判例検索β > 平成29年(わ)第435号
建造物侵入、窃盗被告事件
事件番号平成29(わ)435
事件名建造物侵入,窃盗被告事件
裁判年月日平成29年8月4日
法廷名福岡地方裁判所
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平成29年8月4日宣告

上記の者に対する建造物侵入,窃盗被告事件について,当裁判所は,検察官柴田啓太及び国選弁護人

各出席の上審理し,次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役4年に処する
未決勾留日数中60日をその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,A,B,C,D及びEと共謀の上,金品窃取の目的で,平成28年10月6日午後10時36分頃,株式会社F銀行G支店支店長Hが看守する福岡市a区bc丁目d番e号所在の株式会社F銀行G支店に,職員専用出入口ドアの施錠を外して侵入し,その頃,同所において,同人管理に係る現金5430万円を窃取したものである。(法令の適用)
被告人の判示所為のうち,建造物侵入の点は刑法60条,130条前段に,窃盗の点は同法60条,235条にそれぞれ該当するが,この建造物侵入と窃盗との間には手段結果の関係があるので,同法54条1項後段,10条により1罪として重い窃盗罪の刑で処断することとし,所定刑中懲役刑を選択し,その所定刑期の範囲内で被告人を懲役4年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中60日をその刑に算入することとし,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
(量刑の理由)
本件は,被告人が共犯者数名と共謀の上,夜間に銀行の店舗内に侵入し,現金を窃取した事案であり,犯罪類型としては悪質な部類に属する。
具体的には,被害銀行の行員であったAが顧客を装って多額の現金を引き出す必要が
あるので準備をしてほしい旨の連絡をして被害銀行に現金を用意させた上,同僚が保管していたセキュリティーカードを盗み取り,その上で,首謀者的立場にあるBの指示の下,E及びCらがそれぞれ見張役あるいは連絡役等を分担して行う中,被告人及びDが被害銀行の店舗内に侵入し,自動精査現金バスをバールでこじ開け,その中に保管してあった現金を持ち去り窃取した,というものであり,本件は,Bらを中心として集められ,形成された犯行グループが,事前に練られた計画に基づき,各自が役割分担して実行した犯行であって,手口は手が込んでいる上,犯行態様は大胆かつ悪質である。被害現金額は5430万円と相当多額に上っており,被害銀行の被った財産的損害は甚大である上,自行の行員が本件に関与していたことも含め,その業務に及ぼした悪影響にも無視できないものがあると推察される。
被告人の役割についてみると,被告人は本件犯行計画を立案するなど首謀者的役割を果たした者ではなく,Cらから誘われて本件に関与することになったDから更に誘われて本件犯行に荷担するに至った者ではあるが,Dと共に実行犯として現金の窃取に直接関与しているほか,犯行中に警備会社からかかってきた電話に出て,銀行職員であると偽りの応対をしているなど犯行実現場面において不可欠かつ重要な役割を果たしている。そして,被告人は,Dから分け前として窃取した現金の約2割に当たる1080万円という多額の利益を得ている。この点については,事前に報酬額について明確な約束があったわけではなく,分け前については犯行後にDが一方的に金額を決めて渡してきたという側面があることを考慮しても,上記金額を分け前として受領していることは,実行犯を担った被告人の本件における寄与が大きいものであったことをうかがわせる一つの事情である。
したがって,本件の犯情は相当悪質といえる。
次に犯情以外の事情についてみるに,被告人は受領した現金を,借金の返済,生活費及び遊興費等として全額費消しており,被害銀行に対しては,今日に至るまで何ら被害弁償をすることができていない。
以上によれば,本件は長期間の実刑をもって臨むのが相当な事案である。その上で,
刑期を決めるに当たっては,被告人が首謀者的役割を果たしておらず,あくまでDに誘われて本件に荷担するに至った者であることなど犯情に関する前記事情のうち,被告人に有利に考慮すべき事情のほか,被告人が事実関係を素直に認め,本件に荷担したことを後悔するとともに反省の言葉を述べていること,前科がないこと,実父が情状証人として出廷し,社会復帰後の更生への援助等を約束していること,友人らが雇用と監督を約束していることなどを十分に考慮し,主文のとおり量刑した。
よって,主文のとおり判決する。
(求刑懲役5年)
平成29年8月4日
福岡地方裁判所第3刑事部

裁判官

太田寅彦
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