判例検索β > 平成28年(行ケ)第10253号
審決取消請求事件 行政訴訟
事件番号平成28(行ケ)10253
事件名審決取消請求事件
裁判年月日平成29年6月28日
法廷名知的財産高等裁判所
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平成29年6月28日判決言渡
平成28年(行ケ)第10253号
口頭弁論終結日

審決取消請求事件

平成29年4月17日
判原決告X
訴訟代理人弁理士

戸被告Y
訴訟代理人弁理士

古主1島
省四郎

関宏文
特許庁が無効2015-890027号事件について平成28年10月25日にした審決のうち,登録第5640687号の指定役務「医業に関する電子出版物の提供,医業に関する図書及び記録の供覧,医業に関する図書の貸与,医業に関する書籍の制作,
医業に関する教育用ビデオの制作
(映画・放送番組・
広告用のものを除く。),医業に関する教育研修のための施設の提供,医業に関する録画済み磁気テープの貸与」に係る部分を取り消す。

2
原告のその余の請求を棄却する。

3
訴訟費用は,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。
事実及び理由

第1

請求
特許庁が無効2015-890027号事件について平成28年10月25日にした審決のうち,登録第5640687号の指定役務「知識の教授(医業に関するものを除く。),セミナーの企画・運営又は開催(医業に関するものを除く。),技芸・スポーツの教授,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,録画済み磁気テープの貸与」に係る部分を取り消す。第2
1
事案の概要
特許庁における手続の経緯等
(1)被告は,次の登録商標(以下「本件商標」といい,その商標登録を「本件商標登録」という。)の商標権者である(甲1)。

登録番号
第5640687号


登録日
平成25年12月27日


登録商標(標準文字)
AKA


指定役務
第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,
電子出版物の提供,
図書及び記録の供覧,
図書の貸与,
書籍の制作,
教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,録画済み磁気テープの貸与」(以下「本件指定役務」という。)

出願日
平成25年8月1日

(2)原告は,平成27年4月3日,本件商標を無効とすることについて,審判請求をした(甲38,39)。
(3)特許庁は,これを無効2015-890027号事件として審理した上,平成28年10月25日,「登録第5640687号の指定役務中,第41類
「医業に関する知識の教授,
医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」
についての登録を無効とする。その余の指定役務についての審判請求は成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は同年11月4日原告に送達された。
(4)原告は,平成28年11月28日,本件審決のうち,請求不成立とされた部分を不服として,その取消しを求める本件訴訟を提起した。
2
審決の理由
本件審決の理由の要旨は,次のとおりである。
(1)本件商標の登録査定時において,「AKA」の文字は,「関節運動学的アプローチ(arthrokinematicapproach)」の略であって,関節の機能の治療を行う場合がある整形外科等の役務との関係においては,「関節運動学を基礎にして開発された治療法,治療技術」を表すものとして理解,認識されていたといえる。
(2)本件商標は,
「AKA」
の文字を標準文字で表して成るところ,
該文字は,
上記のとおり,
本件商標の登録査定時において,
「関節運動学的アプローチ」
を表す「arthrokinematicapproach」の略であって,その指定役務中,第41類「医業に関する知識の教授,医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」との関係においては,「関節運動学を基礎にして開発された治療法,治療技術」を表すものと認識されていたにすぎないものであるから,上記指定役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみから成る商標と認められる。したがって,本件商標は,商標法(以下「法」という。)3条1項3号に該当し,上記以外を内容とする「医業に関する知識の教授,医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」について使用をするときは,役務の質(内容)について誤認を生じさせるおそれがあるから,法4条1項16号に該当する。
(3)しかしながら,請求人(原告)が提出した証拠等からは,「AKA」の文字は,
その指定役務中,
第41類
「知識の教授
(医業に関するものを除く。,

セミナーの企画・運営又は開催(医業に関するものを除く。),技芸・スポーツの教授,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,
録画済み磁気テープの貸与」
との関係において,
その役務の質
(内容)
等を表すものと認識されるとすべき事情は見当たらず,該文字をこれらの指定役務について使用をしても役務の質(内容)等を表すものということができないから,本件商標は,上記指定役務について,法3条1項3号,6号,4条1項16号に該当しない。
第3

原告が主張する取消事由
本件審決は,
「AKA」の文字(本件商標)は,
「医業に関する知識の教授,
医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」以外の指定役務との関係において,その役務の質(内容)等を表すものと認識されるとすべき事情は見当たらないと認定したが,次のとおり,その認定には誤りがある。
したがって,本件審決のうち,当該誤った認定に基づく部分は取り消されるべきである。

1
理由a
本件指定役務中,本件商標の指定役務から排除された「医業に関する知識の教授」と,残された「技芸・スポーツ又は知識の教授(医業に関するものを除く。)」とは,同一の類似群コード「41A01」に属し,同様に本件商標の指定役務から排除された「医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」と,残された「セミナーの企画・運営又は開催(医業に関するものを除く。)」とは,同一の類似群コード「41A03」に属するところ,特許庁の「類似商品・役務審査基準」(国際分類第11-2017版対応)によれば,類似群は,役務の類否を判定する一般的基準である役務の提供の手段,目的又は場所の同一性,
需要者の範囲の同一性,
業種又は事業者の同一性,
規制する法律の関連性,
役務の提供の用に供する物品の関連性等を総合的に考慮し,各役務と類似する役務の類似群として作成されたものであるから,同一類似群に属する役務の関連性は相互に高いといえる。
したがって,「医業」の役務において,「AKA」は普通名称であると認められるところ,同一類似群コードの他の近接した類似の役務の関連事業者及び需要者においても,「AKA」治療法がよく知られていると認定できるので,これらの同一類似群コードの他の指定役務にとって,本件商標は,「医業」での「AKA」治療法の関連の知識の教授又はセミナーの企画等(同治療法を利用,使用又は併用した知識の教授又はセミナーの企画等)としての質表示と理解される。逆に,同一類似群の他の指定役務で全く「AKA」治療法と関連性がない指定役務では,医業の「AKA」治療法に関係した知識の教授又はセミナーの企画等であるとの品質誤認を生じる。
したがって,医業に関する知識の教授又はセミナーの企画等の同一類似群コード中の一つの役務で普通名称となっている「AKA」(本件商標)は,同一類似群コードの他の類似の役務にとって質表示となるもので,法3条1項3号に該当し,しかも,本件商標は,英文字「AKA」のみであり,自他役務識別力のある何らの文字の付加,記号・図形等の要素もないので,商標としての識別力がなく,同項6号にも該当する。また,「AKA」治療法と全く関連性のない同一類似群の他の指定役務では品質誤認が生じ,法4条1項16号に該当する。
よって,本件指定役務中,「医業に関する知識の教授,医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」と同一類似群に属する指定役務である「知識の教授(医業に関するものを除く。),セミナーの企画・運営又は開催(医業に関するものを除く。),技芸・スポーツの教授」での本件商標登録は無効というべきである。
2
理由b
次に,第41類の他の指定役務「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,録画済み磁気テープの貸与」は,排除された「医業に関する知識の教授,医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」と関係のある役務である。
すなわち,一般に,医業を含んだ知識の教授及びセミナーの企画・運営又は開催では,教授の際に,企画のPRとして教授する内容を記載した「医業に関する電子出版物の提供」,「医業に関する図書及び記録の供覧」,「医業に関する図書の貸与」,「医業に関する書籍の制作」又は「医業教育のためのビデオの制作」,「医業教育研修のための施設の提供」,「医業に関する録画済み磁気テープの貸与」は,知識の教授及びセミナーの企画・運営又は開催に伴い付随的に発生する役務であり,社会通念上,知識の教授及びセミナーの企画・運営又は開催に伴う関連役務と判断される。
そうすると,「AKA」が医業の治療法としてよく知られていることを考慮すれば,本件商標は上記の第41類の他の指定役務では質表示のものと誤認されるものであり,したがって,第41類の他の指定役務との関係で質表示又は品質誤認されるというべきもので,法3条1項3号,6号,4条1項16号に該当する。
3
理由c
商標法の法理に従えば,結論として,登録商標の一つの指定役務(指定商品についても以下同様である。)において無効事由が存在する場合,当該指定役務と類似する範囲(同一類似群に属するもの)の他の指定役務についても,無効事由があるものとされるべきである。
すなわち,商標出願に係る登録要件の審査は,法3条の自他識別力(願書の指定役務との関係において審査される。)のほかに,法4条1項11号(先登録出願と同一又は類似の範囲でない)と同16号(品質誤認)が中心となっている。そして,商標出願がこれらの登録要件を満たして商標登録されると,法37条により,類似の範囲(同一類似群の範囲)まで禁止権が自動的に発生する。したがって,登録時には,指定役務とその商標との関係で法3条及び4条の登録要件を審査するが,登録後は,指定役務は類似の範囲まで拡大する。そのため,商標登録後の登録無効審判では,同一類似群の一つの指定役務に無効事由があれば,同一類似群の他の指定役務も,法3条1項,4条1項16号の関係で排除されなければならない。
けだし,同一類似群に属する複数の類似指定役務がある場合,同一類似群の一部のみの排除では,残った同一類似群の指定役務の類似役務に係る類似商標の使用が禁止されることになるが,同一類似群の一つの指定役務に登録無効事由があれば,当然登録要件を満たさない指定役務の専用権の範囲(専用権が否定されるべき範囲)に対して禁止権が残ってはならない。すなわち,同一類似群の他の指定役務まで同じ無効とされるべきものである。
本件審決は,無効事由がある指定役務のみを排除し,これと類似する指定役務を残して無効事由は解消したとするものであるから,取り消されるべき違法が存在する。
第4

被告の反論
原告の主張はいずれも失当である。本件審決の認定判断に誤りはない。
1
理由aについて
原告は,「知識の教授(医業に関するものを除く。),セミナーの企画・運営又は開催(医業に関するものを除く。),技芸・スポーツの教授」のうち,どれが「AKA」治療法と関連し,どれが同治療法と関連しないのかを全く特定していない。
また,本件商標は,「医業に関する知識の教授」及び「セミナーの企画・運営又は開催」の普通名称ではないし,ある役務との関係上,当該役務の普通名称である場合があるとしても,直ちに同一類似群コードの他の役務について質表示になるとは限らないし,原告はその根拠を何ら示していない。そもそも,本件審決は,「AKA」の文字(本件商標)は,第41類「知識の教授(医業に関するものを除く。),セミナーの企画・運営又は開催(医業に関するものを除く。),技芸・スポーツの教授」等との関係において,その役務の普通名称,質等を表すものと認識されるとすべき事情は見当たらないと認定しているのであるから,原告は,「AKA」が,これらの役務との関係において,その役務の普通名称,質等を表すものと認識されるとすべき事情を主張立証しなければならないのに,ただ単にこれらの役務が「医業に関する知識の教授」又は「医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」と同一類似群に属することを主張するにすぎず,前記の事情を何ら主張立証していない。なお,類似群コードは,特許庁における商標登録出願審査事務の便宜と統一のために定められた内規にすぎず,法規としての効力を有しないものであるから,同一類似群コードを有することが直ちに「知識の教授(医業に関するものを除く。),セミナーの企画・運営又は開催(医業に関するものを除く。),技芸・スポーツの教授」の役務の普通名称,質等を表すものと認識されるとすべき事情に当たるものではないことは明らかである。
2
理由bについて
原告は,本件指定役務中,「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,録画済み磁気テープの貸与」(第41類の他の指定役務)について,本件商標が法3条1項3号,6号,4条1項16号に該当すると主張するが,そもそも,本件商標がこれらの指定役務との関係において法3条1項3号に該当するというためには,それが,各指定役務の質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみから成る商標でなければならない。しかしながら,原告は,医業を含んだ知識の教授及びセミナーの企画・運営又は開催では,教授の際に,企画のPRとして教授する内容を記載した「医業に関する電子出版物の提供」,「医業に関する図書及び記録の供覧」,「医業に関する図書の貸与」,「医業に関する書籍の制作」又は「医業教育のためのビデオの制作」,「医業教育研修のための施設の提供」,「医業に関する録画済み磁気テープの貸与」は,知識の教授及びセミナーの企画・運営又は開催に伴い付随的に発生する役務であり,社会通念上,知識の教授及びセミナーの企画・運営又は開催に伴う関連役務と判断される,と主張しているだけであるところ,かかる主張は,原告の独善的な判断によるものであり,何らの合理性もないし,仮に「医業に関する電子出版物の提供」等が「医業に関する知識の教授」等に付随する役務であるとすれば,独立して取引の対象となる役務ではない。
したがって,本件商標は,これらの役務(第41類の他の指定役務)について,法3条1項3号,6号,4条1項16号に該当するものではない。3
理由cについて
原告の主張は,法3条1項各号の登録要件の問題と,法4条1項11号の登録要件の問題を混同するものであり,何ら理由がない。

第5

当裁判所の判断
当裁判所は,本件商標は,本件指定役務中,第41類「医業に関する知識の教授,医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」のほか,「医業に関する電子出版物の提供,医業に関する図書及び記録の供覧,医業に関する図書の貸与,医業に関する書籍の制作,医業に関する教育用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),医業に関する教育研修のための施設の提供,医業に関する録画済み磁気テープの貸与」との関係においても,法3条1項3号,4条1項16号に該当するが,その余の指定役務との関係では,法3条1項3号,6号,4条1項16号のいずれにも該当しないものと判断する。理由は,次のとおりである。
1
証拠(甲3~6,11~15,17,19,20,26)及び弁論の全趣旨によれば,本件商標の登録査定時において,「AKA」の文字は,「関節運動学的アプローチ(arthrokinematicapproach)」の略であって,関節の機能の治療を行う場合がある整形外科等の役務との関係においては,「関節運動学を基礎にして開発された治療法,治療技術」を表すものとして理解,認識されていたと認められる。
そうすると,かかる文字を標準文字で表して成る本件商標は,その指定役務中,第41類「医業に関する知識の教授,医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」との関係においては,単にその役務の質(内容)を表示するにすぎず,自他役務の識別標識としての機能を果たさないものであり,また,上記治療法,
治療技術以外を内容とするものについて使用をするときは,
役務の質
(内
容)について誤認を生じさせるおそれがあると認められるから,本件商標は,上記指定役務については,法3条1項3号及び4条1項16号に該当する。以上の点は,本件審決が認定するとおりであり,原告はもちろん,被告もこの点を争うものではない。

2
また,上記の各号該当性に関し,「医業に関する知識の教授,医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」と,「医業に関する電子出版物の提供,医業に関する図書及び記録の供覧,医業に関する図書の貸与,医業に関する書籍の制作,医業に関する教育用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),医業に関する教育研修のための施設の提供,医業に関する録画済み磁気テープの貸与」との間で,結論を異にする合理的理由があるとは認められないから,本件商標は,これらの役務(後者の各役務)についても,上記の各号に該当すると認めるのが相当である。
以上を指摘する限度で,原告が主張する取消事由は理由がある。

3
他方,本件商標は,その他の役務(本件指定役務中,上記1,2以外の役務)である「知識の教授(医業に関するものを除く。),セミナーの企画・運営又は開催(医業に関するものを除く。),技芸・スポーツの教授,電子出版物の提供(医業に関するものを除く。),図書及び記録の供覧(医業に関するものを除く。),図書の貸与(医業に関するものを除く。),書籍の制作(医業に関するものを除く。),教育(医業に関するものを除く。)・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修(医業に関するものを除く。)のための施設の提供,録画済み磁気テープの貸与(医業に関するものを除く。)」との関係においては,各役務の質(内容)を表すものであるとか,自他役務識別力がないと認めるに足りる的確な証拠はなく,そうである以上,役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるということもできない。
よって,
本件商標は,
上記の各指定役務については,
法3条1項3号,
6号,
4条1項16号のいずれにも該当しないというべきであり,この点において,本件審決の認定判断に誤りがあるとは認められない。
4
原告の主張について(前記3の「その他の役務」に関し)
(1)理由aについて
原告は,本件指定役務中,本件商標の指定役務から排除された「医業に関する知識の教授」と,残された「技芸・スポーツ又は知識の教授(医業に関するものを除く。)」とは,同一の類似群コード「41A01」に属し,同様に本件商標の指定役務から排除された「医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」と,残された「セミナーの企画・運営又は開催(医業に関するものを除く。)」とは,同一の類似群コード「41A03」に属するところ,同一類似群に属する役務の関連性は相互に高いといえるから,「医業に関する知識の教授,医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」と同一類似群に属する指定役務である「知識の教授(医業に関するものを除く。),セミナーの企画・運営又は開催(医業に関するものを除く。),技芸・スポーツの教授」についても,法3条1項3号,6号,4条1項16号によって,本件商標登録は無効とされるべきであると主張する。
しかしながら,
そもそも類似群コードを定める
「類似商品・役務審査基準」
は,特許庁における商標登録出願の審査事務等の便宜と統一のために作られた内規にすぎず,法規としての効力を有するものではない。したがって,同一の類似群コードに属するとの形式的事実のみから,
直ちに,
本件商標が
「知
識の教授(医業に関するものを除く。),セミナーの企画・運営又は開催(医業に関するものを除く。),技芸・スポーツの教授」との関係においても,質表示に当たるとか,自他役務識別力がないとの結論を導くことはできず,かかる結論を導くには,本件商標が上記の各役務との関係で質表示に当たることその他自他役務識別力がないことを認めるに足りる具体的事由の主張立証が必要となるというべきである。
しかるところ,原告は,上記のとおり,同一の類似群コードに属するとの事実を主張するのみで,上記の具体的事由について何ら主張立証しないのであるから,これでは,本件商標が上記の各役務との関係で質表示に当たるとか,自他役務識別力がないと認めることはできないし,同様に役務の質の誤認を生ずるおそれがあるということもできない。
よって,理由aは採用できない。
(2)理由bについて
前記のとおり,
本件商標は,
本件指定役務中,
「医業に関する知識の教授,
医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」のみならず,「医業に関する電子出版物の提供,医業に関する図書及び記録の供覧,医業に関する図書の貸与,医業に関する書籍の制作,医業に関する教育用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),医業に関する教育研修のための施設の提供,医業に関する録画済み磁気テープの貸与」の各役務についても,法3条1項3号,法4条1項16号に該当するというべきであるが,それ以外の「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,録画済み磁気テープの貸与」の各役務については,「医業に関する知識の教授,医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」と直ちに関係するものということはできない。
したがって,これらの役務との関連性を理由に上記の各役務について法3条1項3号,
6号,
4条1項16号該当性を主張する理由bは採用できない。
(3)理由cについて
原告の主張は,要するに,同一類似群に属する役務は全て類似性が認められることを前提とするものであるが,前記のとおり,類似群コードを定める「類似商品・役務審査基準」は,飽くまで特許庁における商標登録出願の審査事務等の便宜と統一のために作られた内規にすぎず,法規としての効力を有するものではないから,同一類似群に属する役務は全て類似性が認められるとの前提自体が採用し得ない。
また,自他役務識別力の有無や役務の質の誤認を生ずるおそれの有無は,飽くまで個々の役務ごとに判断すべきであるところ,本件商標に関していえば,本件指定役務のうち,「医業に関する知識の教授,医業に関するセミナーの企画・運営又は開催」及び「医業に関する電子出版物の提供,医業に関する図書及び記録の供覧,医業に関する図書の貸与,医業に関する書籍の制作,医業に関する教育用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),医業に関する教育研修のための施設の提供,医業に関する録画済み磁気テープの貸与」との関係では,(役務の質表示に当たり)自他役務識別力がないか,役務の質の誤認を生ずるおそれがあると認められるとしても,その余の指定役務との関係では,自他役務識別力がないとはいえず,また,役務の質の誤認を生ずるおそれがあるとも認められないことは,前示のとおりである。
したがって,理由cも採用できない。
5
結論
以上の次第であるから,本件請求は,本件審決のうち,登録第5640687号の指定役務「医業に関する電子出版物の提供,医業に関する図書及び記録の供覧,医業に関する図書の貸与,医業に関する書籍の制作,医業に関する教育用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),医業に関する教育研修のための施設の提供,医業に関する録画済み磁気テープの貸与」に係る部分の取消しを求める限度で理由があり,その余は理由がない。よって,主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第3部

裁判長裁判官
鶴岡稔彦大西勝滋寺田利彦
裁判官

裁判官

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