判例検索β > 平成24年(行コ)第36号
観察処分期間更新処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成21年(行ウ)第341号)
事件番号平成24(行コ)36
事件名観察処分期間更新処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成21年(行ウ)第341号)
裁判年月日平成25年1月16日
法廷名東京高等裁判所
判示事項無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律5条4項に基づく観察処分の期間更新決定に当たり新たに同条3項6号所定の報告義務を課すことの可否
裁判要旨無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律5条4項に基づく観察処分の期間更新決定に当たり,観察処分後の対象団体の特性の変化又は新たに判明した事情等に応じ,派生的・付随的な処分として新たに同条3項6号所定の報告義務を課すことができる。
戻る / PDF版
平成25年1月16日判決言渡
平成24年(行コ)第36号

観察処分期間更新処分取消請求控訴事件

主文1
原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。

2
被控訴人の請求を棄却する。

3
訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

第1

実及び理由
控訴の趣旨
主文同旨

第2
1
事案の概要
本件は,被控訴人が,処分行政庁から,平成21年1月23日付けで団体規制法5条4項の規定に基づいて原判決別紙処分1目録記載のとおり本件観察処分の期間を更新する旨の本件更新決定を受けたため,控訴人に対し,団体規制法及び本件更新決定は違憲であり,また,①被控訴人を含めた本団体は団体規制法4条2項にいう「団体」に当たらず,本件観察処分を受けた団体との同一性はなく,②団体規制法5条1項各号や同条4項の定める要件を満たしておらず,③同条5項で準用する同条3項6号で更新決定の際に観察処分の際には課されていなかった新たな報告義務を課すことはできないから本件更新決定は違法であると主張して,本件更新決定の取消しを求めている事案である。なお,本判決において用いる略語等は,原判決に倣う。
原審は,本件更新決定のうち原判決別紙処分1目録記載2(2)ウの報告義務を課する部分(以下,この報告事項を「本件報告事項ウ」という。)を取り消し,その余の請求を棄却したため,控訴人が敗訴部分の取消しを求めて控訴した。

2
関係法令の定め,前提事実(争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実),争点及び争点に関する当事者の主張は,原判決を次のとおり補正し,「当審における控訴人の追加主張」及び「当審における被控訴人の追加主張」を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2章
事案の概要等」の「第2

関係法令の定め」,「第3

前提事実(当事者

間に争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)」,「第4

争点」及び「第5

争点に関する当事者の

主張の要旨」に記載のとおりであるから,これを引用する。
(原判決の補正)
(1)

原判決45頁12行目の「2月18」の次に「日」を加える。

(2)

同77頁20行目の「原告」を「控訴人」に改める。

(当審における控訴人の追加主張)
(1)

新たな報告事項を追加する根拠
団体規制法5条5項は,観察処分の期間が更新された場合に,特段の限定もなく,定期的な報告義務を定めた同条3項の規定全体を同項6号を含めて準用しており,同号は,「その他第一項の処分に際し公安審査委員会が特に必要と認める事項」を公安調査庁長官に対する報告事項として定めているから,この「第一項の処分に際し」との文言は,「第四項の(更新)処分に際し」と読み替えるのがごく自然な文理解釈である。同条5項が準用する同条3項には,柱書き冒頭に「第一項の処分を受けた団体」との文言があり,同条3項を更新処分に準用する以上,これを「第四項の(更新)処分を受けた団体」と読み替えることには異論がないはずであるが,そうであるとすれば,同条3項6号の「第一項の処分に際し」との文言のみを「第四項の(更新)処分に際し」と読み替えないというのは,法解釈として不自然である。法文を素直に解釈すれば,当然読み替えられるものと理解される部分については,解釈上の疑義が生じることもなく,読替規定を置く必要がないことから,あえて読替規定を設けないのが通例である。したがって,期間更新に当たり,新規の報告義務を課すことは適法である。イ
団体規制法は,過去に無差別大量殺人行為を行った団体が,現在も無差別大量殺人行為に関する危険な要素を保持していると認められる場合に,当該団体に対し,その活動状況を継続して明らかにするなどの措置を迅速かつ適切に講じ,もって公共の安全の確保に寄与することを趣旨・目的としている。
観察処分自体については,その期間更新に当たり,危険な要素を示す事由について,時間的経過に伴う対象団体の活動状況の変化を考慮して,団体規制法5条4項が明文規定をもって当初の観察処分時と異なる事由であっても更新処分の理由とすることができる旨規定しているのに,その実効性を確保するための報告事項については,観察処分の期間更新に当たり,同条3項6号が更新処分には準用されず,新たな報告事項を定めることを許容していないと解するならば,対象団体の活動状況が変化することに対応できなくなって観察処分は形骸化し,その期間の更新制度を設けた意義の相当部分は失われ,団体規制法の趣旨・目的が没却される。

(2)

手続保障
団体規制法5条4項は,更新時において,当初の観察処分において認めた
ものとは異なる同条1項各号所定の事由を認定して更新処分を行うことをも予定しているところ,その場合であっても,当初の観察処分時よりもやや簡略化した手続保障で足りるとしていることに鑑みれば,団体規制法が,派生的・付随的な報告事項を新たに定めるために,観察処分の更新において予定されている以上の手続保障を求めているとまでは解されず,ましてやその必要性が生じるたびに,観察処分をし直すことを想定していない。
(3)

人権制約の可能性
団体規制法は,更新処分時にも十分な手続保障を規定している上,殊に本
団体については,団体規制法に基づく公安審の裁量により,当初の観察処分時と遜色がない程度の手厚い手続保障がなされ,それを通じて団体規制法5条3項6号所定の報告事項を定めることについても,十分な意見陳述の機会が保障されていることに鑑みれば,基本的人権に対する制約可能性を考慮しても,新しい報告事項を追加することができることに解釈上疑問はない。(4)

立入検査
立入検査は,事前に的確に報告徴取を行い,得られた情報を分析し,任意
調査を適宜行うなどした上で,適時に的確な場所に立入検査を行うことが求められる。そして,報告徴取,任意調査及び立入検査は相互に有機的に機能し,補完することによって,初めて対象団体の活動状況を解明することが可能となる。立入検査に対して非協力的な態度に終始している本団体のような対象団体については,その活動状況の変化に応じて,新たな報告事項を定めるべき必要性はなおさら高く,活動状況の変化に対応した新たな報告事項に係る情報を把握できない限り,適時に的確な場所に実効性のある立入検査を行うことはできない。
(5)

新たな観察処分の請求
対象団体の活動状況の変化により,団体規制法5条3項6号に基づく新た
な報告事項を定める必要が特に認められる場合というのは,対象団体の活動状況の把握が当初の観察処分時よりもより一層難しくなり,それだけ活動状況を継続して明らかにすべき必要性が高まっているとも考えられる。このような場合においても,更新処分時に新たな報告事項を定めることができないとすれば,新たな報告事項を定めるために,その報告事項がいかに付随的又は補完的な事項に関するものであっても,新たに観察処分を請求しなければならないこととなるが,それは,余りにも煩さであるし,団体規制法の趣旨・目的に照らして不合理である。
(6)

本件報告事項ウは「公安審査委員会が特に必要と認める事項」(団体規
制法5条3項6号)であることA事件が発覚し,本件観察処分後も,本団体の資金の流れを十分に把握しなければ,その収益等が依然として武器等の危険物の購入資金に充てられ,無差別大量殺人行為により国民の生命・身体に重大な危害が発生する現実的な可能性があることを裏付けるものであり,本団体の収支状況を十分に把握すべき必要性を基礎づける活動状況の変化に該当する。
また,本団体は,コンピュータソフト開発等の様々な収益事業を営んでおり,公安調査庁から度重なる文書による改善指導を受けたにもかかわらず,正確な報告をしていなかった。その実態は,各報告期間末日における現金の現在額及び預貯金の種類,残高等の報告を受けるだけでは把握することができず,本団体が,上記事業の収益によって無差別大量殺人行為の準備のために秘密裏に資金を蓄え,あるいは,このような資金を用いて武器等の危険物を購入するなどしても,これを的確に把握することは困難である。そこで,報告期間末日における本団体の資産・負債の総額の報告を受けることに加え,本団体の収益事業の収支状況を把握する必要があった。
さらに,本団体が収入の一部を会計帳簿に記載していない場合であっても,本件報告事項ウの報告内容を端緒として,任意調査や立入検査によって,収益事業の詳細や本団体への資金の流れを解明することが可能となり,本団体が前述したような違法な収益事業を行っている場合にも,これを把握し得る可能性が高くなる。
以上によれば,本件更新決定の際に定めた本件報告事項ウは,「公安審査委員会が特に必要と認める」事項に該当する。
(当審における被控訴人の追加主張)
(1)

法は期間更新の際に新たな報告事項を定めることを認めていないこと文理上新たな報告事項を定めることが明らかとはいえないこと
(ア)

団体規制法5条3項柱書の部分の読替えについて,被控訴人におい
ても控訴人の主張するような解釈に異論がない。それが文理上自然であるからではなく,同条4項の規定により「第一項の処分を受けた団体」が期間更新を受け,その団体が「(更新)処分を受けた団体」であることが,同項によって明確となるからである。すなわち,団体規制法における他の条項(この場合は団体規制法5条4項の規定)を勘案してはじめて,読み替えることに解釈上の疑義が生じるか否かが判断できるのであるから,同条3項柱書きの読替えが自然であるからといって,同条3項6号の「第一項の処分に際し」を「第四項の処分に際し」と読み替えるべきではない。
(イ)

団体規制法上,期間更新に当たり被処分団体に新たな報告義務を課
すことの可否の解釈においては,団体規制法制定時での国会における議論の経過に見られる団体規制法の性格,団体規制法における本条以外の他の法文の規定,報告義務違反に対しては観察処分よりもさらに強力な処分である再発防止処分ができるとの規定等が存在することなど権利規制の重大性等を考慮することが必要であるところ,以下のとおり,団体規制法は,期間更新に当たり,新たな報告義務を課すことができないと規定していると解釈すべきである。

団体規制法5条4項は,更新理由として同条1項各号のいずれかに該当する場合は更新できるとしている。しかし,その場合にあっても,効果としては,「その期間を更新することができる」と規定しているだけであり,新たな報告事項を定めること(義務を課すること)は規定されていない。


期間更新の手続に当たり,更新処分請求書には「更新の理由となる事実」としか記載されず,更新の理由となる事実に関する変更はあり得るが,処分内容としては当初の処分がそのまま継続することを予定した前提の記載となっており,期間更新決定は観察処分を同一性・継続性を保って更新するものと解される。c

団体規制法26条5項,6項などは,素直に読めば疑義を生ずるとは思えない事項についても丁寧な読替規定を置いているから,疑義が生じかねない同法5条3項6号を「第四項の処分に際して」と読み替えるのであれば,読み替え規定を置いたはずであるにもかかわらず,そうでないのは,「第四項の処分に際し」とは読み替えない趣旨である。


期間更新の際に新たな処分を課すことが予定されているのであれば,観察処分と同様の手続を踏めばよいはずであるが,更新の手続は,意見陳述が陳述書及び証拠書類等の提出とされていて,観察処分との比較で簡略化されている。このように簡略化されているのは,期間の更新に限定されているからだと理解するほうが,解釈として自然である。

法の趣旨・目的を根拠に,観察処分において規定されていた報告事項以外の事項に関する報告義務を,期間更新に当たり新たに課すことができるとする法解釈は,団体規制法2条,3条に違反し,罪刑法定主義を規定した憲法31条に違反する解釈である。


立入検査
立入検査は,観察処分に付されて以降,本団体に対して高い頻度で定期的に何度も行使されているところ,報告と併せた立入検査により,本団体の活動状況は,つぶさに明らかになっており,期間更新に当たり,新たな報告事項を課さなければ,教団の活動状況が把握できずに団体規制法の目的を達することができないとは,到底いえない。


新たな観察処分の請求
報告事項を追加するために,現行の団体規制法の枠組みの下で,観察処分を請求し直すことができるのであるから,新たな請求をすればよい。このように解しても,観察処分と期間更新の要件は,大部分が共通してほぼ共通する立証で足りるから,特段の支障がない。また,手続面においても,観察処分請求においては,当該団体の役職員,構成員及び代理人の5人以内に限った口頭意見陳述権等の負担が生じるものの,新たな報告事項を追加し,当該団体や構成員個人の権利利益に制約を及ぼすことにも鑑みれば,過度の負担とはいえないし,手続保障の点からも望ましい。
(2)

本件報告事項ウは「特に必要と認める事項」(団体規制法5条3項6
号)といえないこと
違法とされて問題とされた行為(届出や許可のないこと)と収益との因果関係はおよそ存在しない。また,控訴人の主張は,資金獲得が武器等の購入につながり,それが無差別大量殺人行為につながるとの単純な発想のもと,およそ無差別大量殺人行為に結びつくものとはいえないあらゆる教団構成員の収益行為をすべて報告義務の対象とするべきであるとの前提の主張である。しかし,資金を有することのすべてが無差別大量殺人行為につながるなどということはありえないのであって,観察処分以降に報告や立入検査によって明らかとなった教団の状況は,そのような兆候が微塵もないことを示している。したがって,違法として摘発された事件があり,それが収益事業にかかわるものであるからといって,これらにより,新たな報告義務を課す根拠たり得ない。
控訴人が本件観察処分後に判明した本団体の収益状況を把握すべき必要性を基礎づける事実として,取り上げた事件や事情は,その事実自体が存在しないか,相当に歪曲されたものであり,必要性を基礎づける事実たり得ないものである。また,被控訴人が,度重なる改善指導を受けたにもかかわらず,正確な報告をしなかったというのも事実に反し,期間更新に当たり,新たな報告義務を課する理由である「特に必要と認める」との要件たり得ないものである。
第3
1
当裁判所の判断
当裁判所は,被控訴人の請求は理由がないものと判断する。その理由は,次のとおりである。2
争点1(立法事実の存否)から争点12(被控訴人を含む本団体の活動状況を継続して明らかにする必要性の有無)までについて(ただし,争点9及び同10を除く。)
原判決を次のとおり補正するほかは,原判決の「第3章
の「第1

当裁判所の判断」

争点1(立法事実の存否)及び争点2(平等原則違反の有無)につ
いて」,「第2

争点3(憲法20条等違反の有無)について」,「第3


点4(憲法13条等違反の有無)及び争点6(憲法35条等違反の有無について)について」,「第4
「第5

争点5(憲法31条等違反の有無)について」及び

本件更新決定の要件の有無等に関する判断について(争点7ないし争
点12)について」に記載のとおりであるから,これを引用する。(1)

原判決133頁15行目の「平成7念」を「平成7年」に改める。
(2)

同138頁2行目から3行目の「B,」の次に「C,」を加える。
(3)

同144頁12行目の「医大生に関する体験談を疲労」を「偉大性に関
する体験談を披露」に改める。
(4)

同165頁14行目の次に改行して次のとおり加える。

「c

公安調査官が,平成18年12月20日,東京都荒川区αの被控訴人の施設に立入検査を実施した際に,立会人である本団体の構成員がパーソナルコンピュータを最近使用していない旨答えたが,検査前日にパーソナルコンピュータに会計帳簿関係のデータを使用した履歴が認められたから,公安調査官がその点を指摘したところ,前記の構成員は,「使用しているかもしれない。」と前言を翻し,「立入検査は任意なので答えない。」旨述べるなどして検査を妨げた。(乙B8の15)」

(5)

同166頁10行目の次に改行して次のとおり加える。

「(オ)

第2回更新決定において,本件報告事項ウと同旨の報告事項が定め
られ,公安調査庁が本団体中の「D」と称するグループに所属する出家した構成員が営むコンピュータソフト開発事業等の個人事業は,その収益を本団体が享受しているから,本件報告事項ウの収益事業に当たると指導したが,被控訴人は,このコンピュータソフト開発事業は,個々人が生業として営んでいる個人事業であり,上記の収益事業に当たらないとして報告を拒絶している。(乙B8の35,36,乙F113,156)」
(6)

同192頁17行目の「目的としているか否か」を「目的としているこ
と」に改める。
(7)

同207頁13行目の「構成員に対して」を「構成員について」に改め
る。
(8)


同207頁18行目の次に改行して次のとおり加える。
また,コンピュータソフト開発事業については,個々人が生業として営んでいる個人事業であるとして,その報告自体を拒否している。」
(9)
3
同207頁21行目から26行目までのかっこ書きを削る。

争点13(更新決定時に新規の報告義務を課すことの適法性)について(1)

更新決定時に被処分団体に新たな報告義務を課すことの可否
団体規制法5条3項は,観察処分を受けた団体の報告義務を定めているが,その柱書きにおいて「第一項の処分を受けた団体は,政令で定めるところにより,当該処分が効力を生じた日からその効力を失う日の前日までの期間を三月ごとに区分した各期間(最後に三月未満の区分した期間が生じた場合には,その期間とする。以下この項において同じ。)ごとに,当該各期間の経過後十五日以内に,次に掲げる事項を,公安調査庁長官に報告しなければならない。」と定め,同項6号において,報告事項の一つとして「その他第一項の処分に際し公安審査委員会が特に必要と認める事項」を定めている。
そして,同法5条5項は,観察処分の期間が更新された場合に,定期的な報告義務を定めた同条3項の規定全体を準用しており,同項6号が除外されてはいない。同条5項が準用する同条3項には,柱書き冒頭に「第一項の処分を受けた団体」との文言があるところ,同条3項を更新処分に準用する以上,これを「第四項の(更新)処分を受けた団体」と読み替え(この点は,被控訴人も争わない),同様に同条3項6号の「第一項の処分に際し」を「第四項の(更新)処分に際し」と読み替えることになると解される。したがって,公安審は団体規制法上観察処分の期間更新に当たり新規の報告義務を課すことができると解されるのである。
以上は,団体規制法上の文理解釈から導かれるところであるが,同法の趣旨・目的に照らして考察すると,同法は過去に無差別大量殺人行為を行った団体について危険の実現を迅速かつ適切に防止するため団体活動の状況を明らかにし,再発を防止するために必要な規制措置を定め,もって国民の生活の平穏を含む公共の安全を図る趣旨・目的を有するものであるところ,同法5条3項6号は,同項1号ないし5号の報告事項に加え,当該団体の特性に応じて,無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険な要素と関係のある事項を報告させる必要があることから設けられた規定である(団体規制法5条2項5号に関する解説である乙F17の71頁参照)。ところで,期間更新決定の性質は,観察処分につき,同一性・継続性を維持しつつその期間を更新するものであるが,同法5条4項が観察処分の期間更新に当たり,危険な要素を示す事由について,時間的経過に伴う対象団体の危険性の内容や程度の変動を考慮して,当初の観察処分時と異なる事由であっても更新処分の理由とすることができる旨規定していること(乙F17の73頁)にみられるように,公安審は,当該要件を充足する限りにおいて状況適合的な対応を許容されるものと解される。そうすると,公安審としては観察処分決定時には定める必要性がなかったとしても,その後の団体の特性の変化,又は,新たに判明した事情等に応じて当該団体に新たな事項の報告義務を課すことは派生的・付随的な処分としてすることができると解されるのである。
以上によれば,公安審は団体規制法上,観察処分の期間更新決定に当たり,被処分団体に対し新たな報告義務を課すことができると解するのが相当である。このことは,同法の趣旨・目的にかなうばかりでなく,実質的にみても合理的であり,かつ,文理解釈からも無理なく導かれるものであって,同法2条の戒める拡張解釈には当たらないというべきである。イ
被控訴人の主張について
被控訴人は,以下のとおり公安審は団体規制法上,観察処分の期間更新決定に当たり新たな報告義務を課すことはできない旨主張をするので,これを順次検討する。
(ア)

被控訴人は,①新規報告事項は,本件観察処分の際には存在しなか
った報告事項であるところ,団体規制法5条3項6号は,更新決定に基づき報告すべき事項として「第一項の処分に際し公安審査委員会が特に必要と認める事項」と明記しており,当初の観察処分時に公安審が特に必要と認めた事項のみが対象となっている,②同法5条5項は,同条4項が観察処分の期間の更新について定めたのを受けて,「第三項の規定は,前項の規定により期間が更新された場合について準用する。この場合において,第三項中『当該処分が効力を生じた日から』とあるのは,『期間が更新された日から』と読み替えるものとする。」(以下,第2文につき「本件読替規定」という。)と定めているのに対し,同条3項6号の「第一項の処分に際し」の部分については,「更新に際し」と読み替える旨の規定は設けていない,したがって,更新の場合も,団体規制法5条5項が準用する同条3項6号で報告を義務付けることができるのは,明文上,観察処分に際し公安審が特に必要と認める事項に限定され,更新に際して新規に報告義務を課すことはできない旨主張する(引用にかかる原判決95頁,96頁)。そこで判断するに,上記②にいう同法5条5項第2文については,処分を行う決定の効力発生時は,官報で公示したとき(同法25条2号)であるから,本件読替規定がない場合には,「当該処分が効力を生じた日から」との文言を「期間が更新された日から」と読み替えるのは困難であるし,他方,そのような読替えができないとすると,先行する観察処分ないし更新処分の期間の継続中に更新決定が公示された場合には,先行処分の期間が継続しているのに,その公示日から更新処分に係る報告義務の履行期間が開始されると解される余地がある。したがって,同法5条5項第2文は,更新処分に係る報告義務の履行期間の始期が,その更新処分が効力を生じた日,すなわち,更新決定が公示された日ではなく,先行する観察処分ないし更新処分の期間が経過してその更新処分の期間が開始した日であることを明確にする趣旨で設けられたものであると解される。これに対し,同条3項6号の「第一項の処分に際し」との文言を「第四項の(更新)処分に際し」と読み替えることに格別の疑義はなく読替規定を設ける必要性はないと解される。また,上記①については,アで説示したとおりである。よって,被控訴人の上記主張は採用することができない。
(イ)

被控訴人は,団体規制法5条3項柱書の部分の読替えについて,

異論がないのは,文理上自然であるからではなく,同条4項の規定により「第一項の処分を受けた団体」が期間更新を受け,その団体が「(更新)処分を受けた団体」であることが,同項によって明確となるからである,すなわち,団体規制法における他の条項(この場合は同法5条4項の規定)を勘案してはじめて,読み替えることに解釈上の疑義が生じるか否かが判断できるのであるから,同条3項柱書きの部分の読替えが自然であるからといって,同条3項6号の「第一項の処分に際し」を「第四項の処分に際し」と読み替えるべきではない旨主張する(当審における被控訴人の追加主張(1)ア(ア))。
しかし,上記アで説示したとおり,同法5条5項が観察処分の期間更新の場合につき同条3項を6号も含めて準用している以上,文理解釈として,同条3項6号の「第一項の処分に際し」との文言を「第四項の(更新)処分に際し」と読み替えるのが自然であると解されるのである。よって,被控訴人の上記主張は採用することができない。
(ウ)

被控訴人はその他にも以下のとおり,公安審は団体規制法上,

期間更新に当たり,新たな報告義務を課すことはできない旨主張する。a
被控訴人は,団体規制法5条4項は,更新理由として同条1項各
号のいずれかに該当する場合は更新できるとしているが,その場合にあっても,効果としては,「その期間を更新することができる」と規定しているだけであり,新たな報告事項を定めること(義務を課すること)は規定されていない旨主張する(当審における被控訴人の追加主張(1)ア(イ)a)。
そこで判断するに,上記アで説示したとおり,観察処分の期間更新
においては,団体規制法5条1項各号が定める無差別大量殺人行為に関する危険な要素について,当初の観察処分時に認められた事由とは異なる事由であっても,同項各号のいずれかが認められれば更新を可能とする規定を設けており(同法5条4項),公安審は,当該要件を充足する限りにおいて状況適合的な対応が許容されており,観察処分の更新に当たり,公安審が特に必要と認める報告事項を新たに定めることもできると解される。よって,被控訴人の上記主張は採用することができない。

被控訴人は,期間更新の手続に当たり,更新処分請求書には「更新の理由となる事実」(団体規制法26条1項)としか記載されず,更新の理由となる事実に関する変更はあり得るが,処分内容としては当初の処分がそのまま継続することを予定した前提の記載となっており,期間更新決定は観察処分を同一性・継続性を保って更新するものと解される旨主張する(当審における被控訴人の追加主張(1)ア(イ)b)。そこで判断するに,団体規制法5条3項6号の報告事項は,処分に際して公安審が職権で定めるものであり,団体規制法上,公安調査庁長官にその請求権は認められておらず,当初の観察処分時においても,公安調査庁長官が提出する請求書には同号に基づく報告事項を定めることについて記載が求められていないのであって,同号の報告事項については,手続規則2条4項の「処分に関する意見」として記載され,その趣旨は公安審に対して職権発動を促すものにすぎないと解される。したがって,更新処分の請求書の記載事項が「更新の理由となる事実」であるからといって,新たな報告事項を定めることを許さない趣旨とは解されない。また,上記アで説示したとおり,期間更新決定は観察処分につき同一性・継続性を維持しつつその期間を更新するものであるが,報告義務を課すことは派生的・付随的な処分にすぎないから,公安審は,これをすることができるものと解される。よって,被控訴人の上記主張は採用することができない。

被控訴人は,団体規制法26条5項,6項などは,素直に読めば
疑義を生ずるとは思えない事項についても丁寧な読替規定を置いているから,疑義が生じかねない同法5条3項6号を「四項の処分に際して」と読み替えるのであれば,読み替え規定を置いたはずであるにもかかわらず,そうでないのは,「四項の処分に際し」とは読み替えない趣旨である旨主張する(当審における被控訴人の追加主張(1)ア(イ)c)。
そこで判断するに,上記アで説示したとおり,団体規制法5条5項が準用する同条3項には,柱書き冒頭に「第一項の処分を受けた団体」との文言があるところ,同条3項を更新処分に準用する以上,これを「第四項の(更新)処分を受けた団体」と読み替えることになる。このように,同条3項6号は読替規定がなくとも,解釈上「四項の(更新)処分に際し」と読み替えることになると解される。よって,被控訴人の上記主張は採用することができない。

被控訴人は,期間更新の際に新たな処分を課すことが予定されているのであれば,観察処分と同様の手続を踏めばよいはずであるが,更新の手続は,意見陳述が陳述書及び証拠書類等の提出とされていて,観察処分との比較で簡略化されている,このように簡略化されているのは,期間の更新に限定されているからであると理解するほうが,解釈として自然である旨主張する(当審における被控訴人の追加主張(1)ア(イ)d)。
そこで判断するに,観察処分時の手続については,引用にかかる原判決123頁から124頁の説示するとおりであるところ,それよりも,やや簡略化されているとはいえ,同判決124頁に説示するとおり,更新処分の際の手続保障として,対象団体に対して意見陳述の機会が付与され(団体規制法26条3項),この場合の意見陳述は,陳述書及び証拠書類等を提出して行われ(同条3項),公安審から事前に「更新が予定される処分の内容」や「更新の理由となる事実」等が通知され(同条4項),行政手続法30条の弁明の機会の付与の手続と同程度の手続保障がされている。また,団体規制法5条3項6号は同項4号の「当該団体の資産及び負債のうち政令で定めるもの」と密接に関連する事項ということができる。そうすると,観察処分の更新において予定されている以上の手続保障に関する規定を設けていないからといって,そのような報告事項を新たに定めることを許容しない趣旨であると解することは相当とはいえない。よって,被控訴人の上記主張は採用することができない。
(エ)

被控訴人は,法の趣旨・目的を根拠に,観察処分において規定され
ていた報告事項以外の事項に関する報告義務を,期間更新に当たり新たに課すことは,団体規制法2条,3条に違反し,罪刑法定主義を規定した憲法31条に違反する解釈である旨主張する(当審における被控訴人の追加主張(1)イ)。
そこで判断するに,本件更新処分に際し,新たな報告事項として定められた本件報告事項ウは,団体規制法5条3項4号の「当該団体の資産及び負債のうち政令で定めるもの」と密接に関連する事項であるから,団体規制法が予定していない報告事項を定めたものということはできない。その上に,更新処分の際の手続保障として,上記(ウ)dで説示したとおり,行政手続法30条の弁明の機会の付与の手続と同程度の手続保障がされているのであって,手続保障に欠けるところはないというべきである。したがって,上記の解釈は,団体規制法2条の拡張解釈及び同法3条の不当な権利制限に該当せず,また,憲法31条にも違反しない。よって,被控訴人の上記主張は採用することができない。
(オ)

立入検査
被控訴人は,立入検査は,観察処分に付されて以降,本団体に対して
高い頻度で定期的に何度も行使されているところ,報告と併せた立入検査により,本団体の活動状況は,つぶさに明らかになっており,期間更新に当たり,新たな報告事項を課さなければ,教団の活動状況が把握できずに団体規制法の目的を達することができないとは,到底いえない旨主張する(当審における被控訴人の追加主張(1)ウ)。
そこで判断するに,本件においては,引用にかかる原判決164頁,165頁に認定のとおり,被控訴人が第2回更新決定により更新された観察処分に基づく公安調査官の立入検査について,平成19年3月12日,立入検査は立会人の同意の上で始めること等を内容とする「立入検査時の注意点」と題する文書を通知し,出家構成員に対し,公安調査官の立入検査時に参照するよう指導し,被控訴人の構成員にも公安調査官の立入検査の際の質問に対しては,任意であり,説明する義務はないとして回答を拒む者もおり,また,被控訴人の構成員が,公安調査官の立入検査の際に検査対象物の隠蔽ないし検査拒否の疑いのある行為をした事例が認められるなど,公安調査庁の立入検査等に対して消極的かつ非協力的態度を取っていたものである。
そして,立入検査は,第1次的にされる公安調査官による任意調査や団体からの報告等のみでは必ずしも具体的な活動状況が明らかにならない場合,あるいは,そのような報告等を待つことが適当とはいえない場合に行われる第2次的な手段であり(乙F17の80頁),また,直接強制的な行為,すなわち捜索差押と同視されるような行為は行うことができない(同81頁)から,前記の被控訴人の立入検査等に対する消極的かつ非協力的態度にかんがみると,立入検査によって被控訴人の活動状況等を把握することは困難な状況にあったことが推認される。そうすると団体規制法の目的を達するには,新たに報告事項を定め,立入検査の端緒となる情報をあらかじめ入手して,立入検査の実効性を確保する必要のある状況であったということができる。よって,被控訴人の上記主張は採用することができない。
(カ)

新たな観察処分の請求
被控訴人は,報告事項を追加するために,現行の団体規制法の枠組みの
下で,観察処分を請求し直すことができるのであるから,新たな請求をすれば足りる旨主張する(当審における被控訴人の追加主張(1)エ)。そこで判断するに,団体規制法上,当初の観察処分(以下「先行観察処分」という。)が継続した状態のまま,新たな報告事項を定めるために改めて観察処分(以下「後行観察処分」という。)を請求し得ることを予定した規定はなく,仮にそのような請求自体は妨げられないと解することができるとしても,先行観察処分と後行観察処分とが二重に効力を生ずるといった事態を団体規制法が想定していないことは明らかである。また,仮にこのような事態を回避するために,先行観察処分を取り消すことも考えられるが,団体規制法上,観察処分の取消しは,「当該団体の活動状況を継続して明らかにする必要がなくなったと認められるとき」に行うべきものとされており(同法6条1項),これは観察処分に付するための要件がなくなった場合を指すものであり,具体的には,団体規制法5条1項各号の要件のいずれもが認められなくなった場合や,該当する事由はあるものの,これを減殺する特段の事情が認められ,その活動を継続して明らかにする必要がなくなったと認められる場合がこれに当たると解される(乙F17の77頁)。更新処分において新たに報告事項を定めるのは,対象団体の活動状況を継続して明らかにすべき必要があると認められる場合であるから,後行観察処分を請求するために,活動状況を継続して明らかにする必要がなくなったとして先行観察処分を取り消すことは,上記規定の趣旨と整合せず,結局,後行観察処分を予定しながら先行観察処分を取り消すことは相当とはいえないと解される。そうすると,観察処分の請求し直しをすれば足りるとする被控訴人の上記主張は採用することができない。(2)

本件報告事項ウは「公安審査委員会が特に必要と認める事項」(団体規
制法5条3項6号)かについて

以上によれば,公安審は,団体規制法上,観察処分の期間更新に当たり新たな報告義務を課することができるところ,進んで本件報告事項ウが「公安審査委員会が特に必要と認める事項」に該当するかについて検討する。イ

第2回更新決定までの事情
本件報告事項ウと同旨の報告事項は,第2回更新決定において定められたものであるところ,それまでに,本件においては,以下のような事実が判明したことが認められる。
(ア)

A事件が発覚したが,Aは本団体の構成員から多額の資金提供を受
けていた。(原判決137頁,138頁)
(イ)

本団体の幹部構成員らが共謀して,劇薬に指定されるステロイドが
含まれる「E」と称する医薬品を,無許可で本団体構成員に販売させるなどし,その利益をお布施として構成員から本団体に拠出させるなどしていた。平成15年2月から平成16年4月までの間に,合計2900個余りの上記医薬品が無許可で販売され,2300万円余りの売上げが生じていた。(乙F112の1頁ないし4頁,乙F113の50頁,乙F115,乙F153ないし155)
(ウ)

コンピュータソフトウエア開発事業を担当する「D」と称するグル
ープが,無許可で労働者供給事業を営み,これにより平成13年11月から平成17年1月までの間に,4億5000万円以上の収益を上げ,これらの収益のほとんどが本団体の活動資金に充てられていた。(乙F112の1ないし4頁,乙F113の53頁,乙F156,乙F157の1ないし6,8ないし13)
(エ)

本団体は,公安調査官の立入検査に際し,構成員が入金伝票及び現
金を隠匿するなどの隠蔽工作を行い,収入の一部を会計帳簿に記載しないなど,裏金化している疑いが生じた。(乙F112の6,7頁,乙F160,乙F161)
なお,被控訴人は,かかる事実はないとして,F作成の陳述書(甲189)を提出する。しかし,同陳述書の信用性は検討を要するものであるところ,少なくともこれによって直ちに上記の疑いが払拭されるものと評価することは困難である。ウ
第2回更新決定から本件更新決定までの事情
前記原判決の補正及び前記認定に証拠(乙B8の15,35,36,乙F152)及び弁論の全趣旨を総合すると,①被控訴人は,出家した構成員が営む各種の収益事業の収益を享受していること,②公安調査庁が「D」と称するグループに所属する出家した構成員が営むコンピュータソフト開発事業等の個人事業は,その収益を本団体が享受するなどしているから,本件報告事項ウの収益事業に当たると指導したものの,被控訴人は,このコンピュータソフト開発事業は,個々人が生業として営んでいる個人事業であり,上記の収益事業に当たらないとして報告を拒絶していること,③被控訴人が第2回更新決定により更新された観察処分に基づく公安調査官の立入検査について,平成19年3月12日,立入検査は立会人の同意の上で始めること等を内容とする「立入検査時の注意点」と題する文書を通知し,出家構成員に対し,公安調査官の立入検査時に参照するよう指導していること,④被控訴人の構成員にも公安調査官の立入検査の際の質問に対して,任意であって,説明する義務はないとして回答を拒む者もいること,⑤被控訴人の構成員が,公安調査官の立入検査の際に検査対象物の隠蔽ないし検査拒否の疑いのある行為をした事例がみられるなど,公安調査庁の立入検査等に対して消極的かつ非協力的態度が看取されたことが認められる。
そして,被控訴人を含む本団体は団体規制法5条1項1号及び5号に該当し,本件更新決定時においても,団体として無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険な要素を保持していると認められることは引用にかかる原判決202頁から208頁までに認定説示するとおりであり,収益事業の収益をもって,無差別大量殺人行為の準備のために秘密裏に資金を蓄え,又はこのような資金を用いて武器等の危険物を購入するおそれがあるとみられてもやむを得ないものがある。エ
上記の事実を総合すれば,被控訴人から団体規制法5条3項の各報告期間末日における現金の現在額(施行令2条1号ハ),預貯金の種類,金融機関名,残高及び口座名義人の氏名又は名称(同号ホ)等の資産に関する報告を受けることのみでは,被控訴人による無差別大量殺人行為の実行のための資金の準備状況あるいはその資金による危険物の購入等の事実の把握が十分に可能であるとはいえず,ひいては,無差別大量殺人行為に及ぶ危険な要素の存否・程度の把握が困難となると解される。そうすると,本件報告事項ウによって,被控訴人の収益事業の収支を把握する必要性は高いということができるから,団体規制法5条5項において準用する同条3項6号に規定する「公安審査委員会が特に必要と認める事項」に該当すると認められる。


被控訴人の主張について
被控訴人は,新たな報告義務を課する理由である「特に必要と認める」との要件がない旨主張する(当審における被控訴人の追加主張(2))。しかし,第2回更新決定後,本団体の収益状況を把握すべき必要性を基礎づける事実があることは,上記認定のとおりである。また,収益事業による資金獲得が武器等の購入につながりかねず,それが無差別大量殺人行為につながりかねないことについても,上記説示のとおりである。したがって,被控訴人の上記主張は採用することができない。

(3)

被控訴人の争点13に関するその余の主張は,いずれも結論を左右する
ものということができないから,これらを採用する余地はない。
4
結論
以上によれば,被控訴人の請求は理由がないから全部棄却すべきところ,これを一部認容した原判決は失当であり,本件控訴は理由があるから,原判決中控訴人の敗訴部分を取り消した上,被控訴人の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。東京高等裁判所第22民事部

裁判長裁判官

加藤新
裁判官

竹内純一
裁判官

長川浩二谷太郎
トップに戻る

saiban.in