判例検索β > 平成29年(ネ)第10047号
特許法違反請求控訴事件 民事訴訟
事件番号平成29(ネ)10047
事件名特許法違反請求控訴事件
裁判年月日平成29年9月27日
法廷名知的財産高等裁判所
原審裁判所名東京地方裁判所
原審事件番号平成28(ワ)35838
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平成29年9月27日判決言渡
平成29年(ネ)第10047号

特許法違反請求控訴事件(原審:東京地方裁判

所平成28年(ワ)第35838号)
口頭弁論終結日

平成29年7月24日
判控人X人Y
訴訟代理人弁護士

土肥尚子川戸万葉被訴決控訴主1
本件控訴を棄却する

2文
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由

第1

控訴の趣旨

1
原判決中,第1請求及び第2請求に係る部分を取り消す。

2
被控訴人は,控訴人に対し,400万円を支払え。

3
被控訴人が文書の内容「反論は難しい」を補正は行わなくてもよいという証拠として挙げるのなら特許庁公認の内容証明の提出を求める。

4
訴訟費用は,一審,二審とも被控訴人の負担とする。

第2

事案の概要(以下,略称等の表記は原判決に従う。)

1
本件は,弁理士である被控訴人に対して特許出願に関する出願書類作成及び手続の代理を委任した控訴人が,被控訴人が控訴人の求める内容を出願書類に記載せず,上記特許出願に関する拒絶理由通知に対して控訴人の意向に応じた補正を行わないなど,特許法及び応答ないし補正義務に違反した,詐欺を行った,
ねつ造ないし文書管理義務違反を行ったなどと主張して,
被控訴人に対し,
①不法行為又は債務不履行に基づき損害賠償金400万円の支払(第1請求)

②上記拒絶理由通知に対する反論が難しいという被控訴人の見解についての特許庁公認の内容証明の提出(第2請求),③上記出願書類において控訴人の発明の内容を記載した文章ないし図面の場所の特定(第3請求)をそれぞれ求める事案である。
原判決は,控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した。
控訴人は,原判決のうち,第1請求及び第2請求に係る部分のみを不服として,本件控訴をした。なお,控訴人は,当審の第1回口頭弁論期日において,第1請求につき,「Aの評価を含めた類似のみの削除の補正に応じなかった事に対しての損害賠償請求権」を請求原因に追加すると述べた。
2
前提事実,
争点及び争点についての当事者の主張は,
原判決
「事実及び理由」
第2の1ないし3(原判決2頁8行目から5頁9行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。

第3

当裁判所の判断
当裁判所も,控訴人の請求はいずれも棄却すべきものと判断する。その理由は,後記1のとおり補正し,後記2のとおり当審における判断を付加するほかは,原判決「事実及び理由」第3の1及び2(原判決5頁11行目から8頁20行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。

1
原判決の補正
(1)原判決6頁3行目に「右折レーンレール移動式」とあるのを,「道路レーンレール移動式」と改める。
(2)原判決8頁4行目に「本件拒絶理由は」とあるのを,「本件拒絶理由通知は」と改める。

2
当審における付加判断(第1請求及び第2請求に関し)
控訴理由に鑑み,必要な限度で判断を加える。
控訴人は,控訴理由書その他当審における提出書面において,①特許請求の範囲(請求項)に「進行方向別通行区分の切り替え式」なる発明の記載がない(請求項10はこれに当たらない。同発明を請求項に記載するよう補正を求めたが行われていない。),②同発明について特許庁から拒絶されていたことの証明がない(したがって,同発明が特許庁から拒絶されているというのは虚偽である。),③発明の名称の変更が正しく行われていない(控訴人が要求したとおりに補正が行われていない。)などと出願人代理人としての被控訴人の行為につき不満を述べて,被控訴人に対する損害賠償請求等が認められるべき旨主張する(また,控訴人は,第1請求の請求原因事実として,
「(被控訴人が)
Aの評価を含めた類似のみの削除の補正に応じなかった事」を追加するとも主張する。)。
しかしながら,控訴人の主張はいずれも失当である。
すなわち,前記認定の事実関係(原判決「事実及び理由」第3の1(1)ア(ア)ないし(カ)に掲記の各事実)
によれば,
本件特許出願の出願経過において特許庁
に提出された書面は,いずれも控訴人と被控訴人との間で事前に記載すべき内容を確認し,記載内容につき合意をした上で,被控訴人が出願人代理人として提出したものと認められるから,同書面に記載のない(反映されていない)事項は,もとより当事者間の合意内容に含まれなかったとみるのが相当である。したがって,仮に控訴人の思い描く発明の内容や名称が結果的には本件特許出願に反映されなかったとしても(また,たとえ控訴人の思いどおりに補正が行われなかったとしても),それは控訴人も同意した上での結果であったといわざるを得ないのであって,被控訴人に何ら法律上又は契約上の義務違反があるとは認められない。
また,前記のとおり,被控訴人は,出願人代理人として,控訴人と事前に確認して合意した内容に基づき本件特許出願を行い,その結果,特許庁から,請求項全部につき拒絶理由がある旨の通知(甲2の2)を受けているのであるから,仮に請求項10の記載内容が控訴人の考える「進行方向別通行区分の切り替え式」なる発明とは相違していた(すなわち,同発明の内容に関する控訴人と被控訴人の認識にそごがあった)としても,被控訴人が,同発明が請求項10に記載したものであるとの前提(認識)の下に,控訴人に対し,平成28年6月13日付け文書(甲4の2)をもって,特許庁から特許出願を拒絶すべきものとされている旨伝えたことが直ちに事実に反するとはいえないし,ましてや詐欺その他の不法行為に当たるということはできない(被控訴人としては,上記のとおり当事者間の合意に基づいて本件特許出願を行っている以上,控訴人が権利の取得を希望する発明については,全て請求項に反映されていると認識するのが当然である。そうである以上,被控訴人にあえて虚偽の事実を伝える意図があったとは到底認められないし,上記のように伝えたことに瑕疵があるともいえない。)。
よって,これと同旨をいう原判決の認定判断は相当であり,上記控訴人の主張(追加的主張を含む。)はいずれも当たらない。
その他,控訴人が控訴理由書等で種々指摘し,あるいは被控訴人ないし裁判所に対し要求を述べる点は,いずれも原判決を覆して第1請求及び第2請求を認容すべき理由に結び付くものとは認められない。
第4

結論
以上の次第であるから,控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は相当であり,控訴人の本件控訴は理由がない。
よって,本件控訴を棄却することとし,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部

裁判長裁判官
鶴岡稔彦
裁判官
大西勝滋寺田利彦
裁判官

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