部喜代子

裁判官

公判出席
裁判官

田原睦夫

大橋正春)
裁判官

大谷剛彦

裁判官

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