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土壌汚染対策法による土壌汚染状況調査報告義務付け処分取消請求控訴事件(平成24年(行コ)第31号事件原審・旭川地方裁判所平成24年(行ウ)第1号)
事件番号平成24(行コ)31等
事件名土壌汚染対策法による土壌汚染状況調査報告義務付け処分取消請求控訴事件(平成24年(行コ)第31号事件原審・旭川地方裁判所平成24年(行ウ)第1号)
裁判年月日平成25年5月23日
法廷名札幌高等裁判所
判示事項1 土壌汚染対策法第3条2項に基づく通知の取消しを求める訴えが,前記通知が取り消されている以上,訴えの利益は存しないとして,却下された事例
2 土壌汚染対策法第3条2項に基づく通知の取消しを求める訴えの控訴審において追加された,前記通知に基づく同法3条1項の規定による土壌汚染状況の調査及び報告を義務付ける処分を取り消すとの請求が,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法16条1項により,管轄裁判所である地方裁判所に移送された事例
裁判要旨1 土壌汚染対策法第3条2項に基づく通知の取消しを求める訴えにつき,当該処分が行政手続法13条の弁明の機会の付与を欠いた瑕疵があることを理由に取り消されていることにより,その効力は失われたものであるから,前記処分の取消しを求める訴えの利益が失われたことは明らかであるとして,前記訴えを却下した事例
2 土壌汚染対策法第3条2項に基づく通知の取消しを求める訴えの控訴審において追加された,前記通知に基づく同法3条1項の規定による土壌汚染状況の調査及び報告を義務付ける処分を取り消すとの請求につき,民事訴訟法143条1項の訴えの追加的変更並びに行政事件訴訟法19条1項及び同法16条2項の請求の追加的併合の各要件を欠く不適法なものであるが,取消訴訟の新訴提起としての要件を備えており,これを独立の訴え提起とみることができるとして,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法16条1項により,管轄裁判所である地方裁判所に移送した事例
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平成25年5月23日判決言渡
平成24年(行コ)第31号,平成25年(行コ)第12号

土壌汚染対策法による土

壌汚染状況調査報告義務付け処分取消請求控訴事件
主文1
本件控訴を棄却する

2
当審における訴訟費用は控訴人の負担とする。

3
平成○年(行コ)第○号事件を旭川地方裁判所へ移送する。
事実及び理由

第1

控訴の趣旨

1
原判決を取り消す。

2
旭川市長が控訴人に対し平成20年8月21日付けでなした土壌汚染対策法3条2項の通知に基づく同法3条1項の規定による土壌汚染状況の調査及び報告を義務付ける旨の処分を取り消す。

3
訴訟の総費用(ただし,上告審において負担を命じられた分を除く。)は,被控訴人の負担とする。

第2
1
事案の概要
次のとおり補正し,後記2に当審における訴えの追加的変更等に関する当事者の主張を加えるほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第2

事案の概要」

に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1)

原判決2頁7行目の「本件通知」を「本件処分」と,16行目の「同
庁」を「札幌高等裁判所」と,18行目の「平成24年」を「平成23年」とそれぞれ改める。
(2)

同2頁19行目の次に行を改めて,次のとおり加える。

「原審が控訴人の本件訴えを却下したところ,控訴人が,控訴を提起するとともに,当審において,民事訴訟法143条1項及び行政事件訴訟法19条1項に基づき,旭川市長が控訴人に対し平成24年11月19日付けでなした土壌汚染対策法3条2項の通知に基づく同法3条1項の規定による土壌汚染状況の調査及び報告を義務付ける旨の処分(以下「本件追加処分」という。)を取り消すとの請求を追加した(以下民事訴訟法143条1項に基づくものを「本件追加的変更」といい,行政事件訴訟法19条1項に基づくものを「本件申立て」という。)。被控訴人は,控訴人の本件追加的変更及び本件申立てに対し同意しない。」
(3)

同4頁10行目の次に行を改めて,次のとおり加える。

「行政処分は,取り消すだけの公益上の理由があって初めてその行政行為の瑕疵を理由に取り消すことができるが(最高裁判所昭和32年(オ)第18号同33年9月9日第三小法廷判決・民集12巻13号1949頁参照),旭川市長がした本件処分の取消しは公益上の理由がない。本件訴えに関し土対法3条2項に基づく通知が行政処分に当たるとした札幌高等裁判所及び最高裁判所の判決が出ているのだから,本件処分の無効が自明でかつ重大である場合に限り,本件処分を取り消すことができるところ(最高裁判所昭和25年(オ)第354号同29年1月21日第一小法廷判決・民集8巻1号102頁,最高裁判所昭和26年(オ)第898号同30年12月26日第三小法廷判決・民集9巻14号2070頁参照),旭川市長がした本件処分の取消しは上記場合に当たらない。また,上記のとおり本件訴えに関し札幌高等裁判所及び最高裁判所の判決が出された後に本件処分を取り消すことは,被控訴人がこれらの判決の効力を免れる一方,本件訴えの訴訟活動が徒労となる控訴人に不利益をもたらすことになり,信義則上許されない。
したがって,旭川市長がした本件処分の取消しは無効である。」
2
当審における訴えの追加的変更等に関する当事者の主張
(1)

控訴人の主張
本件追加処分は,本件処分と同一の社会的事実に基づいてされた同一内容
の処分であって,本件訴えと本件追加処分の取消請求に係る訴えは,請求の基礎が同一であるし,訴訟手続を著しく遅延させることはない。また,民事訴訟法143条に基づく訴えの変更は被控訴人の同意は要件とされていないし,本件のように関連請求に係る訴えの被告の審級の利益が害されない場合には,行政事件訴訟法19条に基づく請求の追加的併合においても同意がそもそも不要であるか,仮に必要であるとしても同意しないことは信義則に反し許されない。
(2)

被控訴人の主張
争う。本件追加処分の取消請求に係る訴えは,請求の基礎の同一性を欠き,
訴訟手続を著しく遅延させるし,行政事件訴訟法19条に基づく追加的併合をする場合及び行政事件訴訟において民事訴訟法143条に基づく訴えの追加的変更をする場合には,被告(被控訴人)の同意が必要であると解すべきところ,被控訴人は同意しないから,その要件を欠く。
第3
1
当裁判所の判断
当裁判所も控訴人の本件訴えは不適法であると判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」欄の「第3

当裁判所の判断」に記載のとおりであ

るから,これを引用する。ただし,原判決9頁9行目の次に行を改めて,次のとおり加える。
「控訴人は,本件処分の取消しは無効である旨主張するが,いずれも本件と事案を異にする最高裁判所の判決に基づくものであるか,又は独自の見解に基づくものであり,採用することはできない。」
2
本件追加的変更及び本件申立ての適否について
(1)

本件追加的変更は,本件処分とは別個の処分の取消しを求めるもので
あって,請求原因事実を異にするから,本件請求と請求の基礎に変更がないとはいえない。また,請求の基礎に変更がある本件追加的変更に係る請求について控訴審で改めて審理することは著しく訴訟手続を遅延させることになる。したがって,本件追加的変更は,民事訴訟法143条1項により許されない。
(2)

本件申立てについて判断するに,行政事件訴訟法19条1項及び16
条2項によれば,請求の追加的併合をするには,追加する関連請求に係る訴えの被告の同意を得なければならないとされているところ,一件記録によれば,関連請求に係る訴えの被告である被控訴人は本件申立てに同意しないことが明らかである。
控訴人は,本件のように関連請求に係る訴えの被告の審級の利益が害されない場合には,同意がそもそも不要であるか,仮に必要であるとしても同意しないことは信義則に反し許されない旨主張するが,本件訴えと本件申立ての争点につき控訴人指摘のような共通部分が存することや,本件訴えの訴訟経過を考慮しても,本件申立てが関連請求に係る訴えに関する被控訴人の審級の利益が害されない場合であるとはいえないし,また被控訴人の不同意が信義則に反して許されないということもできないから,控訴人の主張は理由がない。
以上によれば,本件申立てはその要件を欠く不適法なものであり,許されないものといわなければならない。そして本件申立ては,それ自体取消訴訟の新訴提起としての要件を備えており,これを独立の訴え提起とみることができるので,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法16条1項により,その管轄裁判所である旭川地方裁判所に移送することとする。
第4

結論
以上によれば,本件追加的変更についてはこれを許さず,控訴人の本件訴え
は不適法であって,これを却下した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却し,本件申立てに係る訴えを旭川地方裁判所へ移送することとして,主文のとおり判決する。
札幌高等裁判所第3民事部

裁判官

佐藤重憲
裁判官

石川
真紀子

裁判長裁判官橋本昌純は転補のため署名押印できない

裁判官
佐藤重憲
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