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所得税更正処分取消等請求事件
事件番号平成25(行ウ)689
事件名所得税更正処分取消等請求事件
裁判年月日平成27年3月12日
法廷名東京地方裁判所
判示事項極めて多額の債務超過状態に陥っていて預金保険法74条1項の規定する管理を命ずる処分を受けた株式会社の株式が所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」に該当しないとされた事例
裁判要旨株式会社が株式譲渡の前後を通じて極めて多額の債務超過状態に陥っていたため,当該株式会社の株主は,利益配当請求権,残余財産分配請求権等の自益権を現実に行使し得る余地がなくなっており,また,預金保険法74条1項所定の管理を命ずる処分がされたため,当該株式会社の株主は,一般的に株主総会における議決権等の共益権を現実に行使し得る余地を失っており,しかも,当該株式会社が後に解散して清算されることが予定されていたことからすると,株式譲渡の時点において,当該株式会社の株式は,一般的に,自益権及び共益権を現実に行使し得る余地を失っており,かつ,その後に自益権及び共益権を行使することができるようになる蓋然性も認められなかったといえるから,所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」には該当しない。
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平成27年3月12日判決言渡
平成25年(行ウ)第689号

所得税更正処分取消等請求事件

主文1
原告の請求を棄却する。

2
訴訟費用は原告の負担とする。

第1

実及び理由
請求
中野税務署長が平成24年1月31日付けで原告に対してした平成22年分の
所得税の更正のうち,株式等に係る譲渡所得等の金額(未公開分)マイナス314万6500円,納付すべき税額570万1700円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。
第2

事案の概要
本件は,平成22年9月に破綻したA銀行株式会社(平成24年9月10日の
解散後の商号はB株式会社。以下「本件銀行」という。)の取締役兼代表執行役であった原告が,平成22年10月20日に保有していた本件銀行の株式(以下「本件株式」という。)3100株を1株1円(合計3100円)で譲渡し(以下,この譲渡を「本件株式譲渡」という。),これにより株式等に係る譲渡所得等の金額(未公開分)の計算上損失が生じたとして,同年分の所得税の確定申告及び修正申告を行ったところ,中野税務署長から,本件株式譲渡を株式等に係る譲渡所得等の金額(未公開分)の計算の基礎に含めることはできないとの見解に立って,平成24年1月31日付けで更正(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税賦課決定(以下「本件賦課決定処分」といい,本件更正処分と併せて,「本件各処分」という。)を受けたことから,本件更正処分のうち修正申告額を超える部分及び本件賦課決定処分の取消しを求める事案である。1
関係法令の定め
本件の関係法令の定めは,別紙1のとおりである(なお,同別紙中で定義した略称等は,以下の本文においても同様に用いるものとする。)。2
前提事実(証拠等の掲記のないものは当事者間に争いがない。)
(1)

当事者等
本件銀行は,平成15年4月10日に設立された後,平成16年4月13日に銀行業の免許を受け,同月21日に開業した銀行であるが,平成22年9月10日,預金保険法74条5項に基づき,その財産をもって債務を完済することができない旨の申出をし,同日,同法139条1項の規定により内閣総理大臣から権限の委任を受けた金融庁長官から,同法74条1項の規定する金融整理管財人による管理を命ずる処分を受けた。また,本件銀行は,同日,東京地方裁判所に対し,再生手続開始の申立てをし,同裁判所による同月13日の再生手続開始決定,平成23年11月15日の再生計画の認可等を経て,平成24年9月10日に解散し,清算法人となった。(乙1,乙7,乙8)なお,本件銀行は,本件株式を公開しておらず,平成20年12月31日をもって株券不発行会社に移行しており,定款において,本件株式を譲渡する場合には取締役会の承認を受けなければならないと定めていた。


原告は,本件銀行において,平成15年5月15日から平成22年5月10日までの間は取締役の地位にあり,そのうち平成21年8月1日から平成22年5月10日までの間は代表執行役の地位にもあった者である。


C税理士は,原告の平成22年分の所得税の確定申告について,税理士法2条1項1号の規定する税務代理を行った税理士である。(乙9)


処分行政庁は,原告の住所地の移動に伴い,本件各処分時の納税地を管轄する税務署長であった中野税務署長から,その事務を承継した。(弁論の全趣旨)
(2)

原告による本件株式の譲渡
原告は,
平成22年3月5日付けの株式譲渡契約に基づき,
同月19日,
D株式会社(以下「D」という。)に対し,本件株式950株を1株当たり33万5000円(合計3億1825万円)で譲渡した。(乙3)なお,原告がDに譲渡した本件株式950株の取得費は,1株当たり7万2492円(合計6886万7400円)であった。(甲3,甲5,乙9)


原告は,平成22年10月20日付けの株式譲渡契約に基づき,同日,C税理士に対し,
本件株式3100株を1株当たり1円
(合計3100円)
で譲渡した(本件株式譲渡)。(乙4)
なお,原告が本件株式譲渡により譲渡した本件株式3100株の取得費は,1株当たり8万1462円(合計2億5253万2200円)であった。(甲3,甲5,乙9)

(3)

本件各処分に至る経緯
原告は,
平成23年3月8日,
別表の
「確定申告」
欄記載の内容により,
平成22年分の所得税に係る確定申告(以下「本件確定申告」という。)をし,同年6月17日,雑所得に係る所得金額の修正及びこれに伴う納付すべき税額等の修正のため,別表の「修正申告」欄記載の内容により,修正申告(以下「本件修正申告」といい,本件修正申告に係る申告書を「本件修正申告書」という。)をした。(乙2,乙9)
なお,原告は,Dに対する本件株式950株の譲渡と本件株式譲渡について,そのいずれもを原告の平成22年分の所得税に係る株式等に係る譲渡所得等の金額の計算の基礎に含め,同金額を,Dに対する本件株式950株の譲渡代金3億1825万円とC税理士に対する本件株式3100株の譲渡代金3100円の合計3億1825万3100円から,これらの取得費の合計3億2139万9600円を控除したマイナス314万6500円として,本件確定申告及び本件修正申告を行った。

中野税務署長は,平成24年1月31日,原告に対し,別表の「更正処分」欄記載の内容により,本件各処分をした。
なお,中野税務署長は,本件株式譲渡を原告の平成22年分の所得税の株式等に係る譲渡所得等の金額の計算の基礎に含めることはできないとの見解に立って,同金額を,Dに対する本件株式950株の譲渡代金3億1825万円からその取得費6886万7400円を控除した2億4938万2600円とする本件更正処分を行ったものである。(甲1,弁論の全趣旨)


原告は,平成24年3月27日,東京国税局長に対し,別表の「異議申立て」欄記載の内容により,本件各処分の取消しを求める旨の異議申立てを行ったが,東京国税局長は,同年6月18日付けで,原告の異議申立てを棄却する旨の決定をした。


原告は,平成24年7月13日付けで,国税不服審判所長に対し,別表の「審査請求」欄記載の内容により,本件各処分の取消しを求める旨の審査請求を行ったが,国税不服審判所長は,平成25年4月26日付けで,原告の審査請求を棄却する旨の裁決をした。
上記裁決に係る裁決書謄本は,同年5月1日以降に原告に送達された。(甲6)

(4)

本件訴えの提起
原告は,平成25年10月30日,本件訴えを提起した。(顕著な事実)
3
本件各処分の適法性に関する被告の主張
(1)

本件更正処分の適法性
原告の平成22年分の所得税に係る納付すべき税額は,別紙2記載1のと
おり,4310万9000円であるところ,当該金額は本件更正処分における納付すべき税額と同額であるから,本件更正処分は適法である。(2)

本件賦課決定処分の適法性
上記(1)のとおり本件更正処分は適法であるところ,
原告は,
平成22年分

の所得税につき過少に申告していたから,本件更正処分により新たに納付すべきこととなった税額に対しては,国税通則法65条1項及び2項の規定に基づき過少申告加算税が賦課されることとなる。
そして,
本件更正処分に基づき原告に課されるべき過少申告加算税の額は,別紙2記載2のとおり,459万8000円であるところ,当該金額は本件賦課決定処分における過少申告加算税の額と同額であるから,本件賦課決定処分は適法である。
4
争点及び争点に関する当事者の主張の要旨
本件における争点は,原告がC税理士に対して本件株式3100株を譲渡し
た本件株式譲渡の時点において,本件株式が,株式としての経済的価値を喪失しており,所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」に該当しないものであったか否かである。争点に関する当事者の主張の要旨は,次のとおりである。
(1)

被告
譲渡所得に対する課税は,資産の価値の増加益に対する課税であるから,増加益を生じ得ないもの,すなわち,社会生活上もはや取引される可能性が全くないような無価値なものは,所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」には当たらない。
そして,株式については,自益権及び共益権を基礎として一般的に経済的価値が認められて取引の対象とされ,増加益(又は減少損)を生ずるような性質を有するものと解されていることからすると,破産宣告(破産手続開始決定)を受けた会社の株式のように,一般的に自益権や共益権を現実に行使し得る余地を失った株式は,その後に同社が再建される蓋然性があるなど特段の事情が認められない限り,経済的価値を喪失する。

これを本件株式についてみると,本件銀行は,本件株式譲渡がされる前の平成22年9月10日に預金保険法74条1項の規定する管理を命ずる処分等を受け,これにより,本件株式は自益権及び共益権という株主の有する本質的な権利を行使し得ないものとなっており,また,本件銀行の破綻処理は,本件銀行を存続させないことが前提とされており,本件銀行が再建される蓋然性があるなど特段の事情があったとは認められないことからすると,本件株式は,本件株式譲渡時において,一般的にその経済的価値が認められて取引の対象となるものではなかったから,所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」に該当しない。

(2)

原告
所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」に該当するか否かの判断において,譲渡の対象となった株式の経済的価値が譲渡時に喪失していたか否かは,株式の消却といった客観的かつ明確な基準をもって画一的に判断されるべきであり,曖昧な基準ないし事情によってこれを判断することは租税法律主義に反する。
有価証券の消滅の認識に係る
「一
般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(法人税法22条4項)である企業会計基準委員会が策定した
「金融商品に関する会計基準」
(以下
「金
融商品会計基準」という。)は,金融資産の消滅の認識要件について,「金
融資産の契約上の権利を行使したとき,権利を喪失したとき又は権利に対する支配が他に移転したときは,当該金融資産の消滅を認識しなければならない」と規定しており,国税不服審判所平成24年9月25日裁決も,株式が株式としての価値を失う時点について,株式の発行人の再生計画認可の決定が確定した後,同法人が当該再生計画に基づき発行株式の全てを無償消滅させたという事実関係の下で,発行株式の全てを無償消滅させた日をもって,株式は株式としての価値を失ったものと認められるとの判断を示している。
そして,本件株式は,本件株式譲渡がされた平成22年10月の時点では消却されておらず,法的に消滅していなかったから,その経済的価値は失われておらず,譲渡所得の基因となる「資産」に当たる。

また,租税特別措置法37条の10の2第1項は,発行株式会社である特定株式会社等が解散し,その清算が結了したこと(1号),前号に掲げる事実に類する事実として政令で定めるもの(2号)という事実が発生した場合,株式としての価値を失ったことによる損失が生じると規定しており,租税特別措置法施行令25条の8の2第2項は,租税特別措置法37条の10の2第1項2号の場合として,当該会社が,破産法に基づく破産手続開始決定を受けたこと(1号),当該会社が,会社更生法に基づく更生計画認可決定を受け,当該更生計画に基づき,発行済株式の全部を無償で消滅させたこと(2号),当該会社が,民事再生法に基づく再生計画認可決定を受け,当該再生計画に基づき,発行済株式の全部を無償で消滅させたこと(3号),当該会社が,預金保険法111条1項による特別危機管理開始決定を受けたこと(4号)を定めている。
そして,本件株式譲渡がされた平成22年10月の時点では,本件銀行について上記各事実は発生していなかったから,本件株式は,本件株式譲渡の時点で経済的価値を失っておらず,譲渡所得の基因となる「資産」に当たる。


さらに,預金保険法74条1項の規定する管理を命ずる処分がされた場合でも,これにより当該処分を受けた金融機関は直ちに清算手続に移行するわけではなく,他の金融機関に全株式を譲渡することにより預金の保護を図るという方法もある以上,
管理を命ずる処分がされたからといって,
当該金融機関の株式が消滅するわけではない。また,同法75条1項は,同法74条1項の規定する管理を命ずる処分がされた後も,承継銀行を含む受け皿金融機関への業務承継が完了したり,合併等の可能性を見い出せずに解散が行われたりするときには,
管理を命ずる処分を取り消すべき
ものとされていることからすると,
管理を命ずる処分がされた場合であっ
ても,当該金融機関の業務は何らかの形で存続する余地があるといえる。そうすると,本件株式譲渡がされた平成22年10月の時点において,本件銀行に対する同項の規定する管理を命ずる処分がされていたとしても,本件株式は,経済的価値を失っておらず,譲渡所得の基因となる「資産」に当たる。

加えて,そもそも,本件株式譲渡がされたのは,本件銀行に係る再生手続開始決定がされた直後であり,
いまだ再生計画案すら作成されておらず,
事業の再生を目指してまさに進み始めた段階であり,再生計画の内容如何によっては本件株式について増加益が生じ得たし,実際に株式会社に対する再生手続開始決定がされた後に当該会社の株式の取引がされた事例もあることからすると,本件株式は,本件株式譲渡の時点で経済的価値は失っておらず,譲渡所得の基因となる「資産」に当たる。


そして,現に,C税理士は,本件株式に経済的価値があると考え,値上がりによって利益が発生することを期待して本件株式譲渡によって本件株式を取得しているのであるから,本件株式は,本件株式譲渡の時点で経済的価値は失っておらず,譲渡所得の基因となる「資産」に当たることは明らかである。

第3
1
当裁判所の判断
本件株式譲渡の時点における本件株式の「資産」該当性について
(1)

所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」の意味等そもそも譲渡所得に対する課税とは,資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として,その資産が所有者の支配を離れて他に移転する機会にこれを清算して課税する趣旨のものであり,売買交換等によりその資産の移転が対価の受入れを伴うときは,上記の増加益が対価のうちに具体化されるので,これを課税の対象として捉えたものと解される。
したがって,同項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」には,一般にその経済的価値が認められて取引の対象とされ,増加益が生じるような全ての資産が含まれるが,その一方で,上記の増加益を生じ得ないもの,すなわち,社会生活上もはや取引される可能性が全くないような無価値なものについては,同項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」には当たらないものと解するのが相当である。

この点,株式は,株式会社の社員である株主の地位を割合的単位の形式にしたものであり,原則として自由に譲渡され,株主においては,利益配当請求権,残余財産分配請求権等の自益権や株主総会における議決権等の共益権を有することから,株式は,上記各権利を基礎として一般に経済的価値が認められて取引の対象とされ,増加益を生ずるような性質のものとして,所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」に当たるものと解される。
一方,株式の経済的価値が自益権及び共益権を基礎とするものである以上,その譲渡の時点において,これらの権利が法的には消滅していなかったとしても,一般的に自益権及び共益権を現実に行使し得る余地を失っていた場合には,後にこれらの権利を現実に行使し得るようになる蓋然性があるなどの特段の事情が認められない限り,自益権や共益権を基礎とする株式としての経済的価値を喪失し,もはや,増加益を生ずるような性質を有する譲渡所得の基因となる「資産」には該当しないものと解するのが相当である。
(2)

認定事実
前提事実並びに証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることが
できる(証拠等の掲記のないものは当事者間に争いがない。)。

本件株式譲渡までの経過
(ア)

本件銀行は,平成15年4月10日に設立され,平成16年4月1
3日に銀行業の免許を受け,同月21日に開業した銀行であり,平成22年当時は,銀行法10条の規定する銀行業務及びそれに付随する業務等を目的とする株式会社であった。(前提事実(1)ア)
(イ)

本件銀行は,平成21年5月から平成22年4月までの約11か月
間,金融庁による立入検査を受けた。(乙7)
(ウ)

原告は,上記(イ)の立入検査がされている期間中に締結した平成2
2年3月5日付けの株式譲渡契約に基づき,同月19日,Dに対し,本件株式950株を1株当たり33万5000円
(合計3億1825万円)
で譲渡し,同年5月10日,本件銀行の取締役及び代表執行役を退任した。(前提事実(1)イ,(2)ア)
(エ)

金融庁長官は,前記(イ)の立入検査の結果等から,本件銀行につい
て,検査忌避等の重大な法令違反等が認められたほか,経営管理態勢,法令等遵守態勢及び信用リスク管理態勢等に関して,業務の適切かつ健全な運営を実行する上で重大な問題が認められたとして,平成22年5月27日付けで,本件銀行に対し,同年6月7日から同年9月30日までの業務一部停止命令及び業務改善命令を発した。(乙6)
(オ)

本件銀行は,上記(エ)の行政処分を受けたことを契機として,平成
22年6月15日に特別調査委員会を設置して調査等を実施し,それを踏まえて資産査定等を行ったところ,多額の貸倒引当金の追加計上が必要であることが判明した。また,本件銀行がノンバンクから買い取った貸出債権について,第三者との関係で劣後することが訴訟において確定したため,それに伴う訴訟損失引当金を計上することなどを余儀なくされることも判明した。(乙7)
(カ)

本件銀行は,平成22年9月10日,約1870億円の債務超過に
陥っているとして,
預金保険法74条5項に基づき,
金融庁長官に対し,
その財産をもって債務を完済することができない旨の申出をした。(前提事実(1)ア,乙7,乙8,乙15)
金融庁長官は,上記の申出を受け,同日,同法74条1項に基づき,本件銀行に対し,金融整理管財人による管理を命ずる処分をするとともに,同法77条2項に基づき,本件銀行の金融整理管財人として預金保険機構を選任した。その結果,本件銀行は,同法74条3項により,同法2条4項の規定する破綻金融機関
(業務若しくは財産の状況に照らし,
預金等の払戻しを停止するおそれのある金融機関又は預金等の払戻しを停止した金融機関)
とみなされることとなった。
(前提事実(1)ア,
乙7,
乙8)
(キ)

本件銀行の金融整理管財人に選任された預金保険機構は,平成22
年9月10日,「A銀行の経営破綻と今後の業務等について」と題する文書を作成し,ホームページに掲載した。(乙13)
上記文書の内容の要旨は,次のaないしdのとおりであり,同文書中の「破綻処理の流れ」と題する本件銀行の破綻処理に係るスケジュールには,本件銀行がdの事業譲渡の後,解散して清算する予定であることが明記されていた。(乙13)

本件銀行が経営破綻したため,金融庁は,平成22年9月10日,預金保険法74条1項に基づき,本件銀行に対し,金融整理管財人による管理を命ずる処分をするとともに,同法77条に基づき,本件銀行の金融整理管財人として預金保険機構を選任した。これに伴い,同機構が本件銀行の代表として業務の執行並びに財産の管理及び処分を行っていくこととなった。

本件銀行の金融整理管財人である預金保険機構は,預金保険法により,①現経営陣に代わって本件銀行の業務を運営するほか,②預金や資産を引き継ぐ金融機関
(受皿金融機関)を選定し,
当該金融機関に事
業譲渡を行うこと,③現経営陣の責任追及を行うことなどの役割が定められている。


預金保険で保護される範囲を超える部分の預金や一般債権については,本件銀行の財産の状況に応じて公平,公正に弁済を進めてゆく必要があるため,今後,本件銀行は,再生手続により,裁判所の監督下で必要な諸手続を進めていくこととなる。


本件銀行は,再生手続の開始決定を経て,営業を継続しながら事業譲渡の準備を進め,
約8か月後を目途に本件銀行の事業の一部(問題の
ない資産や預金保険で保護される預金)を,
預金保険法に基づいて預金
保険機構の全額出資によって設立された承継銀行である株式会社E銀行(以下「E銀行」という。)に譲渡することを予定している。一方,譲渡の対象とならない預金や一般の債権等は本件銀行に残され,再生手続の中で弁済されることになる。

(ク)

本件銀行は,平成22年9月10日,東京地方裁判所に対し,再生
手続開始の申立てを行い,同月13日,同裁判所より,再生手続開始決定を受けた。(乙7)
上記の再生手続開始の申立てにより,本件銀行について,預金保険法49条2項1号の規定する第一種保険事故が発生したこととなった。(ケ)

本件銀行は,平成22年9月10日,E銀行との間で,事業譲渡,
資金支援等を骨子とする基本合意を締結し,E銀行の支援を受けつつ,預金保険法で保護される預金の払戻しや既存の借り手に対する融資等の業務を継続することとなった。(乙7)
(コ)

本件銀行は,平成22年9月16日及び17日,債権者説明会を実
施した。(乙14)
上記債権者説明会における本件銀行による説明の要旨は,次のaないしdのとおりであり,上記説明は本件銀行のホームページにも掲載された。(乙14)

金融庁長官は,平成22年9月10日,預金保険法74条1項に基づき,本件銀行に対し,金融整理管財人による管理を命ずる処分をするとともに,同法77条に基づき,本件銀行の金融整理管財人として預金保険機構を選任した。これに伴い,同機構が本件銀行の代表として業務の執行並びに財産の管理及び処分を行っていくこととなった。

本件銀行は,平成22年9月13日,再生手続開始決定を受け,裁判所及び監督委員の監督の下,営業を継続しながら事業譲渡の準備を進め,約8か月後を目途に,本件銀行の事業の一部をE銀行に譲渡することを予定している。
上記事業譲渡の対象外の資産(預金保険で保護される範囲を超える部分の預金や一般の債権等)は,E銀行に承継されることなく本件銀行に残され,裁判所及び監督委員の監督下で,本件銀行の財産の状況に応じて公平,公正に弁済されることになる。


本件銀行は,上記bのとおり,事業譲渡と,対象外の資産の売却代金を原資とする再生債権者に対する弁済を行って,解散して清算する予定である。


本件株式は,本件銀行が預金保険法74条5項に基づいて「その財産をもつて債務を完済することができない」旨を申し出たため,無価値となる見込みである。

(サ)

本件銀行の平成22年9月30日現在の中間貸借対照表では,純資
産はマイナス1900億0400万円とされていた。(乙15)

本件株式譲渡
原告は,平成22年10月20日付けの株式譲渡契約に基づき,同日,C税理士に対し,
本件株式3100株を1株当たり1円
(合計3100円)
で譲渡した(本件株式譲渡)。(前提事実(2)イ)


本件株式譲渡後の経過
(ア)

本件銀行の平成23年3月31日現在の貸借対照表では,純資産は
マイナス3629億7200万円とされていた。(乙16)
(イ)

本件銀行は,平成23年4月25日,E銀行に対し,事業の一部を
譲渡した。(乙7)
また,本件銀行は,同日,株式会社Fに対し,上記の事業譲渡によりE銀行に譲渡されなかった資産の一部を譲渡した。(乙7)
一方,預金保険機構は,E銀行及び本件銀行からの申込みを受け,同日付けで,上記各銀行への資金援助を行った。(乙8)
(ウ)

本件銀行は,平成23年7月27日,再生計画案を東京地方裁判所
に提出し,
同年11月15日,
同裁判所から再生計画の認可決定を受け,
上記再生計画の認可決定は,同年12月14日に確定した。(乙7,乙8)
なお,上記再生計画では,本件銀行の事業再建については何の規定も設けられておらず,本件銀行は,再生計画認可の決定の確定の日の1か月後の日に発行済株式の全部を無償取得し,最終的には解散し,清算手続に移行した上で,
清算を結了させることを予定しているとされていた。
(乙7,乙8,弁論の全趣旨)
(エ)

金融庁長官は,平成24年9月10日,本件銀行に対し,銀行法3
7条1項3号に基づき,解散認可を行うとともに,預金保険法75条1項に基づき,金融整理管財人による管理を命ずる処分の取消しをした。(乙8)
(オ)

本件銀行は,平成24年9月10日付けで解散し,清算法人となっ
た。
(3)

本件株式譲渡時点における本件株式の「資産」該当性の有無
上記認定事実を踏まえて,本件株式について,本件株式譲渡の時点において,所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」に該当するかどうか検討する。

イ(ア)

この点,まず,会社法上,株式会社は純資産額が300万円を下回
る場合には剰余金の配当を行うことはできず
(同法458条,
453条)

清算に際しても,残余財産がある場合に限りその分配が可能とされているところ(同法502条),本件銀行は,平成22年9月10日,金融庁長官に対し,約1870億円の債務超過に陥った旨の申出をしており(認定事実ア(カ)),同月30日現在の中間貸借対照表では,純資産はマイナス1900億0400万円とされ(認定事実ア(サ)),
平成23年
3月31日現在の貸借対照表でも,純資産はマイナス3629億7200万円とされていたことからすると(認定事実ウ(ア)),本件銀行が本件株式譲渡の前後を通じて極めて多額の債務超過に陥っていたことは明らかであり,本件株式譲渡の時点において,剰余金の配当や残余財産の分配を行う余地はなかったものと認めることができる。
(イ)

また,本件銀行については,平成22年9月10日,預金保険法7
4条1項に基づき,金融庁長官により,金融整理管財人による管理を命ずる処分がされ(認定事実ア(カ)),同日の再生手続開始の申立てにより,同法に基づく破綻処理手続が開始されていたところ(認定事実ア(ク)),同日に預金保険機構が作成してホームページに掲載した「A銀行の経営破綻と今後の業務等について」と題する文書では,「破綻処理の流れ」と題する本件銀行の破綻処理に係るスケジュールにおいて,本件銀行がE銀行に対する一部事業譲渡後,解散して清算する予定であることが明記されており(認定事実ア(キ)),それから間もない同月16日及び17日に実施された本件銀行の債権者説明会においても,原告が解散して清算する予定であり,本件株式は無価値となる見込みであると説明されていたこと(認定事実ア(コ)),そして,証拠(乙10,乙11)及び弁論の全趣旨によれば,同法に基づく金融機関の破綻処理においては,通常,破綻金融機関は存続させないことが前提条件とされているものと認められることなどからすると,本件銀行は,金融庁長官によって同月10日に金融整理管財人による管理を命ずる処分がされた時点において,E銀行に対する一部事業譲渡や再生手続による残余財産の債権者への弁済等の後,解散して清算法人となることが予定されていたものと認めることができる。
(ウ)

このように,本件銀行が本件株式譲渡の前後を通じて極めて多額の
債務超過状態に陥っており,剰余金の配当や残余財産の分配を行う余地はなかったことからすると,本件銀行の株主は,本件株式譲渡の時点において,もはや,利益配当請求権,残余財産分配請求権等の自益権を現実に行使し得る余地はなく,また,同時点において,本件銀行は,E銀行に対する一部事業譲渡の後に解散して清算されることが予定されていたことからすると,後に自益権を現実に行使し得るようになる蓋然性もなかったというべきである。
ウ(ア)

次に,前記認定のとおり,金融庁長官が,平成22年9月10日,
本件銀行に対し,預金保険法74条1項の規定する金融整理管財人による管理を命ずる処分をし,
本件銀行の金融整理管財人として預金保険
機構を選任したことにより(認定事実ア(カ)),預金保険機構は,同法77条に基づき,本件銀行の代表権,業務執行権及び財産の管理処分権を専属的に保有し,本件銀行の財産的側面のみならず組織的側面の活動に係る権限をも有することとなり,代表取締役の選任など,会社法上又は本件銀行の定款上,取締役会の決議を必要とされる事項についても,単独で行い得ることとなった。
(イ)

また,前記認定のとおり,金融整理管財人による管理を命ずる処分
を受けた被管理金融機関である本件銀行は,その財産をもって債務を完済することができない状況にあったことから
(認定事実ア(カ),
(サ))

預金保険法87条1項により,株主総会の特別決議によることなく,裁判所の許可を得て,資本金の額の減少,事業の全部又は重要な一部の譲渡,解散を行うことができることとなったほか,本件銀行の金融整理管財人となった預金保険機構は,同条3項により,株主総会等の決議を要することなく,裁判所の許可を得て,取締役等を解任し,同条4項により,同条3項の規定によって欠員が生じた場合に取締役等の選任をすることができることとなった。
(ウ)

このように,金融庁長官が,平成22年9月10日付けで,本件銀
行に対し,預金保険法74条1項の規定する金融整理管財人による管理を命ずる処分をし,本件銀行の金融整理管財人として預金保険機構を選任したことにより,本件銀行においては,金融整理管財人である預金保険機構が,本件銀行の財産の管理処分権及び業務執行権を有することとなり,会社法上及び本件銀行の定款上は取締役会の決議を必要とする事項を単独で行うことが可能となっていた。また,本件銀行がその財産をもって債務を完済することができない状況にあったため,裁判所の許可を得れば,本件銀行は,株主総会の特別決議によらず,本件銀行の資本金の額の減少,事業の全部又は重要な一部の譲渡及び解散を行うことができるようになり,
本件銀行の金融整理管財人となった預金保険機構は,
株主総会の決議等を要することなく,本件銀行の取締役等の解任及び選任をすることができるようになったことからすると,金融庁長官による同項所定の処分がされた時点において,本件銀行の株主は,本件銀行の存続を前提とする経営等の意思決定に参画することができなくなっており,一般的に株主総会における議決権等の共益権を現実に行使し得る余地を失っていたものと認めるのが相当であり,また,前記イ(イ)で説示したとおり,同時点において,本件銀行は解散して清算されることが予定されていたことからすると,後に共益権を現実に行使し得るようになる蓋然性もなかったものと認めるのが相当である。

以上によれば,本件株式譲渡の時点において,本件株式は,一般的に,自益権及び共益権を現実に行使し得る余地を失っており,かつ,その後に自益権及び共益権を行使することができるようになる蓋然性も認められなかったというべきであるから,所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」には該当しないものと認めるのが相当である。
オ(ア)

これに対し,原告は,まず,株式の経済的価値の喪失は株式の消却
といった客観的な事由をもって判断すべきであると主張する。しかしながら,株式が譲渡所得の基因となる「資産」に該当するかどうかは,当該株式の自益権及び共益権が法的に消滅しているかどうかという観点から検討するだけでは足りず,株主がこれらの権利を行使することが事実上可能かどうかといった観点や,行使した場合に実益があるかどうかといった観点からも検討を行うべきであるから,本件株式が消却されて法的に消滅するまでは本件株式が所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」に該当するという原告の主張を採用することはできない。そして,このような解釈が租税法律主義に反するものと解することもできない。
また,証拠(甲8)及び弁論の全趣旨によれば,原告の指摘するとおり,金融商品会計基準は,金融資産の消滅の認識要件について,「金融資産の契約上の権利を行使したとき,権利を喪失したとき又は権利に対する支配が他に移転したときは,当該金融資産の消滅を認識しなければならない」と規定しているものと認めることができるものの,金融商品会計基準は,会社における金融商品の会計処理に適用されるものであって,個人が株式を譲渡した場合に当該株式が所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」に該当するかどうかという問題を規律するものではない上,金融商品会計基準は,金融資産の契約上の権利を喪失したときは金融資産の消滅を認識しなければならないと定めるだけで,金融資産の経済的価値がいつの時点で喪失するのか,何を基準として経済的価値の喪失を判断するのかを示すものではないから,金融商品会計基準の規定の存在をもって,株式は消却されて法的に消滅するまでは同法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」に該当すると解することはできない。
さらに,
原告が指摘する国税不服審判所平成24年9月25日裁決
(甲
9)も,本件とは争点及び事実関係を異にするものであり,上記裁決の存在をもって,株式は消却されて法的に消滅するまでは同項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」に該当すると解することはできない。したがって,消却されるまでは本件株式が同項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」に該当するという原告の主張を採用することはできない。
(イ)

また,租税特別措置法37条の10の2第1項は,特定管理株式が
株式としての価値を失ったことによる損失が生じた場合として,特定株式会社等が解散(合併による解散を除く。)をし,その清算が結了したことと(1号),前号に掲げる事実に類する事実として政令で定めるもの(2号)を規定しており,この規定を受けて,租税特別措置法施行令25条の8の2第2項は,租税特別措置法37条の10の2第1項2号の規定する同項1号に掲げる事実に類する事実として,特定株式会社等が破産法の規定による破産手続開始の決定を受けたこと(租税特別措置法施行令25条の8の2第2項1号),特定株式会社等がその発行済株式の全部を無償で消滅させることを定めた会社更生法2条2項に規定する更生計画につき同法の規定による更生計画認可の決定を受け,当該更生計画に基づき当該発行済株式の全部を無償で消滅させたこと(租税特別措置法施行令25条の8の2第2項2号),特定株式会社等がその発行済株式(投資法人にあっては発行済み投資口)の全部を無償で消滅させることを定めた民事再生法2条3号に規定する再生計画につき同法の規定による再生計画認可の決定を受け,当該再生計画に基づき当該発行済株式の全部を無償で消滅させたこと(租税特別措置法施行令25条の8の2第2項3号),特定株式会社等が預金保険法111条1項の規定による同項の特別危機管理開始決定を受けたこと(租税特別措置法施行令25条の8の2第2項4号)を規定しているところ,本件株式譲渡の時点において,本件株式及び本件銀行について,上記各条項の規定する事実がいずれも生じていなかったことは確かである。
しかしながら,租税特別措置法37条の10の2は,「貯蓄から投資へ」
という政策的要請の下,
一般の個人投資家の利便性の向上に配慮し,
株式投資を促進する環境を整備する観点から,株主や取得価額の真正性を確認できるよう適正な執行のための担保が必要であることををも踏まえ,特定管理株式等について,発行会社の清算結了等により価値を失った場合の損失が生じた場合には,これを株式等の譲渡損失とみなすという特例の規定であり,そもそも,上場されておらず,特定管理株式等に該当しない本件株式には適用される余地のないものである。また,上記各条項の規定の仕方等に鑑みても,上記各条項が,株式が無価値化する場合を一般的に規定したものと解することはできないから,上記各条項の規定する事実が生じるまでは本件株式が所得税法33条1項の規定する「資産」に該当するという原告の主張を採用することはできない。(ウ)

さらに,原告が指摘するように,預金保険法74条1項の規定する
金融整理管財人による管理を命ずる処分がされた場合でも,これにより直ちに当該処分を受けた金融機関が清算手続に移行するというわけではないことや,同法75条1項が,同法74条1項の規定する管理を命ずる処分がされた後も,同処分を取り消すべき場合を定めていることは確かである。
しかしながら,前記イ(イ)で説示したとおり,本件銀行に関しては,本件株式譲渡がされる以前に同項の規定する管理を命ずる処分がされた時点で,E銀行に対する一部事業譲渡等がされた後に解散して清算されることが予定されていたのであるから,同法75条1項の規定上は管理を命ずる処分の取消しがされる余地があったからといって,
本件株式が,
所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」に該当するものと認めることはできない。
(エ)

加えて,原告が指摘するように,本件銀行については,再生型の倒
産手続の一つとされる民事再生法に基づく再生手続がとられており,本件株式譲渡がされた時点では,再生計画案も作成されていなかったことも確かである(認定事実ア(ク),ウ(ウ))。
しかしながら,前記認定のとおり,本件銀行に対して預金保険法74条1項の規定する金融整理管財人による管理を命ずる処分がされた平成22年9月10日に預金保険機構が作成してホームページに掲載した「A銀行の経営破綻と今後の業務等について」と題する文書では,添付された「破綻処理の流れ」と題する本件銀行の破綻処理に係るスケジュールにおいて,本件銀行がE銀行に対する一部事業譲渡後,解散して清算する予定であることが明記されていたこと(認定事実ア(キ)),それから間もない同月16日及び17日に実施された本件銀行の債権者説明会においても,原告が解散して清算する予定であると説明されていたこと(認定事実ア(コ)),これらに加えて,上記の預金保険機構作成の文書及び本件銀行の債権者説明会における説明では,同法で保護されない債権者に対して裁判所及び監督委員の監督下で公平,公正な弁済を行うために民事再生法に基づく再生手続開始の申立てをしたとの説明がされており(認定事実ア(キ),(コ)),現に,本件銀行の再生計画では,本件銀行の事業再建手続について何の規定も設けられず,かえって,本件銀行については,再生計画認可の決定の確定の日の1か月後の日に発行済株式の全部を無償取得し,最終的には解散し,清算手続に移行した上で,清算を結了させることを予定しているとされていたことなどからすると(認定事実ウ(ウ)),やはり,本件銀行については,再生手続開始の申立ての時点において,一部事業譲渡等を行った後に解散して清算することが予定されていたものと認めるのが相当である。
そして,(乙
証拠
7,乙8,乙10,乙11)及び弁論の全趣旨によれば,本件銀行のように第一種保険事故が生じた場合の破綻処理の方式については,保険金支払方式と資金援助方式という2つの方法があるところ,保険金支払方式が,預金の払戻しを中止し,原則として破産手続等の清算型倒産手続の下で金融機能が消滅するのに対し,資金援助方式は,預金の払戻しを継続し,再生手続等の再建型倒産手続の下で金融機能が継続する関係にあるため,資金援助方式の方が金融機能が継続し,混乱等の社会経済的損失が少なくなるといえること,また,弁済及び配当見込額は,金融機能が継続する資金援助方式の方が,金融機能が消滅する保険金支払方式よりも多くなり,その結果,資金援助によると見込まれる費用が,保険金の支払を行うときに要すると見込まれる費用よりも原則として少なくなると考えられているため,こうした観点から,資金援助方式を選択するのが相当であるとされているものと認められる。そうすると,本件銀行については,その破綻処理について,破綻金融機関から救済金融機関が合併等により預金を含めその事業を譲り受けることによって預金を保護するという資金援助方式が採用されたことを踏まえ,預金者保護及び金融機能の継続を図りつつ,将来的な解散及び清算に向けた破綻処理手続を進めることを目的として,民事再生法に基づく再生手続がとられたにすぎなかったものと認めるのが相当であり,本件銀行について,再建型の倒産手続である再生手続がとられたことをもって,本件銀行自身の事業の再生が予定されていたものと認めることはできないし,
実際には,
再生計画において本件銀行自身の事業の再生が定められる見込みはなかったものと認めることができる。
また,証拠(甲10の1ないし5)及び弁論の全趣旨によれば,再生手続開始決定を受けた会社の株式が取引された事例も認めることができるものの,
所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる
「資産」
に該当するか否かの判断は個別に行われるべきものであり,前記イ(イ)で説示したとおり,
本件銀行については,
再生手続開始の申立てがされ,
その旨の決定がされた時点において,事業の再建が予定されておらず,E銀行に対する一部事業譲渡の後に解散して清算されることが予定されており,前記エで説示したとおり,本件株式は,本件株式譲渡に先立って金融整理管財人による管理を命ずる処分がされた段階で,一般的に自益権及び共益権を現実に行使し得る余地を失っており,かつ,その後に自益権及び共益権を現実に行使し得るようになる蓋然性も認められなかったことからすると,やはり,本件株式については,本件株式譲渡の時点において,同項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」に該当すると認めることはできないというべきである。
(オ)

その他,原告は,現にC税理士が本件銀行の再生計画の内容によっ
ては本件株式が値上りする可能性もあると考えて本件株式を購入しているとして(甲11),本件株式譲渡の時点で本件株式の経済的価値は失われていなかったと主張する。
しかしながら,本件株式が本件株式譲渡の時点で株式としての経済的価値を有するか否かの判断は,自益権及び共益権の有無を基準として客観的事実に基づいて判断されるべきものであり,本件株式譲渡の当事者であるC税理士や原告の主観的意図によって判断されるべきものではない。そして,前記イないしエで説示したとおり,本件株式は,本件株式譲渡に先立って金融整理管財人による管理を命ずる処分がされた段階で,一般的に自益権及び共益権を現実に行使し得る余地を失っており,かつ,
その後に自益権及び共益権を現実に行使し得るようになる蓋然性も認められなかったのであるから,原告とC税理士の間で,本件株式を1株1円で譲渡され,現にその代金が支払われていたとしても,つまり,株式の譲渡としては全く有効にされていたとしても,客観的にみて,本件株式が譲渡所得の基因となる「資産」に該当するものであったと認めることはできない。
(カ)

したがって,原告の主張はいずれも採用することはできず,本件株
式は,本件株式譲渡の時点において,所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」には該当しないものと認めるのが相当である。
2
原告の平成22年分の所得税額と本件各処分の適法性について
(1)

本件更正処分について
前記判断のとおり,原告がC税理士に対して本件株式譲渡をした時点にお
いて,本件株式は所得税法33条1項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」には該当しなかったから,本件株式譲渡は,株式等に係る譲渡所得等の金額の計算の基礎に含まれないことになる。そして,前提事実によれば,原告の平成22年分の所得税に係る納付すべき税額は,
別紙2記載1のとおり,
4310万9000円と認めるのが相当であり(不動産所得の金額,利子所得の金額,配当所得の金額,給与所得の金額,雑所得の金額の合計額である総所得金額,所得控除の額の合計額,課税される所得金額のうちの課税総所得金額,源泉徴収税額及び予定納税額は,当事者間に争いがない。),本件更正処分における納付すべき税額は上記金額と同額であるから,本件更正処分は適法である。
(2)

本件賦課決定処分について
上記のとおり,本件更正処分は適法であるところ,原告が本件更正処分に
より新たに納付すべきこととなった税額については,その計算の基礎となった事実のうちに本件更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて国税通則法65条4項に規定する正当な理由があると認められるものがあるとは認められないから,上記の税額については,同条に基づいて過少申告加算税が課されることになる。
そして,原告に課されるべき平成22年分の所得税に係る過少申告加算税の額は,別紙2記載2のとおり,459万8000円と認められ,本件賦課決定処分における過少申告加算税の額は上記金額と同額であるから,本件賦課決定処分は適法である。
3
結論
以上によれば,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第2部

裁判長裁判官

増田
裁判官

齊藤稔充洋
裁判官

佐野義孝
(別紙1)
関係法令の定め
1
所得税法関係
所得税法33条1項は,譲渡所得とは,資産の譲渡による所得をいう旨規定している。

2
租税特別措置法関係
(1)

租税特別措置法
(平成26年法律第10号による改正前のもの。
以下同じ。


37条の10第1項は,居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が,平成16年1月1日以後に株式等の譲渡をした場合には,当該株式等の譲渡による譲渡所得については,所得税法22条及び89条並びに165条の規定にかかわらず,他の所得と区分し,その年中の当該株式等の譲渡に係る譲渡所得の金額に対し,株式等に係る課税譲渡所得の金額の100分の15に相当する金額に相当する所得税を課す旨規定している。
(2)

租税特別措置法37条の10の2第1項は,
居住者又は国内に恒久的施設を

有する非居住者について,その有する特定管理株式(特定口座で管理されていた上場株式等が上場株式等に該当しないこととなった日以後引き続き金融商品取引業者等に開設される特定管理口座に保管の委託がされている内国法人の株式)又は特定保有株式(平成21年1月4日において特定管理株式であった株式で同年1月5日に特定管理口座から払い出されたもののうち,同日以後その株式と同一銘柄の株式の取得及び譲渡をしていないものであることにつき一定の証明がされたもの。
以下,
特定管理株式と併せて
「特定管理株式等」
という。

が株式としての価値を失ったことによる損失が生じた場合として,①
当該特

定管理株式等を発行した株式会社又は投資信託及び投資法人に関する法律2条第12項に規定する投資法人(以下「特定株式会社等」という。)が解散(合併による解散を除く。)をし,その清算が結了したこと(1号),及び,②

号に掲げる事実に類する事実として政令で定めるもの(2号)という事実が発生したときは,当該事実が発生したことは当該特定管理株式等の譲渡をしたことと,当該損失の金額として政令で定める金額は当該特定管理株式等の譲渡をしたことにより生じた損失の金額とそれぞれとみなして,この条及び租税特別措置法37条の10の規定その他の所得税に関する法令の規定を適用する旨規定している。
(3)

租税特別措置法施行令25条の8の2第2項
(平成22年政令第58号によ

る改正前のもの。以下同じ。)は,租税特別措置法37条の10の2第1項2号の規定する政令で定める事実として,①

特定株式会社等が破産法の規定に

よる破産手続開始の決定を受けたこと(1号),②
特定株式会社等がその発

行済株式の全部を無償で消滅させることを定めた会社更生法2条2項に規定する更生計画につき同法の規定による更生計画認可の決定を受け,当該更生計画に基づき当該発行済株式の全部を無償で消滅させたこと(2号),③
特定株

式会社等がその発行済株式(投資法人にあっては発行済み投資口)の全部を無償で消滅させることを定めた民事再生法2条3号に規定する再生計画につき同法の規定による再生計画認可の決定を受け,当該再生計画に基づき当該発行済株式の全部を無償で消滅させたこと(3号),及び,④
特定株式会社等が預

金保険法111条1項の規定による同項の特別危機管理開始決定を受けたこと(4号)を規定している。
3
国税通則法関係
(1)

国税通則法65条1項は,
法定申告期限内に確定申告書が提出された場合

において,修正申告書の提出又は更正があったときは,当該納税者に対し,その修正申告又は更正に基づいて納付すべき税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する旨,同条2項は,前項の規定に該当する場合において,同項に規定する納付すべき税額(同項の修正申告又は更正前に当該修正申告又は更正に係る国税について修正申告書の提出又は更正があったときは,その国税に係る同条3項1号の規定する累積増差税額を加算した金額)がその国税に係る期限内申告税額に相当する金額と50万円とのいずれか多い金額を超えるときは,同条1項の過少申告加算税の額は,同項の規定にかかわらず,同項の規定により計算した金額に,当該超える部分に相当する税額(同項に規定する納付すべき税額が当該超える部分に相当する税額に満たないときは,当該納付すべき税額)に100分の5の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする旨,同条4項は,同条1項又は2項に規定する納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちにその修正申告又は更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて正当な理由があると認められるものがある場合には,上記各項に規定する納付すべき税額からその正当な理由があると認められる事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除して,上記各項の規定を適用する旨,それぞれ規定している。
(2)

国税通則法118条1項は,国税(印紙税及び附帯税を除く。)の課税標
準を計算する場合において,その額に1000円未満の端数があるとき,又はその全額が1000円未満であるときは,その端数金額又はその全額を切り捨てる旨,同条3項は,附帯税の額を計算する場合において,その計算の基礎となる税額に1万円未満の端数があるとき,又はその税額の全額が1万円未満であるときは,その端数金額又はその全額を切り捨てる旨,それぞれ規定している。
(3)

国税通則法119条1項は,国税(自動車重量税,印紙税及び附帯税を除
く。)の確定金額に100円未満の端数があるとき,又はその全額が100円未満であるときは,その端数金額又はその全額を切り捨てる旨,同条4項は,附帯税の確定金額に100円未満の端数があるとき,又はその全額が1000円未満(加算税に係るものについては,5000円未満)であるときは,その端数金額又はその全額を切り捨てる旨,それぞれ規定している。4
預金保険法関係
(1)

預金保険法2条4項は,
「破綻金融機関」とは,業務若しくは財産の状況に

照らし預金等の払戻し(預金等に係る債務の弁済をいう。以下同じ。)を停止するおそれのある金融機関又は預金等の払戻しを停止した金融機関をいう旨規定している。
(2)

預金保険法49条2項1号は,
預金等の払戻しについて預金保険機構と金融

機関及び預金者等の間に成立する保険関係においては,金融機関の預金等の払戻しの停止を保険事故(以下「第一種保険事故」という。)とする旨規定している。
(3)

預金保険法74条1項は,
内閣総理大臣は,
金融機関がその財産をもって債

務を完済することができないと認める場合等に,当該金融機関に対し,金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分(以下「管理を命ずる処分」という。)をすることができる旨,同条3項は,管理を命ずる処分を受けた金融機関は破綻金融機関とみなす旨,同条5項は,金融機関は,その財産をもって債務を完済することができないとき等には,その旨及びその理由を,文書をもって,内閣総理大臣に申し出なければならない旨,それぞれ規定している。(4)

預金保険法75条1項は,内閣総理大臣は,管理を命ずる処分について,そ
の必要がなくなったと認めるときは,当該管理を命ずる処分を取り消さなければならない旨規定している。
(5)

預金保険法77条1項は,
管理を命ずる処分があったときは,
被管理金融機

関を代表し,業務の執行並びに財産の管理及び処分を行う権利は,金融整理管財人に専属する旨,
同条2項は,
内閣総理大臣は,
管理を命ずる処分と同時に,
1人又は数人の金融整理管財人を選任しなければならない旨,それぞれ規定している。
(6)

預金保険法87条1項
(平成25年法律第45号による改正前のもの。
以下

同じ。)は,銀行等である被管理金融機関がその財産をもって債務を完済することができない場合には,
当該被管理金融機関は,
会社法の規定にかかわらず,
裁判所の許可を得て,資本金の額の減少(1号),事業の全部又は重要な一部の譲渡(2号)及び解散(3号)を行うことができる旨,同条3項は,金融整理管財人は,会社法等の規定にかかわらず,裁判所の許可を得て,被管理金融機関の取締役,会計参与,監査役又は会計監査人を解任することができる旨,同条4項は,前項の規定により被管理金融機関の取締役,会計参与,監査役又は会計監査人を解任しようとする場合において,解任により法律又は定款に定めた取締役,
会計参与,
監査役又は会計監査人の員数を欠くことになるときは,
金融整理管財人は,会社法等の規定にかかわらず,裁判所の許可を得て,被管理金融機関の取締役,会計参与,監査役又は会計監査人を選任することができる旨,それぞれ規定している。
(7)

預金保険法102条1項3号
(平成25年法律第45条による改正前のもの。

以下同じ。)は,内閣総理大臣は,破綻金融機関に該当する銀行等であって,その財産をもって債務を完済することができないものについて,同法101条から119条までの規定に定める措置が講ぜられなければ,我が国又は当該金融機関が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認めるときは,金融危機対応会議の議を経て,当該措置を講ずる必要がある旨の認定を行うことができる旨規定している。
(8)

預金保険法111条1項は,
内閣総理大臣は,
同法102条1項3号の規定

する措置に係る認定と同時に,預金保険機構が当該認定に係る銀行等の株式を取得することの決定(特別危機管理開始決定)をするものとする旨規定している。
(9)

預金保険法139条1項は,内閣総理大臣は,一部のものを除き,この法律
による権限を金融庁長官に委任する旨規定している。
以上

(別紙2)
本1件各処分の根拠
本件更正処分の根拠
(原告の平成22年分の所得税に係る納付すべき税額等)
(1)

総所得金額

7508万1366円

上記金額は,次のアないしオの各金額の合計額である。

不動産所得の金額

マイナス76万0795円

上記金額は,原告が本件修正申告書に記載した不動産所得の金額と同額である。

利子所得の金額

1183万6432円

上記金額は,原告が本件修正申告書に記載した利子所得の金額と同額である。

配当所得の金額

53万5263円

上記金額は,原告が本件修正申告書に記載した配当所得の金額と同額である。

給与所得の金額

5011万3001円

上記金額は,原告が本件修正申告書に記載した給与所得の金額と同額である。

雑所得の金額

1335万7465円

上記金額は,原告が本件修正申告書に記載した雑所得の金額と同額である。
(2)

株式等に係る譲渡所得等の金額(未公開分)
2億4938万2600円
上記金額は,原告が平成22年3月5日付けの株式譲渡契約に基づいてD
に対して本件銀行の株式950株を譲渡した際の収入金額3億1825万円から,同株式の取得費6886万7400円を差し引いた金額である。(3)

所得控除の額の合計額

298万6690円
上記金額は,原告が本件修正申告書に記載した所得控除の金額と同額である。
(4)

課税される所得金額
課税総所得金額

7209万4000円

上記金額は,前記(1)の総所得金額7508万1366円から上記(3)の所得控除の額の合計額298万6690円を控除した後の金額(ただし,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)である。

株式等に係る課税譲渡所得等の金額

2億4938万2000円

上記金額は,
前記(2)の株式等に係る譲渡所得等の金額について,
国税通
則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた後の金額である。
(5)

申告納税額

4557万7400円

上記金額は,次のアの算出税額からイの源泉徴収税額を控除した後の金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)である。

算出税額

6344万8900円

上記金額は,次の(ア)の課税総所得金額に対する税額及び(イ)の株式等に係る課税譲渡所得等の金額に対する税額の合計額である。
(ア)

課税総所得金額に対する税額

2604万1600円

上記金額は,
前記(4)アの課税総所得金額に所得税法89条1項の税率
を乗じて算出した金額である。
(イ)

株式等に係る課税譲渡所得等に対する税額

3740万7300円

上記金額は,
前記(4)イの株式等に係る課税譲渡所得等の金額に租税特
別措置法37条の10第1項の税率を乗じて算出した金額である。イ
源泉徴収税額

1787万1433円
上記金額は,原告が本件修正申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。
(6)

納付すべき税額

4310万9000円

上記金額は,
前記(5)の申告納税額から原告が本件修正申告書に記載した予
定納税額246万8400円を差し引いた金額である。
2
本件賦課決定処分の根拠(原告に課されるべき過少申告加算税の額)本件更正処分により原告が新たに納付すべきこととなった税額3740万7300円を基礎として,国税通則法65条2項の規定に基づき,①
同条1項

の規定により当該新たに納付すべきこととなった税額3740万円(ただし,同法118条3項の規定により1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)
に100分の10の割合を乗じて計算した金額374万円に,②
上記の新た

に納付すべきこととなった税額3740万7300円に同法65条3項1号に定める累積増差税額290万円を加算した4030万7300円のうち,同項2号に定める期限内申告税額に相当する金額と50万円とのいずれか多い金額を超える部分に相当する税額1716万円(ただし,同法118条3項の規定により1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)に100分の5の割合を乗じて計算した金額85万8000円を加算した金額459万8000円となる。
以上

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