判例検索β > 平成28年(ワ)第34685号
損害賠償等請求事件 特許権 民事訴訟
事件番号平成28(ワ)34685
事件名損害賠償等請求事件
裁判年月日平成29年8月24日
法廷名東京地方裁判所
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平成29年8月24日判決言渡

同日原本交付

平成28年(ワ)第34685号
口頭弁論終結日

裁判所書記官

損害賠償等請求事件

平成29年6月27日
判決原告A被告B
同訴訟代理人弁護士

鈴木正濱田真主一郎文1
原告の請求をいずれも棄却する。

2
訴訟費用は原告の負担とする。

第1

勇実及び理由
請求

1
被告は,Cを営業してはならない。

2
被告は,インターネット上のブログ(URL:http://以下省略)に,オーダーを受けて作成した型紙及び洋服を公開してはならない。

3
第2

被告は,原告に対し,3000万円を支払え。
事案の概要
本件は,発明の名称を「上衣用原型の補正操作方法」とする特許権を有する原告が,婦人服の受注製作等の営業を行っている被告に対し,被告は,上記特許権に係る方法を使用し,ブログにおいて当該方法に係る技術を公開しているなどと主張して,特許権又は原告の技術を使用しない旨の合意に基づき,被告の営業並びにブログにおける型紙及び洋服の公開の停止を求めるとともに,上記特許権の侵害及び原告に対する名誉毀損等の不法行為に基づく損害賠償として3000万円の支払を求める事案である。
1
前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
当事者等

原告は,D市において,
「E」の名称で洋裁教室(以下「原告教室」とい
う。
)を開いている。


被告は,平成24年に原告教室に入会し,平成26年に原告教室を退会した。被告は,原告教室を退会した後,Fにおいて,
「C」
(以下「C」と
いう。
)の名称で洋裁教室を開講するとともに,婦人服や婦人服の型紙の受注製作の営業を行っている。


被告はブログを開設しており(URL:http://以下省略),当該ブログ
において,洋裁教室の様子や,被告が製作した洋服等を公開している。原告の特許権


原告は,以下の特許権(以下「本件特許権」という。また,その特許を「本件特許」といい,その特許出願の願書に添付された明細書及び図面を「本件明細書」という。
)を有している。
発明の名称
特許番号

第5403724号

出願日
平成25年8月6日
(特願2013-163337号)

登イ
上衣用原型の補正操作方法

録日
平成25年11月8日

本件特許権の特許請求の範囲請求項1~8の記載は,別紙のとおりである(以下,上記各請求項に係る発明を「本件発明」といい,本件発明に係る方法を「本件方法」と総称する。。

原告教室の会員規約


原告は,被告が原告教室に入会した後,原告教室の会員規約(甲2,43。
以下
「本件規約」
という。定めた。

本件規約は,
原告が案文を作成し,
被告がワープロソフトを用いて清書をしたものである。

本件規約には,以下の条項が設けられている(甲2,43)

「2.

技術習得過程に於いて技術指導及び自己教室での補正操作法使
用を禁止します。

4.

補正操作法技術をすべて習得した方に認定書をお渡しします。

5.

認定証授与者は補正操作法を営利目的であってもご自由にお使
いください。
(以下略)

8.

オーダーサロン主宰に於いては自由ですが,教室に関しては補
正操作法をアレンジして操作法,またその他の名前を使う事を禁
止します。

9.

補正操作法を全部使わなくても1カ所でも使用する事によって
特許に該当いたしますのでお気を付けください。


2
争点
被告による本件方法の使用の有無
原型の補正操作方法に係る原告の技術(以下「原告技術」という。)を使用
しない旨の合意の成否及び違反の有無
不法行為の成否(原告主張の被告行為の存否,違法性の有無等)
原告の損害額

3
争点に対する当事者の主張
争点

(被告による本件方法の使用の有無)について

(原告の主張)

被告は,
本件方法の使用の許諾を原告から得ていないのに,
Cにおいて,
本件方法を使用して生徒への指導や洋服及び型紙の製作を行っており,本件特許権を侵害している。


本件方法の特徴は,洋服の胸幅,背幅及び背肩幅を個人の採寸値に合わせることである。本件方法を使用せずに,胸幅,背幅及び背肩幅を個人の採寸値に合わせることは,
現在の日本の平面製図の技術では不可能であり,
立体裁断方式によっても不可能である。なお,本件方法は,採寸法も独自のものである。また,補正原型作成後の仮縫い時点で生じた不具合も,本件方法を使用しなければ修正できない。
被告がブログで公開している洋服に不具合がないのは,本件方法を使用しているためである。また,型紙を作るということは,個人の採寸値に合わせたものを作るということであり,本件方法を使用することが必要である。
被告のブログで公開されている洋服の写真を見ると,本件方法のうちの「内回転」操作等が用いられていることが明らかである。また,被告のブログには,
「補正原型を作って」「自分の体型を入れていかないと駄目」

などの記述や,被告が製作した洋服が体型に合っている旨の記載があり,これらは本件方法を使用していることを裏付けるものである。被告のブログで公開されているパターンの袖山点は,本件方法を使用した場合のものであるし,肩ダーツがないことや,ワンピースのウエストラインが水平になることは,本件方法の特徴である。
なお,本件発明は8つの発明を含むものであるが,被告は個人の体型に応じて8つの発明に係る技術を使い分けており,本件方法の全てを使用している。

被告は,本件方法以外にも原型の補正方法があるとして文献を証拠として提出する。しかし,そこに記載された技術は,現在は通用しないものであったり,初心者向きであったり,日本ではほとんど使用されていなかったり,バストが大きい人等には適用することができないものである。
(被告の主張)

被告は婦人服の受注製作を行っており,
パターンや型紙を作成し,
胸幅,
背幅及び背肩幅を注文者の体型に合わせた洋服を製作している。
しかし,被告は,本件方法を使用していない。本件発明は,上衣用原型の補正操作方法の発明であり,特許請求の範囲に規定された工程を有するものであって,個人の体型に応じた原型の補正を行う全ての行為を技術的範囲に含むものではない。

婦人服を仕立てるに当たり,原型を作成した上で,採寸及び採寸に基づいて原型の補正をすることは,本件特許が出願されるよりも前の公知文献(乙1,2等)にも記載された周知技術であり,胸幅,背幅及び背肩幅を注文者の体型に合わせることは普通に行われている。洋裁の基本的知識や技術を有する者であれば,本件発明によることなく婦人服の仕立てを行うことができる。
婦人服の仕立て方法としては,
他に立体裁断方式等もあり,
適宜の方式を選択すれば,オーダーメイドを行うことに支障はない。被告が採寸により個人の体型に合うように補正を行って洋服を製作したからといって,本件方法を使用したことにはならず,本件特許権を侵害したことにはならない。
ウエストラインが水平となるように補正することも,従前から普通に行われているものであるし,ウエストラインを水平にする方法が全て本件特許権の技術的範囲に含まれるわけではない。本件発明には袖山点に関する規定はないし,原告が主張する袖山点は,袖山を前ふりに取り付けるために前に移す印を付したものであり,本件方法とは関係ない。
被告はブログにおいてパターンを公開したことがあるが,被告が公開したパターンは本件発明とは無関係のものである。
争点

(原告技術を使用しない旨の合意の成否及び違反の有無)について
(原告の主張)

被告は,原告との間で,以下のとおり,原告技術を使用しない旨の合意をした。なお,原告技術とは,本件発明に係る技術(以下「本件特許技術」という。
)のことである。
平成26年頃,原告は被告を上野公園に呼び出し,原告技術を使用しないように警告をした。この際に,被告は原告との間で,近所づきあいの範囲内での使用を除き,原告技術を使用しない旨の合意をした。被告が原告教室に在籍していた当時,被告は原告との間で,原告技術を用いて教室を開講したり,原告技術をブログで公開したりしない旨の合意をした。
原告教室には本件規約が設けられている。本件規約は,被告が原告教室に入会した際には作成されていなかったが,原告はその内容を口頭で被告に伝達している。また,本件規約は被告が原告教室を退会する前までに作成されており,被告もその内容を認識していた。

被告は前記アの合意に反し,本件特許技術を使用してパターン等を製作し,ブログで公開するなどした。

(被告の主張)

被告は,原告との間で,洋服の製作や指導等の業務に関し,何らの合意もしていない。
被告が原告教室に入会した時には,本件規約は存在していなかった。被告は,原告教室に在籍していた際に,原告の作成した本件規約の案文をワープロソフトで清書したが,本件規約を承諾していない。


被告が本件特許技術を使用していないことは,前記

で主張したとおり

である。
争点

(不法行為の成否-原告主張の被告行為の存否,違法性の有無等)
について
(原告の主張)

被告は次のような行為に及んでいるところ,これらの行為は原告に対する不法行為に該当する。
被告のブログを原告から閲覧できないようにブロックした。
原告教室において,生徒の面前で原告をバカ呼ばわりした。
原告が考案した,原告教室内で使用するカーブルーラーを無断で写し取った。
原告教室に在籍している生徒に対し,原告の服に血が付いていたことを吹聴するなどして,退会を誘導した。
原告教室の生徒に対し,
「本件特許技術を二,三個使って何が悪い」

「あんな特許を使ってどこが悪い」という趣旨の発言をした。
原告に対し,友人を使って,原告教室の講師が臭いなどと記載した脅迫メールを送信した。

被告は,平成29年3月10日,被告のブログに「G市の「洋裁教室」なるものに通って作った物なんですけど,作品もダメで,大工事をした作品です。みなさまも「洋裁教室」で自称オートクチュールなるものの類似品にお気を付けくださいね。
」という記事を投稿した。
G市とはD市であり,D市オートクチュール洋裁教室をインターネット上で検索すると,原告教室が検索結果の一番上に表示される。被告は,原告について偽りの情報を公開し,業務を妨害したに等しいのであり,被告の上記行為は原告の名誉を毀損する不法行為に当たる。

(被告の主張)

被告は,原告が被告のブログ記事を批判する記事を自らのブログに毎日のように掲載するため,困惑し,原告に被告のブログが見えないようにしているだけであり,当該行為は不法行為に該当するものではない。原告教室において,原告をバカ呼ばわりしたことはない。
被告は,原告教室でDカーブルーラーを用いて試しに線を引いただけであり,その場で引いた線は消している。
原告の服に血が付いていたことについて原告教室の生徒間で話したことはあるが,退会を誘導したことはない。
原告教室の生徒に対し,
「本件特許技術を二,三個使って何が悪い」

「あんな特許を使ってどこが悪い」
という趣旨の発言をしたことはない。
被告が,友人を使って原告に脅迫メールを送信したことはない。

平成29年3月10日付けの被告ブログの記事は,洋裁教室で作成された服であるというだけでは信頼することができず,注意する必要があることを述べるにとどまり,G市の「洋裁教室」自体が問題であることを述べるものではないから,原告に対する名誉毀損とはならない。
争点

(原告の損害額)について

(原告の主張)
特許権侵害による損害及び前記

アの不法行為に基づく慰謝料の額は,合

計して500万円であり,同イの名誉毀損に基づく慰謝料の額は,2500万円である。
(被告の主張)
いずれも争う。
第3
1
当裁判所の判断
争点

(被告による本件方法の使用の有無)について
証拠(甲19,乙1~5,原告本人尋問の結果)によれば,以下の事実
が認められる。
原型とは,洋服を作製するための基本的な型であり,文化式新原型,文化式旧原型,ドレメ式原型など,複数の種類がある。例えば,文化式旧原型は,背丈及びバスト丈を個人の採寸値に合わせて作図する。上記原型を用いて個人の体型に合わせた型を作ることを原型の補正という。また,補正済みの原型を用いて洋服のデザインに合わせた製図を行い,これを切り抜いたものを型紙又はパターンという。
(甲19,
原告本人尋
問の結果)
原型の補正に関する技術は,昭和37年に発行された書籍を含め,洋裁に関する複数の書籍に記載がある。
(乙1~4)
本件特許権の特許請求の範囲請求項1~8の記載は別紙のとおりであり,
本件発明は,
いずれも,
上衣用原型の補正操作方法の発明であり,
上衣用原型を作図する工程のほか同原型を補正するための複数の工程を有する。
本件明細書には,
「本発明は,
個人の体型に対応した着心地のよい衣服
を得るための上衣用原型の補正操作方法に関する。より具体的には,本発明は,前後の襟ぐり幅寸法(襟みつ寸法)を個人の体型に対応した寸法にすることが可能で,肩ダーツなしでも個人の肩の丸みを出す作図をすることができ,平面製図であっても立体的な仕上がりを実現できる上衣用原型の個人対応補正操作方法に関する。(技術分野,段落【000」
1】,
)「<上衣用原型>

本発明では,まず,基本原型である上衣用原型

を作図する。上衣用原型としては,文化式原型(文化式旧原型,文化式新原型),ドレメ式原型などの平面裁断による原型や,立体裁断法による原型等の他の全ての原型を使用することができる。・
・・本発明では,
上衣用原型として,文化式旧原型に基づく原型(文化式旧原型をアレンジした原型)
を作図することで理解しやすくなる。

(段落
【0018】,

「本発明において,特に文化式旧原型に基づく原型を補正操作する場合には,
図8に示す寸法を採寸することが好ましい。
具体的には,
バスト,
背丈,前丈,後丈,胸幅,背幅,背肩幅,前B寸,及び後B寸の寸法を採寸することが好ましい。これらの寸法を用いて上衣用原型(特に文化式旧原型に基づく原型)を作図し,それを後述する実施形態に従って補正操作することで,個人の体型に対応した着心地のよい衣服を得ることができる。」(段落【0021】)との記載がある。
(甲19)
原告は,平成25年5月19日に日本家政学会において研究発表を行った。当該研究発表は,本件特許技術の一部に関するものであり,背幅や胸幅から個人に合った襟ぐり幅寸法(襟みつ寸法)等を得ることができる点に着目した原型の補正操作方法を紹介するものであった。なお,上記研究発表は,本件特許権との関係で特許法30条2項の新規性喪失の例外となるものである。
(甲19,乙5,原告本人尋問の結果)

以上の事実によれば,
本件発明は,
上衣用原型の補正方法の発明であり,
個人の体型に合う上衣を得るため,上衣用原型を作図する工程のほか,採寸値を一定の理論に基づく数式に当てはめるなどの所定の操作をすることによって同原型を補正する工程を有するものである。


原告は,被告が本件方法を使用して原型の補正を行い,型紙や洋服を製作したり,生徒を指導したりしていると主張するのに対し,被告は本件方法を使用したことを否認する。


前記のとおり,本件発明は,上衣用原型を作図する工程のほか,採寸値を一定の理論に基づく数式に当てはめるなどの所定の操作をすることによって同原型を補正する工程を有する方法の発明であり,本件特許権の請求項毎に当該請求項に記載された一連の複数の具体的な工程を有する方法の発明である。ここで,本件においては,本件特許権の各請求項に記載された原型を補正するための一連の複数の具体的な工程を被告が行っていることに関する具体的な主張立証はされていない。原告は,被告が本件方法のうちの「内回転」操作を用いているなどと主張するが,上記のとおり,本件特許権を被告が侵害していると主張するためには,請求項に記載された一連の複数の具体的な工程を被告が行っていることを主張する必要があるのであり,上記の主張では不十分というほかない。


原告は,①本件方法を使用しなければ個人の体型に合わせた衣服を製作することはできない,②被告がブログで公開している洋服に不具合がないのは本件方法を使用しているためであるなどと主張し,原告本人もこれと同旨の供述をしている。
しかし,上記①について,原告本人は,本件方法とそれ以外の個人の体型に合わせた衣服の製作方法の相違につき,本件方法以外では不具合が生じることや本件方法を使用して作成した洋服の着心地が良いことなどを供述するにとどまり,本件全証拠に照らしても,本件方法以外の方法では個人の体型に合った洋服の製作が不可能であることの具体的な根拠は明らかではない。そして,平面製図による原型の補正に限っても,種々の方法や考え方がある上(乙1~4)
,これらの補正方法に独自の工夫を施し
たり,仮縫い時の補正により体型に合わせたりすることも当然に可能であるといえる。したがって,個人の体型に合わせた衣服は,本件方法を使用しなければ作成することができないとは認められず,原告の上記主張によって,被告が本件方法を使用したと認めることはできない。
また,上記②についても,原型の補正に種々の方法があることや仮縫い時の補正も可能であるにもかかわらず,完成した洋服や当該洋服を着用した人物の写真から当該洋服の製作に際し本件方法が使用されたということができることを認めるに足りる具体的な主張立証はない。したがって,被告がブログで公開している洋服の写真等から,被告が洋服等の製作に当たり本件方法を使用していると認めることはできない。

原告は,被告のブログに「補正原型」等と記載されていること,被告が製作したパターンにおける袖山点は本件方法を使用した場合のものであること,被告が製作した洋服は肩ダーツがなく,ウエストラインが水平となっていることなどは,被告による本件方法の使用を裏付けるものであるなどとも主張する。
しかし,原型の補正方法が本件方法以外にも存在することは上記のとおりであるから,
「補正原型」等の文言を被告が使用したことをもって被告
が本件方法を使用したと直ちに認めることはできない。また,本件特許権の各請求項には袖山点に関する記載はなく,袖山点に関する原告の主張をもって被告が本件方法を使用したと認めることはできない。そして,本件方法以外には肩ダーツを入れない方法やウエストラインを水平とする方法が存在しないことを認めるに足りる証拠はない。

以上によれば,被告が洋服及び型紙の製作に当たり,本件特許権の各請求項に記載された具体的な各工程を個別に行ったと認めるに足りる証拠もなく,上記各請求項に記載された一連の複数の具体的な工程を有する本件方法を使用したと認めるに足りる証拠はない。したがって,被告による本件方法の使用に関する原告の主張は採用することができない。

2
争点

(原告技術を使用しない旨の合意の成否及び違反の有無)について
原告は,被告には原告技術を使用しない旨の合意の違反があると主張する。しかし,被告が本件発明の方法である本件方法を使用していると認めることができないことは前記1のとおりである。そして,合意により使用が禁じられている原告技術は本件発明に係る技術である本件特許技術であるというのであるから,本件方法を使用していない被告が本件特許技術を使用しているとは認められない。なお,本件方法は本件特許権の各請求項に記載された一連の複数の具体的な工程を有するものであるところ
(前記1

)原告が主張する合意


が上記工程に含まれる個別の工程についても使用を禁止する趣旨のものであるとしても,本件においては,被告が上記個別の工程を行っていると認めるに足りる証拠もない。したがって,原告主張の合意の成否等について検討するまでもなく,合意の違反に関する原告の主張は採用することができない。3
争点

(不法行為の成否-原告主張の被告行為の存否,違法性の有無等)に
ついて
原告は,被告が①ブログをブロックしたこと,②原告教室で原告をバカ呼ばわりしたこと,③カーブルーラーを無断で写し取ったこと,④他の生徒への退会誘導をしたこと,⑤原告教室の生徒に対し,「本件特許技術を二,三個
使って何が悪い」などと発言したこと,⑥友人を使って脅迫メールを送信したことは,原告に対する不法行為に当たると主張する。
しかし,被告はインターネットにおいてどの範囲の者に自ら作成した記事等を公開するかを決定することができるといえるから,上記①のブログのブロックは,直ちに原告に対する違法な行為となるものではなく,不法行為と評価されるものではない。また,上記④の退会誘導及び上記⑤の発言については,
被告がこれらの行為を行ったか否かという点をひとまずおくとしても,それら自体が直ちに原告の権利又は利益の侵害に当たるといえる事情はうかがわれない。そして,上記②の被告によるバカ呼ばわり,上記③のカーブルーラーの無断での写し取り及び上記⑥の脅迫メールの送信は,これらの事実を認めるに足りる証拠がない。なお,原告は脅迫メールを裏付けるものとして原告のウェブサイトに送られたというメール(甲99,100)を証拠として提出するが,被告が当該メールの送信に関与した事実を認めるに足りる証拠はない。
したがって,上記①から⑥までの行為が原告に対する不法行為に当たるとする原告の主張は,採用することができない。

証拠(甲60)によれば,被告は,平成29年3月10日,被告のブログにおいて,
「桜色のフード付きの気に入らないコートでお出かけ★フー
ドなので顔出ししちゃうね」という題名で,
「昔G市の「洋裁教室」なる
ものに通って作った物なんですけど,作品もダメで,教室を辞めてから大工事をした作品です。みなさまも「洋裁教室」で自称オートクチュールなるものの類似品にお気を付けくださいね。
」という記事(以下「本件記事」
という。
)を,写真とともに投稿したことが認められる。


原告は,本件記事は原告の名誉を毀損するものであると主張する。しかし,本件記事中の「G市」が「D市」を指すと推認することはできるとしても,
「洋裁教室」や「オートクチュール」などは一般的な用語であり,本件記事の記載内容のみからは,本件記事における「洋裁教室」が原告教室を指すと特定することは困難である。原告は,
「D市オートクチュール
洋裁教室」をインターネットで検索すると,原告教室が検索結果の一番上に表示されると主張する。しかし,本件記事を閲覧した第三者が本件記事中の「洋裁教室」を検索するに際し,上記のキーワードで検索をすることが一般的であるともいえない。また,D市にある洋裁教室や同市にあるオートクチュールに関わる洋裁教室が原告教室だけであることを裏付ける証拠はなく,これらの用語以外に本件記事の洋裁教室が原告教室を指すことを示す事情はないから,原告主張の事実が仮に認められたとしても,本件記事の洋裁教室が原告教室を指すと解することはできない。
そうすると,本件記事が原告の社会的評価を低下させるものと認めることはできないというべきであり,本件記事の投稿が原告に対する名誉毀損に当たるとは認められない。
4
以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求にはいずれも理由がないから,
これらを棄却することとして,
主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第46部

裁判長裁判官


裁判官


裁判官

大田明雅下義子良仁別紙
【請求項1】
上衣用原型を作図する工程と,
前記上衣用原型の後ウエストラインから後サイドネックポイントまでの寸法が後丈寸法と同一になるように,必要に応じて前記後サイドネックポイントを上方向に移動させて,バストラインの上部と下部の比率を変更する工程と,
前記上衣用原型のバックネックポイントからの寸法が(背肩幅寸法/2)であり,かつ前記上衣用原型の後中心線の最下部から斜め上方への寸法が(後B寸寸法+パット分)である後ショルダーポイントを決定する工程と,
前記後サイドネックポイントと前記後ショルダーポイントとを結んだ後肩線を引く工程と,
前記後ショルダーポイントから1cm内側に背幅線を引く工程と,前記後ショルダーポイントから後脇線の最上点までを,前記背幅線に接する凹部最深点を形成しつつ,つながりよく結んだ後袖ぐり線を引く工程と,(背幅寸法/2+1cm)が前記後袖ぐり線の凹部最深点から前記後中心線までの寸法より長い場合に,(背幅寸法/2+1cm)と,前記後袖ぐり線の凹部最深点から前記後中心線までの寸法との差分だけ前記後中心線を外側に移動させ,移動後のバックネックポイントからの寸法が(背肩幅寸法/2)となる位置まで後ショルダーポイントを後肩線に沿って移動させ,その移動により残った後肩線の長さをいせ分とする工程と
を有する上衣用原型の補正操作方法。
【請求項2】
上衣用原型を作図する工程と,
前記上衣用原型の後ウエストラインから後サイドネックポイントまでの寸法が後丈寸法と同一になるように,必要に応じて前記後サイドネックポイントを上方向に移動させて,バストラインの上部と下部の比率を変更する工程と,
前記上衣用原型のバックネックポイントからの寸法が(背肩幅寸法/2)であり,かつ前記上衣用原型の後中心線の最下部から斜め上方への寸法が(後B寸寸法+パット分)である後ショルダーポイントを決定する工程と,
前記後サイドネックポイントと前記後ショルダーポイントとを結んだ後肩線を引く工程と,
前記後ショルダーポイントから1cm内側に背幅線を引く工程と,前記後ショルダーポイントから後脇線の最上点までを,前記背幅線に接する凹部最深点を形成しつつ,つながりよく結んだ後袖ぐり線を引く工程と
を有する上衣用原型の補正操作方法。
【請求項3】
上衣用原型を作図する工程と,
前記上衣用原型の前サイドネックポイントからの寸法が後サイドネックポイントから後ショルダーポイントまでの寸法と同一であり,かつ前記上衣用原型の前中心線の最下部から斜め上方への寸法が(前B寸寸法+パット分)である前ショルダーポイントを決定する工程と,
前記前サイドネックポイントと前記前ショルダーポイントとを結んだ前肩線を引く工程と,
前記前ショルダーポイントから前脇線の最上点までをつながりよく結んだ前袖ぐり線を引く工程と,
(胸幅寸法/2+1cm)が前記前袖ぐり線の凹部最深点から前記前中心線までの寸法より短い場合に,前記前袖ぐり線の凹部最深点から前記前中心線までの寸法が(胸幅寸法/2+1cm)となるように,前記上衣用原型のバストポイントを中心に前記上衣用原型を内側に回転させる工程と,
回転させた前記上衣用原型の前襟ぐり線及び前肩線をなぞって,それぞれ最終的な前襟ぐり線及び前肩線とする工程と,
回転させた前記上衣用原型の前袖ぐり線のうち前記前ショルダーポイントから前記前袖ぐり線の凹部最深点までをなぞるとともに,前記前袖ぐり線の凹部最深点から回転を戻した前脇線の最上点までをつながりよく結んで,最終的な前袖ぐり線とする工程と
を有する上衣用原型の補正操作方法。
【請求項4】
上衣用原型を作図する工程と,
前記上衣用原型の前サイドネックポイントからの寸法が後サイドネックポイントから後ショルダーポイントまでの寸法と同一であり,かつ前記上衣用原型の前中心線の最下部から斜め上方への寸法が(前B寸寸法+パット分)である前ショルダーポイントを決定する工程と,
前記前サイドネックポイントと前記前ショルダーポイントとを結んだ前肩線を引く工程と,
前記前ショルダーポイントから前脇線の最上点までをつながりよく結んだ前袖ぐり線を引く工程と,
(胸幅寸法/2+1cm)が前記前袖ぐり線の凹部最深点から前記前中心線までの寸法より長い場合に,前記前袖ぐり線の凹部最深点から前記前中心線までの寸法が(胸幅寸法/2+1cm)となるように,前記上衣用原型のバストポイントを中心に前記上衣用原型を外側に回転させる工程と,
回転させた前記上衣用原型の前袖ぐり線のうち前記前ショルダーポイントから前記前袖ぐり線の凹部最深点までをなぞるとともに,前記前袖ぐり線の凹部最深点から回転を戻した前脇線の最上点までをつながりよく結んで,最終的な前袖ぐり線とする工程と
回転させた前記上衣用原型の前肩線をなぞって,最終的な前肩線とする工程と,回転させた前記上衣用原型の前サイドネックポイントから回転を戻したフロントネックポイントまでをつながりよく結んで,最終的な前襟ぐり線とする工程とを有する上衣用原型の補正操作方法。
【請求項5】
上衣用原型を作図する工程と,
前丈寸法が前記上衣用原型の前サイドネックポイントから前ウエストラインまでの寸法より短い場合に,前丈寸法と,前記上衣用原型の前サイドネックポイントから前ウエストラインまでの寸法との差がなくなるまで前サイドネックポイントを下方向に移動させるとともに,移動させた前サイドネックポイントからフロントネックポイントまでをつながりよく結んで,前袖ぐり線とする工程と
移動させた前サイドネックポイントからの寸法が後サイドネックポイントから後ショルダーポイントまでの寸法と同一であり,かつ前記上衣用原型の前中心線の最下部から斜め上方への寸法が(前B寸寸法+パット分)である前ショルダーポイントを決定する工程と,
前記前サイドネックポイントと前記前ショルダーポイントとを結んだ前肩線を引く工程と,
前記上衣用原型の前サイドネックポイントから移動させた前サイドネックポイントまでの高さの差の1/2だけ前脇線の最上点を下げるとともに,その下げた分だけ胸ぐせ寸法を短くする工程と,
前記前ショルダーポイントから前記前脇線の最上点までをつながりよく結んだ前袖ぐり線を引く工程と
を有する上衣用原型の補正操作方法。
【請求項6】
上衣用原型を作図する工程と,
前丈寸法が前記上衣用原型の前サイドネックポイントから前ウエストラインまでの寸法より短い場合に,前丈寸法と,前記上衣用原型の前サイドネックポイントから前ウエストラインまでの寸法との差分だけ前ウエストライン及び後ウエストラインを上げる工程と,
後原型をバストラインより上方で切り離して分割し,その上部を後袖ぐり線上の点を中心に回転させて,後ウエストラインを上げた分だけ後中心線を切り開く工程とを有する上衣用原型の補正操作方法。
【請求項7】
上衣用原型を作図する工程と,
前丈寸法が前記上衣用原型の前サイドネックポイントから前ウエストラインまでの寸法より長い場合に,1cmだけ前サイドネックポイントを下方向に移動させるとともに,移動させた前サイドネックポイントからフロントネックポイントまでをつながりよく結んで,前袖ぐり線とする工程と
移動させた前サイドネックポイントからの寸法が前記前丈寸法と同一になるように,前記前ウエストラインを下げる工程と
移動させた前サイドネックポイントからの寸法が後サイドネックポイントから後ショルダーポイントまでの寸法と同一であり,かつ前ウエストラインとともに下げられた前中心線の最下部から斜め上方への寸法が(前B寸寸法+パット分)である前ショルダーポイントを決定する工程と,
前記前サイドネックポイントと前記前ショルダーポイントとを結んだ前肩線を引く工程と,
前脇線の最上点を2cm上げて,それに合わせてつながりよく結んだ前袖ぐり線及び後袖ぐり線を引き直す工程と
を有する上衣用原型の補正操作方法。
【請求項8】
上衣用原型を作図する工程と,
後原型をバストラインより上方で切り離して分割し,
その上部を後袖ぐり線上の点を中心に回転させて,1.5cmだけ後中心線を切り開く工程と,
後ウエストラインを1.5cmだけ上げる工程と
を有する上衣用原型の補正操作方法。

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