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宗教法人規則変更認証処分取消請求事件
事件番号平成26(行ウ)58
事件名宗教法人規則変更認証処分取消請求事件
裁判年月日平成28年12月8日
法廷名名古屋地方裁判所
判示事項宗教法人である寺の規則に,住職が当該宗教法人の代表役員となり,かつ,住職となるための資格要件として特定の姓を名乗る教師とする旨が定められていた場合において,当該宗教法人の前住職・前代表役員であって上記特定の姓を名乗る教師である者が,住職となるための資格要件を単なる教師に拡大する旨の規則変更に対する知事の認証処分の取消しを求める訴えの原告適格を有しないとされた事例
裁判要旨宗教法人である寺の規則に,住職が当該宗教法人の代表役員となり,かつ,住職となるための資格要件として特定の姓を名乗る教師とする旨が定められていた場合において,当該宗教法人の前住職・前代表役員であって上記特定の姓を名乗る教師である者は,住職の任命が宗務総長の権限に属することなどの事情に照らすと,住職となることについて事実上の期待を有するにとどまり,また,宗教法人法の趣旨及び目的等を考慮しても,同法が宗教法人の規則変更の認証手続において,個々人の個別的利益を保護する趣旨を含むと解することはできないなどとして,住職となるための資格要件を単なる教師に拡大する旨の規則変更に対する知事の認証処分の取消しを求める訴えの原告適格を有しないとされた事例
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平成28年12月8日判決言渡
平成26年(行ウ)第58号

宗教法人規則変更認証処分取消請求事件

主文
1
本件訴えを却下する。

2
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由

第1

請求

愛知県知事が,平成25年7月1日付けでした,宗教法人P1の規則変更認証処分を取り消す。
第2

事案の概要

本件は,宗教法人P1(以下「P1」という。)が宗教法人法27条に基づき規則の変更について認証の申請(以下「本件認証申請」という。)をし,愛知県知事が同法28条1項に基づきこれを認証する処分(以下「本件処分」という。)をしたところ,P1の前住職かつ前代表役員である原告が,本件認証申請は,P1の住職代務者が権限を濫用し又はその範囲を逸脱して行ったものであること,P1を包括する宗教団体である宗教法人真宗大谷派(以下「真宗大谷派」という。)が定めた寺院教会条例等に反するものであることなどから違法であり,したがって,これを看過してされた本件処分も違法であると主張して,本件処分の取消しを求めた事案である。
1
関係法令等の定め
関係法令等の定めは,別紙2「関係法令等の定め」のとおりである。
2
前提事実(当事者間に争いがない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実等)
(1)当事者等

P1は,昭和30年2月28日に設立された宗教法人であって,愛知県豊川市α×合併地に主たる事務所を設けている。(甲10,11)

原告は,昭和44年8月にP1の住職となり,これにより同月28日にP1の代表役員に就任し(本件規則6条1項),平成20年9月16日,上記住職及び代表役員を退任した者である。(甲11,弁論の全趣旨)

真宗大谷派は,P1を包括する宗教団体である宗教法人である(宗教法人法2条2号参照)。

(2)本件処分に至る経緯等

原告は,原告の長男が平成20年○月○日に逮捕監禁致傷事件により逮捕されたため,同月18日,愛知県豊橋市所在のP2の前住職であり,真宗大谷派の教師であるP3に呼ばれ,取りあえずけじめを付つけるように言われたことなどから,同年9月16日,P1の住職及び代表役員を辞任し,P3が,同日,P1の住職代務者及び代表役員代務者に就任した。(甲10,11,19,31,弁論の全趣旨)


P3は,愛知県知事に対し,P1の代表役員代務者として,平成25年5月20日付けで,以下の内容を含む本件規則の変更(以下「本件規則変更」という。なお,(ア)及び(イ)については,下線を付した範囲が変更部分である。)に係る認証の申請(本件認証申請)をした。(乙1,3,4)(ア)6条2項に係るもの(以下「本件規則6条2項に係る変更」という。)
変更前:

住職は,宗憲により,P4姓を名乗る男子たる教師につい
て,真宗大谷派の管長が任命する。

変更後:

住職は,宗憲により,教師について,真宗大谷派の代表役
員たる宗務総長(以下「宗務総長」という。)が任命する。

(イ)39条に係るもの(以下「本件規則39条に係る変更」という。)変更前:1項

この法人が解散したときは,その残余財産は,解散当
時の住職に帰属する。

2項

前項の規定によることができないときは,清算人は,

総代の同意を得て,P4姓を名乗る解散直前の住職の遺
産継承者に,その財産を公平に分配しなければならな
い。
3項

前2項の規定によることができないときは,清算人
は,総代の同意を得て,真宗大谷派又は真宗大谷派に包
括される宗教団体又は公益事業のために,その財産を処
分することができる。

4項

第1項及び第2項の住職には,兼務住職及び住職代務
者は含まないものとする。

変更後:

この法人が解散したときは,その残余財産は,清算人が総
代の同意を得て,真宗大谷派又は真宗大谷派に包括される宗
教団体又は公益事業のために処分するものとする。

(ウ)その他
11条2項,22条2項,23条3項,36条及び37条中「管長」とあるのを「宗務総長」に改める。
ウ愛知県知事は,平成25年7月1日付けで,本件規則変更を認証する旨の本件処分をした。(乙3,4)
(3)本件処分後の経過

原告は,本件処分を不服として,平成25年8月27日付けで,文部科学大臣に対し,審査請求(以下「本件審査請求」という。)をしたが,文部科学大臣は,同年12月13日付けで,本件審査請求を棄却する旨の裁決(以下「本件裁決」という。)をした。(甲7,乙6)

イ3
原告は,平成26年6月5日,本件訴えを提起した。(顕著な事実)
争点
(1)本案前の争点

原告適格の有無(争点(1))


訴えの利益の有無(争点(2))

(2)本案の争点
本件処分の適法性(争点(3))
4
争点に関する当事者の主張
(1)争点(1)(原告適格の有無)について

(原告の主張)

原告は,本件処分当時,P1の前住職であったから,寺院教会条例23条1項1号によりP1の寺族となり,寺院教会条例24条により,P1の住職を助けて寺院の興隆に努めるべき任務を有していた。また,原告は,P1に所属する「P4姓を名乗る男子たる教師」で,P1の住職となった昭和44年8月当時,本件規則6条2項により,住職となることのできる唯一の資格者であった者であり,本件処分当時,平成8年(1996年)6月20日条例公示第1号附則2項により,原告の妻であるP5(以下「原告妻」という。)と共に,「P4姓を名乗る教師」としてP1の住職となり得る資格を有する者であったところ,原告妻は原告が住職となるのであれば住職となることを望んでいなかったことから,住職となり得る資格を有する事実上唯一の者であった。本件規則6条2項及び上記条例附則2項は,寺院教会条例9条を受け,また,P1の住職と門信徒との間に深いつながりができていることも考慮して,住職を「P4姓を名乗る教師」に限定したものであり,600年以上にわたって,代々P4姓を名乗る者がP1の住職を務めてきたものである。さらに,原告はP3との間で,原告が住職を辞任したのは一時的な措置であり,P3の任期終了時には原告がP1の住職に復帰するとの合意をしていた。
しかしながら,本件規則変更は,P4姓を名乗る原告とその卑属系統を排除して,それ以外の者であっても真宗大谷派の教師であれば,誰でもP1の住職となることができるとするもので,寺院教会条例9条,16条に
反してP1の住職になることができる者の範囲を大きく拡大し,上記の歴史的経緯を根本から否定するものであって,「P4姓を名乗る教師」であり,かつ,上記合意をするなどして特別の優越的地位を有していた原告にとって著しく不利益な変更である。また,P1の寺族及び教師として,宗教活動に取り組むことは,原告の生活と生存の根幹に関わるもので,重大な人格的利益であるところ,本件規則変更が認められれば,原告は,住職を助けて寺院の興隆に努めるという任務を果たすことができない。したがって,原告が,P1の運営の基礎となる本件規則の変更について,密接かつ重大な利害関係を有し,法律上の利益を有することは明らかである。

最高裁昭和39年(行ツ)第22号同41年3月31日第一小法廷判決(集民82号819頁。以下「昭和41年最高裁判決」という。)においては,旧宗教法人の代表者について,新宗教法人の規則の認証の取消しを求める法律上の利益を有することが認められており,下級審の裁判例においても,檀徒総代の同意を得ないで作成された寺院規則の認証行為の無効確認を求める訴えが適法とされている。これらの判決は,いずれも宗教法人法12条1項及び14条1項に関するものであるが,同法26条1項が定める宗教法人の規則の変更の認証についても異なるものではないから,同項は,特定の利害関係者の権利又は法律上の利益を保護する趣旨を含むものと解すべきである。


本件規則6条2項に係る変更は,住職の任命に関する事項の変更ではあるが,同条1項によれば,住職の任命が違法であれば,代表役員の選任が違法となるのであるから,法律上の争訟の対象となる。本件においては,変更後の本件規則6条に基づき,P4姓ではない教師であるP6がP1の新住職に任命され,代表役員に選任されたところ,原告は,P6に対し,上記代表役員の選任の無効等確認訴訟(以下「別件訴訟」という。)を提
起するため,準備をしている。しかしながら,本件訴えが原告適格を欠くものとして不適法になれば,行政処分の公定力により,別件訴訟において本件処分の違法性を主張することができなくなるのであって,このような事態は,司法的救済の範囲を著しく狭めることになり,明らかに正義に反するものである。

被告は,本件審査請求において,本件審査請求が適法であることを前提として反論を行っており,裁決行政庁である文部科学大臣も,本件審査請求が適法であることを前提に本件裁決をしたものである。被告は,下級審の裁判例に照らして,本件訴えを不適法として争うことはできないと判断していたと考えられ,上記経緯によれば,本件訴えの提起後に,被告が本件訴えを不適法と主張することは禁反言の法理に反し,明らかに信義誠実の原則に反するものであり,許されない。

(被告の主張)

原告は,平成20年9月16日の時点で,P1の住職及び代表役員を辞任したものであって,本件処分によってその地位を喪失したものではない。そして,本件規則6条2項に係る変更は,P1の住職となるための資格要件を,「P4姓を名乗る男子たる教師」から単なる「教師」に拡大しただけであって,原告を含む「P4姓を名乗る男子たる教師」も,「教師」として住職資格を引き続き有するものであるから,本件規則変更後も,原告が住職となる資格は何ら否定されていない。また,本件規則39条に係る変更は,P1が解散した場合の残余財産の分配に関するものであるところ,そのような事態が生じることは稀有と考えられる上,その時点において,原告が住職の地位にあるか否かなどは不明である。


宗教法人法26条1項及び28条1項は,特定の利害関係者の権利又は法律上の利益を保護するための規定ではなく,宗教法人の法令や規則への適合性を外形的に確保するという専ら公益的見地から規定されたものであ
り,原告のような宗教的事項に係る利害関係者の個別具体的な権利又は法律上の利益を保護したものではない。原告は,P1の住職及び代表役員を辞任する際,P3との間で,いずれ原告が住職及び代表役員に復帰するという合意があった旨主張するが,その内容は原告の期待にすぎない上,仮に,上記合意があったとしても,私的合意にすぎず,宗教法人法26条1項及び28条1項により保護される利益ではない。

本件規則が定める「住職」は,宗教上の地位であって,信教の自由からしても宗教法人法の規定により法律上保護されるべき地位とは全く異なるものであって,行政事件訴訟法9条1項の権利又は法律上の利益とは全く無関係である。


以上によれば,原告には,本件処分により,侵害され又は当然に侵害されるべき権利又は法律上の利益が認められない。
したがって,原告は,原告適格を欠き,本件訴えは不適法なものである。

(2)争点(2)(訴えの利益の有無)について
(原告の主張)
上記(1)(原告の主張)のとおり,原告は,事実上唯一の住職となり得る資格を有する者であって,P1の寺族及び教師として宗教活動に取り組むことは,原告の生活と生存の根幹に関わる重大な人格的利益であり,本件規則はP1の運営の根本となるものであるから,これが法律上保護に値する利益であることは明らかである。
したがって,原告が,本件訴えについて訴えの利益を有することは明らかである。
(被告の主張)
上記(1)(被告の主張)で指摘した事実等によれば,原告には,本件処分を取り消すことにより回復される権利又は法律上の利益は存在しない。
したがって,本件訴えは,訴えの利益を欠き,不適法なものである。(3)争点(3)(本件処分の適法性)について
(被告の主張)

宗教法人法28条1項が定める所轄庁の認証の審査においては,宗教的な事項や宗教法人内部の自律的な事項に立ち入ることを控えるべきであるから,上記審査は,その変更しようとする事項が宗教法人法その他の法令の規範に適合していること及び当該規則に定められた手続が踏まれているか否かを機械的・外形的に審査することが本則であり,提出された認証申請書及び添付書類等から同項1号及び2号の要件の充足を確認できれば,一見して明らかに不自然な事情がうかがわれる等の特段の事情がない限り,所轄庁は認証すべきものと解されるところ,愛知県知事は,本件認証申請に添付された書類を確認し,本件認証申請が同項1号及び2号の要件を充足していたため,本件処分をしたものである。
原告は,宗憲,寺院教会条例等の真宗大谷派の規範への整合性を問題とするが,宗教的事項に係る宗教法人の規範については,信教の自由の保障の観点から,所轄庁には審査権限はなく,本件認証申請の審査においても把握していない。


本件規則36条が,規則の変更手続に宗務総長の承認を必要とした趣旨は,真宗大谷派における宗務総長は,最高議決機関である宗会が指名し,門首により認証され,真宗大谷派の代表役員となる役職であって,このような地位にある宗務総長の承認によって真宗大谷派の内部規定と本件規則との整合性を担保するためと解されるところ,本件認証申請については真宗大谷派の宗務総長の承認書が添付されていたのであるから,内部規定との整合性は担保されていたというべきである。


以上によれば,本件処分は適法なものである。

(原告の主張)


本件規則11条によれば,住職代務者は,「すみやかにその後任者を選ぶことができないとき」に限って認められる例外的措置にすぎず,P4姓を名乗る教師である原告が,P1の住職に復帰することによって住職の後任者を選出し,上記例外的措置を解消することができることはいうまでもない。住職代務者であるP3は,住職代務者の任期3年が終了するまでの間に,原告を住職に復帰させるか,原告と協議した上で,「P4姓を名乗る教師」である適格者を住職に就任させる等の措置を講ずべきであったにもかかわらず,上記任期終了後も,住職代務者にとどまり,原告がP1の住職に復帰することを妨げた一方で,「教師」であれば誰でも住職の資格を認めるように本件規則6条2項を変更した。P3の上記行為は,住職代務者の権限を明らかに濫用し,その範囲を逸脱するものである。

イ(ア)本件規則40条は,「宗憲及び真宗大谷派規則中この法人に関係がある事項に関する規定は,この法人についても,その効力を有する。」と定めているから,宗憲及び真宗大谷派規則のうち,P1に関係がある事項に関する規定はP1にも適用され,その効力を有するものであるところ,文化庁が作成した「宗教法人の規則質疑応答集」においても,規則の変更の留意点として,包括宗教団体の規則等に反することとならないかという点が挙げられている。また,本件規則4条によれば,P1の宗教法人としての業務及び事業の運営の根本規範が包括宗教団体である真宗大谷派の宗憲にあり,宗憲の定める規定に従ってP1の運営を行うことが基本的な原則であって,これを抜きにしたP1の運営はあり得ない。
そこで,宗憲等についてみると,宗憲77条は,「寺院及び教会並びに住職,教会主管者及びこれらの代務者に関する事項は,条例でこれを定める。」と規定し,これを受けた寺院教会条例9条本文は,「住職又は教会主管者は,先代住職又は教会主管者の卑属系統であって,当該寺
院又は教会に所属する教師がこれを継承するものとする。」と規定しており,本件規則6条が寺院教会条例9条に基づくものであることは明らかである。一方で,寺院教会条例16条は,「代務者は,その寺院又は教会の世代に入ること及びこれに専属する利益を享有することはできない。」としており,住職代務者の限界を定めている。
本件規則変更は,P4姓を名乗る原告とその卑属系統を排除して,真宗大谷派の教師であればP3を含めて誰でもP1の住職となることができるとするものであるから,寺院教会条例9条,16条に反することは明らかである。
(イ)寺院教会条例施行条規47条1項は,「条例第9条本文に規定する住職の卑属系統の姓を変更し,又は廃止しようとする規則の変更について,当該寺院の代務者により承認申請を行おうとするときは,住職又は寺族の代表者の同意書を添付しなければならない。」とし,同条2項は,「住職又は寺族の代表者が前項による同意書を提出しないときは,第13条を適用する。」としているところ,これらは,当該寺院の住職の卑属系統の姓の変更・廃止に関する規則の変更について,住職代務者の手で行われることは,権限の濫用又はその範囲の逸脱に当たるおそれが強いことから,住職又は寺族の代表者の同意書の添付を要求したものと解される。そして,P1では,原告が住職を辞任したことにより,住職が欠けたことから,寺院教会条例25条により,前住職の配偶者である原告妻が寺族の代表者となったものである。
しかしながら,本件規則変更に当たり,P1の代表役員代務者であるP3から,原告妻に対し,寺院教会条例施行条規47条1項に定められた同意書の提出が求められたことはなく,同条2項に定められた寺院教会条例施行条規13条の手続が取られた事実もない。
したがって,本件規則変更は,寺院教会条例施行条規47条に反する
ものである。
(ウ)本件規則36条によれば,本件規則の変更については,責任役員の定数の全員及び総代の同意が必要であるが,①本件規則9条1号は,代表役員以外の責任役員のうち1人はこの寺院に僧籍を有する者のうちから選定する旨定めているところ,僧籍を有する者が1人も責任役員に選定されていないこと,②同条2号は,責任役員のうち1人は総代が選定する旨定めているところ,本件規則16条は,3人の総代を置く旨定めているにもかかわらず,P1では5人の総代が置かれており,正規の総代が不明であって,責任役員の選定手続に重大な瑕疵があること,③上記②からすると,本件規則変更については総代の同意があるとはいえないことなどからすると,本件認証申請は,上記要件を満たさない。
(エ)以上によれば,本件規則変更は,寺院教会条例9条,16条,寺院教会条例施行条規47条,本件規則36条に反し,「この法律その他の教会の規定に適合している」(宗教法人法28条1項1号)といえないことは明らかである。そして,寺院規則の認証は,寺院の適法な規則作成を前提とするから,規則が無効な場合は前提要件を欠くものというべく,このような場合は,その瑕疵は重大かつ明白であって,認証は当然無効というべきであるところ,本件規則変更は寺院教会条例に反するもので重大かつ明白な瑕疵があり,本件処分も当然に無効である。

被告は,所轄庁による規則の認証の審査は,機械的・外形的なもので足りると主張するが,上記主張は,「規則認証のためにする所轄庁の審査は,認証申請書の添附書類の記載によって申請にかかる事案が宗教法人法14条1項各号にかかげる要件を充しているかを審査すべきものではあるが,それにしても,その審査事項を証するために提出を要する添附書類は,証明事実の真実の存在を首肯させるに足りる適切な文書であることを必要とし,単に形式的に証明文言のある文書が整っているだけで足りるも
のではない。」などと判示した昭和41年最高裁判決に反するものである。前記(1)(原告の主張)イのとおり,上記判決は,宗教法人法28条1項所定の所轄庁の規則変更の認証に関する審査についても,当然に当てはまるものであり,規則変更の認証審査に関して所轄庁が行うべき調査に関する文化庁の通知においても,「添附書類は,単に形式的要件を充足しているだけでは足りず,証明事実の存在を客観的に首肯させるに足るものであることを要する。」,「規則変更の認証の申請書類は,単に形式的に証明文言の記載のある文書がととのっているだけで足りるものではない。」とされている。
また,文化庁の昭和43年1月25日通知においては,認証に関する案件について疑義がある場合には,可能な限り,確認のための調査を行うべきであるとされているところ,本件認証申請については,責任役員の資格及び選定並びに本件規則変更に関わった総代の選定及び人数に疑義があった上,原告が,愛知県知事に対し,P1の前住職であるとの身分を明らかにした上で,本件規則変更の手続が適法にされていないため申請を受理しないでほしい旨の申出をしたのであるから,上記通知に従って,所轄庁が可能な限り確認のための調査を行うべきことは当然である。

原告は,本件規則変更によって重大な不利益を受けることになるから,条理及び適正手続を保障した憲法31条の趣旨に照らして,原告に意見陳述の機会を付与すべきであることは当然であるところ,愛知県知事は,原告に意見陳述の機会を与えることなく本件処分を行ったものであって,適正手続に反し,違法である。


以上によれば,本件規則変更が違法無効であることは明らかであり,したがって,また,本件処分も違法なものであり,取り消されるべきである。

第3

当裁判所の判断

当裁判所は,原告には,原告適格が認められないから,本件訴えは不適法であり,却下すべきものと判断する。その理由は,以下のとおりである。1
行政事件訴訟法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項
にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうと解すべきである(最高裁昭和49年(行ツ)第99号同53年3月14日第三小法廷判決・民集32巻2号211頁,最高裁平成元年(行ツ)第131号同4年9月22日第三小法廷判決・民集46巻6号1090頁等参照)。そして,処分の名宛人以外の者が処分の法的効果による権利の制限を受ける場合には,その者は,処分の名宛人として権利の制限を受ける者と同様に,当該処分により自己の権利を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者として,当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たり,その取消訴訟における原告適格を有するものというべきである(最高裁平成24年(行ヒ)第156号同25年7月12日第二小法廷判決・集民244号43頁参照)。2
上記の見地に立って,原告が本件処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たるか否かについて判断する。
(1)本件規則変更の内容について

前記前提事実によれば,本件規則6条2項に係る変更は,住職たる資格要件をP4姓を名乗る教師(寺院教会条例の平成8年(1996年)6月20日条例公示第1号附則2項により,本件規則6条2項の「男子たる教師」は「教師」と読み替えることとされた。)から単なる教師に拡大するものであるが,原告は,本件処分当時,既にP1の住職たる地位を退任していたものであるから,上記変更は,原告の住職たる地位を失わせるような性質のものではなく,原告も教師に該当するから,原告の住職となるための資格を失わせるものでもない。
また,弁論の全趣旨によれば,本件処分当時,本件規則6条2項に基づ
いてP4姓を名乗る教師として住職に任命される可能性があった者は,原告及び原告妻のみであって,原告が住職に任命されることについて期待を有していたことは認められるが,同項によれば,住職の任命が宗務総長(真宗大谷派の規則が昭和56年に改正され,管長制が廃止され,本件規則に規定されている管長の職務は宗務総長に移行された(証拠(乙1)及び弁論の全趣旨により認められる。)。以下,単に「宗務総長」という。)の権限に属することは明らかであって,実際にも,①原告妻も住職に任命される資格を有する者であること,②本件処分当時,P3が住職代務者に就任しており,本件規則11条4項によれば住職代務者の任期は3年であるものの再任されることができ,実際にP3が再任されていたこと(証拠(甲10,19)及び弁論の全趣旨により認められる。)などに照らすと,原告の上記期待は事実上のものにとどまるものといわざるを得ない。
したがって,原告が,本件規則6条2項に係る変更について法的に保護されるべき権利又は法的地位を有するということはできない。

また,前記前提事実によれば,本件規則39条に係る変更については,P1が解散した場合の残余財産の分配について,第1順位として解散当時の住職に,第2順位としてP4姓を名乗る解散直前の住職の遺産継承者に,第3順位として真宗大谷派等に承継させるとされていたものを,上記第1順位及び第2順位の者を削除するなどするものであるが,現時点においては,P1が解散することをうかがわせる事情は全くないから,残余財産の分配について法的な権利を有する者は存在しないと認められ,原告が残余財産の分配を受けることについて期待を有していたとしても,それは事実上の期待にとどまるものといわざるを得ない。
したがって,本件規則39条に係る変更についても,原告が法的に保護されるべき権利又は法的地位を有するということはできない。

(2)本件規則変更の手続に関与する利益について
本件規則36条前段は,規則の変更の要件として,責任役員の定数の全員及び総代の同意を得て,宗務総長の承認及び愛知県知事の認証を受けなければならない旨定めている。
また,本件規則40条は,「宗憲及び真宗大谷派規則中この法人に関係がある事項に関する規定は,この法人についても,その効力を有する。」と定めているところ,宗憲77条は,「寺院及び教会並びに住職,教会主管者及びこれらの代務者に関する事項は,条例でこれを定める」と規定し,これを受けた寺院教会条例9条本文が「住職又は教会主管者は,先代住職又は教会主管者の卑属系統であって,当該寺院又は教会に所属する教師がこれを継承するものとする。」と規定し,寺院教会条例施行条規47条1項において,「条例第9条本文に規定する住職の卑属系統の姓を変更し,又は廃止しようとする規則の変更について,当該寺院の代務者により承認申請を行おうとするときは,住職又は寺族の代表者の同意書を添付しなければならない。」とされていることからすると,本件規則6条2項に係る変更については,住職の卑属系統の姓を廃止しようとする規則の変更であるから,上記各規定が適用されるものと解される。
そうすると,本件規則変更が認証されるための要件は,責任役員の定数の全員及び総代の同意,宗務総長の承認,本件規則6条2項に係る変更につき住職又は寺族の代表者の同意があることであって,これらの者については,本件規則変更の手続に関与してP1の権利義務を定める本件規則の変更の成否を左右することができる地位にあるから,そのような地位にある者は法的に保護されるべき権利又は法的地位を有すると評価し得るが,前住職で,寺族の代表者以外の寺族である原告については,上記のいずれの者にも該当しないから,上記手続に関与することができる地位にはなく,原告に法的に保護されるべき権利又は法的地位があるということはできない(寺院教会条例
23条1項1号において,前住職に該当するものは寺族である旨定められているから,前住職である原告は,寺族であり,また,寺院教会条例25条1項において,住職が欠けたときは,その配偶者が寺族の代表者となる旨定められているから,原告妻が寺族の代表者である。)。
(3)小括
以上によれば,本件規則変更の内容及びその手続に関与する利益のいずれの観点から検討しても,原告は,本件処分の法的効果による権利の制限を受ける者に該当するということはできない。
3(1)もっとも,上記のように処分の法的効果による権利の制限を受ける者に該当しない場合であっても,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益も上記法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消しの訴えにおける原告適格を有すると解するのが相当である。そして,その判断に当たっては,行政事件訴訟法9条2項が定めるように,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び内容をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきである(最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)ので,以下検討する。
(2)宗教法人法は,宗教団体が,礼拝の施設その他の財産を所有し,これを維
持運用し,その他その目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため,宗教団体に法律上の能力を与えることを目的とするものである(1条1項)。同法は,①宗教法人を設立しようとする者は,所定の事項を記載した規則を作成し,その規則について所轄庁の認証を受けなければならないものとし(12条1項),所轄庁は,その認証の申請に係る当該団体が,同法2条の要件に該当しているかどうか,その規則の内容や手続が法令の規定に違反していないかどうか等を審査し,これらの要件を備えていると認めたときはその規則を認証する旨の決定をしなければならないものとした上で(14条1項),②代表役員,責任役員に係る定めを含む管理(第3章)等の組織運営の在り方を規定するほか,③同法の規定については,個人,集団又は団体が宗教上の行為を行うことを制限するものと解釈してはならず,都道府県知事等に対し,宗教上の事項について干渉する権限等を与えるものと解釈してはならない旨規定している(1条2項,85条等)。これらの規定によれば,同法は,宗教団体の特性に配慮しつつ,宗教活動の公共性に鑑み,①宗教法人について,一定の手続を経れば,宗教団体が宗教法人となり得る機会均等の原則を明示する一方で,宗教団体でないものが宗教法人になることを防止するため,宗教法人となり得る資格要件を定めるとともに,②宗教法人の権利,義務を定める規則を明確にし,所轄庁がその規則や手続を認証することで法令に適合しているかどうかの合法性を認証することによって公に確認する一方で,所轄庁による合法性の審査をその範囲にとどめ,宗教団体の信仰,宗教上の伝統,慣習,儀式,行事その他宗教上の機能等を尊重し,宗教団体を公平平等に取り扱うなど信教の自由を妨げないように留意するなどしているものと解される。
そして,宗教法人法26条1項及び27条は,宗教法人の規則の変更について,規則の定めるところによりその変更のための手続をし,所轄庁の認証を受けなければならないものとし,同法28条1項及び14条1項は,所轄
庁は,その認証の申請に係る事案が同法28条1項の要件を備えているかどうかを審査した上で,これらの要件を備えていると認めたときはその規則の変更を認証する旨の決定をしなければならない旨規定する。これらは,上記のような宗教団体の特性に配慮しつつ,宗教活動の公共性に鑑み,宗教法人の権利義務を定めるという重要性を有する規則の変更について,当該規則が定める手続を履践しているかを確認する権限を所轄庁に認めたものであり,適正な宗教法人の運営の確保という公益の保護を趣旨及び目的とするものと解される一方,それ以上の個別的利益の保護を趣旨及び目的とするものとは解されない。
(3)そうすると,宗教法人法の趣旨及び目的等を考慮しても,同法が宗教法人の規則の変更の認証手続において,個々人の個別的利益を保護する趣旨を含むと解することはできないから,原告に法律上保護される利益があるということはできず,かかる見地からしても,原告に,本件処分の取消しの訴えにおける原告適格を認めることはできない。
4
以上に対し,原告は,①原告は,寺族としてP1の住職を助けて寺院の興隆に努めるべき任務を有する上,本件規則下において住職となり得る資格を有する事実上唯一の者であること,②本件規則6条2項は,住職を「P4姓を名乗る教師」に限定し,600年以上にわたって,代々P4姓を名乗る者がP1の住職を務めてきた歴史があること,③原告は,P3との間で,原告が住職を辞任したのは一時的な措置であり,P3の任期終了時には原告がP1の住職に復帰するとの合意をしていたこと,④本件規則変更は,住職となることについて特別の優越的地位を有していた原告にとって著しく不利益な変更であること,⑤P1の寺族及び教師として,宗教活動に取り組むことは,原告の生活と生存の根幹に関わるもので,重大な人格的利益であることなどから,原告は,本件規則変更について密接かつ重大な利害関係を有すること,⑥昭和41年最高裁判決等において旧宗教法人の代表者等の原告適格が認められているのであるか
ら,宗教法人法26条1項は,特定の利害関係者の権利又は法律上の利益を保護する趣旨を含むと解されること,⑦本件訴えが原告適格を欠くものとして不適法になれば,行政処分の公定力により,別件訴訟において本件処分の違法性を主張することができなくなること,⑧本件の経緯によれば,本件訴えの提起後に,被告が本件訴えを不適法と主張することは禁反言の法理に反し,許されないことなどから原告には原告適格が認められるなどと主張する。しかしながら,上記①の点については,住職の任命は宗務総長の権限に属する上,原告の住職に任命されることについての期待は事実上のものにとどまるといわざるを得ないことは,前記2(1)アで判示したとおりであって,本件処分は,原告が,寺族として,P1の住職を助けて寺院の興隆に努めるべき任務を妨げるものではない。
上記②の点については,600年以上にわたって,代々P4姓を名乗る者がP1の住職を務めてきたからといって,そのことは従前の経緯,事情にとどまるものであって,前記2の判断を左右するものではない。
上記③の点については,原告作成の陳述書(甲31)及び原告本人の供述によっても,P3との間で原告の復帰に関する具体的なやり取りがあった事実は一切認められず,原告は,P3から「ほとぼりがさめたら,時機を見てまた住職に復帰すればよい。」と言われ,これを受けて,「彼の第一期の任期である3年以内には復帰できるだろう。」と原告が解釈したという程度のことが認められるのみであって,このような解釈は,原告の期待にとどまるものといわざるを得ない。また,証拠(甲22ないし28,原告本人)によれば,
P3

は,原告及び原告妻との間のP1をめぐる紛争を解決するため,平成22年2月18日頃,真宗大谷派の紛議調停委員会条例に基づく紛議調停の申立てをし,同年4月19日頃に,紛議調停委員会の決定がされたが,双方当事者がこれを不服として,上記条例に基づく審問院に対する異議申立てをし,平成24年12月25日,審問会の判定がされたところ,原告は,上記一連の手続にお
いて,P3との間で原告が住職に復帰する旨の合意があったことは述べなかったこと,

上記判定に係る判定書には,「今回の決議により,被申告者である
前住職及び坊守は田原に隠居することになるが,P1前住職としての寺族並びに坊守としての寺族代表の資格が奪われるものではない」などの記載があり,真宗大谷派においても上記合意の存在を前提とする原告の住職への復帰を認めていないことなどが認められ,これらの事情を考慮すれば,原告とP3との間で原告が住職に復帰することについての合意があったと認めることはできず,原告の主張はその前提を欠くものである。
上記④の点については,前記①ないし③の点で説示したところによれば,原告が住職となることについて特別の優越的地位を有しているということはできない。
上記⑤の点については,P1の寺族及び教師として,宗教活動に取り組むことが,原告の生活と生存の根幹に関わる重要な人格的利益であるとしても,本件処分により,原告がP1の寺族及び教師として宗教活動に取り組むことが妨げられるものではない上,上記利益は,個人的利益にとどまるものであって,そのような個人的利益が,本件規則変更の認証手続において保護されないことは,前記3(2)及び(3)において説示したとおりである。
上記⑥の点については,昭和41年最高裁判決等は,宗教法人法26条1項が特定の利害関係者の権利又は法律上の利益を保護する趣旨を含む旨判示したものではなく,これらの事案の原告は,いずれも処分の名宛人として権利の制限を受ける者と同様に,当該処分により自己の権利を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者として,当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たると解されるから,本件とは事案を異にするものである。上記⑦の点については,いわゆる公定力とは,行政処分は仮に違法であっても,取消権限のある者によって取り消されるまでは,何人もその効果を否定することはできない,という法現象を指すものであって,当該行政処分の適法・
違法が取消訴訟以外の訴訟で問題となっても,そのことは公定力に抵触するものではなく,原告は,別件訴訟において本件処分の違法性を主張することができるから,原告の主張はその前提を欠くものである。
上記⑧の点については,原告適格は訴訟要件に係るものであるから,被告が本件審査請求において審査請求の適法性に係る主張をしなかったからといって,本件訴えにおいて原告適格に関する主張をすることが制限されることはなく,そのことが禁反言の法理に反するということはできないことは明らかである。
5
以上によれば,原告には,原告適格が認められないというべきであるから,その余の点について判断するまでもなく,本件訴えは不適法であって,却下を免れない。

第4

結論

よって,本件訴えは不適法であるからこれを却下することとして,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。
名古屋地方裁判所民事第9部

裁判長裁判官

市原義孝

裁判官

平田晃史

裁判官

山口貴央

(別紙2)
関係法令等の定め
1
宗教法人法
(1)1条
1項

この法律は,宗教団体が,礼拝の施設その他の財産を所有し,これを維持運用し,その他その目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため,宗教団体に法律上の能力を与えることを目的とする。

2項

憲法で保障された信教の自由は,すべての国政において尊重されなければならない。従つて,この法律のいかなる規定も,個人,集団又は団体が,その保障された自由に基いて,教義をひろめ,儀式行事を行い,その他宗教上の行為を行うことを制限するものと解釈してはならない。
(2)2条
この法律において「宗教団体」とは,宗教の教義をひろめ,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体をいう。1号

礼拝の施設を備える神社,寺院,教会,修道院その他これらに類する団体
2号

前号に掲げる団体を包括する教派,宗派,教団,教会,修道会,司教区その他これらに類する団体

(3)5条
1項

宗教法人の所轄庁は,その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事とする。

2項

次に掲げる宗教法人にあつては,その所轄庁は,前項の規定にかかわらず,文部科学大臣とする。
1号

他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人

2号

前号に掲げる宗教法人以外の宗教法人であつて同号に掲げる宗教法人を包括するもの

3号

前二号に掲げるもののほか,他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人

(4)12条
1項

宗教法人を設立しようとする者は,左に掲げる事項を記載した規則を作成し,その規則について所轄庁の認証を受けなければならない。
1号

目的

2号

名称

3号

事務所の所在地

4号

設立しようとする宗教法人を包括する宗教団体がある場合には,その名称及び宗教法人非宗教法人の別

5号

代表役員,責任役員,代務者,仮代表役員及び仮責任役員の呼称,資格及び任免並びに代表役員についてはその任期及び職務権限,責任役員についてはその員数,任期及び職務権限,代務者についてはその職務権限に関する事項

6号

前号に掲げるものの外,議決,諮問,監査その他の機関がある場合には,その機関に関する事項

7号

第六条の規定による事業を行う場合には,その種類及び管理運営
(同条第二項の規定による事業を行う場合には,収益処分の方法を含む。)に関する事項

8号

基本財産,宝物その他の財産の設定,管理及び処分(第二十三条但書の規定の適用を受ける場合に関する事項を定めた場合には,その事項を含む。),予算,決算及び会計その他の財務に関する事項

9号

規則の変更に関する事項

10号

解散の事由,清算人の選任及び残余財産の帰属に関する事項を定

めた場合には,その事項
11号

公告の方法

12号

第五号から前号までに掲げる事項について,他の宗教団体を制約

し,又は他の宗教団体によつて制約される事項を定めた場合には,その事項
13号

前各号に掲げる事項に関連する事項を定めた場合には,その事項

2項及び3項(略)
(5)14条
1項

所轄庁は,前条の規定による認証の申請を受理した場合においては,その受理の日を附記した書面でその旨を当該申請者に通知した後,当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し,これらの要件を備えていると認めたときはその規則を認証する旨の決定をし,これらの要件を備えていないと認めたとき又はその受理した規則及びその添附書類の記載によつてはこれらの要件を備えているかどうかを確認することができないときはその規則を認証することができない旨の決定をしなければならない。
1号

当該団体が宗教団体であること。

2号

当該規則がこの法律その他の法令の規定に適合していること。

3号

当該設立の手続が第十二条の規定に従つてなされていること。

2項ないし5項(略)
(6)26条
1項

宗教法人は,規則を変更しようとするときは,規則で定めるところによりその変更のための手続をし,その規則の変更について所轄庁の認証を受けなければならない。この場合において,宗教法人が当該宗教法人を包括する宗教団体との関係(以下「被包括関係」という。)を廃止しようとするときは,当該関係の廃止に係る規則の変更に関し当該宗教法人の規則中に当該宗教法人を包括する宗教団体が一定の権限を有する旨の定がある場合でも,その権限に関する規則の規定によることを要しないものとする。
2項ないし4項(略)
(7)27条
宗教法人は,前条第一項の規定による認証を受けようとするときは,認証申請書及びその変更しようとする事項を示す書類二通に左に掲げる書類を添えて,これを所轄庁に提出し,その認証を申請しなければならない。1号

規則の変更の決定について規則で定める手続を経たことを証する書類
2号

規則の変更が被包括関係の設定に係る場合には,前条第二項の規定による公告をし,及び同条第三項の規定による承認を受けたことを証する書類
3号

規則の変更が被包括関係の廃止に係る場合には,前条第二項の規定による公告及び同条第三項の規定による通知をしたことを証する書類

(8)28条
1項

所轄庁は,前条の規定による認証の申請を受理した場合においては,その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後,当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し,第十四条第一項の規定に準じ当該規則の変更の認証に関する決定をしなければならない。
1号

その変更しようとする事項がこの法律その他の法令の規定に適合していること。

2号

その変更の手続が第二十六条の規定に従つてなされていること。

2項(略)
(9)85条
この法律のいかなる規定も,文部科学大臣,都道府県知事及び裁判所に対し,宗教団体における信仰,規律,慣習等宗教上の事項についていかなる形においても調停し,若しくは干渉する権限を与え,又は宗教上の役職員の任免その他の進退を勧告し,誘導し,若しくはこれに干渉する権限を与えるものと解釈してはならない。

2
平成25年学振第6-7号認証前の宗教法人「P1」規則(以下「本件規則」という。)
(1)4条
この法人は,その包括団体の規程たる真宗大谷派宗憲(以下「宗憲」という。)により,宗祖親鸞聖人の立教開宗の本旨に基いて,教義をひろめ,儀式行事を行い,門徒を教化育成し,社会の教化を図り,その他この寺院の目的を達成するための,堂宇その他の財産の維持管理その他の業務及び事業を運営することを目的とする。
(2)6条
1項

代表役員は,この寺院の住職の職にある者をもって充てる。

2項

住職は,宗憲により,P4姓を名乗る男子たる教師について,真宗大谷派の管長が任命する。

3項(略)
(3)7条
代表役員は,この法人を代表し,その事務を総理する。
(4)8条
この法人には,三人の責任役員を置く。
(5)9条
1項

代表役員以外の責任役員は,左に掲げる者とする。
1号

この寺院に僧籍を有する者のうちから代表役員が総代の同意を得て選定した者一人

2号
2項

総代が選定した者一人

前項第1号の規定によって責任役員を選定する場合において,この寺院に僧籍を有する者がないとき,又はその僧籍を有する者のうちから選定することができないときは,代表役員は,総代の同意を得て,他の者のうちからこれを選定することができる。

(6)11条
1項

代表役員が左の各号の一に該当するときは,代表役員代務者を置き,この寺院住職代務者の職にある者をもってこれに充てる。
1号

死亡その他の事由に因って欠けた場合において,すみやかにその後任者を選ぶことができないとき。

2号

病気その他の事由に因って三月以上その職務を行うことができないとき。

2項

住職代務者は,宗憲により,教師について,管長が任命する。

3項

住職代務者の任命の申請は,総代の同意を得て,住職が行い,住職がないときは,総代が合議して行う。

4項

住職代務者の任期は,三年とする。但し,再任を妨げない。

(7)13条
1項

代務者は,代表役員又は責任役員に代ってその職務権限の全部を行う。
2項

代務者は,その置かなければならない事由がなくなったときは,当然退任するものとする。

(8)16条
1項

この寺院には,三人の総代を置く。

2項

総代は,この寺院の門徒で,衆望の帰するもののうちから選定する。
3項(略)
(9)17条
1項

総代は,責任役員に協力して,この寺院の興隆に努めなければならな
い。
2項
(10)

総代は,この寺院の業務について,勧告及び助言をすることができる。18条

左に掲げる事項については,あらかじめ総代の同意を得なければならない。但し,緊急の必要に基くものであり,又は軽微のものである場合及び第4号に
掲げる事項が一年以内の期間に係るものである場合は,この限りでない。1号

借入及び臨時の融通

2号

主要建物の新築,改築,増築,移築,除却及び著しい模様替

3号

土地の著しい模様替

4号

主要な境内建物及び境内地の用途の変更並びにこの法人の目的以外の使用
(11)

36条
この規則を変更しようとするときは,責任役員の定数の全員及び総代の同意
を得て,管長の承認及び愛知県知事の認証を受けなければならない。第2条,第3条又は第37条の規定の変更については,更に門徒の3分の2以上の同意を得るものとする。
(12)

39条

1項

この法人が解散したときは,その残余財産は,解散当時の住職に帰属する。

2項

前項の規定によることができないときは,清算人は,総代の同意を得
て,P4姓を名乗る解散直前の住職の遺産継承者に,その財産を公平に分配しなければならない。
3項

前2項の規定によることができないときは,清算人は,総代の同意を得て,真宗大谷派又は真宗大谷派に包括される宗教団体又は公益事業のために,その財産を処分することができる。

4項

第1項及び第2項の住職には,兼務住職及び住職代務者は含まないものとする。

(13)

40条
宗憲及び真宗大谷派規則中この法人に関係がある事項に関する規定は,この
法人についても,その効力を有する。
3
真宗大谷派宗憲(甲12。以下「宗憲」という。)

(1)77条
寺院及び教会並びに住職,教会主管者及びこれらの代務者に関する事項は,条例でこれを定める。
(2)81条
1項
2項
4
僧侶であって,教師資格を具備する者を教師に補任する。
僧侶及び教師に関する事項は,条例でこれを定める。

真宗大谷派寺院教会条例(甲2。以下「寺院教会条例」という。)(1)8条
住職又は教会主管者は,寺院又は教会の興隆発展に努め,その機能を発揮させるため,門徒の強化と当該寺院又は教会に所属する僧侶及び寺族の指導の任に当たるとともに,率先して教法を聞信し教学を研鑽しなければならない。(2)9条
住職又は教会主管者は,先代住職又は教会主管者の卑属系統であって,当該寺院又は教会に所属する教師がこれを継承するものとする。ただし,寺院又は教会は,特別の事情により卑属系統の中から継承者を選定できないときは,宗務総長の承認を得て,卑属系統によらないことができる。
(3)16条
代務者は,その寺院又は教会の世代に入ること及びこれに専属する利益を享有することはできない。ただし,寺族である場合には世代に入ることを除くの外この限りでない。
(4)23条
1項

寺族とは,次の各号の一に該当するものをいう。
1号

住職又は教会主管者及び前住職又は前教会主管者

2号

候補衆徒

3号

坊守籍簿に登載されている者

4号

住職又は教会主管者及び前住職又は前教会主管者とそれぞれ同じ戸
籍にある者
5号ないし7号(略)
2項及び3項(略)
(5)24条
寺族は,住職又は教会主管者を助けて,寺院又は教会の興隆に努めなければならない。
(6)25条
1項

住職又は教会主管者が欠けたときは,その配偶者が寺族の代表者とな
る。
2項及び3項(略)
(7)26条
寺院又は法人である教会(以下「法人教会」という。)の設立,移転,合併及び解散並びに当該寺院又は教会の規則(以下「規則」という。)の制定及び変更については,所轄庁にその認証申請をするに先立って,規則の定めるところにより,あらかじめ責任役員及び総代の定数の全員の同意を得て,法令の定める書類に本章の当該各条に定める書類を添付した申請書を宗務総長に提出して,その承認を得なければならない。(以下略)
(8)平成8年(1996年)6月20日条例公示第1号附則2項この条例施行の際,現に宗教法人「真宗大谷派」が包括する法人の規則第6条に規定する「男子たる教師」については,当分の間その規定にかかわらず「教師」と読み替えるものとする。
5
真宗大谷派寺院教会条例施行条規(甲8。以下「寺院教会条例施行条規」という。)
(1)10条
住職又は代務者の任命申請書には,代表役員以外の責任役員及び総代全員の署名押印を必要とする。ただし,非法人教会の場合は,総代全員の署名押印と
する。
(2)13条
1項

住職又は代務者の候補者が候補衆徒でない場合は,第十条のほか,なお寺族の代表者が署名押印することを要する。

2項

寺族の代表者は,住職又は代務者の任命申請に同意し難いときは,その理由書を教務所長に提出しなければならない。

3項

教務所長は,前項の理由書が提出されたときは,紛議調停委員会の調停に付することができる。

4項

寺族の代表者が理由書を提出しないとき,又は前項による調停が成立しないときは,教務所長は,事情を調査し,意見を添えて任命申請書及び関係書類を提出しなければならない。

5項

寺族が不在又は寺族の代表者を選定し難いときは,教務所長は,事情を調査し,意見を添えて任命申請書及び関係書類を提出しなければならない。

(3)47条
1項

条例第9条本文に規定する住職の卑属系統の姓を変更し,又は廃止しようとする規則の変更について,当該寺院の代務者により承認申請を行おうとするときは,住職又は寺族の代表者の同意書を添付しなければならない。

2項

住職又は寺族の代表者が前項による同意書を提出しないときは,第13条を適用する。

以上

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