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固定資産税等賦課処分取消請求事件
事件番号平成27(行ウ)421
事件名固定資産税等賦課処分取消請求事件
裁判年月日平成28年11月30日
法廷名東京地方裁判所
判示事項駐車場が地方税法349条の3の2第1項に定める併用住宅の敷地の用に供されている土地に該当する場合
裁判要旨駐車場が地方税法349条の3の2第1項に定めるいわゆる併用住宅(その一部を人の居住の用に供する家屋で政令で定めるもの)の敷地の用に供されている土地に該当するといえるためには,当該併用住宅である家屋を維持し又はその効用を果たすために使用されている一画地の土地に含まれていれば足り,専ら当該住宅の居住者のための施設であることや専ら居住者自らが利用する施設であることを要しない。
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平成28年11月30日判決言渡
平成27年(行ウ)第421号

固定資産税等賦課処分取消請求事件

主1文
東京都練馬都税事務所長が平成26年6月2日付けで原告に対してした平成26年度分の固定資産税の賦課決定のうち,別紙物件目録記載1の土地の固定資産税相当額が31万4171円を超える部分,同目録記載2の土地の固定資産税相当額が14万2094円を超える部分及び同目録記載3の土地の固定資産税相当額が48万8798円を超える部分を取り消す。

2
東京都練馬都税事務所長が平成26年6月2日付けで原告に対してした平成26年度分の都市計画税の賦課決定のうち,別紙物件目録記載1の土地の都市計画税相当額が6万8455円を超える部分,同目録記載2の土地の都市計画税相当額が3万0961円を超える部分及び同目録記載3の土地の都市計画税相当額が10万6505円を超える部分を取り消す。

3
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由

第1

請求
主文同旨

第2

事案の概要
本件は,原告が,東京都知事の委任を受けた東京都練馬都税事務所長から,その所有する別紙物件目録記載1から3までの各土地(以下,それぞれ「本件土地1」,「本件土地2」,「本件土地3」といい,併せて「本件各土地」という。)のうち駐車場として使用されている各部分(以下「本件各駐車場」という。)については地方税法349条の3の2及び7
02条の3に規定する固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例(以下「本件特例」という。)の適用を受ける住宅用地に該当せず,その余の部分に限り上記の住宅用地に該当するものとして,平成26年6月2日付けで平成26年度分の固定資産税及び都市計画税の各賦課決定(以下,併せて「本件各処分」という。)を受けたところ,本件各駐車場も上記の住宅用地に該当する旨を主張して,本件各処分の一部の取消しを求める事案である。
1
関係法令の定めの概要
(1)

土地に対して課する固定資産税の課税標準は,原則として固定資産課税
台帳に登録された当該土地の価格であるものの(地方税法349条),住宅用地については,課税標準となるべき価格の3分の1の額とされており,住宅用地のうち小規模住宅用地については,課税標準となるべき価格の6分の1の額とされている(同法349条の3の2)。
また,土地に対して課する都市計画税の課税標準は,原則として当該土地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格であるものの(地方税法702条),住宅用地については,課税標準となるべき価格の3分の2の額とされており,住宅用地のうち小規模住宅用地については,課税標準となるべき価格の3分の1の額とされている(同法702条の3)。
(2)

ここで,住宅用地とは,専ら人の居住の用に供する家屋(以下「専用住
宅」という。)又はその一部を人の居住の用に供する家屋で政令で定めるもの(以下「併用住宅」という。)の敷地の用に供されている土地で政令で定めるものをいい(地方税法349条の3の2第1項),小規模住宅用地とは,住宅用地のうち一定の面積以下の住宅用地をいう(同条2項)。
(3)

上記(2)の併用住宅とは,その一部を人の居住の用に供する家屋のうち人
の居住の用に供する部分(以下,「居住部分」といい,その余の部分を「非居住部分」という。)の床面積の当該家屋の床面積に対する割合(以下「居
住部分の割合」という。)が4分の1以上である家屋をいう(地方税法施行令52条の11第1項)。
(4)

また,前記(2)の敷地の用に供されている土地で政令で定めるものとは,
次の土地をいう(地方税法施行令52条の11第2項)。

専用住宅の敷地の用に供されている土地については,当該土地(当該土
地の面積が当該家屋の床面積の10倍の面積を超える場合には,当該10倍の面積に相当する土地)

併用住宅の敷地の用に供されている土地については,次の表の家屋及び居住部分の割合の各区分に対応するそれぞれの率を当該土地の面積(当該面積が当該家屋の床面積の10倍の面積を超える場合には,当該10倍の面積)に乗じて得た面積に相当する土地
家ロ
ロに掲げる家屋以外の家屋

居住部分の割合


4分の1以上2分の1未満

0.5

2分の1以上

イ屋
1.0
0.5

建築物である家屋

2分の1以上4分の3未満

0.75

4分の3以上

2
地上階数5以上を有する耐火4分の1以上2分の1未満

1.0

前提事実(争いのない事実及び顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によって認められる事実)
(1)

原告は,本件各土地及び練馬区α×番βの土地(以下,本件各土地と併
せて「本件各土地等」という。)の所有者であるところ,平成25年12月9日,本件各土地等に,別紙物件目録記載4の建物(以下「本件家屋」という。)を新築した。
(2)

原告は,遅くとも平成25年12月31日までに,賃貸借期間を平成2
6年1月1日から平成55年12月31日までの30年間,使用目的を「介護付有料老人ホーム,これに類似する高齢者福祉施設(ケアセンターを含む)
及びその付属施設としての駐車場」として,本件家屋を株式会社ニチイ学館(以下「ニチイ」という。)に賃貸した(甲4)。
(3)

ニチイは,平成26年2月1日から,本件家屋において,介護付き有料
老人ホーム「ニチイのきらめき」と小規模多機能型居宅介護施設「ニチイのやわらぎ」を経営している。「ニチイのきらめき」の定員は77名であるところ,その居住者(以下「本件入居者」という。)は,平成27年5月7日時点で51名,同年11月2日時点で50名であった(甲21,22)。(4)

本件土地1上には,別紙図面の6から9までの駐車場(合計面積61.
2㎡)が,本件土地2上には,同図面の4及び5の駐車場(合計面積36㎡)が,本件土地3上には,同図面の1から3までの駐車場(合計面積44㎡)がある(以下,同図面の各駐車場(本件各駐車場)を番号に対応して「本件駐車場1」ないし「本件駐車場9」という。甲5,21,22)。なお,本件入居者の中には,自動車を自ら運転し,本件各駐車場に駐車する者はいない。
(5)

東京都知事の委任を受けた東京都練馬都税事務所長は,平成26年6月
2日付けで,本件家屋が併用住宅に該当することを前提とした上,本件各土地のうち本件各駐車場については住宅用地に該当せず,その余の部分に限り住宅用地(その中でも小規模住宅用地)に該当するものとして,原告に対し,平成26年度分の固定資産税及び都市計画税の各賦課決定(本件各処分)をした。
本件各処分に係る課税明細書(甲6)においては,本件土地1の固定資産税相当額が38万0664円,都市計画税相当額が8万2593円,本件土地2の固定資産税相当額が18万1208円,都市計画税相当額が3万9277円,本件土地3の固定資産税相当額が53万6603円,都市計画税相当額が11万6669円と記されている。
(6)

原告は,平成26年7月31日,東京都知事に対し,本件各処分に係る
審査請求をし,これに対し,東京都知事は,平成27年1月26日,上記の審査請求を棄却する旨の裁決をした。
(7)
3
原告は,平成27年7月13日,本件訴えを提起した。

争点
本件各処分の適法性(本件各駐車場の住宅用地の該当性。なお,その余の点については争いがない。)

4
当事者の主張
(原告の主張)
(1)

「地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)」(平成2
2年4月1日付け総税市第16号総務大臣通知。乙6。以下「総務大臣通知」という。)及び「地方税法第349条の3の2の規定における住宅用地の認定について」(平成9年4月1日付け自治固第13号自治省税務局固定資産税課長通知。乙7。以下「課長通知」という。)によれば,住宅用地の判断における住宅の敷地の用に供されている土地とは,専用住宅又は併用住宅を維持し又はその効用を果たすために使用されている一画地の土地をいう。そして,併用住宅における住宅用地の面積の判断に当たっては,まず,併用住宅の敷地の用に供されている土地かどうかにつき,あくまで上記のとおり,併用住宅を維持し又はその効用を果たすために使用されている一画地の土地であるかを基準として判断をした上,その土地の面積に地方税法施行令52条の11第2項の家屋の別及び居住部分の割合に応じて定められた率を乗じて算出すれば足りるものであって,併用住宅の居住部分に居住している者が利用する部分か,それ以外の者が利用する部分かを特定して判断をするものではない。
(2)

本件各駐車場のうち,本件駐車場1から本件駐車場5までについては,
介護付き有料老人ホーム「ニチイのきらめき」の本件入居者とその来訪者において,ニチイとの入居契約等に基づいて利用が可能となっている来訪者用
駐車場であるほか(なお,本件入居者が買い物や外部の病院に行くためのタクシーや,マッサージ師を呼んだ際の駐車場でもある。),訪問診療の医師,救急車,リネン,清掃,薬局やコンサート等の行事の関係者等の業者の駐車場として利用されており,また,本件駐車場8及び本件駐車場9については,介護付き有料老人ホーム「ニチイのきらめき」に関し,入居希望者の面談や行事に係る買い物のほか,本件入居者に頼まれた買い物のために使用される自動車2台の駐車場であり,本件家屋の効用を果たすために使用されている一画地の土地に含まれることは明らかである。
そして,本件駐車場6及び本件駐車場7については,小規模多機能型居宅介護施設「ニチイのやわらぎ」の送迎車の駐車場であるものの,本件家屋の敷地である本件各土地等に含まれ,本件家屋と一体のものとして存在し,原告とニチイとの賃貸借契約も一体のものであることからすれば,本件家屋の効用を果たすために使用されている一画地の土地に含まれることは明らかである。
以上からすれば,本件各土地等は,本件各駐車場を含むその全体が,併用住宅である本件家屋の敷地の用に供されている土地であることは明らかであり,地方税法施行令52条の11第2項の家屋の別及び居住部分の割合に応じて定められた率を乗じて算出するに,本件各土地はその全体(1.0)が住宅用地(その中でも小規模住宅用地)に該当する。そして,そのことを前提に計算した場合,本件土地1の固定資産税相当額が31万4171円,都市計画税相当額が6万8455円,本件土地2の固定資産税相当額が14万2094円,都市計画税相当額が3万0961円,本件土地3の固定資産税相当額が48万8798円,都市計画税相当額が10万6505円となり,これらを超える部分について,本件各処分はいずれも違法である。なお,本件各処分は,他の市町村の取扱い等と整合しないもので,租税公平主義及び租税法律主義に違反するものでもある。

(被告の主張)
(1)

総務大臣通知及び課長通知に従えば,駐車場は,家屋の利便性を向上さ
せる機能を有するものではあっても,家屋を維持し又はその効用を果たすために使用されている土地とはいえないことから,本来的には,全て住宅用地ではないものとして扱うべきであるものの,課長通知においては,住宅の認定につき「附属的な家屋(物置,納屋,土蔵等)については,本体の家屋と効用上一体として利用される状態にある場合には,一個の家屋に含めるものとする。」ともされ,「附属的な家屋」には車庫も含まれると解されることから,被告では,車庫以外の駐車場についても,住宅に附属する施設として判断できる場合には,住宅用地として認定することとしている。そして,「住宅用地認定事務の手引き」(平成27年3月20日付け26主資評第352号東京都主税局資産税部長通達。乙8。以下「都資産税部長通達」という。)において,「第一は,駐車場等が当該住宅の附属的な施設と認定できることである。したがって,専ら当該住宅の居住者のための施設であることを要し,居住者以外の者に貸し付けられている等,駐車場等自体で独立の効用を果たしている場合は除かれる。」等の要件を定めているところ,ここで「居住者のための施設」とは,居住者自らが利用する施設を意味するものであり,そのように解釈することが,住民の日常生活の最小限必要と認められるものについて,その税負担を軽減するとの本件特例の趣旨に合致する。(2)

本件各駐車場のうち,本件駐車場6から本件駐車場9までは,ニチイに
よって,本件入居者の通院や外出のほか,本件家屋のうち居住部分ではない小規模多機能型居宅介護施設における通所介護(いわゆるデイサービス)の利用者の送迎等の車両を駐車するために利用されており,同社の事業を実施するために利用されている部分であって,本件入居者自らが利用する「居住者のための施設」であると判断することはできない。
また,本件各駐車場のうち,本件駐車場1から本件駐車場5までについて
も,本件入居者の家族等の訪問時に利用されていることがあるとしても,ニチイによる管理の下に,本件家屋における同社の事業に付随して多数来訪する外部事業者(訪問診療,清掃業者,リネン業者,マッサージ師,イベント関係者等)等の車両の駐車のためにも利用されているとのことであって,本件入居者自らが利用する「居住者のための施設」であると判断することはできない。仮に,本件入居者の家族等の訪問時に利用されている点については,これを本件入居者自身の利用に準じるものと考え得るとしても,外部事業者等の利用と各駐車場の区別なく利用されているとのことであって,いずれにせよ,本件入居者自らが利用する「居住者のための施設」であると判断することはできない。
以上からすれば,本件各駐車場については,本件入居者以外の者が利用することによって,本件入居者が間接的に便益を受けていることは否めないものの,その利用形態は,本件入居者自らが主体的に本件各駐車場を使用しているものと評価できるものではなく,専ら本件入居者のための施設であるとまでは認められないことから,都資産税部長通達によっても,住宅用地と認定できるものではない。
したがって,本件各駐車場はいずれも住宅用地に該当せず,本件各土地は,本件各駐車場を除いた部分に限り,小規模住宅用地に該当するから,本件各処分はいずれも適法である。
第3
1
当裁判所の判断
地方税法349条の3の2第1項によれば,住宅用地に該当するには,専用住宅又は併用住宅の「敷地の用に供されている土地」であることを要するところ,「敷地の用に供されている土地」であるかどうかについては,その規定の文言の文理並びに本件特例が主として住宅政策上の見地から住宅用地の固定資産税及び都市計画税負担の軽減を図るため課税標準の特例措置を設けたものであることに照らせば,土地と専用住宅又は併用住宅の形状や利用状況等を踏ま
え,社会通念に従い,その土地が専用住宅又は併用住宅を維持し又はその効用を果たすために使用されている一画地の土地であるかどうかによって判断すべきものと解するのが相当である。
本件では,本件各土地等の本件各駐車場を除く部分が,併用住宅に該当する本件家屋の「敷地の用に供されている土地」であり,住宅用地に該当することに争いはないところ,以下,本件各駐車場が,本件各駐車場,本件各土地等及び本件家屋の形状や利用状況等を踏まえ,社会通念に従い,本件家屋を維持し又はその効用を果たすために使用されている一画地の土地に含まれるかどうかについて検討する。
2
前提事実,証拠(甲21,22,35~37)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。
(1)

本件各駐車場のうち,本件駐車場1から本件駐車場5までについては,
本件家屋の北側にある主な出入口の正面に位置し,その出入口に至るまで,特に柵や溝等は設けられていない。また,本件駐車場6から本件駐車場9までについては,本件家屋の南側との間で植木や柵が設けられている一方,柵の一部には扉が設けられ,本件家屋及び本件各土地等の他の部分の南側から本件駐車場6から本件駐車場9までに立ち入り,また,道路に至ることが可能な状態にある。
(2)

介護付き有料老人ホーム「ニチイのきらめき」の本件入居者は,ニチイ
との入居契約書に基づき,共用施設として,その来訪者用駐車場を利用することができるとされているところ,実際上,本件各駐車場のうち,本件駐車場1から本件駐車場5までについて,来訪者用駐車場として利用されることがあり,その利用に当たって,特に曜日や時間について限定はされておらず,駐車場が空いている限り,利用され得るものとなっている。また,本件入居者の中には,買い物や外部の病院に行くためタクシーを呼んだり,マッサージ師を呼ぶものがいるところ,その際にも本件駐車場1から本件駐車場5が
利用されることがある。
他方で,本件駐車場1から本件駐車場5までについては,訪問診療の医師,救急車,リネン,清掃,薬局やコンサート等の行事の関係者等の業者の駐車場としても利用されている。
(3)

本件駐車場6及び本件駐車場7については,小規模多機能型居宅介護施
設「ニチイのやわらぎ」の送迎車の駐車場として利用され,本件駐車場8及び本件駐車場9については,介護付き有料老人ホーム「ニチイのきらめき」に関し,入居希望者の面談や行事に係る買い物のほか,本件入居者に頼まれた買い物のために使用される自動車2台の駐車場として利用されている。3
前提事実及び前記2によれば,本件駐車場1から本件駐車場5までについては,本件各土地等の本件各駐車場を除く部分と,柵等の区分はなく,本件家屋の主な出入口まで接続しており,本件各土地等の他の部分及び本件家屋と形状上一体のものとして利用されていることは明らかである。また,本件駐車場6から本件駐車場9までについても,本件家屋の南側との間で植木や柵が設けられている一方,柵の一部には扉が設けられ,本件家屋及び本件各土地等の他の部分の南側から本件駐車場6から本件駐車場9までに立ち入り,また,道路に至ることが可能な状態にあるものであって,本件各土地等の他の部分及び本件家屋と形状上一体のものとして利用されていることが否定されるものではない。その上で,本件駐車場1から本件駐車場5までについては,本件入居者がニチイとの入居契約書に基づき,共用施設として,来訪者用駐車場として利用し得るものとなっている上,ニチイの介護付き有料老人ホーム「ニチイのきらめき」の運営に係る外部の業者等が駐車場として利用することもあるものの,その利用は,本件家屋の賃借人であるニチイが本件家屋で行う事業のためのものであると同時に本件入居者の生活等のためのものでもあるので,いずれにせよ,その利用状況に照らし,居住部分と非居住部分とから成る併用住宅としての本件家屋と一体のものとして利用されているものというべきである。
また,本件駐車場8及び本件駐車場9についても,ニチイの介護付き有料老人ホーム「ニチイのきらめき」に関し,入居希望者の面談や行事に係る買い物のほか,本件入居者に頼まれた買い物のために使用される自動車2台の駐車場として利用されているところ,結局のところ,これらの利用も,本件家屋の賃借人であるニチイが本件家屋で行う事業のためのものであると同時に本件入居者の生活等のためのものでもあるので,その利用状況に照らし,併用住宅としての本件家屋と一体のものとして利用されていることが否定されるものではないというべきである。
さらに,本件駐車場6及び本件駐車場7については,小規模多機能型居宅介護施設「ニチイのやわらぎ」の送迎車の駐車場として利用されており,それ自体としては,本件入居者の生活等のためのものではないものの,本件家屋の賃借人であるニチイが本件家屋で行う事業のためのものであるという点では他の駐車場と異なるものではなく,その利用状況に照らし,併用住宅としての本件家屋と一体のものとして利用されている土地であることを否定されないというべきである。
したがって,本件各駐車場は,いずれも本件各土地等の一部として,併用住宅である本件家屋を維持し又はその効用を果たすために使用されている一画地の土地に含まれるものということができ,本件家屋の「敷地の用に供されている土地」に該当するというべきである。
4
これに対して,被告は,駐車場が,本来的には家屋を維持し又はその効用を果たすために使用されている土地ではなく,住宅用地に該当しないところ,例外的に,専ら当該住宅の居住者のための施設であること等の要件を満たす場合に限り,住宅用地に該当し得るものであるとし,居住者以外の者に貸し付けられている場合は住宅用地には該当せず,また,居住者のための施設というには,居住者自らが利用する施設であることを要すると主張した上,本件各駐車場については,いずれも本件入居者自らが主体的に本件各駐車場を使用しているも
のと評価できるものではなく,専ら本件入居者のための施設であるとまでは認められないことなどから,住宅用地に該当しない旨を主張する。
しかしながら,専用住宅又は併用住宅と全く関わりのない者が利用している駐車場については,社会通念上,これを当該専用住宅又は併用住宅を維持し又はその効用を果たすために使用されている土地と評価する余地はないというべきであるものの,地方税法349条の3の2第1項は,専用住宅と併用住宅とで特に区別することなく「敷地の用に供されている土地」とのみ規定し,併用住宅の「敷地の用に供されている土地」の該当性について,居住部分に居住している者が利用している土地なのか,非居住部分を利用している者が利用している土地なのかで区別する旨の規定をしていないこと,及びこれを受けた地方税法施行令52条の11も,上記の「敷地の用に供されている土地」のうち,「当該家屋の床面積の10倍」の範囲内で住宅用地の面積を算出することや,併用住宅については居住部分の割合に応じた率を乗じて住宅用地の面積を算出すること(これは,併用住宅の敷地を居住部分の敷地と非居住部分の敷地とに截然と分けることが一般に困難であることから,一律に所定の数値的割合によって住宅用地の範囲を画することとしたものと解される。)等を規定するにとどまることからすれば,被告が主張するように,駐車場が住宅用地に該当するには,専ら当該住宅の居住者のための施設であること,更には,専ら居住者自らが利用する施設であることを要するものと解すべき法令上の根拠はなく,また,駐車場が併用住宅の「敷地の用に供されている土地」に該当するか否かは,併用住宅と駐車場との間の関係に着目し,その形状や利用状況等を踏まえ,社会通念に従い,居住部分と非居住部分とから成る併用住宅を維持し又はその効用を果たすために使用されている駐車場であるか否かで判断されるべきものであって,併用住宅の非居住部分の利用者が利用している駐車場であるからといって,併用住宅の「敷地の用に供されている土地」の該当性が直ちに否定されるものではないというべきである。

したがって,被告の上記の主張は,採用することができない。
5
以上からすれば,本件各処分は,本件各駐車場を本件家屋の「敷地の用に供されている土地」と認めなかった部分において違法であるというべきであり,本件各駐車場を本件家屋の「敷地の用に供されている土地」に含めた場合の平成26年度分の本件各土地の固定資産税相当額及び都市計画税相当額が原告主張のとおりとなることは,当事者間で争いがない。

6
以上によれば,原告の請求はいずれも理由があるからこれらを認容することとして,主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第3部

裁判長裁判官

古田孝夫
裁判官

大竹敬人
裁判官

大畠崇史
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