判例検索β > 平成29年(行ケ)第10017号
審決取消請求事件 商標権 行政訴訟
事件番号平成29(行ケ)10017
事件名審決取消請求事件
裁判年月日平成29年7月24日
法廷名知的財産高等裁判所
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平成29年7月24日判決言渡
平成29年(行ケ)第10017号
口頭弁論終結の日

審決取消請求事件

平成29年5月15日
判原決告
A・Tコミュニケーションズ株式会社

同訴訟代理人弁理士

雨宮康仁同磯田一真被告
株式会社デンソーウェーブ

同訴訟代理人弁理士

青木
同訴訟代理人弁護士

萩尾保繁同山口健司同石神恒同関口尚久同伊藤隆大
同訴訟代理人弁理士

外川奈美同大橋啓輔主篤太郎文1
原告の請求を棄却する。

2
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由

第1

請求
特許庁が取消2015-300622号事件について平成28年12月9日
にした審決を取り消す。
第2

前提事実(いずれも当事者間に争いがないか,証拠及び弁論の全趣旨により明らかに認定し得るものである。)

1
本件商標
登録第4882830号商標(以下「本件商標」という。)は,別紙審決書(写し)の別掲1のとおりの構成よりなり,平成16年9月17日に登録出願され,別紙商標登録原簿の「商品及び役務の区分」及び「指定商品」欄に各記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成17年7月29日に設定登録されたものであり,原告は,平成27年6月15日付けで本件商標に係る商標権(以下「本件商標権」という。)の譲渡を受け,その移転登録手続を行った。また,平成27年7月21日には本件商標権の存続期間の更新登録がされた。

2
特許庁における手続の経緯等
被告は,平成27年8月26日,特許庁に対し,本件商標に係る指定商品及び指定役務のうち,第35類「全指定役務」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれの者によっても登録商標を使用した事実が存在しないとして,商標登録の取消しの審判を請求した(以下「本件審判請求」という。)。
なお,被告は,本件審判請求と同日に,第16類,第36類,第38類,第39類,第41類,第42類(一部)及び第45類の区分に属する指定商品又は指定役務を対象とする登録商標について不使用取消審判請求をしたほか,ほぼ同時期(平成27年8月24日審判請求の登録)に,第42類の区分に属する指定役務(一部)を対象とする登録商標について不使用取消審判請求をしている。この結果,本件商標は,第16類,第35類,第36類,第38類,第39類,第41類,第42類,第45類の8類にわたる区分に属する多数の指定商品又は指定役務を対象としているものであるのに対し,被告は,第42類
については2つ,その余の類についてはそれぞれ1つ(合計9つ)の不使用取消審判請求を行ったことになる。
特許庁は,本件審判請求につき,取消2015-300622号事件として審理した上,平成28年12月9日,「登録第4882830号商標の指定商品及び指定役務中,第35類『全指定役務』については,その登録は取り消す。」との審決をし(以下「本件審決」という。),その謄本は,同月27日,原告に送達された。
なお,本件審判請求の登録は,平成27年9月8日にされた。
原告は,本件審決を不服として,平成29年1月20日,本件訴えを提起した。
3
本件審決の理由の要旨
(1)

本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりであるが,要する
に,原告は,パンフレット(甲19。以下「本件パンフレット」という。)3頁,7頁及び8頁に表示されている,「Q」の欧文字の中に2つの点が書され,全体で人の顔のように見える図形と「Rコード」の文字を結合して表された部分を上段に,「QRコード」の文字が書された部分を下段にした二段の構成からなる商標(別紙審決書の別掲2。以下「使用商標」という。)の使用者であり,本件商標と使用商標とは社会通念上同一の商標と認められ,また,本件パンフレットを要証期間内に作成,頒布したものと認められるとした上で,以下のとおり,本件審判請求に係る指定役務につき,要証期間内における本件商標の使用事実は証明されておらず,また,被告による審判請求行為は商標法(以下「法」という。)50条の不使用取消審判の本来の制度趣旨から逸脱し,専ら原告を害する目的で行われたものであり,権利の濫用として認められるべきではないとする原告の主張についても採用し得ない旨判断した。
(2)

本件商標の使用について


本件パンフレットによっては,原告が,その事業概要として本件パンフレットに記載する「ダイレクトマーケティング」を含め,本件審判請求に係る指定役務である第35類の役務について,その役務を提供している内容の記載を見いだすことができず,かつ,本件商標をその指定役務について使用していると認められる事実を見いだすこともできない。その他提出されている証拠において本件商標を本件審判請求に係る役務について使用している事実は見いだせない。
以上より,本件審判請求に係る指定役務について,要証期間における原告による本件商標の使用は証明されていない。

イ(ア)

原告は,「IGAS2015」(平成27年9月11日から同月1
6日まで東京ビッグサイトで開催された印刷・紙工・デジタルグラフィックス関連の技術・サービスの国際総合印刷機材展。以下「IGAS展」という。)において本件商標を「市場調査」に使用した旨主張するが,IGAS展の開催期間及びその際のコダック株式会社(以下「コダック社」という。)のブース内の展示写真(甲17。以下「本件写真」という。)の撮影日(同月11日)は要証期間外である。また,本件写真の被写体である看板(以下「本件看板」という。)の表示は,本件看板に表示された2次元コードが,原告の業務に係る2次元コード作成用のコンピュータプログラムを利用して作成されたものであることを理解させるにすぎない。
(イ)

原告は,本件商標をウェブサイト(甲18,24。以下,甲24に
つき「本件ウェブサイト」という。)においてソフトバンクコマース&サービス(以下「ソフトバンクC&S」という。)の広告に使用した旨主張するが,これらはいずれも原告の提供する2次元コード作成サービスの内容を説明するものであり,これらをもって原告が業として広告を行ったとはいえない。

(ウ)

原告は,本件パンフレット7頁において,本件商標と同一の商標

(使用商標)が表示され,その下部の「事業内容」として市場調査に該当する「ダイレクトマーケティング」が記載されていることから,本件商標を市場調査に使用している旨主張するが,当該頁においては,本件商標を使用していると主張する第35類の上記役務について原告自身が本件商標を使用している事実を見いだすことはできず,本件パンフレット全体からも,原告自身がこれらの役務に関する業務を行っている事情は認められず,また,その業務によって提供される役務について本件商標を使用している事実を証明する記載も見当たらない。(3)

被告による本件審判請求行為について
法50条1項は,登録商標に係る指定商品又は指定役務が複数存在する
ときは,使用をしていない指定商品又は指定役務ごとに,その取消審判の請求ができることとしており,「各指定商品又は指定役務」の単位は,当該登録商標に係る指定商品又は指定役務の範囲で,一部の商品又は役務のいずれも可能である。また,請求人については「何人も」とされており,当該登録商標を使用する意思を要するとするなど,これを制限する規定はない。したがって,本件商標について,被告が法50条1項の規定により9件の審判請求を行っていることによって,本件審判請求を排斥し,その登録の取消しを免れることにはならないと解するのが相当である。
また,登録商標の不使用による取消審判の請求は,専ら被請求人を害することを目的としていると認められる場合等の特段の事情がない限り,権利の濫用となることはないと解するのが相当であるところ,本件審判請求に係る全証拠から見ても,権利の濫用とすべき事情を認めることはできないから,本件審判請求は,被告の権利濫用に当たるということはできない。第3
1
当事者の主張
取消事由1(本件商標の使用)について

【原告の主張】
(1)

以下のとおり,原告が,要証期間内に本件審判請求に係る指定役務につ
いて本件商標を日本国内で使用した事実は明らかであり,これを認めなかった本件審決の判断は誤りである。
(2)

IGAS展における本件商標の使用
IGAS展は,平成27年9月11日から同月16日までの間,東京ビッグサイトにおいて開催されたところ,その開催期間は本件審判請求の登録日(同月8日)より後であるが,このような国際的な展示会では,出展内容等について開催日の数か月前から出展のための準備を重ねるのは当然であり,原告も,上記登録日の前から出展のための準備を行ってきた。
したがって,IGAS展に関する資料である本件写真は,上記登録日前から原告が本件商標を使用していたことの証拠となる。本件審決が,本件写真の撮影日は要証期間外であるとして,あたかもその撮影日当日に需要者であるコダック社が本件看板について初めて認識したかのように認定したことは誤りである。

イ(ア)

本件写真によれば,原告が,IGAS展におけるコダック社の出展
ブースにおいて,同社の業務用カラー高性能プリンタのノベルティーに関する本件看板に原告のオリジナルフルカラー2次元コードを表示したことがわかる。そして,本件看板には,同2次元コードの下部に「この▲Q▼Rコード[QRコード]は,LogoQCodeMarketingで作られています

協力:A・Tコミュニケーションズ株式会社」(なお,「▲Q▼

Rコード」は使用商標の上部部分と同一である。以下同じ。)との表示があり,本件商標が表示されている。また,本件看板に表示されたフルカラー2次元コード内には「アンケート」の文字が表示されており,スマートフォン等のカメラにより当該2次元コードを読み取ると,コダッ
ク社のプリンタを使用した印刷品質等に関するアンケート画面となる。当該アンケートにより入手された来場者の反応はデータとしてコダック社へ提供され,コダック社はこれを今後の製品開発等に役立てることが可能となる。これら一連の業務は,原告がコダック社のために「市場調査」を行なうものである。
(イ)

原告が提供する「市場調査」サービスの需要者は,イベントの来場
者ではなく,原告がアンケート結果を提供するコダック社であるところ,原告とコダック社とは,前記のとおり,イベント出展の準備の過程で本件商標を表示した本件看板に関する具体的な準備を行っていたことから,コダック社はその過程で本件商標を認識していた。
(ウ)

したがって,本件商標を本件看板に表示する行為は,役務「市場調
査」の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物「看板」に標章を付する行為であるから,法2条3項3号に規定する「使用」に該当する。
また,本件商標を看板に表示して役務を提供する行為は,役務「市場調査」の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物「看板」に標章を付したものを用いて役務を提供する行為であるから,法2条3項4号に規定する「使用」に該当する。

本件審決は,本件看板における本件商標の表示につき,「該表示は,看板に表示された2次元コードが,被請求人の業務に係る2次元コード作成用のコンピュータプログラムを利用して作成されたものであることを理解させるにすぎないものである」とし,あたかも本件商標が説明的な表示として認識されるように判断している。
しかし,本件商標は,図形と文字との結合商標であり,「QRコード」という文字のみからなる商標とは全く異なるものである上,本件商標の図形部分は,もはや人格を備えた1人のキャラクターといえるほど,特
別な印象深い図形要素であり,インパクトのある本件商標の最大の特徴である。本件審決は,このような本件商標の重要な要素を見落として行われたものであり,誤りである。
(3)

原告のウェブサイトにおける本件商標の使用
本件審決は,ウェブサイト(甲18,24)につき,いずれも原告の提供する2次元コード作成サービスの内容を説明するものであり,これらをもって原告が業として広告を行ったとはいえないものである旨判断したが,この判断は誤りである。


本件ウェブサイトは,原告が,利用者自らがオンライン上のプログラムを使用し,利用者オリジナルの画像・イラストを含んだフルカラー2次元コードを自由に制作し得るサービスの提供を平成27年5月27日より開始したこと,当該サービスの提供はソフトバンクC&Sの運営するマーケティングツール販売サイト「MarketingBank」を通じて行われることとともに,この「MarketingBank」についての広告を遅くとも同年6月24日時点で原告のウェブサイトにて行ったことを示すものである。なぜなら,原告のフルカラー2次元コード作成サービスに関心をもつ取引者・需要者が,本件ウェブサイト内の宣伝広告文によりソフトバンクC&Sの「MarketingBank」サービスの存在を認識し利用するきっかけになり得るからである。
したがって,本件ウェブサイトの表示は,他社サービスに関する宣伝広告に該当し,その表示内で本件商標と社会通念上同一の商標の表示を行うことは,本件商標を第35類指定役務「広告」について使用しているということができる。


仮に本件ウェブサイトの表示がソフトバンクC&Bの「MarketingBank」サービスに関する広告に該当しないとしても,原告の提供する2次元コード作成サービスは第35類指定役務「広告」に含まれる「広告宣伝物
の企画及び制作」に当たるため,他社サービスに関する広告に該当する。すなわち,原告が作成するロゴ・イラスト入りQRコード「ロゴQ」には,本件ウェブサイト(2枚目)に記載されているように,企業のロゴとその企業のURLを示す2次元コードとを組み合わせたものがある。このような企業のロゴQは,その企業のホームページに簡単にアクセスできるようにして,需要者にその企業が提供する製品やサービスを広告宣伝するためのものである。とすれば,原告がこのようなロゴQを作成するサービスを提供する行為は,第35類指定役務「広告」に含まれる「広告宣伝物の企画及び制作」に当たる。
そして,本件ウェブサイトの表示から明らかなように,原告はそのサービスマークとして本件商標と社会通念上同一の商標を使用しているのであるから,本件商標を第35類指定役務「広告」について使用しているということができる。
さらに,このように「広告宣伝物の企画及び制作」に該当する「被請求人の提供する2次元コード作成サービス」について,原告は要証期間内に原告自身のウェブサイトで,本件商標と社会通念上同一の商標を表示したプレスリリースを行った(甲29の1及び2。以下,併せて「本件プレスリリース」という。)。

以上のとおり,本件商標を本件ウェブサイトに表示する行為は,電磁的方法により行う映像面を介した役務「広告」の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務「広告」を提供する行為であるから,法2条3項7号に規定する使用に該当する。
また,本件商標を本件プレスリリースに表示する行為は,役務「広告宣伝物の企画及び制作」に関する広告に標章を付して電磁的方法により提供する行為(法2条3項8号)に該当する。


本件審決は,本件ウェブサイトに関しても,本件写真におけるのと同様
に本件商標の重要な要素である図形部分を無視し,単なる記述的表示にすぎないと判断しているが,誤りである。
(4)

本件パンフレットにおける本件商標の使用
本件パンフレットは,平成27年6月15日付けで発行された原告の総合的な商品・サービス紹介パンフレットであるところ,その7頁に本件商標と同一の商標が表示されており,同頁下部には原告の「事業内容」として,「ダイレクトマーケティング」の記載がある。これらの表示は,本件商標が原告により要証期間内に第35類指定役務「市場調査」について使用されたことを意味するものである。


原告は,要証期間内に,2次元コードサービスなるダイレクトマーケティングサービスを顧客に提供したところ,同サービスにおいて,原告は,印象的な2次元コードを表示することで多くのアクセス獲得を可能とし,より価値のある統計情報を顧客に提供することができていることから,本件パンフレットに記載された「ダイレクトマーケティング」は,指定役務「市場調査」に該当する。
また,本件商標は図形商標としての機能を持ち合わせるものであるから,本件パンフレットの任意の目立つ場所に表示させることで,そのインパクトにより十分に商標としての機能を果たすと考えられる。
したがって,本件パンフレットに本件商標を大きく目立つように表示し,さらにその同一頁に原告が「ダイレクトマーケティング」を業務として行っていることを理解させる表示がされていることをもって,本件商標が「ダイレクトマーケティング」すなわち指定役務「市場調査」について使用されているということができる。


以上より,本件商標を「ダイレクトマーケティング」の記載と同ページに表示した本件パンフレットを頒布する行為は,役務「市場調査」に関する広告に標章を付して展示・頒布する行為であり,法2条3項8号に
規定する「使用」に該当する。
【被告の主張】
(1)

原告が本件商標の使用に当たるとして主張する行為は,いずれも商標法
所定の「使用」に該当するとはいえないから,本件審決に原告主張に係る取消事由はない。
(2)

IGAS展における本件商標の使用について
本件商標を本件看板に表示する行為を「使用」行為とするならば,準備段階の行為をもってその使用時期を認定することはできず,準備段階の行為を「使用」行為とするならば,展示期間中の本件写真をもって当該行為の写真とすることはできないのであり,原告の主張は論理的に破たんしている。
本件審決が本件写真は要証期間外のものであると判断した点に誤りはない。


本件看板には,「この▲Q▼Rコード[QRコード]は,LogoQCodeMarketingで作られています」との表示があり,その上に2次元コードがある。ここでの本件商標は,その表示内容から,上部の2次元コードを指すものであり,当該表示は,上部の2次元コードがLogoQCodeMarketingで作られていることを述べたものと理解することができる。すなわち,本件商標は,2次元コードを指して用いられており,「市場調査」の役務の提供について使用されているものではない。


本件看板によるアンケートは,IGAS展のコダック社のブースにあることからしても,コダック社が同社のブースへの来場者に対して行ったものと理解するのが自然である。すなわち,本件看板により,コダック社がアンケートを行い,そのアンケートにおいて,原告が提供するサービスを利用していたことの説明が行われていたものと理解される。そうすると,仮に本件看板によるアンケートへの回答の募集行為が
「市場調査」に該当するとしても,当該行為はコダック社が行ったものであり,原告が行ったものとは解し得ない。
(3)

原告のホームページにおける本件商標の使用について
本件ウェブサイトにおける本件商標の使用について
(ア)

本件ウェブサイトにおける表示は,原告の提供するQRコード作成
サービスの宣伝であり,ソフトバンクC&Sについては,原告の提供するサービスへアクセスする入口として言及されていると理解するのが自然であるから,本件商標がソフトバンクC&Sの提供するサービスを宣伝するための広告の提供について使用されていると解することはできない。原告自身のサービスの広告により,結果的に第三者のサービスを認識し利用することがあったとしても,それは,原告自身のサービスの広告の付随的な効果にすぎず,本件ウェブサイトが原告自身のサービスの広告であるという性質に変わりはない。
したがって,本件ウェブサイトの表示をもって,本件商標が第35類の指定役務「広告」について使用されたと解することはできない。この点に関する本件審決の認定・判断に誤りはない。
(イ)

原告は,原告の提供する2次元コード作成サービスは第35類の指
定役務「広告」に含まれる「広告宣伝物の企画及び制作」に当たる旨主張するけれども,本件ウェブサイトにおいて,本件商標は,いずれも2次元コードそのものを指して使用されており,2次元コード作成サービスについて使用されていない。2次元コード作成サービスについては,本件商標ではなく,「LogoQCodeMarketing」又は「ロゴQコードマーケティング」が使用されている。
したがって,本件商標が指定役務「広告」について使用されたと解することはできない。

本件プレスリリースにおける本件商標の使用について

(ア)

本件プレスリリースは,「【プレスリリース】ロゴ・イラスト入り
フルカラーQRコード『ロゴQ』を作成できるクラウド型サービス『LogoQCodeMarketing』をソフトバンクコマース&サービスから提供開始いたしました。」の表示から,原告が提供する「LogoQCodeMarketing」の提供開始を宣伝するものであり,ソフトバンクC&Sについては,原告の提供するサービスへアクセスする入口として言及されているものと理解される。したがって,上記ア(ア)と同様に,原告の主張は失当である。
(イ)

本件プレスリリースにおいては,「A・Tコミュニケーションズが
所有する▲Q▼Rコードの概要」と表示され,原告の2次元コード作成サービスを使って作成された2次元コードの特徴が説明されていることから,本件商標は,2次元コードのことを指して使用されているものと理解し得る。すなわち,本件商標は,ソフトバンクC&Sのための広告役務の提供について使用されているものではない。
(ウ)

よって,本件商標を本件プレスリリースに表示する行為は,指定役
務「広告」について本件商標を使用する行為ではない。
(4)

本件パンフレットにおける本件商標の使用について
本件パンフレットに記載された語である「ダイレクトマーケティング」は,一般的な語ではなく,その内容が明確でない。このため,「ダイレクトマーケティング」の語からでは,需要者はいかなる役務を指すか理解できず,本件パンフレット7頁の本件商標が「市場調査」について使用されているとは解し得ない。


本件パンフレット7頁の説明文及び概念図を併せて見た場合,ビッグデータを活用しこれをビジネスに反映して行くに当たり,ロゴQコード(2次元コードの1つ)は,データの収集を促進することができ,現代におけるビッグデータ活用のニーズに対応できることを説明しようとし
たものと一応理解することができるが,これとダイレクトマーケティングとの関係は不明である。
また,同頁には「事業内容」として「ダイレクトマーケティング」を含む13項目が小さな文字で列記されているが,このうちのある事業と使用商標との間に具体的関係を読み取ることはできない。
その下の「主な取引先」と題する記載は,原告の主要取引先を紹介するものであり,同頁上部の概念図及び文章による説明全体の内容と具体的関係はなく,概念図に含まれる使用商標とも具体的関係は認められない。
したがって,使用商標は,ダイレクトマーケティングとの具体的関係において使用されたものではなく,市場調査「について」使用されたものとはいえない。

よって,本件商標を「ダイレクトマーケティング」の記載と同頁に表示した本件パンフレットを頒布する行為は,役務「市場調査」について本件商標を使用する行為ではない。

2
取消事由2(権利濫用)について

【原告の主張】
(1)

被告による本件審判請求は,以下のとおり,法50条1項・第2項及び
56条の規定・趣旨並びにこれらから導かれる法の審判請求人への要求,商標に化体した業務上の信用の保護という法の目的(法1条)を阻害し,商標制度そのものの根幹を揺るがしかねないものであるから,審判請求権の濫用(民法1条3項,民訴法2条)として不適法却下されるべきものであるとともに,専ら原告を害することを目的としてなされたものであるから,権利濫用(民法1条3項,民訴法2条)として棄却されるべきものでもある。本件審決は,このような本件審判請求につき,請求人である被告の権利濫用に当たるということはできないと判断した点で誤りであるから,取り消
されるべきである。
(2)ア(ア)

法50条1項は,指定商品又は指定役務が2以上ある場合において,
その一部の指定商品等についての取消しを請求するときには,その一部の指定商品等を一体とする1つの請求をすべきとする趣旨の規定と解される上,「各指定商品又は指定役務」ごとについての取消請求をむしろ積極的に排除しようとしているものと解される。
そうすると,本件審判請求は,本来1つの請求ですべき不使用取消審判を,原告に過大な立証負担を課すために敢えて複数に分けて請求するものである点で,法50条1項の趣旨に明らかに反する。
(イ)

法50条2項の趣旨は,被請求人が使用の事実を証明する場合に取
消請求に係る指定商品等の全てについて使用の事実を証明しなければならないとすれば,その証明に要する手数が大変になるだけでなく,審判の迅速な処理も困難となる一方,請求人は自分が必要とする指定商品等のみにつき取消請求をすれば足りるから,不使用取消審判は,1つの請求でまとめて請求すべきこととしたことにある。
(ウ)

法56条(同条2項が,審判請求の取下げに関する特許法155条
3項を不使用取消審判請求に準用していないこと。)は,不使用取消審判の請求人がその請求に係る指定商品等の範囲を自由に減縮することは請求の要旨を変更するものであり許されないこととし,請求人に,不使用取消審判の請求に当たっては,実際上使用されていないことに確信のある指定商品等のみについて請求すべきことを要求している。(エ)

このような法50条1項・2項及び56条の規定・趣旨に照らせば,
法は,商標権者に使用事実の立証責任を負担させる一方で,審判の請求人には,請求に当たって,自分が必要とする指定商品等であって実際上使用されていないことに確信のあるもののみについて,それらを一体とする1つの請求をすることを要求しているものと解される。
(オ)

本件において,請求人である被告は,被請求人が商標使用事実の立
証責任を負担することを殊更に悪用し,商標権者である原告の使用事実をろくに調査もせず,また,審判の迅速な処理が妨げられることも顧みずに,原告に法の予定をはるかに超える過大な立証責任を一方的に負担させ,更には過大な手続的負担及び経済的負担を課すために,本来,一個一体の請求とすべき不使用取消審判請求を,特段の事情がないにも関わらず敢えて本件審判請求を含む9件もの請求に分け,しかもほぼ同時に(特に8件については同時に)行うという行為に及んでいる。
このような被告による本件審判請求は,上記法50条1項・2項及び56条の規定・趣旨並びにこれらから導かれる法の審判請求人への要求に著しく反するから,審判請求権の濫用(民法1条3項,民訴法2条)に当たり,許されないというべきである。

仮に本件審判請求が適法となれば,逆に原告が被告の商標登録に対して,不使用取消審判を複数の請求に分けて請求することも当然に適法となり,原告及び被告の間の紛争が激化するおそれがあり,かつ,歯止めはきかなくなる。このような事態に陥れば,請求人が,商標権者に法の予定をはるかに超える過大な立証責任を負担させ,十分な使用の事実の証明を妨害することによって,現に使用している指定商品等も含めて登録商標を取り消すことが可能となってしまう。また,この場合,商標権者が全ての請求について十分な使用の事実を証明することは著しく困難なため,請求認容審決がなされる可能性が極めて高く,その審判費用のほとんどを商標権者が負担することとなる。このため,商標権者が資金力に乏しい者であれば倒産といった事態を招きかねない。さらに,請求人が商標権者を倒産させる意図でこのような請求をした場合でも,そのような意図を客観的に証明することは極めて困難であるから,適法とせざるを得
なくなる。
これでは,商標権を保有すること自体がリスクにほかならなくなり,商標権の取得意欲が著しく減退してしまうことを避けられない。そうすると,商標に化体した業務上の信用を保護するという法の目的(1条)を達成することは極めて困難になり,商標制度そのものの根幹を揺るがしかねない事態に陥る。また,審判の渋滞は避けられず,その迅速な処理が著しく困難となり,その点でも法50条2項の趣旨を没却しかねない。
さらに,仮に本件審判請求のごとき審判請求が適法とされれば,上記のとおり多額の審判費用を最終的に商標権者が負担することを利用して,商標権者に多額の和解金を請求し,支払を得るまで不使用取消審判を大量の請求に分けて請求し続ける者が現れる事態が予想される。

以上のように,本来1つの請求で足りるにもかかわらず敢えて本件審判請求を含む9件もの請求に分け,しかもほぼ同時に請求するという本件審判請求は,法50条1項・2項及び56条の規定・趣旨並びにこれらから導かれる法の審判請求人への要求,更には商標に化体した業務上の信用を保護するといった法の目的(1条)を阻害し,商標制度そのものの根幹を揺るがしかねないものであるから,審判請求権の濫用(民法1条3項,民訴法2条)として不適法とすべきである。
したがって,本件審判請求は却下されるべきものである。

(3)ア

本件審決は,本件審判請求につき,専ら原告を害する目的であること
を認めることはできないとするが,その判断は誤りである。

原告は従業員数12名の零細企業であるから,本件審判請求を含む9件もの不使用取消審判手続に同時に対応するに当たって生じる証拠方法の収集に関する手続的負担や経費負担は,原告にとって甚大である。また,使用の立証が不十分と判断されれば商標の登録は取り消され,審判費用
及び裁判費用を負担することとなり,更新費用や前商標権者への譲渡費用さえも意味のないものとなる上,悪意ある第三者により「QRコード」に係る商標が登録され事業継続そのものが難しくなるというリスクまで抱えることとなる。

原告と被告とは過去にビジネスパートナーとして共同で技術開発等を行ってきた経緯もあることから,本件審判請求が原告にとってこのように大きな負担となり得ることは,被告も十分に認識している。


被告による「QRコード」関連の商標権獲得実績のほとんどは,第9類及び第42類に限られる。近年出願されたものも,第9類,第35類及び第42類の3区分に限られている。これらのことから,被告のQRコード関連業務と関係性のある指定商品等は,第9類,第35類及び第42類の3つの区分に属する商品等に限られ,本件商標権の指定商品等のうち第16類,第36類,第38類,第39類,第41類及び第45類の区分に属する商品等については,被告のQRコード関連業務とは全く関係がなく,商標権を取得する意思すら被告は持ちあわせていないと容易に推認し得る。


そうすると,被告が,自分で必要とする指定商品等のみならず,必要としない指定商品等についてまで,本来1つの請求で足りる不使用取消審判請求を敢えて本件審判請求を含む9件もの請求に分け,しかもほぼ同時に請求した行為は,原告に,法の予定をはるかに超える過大な立証責任を負担させ,十分な使用の事実の証明を妨害することによって,現に使用している指定商品等も含めて本件商標を取り消そうという,専ら原告を害することを目的としてされたものとしか考えられない。
したがって,被告による本件審判請求は,専ら原告を害することを目的としてされたものであり,権利濫用(民法1条3項,民訴法2条)として棄却されるべきものである。

【被告の主張】
(1)

本件審判請求は,以下のとおり,権利濫用に当たるものではなく,この
点に関する本件審決の認定・判断に誤りはない。
(2)

法50条1項は,何人も指定商品等ごとに不使用取消審判の請求を行い
得ることを明らかにしていることから,被告が,本件審判請求を含む9件の不使用取消審判請求を行ったこと自体を権利の濫用とすることはできない。また,法50条2項及び56条を考慮した場合でも,法は,不使用取消審判請求につき,登録商標の一部の指定商品等を対象とすることを許容していることに変わりはなく(法50条1項),ただ,いったん複数の指定商品等を対象として請求された不使用取消審判請求は,1つの請求と法的に評価されることとなるから,審判請求後は,請求中の一部の指定商品等に自由に減縮することはできない一方で(法56条は特許法155条3項を準用していない。),被請求人が,請求人が審判対象とした指定商品等の一部でも使用の事実を立証すれば,審判対象となった全ての指定商品等について使用があったものとして審決が行われる(法50条2項)ものとして明確に定めている。原告の取消事由における法解釈の主張は,このような法の規定の文言に反し,その趣旨を誤解したものであり,失当である。
また,被告が原告に対し過大な立証負担を課す目的で本件審判請求を行った事実はなく,原告が立証責任を負担することを悪用した事実もなく,いずれも原告の憶測にすぎない。本件審判請求を適法とすることの弊害等として原告が主張する点も,いずれも論理に飛躍があるか,根拠のない憶測ないし事実に基づかない主張にすぎない。
さらに,法50条1項,2項は,指定商品等のいくつかのまとまりごとに不使用取消審判を請求することを許容し,当然予定しているといえるし,その場合でも,商標権者は,実際に使用している商標であれば,その証拠を提出することにより取消しを免れることができるのであるから,過大な負担
を負うものではない。実際に使用していない商標であれば,むしろ登録を取り消すことが法50条1項の趣旨に沿うし,公益的観点からも望ましいということができる。
(3)

以下の「QRコード」の開発及び普及の経緯並びに不使用取消審判請求
に至る経緯からは,本件審判請求が専ら原告を害する目的でされたものでないことも明らかである。

「QRコード」の開発及び普及の経緯
「QRコード」は,大容量でありながら他のコードより10倍以上のスピードで読み取ることができる2次元コードとして被告により開発され,平成6年に発表されたものである。その名称は「QuickResponse/クイック・レスポンス」に由来し,高速読み取りという開発のコンセプトが込められた,被告の創作に係る造語である。被告は,「QRコード」に係る最初の商標出願を平成7年6月16日に行い,平成9年10月24日に登録されている。
また,被告は,開発当初から,「QRコード」の基本特許を開放しつつ普及活動を行い,その結果,「QRコード」は,自動車部品業界等において商品管理等様々な用途に使用され,種々の業界標準規格,国際/国家標準規格を取得することにより,現在では国内・海外の各分野の企業活動に不可欠なものとなった。このことは,我が国の取引者・需要者に広く知られている事実である。
このように,本件商標に対する不使用取消審判請求(本件審判請求を含む。以下同じ。)は,そもそもの開発者であり,「QRコード」の名称の創作者によりなされたものである。また,上記経緯に照らすと,被告以外の者に「QRコード」に係る商標権が帰属した場合,商標の出所について需要者の誤認・混同を招くおそれがあり,そのことにより「QRコード」に係る商品・役務の品質に対する需要者の信用を損なう弊害
を否定し得ない。さらに,膨大な労力,時間及び費用を要した被告の普及宣伝活動によって「QRコード」は著名化され,信用が化体したものであり,このような信用へのただ乗りは許されるべきでない。
被告による本件商標に対する不使用取消審判請求は,こうした「QRコード」の出所識別標識としての機能と品質に対する需要者からの信用を維持するとともに,ただ乗り阻止のために,使用されていない本件商標の取消しを求める必要があったことにより行われたものであって,専ら原告を害することを目的としてされたものではなく,権利濫用には当たらない。

不使用取消審判請求に至る経緯
被告は,原告との間で平成21年から平成24年にかけて特許のクロスライセンス契約を締結し(原告は「ロゴQ」に関する特許を被告にライセンスし,被告は「QRコード」に関する特許を原告にライセンスしていた。),同契約は,平成24年にはビジネスアライアンス契約に切り替わった。
しかし,その後両者の関係がこじれ,平成27年に同契約を解消するに至ったが,その過程で,本件商標に関する話合いが行われたことも,話題に上ることもなかった。
本件商標は,もともと平成17年7月29日に個人が登録したものであり,その後実際の使用が長年行われていなかったことと,「QRコード」の普及に努めるというポリシーの下,被告は,不使用取消審判請求等の積極的な措置を取ることはせず,存続期間満了による権利消滅を待っていた。ところが,上記ビジネスアライアンス契約解消に向けた協議を重ねていた平成27年6月15日を受付日として原告が本件商標の移転登録を得たことが,その登録後に判明した。個人が本件商標を実際使用せずに保有していることと,被告と直近までビジネスパートナーであ
った事業者である原告が保有することとは,「QRコード」の出所識別機能への影響という点で意味が異なるのであって,被告が原告に対して本件商標に対する不使用取消審判請求を行ったのは,この点を踏まえた被告側のQRコード商標のブランド戦略からくる必要性に基づくものであり,原告を害する目的で行ったものではない。
以上の事実に照らしても,本件審判請求は,専ら原告を害することを目的としてされたものではなく,権利濫用に当たらない。
第4
1
当裁判所の判断
取消事由1(本件商標の使用)について
(1)

IGAS展における本件商標の使用について
証拠(甲16,17)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(ア)

IGAS展は,平成27年9月11日から同月16日までの間,東
京ビッグサイトにおいて開催されたところ,これに出展したコダック社は,自社ブース内に本件看板を設置した。
(イ)

本件看板には,上部から順に,以下の記載等がある(「/」は改行
を意味する。特に断らない限り,以下同じ。)。

「KodakNexPress出力制作/オリジナルのBoxティッシュ/プレゼント」


「アンケートにご回答ください」


本件看板中段の中央部分に2次元コードの表示(なお,当該2次元コードは,その中段部分にある「アンケート」の文字と重なり合っているものと見られる。)


cの左下側にこれに比して小さくスマートフォン等のイラスト及びその下部に,「ケータイ・スマホで/アクセスして下さい」との記載

「この▲Q▼Rコード[QRコード]は/LogoQCode/Marketing/
で作られています」(ただし,「LogoQCode」部分は他の記載より大きなサイズのフォントにより表示されている。)
fイ
「協力:A・Tコミュニケーションズ株式会社」

上記認定事実によれば,本件看板は,IGAS展のコダック社のブースを訪れた来場者に対し,コダック社がアンケートを実施しており,プレゼントと引換えにこれに対する回答を来場者に求めていること,回答に当たっては,スマートフォン又は携帯電話で本件看板に表示された2次元コード(文字の記載と重なり合ったもの)を撮影することによってアンケート画面にアクセスしてもらいたいこととともに,当該2次元コードは「▲Q▼Rコード[QRコード]」と呼ばれるもので,「LogoQCodeMarketing」により作成されたものであること,当該アンケートの実施に当たっては原告の協力を得ていることをそれぞれ表示し,これを通じて,当該2次元コードを作成した「LogoQCodeMarketing」は原告が提供するサービスを意味することを推知させるものと理解される。
そうすると,本件看板において,使用商標(「▲Q▼Rコード[QRコード]」なる表示。本件看板との関係では,以下同じ。)は,その上部に表示された2次元コードそのものを記述的に示し,他の記載と相まって,当該2次元コードが原告の業務に係る2次元コード作成用のサービスを利用して作成されたものであることを理解させるものであるにとどまり,原告の提供する役務を表示する標識としては機能していないと見るのが適当である。このことは,原告の提供する役務の需要者をコダック社と考えた場合と,同社のブースへの来場者と考えた場合とで異ならない。


したがって,本件看板における使用商標は,本件審判請求に係る本件商標の指定役務のうち役務「市場調査」について使用するものということはできない。本件審決も,この点について同旨の判断をしたものと理解
される。
したがって,この点に関する原告の主張は採用し得ない。
(2)

原告のウェブサイトにおける本件商標の使用について
証拠(甲18,24,29の1及び2)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(ア)

本件ウェブサイト(URLは「https://logoqcodemarketing.jp」)には,
その上部から順に,以下のような記載等がある(なお,甲18と甲24とはデータの保存場所等が相違するものの,内容は実質的に異ならない。)。

「オリジナルロゴ・イラスト入りQRコード作成サービス」


「LogoQCodeMarketingSoftbankC&SEditor」(ただし,「LogoQCode」部分は最も大きく,「Marketing」は「SoftBankC&SEditor」よりやや大きなフォントサイズで,それぞれ表示されている。)


「お待たせしました!/欲しいものはココにある!/SoftBankC&Sからデビュー!/オリジナルデザイン▲Q▼Rコード/QRコード®/作成サービス」(ただし,「オリジナルデザイン▲Q▼Rコード/QRコード®」なる記載は「/」部分での改行はなく一連である。)なる記載。また,この表示の右側及び左側には,各1つずつ,2次元コードとイラスト又は文字を重ね合わせたイメージ図が配置されている。


「2015年05月27日

ロゴ・イラスト入りQRコード『ロゴ

Q』を作成できるクラウド型サービスをソフトバンク

コマース&サ

ービスの『MarketingBank』から提供開始!!/お好きなロゴやイラストでQRコードが作成できる『ロゴQコードマーケティング』サービスの提供を開始いたしました。/ロゴQマーケティングで作成したロゴQは,アクセス数の集計をしますので,媒体効果測定などのマーケテ
ィング施策にご利用いただくことができます。」

「ご利用について/●はじめてご利用される方は,MarketingBankの本サービスページにある【お見積り・お問い合わせ】からお申し込みください」


「ロゴQはユニバーサルデザインの▲Q▼Rコード/QRコードです。」


「■誰にでも分かるコードを作れます」との表示の下部に,「ロゴ(デザイン)」(及びこれを想起させるイラスト)とQRコード(及び2次元コードのイラスト)とを足すと「LogoQ」(及び上記各イラストを重ね合わせたイメージと見られるイラスト)となることを等式で表現した図(なお,QRコードを示す部分には,使用商標が用いられている。)

(イ)

本件プレスリリース(URLは「http://logoq.net/logoq/index.html」)に
は,その上部から順に,以下のような記載等がある(なお,甲29の1及び2は,インターネットアーカイブに収蔵された時点を異にするものの,内容は実質的に同一である。)。

「A・Tコミュニケーションが所有する/▲Q▼RコードQRコ
ード®の概要」


「[プレスリリース]/ロゴ・イラスト入りフルカラーQRコード/『ロゴQ』を作成できるクラウド型サービス/『LogoQCodeMarketing』を」/ソフトバンク

コマース&サービス/から提供開始

いたしました。」

「ロゴQコードとは白黒のQRコードをベースに弊社の特許技術を使って作成する視認性とセキュリティに特化したフルカラーQRコードです。文字やイラスト,ロゴ,写真などを使い作成されるロゴQRコードは,見ただけでコードの情報を伝える事ができます。/また,
秘匿情報をコード自体に組み込むことにより作成されるセキュリティロゴQコードは,専用のQRコードリーダーで読み取らないと正しい情報を閲覧できないため,電子チケットや会員証,地域通貨,商品の証明書としてと,様々な用途で使用する事ができます。」

cの記載を含む説明部分の下部に,「QRコード」(及び2次元コードのイラスト)と「文字,イラスト/ロゴ,写真など」(及び濃い背景色に白抜きの「A・T」の表示)とを足すと「ロゴQコード」(及び上記各イラストを重ね合わせたイメージと見られるイラスト)となることを表現した図式の表示


「更新履歴/[2015.5.27]new/[プレスリリース]ロゴ・イラスト入りQRコード『ロゴQRコード』を作成できるクラウド型サービス『LogoQCodeMarketing』をソフトバンク
コマース&

サービスの『MarketingBank』から提供開始いたしました。」イ(ア)

上記認定に係る本件ウェブサイトの記載等を総合的に見ると,全体
としては,本件ウェブサイトは,原告が,ソフトバンクC&Sの運営する「MarketingBank」なるウェブサイトにおいて「LogoQCodeMarketing」又は「ロゴQコードマーケティング」なる名称でロゴ・イラスト入りQRコード「ロゴQ」を作成できるクラウド型サービスの提供を開始したこと,及びその内容等を閲覧者に対し告知するものと理解される。すなわち,本件ウェブサイトは,原告が自ら提供するオリジナルデザインQRコード作成サービス「ロゴQコードマーケティング」の広告というべきものであり,これをもって,原告が業として広告という役務を提供したと見ることはできない。なお,本件ウェブサイトによれば上記サービスがソフトバンクC&Sの運営するウェブサイトを通じて提供されるものであることがうかがわれるものの,同ウェブサイトについては,あくまでサービス提供の入口として示されているにすぎず,これをもっ
てソフトバンクC&Sの当該ウェブサイト(ないしこれを通じて提供されるサービス)の広告ということはできない。
さらに,このような本件ウェブサイトにおいて,使用商標(又はその上部及び下部を横に一連に表記したものを含む。上記ア(ア)c,f,g)は,必ずしも判然とはしないものの,ロゴやイラストとQRコードを組み合わせたものが「ロゴQ(コード)」とされていることとの対比から,そのような組合せがされていない2次元コードを意味するものとして用いられているものと見られる。このことと,その記載の態様等に鑑みると,上記使用商標は,いずれも,原告が提供するサービスの内容を説明する中で,2次元コード(ロゴやイラストとQRコードを組み合わせる前のもの)を指すものとして記述的に示されているにとどまるものであり,原告が提供するサービスを表示する標識としては機能していないと把握するのが適当である(なお,上記ア(ア)c,fで用いられた使用商標は,ロゴQ(コード)と同義の内容を示しているとも見得るが,たとえそうであるとしても,上記の結論は異ならない。)。
(イ)

そうすると,本件ウェブサイトにおける使用商標は,本件審判請求
に係る本件商標の指定役務のうち役務「広告」ないしこれに含まれる「広告宣伝物の企画及び制作」について使用するものということはできない。本件審決も,この点について同旨の判断をしたものと理解される。
したがって,この点に関する原告の主張は採用し得ない。
ウ(ア)

上記認定に係る本件プレスリリースの記載等を総合的に見ると,全
体的には本件ウェブサイトと同様の趣旨のものと理解される。もっとも,本件プレスリリースは,主にロゴQコードについての説明をその内容とするものであり,その内容が,「広告」という役務との関係においていかなる意味を持つものであるかを具体的にうかがわせる記載等は見当た
らない。
このような本件プレスリリースにおいて,使用商標(「▲Q▼RコードQRコード®」なる表示。上記ア(イ)a)は,全体の文脈に鑑みると,原告が権利を有するQRコードであるロゴQコードを指すものとして記述的に示されていると理解され,原告が提供するサービスを表示する標識としては機能していないというべきである。
(イ)

そうすると,本件プレスリリースにおける使用商標は,本件審判請
求に係る本件商標の指定役務のうち役務「広告」に含まれる「広告宣伝物の企画及び制作」について使用するものということはできない。したがって,この点に関する原告の主張は採用し得ない。
(3)

本件パンフレットにおける本件商標の使用について
証拠(甲19)及び弁論の全趣旨によれば,本件パンフレットには,以下の記載等があることが認められる。
(ア)

「次世代の電子情報化のインフラコード/オムニコード®商品名:
『ロゴQ(コード)』がこれからのグローバル社会へと導きます」なる記載の下部に,「LogoQ」なるアルファベット部分と同アルファベット部分の小文字部分「ogo」の上部に上端が「L」及び「Q」と揃うように横書きに配置された「ロゴキュー」なる片仮名部分により構成される標章に記号「®」を付した表示がある(1頁目上部)。
(イ)

「完全自動生成エンジン提供可能/(フルカラーQRコードが1秒間
に70個以上できる生成速度)」(1頁目中段下部)
(ウ)

(ア)の記載下部にあるものと同じ標章を濃い色調の帯部分に白抜きで,
同じく白抜きの「シリーズ」なる記載とともに最上部に配置し,同帯部分からページ全体の外枠を画するように伸びた罫線に囲まれた内側下部に「⑥

文字」の記載の右側に使用商標を配置し,使用商標の右

側に記号「®」,「■文字キューアールコード」なる記載を配置し,そ
の下部に「文字とQRコードを掛け合わせ,更に色を加味した,誰が見てもサイトの内容がわかりやすいコードが『文字QRコード』です。」なる記載がある(3頁目)。
(エ)

「A・Tコミュニケーションズが目標とするビジネス構想」,「膨
大かつ多様なビックデータ時代の革命ツール」,「A・Tコミュニケーションズが提供するセキュリティを兼ね備えたフルカラーQRコード『ロゴQコード』は,ビッグデータの収集を促進すると共にオムニチャネルの新時代の革命ツールであると確信しております。」なる記載の下部左側に,記号「®」を右側に付した使用商標及び「ロゴQコード®/(オムニチャネルを連携)」なる表示を配置し,更にその下部に「店舗」,「通販」,「PC」等データ収集の窓口となる場所ないし端末を通じてデータ収集がされ,収集されたデータがビッグデータを形成するイメージ等を示す概念図が配置されている(7頁目中段より上部)。
(オ)

(エ)の概念図の下に,「事業内容」「●フルカラーQRコード及びロ
ゴQシリーズの企画・製作・販売」,「●ロゴQメーカー(QRコード及びロゴQコード自動生成エンジン)の提供」,「●ダイレクトマーケティング」なる記載がある(7頁目下部)。
(カ)

「2015年6月」なる記載の右側に,記号「®」を付して使用商標
を配置し,その右側に「左記QRコードの商標を取得しました。」なる記載がある(8頁目)。
イ(ア)

上記認定に係る本件パンフレットの記載等を総合的に見ると,全体
としては,本件パンフレットは,原告が提供するフルカラーQRコード「ロゴQコード」につき,「ビッグデータの収集を促進すると共にオムニチャネルの新時代の革命ツール」であり,「次世代の電子情報化のインフラコード」となるなどといった評価及びその説明を示すと共に,原
告がそのような「ロゴQコード」の完全自動生成エンジンを提供可能であることなどを主な内容とするものと理解される。この中で,本件パンフレットに見られる使用商標(上記ア(ウ),(エ),(カ))は,「ロゴQシリーズ」の1つである「文字QRコード」の説明の一部として示されたもの(上記ア(ウ)),「ロゴQコード」の利用に関する概念図において,原告が提供するQRコードの一例として示されたもの(上記ア(エ))及び会社の沿革を紹介する一環として本件商標の取得を説明するものとして示されたもの(上記ア(カ))とそれぞれ理解される。すなわち,本件パンフレット中に表示された使用商標は,それぞれ,本件パンフレットにおいて原告が提供する「ロゴQコード」及びその自動作成エンジン提供サービスの内容の説明の一部又は会社の沿革紹介の一部として示されたものであって,原告が行う市場調査業務との関係で示されたものではない。本件パンフレット7頁には,「事業内容」として「ダイレクトマーケティング」の記載があるものの,その事業内容自体必ずしも明らかとはいえない上,同ページを見ても,また,パンフレットの全体を通じて見ても,本件パンフレットが,原告の提供する「ダイレクトマーケティング」という役務を広告しているものと見ることはできないから,使用商標が「ダイレクトマーケティング」(市場調査)に関する広告等に付されたということもできない。
(イ)

そうすると,本件パンフレットにおける使用商標は,本件審判請求
に係る本件商標の指定役務のうち役務「市場調査」について使用するものということはできない。本件審決も,この点について同旨の判断をしたものと理解される。
したがって,この点に関する原告の主張は採用し得ない。
(4)

以上のとおり,原告が取消事由1として主張する本件商標の使用の事実
は,いずれも証明されたということはできず,この点に関する本件審決の判
断に誤りはない。
したがって,原告主張に係る取消事由1は認められない。
2
取消事由2(権利濫用)について
(1)

審判請求権の濫用の主張について
法50条は,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは,何人も,その指定商品等に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができ(1項),この審判の請求があった場合においては,その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者等のいずれかがその請求に係る指定商品等のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り,商標権者は,その指定商品等に係る商標登録の取消しを免れない(2項本文)旨を定める。また,法56条2項は不使用取消審判に特許法155条3項(「二以上の請求項に係る特許の二以上の請求項について特許無効審判を請求したときは,その請求は,請求項ごとに取り下げることができる。」)を準用していない。これらの規定によれば,商標の不使用取消審判は,何人も,登録商標に係る指定商品等のうちの一部を対象として請求することができ,これに対し,登録商標の商標権者は,その請求に係る指定商品等のいずれかについて商標権者等が登録商標の使用をしていることを証明しなければ,その請求に係る指定商品等につき商標登録の取消しを免れないが,これが証明された場合,請求人はその請求に係る指定商品等の一部につき請求を取り下げることができず,他方で,商標権者は,その請求に係る指定商品等の全体について,登録商標の取消しを免れることができることとなる。
本件において,被告は,本件商標の指定商品及び指定役務中,第35類「全指定役務」について,本件商標の商標登録の不使用取消審判を請
求した。これに対し,本件審決は,原告主張に係る本件商標の要証期間内での使用事実は認められない旨判断したところ,前記のとおり,この点に関する本件審決の判断に誤りはない。
そうすると,本件審判請求は,法50条1項所定の要件を満たすものといってよく,これをもって審判請求権の濫用と評価すべき事情も見当たらない。

これに対し,原告は,不使用取消審判の請求人がその請求に当たり指定商品等を細分化した場合の被請求人の立証の負担等を指摘し,そのような請求は法50条1項・2項及び56条の規定・趣旨並びにこれらから導かれる法の審判請求人への要求,法の目的を阻害し,商標制度の根幹を揺るがしかねないなどとして,そのような請求である本件審判請求は審判請求権の濫用である旨主張する。
しかし,商標法上の保護は,商標の使用によって蓄積された信用に対して与えられるのが本来的な姿であるところ,法50条所定の登録商標の不使用取消審判制度の趣旨は,一定期間登録商標の使用をしない場合には,そのような信用が発生しないか,又は消滅してその保護すべき対象がなくなること及び不使用に係る登録商標に対して排他的独占的な権利を与えておく理由はなく,かつ,その存在により商標使用を希望する第三者の商標選択の余地を狭めることから,そのような商標登録を取り消すことにあると解される。また,法50条2項は,登録商標がその指定商品等について使用されていないことを請求人が証明することは不可能に近いまでに困難であるところ,登録商標の不使用の事実の立証責任を請求人が負うとすると,商標権者が審判請求に何らの応答もしないような場合には当該請求の処理に窮することとなり,また,不使用の立証が困難であるというだけで,実際には不使用であるのに商標権者はその商標登録の取消しを免れ,不使用の登録商標の存在により不利益を受け
る請求人の利益は擁護されないこととなるのは妥当でないこと,被請求人である商標権者は,その指定商品等に係る登録商標の使用の有無を最もよく知るとともに,現にその証拠を有し,又は容易にこれを収集し得る立場にある以上,登録商標の使用事実の立証責任を被請求人に負担させる方が当事者間の公平にかなうと考えられることなどを踏まえ,被請求人が立証責任を負担することを明らかにするとともに,審判の迅速な処理に資することとしたものである。他方,法56条が不使用取消審判に特許法155条3項を準用していないのは,請求に係る指定商品等に属する商品等が複数ある場合でも,審判請求はその商品等ごとに複数あるのではなく,1個であることを明確にするためである。
以上指摘した点も踏まえて検討すると,まず,原告が依拠する法50条2項及び56条の規定は,複数の指定商品等を対象とした1つの不使用取消審判請求がされた場合,その対象となった指定商品等のいずれかについて使用事実の立証がされれば,当該請求全部について不使用取消しを免れることと,1つの不使用取消審判請求の一部について請求を取り下げることはできないことを定めるにとどまり,不使用取消審判請求をする場合に,審判請求の仕方に制約があるのかどうか(すなわち,原告が主張するとおり,審判請求をする場合には,1つにまとめて請求をしなければならないのかどうか)については,何ら触れていない。そもそも,仮に請求の仕方(すなわち審判請求権の行使の仕方)に制約があるのであれば,その旨が明示的に定められるべきであることを考慮すると,そのような明示的な定めがされているわけではない以上,上記各規定により,原告主張のような制約が課されたと解することは困難である。実質論として考えてみても,前記のとおり,3年以上使用されていない商標登録は取り消されるべきであり,また,不使用取消審判手続においては,商標の使用について一番よく知り得る立場にある被請求人が商標
使用の事実について証明責任を負うべきであるというのが不使用取消審判制度に関する法の趣旨である以上,多数の指定商品等について商標登録を得た商標権者は,不使用取消審判請求を受けた場合に相応の立証の負担等を負うことを予期すべきものである。これに対し,原告の主張を敷衍すると,不使用取消審判請求をされた被請求人の立証の負担や経済的負担への配慮を優先し,多数の指定商品等のうち1つでも使用の事実を立証すれば,全ての指定商品等について不使用取消しを免れるというのが法の趣旨であることになるが,そのような解釈は本末転倒であって,到底成り立たないものであるといわざるを得ない。
(2)

権利濫用の主張について
原告は,本件審判請求につき,専ら原告を害することを目的としてされ
たものである旨主張するけれども,これを認めるべき事情として原告が主張するもののうち,使用事実の立証のための証拠方法収集による手続的及び経済的負担をいう点は,そもそも具体的な主張立証に欠けるし,その点を措くとしても,複数の商品等を指定商品等とする登録商標の商標権を有することに伴う負担というべきものであって,あながち不当ないし過大なものとはいえない。そのような原告の負担を仮に請求人である被告が認識していたとしても,そのことをもって直ちに,被告が専ら原告を害することを目的としていたことをうかがわせる事情ということもできない(本件においては,原告が,8類にわたる区分に属する多数の指定商品等について商標登録を得ているのに対し,被告は,各類につき,それぞれ1つ(ただし,第42類については2つ)の不使用取消審判請求をしたにすぎない。不使用取消審判請求の対象となる指定商品等を殊更分断し,極めて多数の審判請求をしているのであればともかく,この程度の不使用取消審判請求をもって,専ら原告を害する目的としてされたものであると断じることは到底困難というべきである。)。また,被告による「QRコード」関連の商標権獲得実績等が原告主
張のとおりであるとしても,法50条が不使用取消審判の請求人につき商標の使用意思等を要求していないことなどを考えると,そのような事情をもって直ちに,本件審判請求につき被告が専ら原告を害することを目的とするものであることをうかがわせる事情ということもできない。
その他原告がるる指摘する事情を考慮しても,この点に関する原告の主張は採用し得ない。
(3)

小括
以上のとおり,被告による本件審判請求は,審判請求権の濫用と見るこ
とも,権利濫用と見ることもできないのであって,これと同旨の判断をした本件各審決にはいずれも誤りはない。
したがって,原告主張に係る取消事由2は認められない。
3
結論
よって,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部

裁判長裁判官
鶴岡稔彦杉浦正樹
裁判官

裁判官
寺田利彦
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