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免職処分取消等請求控訴事件、同附帯控訴事件
事件番号平成27(行コ)28等
事件名免職処分取消等請求控訴事件,同附帯控訴事件
裁判年月日平成27年4月16日
法廷名東京高等裁判所
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平成27年4月16日判決言渡
平成27年(行コ)第28号,第41号免職処分取消等請求控訴事件,同附帯控訴事件
主文
1本件控訴及び本件附帯控訴をいずれも棄却する
2控訴費用は控訴人の,附帯控訴費用は被控訴人の各負担とする。事実及び理由
第1当事者の求めた裁判
1控訴の趣旨
原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
上記取消部分に係る被控訴人の請求を棄却する。
2附帯控訴の趣旨
原判決中被控訴人敗訴部分を取り消す。
控訴人は,被控訴人に対し,500万円及びこれに対する平成24年10月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
1本件は,東京都教育委員会(以下「都教委」という。
)により都立学校教員と
して採用期間1年の条件付きで採用され,東京都立a中学校(以下「a中学」という。
)に勤務していた被控訴人が,東京都立b高等学校(以下「b高校」という。
)及びa中学の当時の校長であったc(以下「c校長」という。
)から採
用期間経過後の正式採用の可否につき「否」と評価され,その後,都教委から免職処分を受けたことについて,控訴人に対し,c校長の個人的悪感情による不当な評価に基づくもので都教委の裁量権を逸脱又は濫用した違法な処分であると主張して,同処分の取消しを求めるとともに,都教委の違法な免職処分及びc校長のパワーハラスメントにより甚大な精神的苦痛を被ったとして,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料500万円及びこれに対する不法行為の日の後(訴状送達の日の翌日)である平成24年10月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。原判決は,上記免職処分について都教委が裁量権を逸脱,濫用した違法なものであるとして同処分の取消請求を認容する一方,損害賠償請求については棄却したところ,控訴人がその敗訴部分(処分取消請求関係)を不服として控訴をし,被控訴人もその敗訴部分(損害賠償請求関係)を不服として附帯控訴をした。
2判断の前提となる事実並びに争点及びこれに関する当事者の主張は,次項のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第2事案の概要等」の2及び「第3本件の争点及び争点に関する当事者の主張」(2頁25行目から29頁19行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。
3原判決の補正
7頁13行目から次行にかけての全文を以下のとおり改める。
「本件の争点は,①本件処分の適法性,②本件処分が違法である場合に都教委の対応が国家賠償法1条1項所定の違法な公権力の行使に該当するか,③c校長の行為が同じく違法な公権力の行使に該当するか,である。」10頁19行目の「他の教科の教員が観察授業を行ったこと」を「他の教科の教員が観察授業に立ち会ったこと」に改める。
26頁2行目末尾の次に改行して以下のとおり加え,
同頁3行目の
「2争
点2」を「3争点3」に改める。
「2争点2(都教委の対応が国家賠償法1条1項所定の違法な公権力の行使に該当するか)
【被控訴人の主張】
本件処分は都教委が裁量権を逸脱又は濫用した違法なものであり,国家賠償法上も都教委の対応は違法であるから,控訴人は被控訴人が被った甚大な精神的苦痛について賠償責任を負う。すなわち,都教委は,c校長からの報告により,平成23年7月及び同年11月の時点でa中学の被控訴人に関する問題を認識しながら,「東京都公立学校教育職員の正式採用の決定に関する要綱の解釈及び運用方針について(通知)」に基づく対応やc校長に対する指導措置を全く執らなかった。さらに,都教委は,被控訴人からの直接の申出等により,被控訴人の指導教員が解任されたことや被控訴人に対する初任者研修が適切に実施されずこのままでは未修了になることを把握していたにもかかわらず,a中学やc校長に対して何ら指導をせず,独自に調査等をすることもなく,客観性も合理性もないc校長の判断を安易に追認して本件処分を行った。また,都教委は,本件処分に先立ち,c校長がd副校長に対してもパワーハラスメントに及んでいたことを認識していたから,c校長の被控訴人に対する評価の客観性及び合理性については特に慎重に判断すべきであったのに,これを怠った。
【控訴人の主張】
c校長が被控訴人の正式採用を「否」と判断したのは,同人の矯正不可能な資質・性格的問題によるものであり,その判断は相当である上,都教委は,c校長による業績評価及び特別評価等を参考に,被控訴人の正式採用の可否を慎重に検討した結果,採用を「否」と判断したもので,その判断に過失はない。
また,本件処分に至るまでの間,都教委の設置する東京都東部学校経営支援センターの担当者が,平成23年10月6日,a中学を訪問して授業観察及び面接指導を行い,
被控訴人に対して指導をした。
都教委としては,
被控訴人の管理職教員等に対する反抗的態度や同僚教員とのコミュニケーション欠如により,a中学において被控訴人に対する指導・育成が困難な状況にあることに問題意識を持ち,
前記の授業観察等の他,
継続的に指導・
支援を行っていた。」27頁24行目の「病気等の不足の事態」を「病気等の不測の事態」に改める。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,被控訴人の請求のうち本件処分の取消請求は理由があるが,損害賠償請求については理由がないものと判断する。その理由は,当審における当事者の主張等に鑑み次項のとおり補正するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第4当裁判所の判断」(29頁20行目から65頁13行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。
2原判決の補正
32頁2行目の「職員室に入っていた」を「職員室に入ってきた」に,4行目の「指導するともに」を「指導するとともに」にそれぞれ改める。35頁6行目の「原告の授業遂行に問題がある」を「4月から教員になったばかりの被控訴人の授業遂行に問題がある」に改める。
39頁23行目末尾の次に改行して以下のとおり加える。


その後,c校長が,被控訴人に対し,この点をキ及びクのバスケットボ
ール部の件とともに注意したが,被控訴人は納得せず,反省する態度も示さなかった(乙5,16,原審証人c)。」
47頁22行目末尾の次に「そして,被控訴人の言動を理由に生徒Aが教室内で泣き,他の教員に被害を訴えるなど,深刻な結果が現に生じている。」を加える。
48頁9行目の「c校長

,」の次に「0点事件

における被控訴人の問題性を考慮しても,生徒に対して被控訴人の面前でその授業遂行に問題があると説明し,かつ,生徒に被控訴人の問題点に関する意見を求めようとするもので,」を加える。

した事実と併せ考慮すれば,その問題性を軽視することはできない。」に改める。49頁17行目から次行にかけての「親愛の情を示した表現であり,協調性を欠くことを示すものとは評価できず,」を「親しみを込めた表現とみる余地がないではなく,礼を失した行動ではあるけれども,被控訴人が協調性を著しく欠くことを示すものとまで評価することはできず,」に改める。
50頁14行目から次行にかけての「疑問が生じるとは考え難いが,」を「疑問が生じるとは考え難く,また,被控訴人のc校長らに対する発言内容や態度も,自らの引き起こした0点事件への真しな反省に基づく適切なものであったとはいい難いが,」に改める。
56頁8行目の「事情とは考え難い。」の次に「被控訴人の課題提出に関する対応や態度に問題があったとしても,課題を提出しない限り指導教員を不在にするというc校長の対応は,課題提出を促すための方策としては不適切といわざるを得ず,初任者研修における指導教員の位置付け,役割を十分理解しないものである。」を加える。
56頁16行目から次行にかけての「この時点で原告について教員として不適格と判断し,」を「この時点で被控訴人には教員としての適格性に問題があり,被控訴人の側で自らの問題を自覚してその態度や行動を改めない限り,指導教員の配置など通常予定されている指導体制で被控訴人の改善指導を図ることは困難であって,正式採用の見込みもないと判断し,そうであれば,被控訴人の態度が改まらない限りは同人に指導教員をあえて配置する必要はないと考えて,」に改める。
57頁5行目末尾の次に改行して以下のとおり加える。
「この点について,控訴人は,a中学の特性からd副校長が初任者研修の責任者であったとか,e主幹は初任者研修テキストに沿って年間計画を立てていたと主張するけれども,研修実施要項等によれば,校長が校内初任者研修の実施主体であり,同研修結果を評価して報告する立場にあるのも校長であるから,副校長を研修責任者とする取扱いはこのような基本的な仕組みを無視するものであり,また,e主幹が立案した年間計画がどのような内容であったか明らかでないばかりか,それが都教委の策定した研修シラバスに沿ったものであるかも不明である。そして,初任者研修の実施主体であるc校長がその責任を全うしないまま,また,指導教員であるe主幹が研修シラバスの内容を把握することなく,a中学における被控訴人の初任者研修が行われたことからすれば,研修実施要項等に沿った初任者研修が適切に行われた場合と比較して,同様の効果が得られたとみることはできない。」
58頁12行目末尾の次に改行して以下のとおり加える。
「この点について,控訴人は,上記①ないし⑤のいずれにも適切に対応している旨主張するが,c校長は,平成23年11月時点で作成した育成報告書(乙8)において,被控訴人につき『改善は難しい』『全く改善されない』等の極めて厳しい評価をし,同人に総合的課題があると判断していたことは明らかであるにもかかわらず,控訴人が主張する同月15日以降の3回の個別面接又は聞き取りは,いずれも被控訴人の個別の問題行動を取り上げて注意,指導するものにすぎず,教員として被控訴人に求められる課題や改善策に関してきめ細やかな指導をしたと評価することができるものではない。また,東部センターによる授業観察も同センターの随時観察によるもので,一般的に実施されていたものであったと考えられ,c校長が被控訴人に対する指導を特に依頼していたとは認められず,その他,c校長においては被控訴人の問題行動やそれへの対応等について職務実績記録に比較的詳細な記載を継続的に行ったことを除けば,上記①ないし⑤に対応するような適切な対応を十分に執っていたと認めることはできない。」
59頁15行目の「判断している。」の次に「控訴人が主張するように,被控訴人による学習指導が他の教員の指導・支援に支えられている面があったとしても,被控訴人が初任者研修中の立場にあることを考慮すれば,その学習指導能力に深刻な問題があったとは認められない。」を加える。61頁23行目の「不当なものとはいえない。」の次に「この点に関し,被控訴人が主張するように,c校長の評価に当たってd副校長が十分な関与をしていないことを考慮しても,前判示の判断事情の下では,最終的なAないしDの評語判定はc校長の裁量的判断によるところが大きく,また,同評語判定そのものが多様な考慮要素や様々な観点に基づく総合的判断であること(甲39)を考えれば,c校長の評価全体を不当なものとみることはできない。」を加える。
62頁24行目末尾の次に改行して以下のとおり加える。
「この点に関し,控訴人は,被控訴人について協調性・資質の点で教員としての適格性を明らかに欠き,初任者研修によっても矯正不可能であると主張するが,被控訴人は教員採用試験を経て採用されている上,a中学に赴任する前にも多くの高等学校等で非常勤講師等として勤務しており,その間の指導に特段問題があったことをうかがわせる事跡がないことからすれば,控訴人の主張は一方的なものといわざるを得ない。被控訴人には赴任以前から問題があったと聞いた旨のc校長の供述(原審証人c)及び新採職員の評価所見書の総合所見における記載(乙4)は,その具体的裏付けを欠き,信用することができない。
そうすると,
控訴人に対して適切な指導・支援体制の下で
十分な初任者研修を実施することなく,また,その研修の効果やそれによる改善,向上の可能性を考慮せずに,被控訴人の教員としての適格性を即断することは相当でない。

63頁20行目末尾の次に改行して以下のとおり加え,
同頁21行目の
「3
争点2」を「4争点3」に改める。
「3争点2(都教委の対応が国家賠償法1条1項所定の違法な公権力の行使に該当するか)行政処分がその法律上の根拠を欠くものとして取り消された場合においても,このことから直ちに国家賠償法1条1項所定の違法性が認められるわけではなく,これが肯定されるのは,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさなかったと認め得るような事情がある場合に限られる(最高裁昭和53年10月20日第二小法廷判決・民集32巻7号1367頁,最高裁平成5年3月11日第一小法廷判決・民集47巻4号2863頁参照)。
ところで,都立学校に所属する条件附採用職員の正式採用の可否に関する決定は,本件要綱に定められた基準により総合的に判定するものとされ,一般的に,業績評価書における第一次評価者の総合評価が「D」又は教育委員会評価が
「1」特別評価所見における採用の可否が
で,
「否」
である者は原則として不採用とするとされているところ,そのような判断の基準自体は,本件要綱の制定の趣旨及びその内容に照らし,格別不合理な点はない。そして,被控訴人については,業績評価書における第一次評価者(c校長)の総合評価が「D」,教育委員会評価(都教委教育長)が「1」であり,特別評価所見における採用の可否の判断が「否」であったから,本件処分は本件要綱に沿ったものということができる。これに対し,被控訴人は,都教委が,本件処分に先立って被控訴人から申出等があったにもかかわらず,a中学又はc校長に対する指導や調査を行わなかったことが問題であると主張する。
この点,都教委は,条件附採用職員の育成指導に関し,校長から定期的に報告を受け,また,校長から聞き取り等を行い,条件附採用職員の指導育成に関して必要な助言等を行うものとされている(本件要綱第10)都教委による校長に対する指導や調査を義務付ける定めはなく,が,
その実施については都教委の裁量に委ねられていると解されるので,都教委が条件附採用職員の正式採用をしない場合に,あらかじめ都立学校への指導や調査を常に実施すべき義務があるとすることはできない。そして,本件における事実関係の下でも,被控訴人が東部センター等に対し複数回にわたって状況を説明したり対応を求めているところ,これを受けて都教委において,a中学に指導するなどした事実はうかがえないものの,東部センターの担当者にa中学の教員から聞き取りを行わせていた(乙9,原審証人e)ほか,c校長が都教委に提出する育成報告等を通じて,a中学における被控訴人に係る問題を把握していたと推認することができるから,この点の対応をもって都教委が通常尽くすべき注意義務を怠っていたとすることはできない。なお,c校長は,指導教員を不在にした後も,都教委や東部センターから被控訴人に係る問題の指導は一切なかったと供述するが(原審証人c),その一方では,d副校長との関係についても都教委から事情聴取や指導があったことはない旨,前記認定事実に反する供述をしており,校長としての自らの対応について都教委に迷惑をかけるような非はないという一貫した態度からそのような供述をしたとみることができるので,同人のこの点に関する供述を信用することはできない。
また,被控訴人は,正式採用の可否に関するc校長の評価が国家賠償法上違法であると主張するが,前判示のとおり,c校長の判断の前提となった被控訴人の一連の行動については,学習指導に臨む姿勢及びc校長を始めとする管理職職員や他の教員への対応に少なからぬ問題が存し,教員として将来成長していくだけの十分な資質・能力を有するとみるには疑問を挟まざるを得ない諸点があったこと,業績評価書におけるc校長の評価は,
そのかなりの部分について不当なものとは認められず,
当を得ない部分も校長としての立場や信念に基づくものとして理解できない内容ではないことに加え,教育の分野における適格性判断については専門的知識と経験に基づく相当に広い裁量が認められてしかるべきものであり,c校長による従前の評価内容が特に問題視されていたこともうかがわれないことを併せ考慮すれば,c校長の評価の一部が不合理であることや,評価に至るまでの初任者研修の実施体制や実施内容に不十分な点があったことをもって,c校長が,a中学において初任者研修を実施する立場にある校長として,その職務上通常尽くすべき注意義務を怠ったとまで認めることはできない。
さらに,c校長の評価を前提とする都教委の正式採用の可否に関する判断についても,
「東京都立学校教育職員の人事考課に関する規則」
(乙
1)によれば,都教委(教育長)が行う業績評価は,校長の行った第一次評価の内容について確認し,適当でないと認めたときは第一次評価者に再評価させるものとされており(12条6項),校長の判断を基本的に重視することが前提とされているところ,前判示のとおり,c校長の判断の相当部分には客観性・相当性があり,その内容は育成報告書や業績評価書及び特別評価所見(乙3,4,8)に具体的に記載されていることから一応の論拠が認められ,他にc校長の評価や判断に疑問を挟むべき具体的事情があったとはうかがわれないことからすれば,都教委の上記判断についても,その職務上通常尽くすべき注意義務を怠ったものということはできない。なお,被控訴人は,都教委がc校長のd副校長に対するパワーハラスメントを認識していたから,c校長の評価につき慎重に判断すべきであったとも主張するが,管理職教員であるc校長とd副校長との間の問題と,被控訴人に係る正式採用の可否に関する問題は,相関連するものではなく,都教委において前者の問題の存在を後者において斟酌すべきであるということはできず,また,都教委が従前からc校長による人事考課の問題性を把握していたといった事情もうかがわれないから,被控訴人の上記主張を採用することはできない。
そして,他に本件処分をした都教委においてその判断に当たって職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさなかったと認めるに足りる証拠はない。
そうすると,本件処分をした都教委の対応をもって国家賠償法上違法な行為であると認めることはできない。」
64頁6行目の「また,」から11行目末尾までを「また,観察授業の際に,d副校長やf主任から学習指導方法等に関する指導・助言があったことは,被控訴人も認めるところである。そして,観察授業は,0点事件を契機として開始されたものであるが,前判示のとおり,同事件における被控訴人の言動は生徒の心情を深く傷付ける危険性をはらむものであり,
0点事件発
生後,c校長は,保護者に対して,二度と起きないよう学校全体で見守っていく旨説明しているのであるから,
被控訴人の担当授業で同様のトラブルや
不測の事態が発生することのないように,
観察授業の実施を通じて被控訴人
以外の教員を立ち会わせることには合理性があり,
そのことによって被控訴
人が心理的圧迫や窮屈さを感じることがあったとしても,
授業の実施に直ち
に支障を及ぼすとは考えられず,
0点事件で生じた結果の深刻さにも鑑みれ
ば,c校長の裁量による措置として正当化されるというべきである。これに対し,被控訴人は,観察授業に立ち会っていた教員から指導・助言がなかったことを問題視するが,観察授業は,教員の学習指導面のみならず,授業運営や生徒への指導状況を把握するためにも行われるところ(甲39),0点事件で顕在化した問題はまさに被控訴人の授業運営や生徒指導に関わる問題であるから,
観察授業に立ち会った教員もそのような観点に重きを置いて
注視し,特に指摘すべき事項が認められなかったため,被控訴人に指導・助言をすることはなかったと考えられる。被控訴人は,このような観察授業が同人に苦痛を与えるためだけに実施されたと主張するが,
被控訴人による指
導の適正や授業の円滑な進行を図る観点から観察授業を実施する必要性が認められることは前判示のとおりであり,
被控訴人の指摘するような不当な意図のみでc校長が観察授業を実施したとは認められない。」に改める。64頁20行目の「しかし,
」から25行目末尾までを「しかし,その直接
的な契機は,被控訴人の課題不提出という研修態度の問題性に起因するところが大きく,被控訴人において,期限を徒過した後であっても,真しに課題に取り組んだり,周囲の教員に指導・支援を求めるなど,課題の提出に努力していたという事情はうかがわれない。被控訴人は,c校長において被控訴人等に対して課題を提出できない理由を確認すべきであったなどと主張するが,被控訴人がいったん提出した課題の問題点は,e主幹から口頭で指導を受けていたほか,
同人の記載したメモ書きにも明記されており
(甲35の2)

それに基づいて課題の再提出を試みることが困難であったとは考えにくく,d副校長やf主任からも課題の提出について指導や注意があったにもかかわらず,これをことごとく無視し,課題提出に向けた取組や努力を怠ったのは被控訴人にほかならない。また,課題を提出しない限り指導教員を不在にするとのc校長の対応は行き過ぎたものであったけれども,前判示のとおりの被控訴人の問題行動に加え,e主幹が被控訴人の初任者研修への取組やその態度をもって同人に対する指導を続けることは困難であると判断していたことからすれば,
c校長としては,
被控訴人が自らの問題点や未熟さを自覚し,
新たな姿勢で課題に取り組んで提出した上で,新任教員として指導教員等による指導・支援を真しに求めるといった状況にならない限り,指導教員による実効性のある指導は困難であると考えたことにも無理からぬ面がある。そして,e主幹が求めていた課題の提出は,被控訴人に著しい負担や困難を強いるようなものとみることもできない。さらに,e主幹を解任した後の経緯をみても,c校長が期待したような被控訴人の意識や態度の明確な変化があったとは認められず,
c校長において指導教員を不在のままとしていたのは,
このような被控訴人の言動や態度が影響していたことは否定できないとみるべきであり,c校長において専ら被控訴人に苦痛を与える目的で行った措置とは認められない。」に改める。
65頁9行目の「認められない。
」を「認められず,本件処分の前提となっ
たc校長の判断について同人がその職務上通常尽くすべき注意義務を怠った違法なものとは認められないことは前記

とおりである。に改


める。
3以上の次第で,被控訴人の請求のうち本件処分の取消請求を認容し,その余の請求を棄却した原判決は相当であり,本件控訴及び本件附帯控訴はいずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第21民事部

裁判長裁判官

齋藤
裁判官

鈴木正弘
裁判官

藤田正人隆
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