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長崎ストーカー殺人事件

住居侵入、殺人、窃盗、傷害、脅迫被告事件
事件番号平成26(あ)1160
事件名住居侵入,殺人,窃盗,傷害,脅迫被告事件
裁判年月日平成28年7月21日
法廷名最高裁判所第一小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集等巻・号・頁集刑 第320号395頁
原審裁判所名福岡高等裁判所
原審裁判年月日平成26年6月24日
判示事項死刑の量刑が維持された事例(長崎ストーカー殺人事件)
参照法条刑法11条,刑法199条,刑訴法411条2号
裁判日:西暦2016-07-21
情報公開日2017-10-17 13:49:58
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平成26年(あ)第1160号
平成28年7月21日

住居侵入殺人窃盗傷害脅迫被告事件

第一小法廷判決

主文
本件上告を棄却する
理由
弁護人白井徹,同浦城知子の上告趣意のうち,憲法36条違反をいう点は,死刑制度が憲法の同規定に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)とするところであるから,理由がない。
同弁護人らのその余の上告趣意は,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であり,被告人本人の上告趣意は,単なる法令違反,事実誤認の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。なお,所論に鑑み記録を調査しても,種々の客観的証拠等に基づき,被告人が本件各犯行の犯人であると認定した第1審判決を是認した原判断は相当であり,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。
被告人の量刑について付言する。
本件は,被告人が,(1)同棲中の交際女性に対し,ささいな理由から,2度にわたり,それぞれ顔面等を殴打するなどして傷害を負わせ,(2)異変に気付いた家族らが同女を実家に連れ戻したのを,同女の意に反するものと邪推し,同女を取り戻すなどの目的で,その職場関係者・友人・家族ら8名に対し,殺害予告等を内容とする電子メール合計17通を送信してそれぞれ脅迫し,(3)一向に同女に会えない状況から次第にその家族への憤りを増幅させ,同女を取り戻す障害と考えていた家族らの殺害を決意し,同女の祖母方及び隣接する父母方に立て続けに侵入し,祖母及び母をいずれも出刃包丁で刺殺し,さらに,逃走資金を得る目的で両名の財布を窃取したという事案である。
本件各犯行の動機は甚だ身勝手で,前記電子メールの内容等から認められる殺人の動機も,交際女性を取り戻すことへの一方的かつ極端な執着と,その障害と考えていた同女の家族らを殺害してでも排除しようとするものにほかならず,酌量の余地は全くない。殺害に用いるためあらかじめ洋包丁を購入し,インターネットで同女の家族の住居を調べるなど周到に準備した上,三重県の自宅から長崎県西海市まで赴いており,殺害の計画性も高い。被告人は,持参した洋包丁よりも殺傷能力の高い出刃包丁を祖母方で発見するや,これを用いて,無抵抗の被害者らの胸腹部を,祖母には4回,母には11回繰り返し突き刺して失血死させており,いずれの殺害行為も強固な殺意に基づく執拗かつ残忍なものである。何ら落ち度のない2名の生命が奪われた結果は重大であり,遺族らが厳しい処罰感情を示しているのも当然である。
以上のような事情に照らすと,被告人の刑事責任は極めて重大であるといわざるを得ず,罰金前科しかないことなど,被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,やむを得ないものとして,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。検察官宇川春彦
(裁判長裁判官
大谷直人

公判出席
池上政幸

裁判官

小池

裁判官

櫻井龍子

裕)
裁判官

山浦善樹

裁判官

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