判例検索β > 平成27年(ワ)第1185号
損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟
事件番号平成27(ワ)1185
事件名損害賠償請求事件
裁判年月日平成29年8月28日
法廷名大阪地方裁判所
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平成29年8月28日判決言渡

同日原本交付

平成27年(ワ)第1185号

損害賠償請求事件

口頭弁論終結日

裁判所書記官

平成29年6月12日
判原告

株式会社アジャックス

同訴訟代理人弁護士

三山峻司同清原直己
同訴訟復代理人弁護士

矢倉雄太被
株式会社カイタックファミリー


同訴訟代理人弁護士

植田昌吾同佐竹哲児主1文
請求の趣旨第1項に係る請求について

(1)被告は,原告に対し,177万1628円及びこれに対する平成27年7月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)原告のその余の請求を棄却する。
2
請求の趣旨第2項に係る請求について
(1)原告の主位的請求を棄却する。

(2)被告は,原告に対し,31万円及びこれに対する平成27年12月4日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

3
訴訟費用はこれを16分し,その15を原告の負担とし,その1
を被告の負担とする。

4
この判決の第1(1)項及び第2(2)項は,仮に執行することができる。
事実及び理由

第1

請求の趣旨
1
被告は,原告に対し,3150万円及びこれに対する平成27年7月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2(1)主位的請求
被告は,原告に対し,181万円及びこれに対する平成27年2月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(2)予備的請求
被告は,原告に対し,31万円及びこれに対する平成27年12月4日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
34
仮執行宣言

第2

事案の概要

1
訴訟費用は被告の負担とする。

請求の要旨
本件は,後記の特許権及び商標権を有し,被告との間で当該特許発明の実施品の継続的売買契約及び当該商標権の使用許諾契約を締結していた原告が,
被告に対し,(1)平成18年11月頃から平成23年1月頃にかけて被告が輸入,販売したパジャマの中には,当該発明の技術的範囲に属するウエストゴムを原告から買い受けることなく使用したものがあると主張して,不当利得に基づき3150万円の利得返還及びこれに対する平成27年7月3日(平成27年7月1日付け訴え変更申立書の送達の日の翌日)から支払済みまで
民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め(請求の趣旨第1項),(2)被告は,平成25年頃から平成26年頃にかけて,パジャマを販売するに当たり,商標使用許諾契約の約定に違反する態様で,上記商標権に係る登録商標と同一又は類似の標章を下げ札に付して販売したと主張して,①主位的に商標権侵害の不法行為に基づき,181万円の損害賠償及びこれに
対する平成27年2月19日(本件訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め(請求の趣旨第2(1)項),②予備的に商標使用許諾契約の債務不履行に基づき,31万円の損害賠償及びこれに対する平成27年12月4日(平成27年11月30日付け訴え変更申立書の送達の日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め(請求の趣旨第2(2)項)た事案である。2
前提事実(当事者間に争いがないか,後掲証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお,本判決における書証の掲記は,枝番号の全てを含むときはその記載を省略する。)
(1)当事者

原告は,主に衣料用繊維製品の製造販売,衣料用繊維製品及び衣料用附属品の卸販売等の事業を行う株式会社であり(甲1),衣類に用いる
ウエストゴムの開発,製造及び販売を行っている。

被告は,各種衣料製品の企画,販売並びに輸出入,各種衣料品の製造販売を事業として行っている株式会社である(甲2)。

(2)原告の有する特許権(甲5)
原告は,以下の特許に係る特許権(以下「本件特許権」といい,その発明を「本件発明」,その特許出願の願書に添付された明細書及び図面をまとめて「本件明細書」という。)を有する。
特許番号
発明の名称

環状帯体

原出願日

平成15年6月3日

出願日

平成16年4月26日

登録日

第3564473号

平成16年6月11日

特許請求の範囲
【請求項1】
帯体の両端を接続して成る環状帯体であり,上記環状帯体の環状内に被締結物を挿通し,上記環状帯体は上記被締結物が着用する衣類の筒状部に挿入されており,上記帯体は縦糸と横糸との織物または編物にて成り,上記帯体の裏面は平坦にて成り,表面には複数の略矩形形状の凸部を長手方向に間隔を隔てて複数個備え,かつ,上記凸部はその帯体幅方向の一対の幅方向端辺が上記長手方向にて平行と成るようにそれぞれ配設され,かつ,上記凸部は厚み方向に伸縮する伸縮性を有し,かつ,上
記帯体は長手方向において伸縮して上記被締結物を締結することを特徴とする環状帯体。
【請求項2】
上記帯体の凸部は,上記縦糸および横糸の表面浮き上がり部を,上記帯体の凸部以外の箇所より多く連続させることにより形成されているこ
とを特徴とする請求項1に記載の環状帯体。
【請求項3】
上記縦糸はポリエステル材,および/またはナイロン材とゴム材とにて成り,上記横糸はポリエステル材,またはナイロン材にて成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の環状帯体。

(3)原告の有する商標権(甲6及び7)
原告は,以下の商標登録に係る商標権(以下「本件商標権」といい,これに係る登録商標を「本件商標」という。)を有する。
登録番号
出願日

平成24年7月4日

登録日

平成24年12月21日

指定商品

第24類

登録商標

第5545848号

ワッフルゴム(標準文字)

被覆ゴム糸織物

(4)原告と被告との間の取引等

原告と被告は,平成15年頃から,本件発明の実施品(以下「ワッフ
ルゴム」という。)について,継続的に売買取引を行い(乙1),被告は,南通近江时装有限公司(以下「南通近江」という。)等の中国の縫製工場に,原告から仕入れたワッフルゴムを用いたパジャマ等の製造を委託し,製造された商品を輸入して日本国内で販売してきた。

その後,本件商標権とは別の原告の商標登録第4737615号に係る商標権等を対象として,原告,被告及び株式会社協同(以下「協同」という。)の三者間での知的財産権使用許諾契約(平成23年6月27日付け,乙6)及び原告と被告の二者間での売買基本契約(平成24年2月17日付け,乙7)が締結され,後者について本件商標権の使用許諾が含まれた。

これらに基づき,被告は,原告から仕入れたワッフルゴムを使用した商品には,別紙「下げ札図面」記載1の原告下げ札を使用してきた(乙11)。

被告は,平成18年頃から平成23年頃にかけて,別紙「被告商品目録」記載1(1)の品番の商品(以下「被告商品1(1)」という。)のうち
少なくとも別紙「被告販売主張商品目録1」記載の品番の商品(以下「被告販売主張商品1」という。)及び別紙「被告商品目録」記載1(2)の品番の商品(以下「被告商品1(2)」という。)を輸入,販売した。この間,平成17年又は平成18年頃及び平成22年頃,被告が製造を委託した中国の工場において,ワッフルゴムを原告から仕入れずに無
断で製造して被告の商品を製造したことが発覚し,調査も行われたが,原告と被告との取引関係はそのまま継続した。

被告は,平成25年から平成26年にかけて,別紙「被告商品目録」記載2の品番の商品(以下「被告商品2」という。)のうち少なくとも
別紙「被告販売主張商品目録2」記載の品番の商品(以下「被告販売主張商品2」という。)について,その下げ札(メリットタグ)に別紙「被告標章目録」の標章を使用した別紙「下げ札図面」記載2の被告下げ札を付したものを輸入して販売した。

被告の商品に付された品番は,左から3桁目が商品を販売する西暦の下一桁を示し,左から4桁目が商品を販売するシーズンを示しており,後者については,「1」が梅春物,「2」が春物,「3」が夏物,
「4」が盛夏物,「5」が秋物,「6」が冬物を示している。
カ3
原告と被告との取引関係は,平成26年10月31日に終了した。
争点
(1)特許権関係


不当利得の成否
被告商品1(1)(2)のパジャマが被告が輸入,販売したもので,それらに使用されたウエストゴムが,原告から仕入れたものでなく,本件発明の技術的範囲に属するものか(争点1)

イウ
被告の利得又は現存利益の有無(争点3)


被告は悪意の受益者か(争点4)


原告による実施許諾の有無(争点2)

不当利得額(争点5)

(2)商標権関係

商標権侵害の成否
(ア)被告が被告下げ札を使用した商品を販売したことによる本件商標権
の侵害行為の成否(争点6)
(イ)商標権侵害による損害額(争点7)

債務不履行の成否
(ア)被告が被告下げ札を使用した商品を販売したことによる債務不履行
の成否及び被告の帰責事由の有無(争点8)
(イ)債務不履行による損害額(争点9)
第3
1
争点に関する当事者の主張
争点1(被告商品1(1)(2)のパジャマが被告が輸入,販売したもので,それらに使用されたウエストゴムが,原告から仕入れたものでなく,本件発明の技術的範囲に属するものか)について

【原告の主張】
(1)原告と被告との間の取引では,中国の工場で使用するワッフルゴムについて,被告と南通近江等との契約番号を記載した製造契約番号一覧表を送付することで,原告に使用量を示すこととなっていた。他方,南通近江等は,ワッフルゴムを原告の中国事務所に注文書の形で発注し,その注文書
には使用する商品の品番及び数量が記載されており,原告がワッフルゴムの製造を委託している福建百宏集団に対してその製造と出荷を発注し,その注文書に記載のとおりに,福建百宏集団が南通近江等にワッフルゴムを納入していた。
(2)被告商品1(1)について(南通近江関係)


被告商品1(1)は,被告から原告に送られてきた製造契約番号一覧表(甲9,11,12及び21)に記載されている品番に含まれている。したがって,それらは被告が実際に販売した商品である。


しかし,被告商品1(1)は,製造契約番号一覧表に記載されていながら,南通近江から原告の中国事務所に対して注文がなされていないものであ
る(南通近江からの注文は甲15,23が全てである。)。したがって,被告商品1(1)は,福建百宏集団以外から買い受けた偽物のワッフルゴムを使用しているものである。被告は,原告が,厦門宏大鑫茂発展有限公司(以下「厦門宏大」という。)からワッフルゴムを仕入れるよう指示したと主張するが,否認する。

実際,原告はワッフルゴムの品質基準について伸び率を2.7倍としているところ,被告商品1(1)(2)のうち現物が確認できたものに使用されたウエストゴムは,伸び率が2.1倍や2.3倍にとどまっている。被告は,それらの現物は時間の経過により劣化したものであると主張するが,劣化によってゴムの伸び率が低下するのは,ゴムが緩んで伸びた状態になった場合以外は考え難いところ,上記の現物はそのような状態ではないから,伸び率の低下はゴムの劣化によるものではない。


被告商品1(1)は,本件発明の技術的範囲に属する。
(ア)被告販売主張商品1について
被告商品1(1)のうち,現物がある番号225(17023HJ)は,被告の従業員から偽物として交付されたものであり,ゴムの伸び率も
約2.3倍であるから,偽物であり,その形状から本件発明の技術的範囲に属する。そして,これは,被告販売主張商品1の品番でもあり,被告は検品もしているから,被告販売主張商品1(別紙「被告商品整理表」の「乙号証記載の品番」欄及び「乙号証記載のもの」欄参照)は,すべて本件発明の技術的範囲に属するものである。

(イ)被告販売主張商品1以外の商品について

被告商品1(1)のうち,現物がある番号272(17731UU)は,ゴムの伸び率が約2.3倍であるから,偽物であり,その形状から本件発明の技術的範囲に属する。そして,これは被告販売主張商品1の品番ではないから,同じ南通近江が製造した被告商品1(1)で被告販売主張商品1でないものは,全て本件発明の技術的範囲に
属するものである。

そうでないとしても,少なくとも次のとおりである。
(a)被告商品1(1)のうち,上記番号225(17023HJ)と同時期の2010年春物の商品,番号272(17731UU)と

同時期の2007年夏物の商品は,本件発明の技術的範囲に属す
るものである(別紙「被告商品整理表」の「2007年夏物」欄
及び「2010年春物」欄参照)。
(b)被告が販売を否認する乙4の商品のうち乙4の3,4,9及び10の商品は,商品台帳上,本件特許権の番号が記載されている
から,被告が現に販売したものであり,かつ,本件発明の技術的
範囲に属するものである(別紙「被告商品整理表」の「乙4,乙
12,乙15との対応」欄参照)。
(c)平成22(2010)年度において,被告がワッフルゴムを使用した数量は,合計約327万5220mである(甲14)のに
対し,原告が南通近江等に出荷したワッフルゴムの出荷総量は2

35万1528mであり(甲20,22),差が約93万mもあ
るから,同年度において被告はそれだけの偽物のワッフルゴムを
使用している。したがって,被告商品1(1)のうち,平成22年度に販売されたものには,本件特許権の侵害品を使用した商品を販
売していたと考えるのが自然である(別紙「被告商品整理表」の

「2010年度」「製造契約一覧表の数量」欄参照)。平成23
年3月3日付けの南通近江作成の文書(甲8)でも,コストダウ
ンの方法として安い工場から74万mのワッフルゴムを購入した
と認めている。
(d)南通近江の平成22年5月18日付の注文(甲23)について,
原告は,南通近江が代金支払いを怠ったので,出荷を停止し,8月に出荷した。同注文に係る品番のうち「319620E」,「3096PU」,「30963PU」及び「30965PD」以外は,夏物又は盛夏物であるから,これら品番に上記の8月出荷のワッフルゴムを使用することは不可能である。したがって,上記注文分の
うち上記の4品番を除くものは,全て偽物のワッフルゴムが使用されたものである。また,上記4品番については,2009年の品番であり,平成22年度の注文としてはあり得ないから,それらについても本件特許権の侵害品が使用されたものである。
(e)被告は,原告に対し,平成18年6月23日付けで,ワッフルゴムの偽物を郵送し(甲27),同月20日付けで関係者に対し,南通地区にて添付の偽ワッフルゴムが出回っているとの文書を配布し
たことから,被告商品1(1)で平成18年当時に南通近江で製造されたもの(被告商品(1)の番号15~18,123~136,208~210,213,333~339,418,435,447)は,本件特許権の侵害品を使用したものである(別紙「2006年度品番」参照)。

(3)被告商品1(2)について(南通近江以外関係)

被告商品1(2)は,被告の下請縫製会社が南通恒祥,南通財通及び維坊和誠であるものである。これらは,販売された現品が存在しており,被告が実際に販売した商品であり,その形状から本件発明の技術的範囲に属するものであるが,製造契約番号一覧表に記載すらなく,発注もなく,
ゴムの伸び率も約2.1から2.3であるから,偽物のワッフルゴムを使用しているものである。

被告は,41713Pについてアシュレイに委託した商品で許諾品であると主張するが,製造契約番号一覧表にすら記載がないから,許諾品ではない。また,被告は,同商品については原告との協議で解決済みで
あると主張するが,同商品は当時の協議の対象となったものではない(甲24)。
【被告の主張】
(1)被告商品1(1)について

原告と被告との取引では,平成17年又は平成18年頃,被告が製造を委託した中国の工場において,無断でワッフルゴムに類似するゴムを用いて被告の商品を製造していたことが発覚したが,そのときは,原告と被告との協議により,製造された商品に「ワッフルゴム」と表示したメリットタグを付けずに販売することとされた。また,平成22年5月頃,南通近江が製造した商品に偽物のワッフルゴムが使用されているとの原告の指摘を受け,平成23年2月に原告と被告の関係者が現地の工場に集まって共同調査をしたが,時期や数量,製造プロセスは明らかにならなかった。そのため,原告の主張のように,平成18年11月頃から平成23年1月頃までの間に被告が販売した商品に偽物のワッフルゴムが混入したという確証はない。


被告商品1(1)のうち,被告が南通近江に対してワッフルゴムの使用を指示して製造を委託し,実際に輸入,販売した商品は,被告販売主張商品1(乙2,12及び15の商品台帳があるもの)のみである。
原告の主張(1)及び(2)アのうち,被告が原告に対して,原告が製造契約番号一覧表と呼ぶシーズン計画表を送付していたことは認めるが,それはワッフルゴムを使用する予定の商品の品番を送付したものにすぎず,
販売までにモデル変更や販売取りやめなどを行ったものが多々ある。実際,乙4の商品台帳の商品は,被告商品1(1)の品番でありながら,予定を変更してセパレーツゴムを使用して販売しており,ワッフルゴムは使用していない。また,被告商品1(1)のうち,上記被告販売主張商品1(乙2,12及び15)及び乙4の商品以外の商品台帳等の資料は,本
件訴訟が提起されるまでに5年以上が経過したことや,被告の婦人服販売部門が平成22年8月に移転したことで資料を廃棄したことから,存在していない。

被告は,ワッフルゴムを使用する商品については,南通近江に対し,原告から指示のあった厦門広大又は宏明興内衣有限公司(以下「宏明興内」という。)からワッフルゴムを仕入れるよう明確に指示して発注していた。
被告商品1(1)について原告が発注の有無の根拠とする甲15及び23は,甲15の46及び47,甲23には「入力済み」の判が押されておらず,原告の中国事務所では商品管理が厳格にできていないから,正確でない。

原告は,ゴムの伸び率を根拠に偽物との主張をするが,品質として設定するゴムの伸び率は一定範囲のものとしている上,ゴムの伸び率は経年劣化により低下するものであり,原告が確認した現物はいずれも製造から10年以上が経過しているものであるから,ゴムの伸び率の点は偽物の根拠とならない。


被告商品1(1)について,被告はその製造に関与していないから,それらが本件発明の技術的範囲に属するか否かは知らない。
原告は,甲20及び22に基づいて,被告商品1(1)のうち,平成22年度に販売されたものが本件特許権の侵害品を使用したものであると主張するが,上記のとおり原告の中国事務所では商品管理が厳格にできて
いないから,甲20及び22は正確でない。
原告は,南通近江からの平成22年5月18日付けの注文(甲23)に対する出荷を8月としたことから,被告商品1(1)のうち同注文に係るものは本件特許権の侵害品を使用したものであると主張するが,原告側は,南通近江の注文に対し,それよりも多い数量を何度も出荷していた
ため,南通近江には相当程度の余剰分があったから,1回分の出荷が停止されたために商品を製造できないということはなく,原告の主張は理由がない。
(2)被告商品1(2)について

これらは被告が輸入,販売したものであるが,原告には投入予定を知らせている。

41713P(南通材通)について
これは,平成19年の梅春物であり,平成18年10月頃に,当時取引に介在していた商社のアシュレイを通じて製造の委託をしたものである。そして,アシュレイの関係では,同年頃に偽物の存在が発覚したが,市場に出回る前であったことから,原告と協議し,「ワッフルゴム」と
のメリットタグを付さずに流通させることで合意し,解決したものである(乙16)。確かに甲24には本品番が記載されておらず,かなり古い話であるので被告としても調査が完了できていない状況であるが,アシュレイに関する問題が発生したのは1度きりであり,かつ,41713Pの商品は甲24記載の商品と同時期に製造されたものであることか
らすれば,同商品は平成18年に被告の許可を得て販売したものとしか考えられない。

12531PZ(南通恒祥),386325P(維坊和誠)についてこれらもかなり以前の話であり,被告に資料が残存していないため詳
細は不明であるが,南通恒祥及び維坊和誠の商品については,これまで被告との間で一度も問題になったことはなく,また,平成17,18年頃に問題が発生した際,被告は小売店に販売済みの商品も含めて偽物のワッフルゴムの混入がないか調査したところ,アシュレイを通じて製造されたもの以外に問題がある商品は発見されなかったことからすれば,
上記2社が製造した商品に偽物のワッフルゴムが混入していたものとは到底考えられない。
そもそも,これら商品は平成17年ないし平成18年に製造されたものであり,当時,原告と被告は中国の工場で為されたワッフルゴムの製造について何度も協議を重ねていたのであるから,上記2社の製品につ
いて偽物の混入の事実があれば,いずれかの時点で原告が問題としていたはずである。実際,平成23年2月の時点において,南通近江以外に今回のような不正が無かったことは原告自身が自認している(乙17)。したがって,これら2商品については,偽物でない。
2
争点2(原告による使用許諾の有無)について
【被告の主張】
被告は,原告との間で,平成15年7月1日,本件特許権の使用許諾を含
むワッフルゴムの継続的売買契約を締結した(乙1)。
【原告の主張】
否認する。乙1の契約は,単なる売買契約であり,本件特許権の使用許諾を内容とするものではない。
3
争点3(被告の利得又は現存利益の有無)について
【原告の主張】
被告は,本件特許権の侵害行為を行うに当たり,本来原告に支払うべき実施許諾の対価の支払を免れた利得を得ている。
被告が南通近江等に対して正規の代金を支払っているとしても,本件特許権の実施料相当額を支払ったとはいえないし,被告は南通近江に対して不当
利得返還請求権を有しているから,被告は実施料相当額の現存利益を有する。【被告の主張】
仮に原告に損失が発生しているとしても,被告は,ワッフルゴムを使用するよう指示して発注した商品について,南通近江等に対し,ワッフルゴムの仕入代金も含めた代金を支払っているから,被告にそもそも利得はなく,ま
た現存利益もない。
4
争点4(被告は悪意の受益者か)について
【原告の主張】
被告は,本件特許権が原告に帰属していることを知っており,平成23年
1月までに,被告商品1(1)(2)に原告の無許諾品であるワッフルゴムが使用されていることを知った。
【被告の主張】
被告が,原告が本件特許権を有することを知っていたことは認め,その余は否認する。
5
争点5(不当利得額)について
【原告の主張】
(1)被告商品1(1)(2)全体に関する主張
被告は,平成18年11月頃から平成23年1月頃にかけて,被告商品1(1)(2)を少なくとも合計108万着,21億円で販売し,それにより得た利益は6億3000万円を下らない。これにより,被告は,少なくとも
3150万円の実施料相当額の不当利得をした。
(2)被告販売主張商品1に関する主張

特許権侵害における不当利得額は,実施許諾の対価として算定すべきである。そして,被告販売主張商品1の売上数は33万1900着,売上高は4億0585万9650円であるところ,被告の商品に対するワッフルゴムの寄与度を50%,実施料率を6%とするのが相当であるか
ら,これらを乗じると,不当利得額は1217万5789円となる。イ
被告は,原告の損失額は,被告が乙1の契約どおりに原告側からワッフルゴムを仕入れていた場合の原告の得べかりし利益の額を超えないと主張するが,実施品の売買契約を別に締結しているからといって,債務
不履行の場合とは異なる特許権侵害の場合に,使用許諾をしていた場合の実施料相当額を算定するに当たり,売買代金額は基準となるものではなく,そのように解することは不当に特許権侵害者を利する結果となる。【被告の主張】
(1)被告商品1(1)(2)全体に関する主張について

争う。
(2)被告販売主張商品1に関する主張について
平成18年から平成23年当時,被告は,原告からワッフルゴムを購入することを条件に本件発明の実施許諾を受けており(乙1),同契約では,原告はワッフルゴムを被告以外の他社に販売しないこととされており,平成18年頃や平成23年頃に本件の偽造問題が発覚した後も取引は継続してきたのであるから,原告が,被告に対するワッフルゴムの販売利益を超
える実施許諾料を得ていた可能性がない。
したがって,原告の損失額は,仮にあるとしてもワッフルゴムの販売利益とすべきである。そして,原告の被告に対するワッフルゴムの販売単価は1m当たり1.3元であり,為替レートは1元=14円であり,1着当たりのワッフルゴムの使用量は0.63mを下らず,原告の利益率は多く
とも20%であるから,被告主張商品の販売数を33万1950着とすると,原告の得べかりし販売利益は,76万1230円(≒1.3×14×0.63×331,950×0.2)を超えない。
6
争点6(被告が被告下げ札を使用した商品を販売したことによる本件商標権の侵害行為の成否)について
【被告の主張】
被告は,本件商標権について原告から使用許諾を受けて,ワッフルゴムを原告から仕入れ,これを用いたパジャマ等の商品を,別紙下げ札図面の原告下げ札を付して販売してきたところ,被告販売主張商品2ないし被告商品2
は,原告から仕入れたワッフルゴムを使用した商品であり,被告は,これに原告下げ札と同一内容の被告下げ札を付した商品を販売したにすぎないから,商品の出所の混同が生じるおそれはなく,せいぜいロイヤリティ不払の債務不履行が問題となるにすぎない。
したがって,商標権侵害は成立しない。

【原告の主張】
被告が被告商品2を販売するに当たり,原告下げ札ではなく,被告下げ札を付して販売することは,使用許諾の範囲を超えるものであるから,商標権侵害を構成する。
7
争点7(商標権侵害による損害額)について
【原告の主張】
被告は被告下げ札を付した被告商品2を31万着,1着当たり1950円
を下らない金額で販売したから,それにより原告が受けた損害は181万円を下らない。
【被告の主張】
被告下げ札を付した商品で被告が販売したものは,被告販売主張商品2であり,その余は争う。

8
争点8(被告が被告下げ札を使用した商品を販売したことによる債務不履行の成否及び被告の帰責事由の有無)について
【原告の主張】
被告は,原告との間の平成24年2月17日付け売買基本契約(乙7)に
おいて,原告から納入を受けたワッフルゴムを用いた商品を販売する際に,原告から購入したメリットタグを使用する義務を負っている。しかし,被告は,本件商品2を販売するに当たり,原告から購入したメリットタグを使用しなかったから,これは,被告による債務不履行を構成する。被告の無過失(帰責事由不存在)の主張は争う。

【被告の主張】
被告は,前提事実(4)イの知的財産権使用許諾契約(平成23年6月27日付け,乙6)及び売買基本契約(平成24年2月17日付け,乙7)により,本件商標権の使用許諾を受けていたところ,後者は,被告が,原告から仕入れたワッフルゴムそのものを他社に販売する場合を想定した売買契約書であ
り,本件のように,被告がワッフルゴムを使用した商品を販売する際は,被告は前者の知的財産権使用許諾書記載の義務を負うにすぎない。したがって,被告は,協同を通じてメリットタグを仕入れれば足りるところ,被告は,被告販売主張商品2ないし被告商品2の製造を委託していた南通新恒祥に対して,メリットタグについて協同から仕入れるよう明確に指示を出していた(乙5)にもかかわらず,南通新恒祥は被告に無断で自社で製造した被告下げ札を被告商品2に付してしまったのであり,被告下げ札は原告下げ札と全
く同一のものであったことから,被告が検品した際に原告の指定のものでないと発見することができなかったものであり,被告には何ら過失がなく,債務不履行責任を負わない。
9
争点9(債務不履行による損害額)について
【原告の主張】

原告と被告との間では,原告が被告に対してメリットタグを有償交付するに際して,1枚当たり1円のロイヤリティを支払うこととなっていた。被告は,被告商品2を合計31万枚販売したから,債務不履行に係る原告の損害は31万円である。
【被告の主張】

争う。
第4
1
当裁判所の判断
争点1(被告商品1(1)(2)のパジャマが被告が輸入,販売したもので,それらに使用されたウエストゴムが,原告から仕入れたものでなく,本件発明
の技術的範囲に属するものか)について
(1)本件発明の意義について
本件明細書(甲5)によれば,本件発明は,①例えば,ウェスト部に用いることができる環状帯体に関するものであり(【0001】),②従来技術には,帯ゴム体の中央部の長手方向に間隔を隔てて複数の開口部を備
え,その開口部にボタンなどを通して長さを調整する調整機能付きゴム紐があるが,それには,開口部が形成されていることにより調整機能付きゴム紐が挿入されるウェスト部の筒状部内において,このゴム紐がその開口部が折れ目となって折れ曲がり,衣服の着用時に不快感が生じるという問題点があったことから,(【0004】【0005】),③帯体の両端を接続して成る環状帯体であり,環状帯体の環状内に被締結物を挿通し,環状帯体は被締結物が着用する衣類の筒状部に挿入されており,帯体は縦糸と横糸との織物または編物にて成り,帯体の裏面は平坦にて成り,表面には複数の略矩形形状の凸部を長手方向に間隔を隔てて複数個備え,かつ,凸部はその帯体幅方向の一対の幅方向端辺が長手方向にて平行と成るようにそれぞれ配設され,かつ,凸部は厚み方向に伸縮する伸縮性を有し,か
つ,帯体は長手方向において伸縮して被締結物を締結することによって,④筒状内部において折れ曲がりが防止でき,衣類の着用時に不快感を与えない環状帯体を提供することができるとの効果を奏するものであると認められる。
(2)被告商品1(1)のうち被告販売主張商品1について


被告による輸入,販売の有無について
被告販売主張商品1は,被告が南通近江に対してワッフルゴムの使用を指示して製造を委託し,実際に輸入,販売したと自認するものである。そして,これらの商品については,被告の商品台帳上も,「ウエストゴム」の副資材指定に「ワッフル(ゴム)」と指定されている(乙2,12及び15)。


本件発明の構成要件充足性について
証拠(乙24ないし26)及び弁論の全趣旨によれば,①被告は,中国の工場から出荷される前に全商品について中国国内の業者(乙24)に検品を委託してきたこと,②検品方法は,一般検査として生地キズ,
染め不良,縫い糸切れ,外観不良等の21項目,寸法検査のほか,条件書記載の素材やラベル等の使用について行われ,条件書においてワッフルゴムを使用されていることとされている商品については,ズボンのゴムの取替口からゴムを取り出し,ワッフルゴムが使用されているか否かを確認する作業が行われたこと,③検品結果によって工場ごとにAAAからBまでのランク付けがされ,次回以降はランクに応じた検査方法が実施されていたことが認められる。

前記(1)の本件発明の意義からすると,本件発明の構成要件充足の有無は,製品の外観によって判別することができ,実際,証拠(乙17)によれば,被告販売主張商品1のうち,現物が確認できる17023HJ(被告商品1(1)の番号225,被告販売主張商品1の番号45)は,本件発明の構成要件を充足すると認められる。

そうすると,被告販売主張商品1は,被告がワッフルゴムの使用を指示し,その使用の有無が検品対象となった商品であるから,上記のような検品体制による検品に合格した以上,全て本件発明の構成要件を充足するものであったと推認するのが相当である。

原告からの仕入れの有無について
(ア)前提事実(4)のとおり,原告と被告は,被告が原告からワッフルゴムを仕入れて商品に使用する継続的関係にあったところ,被告は,南通近江に対して真正品のワッフルゴムを仕入れるよう指示し(乙2),前記のような検品を経た上で商品を輸入,販売していたことからする
と,被告が輸入,販売した商品に使用されたワッフルゴムについては,原告から仕入れた真正品であることが一応推定され,それが覆されるためには,各品番に用いられたワッフルゴムが原告から仕入れたものでないことについて,相応の根拠を要すると解するのが相当である。(イ)弁論の全趣旨によれば,ワッフルゴムの発注等については,南通近
江が原告の中国事務所に注文書を送付し,同事務所から原告の本社にその報告がされるとともに,福建百宏集団に製造の注文がされ,同社から南通近江に納品がされていたと認められる。
そして,証拠(甲15)によれば,甲15は,平成18年6月16日から平成22年4月13日までの間に,南通近江から原告の中国事務所に発行された注文書であり,そこに記載された使用予定款式の中には,被告販売主張商品1が記載されていないことが認められる。これらの注文書について,被告は,甲15の46及び47には他の注文書にはある「入力済」との押印がないことから,原告の中国事務所における商品管理を正確性を疑問視するが,仮に原告側において一部の注文書から帳簿等への入力を怠ったのだとしても,直ちに他の注文書
の存在までを疑わしめるものではない。
もっとも,甲23の注文書には,被告販売主張商品1のうち,31030PH,310310G,31031PH,31033PB,300280Y,30032UW,30035NU,30036HU,300438R,310100J,320300I,330310I,
31040NHの記載がある。しかし,証拠(甲23)及び弁論の全趣旨によれば,南通近江が平成22年5月18日付けで甲23により原告の中国事務所に発注したのに対し,原告側は納品を留保し,納品したのは同年8月であることが認められる。そうすると,上記の甲23記載の被告販売主張商品1の品番はいずれも平成22年盛夏物より
前のシーズン用のものであるから,原告が同年8月に納品したワッフルゴムを使用するのは不可能であり,それらが甲23に記載されているとしても,それらについて原告から仕入れたワッフルゴムが使用されたとは認められない。
そして,本件では,原告が他にも注文書を有しているのではないか
との疑いを生じさせる事情が特段認められない反面,被告は,本件訴訟後も南通近江と連絡をとっていながら(乙10,被告準備書面(5)),上記の甲15及び23の注文書以外に注文がされたことをうかがわせる証拠を何ら提出していないことを考慮すると,南通近江から原告に発注がされた注文は上記の甲15及び23以外になく,甲15に記載されていない被告販売主張商品1及び甲23に記載されている被告販売主張商品1に係るワッフルゴム(すなわち被告販売主張商品1の全て)は,原告から仕入れたものでないと認めるのが相当である。
なお,被告は,甲15及び23による発注に対して,原告は発注量より多いワッフルゴムを納品していたから,南通近江はそれらの余り分を使用した可能性があると主張するが,証拠(甲29)によれば,
そのような余り分は,20mmゴムの場合は発注量合計57万8642mに対して7024mにすぎず,25mmゴムの場合は発注量合計35万8320mに対して6300mにすぎないから,それらにより多数の品番を製造したとは考え難く,被告の上記主張は採用できない。(ウ)なお,原告は,現物を確認できる商品のゴムの伸び率をもって,原
告が納品したものでないことが推認できると主張するので,ここでその点について検討する。

証拠(甲17,25及び26)によれば,[A]原告でのワッフ
ルゴムの品質基準では,伸度(伸び率)を2.7倍としており,
[B]原告の商品のゴムの直径を1.33倍まで伸長するのに要する応力が550gであったのに対し,被告が販売した過去の商品の
現物について,上記Aを平成27年10月に,上記Bを平成28年7月に測定すると,別紙「測定結果」のとおりであり,いずれも原告の製造仕様よりも伸び率が小さくなっていることが認められる。そして,原告は,これを根拠にして,それらの被告商品は原告から仕入れたものでないと主張する。


これに対し,被告は,まず,現在原告のワッフルゴムを使用した
他社商品のゴムの伸び率を計測した結果,上記の原告の品質基準と異なる上,伸び率の範囲の幅も大きかったこと(乙39,41及び43)から,原告での品質管理は厳格なものではなかったと主張する。
しかし,乙39はギャルソンヌの商品で伸び率は1.5倍と1.

55倍であり,乙41はヒロタの商品で伸び率は1.47倍と1.52倍であり,乙43はグンゼ商品で伸び率は1.9倍と1.86倍である。納品先ごとにゴムの仕様も変わり得ることからすると,これらの商品での伸び率が2.7倍となっていないことは不合理ではなく,逆に,各社の商品内での伸び率の差はいずれも製造誤差の
範囲に納まっていることからすると,むしろ原告では品質管理を適正に行っていると認めるのが相当である。

次に,被告は,上記の測定対象の被告商品は,経年劣化によりゴ
ムの伸び率が低下したものであると主張する。

証拠(乙36,(財)化学物質評価研究機構の研究員による「腐
食と劣化(6)合成樹脂

ゴム・プラスチックの劣化・評価分析方

法」『空気調和・衛生工学』80巻1号・平成18年1月)には,次の記載がある。
・「日本ゴム協会環境劣化委員会では,天然ゴムと7種類の合成
ゴムについて無負荷の状態で百葉箱に入れ15年間の経年変化
を追跡調査したが,ほぼ半数のゴムが50%以上の強度低下を
示した。」(69頁左欄)
・図1では,ゴム製品の物性保持率がある使用期間が経過すると
急速に低下するグラフが記載されている。(69頁右欄)

・「水劣化」の「EPDMの水道水残留塩素による劣化解析」の
「硬度測定」として,「劣化を生ずるほとんどのゴムやプラス
チックは劣化条件にもよるが,架橋反応が生じ分子量が大きく
なるとともに固く,そしてもろくなる(CR,NBR,SBR
など)。また,一方では軟らかくなり,低分子化する(NRな
ど)場合もある。」(72頁左欄)
これらの記載からすると,ゴムは,経年変化により硬化すること

もあれば軟化することもあると認められ,硬化する場合には伸び率が低下し,伸張応力が大きくなる。この点について,原告は,劣化によってゴムの伸び率が低下するのは,ゴムが緩んで伸びた状態になった場合以外には考え難いと主張するが,上記乙36の記載に照らして採用できない。

そうすると,現物を確認した別紙「測定結果」の商品のうち,2
番から5番の商品は,販売から8年以上が経過しているから,伸び率の低下が経年劣化による可能性を否定できないというべきである。他方,番号1の17023HJ(被告販売主張商品1の番号45)は,販売から5年しか経過しておらず,被告自身も数年程度の寿命
を念頭においていたと主張していること(被告準備書面(10)3頁)からすると,伸び率の低下が経年劣化によると認めることはできない。

以上からすると,ゴムの伸び率自体から直ちに原告による納品の
有無を判断することはできないが,別紙「測定結果」の番号1のゴ
ムの伸び率については,被告販売主張商品1が原告が納品したものでないとの前記判断に沿うとはいえる。

したがって,被告販売主張商品1は,被告が輸入,販売した商品で,本件発明の構成要件を充足しながら,原告から仕入れたワッフルゴムを
使用していないのであるから,その販売は本件特許権を侵害すると認められる。
(3)被告商品1(1)のうち被告販売主張商品1以外の商品についてア
原告は,これらの商品についても,被告が製造契約番号一覧表(甲9,11,12,18及び21)に記載して送付してきたことから,本件発明の構成要件を充足するワッフルゴムを使用して製造し,輸入,販売したものであると主張する。

しかし,証拠(乙4)によれば,平成20年から平成22年にかけて,被告が「ワッフルゴムの使用明細」として甲11等の一覧表に記載しながら,ウエストゴムを「セパレーツゴム」と指定し,仕入れ先も「工場手配」として,実際にはワッフルゴムを使用しなかったものが少なくとも10品あると認められる。もっとも,そのうちの一部(乙4の3,4,
9及び10)には,副資材のラベルの指定が「AJ-9051A」「AJ-9030A」としてワッフルゴムであることを示すラベル(甲19)の指定がされているが,ウエストゴム自体の指定が「セパレーツゴム」とされている以上,それらについてワッフルゴムを使用するよう指示したと認めることはできない。

そうすると,被告が甲11等の一覧表に記載したことから,直ちにそれらでの記載品番の全てを被告が実際にワッフルゴムを使用して輸入,販売したと認めることは困難である。もっとも,被告が現物を確認している17731UU(被告商品1(1)の番号272)については,被告が輸入,販売したことが明らかであり,また,甲17からすると本件発明
の構成要件を充足すると認められるから,被告販売主張商品1以外にもワッフルゴムを使用した商品があったとは認められるが,それがどの品番の商品であるかについては定かでないといわざるを得ない。

原告は,平成22(2010)年度において,被告がワッフルゴムを使用した数量は,約合計327万5220mである(甲14)のに対し,原告が南通近江等に出荷したワッフルゴムの出荷総量は235万1528mであり(甲20,22),差が約93万mもあるから,同年度において被告はそれだけの偽物のワッフルゴムを使用していると主張し,このことから,甲11等の一覧表に記載の商品は原告から仕入れないワッフルゴムを使用したと主張する。
しかし,それらの数値は,被告が製造を委託する複数の中国の工場全
体を対象とするものであるのに対し,被告商品1(1)はそのうち南通近江関係での商品をいうものであるから,仮にそれらの数値のとおりであるとしても,直ちに南通近江関係での偽物のワッフルゴムの使用が甲11等の一覧表のとおりであることを推認し得るものではないというべきである。

また,原告は,平成23年3月3日付けの南通近江作成の文書(甲8)でも,コストダウンの方法として安い工場から74万mのワッフルゴムを購入したと認めていると主張するが,甲8の作成経緯は必ずしも明らかではない上,南通近江の副総経理作成の平成27年7月1日付けの書面では,甲8は詳細な調査を経た数字ではないとも述べられている
ことに照らして,直ちに採用できない。

原告は,前記の甲23の注文書記載の品番のものは全て偽物のワッフルゴムが使用されたものであると主張する。
しかし,甲23記載の品番のうち,被告販売主張商品1以外のものの中には,平成21年冬物である319620E等が記載されており,そ
もそも注文時期として不合理であるから,それらの注文の正しさ自体に疑問があり,甲23をもって,被告商品1(1)のうち被告販売主張商品1以外の品番について,偽物のワッフルゴムが使用されたとは認められない。

原告は,被告が原告に対して平成18年6月23日付けでワッフルゴムの偽物を郵送し(甲27),同月20日付けで関係者に対し,南通地区にて添付の偽ワッフルゴムが出回っているとの文書を配布したことから,被告商品1(1)で平成18年当時に南通近江で製造されたものは,本件特許権の侵害品を使用したものであると主張する。
しかし,平成18年当時,被告が南通地区で製造を委託していたのは,南通近江だけではなく,南通瞬業,南通財通,南通恒祥もあり(甲1
8),上記の偽物が南通近江によるものであるとの確証はないから,上記の郵送された物がいわゆる偽物であるとしても,平成18年当時に南通近江で製造されたものが偽物であると推認することはできない。オ
以上からすると,17731UU(被告商品1(1)の番号272)を除き,被告商品1(1)のうち被告販売主張商品1以外の商品について,被告
が本件発明の構成要件を充足するワッフルゴムを使用して輸入,販売したとは認められないが,17731UUについては,先に(2)ウ(ウ)bで述べたとおりゴムの伸び率の点からは判別し難いものの,甲15及び23の注文書に記載がないことから,原告から仕入れたワッフルゴムを使用していない偽物であると認められる。

(4)被告商品1(2)について

証拠(甲17)によれば,被告商品1(2)は,被告が実際に輸入,販売した商品で,本件発明の構成要件を充足するワッフルゴムを使用したものと認められる。


ところで,被告は,被告商品1(2)のうち41713Pは,平成18年頃に取扱商社であったアシュレイ関係で偽物問題が発覚した際に,原告と協議の上,「ワッフルゴム」とのメリットタグを付さずに流通させることで合意したものであると主張する。
確かに,原告が被告に平成23年2月1日付けで送付した文書(乙1
6)には,以前にアシュレイが中国で偽物を作ったときには,市場に出る前にメリットラベルを外して処理した旨が記載されている。しかし,アシュレイが平成18年10月28日付けで被告に送付した文書(甲24)では,中国の工場が無断で製造したものは同年9月から10月の生産分であるとして,それらを用いた商品の品番が列挙されており,その中に被告商品1(2)は含まれていない。そうすると,41713Pが被告主張の合意の対象となったとは認められないから,被告の上記主張は採
用できない。

次に,被告は,12531PZ及び386325Pは偽物でないと主張し,また,41713Pについてもそれが上記イの合意対象でない場合には同様の主張をする趣旨と解される。

この点について,原告は,被告商品1(2)のゴムの伸び率がいずれも原告の品質基準である2.7倍より小さいことを根拠に,それらが原告が納品したものでないと主張する。しかし,先に(2)ウ(イ)bで述べたとおり,被告商品1(2)はいずれも販売から8年以上を経過しているから,経年劣化によりゴムの伸び率が低下している可能性を否定できない。した
がって,ゴムの伸び率の点から,被告商品1(2)が偽物であるとはいえない。
また,原告は,被告商品1(2)は甲11等の一覧表(原告のいう製造契約番号一覧表)にすら記載がないと主張し,この主張は,被告商品1(2)は原告に秘して製造されたものであるから,ワッフルゴムの発注もされ
ていないとの趣旨をいうものと解される。しかし,被告商品1(2)の製造時期はそれぞれ別紙「測定結果」のとおりであるのに対し,甲11等の一覧表のうち,甲9,11,12及び21はいずれも平成20年以降分の一覧表であるから被告商品1(2)がこれらに記載されることはない。また,甲18は平成18年12月から平成19年7月分であるが,被告商
品1(2)のうち最も遅い41713Pでも平成19年梅春物で,製造仕入れは平成18年11月までに終了している(乙37)から,被告商品1(2)が甲18に記載されることもないと認められる。したがって,被告商品1(2)が,原告に秘して製造されたものとはいえない。
そして,被告商品1(2)については,他にそれらが偽物であることをうかがわせる証拠はなく,また,被告商品1(1)と異なり,それらを製造する中国の各工場からの注文書上の記載の有無も明らかでないことからす
ると,被告商品1(2)に使用されたワッフルゴムが,原告から仕入れたものでない偽物であると認めることはできない。
(5)以上によれば,被告商品1(1)(2)のうち,被告が輸入,販売したもので,それらに使用されたウエストゴムが,原告から仕入れたものでなく,本件発明の技術的範囲に属するものであると認められるのは,被告販売主張商
品1及び17731UUに限られる。
2
争点2(原告による実施許諾の有無)について
被告は,原告と被告との間の売買契約書(乙1)により,本件発明の実施について原告が被告に対して実施許諾していたと主張する。
しかし,乙1に係る平成15年7月1日付けの売買契約書では,「商品名
:BBワッフルゴム及びBBワッフルアジャスター」,「工業所有権:特許・意匠・商標出願中」,「商標名:ビービーワッフル」,「登録者:有限会社アジャックコーポレーション」とする腰ゴムの製造販売に関し,原告の被告に対する優先的販売権利の付与を定めたにすぎないと認められ,本件特許権の実施許諾を内容に含むとは認められない。

したがって,原告による実施許諾がされた旨の被告の主張は理由がない。3
争点3(被告の利得又は現存利益の有無)について
(1)以上によれば,被告が被告販売主張商品1及び17731UUを日本国内で販売した行為は,本件特許権を侵害する行為であると認められる。そ
して,被告は,それら商品を販売するには特許権者である原告の許諾を得て相当の実施料を支払わねばならないのに,その支払を免れたのであるから,原告に対する実施料の支払を免れたことについて,不当利得が成立する。
(2)被告は,南通近江からそれら商品を購入するに当たり,原告からワッフルゴムを仕入れる場合の正規の代金を支払っているから,被告に利得ないし現存利益はないと主張する。

しかし,本件で原告が主張する被告の利得は,上記のとおりそれら商品を販売するに当たり原告に本来支払うべき実施料の支払を免れた点にあるところ,そもそも実施料の支払は,侵害品について対価を支払って購入する場合でも免れることができないものである。そうすると,被告が南通近江に対して原告の正規品を使用した商品と同額の代金を支払ったとしても,
その販売のために原告に対する実施料の支払を免れていることに変わりはないから,被告は実施料相当額の利得を得たといえ,その利益が現存しないともいえない。
4
争点5(不当利得額)について
(1)前記のとおり,被告の不当利得額は,本件特許権の実施料相当額と認められるところ,証拠(甲16,35及び36)及び弁論の全趣旨によれば,原告と福建百宏集団との間では,①原告が福建百宏集団に対し,本件特許権のほか1件の意匠権について,日本向けの生産を許諾するとともに原告の持つ販売先への販売権を許諾する一方,②福建百宏集団は,原告に対し,
本件特許権を利用した技術を用いて製造した製品について,所定の金額の特許権実施料と販売権実施料を支払うことが定められ,③それらの実施料は,以下のとおり定められたことが認められる。

平成18年9月から平成19年8月まで
20mmワッフルゴムについては,1mの売上につき0.29中国元25mmワッフルゴムについては,1mの売上につき0.4中国元

平成19年9月以降
20mmワッフルゴムについては,1mの売上につき0.52中国元25mmワッフルゴムについては,1mの売上につき0.68中国元そして,被告販売主張商品1は,別紙「被告販売主張商品目録1」記載の品番から,いずれも平成20年,平成21年又は平成22年の商品であると認められる。そうすると,それらの実施料相当額は,上記イの平均である1m当たり0.6元とするのが相当であり,為替レートは1元=14円である(弁論の全趣旨)から,1m当たり8.4円となる。
また,17731UUは,品番から平成19年夏物の商品であると認められる。そうすると,同商品の実施料相当額は,上記アの平均である1m
当たり0.345元=4.83円とするのが相当である。
なお,上記契約での実施料は,特許権と意匠権の双方の実施許諾を対象とするものであると認められるが,本件でのワッフルゴムは,完成品たるパジャマでは隠れて見えなくなる反面,被告では,ワッフルゴムについて,身体を締め付けにくく,よじれや中折れが少ない点をアピールしていたと
認められる(甲37)ことからすると,上記実施料における本件特許権の寄与度は10割と認めるのが相当である。
(2)弁論の全趣旨によれば,被告販売主張商品1の販売数は合計33万1900着であると認められ,17731UUの販売数は,甲18によれば5000着であると認められる。

また,1着当たりのワッフルゴムの使用長について,原告は0.65mとするが,これを認めるに足りる的確な証拠がないから,被告が自認する0.63mの限度で認めるのが相当である。
(3)以上に基づき実施料額を算定すると,被告販売主張商品1については,175万6414円(8.4円×0.63m×331,900着),17731UUにつ
いては,1万5214円(4.83円×0.63m×5000着)となり,合計177万1628円となる。
(4)これに対し,原告は,実施料相当額は被告の商品であるパジャマの販売価格に基づき,それに寄与率として50%を乗じ,実施料率として平均的な6%を乗じて算定すべきであると主張する。しかし,本件では,原告にとって被告がワッフルゴムの唯一の販売先であり,偽造品問題の発覚後も従来どおりの取引を継続したことからすると,被告に実施許諾をする場合
でも,上記の福建百宏集団の関係以上の実施料とされたとは認め難いから,原告の主張は採用できない。
他方,被告は,原告の利益率はせいぜい20%であると主張するが,原告が福建百宏集団から前記実施料の支払を受けるに当たり,特段の追加的経費を要するとは認められない上,実施料相当額の算定に当たり,利益率
を考慮することは相当でないから,被告の主張は採用できない。
(5)以上によれば,原告の不当利得返還請求は,177万1628円及びこれに対する平成27年7月3日(平成27年7月1日付け訴え変更申立書の送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。

なお,原告は被告が悪意の受益者である旨の主張もする(争点4)が,前記のとおり被告には受けた利益が現存しないとは認められないから,争点4については判断する必要がない。
5
争点6(被告が被告下げ札を使用した商品を販売したことによる本件商標権の侵害行為の成否)について
(1)後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。ア
原告と被告と協同は,平成23年6月27日,知的財産権使用許諾契約を締結した(乙6)。そこでは,原告が商標権を有する登録第4737615号とグッドデザイン賞を有する受賞番号06A01014を対
象に,①原告が被告と協同に被告向けメリットタグについて通常使用権を許諾する,②実際の使用に際しては,被告と協同は,原告に対して,事前にメリットタグの知的財産権を付すもののサンプルを提供し,原告の承諾を受けなければならない,③協同は,原告に対し,上記知的財産権の使用の対価として,協同が販売するメリットタグの1枚につき1円のロイヤリティを支払う旨が定められた。

原告と被告は,平成24年2月17日,売買基本契約を締結した(乙7)。そこでは,BBワッフルゴム及びBBワッフルアジャスター並びにこれらに関連・付随する製品について,原告は,これらを納品するに当たり,被告に対してそれら製品が原告の製品であることを示すメリットタグを有償で交付するものとし,被告は,それら製品を用いた商品の販売に当たり,当該商品に上記メリットタグを付さなければならないも
のとされ,また,本件特許権を含む4件の特許権,2件の意匠権と商標登録第5263521号の商標権について,被告は有効性を争わないこととされた。

本件商標権は,平成24年7月4日に商標登録出願され,同年12月21日に登録された。


原告は,平成25年2月1日,被告に対し,次の生産時からワッフルゴムの下げ札のデザインを変更し,原告下げ札とするよう指示した。その原告下げ札には,本件商標権の登録番号が記載されている。(乙11)


被告は,上記合意に基づき,平成25年から平成26年にかけて,中国の工場にメリットタグを原告又は協同の上海の子会社から仕入れるよう指示したが,中国の工場は,被告商品2につき,ワッフルゴム自体は原告から仕入れたものの,下げ札については,原告下げ札と同一の被告下げ札を他社に製造させて仕入れて使用し,被告は被告下げ札が付され
た被告商品2を輸入し,合計31万着を日本国内で販売した(乙5,14。なお,被告は,被告が販売したのは被告販売主張商品2であると主張するが,被告が答弁書において,被告商品2を合計31万着販売したことを認めていたことからすると,上記のとおり認定するのが相当である。)。
(2)以上の事実によれば,当初の知的財産権使用許諾契約及び売買基本契約では,本件商標権は出願前であることから対象とされていなかったが,少
なくともそれが登録された時点では,上記の知的財産権使用許諾契約及び売買基本契約による使用許諾の対象に含まれるようになったと認めるのが相当である。
ところで,被告下げ札が付された被告商品2は,原告から仕入れたいわゆる真正品であり,それに被告標章を使用することは,本件商標の出所識
別機能を害するものではない。もっとも,メリットタグについては,上記契約上,原告が承認し又は原告が有償交付したものに限られていたから,そこで定められた原告商標の使用態様に反する場合には,原告商標の品質保持機能に影響を及ぼすと解する余地があるが,被告下げ札は原告下げ札と同一であるから,被告下げ札での原告商標の使用態様が上記契約におい
て定められた使用態様に実質的に反するとはいえない。
そうすると,被告商品2における被告下げ札の使用が本件商標の出所識別機能及び品質保持機能を害するとは認められないから,上記契約による使用許諾の範囲内の使用として適法というべきである。
したがって,争点7について検討するまでもなく,商標権侵害の不法行
為に基づく請求は理由がない。
6
争点8(被告が被告下げ札を使用した商品を販売したことによる債務不履行の成否及び被告の故意又は過失の有無)について
前記5で述べたとおり,乙6の知的財産権使用許諾契約は,本件商標権の
登録後は,その使用許諾契約を含むものとなったと認められるが,同契約の内容からすると,被告がメリットタグを協同からのみ仕入れることを前提として,原告に対するロイヤリティの支払義務は協同のみが負う約定とされていたといえるから,被告は,原告に対し,原告が承諾したメリットタグを協同からのみ仕入れる義務を負っていたと解するのが相当である。したがって,被告が製造を委託した中国の工場が協同以外から仕入れたメリットタグを使用したことは,被告による上記義務の債務不履行を構成する。

この点について,被告は,中国の製造工場には協同の上海子会社からメリットタグを仕入れるよう指示した上,被告下げ札が原告下げ札と同一であったことから,被告には帰責性(故意又は過失)がないと主張する。しかし,中国の製造工場は,被告の上記契約上の義務の履行との関係では履行補助者に当たると解するのが相当であるから,信義則上,その故意過失を被告の故
意過失と同視すべきである。そして,前記5(1)で認定した事実によれば,委託先の中国の工場に故意又は過失があるのは明らかであるから,被告に帰責性がないとはいえず,被告の上記主張は採用できない。
7
争点9(債務不履行による損害額)について
前記6で認定した乙6の知的財産権使用許諾契約では,原告は,協同が被
告に販売するメリットタグの1枚つき1円のロイヤリティを得ることができていたから,原告は,被告の債務不履行により,メリットタグ1枚当たり同額の損害を受けたと認められる。
そして,前記のとおり被告商品2は合計31万着であると認められるから,原告の受けた損害は31万円となる。

よって,原告の債務不履行に基づく損害賠償請求は,31万円及びこれに対する平成27年12月4日(平成27年11月30日付け訴え変更申立書の送達の日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。
8
まとめ
以上によれば,①特許権侵害に基づく不当利得返還請求は,177万1628円及びこれに対する平成27年7月3日(平成27年7月1日付け訴え変更申立書の送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,②商標権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求(主位的請求)は理由がなく,③債務不履行に基づく損害賠償請求(予備的請求)は,31万円及びこれに対する平成27年12月4日(平成27年11月30日付け訴え変更申立書の送達の日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。
よって,主文のとおり判決する。

大阪地方裁判所第26民事部

裁判長裁判官

髙松宏之野上誠一
裁判官
裁判官

大門宏一郎
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