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売買代金請求事件、損害賠償請求反訴事件 特許権 民事訴訟
事件番号平成27(ワ)12239等
事件名売買代金請求事件,損害賠償請求反訴事件
裁判年月日平成29年7月13日
法廷名大阪地方裁判所
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平成29年7月13日判決言渡
平成27年(ワ)第12239号
平成28年(ワ)第1081号
口頭弁論終結日

同日原本領収

裁判所書記官

売買代金請求事件
損害賠償請求反訴事件

平成29年5月12日
判決
本訴原告(反訴被告)

有限会社モトキ

同訴訟代理人弁護士


本訴被告(反訴原告)

有限会社クラフトホリ

同訴訟代理人弁護士

溝上
同訴訟代理人弁理士

山本田佳哲孝也進主1文
本訴被告(反訴原告)は,本訴原告(反訴被告)に対し,98万4008円
及びこれに対する平成27年5月9日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2
本訴原告(反訴被告)のその余の請求及び本訴被告(反訴原告)の請求をい
ずれも棄却する。
3
訴訟費用は,本訴反訴を通じ,これを50分し,その1を本訴原告(反訴被
告)の負担とし,その余を本訴被告(反訴原告)の負担とする。
4
この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

第1

及び理由
請求

1実
本訴

本訴被告(反訴原告。以下,単に「被告」という。)は,本訴原告(反訴被告。以下,単に「原告」という。)に対し,106万1160円及びこれに対する平成27年5月9日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。2
反訴
原告は,被告に対し,343万0767円及びこれに対する平成27年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2
1
事案の概要等
事案の要旨
(1)本件本訴は,ネイルアートの販売等を目的とする特例有限会社である原告
が,被告にジェルチップネイルを販売したとして,被告に対し,後記2の前提事実(4)の売買契約に基づき,売買代金106万1160円及びこれに対する支払期日の翌日である平成27年5月9日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
これに対して,被告は,債務不履行(原告が平成26年1月から平成27年3月までの間に納品したジェルチップネイルの一部に商品として販売するに耐えない瑕疵があったこと)に基づく損害賠償請求権及び不法行為(下記(2)の特許権の侵害)に基づく損害賠償請求権による相殺の抗弁を主張している。
(2)本件反訴は,発明の名称を「光硬化型樹脂を用いた付け爪の製造方法」とする発明に係る特許権の独占的通常実施権を有するという被告が,原告が製造,販売するジェルチップネイルが当該発明の技術的範囲に属するとして,原告に対し,不法行為(特許権侵害)に基づき,損害賠償金の一部である343万0767円及びこれに対する不法行為の後の日である平成27年5月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。2
前提事実
(1)当事者

原告は,ネイルアートの製作及び販売等を目的とする特例有限会社であ
る(争いのない事実,弁論の全趣旨)。

被告は,装身具等の販売等を目的とする特例有限会社であり(争いのな
い事実,乙3),P1は,被告の代表取締役である(乙3)。
(2)P1の有する特許権(乙4)
P1は,以下の特許(以下「本件特許」といい,本件特許に係る発明を「本件特許発明」という。また,本件特許の特許出願を「本件特許出願」といい,本件特許出願の願書に添付された明細書及び図面をまとめて「本件明細書」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する。また,本件明細書の記載は,本判決添付の特許公報のとおりである。
特許番号

第4565419号

発明の名称

光硬化型樹脂を用いた付け爪の製造方法

出願日

平成22年2月26日

優先日

平成21年11月9日

登録日

平成22年8月13日

特許請求の範囲
【請求項1】
次の工程からなる光硬化型樹脂を用いた付け爪の製造方法
(a)光硬化型樹脂の付け爪を製造するため,複数の各指の爪に適合される形や,長さ,厚みを考慮に入れた付け爪の原型を完成させ,付け爪を立体で型どりして,紫外線光または可視光で照射して硬化させるために紫外線光または可視光を透過できる透明材料を使用した成形型を製造する第一工程
(b)前記の成形型に光硬化型樹脂を注型し,紫外線光または可視光を成形型の外側から照射して硬化させ,光硬化型樹脂の付け爪を製造する第二工程(c)光硬化型樹脂の付け爪をユーザーの自爪につける第三工程
(3)構成要件の分説(争いがない)
本件特許発明を構成要件に分説すると,以下のとおりである。
次の工程からなる光硬化型樹脂を用いた付け爪の製造方法。

光硬化型樹脂の付け爪を製造するため,複数の各指の爪に適合される形や,
長さ,厚みを考慮に入れた付け爪の原型を完成させ,付け爪を立体で型どりして,紫外線光または可視光で照射して硬化させるために紫外線光または可視光を透過できる透明材料を使用した成形型を製造する第一工程

前記の成形型に光硬化型樹脂を注型し,紫外線光または可視光を成形型の外
側から照射して硬化させ,光硬化型樹脂の付け爪を製造する第二工程C
光硬化型樹脂の付け爪をユーザーの自爪につける第三工程
(4)原告と被告との間の取引

原告は,平成23年頃から継続的に,P1から本件特許権の実施許諾を受けてジェルチップネイルを販売していた被告からの発注と材料樹脂の供給を受けて,被告が指定する仕様及び数量のジェルチップネイルを製造し,被告にこれを納品していた(弁論の全趣旨)ところ,平成27年2月25日,被告から,代金の支払期限を同年5月8日として,ジェルチップネイル(ジェルチップオーバルSサイズ1000ケース,ジェルチップオーバル短サイズ1000ケース)の製造,納品を代金106万1160円で受注した(争いのない事実)。この発注に基づき,原告は,被告に対し,同年3月13日にジェルチップオーバル短サイズ1000ケースを,同月24日にジェルチップオーバルSサイズ1000ケースをそれぞれ納品した(甲4)。
(5)本件特許権侵害の有無が問題となる原告の行為(争いのない事実,甲6の1ないし3,7の1ないし21,9,弁論の全趣旨)
原告は,(4)の被告からの発注とは別に,光硬化型樹脂の付け爪であるジェルチップネイルを製造し,4D株式会社(以下「4D」という。)に販売している。他方,原告は,製造したジェルチップネイルをユーザーの自爪に付ける行為はしておらず,ジェルチップネイルを購入したユーザー自身又はネイリスト等の施術者がこれを行っている(構成要件Cに該当する行為を原告が行っていないことは争いがない。)。(6)被告による相殺の意思表示
被告は,原告に対し,平成27年11月20日の本件第3回口頭弁論期日で陳述した同月18日付け準備書面1において,被告が原告に対して有すると主張する,債務不履行(原告が平成26年1月から平成27年3月までの間に納品したジェルチップネイルの一部に商品として販売するに耐えない瑕疵があったこと)に基づく損害賠償請求権(損害額9万1927円)及び不法行為(特許権侵害)に基づく損害賠償請求権(損害額400万円)をもって,原告の本訴請求債権とその対当額において相殺するとの意思表示をした(顕著な事実)。
3
争点

原告の本訴請求債権の請求原因事実は,上記2(1),(4)の前提事実により認められるから,不法行為(特許権侵害)に基づく損害賠償請求権の成否が本訴事件及び反訴事件の共通の争点となり,債務不履行に基づく損害賠償請求権の成否が本訴事件の固有の争点となる。具体的な争点は,以下の争点1ないし8のとおりである。(1)本件事件及び反訴事件の共通の争点

原告によるジェルチップネイルの製造方法の特定(争点1)


原告の製造方法は,本件特許発明の構成要件A及びBを充足するか(争

構成要件Cに該当する行為を行っていない原告が特許権侵害による責任
点2)

を負うか(争点3)

本件特許発明に進歩性欠如の無効理由があるか(争点4)
(ア)甲8の1公報を主引例とする進歩性欠如の有無(争点4-1)(イ)甲8の2公報を主引例とする進歩性欠如の有無(争点4-2)

被告が4Dに本件特許権に基づく製造を許諾し,原告が4Dから製造委
託を受けて製造したことによる実施許諾の成否(争点5)

本件特許権侵害による損害額は幾らか(争点6)

(2)本訴事件の固有の争点
アイ4
原告が納品した製品に瑕疵があったか(争点7)
債務不履行による損害額は幾らか(争点8)

争点に関する当事者の主張
(1)争点1(原告によるジェルチップネイルの製造方法の特定)について(被告の主張)
原告によるジェルチップネイルの製造方法は,別紙「原告の製造方法(被告)」記載のとおりである。
(原告の主張)
原告によるジェルチップネイルの製造方法は,別紙「原告の製造方法(原告)」記載のとおりである。
(2)争点2(原告の製造方法は,本件特許発明の構成要件A及びBを充足するか)について
(被告の主張)

原告の製造方法は,別紙「原告の製造方法(被告)」のとおりであり,
それによれば,構成要件A及びBを充足する。

また,原告の製造方法が,別紙「原告の製造方法(原告)」のとおりで
あるとしても,構成要件A及びBを充足する。

原告の主張について
(ア)原告は,本件特許発明の付け爪は,個々のユーザーの自爪に適合する
ものであり,構成要件Aにおける「付け爪の原型」,構成要件Bの「光硬化型樹脂の付け爪」もそのようなものであると主張する。
しかし,本件特許発明は,付け爪の量産ができるということが目的の一つであり,特許請求の範囲でもそのように限定する記載はない。したがって,本件特許発明の「付け爪の原型」は,「ユーザーの自爪に適合した付け爪の原型」である必要はなく,人の爪の形状,サイズには一定程度ばらつきがあるという自明の事実を前提として,代表的な形状,サイズのものを選択すればよい。
また,第二工程で製造する「光硬化型樹脂の付け爪」が,第一工程で製造した「成形型」に光硬化型樹脂を注型して行うことに照らせば,構成要件Bの「光硬化型樹脂の付け爪」は,構成要件Aの「成形型」の成形空間と同一の形状,サイズであると解されるが,第一工程で製造する「成形型」の成形空間の形状,サイズと第三工程でユーザーの自爪に付ける「光硬化型樹脂の付け爪」の形状,サイズとの関係については,請求項において何ら特定していない。そして,本件明細書に「第三工程では…付け爪…についた注型ゲート…を切り取り仕上げ処理を行う。その後自爪…に取り付ける。ユーザーの自爪のCカーブ,長さ,巾はそれぞれ異なるため複数のサイズの光硬化型樹脂の付け爪…から適合されるものを選び,自爪に合わせる。さらに微調整をする場合は,お湯や温風で柔らかくして自爪にのせ押さえる」と,第二工程で製造した「光硬化型樹脂の付け爪」の形状,サイズを変えることを前提とした記載がされていること(【0023】)などに鑑みると,第二工程で製造する「光硬化型樹脂の付け爪」は,第三工程でユーザーの自爪に付ける「光硬化型樹脂の付け爪」そのものではない。以上の諸点に照らせば,構成要件Bの「光硬化型樹脂の付け爪」は,複数の人の爪に適合すると言い得る性状を備えていれば足り,構成要件Cの「光硬化型樹脂の付け爪」と同一の形状,サイズのものでなければならないわけではなく,構成要件Aの「成形型」の成形空間の形状,サイズも,構成要件Cの「光硬化型樹脂の付け爪」と同一の形状,サイズのものでなければならないわけではないと解される。したがって,第三工程でユーザーの自爪に付ける「光硬化型樹脂の付け爪」よりも大きな「光硬化型樹脂の付け爪」を第二工程で製造し,それをユーザーの自爪に付ける「光硬化型樹脂の付け爪」にするために仕上げ処理を行うことも,本件特許発明の技術的範囲に含まれる。
(イ)原告の製造方法が別紙「原告の製造方法(原告)」のものであるとしても,ユーザーの自爪に付けるジェルチップネイルよりも2ないし3倍程度大きな成形空間を有する成形型を製造し,これを用いてユーザーの自爪に付けるジェルチップネイルよりも2ないし3倍程度大きいものの,ユーザーの自爪に付けるジェルチップネイルと同様の湾曲形状を備えたブランク材を製造した上,これをトムソン加工により切り出すなどしてユーザーの自爪に付ける大きさのジェルチップネイルにしているのであるから,原告の製造方法は構成要件A及びBを充足する。(ウ)また,原告は,原告の成形型はコンピューター上でブランク材成形空間を有する成形型の雄型と雌型を設計して作ったものであると主張するが,コンピューター上で成形型を設計して製造したのであれば,コンピューター上でジェルチップネイルの原型も設計しているはずである。このようにコンピューター上であってもジェルチップネイルの原型を完成させた上で成形型を製造し,これを用いてブランク材を製造しており,原告の製造方法は構成要件Aを充足する。(原告の主張)

構成要件Aについて
(ア)本件特許発明は,従来品のネイルチップにおける「ユーザーの自爪と
適合しない」課題を解決するものであるから,本件特許発明は,個々のユーザーの自爪に適合させる付け爪の製造方法の発明であると解される。そして,本件特許発明の第一工程は,ユーザーの自爪に適合した付け爪の原型を完成させ,続いてその付け爪の原型から型どりすることで成形型を製造するという工程から成り立っている。
しかし,原告の成形型は「付け爪の原型を完成させ,付け爪を立体で型どりして」製造したものではなく,コンピューター上で成形型を設計して製造しており,成形空間を型取るに当たってジェルチップネイルの原型を完成させていないから,構成要件Aを充足しない。
(イ)また,本件特許発明の成形型は,「複数の各指の爪に適合される形や,長さ,厚みを考慮に入れた付け爪の原型を完成させ,付け爪を立体で型どりして」できる成形型であり,第二工程で該成形型を使用して製造された付け爪は,次の第三工程でユーザーの自爪に装着できるものであることからすれば,「付け爪の原型」とは個々のユーザーの自爪に適合した大きさ,形状のものであるということであり,本件特許発明において自爪適合性を獲得する方法は,第一工程において,個々のユーザーの自爪に適合した付け爪の「原型」を完成させる点にある。これに対し,原告の製造方法では,別紙「原告の製造方法(原告)」のとおり,ユーザーの自爪に付けるジェルチップネイルよりも2ないし3倍程度大きな成形空間を有する成形型を用いてブランク材を製造した上,これをトムソン加工により切り出すなどしてユーザーの自爪に適合するジェルチップネイルにしており,製造された成形型の成形空間はユーザーの自爪に付けるジェルチップネイルと同一の形状,サイズではないから,原告の製造方法は構成要件Aを充足しない。なお,仮に本件特許発明の付け爪を,多数のユーザーの平均的な自爪に関する発明であるとの前提に立っても,第一工程でユーザーの自爪に付けるジェルチップネイルと同一の形状,サイズの「原型」を完成させていない点は同じである。
これに対し,被告は,第二工程における成形型によるブランク材の製造後,そのブランク材に加工することで初めて自爪適合性を達成する場合も本件特許発明に含まれると主張する。しかし,そこで指摘する本件明細書の「仕上げ処理」は,明らかに不要な「付け爪…についた注型ゲート…を切り取」ったり(【0023】),バリ取りをしたりすることを想定しているにとどまる。また,本件明細書では,「第3の工程は,ユーザーの自爪に装着する際,サイズが適合されない微調整を,お湯や温風で温めて柔軟にして適合される」と,第三工程において,第二工程で製造した「光硬化型樹脂の付け爪」の形状,サイズを変えることまでは想定しない記載がされている(【0015】)。以上の諸点に照らせば,構成要件Cの「光硬化型樹脂の付け爪」は,構成要件Bの「光硬化型樹脂の付け爪」と同一の形状,サイズであると解される。

構成要件Bについて

上記のとおり,成形型の成形空間がユーザーの自爪に付けるジェルチップネイルと同一の形状,サイズではないことから,製造されたブランク材も,ユーザーの自爪に付けるジェルチップネイルと同一の形状,サイズではない。したがって,原告製造方法は構成要件Bも充足しない。
(3)争点3(構成要件Cに該当する行為を行っていない原告が特許権侵害による責任を負うか)について
(被告の主張)
構成要件Cに該当する行為を行っていない原告も,いずれかの法律構成により,特許権侵害による責任を負う。

直接侵害
(ア)道具理論

ユーザーの自爪に光硬化型樹脂の付け爪を付けるという構成要件Cの工程は,原告によって行われてはいないが,原告が製造したジェルチップネイルを入手したユーザー自身又はネイリスト等の施術者が実施することが当然のこととして予定されている。したがって,原告は,構成要件Cに該当する行為をユーザー自身又はネイリスト等の施術者を道具として実施しているとして,構成要件AないしCに該当する全ての工程を原告自身が実施した場合と同視できるから,直接侵害者として特許権侵害による責任を負う。
(イ)支配管理論
また,本件特許発明は,製造者側とユーザー自身又はネイリスト等の施術者側という2つの主体を前提とし,製造者側が構成要件A及びBに該当する行為を,施術者側が構成要件Cに該当する行為をそれぞれ行うという方法の発明であるから,構成要件の充足の点は,製造者側と施術者側がそれぞれ特許請求の範囲に記載された各行為を行ったかについて判断すれば足り,発明の実施行為を行っている者が誰かは,当該方法を支配管理している者が誰かを判断して決定すべきである。そして,製造者である原告が原告の製造方法を支配管理していることは明らかであるから,直接侵害者として特許権侵害による責任を負う。

間接侵害

原告が製造したジェルチップネイルは,ユーザーの自爪に付ける以外に用途はないから,本件特許発明の使用にのみ用いる物であり,フィット感に優れたものであるから,少なくとも本件特許発明による課題の解決に不可欠なものである。したがって,原告は間接侵害者として特許権侵害による責任を負う。
(原告の主張)

間接侵害

原告が製造したジェルチップネイルが,原告の製造方法により製造された完成品であり,「その方法の使用に用いる物」ではないことなどに照らせば,原告は間接侵害者として特許権侵害による責任を負わない。

直接侵害

間接侵害は,構成要件の一部にしか関与していない者に対しても,一定の条件の下で,例外的に,特許権侵害による責任を負わせるものである以上,間接侵害が成立しない場合に直接侵害の成立を認めるべきではない。
(4)争点4-1(甲8の1公報を主引例とする進歩性欠如)について(原告の主張)
本件特許発明は,当業者が本件特許の優先日前に頒布されたアメリカ合衆国特許5968302号明細書に記載された発明(以下「甲8の1発明」という。)に,アメリカ合衆国特許4596260号明細書(以下「甲8の2明細書」という。)に記載された発明(以下「甲8の2発明」という。),特開2004-254877号公報(以下「甲8の3公報」という。)に記載された発明,特開2009-56077号公報(以下「甲8の4公報」という。)に記載された発明,昭63-203606号公報(以下「甲8の5公報」という。)に記載された発明,特開平11-179739号公報(以下「甲8の6公報」という。)に記載された発明(以下「甲8の6発明」という。),アメリカ合衆国特許4166088号明細書(以下「甲8の7明細書」という。)に記載された発明,平2-13429号公報(以下「甲8の8公報」という。)に記載された発明を適用することによって容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠き,特許無効審判により無効にされるべきものである。

本件特許発明と甲8の1発明の相違点

両発明は,いずれも個々のユーザーの自爪に適合させる付け爪の製造方法の発明であるが,本件特許発明は,紫外線光又は可視光を透過できる透明材料を使用した成形型を製造した上,これに光硬化型樹脂を注型して付け爪を製造する。これに対し,甲8の1発明は,①成形型の材料にセメント混合物又は熱硬化性プラスチックが含まれる以上に紫外線光又は可視光を透過できる透明材料が含まれるか否かが明らかではなく(相違点1),②付け爪の素材に熱可塑性素材等のプラスチック素材が含まれる以上に光硬化型樹脂が含まれるか否かが明らかではない(相違点2)。イ
相違点に係る構成の容易想到性

樹脂製の付け爪の素材に光硬化型樹脂を使用することは,甲8の2明細書,甲8の3公報ないし甲8の5公報に記載されているように当業者に周知の技術であったことに照らせば,甲8の1発明における付け爪の素材を耐アセトン熱可塑性素材から光硬化型樹脂に置き換えること(相違点2)は,当業者が容易になし得たことである。
そして,甲8の1発明が成形型の内部に成形空間があるという構成を採用している以上,付け爪の素材に光硬化型樹脂を使用する場合には光が透過できる透明材料で成形型を形成する必要がある。この点,成形型を光が透過できる透明材料で形成し,成形型の内部にある成形空間に注型した光硬化型樹脂に成形型の外部から光を照射して硬化させることは,甲8の6公報及び甲8の8公報,甲8の7明細書に記載されているように樹脂成形の技術分野において周知の技術であったことに照らせば,甲8の1発明における成形型の材料をセメント混合物又は熱硬化性プラスチックから紫外線光又は可視光を透過できる透明材料に置き換えること(相違点1)もまた,当業者が容易になし得たことである。
(被告の主張)

本件特許発明と甲8の1発明の対比
(ア)相違点①

「成形型」を製造する第一工程についてみると,本件特許発明は,光硬化型樹脂の付け爪を製造するため,複数の各指の爪に適合される形や,長さ,厚みを考慮に入れた付け爪の原型を完成させ,付け爪を立体で型取りして,紫外線光又は可視光で照射して硬化させるために紫外線光又は可視光を透過できる透明材料を使用した成形型を製造するのに対し,甲8の1発明は,耐アセトン熱可塑性素材の付け爪を製造するため,ユーザーの本物の指爪の頂面に合致する付け爪のモデルを製造し,付け爪を前記モデルで型取りして,射出機内で耐アセトン熱可塑性素材を加熱溶解しながら射出し,その後冷却して硬化させるために,セメント混合物又は熱硬化性プラスチックを使用した成形型を製造する。
(イ)相違点②
「付け爪」を製造する第二工程についてみると,本件特許発明は,前記の成形型に光硬化型樹脂を注型し,紫外線光又は可視光を成形型の外側から照射して硬化させ,光硬化型樹脂の付け爪を製造するのに対し,甲8の1発明は,前記成形型に耐アセトン熱可塑性素材を加熱溶解しながら射出し,その後冷却して硬化させ,耐アセトン熱可塑性素材の付け爪を製造する。

相違点に係る構成の容易想到性
(ア)相違点②

甲8の3公報で開示されているのが光硬化型樹脂のネイルチップ作成用プレートを自爪に載せて光を照射して硬化させる技術,甲8の4公報で開示されているのが液状の光硬化型樹脂を入れた透明バッグを自爪に重ねて光を照射して硬化させる技術,甲8の5公報で開示されているのが光硬化型樹脂を薄片状にして爪に当てて付け爪の形状を形成する技術という,成形型に光硬化型樹脂を注型して付け爪を製造する技術ではないことに照らせば,甲8の1発明に甲8の3公報ないし甲8の5公報に記載された技術をいかに組み合わせても,成形型に光硬化型樹脂を注型して付け爪を製造するという構成を得ることはできない。また,甲8の1発明の付け爪の製造装置の構成からすると,耐アセトン熱可塑性素材を光硬化型樹脂に置き換える動機が全くなく,甲8の1公報に光硬化型樹脂を用いることを示唆する記載もない。以上の諸点に照らせば,成形型に光硬化型樹脂を注型して付け爪を製造することを着想するのは容易ではない。
(イ)相違点①
上記(ア)のとおり,甲8の1発明の付け爪の製造装置の構成からすると,耐アセトン熱可塑性素材を光硬化型樹脂に置き換える動機が全くない以上,セメント混合物又は熱硬化性プラスチックを光透過性材料に置き換える動機も全くないこと,甲8の1公報に光透過性材料を用いることを示唆する記載もないことに照らせば,光透過性材料を使用して成形型を製造することを着想するのは容易ではない。(5)争点4-2(甲8の2公報を主引例とする進歩性欠如)について(原告の主張)
甲8の1公報を主引例とする進歩性欠如が認められないとしても,本件特許発明は,当業者が本件特許の優先日前に頒布された甲8の2明細書に記載された発明(甲8の2発明)に,甲8の1発明,甲8の6発明を適用することによって容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠き,特許無効審判により無効にされるべきものである。

本件特許発明と甲8の2発明の相違点
(ア)相違点1

本件特許発明は,ユーザーの自爪に適合される形状,サイズの付け爪の原型を完成させ,それに基づいて付け爪を製造する。これに対し,甲8の2発明は,複数の人の爪に適合されるような代表的な形状,サイズのウエルを設け,それに基づいて付け爪を製造する。
(イ)相違点2
本件特許発明は,紫外線光又は可視光で照射して硬化させるために紫外線光又は可視光を透過できる透明材料を使用した成形型を製造する。これに対し,甲8の2発明は,光硬化型樹脂を硬化させるためのウエルを設けたモールドを製造する。イ
相違点に係る構成の容易想到性
(ア)相違点1

甲8の1公報には,特定のユーザーの自爪に適合する付け爪の製造方法が開示されている。したがって,甲8の2発明におけるウエルを設けるに当たって,複数の人の爪に適合されるような代表的な形状,サイズのウエルではなく,特定のユーザーの自爪に適合するような形状,サイズのウエルにすることは,当業者であれば容易に想到し得たことである。なお,仮に本件特許発明の付け爪を,多数のユーザーの平均的な自爪に関する発明であるとの前提に立つならば,相違点1は実質的な相違点ではない。
(イ)相違点2
甲8の6公報には,光を透過できる透明材料を使用した成形室に光硬化型樹脂を注入して,成形室の外側から光を照射して樹脂を硬化させる技術が示されている。したがって,甲8の2発明におけるウエルを製作するに当たって,光硬化型樹脂を硬化させるための光照射を確保するため,ウエルの裏面からの光照射が可能になるようモールドに光を透過できる透過材料を使用することは,当業者であれば容易に想到し得たことである。
(被告の主張)

本件特許発明と甲8の2発明の相違点
(ア)相違点①

本件特許発明は,成形型を製造する第一工程が,光硬化型樹脂の付け爪を製造するため,複数の各指の爪に適合される形や,長さ,厚みを考慮に入れた付け爪の原型を完成させ,付け爪を立体で型取りして,紫外線光又は可視光で照射して硬化させるために紫外線光又は可視光を透過できる透明材料を使用した成形型を製造するものである。これに対し,甲8の2発明は,モールドを製造する第一工程が,ユーザーの自爪に塗布する光重合性のコーティング素材と相性の良い素材からなるネイルチップを製造するため,複数の各指の爪に対応するネイルチップの一方のみを型取りして,化学線によって重合を開始する重合性組成物を硬化させるためのウエルを設けたモールドを製造するものである。
(イ)相違点②
本件特許発明は,付け爪を製造する第二工程が,前記成形型に光硬化型樹脂を注型し,紫外線光又は可視光を成形型の外側から照射して硬化させ,光硬化型樹脂の付け爪を製造するものである。これに対し,甲8の2発明は,ネイルチップを製造する第二工程が,前記モールドのウエルに前記重合性組成物を注型し,化学線にさらすことにより硬化させ,光重合性のコーティング素材と相性の良い素材からなるネイルチップを製造するものである。

相違点に係る構成の容易想到性
(ア)相違点①

甲8の2発明は,ネイルチップの一方の面しか型取りをしていないが,ユーザーの自爪と接着させる型取りをしていない方の面については接着性を確保する方策を取っており,一方の面のみを型取りするモールドを立体で型取りする成形型に置き換える動機はないなど,本件特許発明との相違点に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。
(イ)相違点②
甲8の2発明における付け爪の素材が,化学線にさらすことにより,光重合性のコーティング素材と相性の良い素材とするために化学線によって重合を開始する重合性組成物とされており,重合性組成物を光硬化型樹脂に置き換える動機が存在しないことなどに照らせば,本件特許発明との相違点に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。
(6)争点5(被告が4Dに本件特許権に基づく製造を許諾し,原告が4Dから製造委託を受けて製造したことによる実施許諾の成否)について
(原告の主張)
P1と4Dは特許実施権許諾契約を締結しているところ,契約書(甲13)で「本特許権について,その範囲全部にわたる実施権を…許諾する」と定められていることに照らせば,P1が4Dに対し許諾した実施権の範囲には,販売だけでなく製造も含まれていると解するべきである。したがって,原告がこのような4Dから製造委託を受けて行ったジェルチップネイルの製造,譲渡が特許権侵害となることはない。
(被告の主張)
契約書(甲13)においては,販売に関する実施報告については規定がある一方,製造に関する実施報告については何ら規定がないこと,4Dの代表者自身が,4Dが許諾を受けた実施権の範囲が販売に限られることを認識していたことを前提とする言動を取っていたことなどに照らせば,P1が4Dに対し許諾した実施権の範囲には,製造は含まれていないと解するべきである。したがって,原告が本件特許権に基づいて製造することができるわけではない4Dから製造委託を受けて行ったジェルチップネイルの製造,譲渡は,本件特許権を侵害する。
また,P1と4Dとの間の契約上,4Dが第三者に本件特許権の再実施権を許諾することは被告代表者が承諾しない限り禁止されていたことに照らせば,仮に,P1が4Dに対し許諾した実施権が本件特許権の範囲全部にわたるものであったとしても,被告代表者の承諾なく原告が4Dから製造委託を受けて行ったジェルチップネイルの製造,譲渡は,やはり本件特許権を侵害する。
(7)争点6(本件特許権侵害による損害額は幾らか)について
(被告の主張)
原告は,平成27年4月30日までの間に,ジェルチップネイルを4Dに少なくとも1万ケース販売し,1ケース当たり400円,合計400万円の利益を得た。したがって,被告の被った損害は400万円である(特許法102条2項)。また,本件訴訟は知的財産訴訟という専門的な事件であって,弁護士に委任せずに自ら訴訟を提起,追行することが困難な事案であることに照らせば,原告の特許権侵害行為と相当因果関係に立つ弁護士費用の損害額は40万円を下らない。したがって,被告の被った損害の合計額は,440万円である。
(原告の主張)
否認ないし争う。
(8)争点7(原告が納品した製品に瑕疵があったか)について
(被告の主張)
原告から,平成26年1月から同年12月までの間の取引(以下「本件取引1」という。)において納品された製品のうちの4200枚,平成26年12月26日から平成27年3月25日までの間の取引(以下「本件取引2」という。)において納品された製品のうちの361枚については,①厚みが全体的に不足する,②厚みに左右で片寄りがある,③型抜きの方向が間違っている,④型抜きのサイズが違っている,⑤硬度が不足している,といういずれも商品としての販売するに耐えない瑕疵があった。
原告は,現品を確認できないとして瑕疵の存在を争うが,原告と被告との取引では,瑕疵製品の現品を返品せず,瑕疵の認定は被告側が行うという取引慣行があった。
(原告の主張)
瑕疵の存在については,被告からの返品がなく,現品を確認できていないことから,否認ないし争う。また,被告が主張するもののうち,③は瑕疵といえるが,①,②及び⑤は実際に付け爪として使用する上で支障が生じるものではなく,④も製造上の僅かな微差であるから,瑕疵とはいえない。
(9)争点8(債務不履行による損害額は幾らか)について
(被告の主張)
被告が原告に樹脂を供給して製造させたジェルチップネイルを販売していたことに照らせば,販売できなかった製品に使用された樹脂の価額に相当する金額は被告の損害額となる。この点,本件取引1における製品1枚当たりの樹脂の単価は約17円,本件取引2における製品1枚当たりの樹脂自体の単価は約37円であった。また,被告は,本件取引2においては,原告に対し,製品1枚当たりの樹脂の単価に5パーセント上乗せした金額を単価としており,損害を算定するに当たっての単価はこの上乗せ分も考慮するべきである。
したがって,原告が製造した製品に瑕疵があったために販売できなかったことによる被告の損害額は,合計9万1927円である。
本件取引1分:17(円/枚)×4,200(枚)×1.08=77,112(円)本件取引2分:37(円/枚)×1.05≒38(円/枚)
38(円/枚)×361(枚)×1.08≒14,815(円)
合計:77,112(円)+14,815(円)=91,927(円)(原告の主張)
否認ないし争う。
第3
1
当裁判所の判断
不法行為(特許権侵害)に基づく損害賠償請求権の成否

争点1については,証拠(甲6,7,9,14から16[枝番含む])及び弁論の全趣旨によれば,原告の製造方法は,別紙「原告の製造方法(原告)」のとおりと認められる。そして,これを前提に,当裁判所は,以下のとおり,争点2について,原告の製造方法は,構成要件A及びBをいずれも充足せず,本件特許発明の技術的範囲に属すると認めることはできないと判断した。したがって,争点3ないし6について判断するまでもなく,不法行為(特許権侵害)に基づく損害賠償請求権は成立しない。
(1)本件特許発明の意義について
本件明細書によれば,本件特許発明は,①従来,指先のおしゃれを楽しむ方法のうち,既成のネイルチップを用いるタイプのものでは,ユーザーの自爪の形状と完全には適合しないので,満足のいくフィット感が得られず,そのために強力な接着を用いるとネイルチップを自爪から外す場合には破壊する必要があるという問題があり(【0003】【0004】,【0008】),他方,ネイルサロンで,自爪の上にアクリルの粉を溶液に溶かした樹脂を直接盛って人工爪を作る方法や,自爪の上にジェル状の光硬化型樹脂を直接盛り,形を作ってから紫外線光を照射して硬化させる方法などの,自爪に対して直接施術する方法では,多忙なユーザーが利用し難いという問題や,ネイルチップの付け爪のように立体で統一された厚みや長さを持つ形状を作ることが困難で,量産もできない等の問題があった(【0005】【0006】,【0009】)ことから,②付け爪に光硬化型樹脂を用い,その製造方法を,(a)第一工程で,紫外線光または可視光を透過できる成形型を製造し,その成形型は,複数の各指の爪に適合される形や,長さ,厚みを考慮に入れた付け爪の原型を完成させ型どりすることにより製造し,(b)第二工程で,前記の成形型に光硬化型樹脂を注型し,紫外線光または可視光を照射することにより硬化することで光硬化型樹脂の付け爪を製造し,(c)第三工程で,光硬化型樹脂の付け爪をユーザーの自爪につけるものとする(【0012】から【0015】)ことにより,③多種類のサイズ,長さ,巾,厚みなどを考慮された付け爪が成型され,その中から自爪に適合されるものを選んで自爪に合わせるとともに,自爪に合わない場合は温めて軟らかくして,自爪にのせ押さえればその形状が保たれ,隙間がなくなりフィット感があり,接着力も増すことができる(【0016】,【0017】,【0023】)との効果を奏するものであると認められる。
そして,上記に引用した本件明細書の段落のうち,発明の効果に関する,「本発明の型どりから作られる光硬化型樹脂の付け爪は,多種類のサイズ,長さ,巾,厚みなどを考慮されたものが成型される。」との記載(【0016】)や,実施例に関する,「複数のサイズの光硬化型樹脂の付け爪8から適合されるものを選び,自爪に合わせる。」との記載(【0023】)からすると,本件特許発明は,従来技術のうちの既成のネイルチップを用いるタイプを基礎とし,そのタイプの従来技術が有していた課題として,ユーザーの自爪の形状と完全には適合しないという点があったことについて,複数のサイズ等の付け爪を用意してユーザーの自爪に適合するものを選ぶようにするとともに,光硬化型樹脂を用いてユーザーの自爪に装着する際に温めて柔らかくしてフィット感を高めることによって解決したものであると認められる。
(2)構成要件Aの「成形型」及び構成要件Bの「光硬化型樹脂の付け爪」の意義について

まず,特許請求の範囲の記載を見ると,第二工程では,第一工程で製造
した成形型に光硬化型樹脂を注型して「光硬化型樹脂の付け爪」を製造するとされている。したがって,当然のことながら,構成要件Aの「成形型」の成形空間と構成要件Bの「光硬化型樹脂の付け爪」の形状,サイズは同一であると解される(この点については,当事者間にも争いはない。)。そして,第一工程の目的,第二工程で製造するもの,第三工程でユーザーの自爪に付けるもののいずれもが「光硬化型樹脂の付け爪」と,同じ文言で規定されている。そうすると,「光硬化型樹脂の付け爪」という同一の文言を別の意義で使用したことをうかがわせる特段の事情がない限り,第一工程で製造の目的とする「光硬化型樹脂の付け爪」,第二工程で製造する「光硬化型樹脂の付け爪」と第三工程でユーザーの自爪に付ける「光硬化型樹脂の付け爪」は同じもの,すなわち,同一の形状,サイズのものをいうと解するのが相当である。

そこで,本件明細書の記載を見ると,「課題を解決するための手段」の
【0012】から【0015】の記載では,第二工程と第三工程の間に,付け爪の形状やサイズを変える特段の工程を予定している記載は見当たらない。確かに,被告が指摘するとおり,本件明細書の中には,第三工程で「ユーザーの自爪に装着する際,サイズが適合されない」場合には作業が必要となることについて言及した箇所(【0015】)もあるが,その作業は,「お湯や温風で温めて柔軟にして自爪にのせて押さえる」という「微調整」であると記載されており,製造した「光硬化型樹脂の付け爪」の形状,サイズを変えることまでをも想定されているとは認め難い。また,「発明の効果」に関する,「自爪に合わない場合は温めて軟らかくして,自爪にのせ押さえればその形状が保たれ」るという記載(【0017】)は,このことを裏付けるものである。
また,本件明細書の「発明を実施するための形態」の記載では,被告が指摘するとおり,「第三工程で…仕上げ処理を行う」ことも言及されている(【0023】)。しかし,これは,「光硬化型樹脂7を…付け爪の原型3と注型ゲート4の形状の空間に注型する」こと(【0021】)から光硬化型樹脂の付け爪を製造した際に不可避的に生じる「付け爪8についた注型ゲート4を切り取」ること(【0023】)を指しており,やはり製造した「光硬化型樹脂の付け爪」の形状,サイズを変えることまでをも想定したものではない。
また,「複数の原型を丁付けで型どりをすれば量産型を製造することも可能である。」(【0022】)との記載もあり,被告は,複数の型を丁付けの連なった状態で型どりすれば,その後に各付け爪のサイズに合わせた型抜きが必要となると主張し,その例として乙40の1を提出する。そして,乙40の1では,印刷業者のホームページにおける「型抜きカード印刷データ作成ガイド」において,「型抜きカード」について,「定型サイズのカード内に,最大4丁(4種類)まで,自由な形状で型抜きすることが可能です。」として,定型サイズのカード内に4種類の型を丁付けで印刷する例が記載されている。しかし,そこでは,型抜きカードを作成することから,丁付けをする場合に型抜きを伴うことになるといえるが,そのことから,複数の原型を立体で型どりする本件特許発明において,複数の原型を丁付けで型どりする場合もその後に各付け爪のサイズに合わせた型抜きが必要となるとは直ちにいえない。したがって,本件明細書の上記記載をもって,第二工程で製造した「光硬化型樹脂の付け爪」の形状,サイズを変えることまでをも想定しているとは認められない。
むしろ,本件明細書の【0023】では,第三工程について,「ユーザーの自爪のCカーブ,長さ,巾はそれぞれ異なるため複数のサイズの光硬化型樹脂の付け爪8から適合されるものを選び,自爪に合わせる。」と記載され,これに,「発明の効果」に関する【0016】の「本発明の型どりから作られる光硬化型樹脂の付け爪は,多種類のサイズ,長さ,巾,厚みなどを考慮されたものが成型される。なかでも各サイズの1枚の付け爪の爪先は厚く,Cカーブ,ハイポイント,甘皮部分の薄さも立体的に考慮できる。」との記載を併せると,むしろ,本件明細書では,複数の原型を完成させるに当たり,各指の爪に適合される形や,長さ,厚みを考慮に入れたものを作成することから,製造した付け爪もサイズ等が多様なものとなり,ユーザーがそれらの中から適合されるものを選んで自爪に合わせることを想定していると認められる。

このように,本件明細書上も,第三工程において,第二工程で製造した
「光硬化型樹脂の付け爪」の形状,サイズを変えるような工程は想定されていない以上,上記特段の事情は認められないから,構成要件Bの「光硬化型樹脂の付け爪」は,構成要件Cの「光硬化型樹脂の付け爪」と同じもの,すなわち,ユーザーの自爪につける付け爪と同一の形状,サイズのものをいうと解される。そして,上記のとおり,構成要件Aの「成形型」の成形空間と構成要件Bの「光硬化型樹脂の付け爪」の形状,サイズは同一であると解されることから,構成要件Aの「成形型」の成形空間も,構成要件Cの「光硬化型樹脂の付け爪」の形状,サイズと同一であると解されることとなる。
(3)原告の製造方法のあてはめ
別紙「原告の製造方法(原告)」によれば,原告の製造方法においては,製造した成形型に光硬化型樹脂を注型して製造したブランク材は,トムソン加工により切り出されるなどした後のユーザーの自爪に付けるジェルチップネイルよりも2ないし3倍程度大きく,したがって,製造した成形型の成形空間も,トムソン加工により切り出されるなどした後のユーザーの自爪に付けるジェルチップネイルよりも2ないし3倍程度大きい。そうすると,原告の製造方法によって製造された成形型は,構成要件Aにいう「成形型」ではないし,その成形型を用いて製造されたブランク材は,構成要件Bにいう「光硬化型樹脂の付け爪」でもない。被告は,原告の製造方法の第3工程及び第4工程は,構成要件外の付加的要素にすぎないとも主張するが,原告の製造方法では,製造したブランク材にトムソン加工を行うなどして初めてユーザーの自爪に付ける付け爪になるから,その第三工程以降の工程は,所望の付け爪を製造するための中核的な要素であり,本件特許発明の製造方法と原告の製造方法とは,所望の付け爪を得るための手順において異なるというべきである。したがって,原告の製造方法は,構成要件A及びBをいずれも充足しない。2
債務不履行に基づく損害賠償請求権の成否(争点7及び8)
(1)基本的な事実関係

後掲書証及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。

被告は,原告に対し,本件取引1に係る付け爪に関し,型抜きのサイズ
違いの不良(瑕疵④)があると指摘したのに対し,原告は,被告に対し,平成26年11月28日,「サイズちがい」として,C及びDサイズのものを1500枚再納品して,うち500枚が返却され,同年12月2日,同様に,C及びDサイズのものを400枚再納品し,Eサイズのものを1300枚再納品して,うち600枚が返却された(乙35の1及び2)。
被告は,同月3日,原告代表者に対し,本件取引1について,「11/14のお支払分がチップ不良のため,未払いになっていますが,明日お支払致します。支払額:530580円」とした上で,「抜き型不良チップ(クラフトホリ調べ)」が,Aサイズが1300,Bサイズが800,C及びDサイズが1400,Eサイズが700であった旨を指摘する電子メールを送信した(乙41の1)。これに対し,原告代表者は,同日,被告に対し,「お支払の方は了解しました。不良につきましての残り数はA:1300

B:800

明日から掛かります」と,被告から指摘

を受けた製品のうちのA及びBサイズの2100枚分については作り直す旨とともに,「余剰分と不良分(デザインによってはOK)を返品お願いします。貴社商品分として保管いたします。」と,不良分の返品を求める電子メールを送信した(乙41の1)。
その後,原告は,被告に対し,同月8日,サイズ違いとされたAサイズ1300枚,Bサイズ800枚を再納品した(乙35の3)。
他方,被告は,原告代表者からの返品の求めに対し,同月9日,「型抜き不良のチップは,当方の材料ですので,返却は致しませんのでご了承願います。」との電子メールを送信して,返品を拒絶した(乙41の1)。

被告は,平成27年4月28日,原告代表者に対し,被告に無断でジェ
ルチップネイルを製造販売した件について販売先等の説明を求め,その返答がない場合には同年5月7日の支払ができない旨を伝えるとともに,同日予定の支払について,①被告からの過払金を相殺し,②本件取引1について「抜き型不良のための樹脂代の返金-71400(-77112税込)(2014/12/12にメール4200枚×@17=71400円になります。@17は大まかな額です。)(P2氏TELにて了承)」,③本件取引2について「納品時(H26.12.26~H27.3.25)の不良チップ代

今回はお支払と相殺(返済金は含みません)

…チップ@38×361枚=-13718(-14815税込)になります。現物が必要ならお送りします。後で返却の事」などと記載した電子メールを送信し(乙9の1及び2),原告から本件取引1において納品された製品のうちの4200枚に瑕疵があったことに伴って生じた損害(材料樹脂代)を負担するよう求めるとともに,本件取引2において納品されたうちの361枚についても瑕疵があったことからこれに伴って生じた損害(代金額)を負担するよう求めた。
これに対し,原告代表者は,平成27年4月30日,被告に対し,ジェルチップネイルの製造販売について回答するとともに,同年5月7日予定の支払について,「貴社からの支払が止りますと弊社は給料の支払が出来なくなりますのでお支払はお約束の期日に振込みお願いいたします。」などとし,不良品については,「抜き型不良につきましての77112円は了解しています。」,「納品時の不良チップにつきましては,P1社長とも以前にお話しいたしましたが,原料の差引をされますと,現状ギリギリでやっていますので再見積をしないとやっていけません。」などと,本件取引1において納品した製品に瑕疵があったことに伴って生じた損害については負担する意向を示した一方,本件取引2において製品に瑕疵があったとされることに関しては再見積もりの提案をする内容のファイルを添付した電子メールを送信した(乙10の1及び2)。
これに対し,被告は,原告に対し,同年5月4日,原告が被告に無断でジェルチップネイルの製造販売をしたことが背信行為であるとして製造許諾を解除し,器材等の返却を求めとともに,支払についても,改めて本件取引2に係る不良チップ代を相殺する旨を通知する内容のファイルを添付した電子メールを送信した(乙19の1及び2)。
これに対し,原告は,被告に対し,同月7日,販売が背信行為とされたことを否定するとともに,支払について,「貴社からの支払がストップすると弊社は給料が払えなくなりますので貴社の支払が2015/05/11中までに完了されない時は止むを得ず法的手段をとらざるをえません。」などとする内容のファイルを添付した電子メールを送信した(乙20の1及び2)。
(2)瑕疵の存否について

本件取引1に係る製品の瑕疵について
(ア)上記(1)での認定事実のとおり,原告は,本件取引1に係る製品につい
ては,被告からの型抜きのサイズ違いの不良(瑕疵④)の指摘を受けて,4200枚もの製品を再納入し,さらに被告が材料の樹脂代の負担を求めたのに対してもこれを承認していることからすると,本件取引1に係る製品については,型抜きのサイズ違いの不良(瑕疵④)による合計4200枚の瑕疵があったと認めるのが相当である。
(イ)これに対し,原告は,現品を確認できていないとして瑕疵の存在を否認するとともに,瑕疵を認めるかのような行動をとったのは,被告から代金が全く支払われないよりは,瑕疵があると指摘されている分に相当する代金額が控除されても代金が支払われた方が紛争解決の方法として得策であると判断したためであると主張する。
確かに,上記(1)での認定事実からすると,原告は,現品を確認しないまま,本件取引1に係る製品については再納品をしている。そして,原告が被告に対して,給料を支払うために予定の日に支払をするよう訴えていることからすると,原告が,その主張するとおり,原告が実際の瑕疵の存否にかかわらず被告側の要求に対応するとの営業上の判断をすることにも経済的合理性はある。
しかし,上記(1)での認定事実によれば,被告が平成27年4月28日の電子メールで,本件取引1に係る瑕疵製品の原料代及び本件取引2に係る瑕疵製品の代金を支払から差し引くことを通知したのに対し,原告は,本件取引2に係る瑕疵分361枚分の代金1万4815円については,その差引きを拒否しながら,それよりはるかに多い本件取引1に係る瑕疵分4200枚分の材料代7万7112円の負担については,差引きを承認していたと認められる。このような対応の相違からすると,本件取引1に係る瑕疵分について材料代の負担を承認したことが,上記の同様の営業判断によるものであったとは直ちに認め難い。また,原告は,本件取引1で瑕疵ありとされた製品について現品を確認していないものの,そこで瑕疵とされた内容は,型抜きのサイズ違いの不良(瑕疵④)であり,弁論の全趣旨によれば,原告の製造方法は別紙「原告の製造方法(原告)」と同様の方法であったと認められることからすると,トムソン刃の設定に不備がある場合に生じるものであるから,現品がなくとも原告において容易に確認し得るものである。これらからすると,原告が,本件取引1に係る瑕疵分について,本件取引2に係る瑕疵分とは異なり材料代の負担に異議を述べなかったのは,原告自身にも製造上の瑕疵について心当たりがあり,それを瑕疵として扱うことを承認したためであると推認するのが相当である。したがって,原告の上記主張は採用できない。

本件取引2に係る製品の瑕疵について
(ア)上記のとおり,原告は,本件取引2に係る分については,代金の差引
きそのものを拒否しているから,瑕疵の存在を承認していたとは認められない。そうすると,被告が,原告から本件取引2において納品された製品の一部だけを取り上げて製品に瑕疵があったことを指摘していることを考慮しても,両者のやり取りから瑕疵の存在を推認することはできない。
この点について,被告は,原告と被告との取引では,瑕疵の認定は被告側が行うという取引慣行があったと主張するが,前記のとおり,原告は,実際の瑕疵の存否にかかわらず被告側の要求に対応するとの営業上の判断をしたと主張しており,このような判断をすることにも経済的合理性があることからすると,たとえ従前は被告による瑕疵の判断に原告が異論を述べることがなかったとしても,それをもって上記の被告の主張の取引慣行があったと認めることはできない。
(イ)そこで,以上を踏まえてその余の証拠についてみると,まず,型抜きの方向が間違っている(瑕疵③),硬度が不足している(瑕疵⑤)という2つの瑕疵以外の瑕疵については,その存在を認め得る証拠はない。
他方,上記③及び⑤の瑕疵については,乙31の動画が提出されており,それによれば,本件取引2に係る製品の中に,型抜きの方向が間違っているという瑕疵(瑕疵③)があったことが認められ,このような製品が瑕疵を有するものであることは,原告も認めるところである。もっとも,そのような瑕疵を有する製品の枚数については不明であり,乙31の動画で実際に示された1枚以上にこれを認めるに足りる証拠はない。また,硬度不足の瑕疵(瑕疵⑤)についてみると,確かに乙31で撮影された製品は指で少し力を加えただけで容易に変形しているが,被告が原告に発注した付け爪の硬度の仕様は定かでなく,付け爪として通常求められる硬度も明らかでないから,上記の製品に硬度不足の瑕疵があったとは認めるに足りない。ウ
以上によれば,原告から本件取引1において納品された製品のうちの4
200枚,本件取引2において納品された製品のうちの1枚について,瑕疵があったと認められる。したがって,被告は,原告に対して,これらの製品について債務不履行に基づく損害賠償請求権を有する。
(3)損害額について

前提事実記載(4)のとおり,原告と被告との取引は,原告が被告からの発
注と材料樹脂の供給を受けて,被告が指定する仕様及び数量のジェルチップネイルを製造し,被告にこれを納品するというものであったから,製品に瑕疵があった場合,被告は,瑕疵のない製品の納品を受けられないことにより,その代金相当額の損害を受けるほか,提供した材料樹脂が無駄になったことにより,その調達費用相当額の損害も受けることとなり,いずれも原告による債務不履行と相当因果関係ある損害であると認められる。

本件取引1に係る損害として被告が主張するのは,瑕疵製品分の材料樹
脂の調達費用相当額の損害であるところ,証拠(乙34)によれば,材料樹脂の調達費用は1kg当たり5万8000円であったと認められる。そして,弁論の全趣旨によれば,材料樹脂1kgから製品330ケース(1ケースは付け爪10枚)が製造できると認められるから,付け爪1枚当たりの材料樹脂調達額は,少なくとも17円と認められる。
したがって,先に認定した本件取引に係る瑕疵製品4200枚分の材料樹脂調達費用相当額は,少なくとも7万7112円となる。

本件取引2に係る損害として被告が主張するのは,瑕疵製品分の代金相
当額の損害であるところ,証拠(甲4及び5)によれば,原告と被告との間では,付け爪1枚当たりの単価が37円とされていたと認められるから,先に認定した本件取引2に係る瑕疵製品1枚分の代金相当額は40円(37(円/枚)×1(枚)×1.08=39.96(円),通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律3条1項本文)と認められる。なお,被告は,従前から被告は原告に対してTIDA又は4Dに対する独占販売権料として代金額の5%を加えた支払をしてきたとして,それも損害額に含まれると主張するが,そこにいう独占販売権料は,瑕疵のために販売できない製品が納品された場合にはおよそ発生しない性質のものと考えられるから,その相当額が債務不履行による損害とはいえない。

以上によれば,原告の債務不履行による損害額は,7万7152円となる。
(4)相殺の処理について
被告が主張する相殺の抗弁の受働債権は,本訴請求に係る代金債権106万1160円であり,その弁済期は平成27年5月8日であるのに対し,自働債権は,債務不履行による損害賠償債権7万7152円であり,これは平成27年5月8日より前に発生し,かつ,履行期の定めがない。したがって,相殺適状時は平成27年5月8日であり,同日時点では双方の債権とも遅延損害金は発生していないから,元本同士を対当額で相殺すると,受働債権の残額は98万4008円となる。3
結論

以上の次第で,その余の争点について判断するまでもなく,原告の本訴請求は,被告に対し,売買代金98万4008円及びこれに対する支払期日の翌日である平成27年5月9日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこの限度で認容し,被告の反訴請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第26民事部

裁判長裁判官

髙松宏之野上誠一
裁判官

裁判官
大門宏一郎
(別紙)
原告の製造方法(被告)
次の1~3の工程からなる光硬化型樹脂を用いた付け爪(ジェルチップ)の製造方法。
1
光硬化型樹脂の付け爪を製造するため,複数の各指の爪に適合される形や,
長さ,厚みを考慮に入れた付け爪の原型を完成させ,付け爪を立体で型どりするためのものであって,紫外線光または可視光で照射して硬化させるために紫外線光または可視光を透過できる透明材料を使用した「成形型」を製造する第1工程2
前記成形型に,光硬化型樹脂を注型し,紫外線光または可視光を成形型の外
側から照射して硬化させ,光硬化型樹脂の付け爪(ジェルチップ)を製造する第2工程
3
光硬化型樹脂を硬化させた後,付け爪についた注型ゲートを切り取り仕上げ
処理を行う第3工程
以上
(別紙)
原告の製造方法(原告)
1
つけ爪より形状,サイズにおいて2から3倍程度大きな成形空間を備える雄
型と雌型からなる成形型を使用し,該成形空間に光硬化性の材料樹脂を注入する(第1工程)
2
雄型と雌型を組み合わせ,その状態を保持して成形型の外部から成形空間内
の材料樹脂に紫外線を照射してその樹脂を硬化させる(第2工程)3
材料樹脂が硬化して出来たブランク材を成形型から取り出し,熱を加えて成
形板により平坦に成形する(第3工程)
4
平坦となったブランク材からつけ爪の形状,サイズを有するつけ爪を切り出
す(第4工程)
5
該つけ爪を湾曲状態にさせて完成品にする(第5工程)
以上
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