判例検索β > 平成26年(あ)第639号
詐欺、詐欺未遂、窃盗、殺人被告事件
事件番号平成26(あ)639
事件名詐欺,詐欺未遂,窃盗,殺人被告事件
裁判年月日平成29年4月14日
法廷名最高裁判所第二小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集等巻・号・頁集刑 第321号83頁
原審裁判所名東京高等裁判所
原審裁判年月日平成26年3月12日
判示事項死刑の量刑が維持された事例(首都圏連続不審死事件)
参照法条刑法11条,刑法199条,刑訴法411条2号,刑訴法411条3号
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平成26年(あ)第639号
平成29年4月14日

詐欺,詐欺未遂,窃盗,殺人被告事件

第二小法廷判決

主文
本件上告を棄却する
理由
弁護人鈴木敏彦,同中島健の上告趣意は,判例違反をいう点を含め,実質は事実誤認の主張であり,弁護人樋口明巳の上告趣意は,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。
なお,所論に鑑み記録を調査しても,以下のとおり,本件につき,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。
1
原判決の是認する第1審判示第4,第5,第8の各殺人の事実は,被告人
が,嘘を重ねて交際し,金銭的支出をさせていた各被害者に対し,同人らを睡眠状態等に陥らせた上,練炭を燃焼させるなどして一酸化炭素中毒等により死亡させて殺害した事案である。被告人がそれらの犯人であることについて,①被告人は,各被害者死亡時に近接してそれぞれの死亡場所において各被害者と二人だけで行動していること,②被告人は,各被害者の遺体近くで発見された各練炭コンロ及び各練炭とそれぞれ特徴等の一致する練炭コンロ及び練炭を各犯行前に入手していたこと,③いずれの被害者についても,自殺又は事故死の可能性がないと認められること,④被告人は,各被害者から後記のような経済的利得を得ていたが,ついに嘘をつき通せない状況に陥っており,各被害者を殺害する動機があったと認められることなどを総合することによって,いずれも合理的な疑いを差し挟む余地がない程度に証明されているとみることに,不合理な点はない。その余の事実を含め,被告人を有罪と認定した第1審判決を是認した原判決は,正当として是認することができる。
2
本件は,被告人が,正業に就くこともないまま,ぜいたくな暮らしをするた
め,結婚相手を探すウェブサイトで知り合った男性らから,真剣な交際を装うなどして多額の金銭を受け取るなどしていたところ,その返済や嘘が発覚して追及されることを免れる等の目的で,あらかじめ練炭コンロ及び練炭を準備し,半年余りのうちに3名の男性を次々と殺害した殺人3件のほか,同ウェブサイトで知り合った男性らを被害者とする詐欺3件,同未遂3件及び窃盗1件からなる事案である。とりわけ3件の殺人は,被害者らを睡眠状態等に陥らせた上で,あらかじめ準備していた練炭を燃焼させるなどして,自殺等に見せかけるというもので,殺害態様は周到に準備された計画的なもので極めて悪質であり,何ら落ち度のない3名の生命を奪った結果は重大である。遺族らの喪失感は大きく,厳しい処罰感情を抱いており,社会一般に与えた影響も大きい。さらに,被告人は,不合理な弁解を続け,反省の態度を全く示さない。
以上のような事情に照らせば,被告人の刑事責任は極めて重大であるというほかなく,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,やむを得ないものとして,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
検察官安東美和子

公判出席(裁判長裁判官

小貫芳信

裁判官

鬼丸かおる

菅野博之)
裁判官

山本庸幸

裁判官

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