判例検索β > 平成24年(行ウ)第426号
固定資産税等賦課処分取消請求事件
事件番号平成24(行ウ)426
事件名固定資産税等賦課処分取消請求事件
裁判年月日平成25年2月6日
法廷名東京地方裁判所
判示事項学校法人が所有する土地が地方税法348条2項9号及び同702条の2第2項所定の非課税の対象となる「直接保育又は教育の用に供する固定資産」には該当しないとしてした固定資産税及び都市計画税の各賦課決定処分が,いずれも適法とされた事例
裁判要旨学校法人が所有する土地が地方税法348条2項9号及び同702条の2第2項所定の非課税の対象となる「直接保育又は教育の用に供する固定資産」には該当しないとしてした固定資産税及び都市計画税の各賦課決定処分につき,同号にいう学校法人等がその設置する学校において「直接保育又は教育の用に供する固定資産」とは,固定資産税の賦課期日における現況において,当該学校において教科の履修その他学校教育の目的とする教育活動が実施されることを常態としている固定資産をいうところ,当該土地は,賦課期日において,病院及び臨床実習施設の建築の工事中であって,この状態はその前年度の賦課期日から継続していたというのであるから,現況において前記の活動が実施されることを常態とするものに当たるものではなかったことは明らかというべきであるとして,前記各賦課決定処分をいずれも適法とした事例
戻る / PDF版
平成25年2月6日判決言渡
平成24年(行ウ)第426号

固定資産税等賦課処分取消請求事件

主文1
原告の請求を棄却する。

2
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由

第1

請求
東京都港都税事務所長が原告に対して平成23年6月1日付けでした別紙1物件目録記載の土地に係る平成23年度の固定資産税及び都市計画税の賦課決定処分を取り消す。

第2

事案の概要
本件は,その所有する東京都港区内に所在する別紙1物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)に対して東京都港都税事務所長から平成23年度の固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の賦課決定処分(以下「本件処分」という。)を受けた原告が,本件土地は地方税法(以下「法」という。)348条2項9号にいう学校法人等がその設置する学校において「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に該当し,これに対して固定資産税等を課することはできないのであって,本件処分は違法であると主張して,その取消しを求めた事案である。

1
関係法令等の定め
別紙2「関係法令等の定め」に記載したとおりである(なお,同別紙で定める略称等は,以下においても用いることとする。)。

2
前提となる事実(証拠等を掲記した事実を除いて,当事者間に争いがない。)
(1)

原告
原告は,教育基本法及び学校教育法に基づき,保健医療福祉に関する指導者及び専門従事者を育成するとともに,保健医療福祉に関する理論及び応用に関する研究を行い,もって学術文化の向上及び国際社会への貢献に資することを目的とする学校法人であり,A大学(大学院,保健医療学部,医療福祉学部等)等を設置している。(弁論の全趣旨)
(2)

原告の本件土地の購入の経緯
原告とB株式会社(以下「B」という。)は,平成17年2月28日,本件土地に隣接する土地にBが所有する家屋におけるC病院の事業を原告が承継し(なお,承継後は「A大学附属D病院」となった。同病院を,以下「旧病院」という。),原告が,旧病院を使用し引き続き医療サービスを提供するとともに,旧病院が築後約30年を経過し所要の修繕が見込まれることから新たな病院及び臨床実習施設(以下「新病院」という。)の建築の用地として本件土地を購入することを申し込むことができること等を内容として,事業の承継に係る承継契約を締結した。
原告は,以後,旧病院を原告の病院及び臨床実習施設として使用していた。(甲2,3,5,弁論の全趣旨)


原告とBは,平成17年11月15日,前記アの承継契約の定めに基づき,原告がBに対して本件土地を新病院の敷地として使用することを確認した上で本件土地の購入を申し込んだことから,本件土地に係る土地売買予約契約を締結した。(甲6)


原告とBは,平成21年7月6日,前記アの承継契約及び前記イの土地売買予約契約に基づき,原告の新病院の敷地とするため,本件土地を原告に売り渡す旨の売買契約を締結し,平成22年3月19日,本件土地について,同日付け売買を原因とする所有権の移転の登記がされた。(甲1,7,乙1)

(3)

賦課期日における本件土地の状況
平成23年度の固定資産税等の賦課期日である平成23年1月1日(以下「本件賦課期日」ということがある。)において,本件土地については,新病院の建築の工事中であった。(当事者間に争いがない。)
(4)

本件処分
東京都港都税事務所長は,平成23年6月1日付けで,本件土地が本件賦
課期日において法348条2項9号及び702条の2第2項の非課税規定に該当しないとして,本件土地に対して以下の各税を課する本件処分をした。固定資産税
都市計画税
(5)

4768万2200円
1021万7600円

不服申立て等


原告は,平成23年7月28日,東京都知事に対し,本件処分について審査請求をしたが,東京都知事は,同年12月28日,これを棄却する裁決をし,原告は,同月29日,その裁決書の謄本の送付を受けた。

原告は,平成24年6月28日,本件訴えを提起した。(当裁判所に顕著な事実)

3
争点
本件土地が,平成23年度の固定資産税等の賦課期日である同年1月1日(本件賦課期日)において,法348条2項9号にいう「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に当たるか否か。

4
争点に関する当事者の主張の要点
(被告の主張の要点)
(1)

「直接(中略)教育の用に供する固定資産」の意義
法348条2項9号は,学校法人等がその設置する学校において「直接保育又は教育の用に供する固定資産」に係る固定資産税を非課税とし,都市計画税についても同様の取扱いがされている(法702条の2第2項)。法348条2項9号の規定が設けられた趣旨は,学校法人等の有する公益的な性質及び学校教育に果たす役割に鑑み,学校法人等が直接保育又は教育の用に供する固定資産について,政策的な観点から,例外的に固定資産税を非課税とすることにある。
このような規定の趣旨,条文の文理及び納税義務の公平な分担等に照らすと,同号にいう「直接(中略)教育の用に供する」とは,賦課期日である当該年度の初日の属する年の1月1日の時点で,当該固定資産を教育活動のために利用することを常態としている場合を意味するものと解される。イ
この点,原告は,大阪高等裁判所平成19年6月26日判決(以下「大阪高裁判決」という。)を引用するなどして,「直接(中略)教育の用に供する固定資産」とは,実際にその用に供している固定資産ではなく,その機能・目的から直接教育の用に供されるべき属性の固定資産であるとの意味であると主張する。しかし,大阪高裁判決は,「民法34条の法人で学術の研究を目的とするものがその目的のため直接その研究の用に供する固定資産」(平成20年法律第21号による改正前の規定)について固定資産税を非課税とする法348条2項12号の解釈が問題となった事案であって,同項9号の規定が問題となる本件とはそもそも事案及び適用法令を異にするものであるから,大阪高裁判決を引用するなどして同号の解釈を論じる原告の主張は,独自の見解にすぎない。

(2)ア

本件についてみると,本件賦課期日において,本件土地上で原告が
新病院を建築中であったことは,原告も認めるとおりであるし,平成23年1月5日撮影及び平成22年1月1日撮影の各航空写真(乙2の1・2)からも明らかであって,かつ,その土地上では工事が行われているにすぎなかったことから,本件土地が本件賦課期日において教育活動のために利用することを常態としているものでなかったことは明らかである。
したがって,本件賦課期日において,本件土地は,法348条2項9号の非課税要件に該当しない。

原告は,本件土地を取得した売買契約上,本件土地を旧病院を承継する新病院(病院及び臨床実習施設)の敷地として利用する義務を負っていることから,本件土地は「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に該当する旨主張するようであるが,本件賦課期日において,本件土地の実際の使用状況が原告による教育活動のために利用することを常態としているものではなかった以上,「直接(中略)教育の用に供する固定資産」には該当しない。


原告は,建替えに関する実務運用として,自己所有かつ同一土地における建替えについては非課税の適用を行う場合がある旨処分庁から回答を受けたとして,本件における新病院建築は,旧病院敷地の一部及び隣地(本件土地)において新病院を建築するものであり,法348条2項9号の趣旨からすれば,自己所有かつ同一土地での建替えと自己所有かつ同一敷地の一部及び隣地での建替えとを区別する理由は全く見当たらないと主張する。
しかし,処分庁職員は,土地上に完成した家屋が存在しない場合であっても,賦課期日現在の現況が,教育の用に供していると認められる場合には,同号を適用することがあるとの一般論を説明したものにすぎず,法令上,自己所有かつ同一土地での建替えであることのみをもって,非課税となるような定めはないし,そのような扱いをする実務運用もない。実際の非課税認定に当たっては,個々の案件の賦課期日現在の現況の勘案,すなわち,賦課期日現在の利用実態が教育の用に供している(非課税用途に供している)と認められるか否かの事実認定をして判断する。本件では,原告は平成22年3月19日に売買により本件土地の所有権を取得しているが,同年1月1日撮影の航空写真及び原告の主張から,その時点では新病院の建築工事中であり,本件賦課期日前においても本件土地が教育活動のために利用することを常態としているものであったという事実は認められない。したがって,本件は,単に他人の所有する土地を取得し,賦課期日において当該土地上に建物を建築中であったというものにすぎず,本件土地が本件賦課期日において直接教育の用に供されていなかったことは明らかである。原告の主張には理由がない。(3)

したがって,本件土地は,法348条2項9号に定める固定資産には当たらず,本件土地を非課税としなかった本件処分に違法はない。

(原告の主張の要点)
(1)

「直接(中略)教育の用に供する固定資産」の意義

ア(ア)

法348条2項9号と同様に「公益社団法人又は公益財団法人で学
術の研究を目的とするものがその目的のため直接その研究の用に供する固定資産で政令で定めるもの」と規定する同項12号の「直接・・・の用に供する固定資産」の意義について,大阪高裁判決は,「法348条2項12号は,民間学術研究機関がわが国の学術及び産業の振興上重要な使命を有することにかんがみ,これに対し財政的援助を行い,学術の研究の遂行を容易にすることを目的として規定されたものである(民間学術研究機関の助成に関する法律1条参照)。このような法の趣旨と本号の文言とに照らせば,本号の「学術研究のため直接その研究の用に供する固定資産」とは,常態として直接に学術研究の目的に供される固定資産及びそれを物理的又は機能的に維持管理するために通常必要とされる固定資産をいうものと解するのが相当である。すなわち,学術研究のため直接研究の用に供されなければならず,単に間接的に学術研究に役立っているにすぎないだけでは足りないし,単に一時的に供されるものであったり,主として他の用途に供されるものであってはならず,常態的に供されることを要するというべきである」と判示している。
(イ)

大阪高裁判決を前提にすれば,「直接研究の用に供されなければな
ら」ない場合としての「常態」とは,間接的又は一時的に供されたり,主として他の用途に供されたりする場合を除いたものということができる。
したがって,「直接・・・の用に供する場合」,すなわち,「常態的に供される場合」とは,「実際にその用に使用している」固定資産という意味ではないと解すべきことは明らかである。
(ウ)

そして,法348条2項12号の趣旨が「財政的援助を行い,学術
の研究の遂行を容易にすることを目的」とするものであることからすれば,学校教育における私立学校の果たす重要な役割に鑑み,私立学校の教育条件の維持及び向上並びに私立学校に在学する幼児,児童,生徒又は学生に係る修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立学校の経営の健全性を高め,もって私立学校の健全な発達に資すること(私立学校振興助成法1条参照)を目的とする同項9号とその趣旨は共通するものといえ,大阪高裁判決における「直接・・・研究の用に供する固定資産」の意義についての解釈は,法348条2項9号の「直接(中略)教育の用に供する固定資産」にも妥当する。
そもそも,直接教育固定資産でありながら,建築中等の理由で実際に教育活動が開始されていないことをもって非課税要件該当性を否定されるときは,学納金等の収入が制限される状況にあって非課税の対象外とされることになり,教育条件の維持確保を目的とした同号の立法趣旨に反する解釈であるといわざるを得ない。
イ(ア)

また,法348条2項9号は「直接保育又は教育の用に供する固定
資産」と規定しており,「保育又は教育の用に供している固定資産」と記述していないこと,また,同条3項のように実際に当該固定資産を利用していることを示す「使用する」という語を使用していないことにも鑑みれば,同号にいう「直接保育又は教育の用に供する固定資産」における「直接保育又は教育の用に供する」は,これに続く「固定資産」という語の属性を限定する意味で「固定資産」という一般名詞を修辞している。換言すれば,当該課税対象たる「固定資産」の機能・目的に着目して非課税要件の構成要件の外延を画したものと解するのが相当である。(イ)

法348条2項9号の非課税要件が「人的非課税」と並んで「用途
による非課税」として説明されており,(同項の)「固定資産については,その用途が公共的性格を有すること又は固定資産そのものの性格を考慮して,非課税とされている」と解されていることからも,同号に定める「供する」の語は,当該固定資産の性格,属性を示す意味であり,「実際に使用している」状態を示すものと限定して解すべきではない。(ウ)

本件行政実例においては,「直接保育又は教育の用に供する固定資
産」とは,「当該学舎において,教科目の学習その他学校教育の目的とする教育活動が行われることを常態とすることである。その使用が直接保育又は教育のためのみであれば継続的であると否とを問わない。」とされており,これを踏まえると,「常態」であることを要件としてみても,継続的な学校教育活動は要求されない。
このように,学校教育活動が継続的に行われている必要がないのであれば,賦課期日において,当該固定資産上で現に学校教育活動が行われていないことも当然に想定されることになる。そのような賦課期日における当該固定資産の現況であっても「直接教育の用に供する固定資産」に該当することになるのであるから,結局のところ,「直接教育の用に供する」とは,他の用途や間接的,一時的に供されることを除外する趣旨であり,あくまで当該固定資産が学校教育活動の用途に供されるべき属性のものであるかどうかを区別する規定と解されることになる。ウ(ア)

法348条3項は「市町村は,前項各号に掲げる固定資産を当該各
号に掲げる目的以外の目的に使用する場合においては,前項の規定にかかわらず,これらの固定資産に対し,固定資産税を課する。」と規定し,同条2項各号に掲げる固定資産を当該各号に掲げる目的以外の目的に使用する場合においては,これらの固定資産に対して固定資産税を課する旨規定している。
本条項が想定している適用場面は,建物自体が学校の校舎であることや土地自体が学校用地であることが外形的にあるいは形式的に認められる場合であっても,賦課期日における建物内又は土地上で行われている実際の利用実態が全く関係のない目的外のものである場合は,これに対して固定資産を課するという規定と解される。このように,法は,賦課期日において実態としてどのような目的に使用されているのかについては,同条3項においてこれを規律しているものであるが,同項は同条2項各号所定の目的ではない使用について非課税規定を適用しないとするにとどまっている。すなわち,同項各号はあくまで各号所定の用途に供されるかどうかの属性を問題とする規定であり,同条3項は賦課期日における使用実態を問題とする規定である。
(イ)

賦課期日において継続的に学校教育活動が行われていることが必要
とする法348条2項9号における被告の主張,すなわち,賦課期日において現に教育活動が行われているかどうかという使用実態に踏み込んで判断を行う被告の主張によれば,賦課期日において学校教育活動が現に行われていない以上,同号に該当することなく固定資産税を課することが確定され,その後に,同条3項において目的外の利用実態の有無を別途判断する必要がおよそなくなってしまうこととなる。
このように,被告主張の解釈論は同項の存在意義を没却させることとなり,同条2項9号と同条3項との整合性が全く図られないこととなるのであるから,被告の主張が同条2項9号の「直接(中略)教育の用に供する固定資産」と矛盾していることは,この点からも明らかである。エ
以上のように,法348条2項9号の「直接(中略)教育の用に供する固定資産」とは,「実際にその用に使用している」固定資産ではなく,その機能・目的から直接教育の用に供されるべき属性の固定資産であるとの意味であって,仮に,当該固定資産上の建物が建築中の段階であっても,法令,契約,確認申請の有無及びその内容,具体的な実施設計の内容,実際に行っている工事の内容がこれら確認を受けた実施設計と同一であるかどうか,当該設計の内容が教育施設として判断されるものであるか否か等を実質的に判断し,当該判断に照らして,当該固定資産が教育用固定資産であると認定され得るときは,同号の非課税対象の固定資産であると解すべきである。
オ(ア)被告がその主張の根拠として挙げる下級審裁判例は,いずれも,対象となる土地が,固定資産税の賦課期日において,空地,更地又は山林であって,いずれも学校教育活動の用に供するための造成や開発に着手されていない現況であり,当該土地上に学校教育活動の用に供されることをうかがわせる客観的な徴表は何一つ存在しなかった事案についてのものであって,実際に造成や開発等に着手し近く学校教育活動が開始されることが客観的に看取できる固定資産との違いを意識した判示がされたものではなく,本件について何ら参考となるものではない。
(イ)

被告が挙げる上記の下級審裁判例は,法348条2項9号に該当す
ることにつきなぜ「常態」との要件が導かれるのかについて何ら合理的な理由を示さないままに,また,「常態」の意義を更に解釈することなく,「直接教育の用に供する」の意義を「教育活動が行われることが常態とされていること」と解釈しており,判示内容自体およそ説得的なものとはいえず,そもそも本件における同号の適用を判断するに当たり,先例として価値を有すべき内容の合理性を持たないものである。
カ(ア)

被告(処分行政庁)は,固定資産税等の課税に際し,学校法人等の
所有する同一土地における建替えであれば,工事期間中は,「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に該当するものと扱い,非課税にする実務運用を行っている(本件の裁決(甲8)においても,「教育の用に供し,非課税としていた校舎を取壊し,その土地に新たに校舎を建築する場合には,建替えのために通常必要とされる期間に限って教育の用に供されていることとして法348条2項9号を適用として非課税とすることがある」と指摘されていた。)。これは,被告自ら,賦課期日において,土地上に建物が存在せず(建築中の場合を含む。),現に学校教育活動が行われていなくとも,「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に該当することを認めているものにほかならない。すなわち,被告は,固定資産税等の課税要件を判断する際,賦課期日における当該固定資産の現況という事実以外の事情をも判断要素に取り入れて「直接(中略)教育の用に供する固定資産」か否かを決定していることとなる。租税法律主義の下,行政は法律に従って課税要件を判断しなければならないことからすれば,被告における上記実務運用は,同号の解釈に即したものでなければならないはずであり,被告の主張を前提としても,賦課期日において当該土地上に建物が存在しない現況をもって,学校教育活動が行われることが常態といえる場合があることになる。
(イ)

被告がこのような実務運用を行っていることの実質的な根拠は,建
築完了後はそのまま当該固定資産上において学校教育活動が行われる予定であることが明白であるという点にある。
そして,この場合に建替え前から当該土地上で学校教育活動が行われていた事実はさして重要ではないというべきである。なぜなら,従前固定資産上において学校教育活動が行われていたとしても,取り壊したまま建替えがされず,以後学校教育活動が行われなくなったり,建替え後の建物が校舎等ではなくなったりした場合には,同一土地上であっても,およそ当該固定資産は賦課期日において「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に当たると解すべき事情が存在しないからである。
したがって,被告において,工事期間中であっても「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に当たるとする根拠は,当該土地上の建物建築工事完了後はそのまま学校教育活動が行われる予定であるという点に求められるのである。
とすれば,同一土地上の建替えに限らず,およそ学校教育活動の用に供する建物の建築中であれば,法348条2項9号の「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に該当するというべきである。
同一土地上において従前から学校教育活動が行われていた建物の建替えを行う場合にのみ,その工事期間中も「直接(中略)教育の用に供する固定資産」であると扱う被告の実務運用は,同号における課税要件の判断を同条項に反して過度に制限して行うものである点において違法である(同一土地上であるかどうか,建替えであるかどうかを問わず,賦課期日において建築中の場合であれば,「直接(中略)教育の用に供する固定資産」として同号を適用しなければならない。同一土地上において従前から学校教育活動が行われており,当該土地上の建物を建て替える場合には,いわば従前から行われてきた学校教育活動の一時中断にすぎないとみることが可能であることから,より「直接(中略)教育の用に供する固定資産」であると判断しやすいというにすぎない。)。(2)

本件土地が「直接(中略)教育の用に供する固定資産」であること本件土地購入の経緯
原告はBから旧病院の事業を承継し,これを原告の病院及び臨床実習施設として既に運用していたが,旧病院の老朽化が進んでいたことから,原告が旧病院を建て替えて,新病院(病院及び臨床実習施設)を建築し,旧病院等において提供している教育・医療サービスの機能を,そのまま新病院が承継し,その運営を中断することなく,さらに,高度な医療・教育施設を建設して,最新の医療教育環境の確立と地域医療サービスの更なる向上を目的として本件土地を購入することとしたものである。

原告が負担する本件土地の売買契約上の目的に関する義務
原告は,Bとの間の平成17年2月28日付け承継契約書(甲5)において本件土地において新病院を建て替えることを約し,その後,両者間の同年11月15日付け土地売買予約契約書(甲6)第1条において「乙(原告)が乙の新病院の敷地として移転先甲土地(本件土地)を使用すること」と規定されており,本件土地を新病院の建築のために利用することが明記されている。
また,平成21年7月6日付け土地売買契約書(甲7)第2条においても,「甲(B)は,甲が所有する移転先甲土地(本件土地)を乙(原告)の新病院のための敷地として乙に売り渡し,乙は,・・・新病院の建設用地として移転先甲土地を買い受ける。」と規定されており,Bが本件土地を原告に譲渡した目的は,本件土地を原告において旧病院の建替え後の新病院の建築用地として提供する点にあった。
そのため,原告は,本件土地購入の当初から,本件土地を旧病院を承継する新病院として利用する法的な義務を負担していたものであり,原告は本件土地において旧病院の建替え後の病院以外の敷地として本件土地を使用できないという契約上の義務を負っていたものである。
かように,原告は,本件土地の利用に関し上記のような法的拘束を受けていたものであり,そもそも本件土地は売買契約締結前から原告が運営すべき教育固定資産としての属性が法的に確定していたものなのである。

新病院建築の経緯
本件土地は,前記イの売買契約に基づき平成22年3月19日にBから原告に譲渡され,同日所有権移転登記を経由している(甲1)。
しかし,Bと原告は,原告がBから承継した旧病院の運営を円滑に新病院に移転させるために,本件土地の売買契約にあるように,Bは,平成20年3月31日までに本件土地上の既存建物を撤去し,原告は,既に同年5月12日には,新病院の建築のため本件土地の引渡しを受け,土壌調査等の先行準備のため本件土地の使用を開始し,本件土地の管理責任を原告に移転している(上記売買契約第8条第1項)。
その後,本件土地の土壌汚染の問題が発生し,Bと原告との間でその費用負担等に関し交渉が持たれたが,平成21年6月に上記の問題が解決し,上記のとおり同年7月6日,Bと原告との間で本件土地の売買契約が締結され,原告において直ちに新病院の建築工事に着工することを決定し,同月13日,工事着工したものである(教育用固定資産と称しながら長期間その用に供されないなどという事情もなかった。)。
したがって,原告がBから本件土地の所有権を取得した時点では,既に原告は本件土地上において新病院の建築を開始しており,原告が,本件土地を法348条2項9号所定の直接の教育の用に供する目的以外の目的で使用することは物理的にもおよそ不可能な状況にあったのである。エ
旧病院と新病院の敷地の位置関係等
原告は,Bから,Bが運営していた旧病院の事業を承継し,これを運営していたものであるが,新病院は,その承継した旧病院の運営事業全てを承継する建替え後の病院等として計画されたものである。
旧病院の敷地も新病院の敷地も,もともとはB所有の一団の土地で(旧病院の敷地が港区α×番2の土地であり,新病院の敷地が同×番19の土地(本件土地)である(甲1,2)。),両土地は隣接した一体の土地である。
そして,新病院の建築予定地の一部には,旧病院建物,旧病院建物基礎,旧病院建物地中杭,駐車場,埋設配管,埋設配線等が存在し,旧病院の敷地の一部を構成していたが,この部分の撤去義務,撤去費用は原告が負担していた。
このように,旧病院の隣接地と旧病院の敷地の一部を利用し,旧病院の施設を一部取り壊し,新病院を建築することは,これまで旧病院が果たしてきた地域医療の役割を重視し,引き続き中断することなくA大学附属D病院としての医療サービスを同所において提供し続けるという点において旧病院の建替えにほかならないものである。
なお,本件土地取得に際し,文部科学省から登録免許税の非課税証明書が発行されており,旧病院の臨床実習施設が実習実績を十分に伴う教育用施設であることは明らかである。

以上の諸事実に照らすと,本件土地は,原告が設置する学校において直接教育の用に供する固定資産と解されるべきことは明らかであるというべきである。
本件賦課期日時点において学舎を建築中の場合,当該建築工事が完了すれば,そのまま速やかに学校教育活動が開始され,以後は継続的に学校教育活動が行われることが予定されているのであるから,本件土地上において校舎等の学校教育活動の用に供する建物の建築が開始された時点で,本件土地は学校教育活動が行われることが常態であるということになる。学舎が建築中であっても学校教育活動の用に供される土地であることは客観的に明白である以上,法348条2項9号の「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に当たる。

(3)

被告の主張について
本件は,本件賦課期日において教育実習施設を含む新病院を建築中であり,その事実をもってして「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に当たるというべきであるが,それに加えて,旧病院の敷地の一部とその隣地である本件土地を,旧病院の機能をそのまま維持・承継するために新病院を建築したものであり,従前建物の敷地(明らかに教育の用に供されていた土地である。)の一部を利用している点で同一土地上の建替えと同視すべき事案であり,従前からの学校教育活動の継続をより客観的に認めることができる。処分行政庁である東京都港都税事務所長は,建替えに関する実務運用として,自己所有かつ同一土地における建替えについては非課税の適用を行う場合があると回答したが,本件における新病院建築は,地域医療として旧病院における医療サービスの提供を中断することなく,新病院へ旧病院の病院及び臨床実習施設の機能を引き継がなければならないという事情の下,旧病院内敷地全部に新病院を建築することができないという物理的な制約があったことから,やむを得ず,旧病院敷地の一部及び隣地において新病院を建築するものであり,上述の法348条2項9号の趣旨からすれば,自己所有かつ同一土地での建替えと自己所有かつ同一敷地の一部及び隣地での建替えとを区別する理由は全く見当たらない。前記(1)カの被告の実務運用の実質的根拠を踏まえれば,本件賦課期日において建物が建築中であっても「直接(中略)教育の用に供する固定資産」であることを認めることができるのであり,そうであるにもかかわらず,本件賦課期日において建物が建築中であるがゆえに「直接(中略)教育の用に供する固定資産には当たらない」とする被告の主張は自己矛盾を起こしているといわざるを得ない。「教育の用に供し,非課税としていた校舎を取壊し,その土地に新たに校舎を建築する場合には,建替えのために通常必要とされる期間に限って教育の用に供されていることとして法348条2項9号を適用として非課税とすることがある」とされる場合(甲8)と,本件の事案とで異なる判断がされることについての合理的な説明もない。

被告の主張は,およそ法令の解釈及びその適用を誤ったものというほかないが,仮に,百歩譲って,法348条2項9号の趣旨が,土地の使用状況が教育のために利用することを常態としているものと解すべきであるとしても,原告の本件土地利用は「教育のために利用することを常態としていた」ものと解すべきである。
既述したとおり,被告は,固定資産税等の課税に際し,学校法人等の所有する同一土地における建替えであれば,工事期間中は「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に該当するものと扱い,非課税にする実務運用を行っており,被告は,本件においても,土地上に完成した家屋が存在しない場合であっても,賦課期日現在の状況が,教育の用に供していると認められる場合には,同号を適用する旨を述べており,このような建替えは,「当該土地の使用状況が教育のために使用することを常態としている」と判断しているからにほかならない。
そして,本件においては,既述したとおり,Bとの間の本件土地の購入契約において,新病院を建築すべきこと,本件土地を敷地として含む旧病院の事業を原告において承継すべきことを法的に義務付けられていたこと,現に原告は,当該事業を承継して旧病院を直接運用していたこと,上記契約上の義務を履行する形で,旧病院敷地の一部を構成していた本件土地上に新病院を建築し,その後,実際に新病院(病院及び臨床教育施設)を開設し,本件土地において常時教育業務が行われていることなどの事情がある。このような一連の過程は,社会通念上明らかに(同一土地を含む敷地利用による)建替えであり,本件土地が常態として教育事業に利用されているものであることは明らかといわなければならず,本件では,「常態として利用している」という用語に即した事実認定すら行われていないというほかない。
第3
1
当裁判所の判断
争点(本件土地が,本件賦課期日において,法348条2項9号にいう「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に当たるか否か)について(1)

法348条2項9号にいう「直接(中略)教育の用に供する固定資産」の意義について

法348条2項9号は,学校法人等がその設置する学校において直接教育の用に供する固定資産に対しては,固定資産税を課することができない旨を定めるところ,このような規定が設けられた趣旨は,学校法人等の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割に鑑み,学校法人等が教育の用に供する固定資産について,政策的な観点から,例外的に非課税とする点にあると解される。
このような規定の趣旨を踏まえ,また,納税義務の公平な分担等も考慮すると,同号にいう学校法人等がその設置する学校において「直接(中略)教育の用に供する固定資産」については,「直接(中略)供する」とのその文理にも即して,固定資産税の賦課期日における現況において(法349条,359条等),当該学校において教科の履修その他学校教育の目的とする教育活動が実施されることを常態としている固定資産をいい,ここにいう「常態」については,当該固定資産において上記のような活動が不断に実施されている場合に限られるものではないが,間接的又は一時的にそのような活動の用に供されることがあるというのでは足りず,また,それにおいて実施される活動の主たるものが上記のような活動であることを要するものと解するのが相当である。そして,法348条2項各号所定の固定資産であっても当該各号に掲げる目的以外の目的に使用する場合においては固定資産税を課する旨定める同条3項の規定に照らすと,そのような固定資産に該当するか否かは,固定資産税の賦課期日における当該固定資産の使用の実態に基づいて判断するのが相当である。

イ(ア)

この点,原告は,①(ア)法348条2項12号の「直接その研究の用
に供する固定資産」の意義につき判断した大阪高裁判決の判示が同項9号にも妥当すること,(イ)同号は「直接保育又は教育の用に供する固定資産」と規定しており,「保育又は教育の用に供している固定資産」とか,「使用する」(同条3項)という語を使用していないこと,(ウ)同条2項9号は,「用途による非課税」として説明され,「直接保育又は教育の用に供する」は,これに続く「固定資産」という語の属性を限定するもので,「固定資産」の機能・目的に着目して非課税要件の構成要件の外延を画したものと解されること,(エ)本件行政実例を前提にしても,継続的な学校教育活動までは要求されず,賦課期日において,当該固定資産上で現に学校教育活動が行われていない場合でも,「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に該当すると判断され得ることからすれば,「直接(中略)教育の用に供する」とは,他の用途や間接的,一時的に供されることを除外する趣旨であり,「実際に使用している」状態を示すものと限定して解すべきではなく,あくまで当該固定資産が学校教育活動の用途に供されるべき属性のものであるかどうかを区別する規定と解される旨,②前記アに述べたように解することとすると,同条3項の規定の存在意義が没却される旨,③同条2項9号に関する被告の実務運用を前提にすると,およそ学校教育活動の用に供する建物の建築中であれば,同号にいう「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に該当するといえる旨などを主張する。
(イ)

原告の上記①の主張について
上記①(ア)に関しては,本件において原告が指摘する大阪高裁判決に
ついては,本件とは事案を異にし,本件に適切ではなく,それは,法348条2項9号の規定の解釈の在り方を検討するに当たっての一参考資料となるにとどまるものである。
上記①(イ)ないし(エ)に関しては,既に述べた同号の趣旨や,固定資産税の賦課の決定は賦課期日を基準にされること,同号において「直接」性までもが要求されているその文理等に照らせば,同号にいう学校法人等がその設置する学校において「直接(中略)教育の用に供する固定資産」については,固定資産税の賦課期日における現況において,当該学校において教科の履修その他学校教育の目的とする教育活動が実施されることを常態としている固定資産というものと解すべきことは,前記アで述べたとおりであり,このことは,法の他の規定の文言との違い等につき原告の指摘する事情によって,直ちに左右されるものではない。したがって,原告の上記①の主張は採用し難い。
(ウ)

原告の上記②の主張について
法348条2項本文は,同項各号に掲げる固定資産に対しては固定資
産税を課することができない旨規定し,同条3項は,同条2項各号に掲げる固定資産を当該各号に掲げる目的以外の目的に使用する場合においては,同項の規定にかかわらず,これらの固定資産に対し,固定資産税を課する旨規定しているところ,同条3項の規定は,同条2項各号に掲げる固定資産が現に当該各号に掲げる公用又は公共の用等の目的に使用される場合に限り当該固定資産につき非課税とする趣旨を注意的又は確認的に規定したものと解されるのであって,同項9号にいう学校法人等がその設置する学校において「直接(中略)教育の用に供する固定資産」について前記アのとおり解したからといって,原告の主張するように同条3項の存在意義が没却されることになるものではないから,その主張は採用し難いものといわざるを得ない。
(エ)

原告の上記③の主張について
法348条2項9号にいう「直接(中略)教育の用に供する固定資
産」の意義について前記アに述べたところを前提にすると,特定の土地につき原告の主張するように学校教育活動の用に供する建物が建築中であるとの一事をもって,当然にそれが「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に該当するとは解し難く,原告の上記③の主張も採用し難い。(2)

本件土地が「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に当たるか否かについて

前記(1)アで述べたとおり,法348条2項9号にいう学校法人等がその設置する学校において「直接(中略)教育の用に供する固定資産」とは,固定資産税の賦課期日における現況において,当該学校において教科の履修その他学校教育の目的とする教育活動が実施されることを常態としている固定資産をいうものと解すべきところ,これを本件についてみると,本件土地については,前記第2,2「前提となる事実」(3)のとおり,平成23年度の固定資産税等の賦課期日(本件賦課期日。同年1月1日)において,新病院の建築の工事中であって,この状態はその前年度の賦課期日から継続していた(乙2の2)というのであり,本件において原告の主張するところによっても,本件賦課期日における本件土地の使用の実態に照らし,それがその当時の現況において上記の活動が実施されることを常態とするものに当たるものではなかったことは明らかというべきである。そうすると,本件土地については,本件賦課期日において,同号に定める固定資産に当たるということはできないから,本件土地を非課税としなかった点について,本件処分に違法はないものといわなければならない。

原告は,①本件土地購入の経緯,②原告が負担する本件土地の売買契約上の目的に関する義務,③新病院建築の経緯及び④旧病院と新病院の敷地の位置関係等を挙げて,本件土地が,原告が設置する学校において「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に当たることは明らかである旨を主張するが,「直接(中略)教育の用に供する固定資産」の意義に係る原告の主張を採用することができないことは前記(1)で述べたとおりであるから,原告の上記主張は,その前提を欠くものというほかない。
また,原告は,法348条2項9号の趣旨につき土地の使用状況が教育のために利用することを常態としているものと解すべきであるとしても,上記①ないし④の事情等によれば,その一連の過程は,社会通念上明らかに(同一土地を含む敷地利用による)建替えであり,本件土地が常態として教育事業に利用されているものであることは明らかである旨主張するが,前記のとおり,本件賦課期日において,本件土地については新病院の建築の工事中であって,その当時における現状において教科の履修等の活動が実施されることを常態とするものであったとはいえないから,それをもって「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に該当するものであったとは認められず,その主張は採用し難い。
さらに,この点に関し,原告は,「教育の用に供し,非課税としていた校舎を取壊し,その土地に新たに校舎を建築する場合には,建替えのために通常必要とされる期間に限って教育の用に供されていることとして法348条2項9号を適用として非課税とすることがある」とされる実務運用(本件処分についてされた審査請求についての裁決に係る裁決書(甲8)の8頁に本件処分をした処分行政庁による原告に対する説明として記載されている。)と,本件の事案とで異なる判断がされることについての合理的な説明がない旨を主張するが,上記に述べたところからすると,仮に原告に対して実務運用として上記のような説明がされたことがあったとしても,そのことをもって,直ちに本件における結論に消長を来すものではないといわざるを得ない。

その余の原告の主張は,既に述べたところに照らし,いずれも採用し難いものというべきである。

2
小括
以上のとおり,本件賦課期日において,本件土地が法348条2項9号にいう「直接(中略)教育の用に供する固定資産」に当たるということはできず,他に本件処分の適法性に疑問を差し挟むべき事由の存在をうかがわせる証拠ないし事情は見当たらないから,本件処分は適法というべきである。
第4

結論
以上の次第であって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第3部

裁判長裁判官

八木
裁判官

石村
裁判官

横井一洋智靖世
別紙2
【別紙2】
関係法令等の定め
1
都における固定資産税等の賦課
(1)

法734条1項は,都は,その特別区の存する区域において,普通税と
して,固定資産税(同法5条2項2号)を課するものとし,この場合においては,都を市とみなして同法第3章第2節(固定資産税)の規定を準用する旨を定めている。
(2)

法735条1項は,都は,その特別区の存する区域において,目的税と
して,都市計画税(同法5条6項1号)を課することができ,この場合においては,都を市とみなして第4章(目的税)中市町村の目的税に関する部分の規定を準用する旨を定めている。
2
非課税規定
(1)

法348条2項9号は,固定資産税は,学校法人又は私立学校法64条
4項の法人(以下「学校法人等」という。)がその設置する学校において「直接保育又は教育の用に供する固定資産」に対しては,課することができない旨を定めている。
(2)

法702条の2第2項は,市町村は,同法348条2項等の規定により
固定資産税を課することができない土地又は家屋に対しては,都市計画税を課することができない旨を定めている。
3
行政実例
「直接保育又は教育の用に供する固定資産」とは,当該学舎において,教科目の学習その他学校教育の目的とする教育活動が行われることを常態とすることである。その使用が直接保育又は教育のためのみであれば継続的であると否とを問わない。(昭和26年4月10日地財委税第784号地方財政委員会事務局市長村税課長回答(熱海市長照会)。甲8,9。以下「本件行政実例」という。)

以上
トップに戻る

saiban.in