判例検索β > 平成28年(ワ)第35182号
特許権
事件番号平成28(ワ)35182
裁判年月日平成29年10月30日
法廷名東京地方裁判所
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平成29年10月30日判決言渡

同日原本領収

平成28年(ワ)第35182号

損害賠償請求事件

口頭弁論終結日

裁判所書記官

平成29年7月20日
判原決A川口同田中大介同田中雅大
同訴訟代理人弁理士

野口勝彦被告
同訴訟代理人弁護士

株式会社サイバーエージェント

告ⅰ誠
同訴訟代理人弁護士

田洋一同飯塚卓也同池村聡同佐木奏
同訴訟代理人弁理士

原島典孝同奥板垣忠文主文1
原告の請求をいずれも棄却する。

2
訴訟費用は原告の負担とする。

第1

々実及び理由
請求

被告は,原告に対し,10万円及びこれに対する平成28年11月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2
1
事案の概要等
事案の要旨

本件は,発明の名称を「携帯端末サービスシステム」とする特許第4547077号の特許権(以下「本件特許権」といい,その特許を「本件特許」という。)を有する原告が,別紙被告システム目録記載1及び同2の各システム(以下,これらをまとめて「被告システム」という。)を作成,使用し,インターネット上で「アメーバピグ」の名称により利用者に提供している被告に対し,被告システムは,本件特許の願書に添付した明細書(設定登録時のもの。以下,図面と併せて「本件明細書」という。なお,本件特許は平成15年6月30日以前にされた出願に係るので,その明細書は特許請求の範囲を含む〔平成14年法律第24号附則1条2号,3条1項,平成15年政令第214号〕。)の特許請求の範囲(以下「本件特許請求の範囲」という。)の請求項1記載の発明(以下「本件発明」という。)の技術
的範囲に属するから,被告は,被告システムの作成,使用(平成21年8月18日から訴訟提起日である平成28年10月18日までを対象期間とするものと解される。)により,実施料相当額40億円を法律上の原因なく利得し,原告は,被告の上記行為により,これと同額の損失を受けたと主張して,民法703条に基づく不当利得の返還として,上記40億円の一部である10万円及びこれに対する平成2
8年11月15日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
2
前提事実(当事者間に争いがないか,後掲の証拠等により容易に認められる
事実)

本件特許権

原告は,以下の事項により特定される本件特許権の特許権者である(甲1,3)。発明の名称

携帯端末サービスシステム

出日
平成12年9月14日


特願2000-279335


平成22年7月9日


特許第4547077号

出願願登特番録許番
特許請求の範囲

別紙特許公報(写し)の【特許請求の範囲】欄のとおり


本件発明の構成要件の分説

本件発明は,次のとおり,構成要件AないしHに分説することができる(以下,分説に係る各構成要件を符号に対応して「構成要件A」などという。)。A
表示部と,電話回線網への通信手段とを備える携帯端末から,前記電話回線
網に接続されたデータベースにアクセスすることによって,
B
前記データベースに用意された複数のキャラクターから,表示部に表示すべ
き気に入ったキャラクターを決定し,その決定したキャラクターを前記表示部にて表示自在となるように構成してある携帯端末サービスシステムであって,C
その決定したキャラクターに応じた情報提供料を通信料に加算する課金手段
を備え,
D
前記キャラクターが,複数のパーツを組み合わせて形成するように構成して
あり,
E
気に入ったキャラクターを決定するにあたって,前記データベースにアクセ
スすることによって,複数のパーツ毎に準備された複数のパターンから一つのパターンを選択することにより,少なくとも一つ以上のパーツを気に入ったパーツに決定し,複数のパーツを組み合わせて,気に入ったキャラクターを創作決定する創作決定手段を備え,
F
前記創作決定手段に,前記表示部に仮想モールと,基本パーツを組み合わせ
てなる基本キャラクターとを表示させ,
G
前記基本キャラクターが,前記仮想モール中に設けられた店にて前記パーツ
を購入することにより,前記パーツ毎に準備された複数のパターンから一つのパターンを決定し,前記基本キャラクターを気に入ったキャラクターに着せ替える操作により,気に入ったキャラクターを創作決定する着せ替え部を備えるH
携帯端末サービスシステム。



被告の行為


被告は,コンピューターソフトウェアの開発及び販売等を業とする株式会社であり,平成21年8月18日頃から,被告システムを作成,使用し,「アメーバピグ」の名称によりインターネット上で利用者にサービス提供している。イ
被告システムは,携帯端末からアクセス可能なインターネット上のサービス
を提供するシステムであり,ユーザーが自分に見立てたピグ(キャラクター)を作り,これを広場などの仮想空間に表示し,他のユーザーとチャットをするなどの機能を有する。また,「ショップ」でピグの服やかばん等のアイテムを購入する際には,仮想通貨である「コイン」(平成26年5月までの名称は「アメゴールド」。以下,名称変更の前後を通じて「コイン」という。)を購入し,それを用いる必要がある。(以上につき,甲5,弁論の全趣旨)
争点
被告システムは,文言上,本件発明の技術的範囲に属するか(争点1)

被告システムの構成はいかなるものか(争点1-1)


被告システムは本件発明の構成要件を充足するか(争点1-2)


3


被告システムは,本件発明と均等なものとして,その技術的範囲に属するか
(争点2)


本件発明についての特許は特許無効審判により無効とされるべきものと認め
られるか(争点3)

第3
1
不当利得の額(争点4)
争点に対する当事者の主張
争点1(被告システムは,文言上,本件発明の技術的範囲に属するか)につ
いて


被告システムの構成はいかなるものか(争点1-1)について

【原告の主張】
被告システムの構成を,本件発明の構成要件と対比するために分説すると,次のとおりとなる(以下,分説に係る各構成を符号に対応して「構成a」などという。)。
a
液晶表示部と,インターネット等の電話回線網への通信手段とを備える携帯
電話やスマートフォン等の携帯端末から,インターネットに接続された被告システム中のデータベースにアクセスすることによって,
b
データベースに用意された複数のキャラクター(ピグ)から,液晶表示部に
表示すべき気に入ったキャラクターを決定し,その決定したキャラクターを液晶表示部にて表示自在となるように構成してある携帯端末サービスシステムであって,c
所定金額の日本円により予め購入した所定量のコインを,決定したキャラク
ターに応じた情報提供料として支払い,当該所定金額の日本円を携帯端末の通信料に加算する課金手段を備え,
d
キャラクターが,複数のパーツ(ピグ自体,顔を構成する目や鼻等,装飾品
としての服,めがね,かばん等を含む。)を組み合わせて形成するように構成してあり,
e
気に入ったキャラクター(ピグ,顔を構成する目,鼻,装飾品等としての服,
めがね,かばん等を含む。)を決定するに当たって,データベースにアクセスすることによって,複数のパーツ(目,鼻,服,めがね,かばん等を含む。)毎に準備された複数のパターン(形状,大きさ,柄,色等を含む。)から一つのパターンを選択することにより,少なくとも一つ以上のパーツを気に入ったパーツ(例えば,オレンジ色の服)に決定し,複数のパーツを組み合わせて,気に入ったキャラクター(例えば,オレンジ色の服を着た特定の顔のピグ)を創作決定する創作決定手段
(システム中に備えられる創作決定手段として機能する部分)を備え,f
創作決定手段に,液晶表示部に仮想モールと,基本パーツを組み合わせてな
る基本キャラクター(例えば,創作決定手段により決定されたオレンジ色の服を着た特定の顔のピグ)とを表示させ,
g
基本キャラクター(例えば,創作決定手段により決定された特定の顔を備え,
オレンジ色の服,特定の靴及びめがね等を装着したピグ)が,仮想モール中に設けられた店(例えば,サンリオショップ)にてパーツ(例えば,かばん)を購入することにより,パーツ毎(例えば,かばん毎)に準備された複数のパターン(ハローキティのポシェットやバッグ等)から一つのパターン(例えば,ハローキティのポシェット)を決定し,基本キャラクターを気に入ったキャラクター(ハローキティのポシェットを持った特定の顔及び髪型のピグ)に着せ替える操作により,気に入ったキャラクターを創作決定する着せ替え部(システム中に備えられる着せ替え部として機能する部分)を備える
h
携帯端末サービスシステム

【被告の主張】

被告システムが構成a,同b,同d,同e及び同hを備えていることは認め,
その余は,以下の理由により,否認する。

構成cについて

被告システムは,「決定したキャラクターに応じた情報提供料」を支払うものではなく,これを「通信料に加算する課金手段」を備えたものではない。ウ
構成fについて

被告システムに「仮想モール」は表示されない。

構成gについて

被告システムに「仮想モール」は存在しないため,ピグが「仮想モール中に設けられた店」にてパーツを購入することはない。なお,「基本キャラクター」については意味が不明であり,認否をすることができない。


被告システムは本件発明の構成要件を充足するか(争点1-2)について
【原告の主張】

原告の主張の要旨

被告システムの構成a,同b,同c,同d,同e,同f,同g及び同hは,本件発明の構成要件A,同B,同C,同D,同E,同F,同G及び同Hにそれぞれ該当するから,被告システムは,本件発明の構成要件を全て充足し,文言上,その技術的範囲に属する。
被告は,構成要件C,同F及び同Gの充足性を争うが,以下のとおり,理由がない。

構成要件Cを充足すること

前記⑴の【原告の主張】のとおり,被告システムは構成cを備えており,予め購入した所定額のコイン(例えば,300cや500c)を介在させているものの,アイテムを購入するために支払ったコインは,コインの購入代金(例えば,324円や540円)として携帯端末の通信料に加算されるから,結果的に,購入したアイテムに対応する情報提供料が携帯端末の通信料に加算されて携帯端末サービスを提供する事業者に支払われることに変わりはない。

したがって,被告システムは,「その決定したキャラクターに応じた情報提供料を通信料に加算する課金手段を備え」るものということができ,構成要件Cを充足する。

構成要件F及び同Gを充足すること

(ア)一般に,「仮想モール(バーチャルモール,サイバーモール)」とは,楽天市場などインターネット上に存在する仮想店舗が集まった商店街のことを意味し(甲18,19),本件発明の「仮想モール」は,これを構成する店舗の間を自由に歩き回ることができる必要はなく,ユーザーが複数の仮想店舗にほぼ同時にアクセスできる仕組みになっていれば足りる。
また,本件発明の課題解決原理,技術的思想は,表示部に「基本パーツ」を組み
合わせてなる「基本キャラクター」を表示させ,「基本キャラクター」が店でパーツを購入することによって,気に入ったキャラクターを創作決定するところにあり,「仮想モール」は店の表示形態の例示にすぎないから,本件発明の「仮想モール」は,表示部に「基本キャラクター」と同時に表示される必要はない。被告システムは,ユーザーが表示画面上で「ショップ」というカテゴリーを選択
することによってアイテムを購入する仕組みを備えており,ユーザーが複数の仮想店舗にほぼ同時にアクセスできる仕組みになっているから,「仮想モール」は表示されており,「表示部に仮想モールと,基本パーツを組み合わせてなる基本キャラクターとを表示させ」る構成を有するものであって,構成要件Fを充足する。(イ)また,構成要件Gにおいて,「パーツ」の購入主体とされている「基本キャラクター」は,「基本キャラクター」を画面上に表示させて使用するユーザーをいうものであるから,被告システムは「基本キャラクターが,仮想モール中に設けられた店にてパーツを購入する」構成を有するものであり,構成要件Gを充足する。【被告の主張】

被告の主張の要旨

原告の主張は,否認し又は争う。
以下のとおり,被告システムは,少なくとも,本件発明の構成要件C,同F及び同Gを充足しないから,文言上,本件発明の技術的範囲に属さない。イ
構成要件Cを充足しないこと

次の各理由により,被告システムは構成要件Cを充足しない。
(ア)「情報提供料を通信料に加算する課金手段」(構成要件C)は,「携帯端末サービスシステム」(同B,同H)内に存在するものでなければならないと解されるところ,被告システムでは,ユーザーがコインを購入する場合,携帯電話会社等の第三者の運営する決済システムを選択して利用することになり,被告システム自体は当該課金に何ら関与しないから,「情報提供料を通信料に加算する課金手段」(構成要件C)を備えているとはいえない。

(イ)被告システムでは,ユーザーがサービスの利用を開始する際にピグをデザインするときに何らの対価も発生せず,コインを消費することもないから(乙3),「その決定したキャラクター」(構成要件C)に応じて情報提供料を支払うことはない。
(ウ)被告システムでは,コインの購入は,ユーザーが購入するアイテムの対価と
無関係に予め定められた一定単位数でのみ可能であるから(乙2),その購入代金は,「決定したキャラクターに応じた」(構成要件C)情報提供料に当たらない。(エ)ユーザーがアイテムの購入を決定してコインを消費しても,サーバーで管理している登録ユーザーごとの保有コイン数のデータ値が減少するだけで,データ値の減少分に応じて日本円が「通信料」に加算されることはないから,「情報提供料を通信料に加算する課金」(構成要件C)は行われていない。

構成要件F及び同Gを充足しないこと

(ア)一般的な「モール」の字義(乙5)や本件明細書の記載に照らすと,「仮想モール」とは,複数の店舗が存在しており,かつ,キャラクターがそれらの店舗の間を自由に歩き回ることができるような仮想上の遊歩道と解される。のみならず,本件明細書(以下,【】を付して,発明の詳細な説明の段落番号又は図面の番号を引用する。)の【0006】等の記載に照らすと,【図5】のように,「仮想モール」と「キャラクター」とが画面上に同時に表示されることを要するものと解される。
被告システムでは,ユーザーがアイテムを入手する場合,表示画面上で「ショップ」というカテゴリーを選択することによりアイテム購入画面に移行する仕様とな
っており(乙4),「仮想モール」に当たる遊歩道のようなものが画面上に表示されることはなく,ましてや,それがピグと同時に表示されることもないから,構成要件Fを充足しない。
(イ)また,被告システムに「仮想モール」が存在しない以上,構成要件Gの「仮想モール中に設けられた店」も存在しない。

さらに,構成要件Gでは,店で「パーツ」を購入する主体はユーザーではなく「基本キャラクター」であるとされているところ,被告システムでは,「基本キャラクター」が「仮想モール中に設けられた店」でパーツを購入することはないから,いずれにしても,構成要件Gを充足しない。
2
争点2(被告システムは,本件発明と均等なものとして,その技術的範囲に
属するか)について
【原告の主張】
仮に,被告システムが構成要件C,同F及び同Gを充足しないとしても,以下のとおり,均等の第1要件ないし第3要件を満たし,均等の第5要件を満たさないという被告主張は失当であるから,被告システムは,本件発明と均等なものとしてその技術的範囲に属するというべきである。


第1要件(非本質的部分)について


本件明細書の【0002】記載の従来技術,審査過程で特許庁審査官が従来
技術として引用した文献(甲20参照)及び原告の意見書(甲22)を参酌すると,本件特許請求の範囲に記載された構成のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分となり得るのは,構成要件E,同F及び同Gであり,構成要件Cは非本質的部分である。

また,被告システムに「仮想モール」が表示されないとしても,「仮想モー
ル」が店の表示形態の例示にすぎないことは前記(2)の【原告の主張】のとおりであり,「仮想モール」の表示を本件発明の本質的部分であるとはいえない。本件発明の本質的部分は,構成要件Eに加えて,「創作決定手段に,前記表示部に基本パーツを組み合わせてなる基本キャラクターを表示させ」(以下「構成要件F’」という。)及び「基本キャラクターが,店でパーツを購入することにより,パーツ毎に準備された複数のパターンから一つのパターンを決定し,基本キャラクターを気に入ったキャラクターに着せ替える操作により,気に入ったキャラクターを創作決定する着せ替え部を備える」(以下「構成要件G’」という。)ところに
あり,被告システムは,これらに対応する構成を全て有している。ウ
以上より,被告システムは第1要件を満たす。



第2要件(置換可能性)について


構成要件C,同F及び同Gを被告システムの構成に置き換えても,本件明細
書の【0004】記載の本件発明の目的を達することができる。

構成要件Cについて,コインを用いる被告システムの決済手段に置き換えて
も,結果的に,情報提供料が携帯端末の通信料に加算され,携帯端末サービスを提供する事業者に支払われることに変わりはないから,本件明細書の【0005】記載の本件発明の作用効果と同一の作用効果を奏する。
構成要件F及び同Gについて,被告システムの構成に置き換えても,本件明細書の【0005】記載の本件発明の作用効果と同一の作用効果を奏する。ウ
以上より,被告システムは第2要件を満たす。



第3要件(置換容易性)について


日本銀行が平成21年に発行した「決済システムレポート」(甲28)には,
電子マネーを利用したサーバー型の前払式支払手段が急速に普及しているとの記載があるから,同年頃には,コインを予め購入するという前払式の課金手段を用いて課金することは周知の内容であり,構成要件Cを被告システムの決済手段に置き換えることは設計的事項の範囲内であるから,当業者は容易に想到することができた。イ
構成要件F及び同Gについても,「仮想モール」を表示せずに店(ショップ)
を表示するだけで被告システムの仕様に置き換えることができるから(乙8),この置き換えは設計的事項の範囲内であり,当業者は容易に想到することができた。ウ
以上より,被告システムは第3要件を満たす。



第5要件(特段の事情)について

被告システムが本件発明の本質的部分に対応する構成を全て有していることは前記⑴のとおりであり,第5要件に関する被告の主張は失当である。【被告の主張】
構成要件C,同F及び同Gに対応する構成を有していない被告システムについて,均等侵害は成立しない。その理由は以下のとおりである。


第1要件(非本質的部分)について


構成要件Cは,本件明細書の【0005】記載の課題解決手段と関連する構
成要件であると解し得るから,直ちに本質的部分でないとはいえない。イ
構成要件F及び同Gは,本件特許の願書に最初に添付した明細書の特許請求
の範囲(以下「出願当初の特許請求の範囲」という。)の請求項1に対する拒絶理由通知を受け,拒絶理由を指摘されなかった同5から持ち込む形で付加された構成であり,その結果,特許査定に至っているのであるから,本質的部分でないとはいえない。



第2要件(置換可能性)について


以上より,被告システムは第1要件を満たさない。

被告システムでは,コインの購入は,ユーザーが購入するアイテムの対価と
無関係に予め定められた一定単位数でのみ可能であるから(乙2),本件明細書の【0005】記載の本件発明の作用効果と同一の作用効果を奏さない。イ
被告システムでは,「仮想モール」が存在せず,ピグが「仮想モール中に設
けられた店にて」パーツを購入することもないため,本件明細書の【0006】記載の本件発明の作用効果と同一の作用効果を奏さない。

以上より,被告システムは第2要件を満たさない。



第3要件(置換容易性)について

原告の主張は,争う。


第5要件(特段の事情)について

本件特許の出願経過(前記⑴イ)に照らすと,原告は,少なくとも,構成要件F及び同Gの構成を有さないものを本件特許請求の範囲から意識的に除外したものと解される。
したがって,構成要件F及び同Gの構成を有さない被告システムは,第5要件を満たさない。
3
争点3(本件発明についての特許は特許無効審判により無効とされるべきも
のと認められるか)について
【被告の主張】

無効理由の要旨

以下のとおり,本件発明は,本件特許(出願日:平成12年9月14日)の出願前に頒布された刊行物である「日経エレクトロニクス」1999年11月15日号の116頁ないし123頁に収載された「音楽も,ゲームも,電子商取引も,ケータイがのみ込む」との記事(乙6。以下「引用例1」という。)に記載された発明,特開2000-92569号公報(乙7。以下「引用例2」という。)に記載された技術事項,及び「オンライン・バーチャルリアリティ」との書籍(乙8。以下「引用例3」という。)に記載された技術事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件発明についての特許は特許法29条2項に違反してされたものであり,同法123条1項2号により無効とされるべきである。⑵

引用例1記載の発明

引用例1には,実質的に,次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されている。
a
携帯電話機(表示部と通信部を備えている)が携帯電話網に接続されたコン
ピューティングシステムと通信すること
b1

前記コンピューティングシステムに含まれるコンテンツ事業者のシステム
は,携帯電話機と通信してキャラクタ画像の配信サービスを実施することb2

携帯電話機のユーザは,キャラクタ画像の配信サービスを利用することに
より,データベースに用意されている複数のキャラクタ画像の中から好みのキャラクタ画像を選択してそのデータを携帯電話機で受信し,携帯電話機の待ち受け画面として表示部に表示させることができること
c’
キャラクタ配信サービスは月額一定の有料サービスであり,サービス利用
料金は携帯電話の通信料と合わせて課金されること(乙9,10参照)h
キャラクタ画像の配信サービスが携帯電話機向けのサービスであること


本件発明と引用発明との対比

本件発明と引用発明とを対比すると,本件発明では「その決定したキャラクターに応じた情報提供料」(構成要件C)が課金されるのに対し,引用発明では「月額一定の情報提供料」が課金される点(以下「相違点1」という。),引用発明では,本件発明の構成要件D,同E,同F及び同Gに対応する構成が開示されていない点(以下「相違点2」という。)において相違する。


相違点1及び同2に係る本件発明の構成の容易想到性


相違点1について

引用例2には,利用者が携帯電話機で情報処理センタと通信して所望の画像情報の提供を要求すると,所望の画像情報が情報処理センタから携帯電話機に送信され,携帯電話機の表示器に受信した画像情報が表示されるように機能するサービスにおいて,利用者が受けた画像情報提供に対する対価を利用者の携帯電話機の通常の通話料金に含ませて請求すること,すなわち,利用者の受けた画像情報提供に応じた対価を通信料に加算して請求することが開示されている。

情報提供料の料金体系を月額一定とするか利用内容に応じたものとするかは設計的事項にすぎないから,引用発明に引用例2に記載された上記技術事項を適用して,相違点1に係る本件発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。

相違点2について

(ア)引用例3には,次の事項が開示されており,これらは構成要件D,同E,同F及び同Gに対応するから,相違点2に係る本件発明の構成が全て開示されている。d
アバターが頭・ボディ・服という複数のパーツを組み合わせて形成するよう
に構成されていること
e
気に入ったアバターを決定するにあたって,データベースにアクセスするこ
とによって,頭・ボディ・服という複数のパーツ毎に準備された複数のパターンから一つのパターンを選択することにより,少なくとも一つ以上のパーツを気に入ったパーツに決定し,複数のパーツを組み合わせて,気に入ったアバターを創作決定する機能を備えていること
f
気に入ったアバターを創作決定する際には,利用者の画面上にダウンタウン
とアバターとを含んだ場面が表示されること
g
前記場面が表示されている状態で,前記アバターが,前記仮想空間中に設けられた店にて前記パーツを購入することにより,前記パーツ毎に準備された複数のパターンから一つのパターンを決定し,アバターを気に入ったアバターに着せ替える操作により,気に入ったアバターを創作決定する機能を備えていること(イ)引用例3はパソコン通信によるオンラインゲームに関するものであるが,携帯電話を対象とする引用例1には,パソコンを対象として実施されている各種のネットワーク情報サービスと同様なサービスがiモードにおいて実施されるようになるとの認識が繰り返し示されており,引用例3の記載に接した当業者が,このオンラインゲームを携帯電話機に配信しようと考えることはごく自然な発想である。(ウ)したがって,引用発明に引用例3記載の上記技術事項を適用して相違点2に
係る本件発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。【原告の主張】
引用発明に引用例2記載の技術事項を組み合わせる動機付けは存在しない。また,仮に,組み合わせようとしても,決定したキャラクターに応じた情報提供料を通信料に加算する課金手段を備えることは,当業者が容易に想到できたとはいい難い。
したがって,相違点1に係る本件発明の構成が容易想到であったはいえない。引用発明に引用例3記載の技術事項を組み合わせる動機付けは存在しない。また,仮に,組み合わせようとしても,少なくとも,構成要件F及び同Gに対応する構成とすることは,当業者が容易に想到できたとはいい難い。
したがって,本件発明は,引用発明並びに引用例2及び同3に記載された技術事
項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではなく,本件発明についての特許は特許無効審判により無効とされるべきものではない。4
争点4(不当利得の額)について

【原告の主張】
被告が,平成21年8月18日頃から現在まで,被告システムを作成,使用してサービスを提供することにより得た売上は800億円を下らず,本件発明についての相当な実施料率は5%を下らないから,被告は,原告の許諾なく本件発明を実施することにより,法律上の原因なく実施料相当額40億円の利得を得たものであり,原告は,被告の上記行為により,これと同額の損失を受けた。
そこで,原告は,被告に対し,民法703条に基づき,上記の40億円のうち,10万円の返還を請求する。
【被告の主張】
原告の主張は,否認し又は争う。
第4

当裁判所の判断

1

本件特許請求の範囲及び本件明細書の発明の詳細な説明の記載
本件特許請求の範囲の記載

本件特許請求の範囲の記載は,前記前提事実⑴のとおりである。⑵

本件明細書の発明の詳細な説明の記載

本件明細書の発明の詳細な説明には,次の記載がある(甲1)。

発明の属する技術分野

「本発明は,携帯端末の表示部に気に入ったキャラクターを表示させることができる携帯端末サービスシステムに関する。」(【0001】)

従来の技術

「この種の携帯端末サービスシステムとしては,例えば,あらかじめ携帯端末自体のメモリーに保存してある複数のキャラクター画像情報から,気に入ったものを選択して,その携帯端末の表示部に表示することができるものなどが知られている。」(【0002】)

発明が解決しようとする課題

「しかし,上述したようなこれまでの携帯端末サービスシステムによれば,携帯端末自体のメモリーに保存してあるキャラクター画像情報のなかから気に入ったものを選択するので,メモリーに保存できる情報量には限りがあることから,キャラクター選択にあまり選択の幅がなく,ある程度すると飽きてしまい,ユーザーに十分な満足感を与え得るものではなかった。
また,サービス提供者にとっても,携帯端末自体にキャラクター画像情報を保存するので,キャラクター画像情報を更新するには,携帯端末自体を改めて販売するしかないのであるが,携帯端末はそのままでキャラクター画像情報のみを更新したものでは,あまり買い手がないため,携帯端末自体も新規な機能を有するものを開発せざるをえず,キャラクター画像情報により効率良く利益を得るのは困難であった。」(【0003】)
「本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって,その目的は,ユーザーが十分な満足感を得ることができ,且つ,サービス提供者は利益を得ることができる携帯端末サービスシステムを提供するところにある。」(【0004】)

課題を解決するための手段

「請求項1記載の発明の特徴構成は図1~3,5に例示するごとく,表示部2と,電話回線網3への通信手段4とを備える携帯端末1から,前記電話回線網3に接続されたデータベース5にアクセスすることによって,前記データベース5に用意された複数のキャラクターから,表示部2に表示すべき気に入ったキャラクターを決定し,その決定したキャラクターを前記表示部2にて表示自在となるように構成してある携帯端末サービスシステムであって,その決定したキャラクターに応じた情報提供料を通信料に加算する課金手段6を備え,
前記キャラクターが,複数のパーツP1~Pnを組み合わせて形成するように構成してあり,気に入ったキャラクターを決定するにあたって,前記データベース5
にアクセスすることによって,複数のパーツP毎に準備された複数のパターンp1~pnから一つのパターンpを選択することにより,少なくとも一つ以上のパーツPを気に入ったパーツに決定し,複数のパーツP1~Pnを組み合わせて,気に入ったキャラクターを創作決定する創作決定手段7を備え,
前記創作決定手段7に,前記表示部2に仮想モール10と,基本パーツを組み合
わせてなる基本キャラクター11とを表示させ,前記基本キャラクター11が,前記仮想モール10中に設けられた店S1~Snにて前記パーツを購入することにより,前記パーツ毎に準備された複数のパターンp1~pnから一つのパターンを決定し,前記基本キャラクター11を気に入ったキャラクターに着せ替える操作により,気に入ったキャラクターを創作決定する着せ替え部9を備えてあるところにある。
〔作用効果〕携帯端末から,電話回線網に接続されたデータベースにアクセスすることによって,キャラクターを選択することができるので,携帯端末に比べデータベースの方が保存できる情報量が格段に多く,ユーザーにとっては,キャラクター選択の幅が広がり,キャラクター選択をより楽しむことができ,十分な満足感を得ることができる。

また,サービス提供者にとっては,データベースのキャラクター画像情報を更新するだけで,簡便に,キャラクター画像情報を新規なものに更新し,ユーザーに提供することができる。そして,キャラクター画像情報に応じて,その情報提供に見合った金額を情報提供料として通信料に加算するので,キャラクター画像情報の提供により効率良く利益を得ることができる」(【0005】)

「また,キャラクターが,複数のパーツを組み合わせて形成するように構成してあり,係る創作決定手段を備えているから,ユーザーは,気に入ったキャラクターを決定するにあたって,データベースにアクセスすることによって,複数のパーツ毎に準備された複数のパターンから一つのパターンを選択することにより,少なくとも一つ以上のパーツを気に入ったパーツに決定し,複数のパーツを組み合わせて,
気に入ったキャラクターを創作することができ,キャラクター選択の幅が更にひろがるとともに,種々のパーツを組み合わせてキャラクターを創作するというゲーム感覚の遊びをすることができ,十分な満足感を得ることができる。また,創作決定手段に係る着せ替え部を備えさせることにより,ユーザーは,仮想モールと,基本キャラクターとが表示された表示部を見ながら,基本キャラクタ
ーを自分に見立て,さながら自分が仮想モール内を歩いているようなゲーム感覚で,その仮想モール内に出店された店に入り,パーツという商品を購入することで,基本キャラクターを気に入ったキャラクターに着せ替えて,楽しむことができ,新たな楽しみ方ができて十分な満足感を得ることができる。」(【0006】)オ
発明の実施の形態

「図5に示すように,表示部2には,仮想モール10,基本キャラクター11が表示され,店S1~Snが出店された仮想モール10内に基本キャラクター11を出現させ,基本キャラクター11があたかも仮想モール10内の住人であるかのように構成してある。」(【0028】)
「よって,ユーザーは,自分自身を仮想モールの中のキャラクターに投影して,あたかも自分が仮想モール中で暮らしているようなゲーム感覚が得られ,種々の店
に入り買い物をすることができ,さらに楽しみが倍増される。その上,店に入店して商品(各種キャラクター画像情報)を購入することで,基本キャラクターを気に入ったキャラクターに着せ替え,変更するので,楽しみながら容易に自分の気に入ったキャラクターを創作することができる。」(【0029】)
2
争点1(被告システムは,文言上,本件発明の技術的範囲に属するか)につ
いて


争点1-1(被告システムの構成はいかなるものか)及び争点1-2(被告
システムは本件発明の構成要件を充足するか)について

構成要件Cの充足性について

構成要件Cは,「その決定したキャラクターに応じた情報提供料を通信料に加算する課金手段を備え」というものであるが,証拠(乙2)によると,被告システムにおいて,ピグ(キャラクター)はアイテムを組み合わせて構成されるものであり,そのアイテムの購入に係る情報提供料は,ユーザーがあらかじめ携帯電話会社の提供する決済システム上で購入しておいた仮想通貨であるコインで支払われるものであると認められるから,「キャラクターに応じた情報提供料」,すなわち,ピグ
(キャラクター)を構成するアイテムの購入に係る情報提供料は,ユーザーがあらかじめ携帯電話会社の提供する決済システム上で購入しておいた「コイン」で支払われるものであり,「通信料」に加える,すなわち,「加算」するものではない。これに対し,原告は,被告システムにおいて,アイテムを購入するために支払ったコインは,コインの購入代金として,携帯端末の「通信料」に「加算」されると主張するが,上記のとおり,携帯端末の「通信料」に「加算」されるのは飽くまで「コイン」の購入代金であり,また,証拠(乙2)によると,コインの購入代金はアイテムの購入に要するコインの額と無関係にあらかじめ一定額に定められたものであると認められるから,それをアイテムを組み合わせたピグ(キャラクター)に応じた情報提供料ということはできない。
したがって,被告システムは,構成要件Cを充足しない。


構成要件F及び同Gの充足性について

(ア)構成要件Fは,「表示部に仮想モールと,基本パーツを組み合わせてなる基本キャラクターとを表示させ」と規定し,構成要件Gは,「前記基本キャラクターが,前記仮想モール中に設けられた店にて前記パーツを購入する」と規定するものの,「仮想モール」や「基本キャラクター」の意味するところやそれらの表示形態については,本件特許請求の範囲の文言からは,必ずしも明らかでない。そこで,本件明細書の発明の詳細な説明及び図面の記載を参酌すると,「仮想モール」や「基本キャラクター」を直接的に定義する記載は見当たらないものの,上記1⑵エのとおり,発明が解決しようとする課題として,【図5】を例示した上で,構成要件F及び同Gに対応する構成が記載されており(【0005】),また,
〔作用効果〕として,「ユーザーは,仮想モールと,基本キャラクターとが表示された表示部を見ながら,基本キャラクターを自分に見立て,さながら自分が仮想モール内を歩いているようなゲーム感覚で,その仮想モール内に出店された店に入り,パーツという商品を購入することで,基本キャラクターを気に入ったキャラクターに着せ替えて,楽しむことができ,新たな楽しみ方ができて十分な満足感を得るこ
とができる。」(【0006】)と記載されている。さらに,上記1⑵オのとおり,発明の実施の形態として,「図5に示すように,表示部2には,仮想モール10,基本キャラクター11が表示され,店S1~Snが出店された仮想モール10内に基本キャラクター11を出現させ,基本キャラクター11があたかも仮想モール10内の住人であるかのように構成してある。」(【0028】),「よって,ユーザーは,自分自身を仮想モールの中のキャラクターに投影して,あたかも自分が仮想モール中で暮らしているようなゲーム感覚が得られ,種々の店に入り買い物をすることができ,さらに楽しみが倍増される。その上,店に入店して商品(各種キャラクター画像情報)を購入することで,基本キャラクターを気に入ったキャラクターに着せ替え,変更するので,楽しみながら容易に自分の気に入ったキャラクターを創作することができる。」(【0029】)と記載されている。
(【図5】)
本件明細書における発明の詳細な説明及び図面の上記各記載に照らすと,「仮想モール」は,「基本キャラクター」と共に表示されることにより,「さながら自分が仮想モール内を歩いているようなゲーム感覚」(【0006】)や「あたかも自分が仮想モール中で暮らしているようなゲーム感覚」(【0029】)を得て楽し
むことができることができるという作用効果を有するものであり,構成要件Gの「仮想モール中に設けられた店」との文言や,一般に,「モール」に「建物の内部に設計された遊歩のための空間」という字義があること(広辞苑第6版〔乙5〕)にも照らすと,「仮想モール」は,内部に複数の仮想店舗と遊歩のための空間とが表示されるものをいうと解するのが相当である。
また,「仮想モール」が「基本キャラクター」と共に表示されることに上記のような作用効果があることに照らすと,構成要件Fの「表示部に仮想モールと…基本キャラクターとを表示させ」については,表示部に「仮想モール」と「基本キャラクター」とが同時に表示される必要があると解すべきである。
さらに,「仮想モール中に設けられた店」で「パーツ」を購入するのは「基本キャラクター」であるとされており(構成要件G),本件明細書の上記各記載に照らしても,ユーザーは,自分に見立てた「基本キャラクター」が「仮想モール中に設けられた店」に入店して買い物等をしている状況が表示されているのを見て,あたかも自分がそのような行動をしているような感覚を得て楽しむことができるという
のであるから,「仮想モール中に設けられた店」で「パーツ」を購入する際にも「基本キャラクター」が表示される必要があると解すべきである。(イ)これに対し,原告は,①「仮想モール」は楽天市場などインターネット上に存在する仮想店舗が集まった商店街のことを意味し,ユーザーが複数の仮想店舗にほぼ同時にアクセスできる仕組みになっていれば足りる,②本件発明の課題解決原
理,技術的思想は,表示部に「基本キャラクター」を表示させ,「基本キャラクター」が店でパーツを購入して気に入ったキャラクターを創作決定するところにあり,「仮想モール」は店の表示形態の例示にすぎないから,表示部に「仮想モール」と「基本キャラクター」が同時に表示される必要はない,③「パーツ」の購入主体とされている「基本キャラクター」(構成要件G)は,「基本キャラクター」を表示
させて使用するユーザーをいうものである旨主張する。
しかしながら,上記①について,「仮想モール」は「表示部に…表示」される必要があるのであるから,「ほぼ同時にアクセスできる仕組みになっていれば足りる」と解することはできない。
上記②について,そもそも,「仮想モール」は,本件特許請求の範囲中の用語で
あり,これを例示と解すべき根拠となる記載は,本件特許請求の範囲にはないから,「仮想モール」を「店の表示形態の例示にすぎない」ということはできない。上記③について,本件特許請求の範囲の文言上,「基本キャラクター」は「データベースに用意された複数のキャラクターから」「気に入った」ものとして決定されるものであるから,これをユーザーをいうものと解することはできない。(ウ)証拠(乙4)によると,被告システムにおいて,「ショップ」でアイテムを購入する際の画面表示は,次のとおりであると認められる。
すなわち,①被告システムでは,液晶表示部に,「ショップ」というカテゴリーの表示とピグとが表示されており,②ユーザーが「ショップ」というカテゴリーの表示を選択するなどすると,各種の「ショップ」が,アイテムの種類の記載やアイテムを装着するなどしたキャラクターの表示と共に一覧表示された「ショップ一覧」
画面に移行すること,③その中から特定の「ショップ」を選択すると,当該「ショップ」で取り扱われているアイテムが一覧表示された画面に移行すること,④その中から特定のアイテムを選択すると,ピグが当該アイテムを装着した画像が表示された試着画面に移行すること,⑤更に「レジへすすむ」又は「購入する」との表示を選択することで,当該アイテムの購入画面に移行して購入する手順となること,
「ショップ一覧」画面(上記②)やアイテムが一覧表示された画面(上記③),購入画面(上記⑤)が表示されているときにはピグは表示されていないことが認められる。
そうすると,被告システムでは,複数の仮想店舗と遊歩のための空間とが表示されないから,そもそも,「仮想モール」に対応する構成を有しているとはいえない。
この点を措いても,単なる「ショップ」というカテゴリーの表示を「仮想モール」に対応するものということはできないし,さらに,「ショップ一覧」画面の表示を「仮想モール」に対応する構成として特定したとしても,同画面が表示されているときにピグは表示されないから,表示部に「仮想モール」と「基本キャラクター」とが同時に表示される構成を有していない。

また,被告システムでは,「ショップ一覧」画面やアイテムが一覧表示された画面に加えて,購入画面が表示されている際にもピグが表示されていないから,試着画面でピグが表示されるとしても,ピグが当該ショップに入店して買い物等をする状況が表示されるものともいえず,構成要件Gの「基本キャラクター」が「仮想モール中に設けられた店」で「パーツ」を購入する構成を有するものとはいえない。(エ)したがって,被告システムは,構成要件F及び同Gを充足しない。⑵

小括

以上より,被告システムは,少なくとも,構成要件C,同F及び同Gを充足しないから,文言上,本件発明の技術的範囲に属しない。
3
争点2(被告システムは,本件発明と均等なものとして,その技術的範囲に
属するか)について


均等の要件について

特許請求の範囲に記載された構成に,相手方が製造等をする製品又は用いる方法(以下「対象製品等」という。)と異なる部分が存する場合であっても,①同部分が特許発明の本質的部分ではなく(第1要件),②同部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって(第2要件),③上記のように置き換えることに,当業者が,対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり(第3要件),④対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者が当該出願時に容易に推考できたものではなく(第4要件),かつ,⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たる
などの特段の事情もないとき(第5要件)は,同対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である(最高裁平成6年(オ)第1083号同10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁,最高裁平成28年(受)第1242号同29年3月24日第二小法廷判決・民集71巻3号359頁参照)。



第1要件(非本質的部分)について


特許法が保護しようとする発明の実質的価値は,従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決を実現するための,従来技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段を,具体的な構成をもって社会に開示した点にあるから,特許発明における本質的部分とは,当該特許発明に係る特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であると解すべきである。そして,上記本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の発明の詳細な説明の記載に基づいて,特許発明の課題及び解決手段とその作用効果を把握した上で,特許発明に係る特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによって認定されるべきである(ただし,明細書の発明の詳細な説明に従来技術が解決できなかった課題として
記載されているところが,出願時の従来技術に照らして客観的に見て不十分な場合には,明細書の発明の詳細な説明に記載されていない従来技術も参酌して,当該特許発明の従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が認定されるべきである〔知財高裁平成27年(ネ)第10014号同28年3月25日特別部判決・判時2306号87頁参照〕。)。

これを本件について見ると,前記2で詳述したとおり,本件発明は,「その決定したキャラクターに応じた情報提供料を通信料に加算する課金手段を備え」(構成要件C)ており,また,「表示部に仮想モールと,基本パーツを組み合わせてなる基本キャラクターとを表示させ」(構成要件F),「基本キャラクターが,前記仮想モール中に設けられた店にて前記パーツを購入する」(構成要件G)構成を有し
ているのに対し(なお,「仮想モール」は,内部に複数の仮想店舗と遊歩のための空間とが表示されるものをいい,「基本キャラクター」と同時に表示される必要があると解すべきこと,「仮想モール中に設けられた店」で「パーツ」を購入する際にも「基本キャラクター」が表示される必要があると解すべきことも,前記2のとおりである。),被告システムは,少なくとも,「キャラクターに応じた情報提供
料」を「通信料」に「加算」する構成を備えていない点,「仮想モール」に対応する構成を有していない点において,それぞれ本件発明と相違するところ,以下のとおり,これらの相違部分は,本件発明の本質的部分に当たるというべきであるから,被告システムは,均等の第1要件(非本質的部分)を満たさない。イ
本件明細書の前記1⑵アないしエの各記載によれば,本件発明は,携帯端末
の表示部に気に入ったキャラクターを表示させることができる携帯端末サービスシステムに関するものであって(【0001】),あらかじめ携帯端末自体のメモリーに保存してある複数のキャラクター画像情報から,気に入ったものを選択して,その携帯端末の表示部に表示するなどの従来技術では,携帯端末自体のメモリーに保存できる情報量には限りがあるため,キャラクター選択にあまり選択の幅がなく,ユーザーに十分な満足感を与え得るものではなく,サービス提供者にとっても,キ
ャラクター画像情報により効率良く利益を得るのは困難であったことから(【0002】,【0003】),同問題点を解決し,「ユーザーが十分な満足感を得ることができ,且つ,サービス提供者は利益を得ることができる携帯端末サービスシステムを提供する」ため(【0004】),本件特許請求の範囲の請求項1記載の構成(構成要件Aないし同Hの構成)を備えることにより,ユーザーにとっては,キ
ャラクター選択をより楽しむことができ,また,サービス提供者にとっては,キャラクター画像情報の提供により効率良く利益を得ることができ(【0005】),さらに,ユーザーは,種々のパーツを組み合わせてキャラクターを創作するというゲーム感覚の遊びをすることができ,十分な満足感を得ることができ,また,「仮想モールと,基本キャラクターとが表示された表示部を見ながら,基本キャラクタ
ーを自分に見立て,さながら自分が仮想モール内を歩いているようなゲーム感覚で,その仮想モール内に出店された店に入り,パーツという商品を購入することで,基本キャラクターを気に入ったキャラクターに着せ替えて,楽しむことができ,新たな楽しみ方ができて十分な満足感を得ることができる」(【0006】)というものとされていることが理解できる。

そうすると,本件明細書では,本件発明は,サービス提供者がキャラクター画像情報により効率良く利益を得るのは困難であったという従来技術の問題点を解決して,サービス提供者が画像情報の提供により効率良く利益を得ることができる携帯端末サービスシステムを提供することを目的の一つとするものであって,構成要件Cの「その決定したキャラクターに応じた情報提供料を通信料に加算する課金手段を備え」るとの構成は,まさに,従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決(サービス提供者がキャラクター画像情報により効率良く利益を得ることができる携帯端末サービスシステムを提供すること)を実現するための,従来技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段(課金手段)としての具体的な構成として開示されているものいうべきである。また,本件発明は,ユーザーに十分な満足感を与え得るものではなかったという従来技術の問題点を解決して,ユーザーが十分
な満足感を得ることができる携帯端末サービスシステムを提供することを他の目的とするものであって,「表示部に仮想モールと,基本パーツを組み合わせてなる基本キャラクターとを表示させ」るとの構成を含む構成要件F及び「基本キャラクターが,前記仮想モール中に設けられた店にて前記パーツを購入する」との構成を含む構成要件Gは,さながら自分が仮想モール内を歩いているようなゲーム感覚で商
品を購入するなどして十分な満足感を得ることができるという本件発明に特有な作用効果に係るものであって,構成要件A,同B,同D及び同Eとともに,まさに,従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決(ユーザーが十分な満足感を得ることができる携帯端末サービスシステムを提供すること)を実現するための,従来技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段(ゲーム感覚の実現)として
の具体的な構成として開示されているものというべきである。
他方で,後述する引用例1(乙6)の開示(iモード上に用意された複数のキャラクタ画像を受信し,これを待受画面として利用することができる携帯電話機)及び引用例2(乙7)の開示(画像情報の提供に係る対価の課金を通話料金に含ませるもの)に照らすと,本件明細書において従来技術が解決できなかった課題として
記載されているところは,客観的に見て不十分であるといい得るが,本件明細書の従来技術の記載に加えて,引用例1及び同2の開示を参酌したとしても,本件発明は,ユーザーが十分な満足感を得ることができ,かつ,サービス提供者が利益を得ることができる携帯端末サービスシステムを提供するものであり,従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決を実現するための具体的な構成として,構成要件AないしHを全て備えた構成を開示するものであるから,これら全てが従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分に当たるというほかない。以上によれば,本件発明と被告システムとの相違部分は,いずれも本件発明の本質的部分に係るものと認めるのが相当である(なお,上記認定判断は,後述する本件特許の出願経過とも整合するところである。)。

原告の主張について

原告は,構成要件Cは非本質的部分である旨主張するが,課金手段なくして,サービス提供者が画像情報の提供により効率良く利益を得ることができる携帯端末サービスシステムを提供するという本件発明の目的を達成し得ないことは,明らかであるところ,本件明細書では,従来技術には見られなかった新たな課金手段として,構成要件Cの「その決定したキャラクターに応じた情報提供料を通信料に加算する
課金手段を備え」るとの構成を開示したものであることは,既に説示したとおりであるから,同構成が本件発明の本質的部分に当たらないという原告主張は,本件明細書の記載に基づかないものであり,採用することができない。
また,原告は,「仮想モール」は店の表示形態の例示にすぎないなどとした上で,構成要件F及び同Gのうち,本件発明の本質的部分となるのは,「創作決定手段に,
前記表示部に基本パーツを組み合わせてなる基本キャラクターを表示させ」との部分(構成要件F’)及び「基本キャラクターが,店でパーツを購入することにより,パーツ毎に準備された複数のパターンから一つのパターンを決定し,基本キャラクターを気に入ったキャラクターに着せ替える操作により,気に入ったキャラクターを創作決定する着せ替え部を備える」との部分(構成要件G’)にすぎない旨の主
張もするが,「仮想モール」は本件発明に特有な作用効果に係るものであって,店の表示形態の単なる例示にすぎないとはいえないことは,既に説示したとおりであるから,原告の上記主張は,その前提を欠くものであり,また,本件明細書の記載に基づかないものであって,採用することができない。

したがって,「キャラクターに応じた情報提供料」を「通信料」に「加算」
する構成を備えておらず,また,「仮想モール」に対応する構成を有していない被告システムは,均等の第1要件(非本質的部分)を満たさない。


第5要件(特段の事情)について


本件特許の出願経過

後掲の証拠によると,本件特許の出願経過として,次の各事実が認められる。(ア)出願当初の特許請求の範囲の記載は,次のとおりであった(乙11)。「【請求項1】

表示部と,電話回線網への通信手段とを備える携帯端末から,

前記電話回線網に接続されたデーターベースにアクセスすることによって,前記データベースに用意された複数のキャラクターから,表示部に表示すべき気に入ったキャラクターを決定し,その決定したキャラクターを前記表示部にて表示自在となるように構成してある携帯端末サービスシステムであって,その決定したキャラクターに応じた情報提供料を通信料に加算する課金手段を備える携帯端末サービスシステム。
【請求項2】

前記キャラクターが,複数のパーツを組み合わせて形成するように
構成してあり,気に入ったキャラクターを決定するにあたって,前記データーベースにアクセスすることによって,複数のパーツ毎に準備された複数のパターンから一つのパターンを選択することにより,少なくとも一つ以上のパーツを気に入ったパーツに決定し,複数のパーツを組み合わせて,気に入ったキャラクターを創作決定する創作決定手段を備える請求項1記載の携帯端末サービスシステム。【請求項3】

前記課金手段が,前記複数のパーツ夫々を気に入ったパーツに決定
する毎に,各パーツに応じた情報提供料を通信料に加算するように構成してある請求項2記載の携帯端末サービスシステム。
【請求項4】

前記キャラクター,又は,複数のパーツのうちの一つが,顔をかたどったものであり,前記創作決定手段に,複数の顔作成用パーツ毎に準備された複数のパターンから一つのパターンを選択し,各顔作成用パーツを決定し,その決定した複数の顔作成用パーツを組み合わせることにより,気に入った顔を創作決定するモンタージュ部を備える請求項2又は3記載の携帯端末サービスシステム。【請求項5】

前記創作決定手段に,前記表示部に仮想モールと,基本パーツを組
み合わせてなる基本キャラクターとを表示させ,前記基本キャラクターが,前記仮想モール中に設けられた店にて前記パーツを購入することにより,前記パーツ毎に準備された複数のパターンから一つのパターンを決定し,前記基本キャラクターを気に入ったキャラクターに着せ替える操作により,気に入ったキャラクターを創作決定する着せ替え部を備える請求項2~4のいずれか1項に記載の携帯端末サービスシステム。
【請求項6】前記店が,前記複数のパーツ毎に対応して,複数設けてある請求項5記載の携帯端末サービスシステム。
【請求項7】前記携帯端末がメロディ再生手段を備えており,前記店にてメロディ
情報を購入することができるようし,前記課金手段が,その購入毎にメロディ情報提供料も通信料に加算するように構成してある請求項5又は6記載の携帯端末サービスシステム。」
上記によれば,実質的にみて,出願当初の特許請求の範囲の請求項1記載の発明は,構成要件A,同B,同C及び同Hからなる発明であり,同2記載の発明は,構
成要件A,同B,同C,同D,同E及び同Hからなる発明であり,同5記載の発明のうち,同2を引用するものは,構成要件A,同B,同C,同D,同E,同F,同G及び同Hからなる発明であったといえる。
(イ)特許庁審査官は,平成21年10月19日を起案日とする拒絶理由通知書(甲20)において,出願当初の特許請求の範囲の請求項1及び同2に係る各発明
については,それぞれ,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない旨,他方で,請求項5ないし同7に係る各発明については,拒絶の理由を発見しない旨通知した。
なお,上記拒絶理由通知書において,出願当初の特許請求の範囲の請求項1記載の発明に関し,拒絶理由の根拠として引用された刊行物は,引用例1(乙6)及び引用例2(乙7)であるところ,引用例1には,iモード上に用意された複数のキャラクタ画像の中からユーザが選択したキャラクタ画像を配信サービスによって受信し,これを待受画面として利用することができる携帯電話機が開示されており,また,引用例2には,携帯無線電話装置から各種画像情報を管理する情報処理センターに対して発呼し,所望の画像情報の提供を要求してこれを受信すること(【0042】),当該画像情報の提供に係る対価の課金を通話料金に含ませること
(【0051】,【0053】)が開示されている。
(ウ)原告は,平成21年12月25日付け手続補正書(甲21)により明細書を補正し,これにより,特許請求の範囲は,登録時のもの(本件特許特許請求の範囲〔前記前提事実⑴〕)となった。なお,原告は,同日付け意見書(甲22)により,本件特許請求の範囲の請求項1について,出願当初の特許請求の範囲の請求項1に,
同2及び同5を統合したものである旨主張した。
(エ)これに対し,特許庁審査官は,拒絶の理由を発見しないとして,特許査定をした(甲23)。

検討

上記アの出願経過に照らせば,原告は,構成要件A,同B,同C及び同Hからなる発明(出願当初の特許請求の範囲の請求項1に係る発明)及び構成要件A,同B,同C,同D,同E及び同Hからなる発明(出願当初の特許請求の範囲の請求項2に係る発明)については,特許を受けることを諦め,これらに代えて,構成要件A,同B,同C,同D,同E,同F,同G及び同Hからなる発明(出願当初の特許請求の範囲の請求項1に同2及び同5を統合した発明,すなわち本件発明)に限定して,
特許を受けたものといえる。
そうすると,原告は,構成要件F(「表示部に仮想モールと,基本パーツを組み合わせてなる基本キャラクターとを表示させ」)及び同G(「基本キャラクターが,前記仮想モール中に設けられた店にて前記パーツを購入する」)の全部又は一部を備えない発明については,本件発明の技術的範囲に属しないことを承認したか,少なくともそのように解されるような外形的行動をとったものといえる。したがって,「仮想モール」に対応する構成を有していない被告システムについては,均等の成立を妨げる特段の事情があるというべきであり,同システムは,均等の第5要件(特段の事情)を充足しない。


小括

以上より,被告システムは,少なくとも,均等の第1要件(非本質的部分)及び第5要件(特段の事情)を充足しないから,本件発明と均等なものとして,その技術的範囲に属するものとはいえない。
4
結論

よって,その余の争点について判断するまでもなく,原告の本件請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第29部

裁判長裁判官

嶋末和秀天野研司
裁判官
裁判官

西山芳樹
別紙
被告システム目録

1
フィーチャーフォン版アメーバピグ

URL

2
http://

以下省略

スマートフォン版アメーバピグ

URL

http://

以下省略

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