判例検索β > 平成28年(ネ)第899号
損害賠償請求控訴事件、仮執行の原状回復及び損害賠償を命ずる裁判の申立事件
事件番号平成28(ネ)899
事件名損害賠償請求控訴事件,仮執行の原状回復及び損害賠償を命ずる裁判の申立事件
裁判年月日平成29年10月27日
法廷名大阪高等裁判所
原審裁判所名京都地方裁判所
原審事件番号平成25(ワ)1446
裁判日:西暦2017-10-27
情報公開日2017-11-22 20:00:08
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主1文
1審被告の控訴に基づき,原判決中1審原告A及び1審原告Bに関する部分を次のとおり変更する。
1審被告は,1審原告Aに対し,1358万7325円及びうち1220万2863円に対する平成25年8月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
1審被告は,1審原告Bに対し,257万1160円及びこれに対する平成25年8月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
1審原告A及び1審原告Bのその余の請求をいずれも棄却する。

23
1審原告らの各控訴をいずれも棄却する。
1審原告Aは,1審被告に対し,1155万6231円及びこれに対する平成28年3月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
1審原告Bは,1審被告に対し,434万3329円及びこれに対する平成28年3月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
1審被告のその余の申立てを棄却する。

4
訴訟費用(前項の裁判に関する費用を含む。)は,第1,2審を通じて,1審原告Aに生じた費用と1審被告に生じた費用の60分の37を8分し,その7を1審原告Aの負担とし,その余を1審被告の負担とし,1審原告Bに生じた費用と1審被告に生じた費用の60分の16を20分し,その19を1審原告Bの負担とし,その余を1審被告の負担とし,1審原告Cに生じた費用と1審被告に生じた費用の60分の4を1審原告Cの負担とし,1審原告Dに生じた費用と1審被告に生じた費用の60分の2を1審原告Dの負担とし,1審原告Eに生じた費用と1審被告に生じた費用の60分の1を1審原告Eの負担とする。

第1
1実及び理由
当事者の求めた裁判
1審原告ら(控訴の趣旨)
原判決を次のとおり変更する。
1審被告は,1審原告Aに対し,1億1609万5185円及びうち6757万1263円に対する平成25年8月29日から,うち4030万3962円に対する平成23年3月12日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
1審被告は,1審原告Bに対し,4823万3014円及びうち3300万円に対する平成25年8月29日から,うち1180万円に対する平成23年3月12日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。1審被告は,1審原告Cに対し,1163万7671円及びうち1100万円に対する平成25年8月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
1審被告は,1審原告Dに対し,545万8846円及びこれに対する平成25年8月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。1審被告は,1審原告Eに対し,298万6146円及びこれに対する平成25年8月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。訴訟費用は,第1,2審とも1審被告の負担とする。
仮執行宣言

2
1審被告(控訴の趣旨及び民訴法260条2項による裁判を求める申立て)原判決中1審被告敗訴部分を取り消す。
上記部分につき,1審原告A及び1審原告Bの請求をいずれも棄却する。1審原告Aは,1審被告に対し,2671万4494円及びこれに対する平成28年3月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。1審原告Bは,1審被告に対し,724万5487円及びこれに対する平成28年3月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。訴訟費用は,第1,2審とも1審原告A及び1審原告Bの負担とする。第2
1
事案の概要
1審原告らは,福島第一原子力発電所(以下本件原発という。)を設置・運営する1審被告に対し,平成23年3月11日に発生した本件原発における事故(以下本件事故という。)のために,1審原告Eを除く1審原告らは当時居住していた福島県郡山市から自主避難せざるを得なくなり,1審原告Aが精神疾患に罹患したことで,1審原告らは精神的苦痛を被った,1審原告A及び1審原告Bは就労ができなくなったなどと主張して,原子力損害の賠償に関する法律(以下原賠法という。)3条1項本文に基づき,1審原告Aが損害合計1億1609万5185円(弁護士費用900万円及び遅延損害金の一部821万9960円を含む。)及びうち6757万1263円に対する平成25年8月29日から,うち4030万3962円に対する平成23年3月12日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を,1審原告Bが4823万3014円(弁護士費用300万円及び遅延損害金の一部343万3014円を含む。)及びうち3300万円に対する平成25年8月29日から,うち1180万円に対する平成23年3月12日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を,1審原告Cが1163万7671円(弁護士費用100万円及び遅延損害金の一部63万7671円を含む。)及びうち1100万円に対する平成25年8月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を,1審原告Dが545万8846円(慰謝料500万円及び弁護士費用50万円の合計額に既払金の一部を充当した残額)及びこれに対する同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を,1審原告Eが298万6146円(慰謝料300万円及び弁護士費用30万円の合計額に既払金の一部を充当した残額)及びこれに対する同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を,それぞれ支払うよう求めた。
原審は,1審原告Aの請求を,2401万8026円及びうち2148万6111円に対する平成25年8月29日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容し,その余を棄却し,1審原告Bの請求を,644万8809円及びうち631万円に対する同日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容し,その余を棄却し,1審原告C,1審原告D及び1審原告Eの請求をいずれも棄却した。そこで,1審原告らは,いずれも控訴を提起し,1審被告は,1審原告A及び1審原告Bに対する控訴を提起するとともに,原判決の仮執行の宣言に基づく債権差押命令の執行を受けて,平成28年3月25日,1審原告Aに2671万4494円を,1審原告Bに724万5487円をそれぞれ支払っているとして,民訴法260条2項に基づき,原状回復及び損害賠償として,1審原告A対し,2671万4494円及びこれに対する同月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による損害金の支払を,1審原告Bに対し,724万5487円及びこれに対する同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による損害金の支払をそれぞれ求めた。
2
基礎となる事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,原判決を次のとおり補正し,後記3として当審における当事者の補充主張を付加するほか,原判決の事実及び理由第2の2から4まで(原判決4頁23行目から30頁10行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。
原判決4頁26行目から5頁1行目にかけての株式会社FをF株式会社に改める。原判決5頁5行目の結婚を婚姻に改める。
原判決8頁17行目の次に改行して

平成27年12月25日,1審原告らは,芦屋の住居から盛岡市a丁目b番c号に転居した。

を加える。原判決10頁26行目の8万円の次に(精神的損害等に対する賠償)を加え,これらの者以外の者に対してはを対象者を限定せずに改める。
原判決11頁1行目の4万円の次に(追加的費用等に対する賠償)を加える。
原判決12頁2行目の以下のとおりの次に合計831万3593円を加える。
原判決13頁13行目から14行目にかけての起業しようとしたものの,その見通しが立たず,また,同市でを削除する。原判決13頁16行目の文頭から21行目の時間を要すること,までを削除する。
原判決13頁25行目から14頁2行目までを削除する。
原判決17頁20行目の原告らが,から23行目のであるから,
までを削除する。
原判決19頁23行目のや起業を削除する。
原判決21頁23行目の基準額をから25行目の末尾までを

基準額を月額120万円,平成23年3月から原審口頭弁論終結日である平成27年11月10日までを就労不能期間として,本件事故に伴う休業損害6760万円が認められるべきである。

に改める。原判決22頁2行目のGの次に(以下「Gということもある。)」を加える。
原判決25頁1行目の40万円の前に月額を加える。
原判決25頁2行目の休業損害の次に2180万円を加える。
原判決25頁5行目のイ記載の主張をウ記載の主張に改める。
原判決25頁19行目のア記載のとおりをイ記載のとおりに改め
る。
3
当審における当事者の補充主張
1審原告ら

争点1(1審原告Aが支出した自主避難に伴う費用は,本件事故と相当因果関係のある損害に当たるか)について
1審原告らは,1審原告Aが金沢市においても京都市においても共に避難してきた従業員を含めて皆で起業しようと考えてそのための努力をしてきた旨の従前の主張を改める。1審原告Aは,自主避難を実行した後,遅くとも平成23年4月以降今後の身の振り方について次のように考えていた。
a
当時9歳であった1審原告C,2歳であった1審原告D及び妊婦であった1審原告Bを,当分,郡山市に帰還させることはできない。
b
自分としては,Hを再開し,Fを再建したい。

c
当分は,妻子を避難先に残して,自分一人が郡山市に帰ることはできない。

d
第三子の出産が無事終わり,避難先での生活が落ち着いた段階で,自分一人が郡山市に帰ってFの業務に復帰し,家族とは二重生活をする。
原判決は,科学的知見等に照らせば年間20mSvを下回る被ばくが健
康に被害を与えるものと認めることは困難といわざるを得ない旨説示し,年間20mSvを下回る長期低線量被ばくによる健康リスクの立証責任を1審原告らに負わせ,これが積極的に認められない限り,年間20mSvを下回った地域からの自主避難者については自主避難を続ける合理性がないとするが,問題は,長期低線量被ばくの健康リスクについて様々な考え方が錯綜している中で自主避難者が自主避難を続けるという選択をしてきたことが不合理と評価できるか否かなのであって,これは,帰還した場合に子供たちが受ける健康被害のリスクの有無,程度,解明度(現代の科学がどこまで明らかにしているか)を中心に,やり直しのできない子育てという営みに従事している親の立場に立ち,他の自主避難者の動向等も勘案して総合的に判断すべきものである。

争点3(1審原告Aの休業損害は,本件事故と相当因果関係のある損害に当たるか)について
避難を理由として就労不能損害が発生するのは,避難先で新しい収入の方策が見付かるまでの期間又は通常であれば避難先で新しい収入の方策が見付かるであろうと考えられる期間と解すべきであって,原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介手続において,和解が成立したケースにおける就労不能損害は6か月間とするものが最も多い(乙57)ことにもかんがみると,通常の就労不能期間は6か月程度と考えるのが相当である。
したがって,1審原告Aについては,平成23年7月までは通常の就労不能期間として,同年8月からは精神疾患を理由として,就労不能損害が発生したというべきである。
原判決は,本件送金①はFに帰属する金員を1審原告Aが避難先において管理するために行われた送金であり,本件送金②ないし⑤は1審原告らの避難先での生活費等の資金に充てる目的で行われた送金であり,本件送金⑥は1審原告AのGからの借入れであると認定したが,本件送金⑤が1審原告Aの借入金であることは甲C44ないし46から明らかであって,1審原告Aは,平成28年4月12日Gに670万円を,同月21日同社に50万円をそれぞれ送金しており(甲A33),これらは,本件送金⑤及び⑥に対する返還である。また,甲A34からも,本件送金①ないし④が同社の金銭の管理換えであることは明らかであるが,そもそも,同社の実情に応じて,1審原告A,1審原告B及びIは,平成23年4月以降の役員報酬の支給を辞退したのであるから,別途,1審原告らの避難先での生活費等の資金に充てる目的で行われた送金を受けることなどあり得ないし,同社の代表取締役に就任する際に上記役員報酬を支払えないことを通告したGが上記目的で送金することもあり得ない。
1審被告

争点1(1審原告Aが支出した自主避難に伴う費用は,本件事故と相当因果関係のある損害に当たるか)について
後記ウのとおりの郡山市内の放射線量や自主避難の状況等に照らすと,自主避難の合理的期間は,1審原告Aについて平成23年4月22日頃まで,1審原告Bについて同年12月末まで,その余の1審原告らについて平成24年8月末までと解するのが相当である。


争点2(1審原告Aが支出した通院に伴う費用は,本件事故と相当因果関係のある損害に当たるか)及び3(1審原告Aの休業損害は,本件事故と相当因果関係のある損害に当たるか)について
原判決は,J医師作成の診断書(甲A5)及びK医師作成の診断書(甲A7)を根拠に1審原告Aが不眠症及びうつ病に罹患した旨認定しているが,上記両医師の診断経過は全く不明で,適式な診断基準に従った問診や検査が行われた形跡は全くうかがわれない上,上記両医師は精神科医ではないにもかかわらず,上記各診断書では,1審原告Aの症状について自主避難に起因すると断定的に記載されるとともに就労できない旨記載されており,1審原告Aの主訴及び説明を漫然と受け入れて作成されたことが明らかであって,その記載内容の医学的信用性・妥当性には大きな疑問があるから,上記各診断書は,上記認定の医学的根拠資料とはなり得ない。
また,原判決は,L医師作成のカルテ,回答書及び陳述書(甲A9,10,15,17,24)に基づき,今なお1審原告Aにうつ病の症状が残存し,就労不能状態にあると認定しているが,同医師は高齢を理由に証人尋問を拒否している上,同医師作成のカルテ及び陳述書についても著しく信頼性を欠くものとなっている(乙93)から,同医師の意見に基づき,罹患の有無及び就労不能状態の有無について認定することは相当でない。
仮に1審原告Aのうつ病又はこれに類する症状の罹患が認められる余地があるとしても,うつ病については,一般に治療開始から6か月以内にリハビリ勤務を含めた職場復帰が可能となり,9割以上が治療開始から2年以内に治癒(症状固定)になるとされている。原判決は,L医師の意見に基づき,本件事故から4年半以上が経過した時点においても,1審原告Aにうつ病の症状が残存しているだけでなく,それにより就労不能状態にあると認定しているが,明らかに常識外の判断であって,誤りである。

争点5(本件事故と相当因果関係のある1審原告らの慰謝料額)について
本件事故による政府の避難指示等の対象区域とされなかった区域である郡山市内においては,空間放射線量は年間20mSvを大きく下回っていることに照らしても,生活を送る上で支障のない水準であり,実際に大多数の住民が自主避難を選択していないという事実関係の下では,本件事故による放射線の影響を懸念して,本件事故発生直後の時期において自主避難を選択することに合理性が認められるとしても,そのような合理性が認められる期間には自ずと合理的な限度があると解される。そして,本件事故から1か月以上が経過した平成23年4月22日には,本件原発から20~30㎞圏内の屋内待避指示が解除され,緊急時避難準備区域に指定されるなど本件事故の状況も落ち着きを見せており,また,新聞報道等においても,避難指示等の対象区域外において生活に問題はない旨の情報が提供されており,そのような情報も広く周知される状況に至っていると認められることにかんがみても,大人の場合には同日頃までをもって,本件事故と相当因果関係のある精神的苦痛の賠償期間と解するのが合理的である。原判決は,1審原告A及び1審原告Bに対し,本件事故と相当因果関係のある精神的損害(1審原告Aにつき疾患に罹患したことによる苦痛を除いた慰謝料)として各100万円の損害額を認定しているが,本件事故による放射線の客観的なリスクは1審原告らに対して具体的な健康被害や影響を及ぼす程度のものではなく,そのような情報は広く周知されており,実際に大多数の郡山市の住民は自主避難をしていないことなどの事情を踏まえれば,本件事故に起因する放射線被ばくによって,直ちに1審原告らの具体的な法的に保護された権利利益が侵害されているとまではいえないが,他方,本件事故後の状況の下で,客観的リスクに基礎付けられているとはいえないものの,一定の期間において不安を感じ,それに基づく行動を採ることは合理的でないとはいえないことを重視して,中間指針追補等においては,かかる不安に基づく日常生活阻害に係る慰謝料を賠償することとしているものであり,大人である1審原告Aに対する8万円,平成23年8月11日まで妊婦であった1審原告Bに対する40万円の精神的損害等の各賠償額には合理性がある。

争点7(本件事故が1審原告Aの精神疾患に寄与した度合)について原判決が1審原告Aの精神疾患罹患による通院費用,精神的損害及び休業損害を認めているのは失当であるが,仮に何らかの休業損害等が認められるとしても,避難終了(平成23年4月1日)から約半年後にうつ病の診断を受けていることなどの事情を踏まえると,本件事故による寄与度は原判決が認定する4割を更に下回るものとされるべきである。

第3
1
当裁判所の判断
1審原告らの生活歴等及びFの事業等
原判決を次のとおり補正するほか,原判決の事実及び理由第3の1(原判決30頁12行目から32頁17行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。
原判決30頁12行目の22,の次に29,を加える。
原判決30頁12行目から13行目にかけての52の次に

,枝番がある場合は個別に表記しない限り全てを含む。以下同じ。1審原告A

を加える。
原判決30頁17行目の結婚を婚姻に改める。
原判決31頁2行目の原告AをIに改める。
原判決31頁5行目及び6行目を

京都市への転居後も,Iは,起業すべくコンビニ経営の準備を進め,dの住居から転居後,コンビニ経営を始めることになった。

に改める。原判決32頁7行目の4月18日を4月1日に改める。
2
争点1(1審原告Aが支出した自主避難に伴う費用は,本件事故と相当因果関係のある損害に当たるか)について
認定事実
原判決を次のとおり補正するほか,原判決の事実及び理由第3の2(原判決32頁20行目から40頁16行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。

原判決32頁26行目の2件を2軒に改める。


原判決33頁4行目の終息を収束に改める。


原判決34頁21行目の事故の前に原発を加える。


原判決34頁26行目から35頁1行目にかけての600万人を
500万人に改める。


原判決35頁13行目の小児の甲状腺被ばく調査の次に等を加
える。

原判決38頁7行目及び13行目の本件検査の次にいずれも(先行検査)を加える。

原判決38頁14行目の次に改行して

また,平成28年12月31日現在の本件検査(本格検査)の結果によると,小児甲状腺がんの悪性ないし悪性疑いとされた者は69名である(甲B141の1)。

を加える。

原判決39頁21行目の福島県郡山市の次にの郡山合同庁舎3階(屋外)を加える。

原判決39頁24行目末尾に

なお,郡山合同庁舎東側入口付近に設置されたモニタリングポストの測定値が毎時3.8μSvを下回るようになったのは,同月25日午前9時以降である(乙8)。

を加える。判断
原判決を次のとおり補正するほか,原判決の事実及び理由第3の2のから

まで(原判決40頁17行目から46頁4行目まで)記載のとおり
であるから,これを引用する。

原判決40頁19行目の新規事業の前にIがを加える。


原判決40頁20行目から21行目にかけての起業するにはの前に同人がを加える。


原判決41頁7行目の文頭から9行目のしかし,までを削除する。

原判決41頁14行目の金沢市での起業の前にIのを加える。


原判決42頁19行目の被告が,から22行目の「できる。」までを次のとおりに改める。
1審被告は,本件事故発生当時に自主避難等対象区域に生活の本拠としての住居があった者等を対象にして,一定の賠償を行う方針を示し,1審原告C,1審原告D及び1審原告Eに対しそれぞれ60万円(対象期間平成23年3月11日から同年12月31日まで)と12万円(8万円につき対象期間平成24年1月1日から同年8月31日まで)を賠償した(基礎となる事実ウ,)こと,平成23年,24年当時は,上記1審原告ら3名の年齢に照らし,同人らの自主避難には保護者の付添いが必要であったこと,自主避難当初1審原告Bは妊娠中で出産後一定期間が経過するまでは同人のみで子らの監護をするのは困難であったこと,1審原告Aは自主避難の当初第三子出生後平成23年秋か同年内には郡山市に帰るつもりであった(1審原告A)ことなどからすると,1審原告Aについては平成23年10月31日までの間,その余の1審原告らについては平成24年8月31日までの間,自主避難を続けることに合理性を認めることができる(なお,原審において,1審原告ら全員について平成24年8月31日まで自主避難を続けることの合理性を1審被告が争っていなかったとしても,自主避難の認められる合理的期間は法的評価であるから,自白は成立しない。)。カ
ウ原判決43頁18行目の次に改行して次のとおり加える。1審原告らは,自主避難の合理性の問題は,長期低線量被ばくの健康リスクについて様々な考え方が錯綜している中で「自主避難者が自主避難を続けるという選択をしてきたことが不合理と評価できるか否かなのであって,これは,帰還した場合に子供たちが受ける健康被害のリスクの有無,程度,解明度(現代の科学がどこまで明らかにしているか)を中心に,やり直しのできない子育てという営みに従事している親の立場に立ち,他の自主避難者の動向等も勘案して総合的に判断すべきものである旨主張する。しかし,当審において提出された証拠を含めて検討しても,年間20mSvを下回る被ばくが健康に被害を与えるものと認めるには足りないから,本件事故後の郡山市内の放射線量に1審原告らが危惧感を有していたとしても,年間20mSvを下回るようになった後において自主避難の合理性を認めることは,放射線の危険性に関する一般的な理解の状況をはじめとする諸事情を考慮しても,困難であるというべきであって,1審原告らの自主避難に合理性が肯定される期間は前記アのとおりと認めるのが相当である。低線量被ばくの危険性を肯定する考え方があるとしても,これが諸説の中で占める位置その他の状況にかんがみると,そのような考え方の存在から直ちに1審原告らの不安に合理性を認めることはできず,1審原告らの上記主張は採用することができない。」

原判決44頁23行目の平成24年8月31日の前に1審原告Aを除く1審原告らがを加える。

原判決45頁2行目の損害に当たるの次に

(ただし,1審原告Aが1審被告に請求し得る額は,同人自身の自主避難に合理性の認められる期間や1審原告Eの出生時期を考慮して,後記のとおりとなる。)

を加える。


原判決45頁16行目の88万円から17行目の55万円まで
を8万円(同年10月の家賃)を8で除し,5を乗じた額である5万円と,80万円(同年11月から平成24年8月までの家賃)を8で除し,4を乗じた額である40万円に改める。

原判決45頁18行目の78万4777円を68万4777円
に改める。


原判決46頁4行目の133万4155円を123万4155円
に改める。

3
争点2(1審原告Aが支出した通院に伴う費用は,本件事故と相当因果関係のある損害に当たるか)について
認定事実
原判決を次のとおり補正するほか,原判決の事実及び理由第3の3(原判決46頁7行目から51頁12行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。

原判決46頁7行目の5ないし7を5ないし8に改める。

原判決46頁24行目の11月28日を11月18日に改める。


原判決47頁2行目の現在に至るまでを平成27年6月頃まで
に改める。


原判決48頁10行目の甲の次にA23,を加える。


原判決48頁13行目の,24を削除する。


原判決49頁23行目の易怒性を易刺激性に改める。
判断
原判決を次のとおり補正するほか,原判決の事実及び理由第3の3のから

まで(原判決51頁13行目から54頁16行目まで)記載のとお
りであるから,これを引用する。

原判決52頁24行目から25行目にかけての改善傾向がみられるものの,現在においても抑うつ状態が継続していることをその後,平成27年6月頃まで抑うつ状態が継続していたことに改める。

原判決52頁25行目の次に改行して次のとおり加える。
1審被告は,J医師作成の診断書(甲A5)に疑問を呈するが,1審原告Aは,不眠を訴えて平成23年5月2日に受診した後,J医師から処方された睡眠導入剤を必要に応じて服用していた(乙115,1審原告A)ことに照らすと,同医師が精神科の専門医でないとしても,1審原告Aを不眠症と診断した部分について上記診断書の信用性が否定されるものではない。また,1審被告は,K医師作成の診断書(甲A7)にも疑問を呈するが,1審原告Bは,同年8月頃には1審原告Aが1日中部屋に閉じこもるようになるなど様子がおかしくなったことを感じ,1審原告Eが誕生したのに1審原告Aが喜びを示さなかったことから,同年9月27日,1審原告AをK内科医院で受診させた(甲C35,1審原告A)こと,1審原告Aは,同年11月18日,M病院を受診し,その後,L医師から精神疾患の治療を受けるようになったことに照らすと,K医師が精神科の専門医でないとしても,1審原告Aをうつ病及び不眠症と診断した部分について上記診断書の信用性が否定されるものではない。さらに,1審被告は,L医師作成のカルテ,回答書及び陳述書(甲A9,10,15,17,24)にも疑問を呈するが,1審原告Aに対し,PTSDと診断した部分については採用し難いものの,不眠,不安を伴う抑うつ状態が継続しているとした部分については,1審原告Aの供述に照らしても,その信用性を否定すべき事情は見いだし難い。ウ
原判決53頁3行目の従前と異なる仕事に従事せざるを得なくなったこと,を削除する。

原判決53頁8行目から9行目にかけての本件事故から10行目の見受けられないこと,までを削除する。


原判決53頁16行目の本件事故がを本件事故による自主避難が
に改める。


ウ原判決53頁18行目の次に改行して次のとおり加える。ただし,上記イで指摘した事情に加えて,うつ病について,薬物が奏功する場合には,①急性期から症状が安定するまでの期間としては91%が治療開始から3か月以内,②医学的なリハビリテーション療法としてのリハビリ勤務を含めた職場復帰が可能となるまでの期間としては88%が治療開始から6か月以内,③完全な回復や復職を含む症状固定までの期間としては治療開始から1年以内が79%,2年以内が95%とする報告がある(乙101,102)ことに,前記2のとおり,1審原告Aが自主避難を続けることに合理性を認めることのできる期間は平成23年10月31日までであること,平成24年10月頃までには同居していた従業員等とは全て別居し,それ以降は1審原告ら家族のみの生活になり,他人との共同生活に伴うストレスは消滅していること等を考慮すると,精神疾患に対する治療をM病院で開始した平成23年11月18日から約2年間経過した平成25年11月30日までを本件事故と相当因果関係のあるうつ病の治療期間と認めるのが相当である。キ
原判決54頁1行目の31万8610円に限りを31万8610円のうち,平成25年11月30日までの治療に係る費用合計21万1180円(平成23年9月27日1360円(甲C17),同年11月18日から平成25年3月4日まで13万3900円(甲C18),同月18日から同年11月25日まで7万5920円(甲A23の1から15まで))に限りに改める。

原判決54頁11行目の前記ア,イ記載のとおり,を削除する。


原判決54頁12行目から13行目にかけての平成23年5月2日から平成26年3月17日までの間,合計57回通院していることを平成23年5月2日から平成25年11月25日までの間,合計53回通院していることに改める。

原判決54頁15行目の通院に伴う費用の次に等を加える。


原判決54頁16行目の128万8610円を118万1180円に改める。
4
争点3(1審原告Aの休業損害は,本件事故と相当因果関係のある損害に当たるか)について
認定事実
原判決を次のとおり補正するほか,原判決の事実及び理由第3の4(原判決54頁19行目から56頁14行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。

原判決54頁19行目の19,の次に20,を加える。


原判決54頁20行目の52,54を52ないし56に改め,
D1,の次に2,を加える。


原判決56頁1行目の同年10月を平成23年9月に改める。

原判決56頁3行目の11,の次に19,20,を加える。


原判決56頁11行目の39の次に,1審原告Aを加える。
本件事故による減収の有無及び額
上記

の事実によれば,1審原告Aは,本件事故発生前にはFから一定の
役員報酬の支払を受けていたが,本件事故のため自主避難をして郡山市に戻る見通しが立たなくなったため,同社の代表取締役を退いて今後役員報酬を受領しないこととしたことが認められ,本件地震及び本件事故後の混乱の下,同社は,Nの営業が廃止され,Hの営業も停止している状況で,1審原告A自身が従前と同様の指揮をとることも不可能になっていたのであるから,上記判断はやむを得ないものといえる。
そうすると,自主避難をせずに郡山市においてFの代表取締役を続けていれば1審原告Aが役員報酬を受領していた蓋然性が認められれば,それは本件事故による逸失利益と認められることになる。
そして,上記

のとおり,平成22年6月1日から平成23年2月28日

までの間,Fから,1審原告Aは総額1080万円(月額120万円),1審原告Bは総額360万円(月額40万円)の支給を受けていたところ,1審原告Aに代わって同社の代表取締役に就任したGは,同年6月上旬にHの店舗を移転して規模を縮小した上で営業を再開したものの,当初は役員報酬を受け取れず,同年11月頃から月額60万円の役員報酬を受け取るようになり,平成26年8月頃には月額80万円を受け取っていたが,平成27年1月末にはHの営業を廃止するに至った(甲A39,C33,乙151)ことに照らすと,Fの営業は必ずしも安定的なものではなかったものとみられ,1審原告Aが代表取締役を続けていたとしても,従前と同水準の役員報酬を得られたとは認め難い(なお,上記店舗の移転や営業規模の縮小が本件事故によるものであることを認めるに足りる証拠はない。)から,1審原告Aが得られたであろう役員報酬も控え目にみざるを得ず,本件事故と相当因果関係のある減収は,1審原告Aについて月額45万円と認めるのが相当である(本件事故前の役員報酬に同社の利益配当に相当する分が含まれていたとしても上記判断を左右しない。)。
1審被告は,1審原告Aの減収は,本件事故と関係のないHの再開遅延やフロア規模の縮小というFの経営判断によるものであって,本件事故との相当因果関係はない旨主張するが,1審原告Aは,本件事故による自主避難のため,同社の業務について従前と同様の指揮をとることが不可能になったのであるから,上記のとおり,役員報酬を得られなくなったことを前提としつつ,Fの営業状態を考慮して逸失利益を算定するのが相当である。就労不能期間
1審原告Aは,平成23年5月2日,J医師に不眠症と診断され,同医師作成の診断書(甲A5)中には東日本震災と福島原発事故のため精神的に不安定な状態が続いており,会社経営は当分の間不可能と判断しますとの記載があるが,1審原告Aは,同月の時点で就労が難しいというほどではなく,同年6月頃まではFの取引先から同人のほうにかかってくるクレームの電話に対応していた旨供述していることに照らし,上記記載は採用することができず,他に同年7月頃までの間に1審原告Aが精神疾患のため就労不能状態にあったことを認めるに足りる証拠はない。しかし,本件事故による自主避難者に対し避難先で短期間のうちに就労することを期待するのは困難であって,1審原告Aが同月まで就労していなかったことは自主避難者としてやむを得ないというべきである。
そして,前記のとおり,1審原告Bは平成23年8月頃には1審原告Aが1日中部屋に閉じこもるようになるなど様子がおかしくなったことを感じたことから,同年9月27日,1審原告AをK内科医院で受診させていることからすると,1審原告Aは,同年8月以降,うつ病の症状により就労不能状態にあったと認めるのが相当であるから,本件事故発生日から本件事故と相当因果関係のあるうつ病の治療期間である平成25年11月30日までを本件事故と相当因果関係のある1審原告Aの就労不能期間と認めるのが相当である。
F等からの送金

1審被告は,本件事故後,1審原告AはFから合計800万8809円(本件送金①ないし⑤),Gから合計650万円(本件送金⑥)を受け取っており,これらの金員は同社からの報酬又はこれと同視すべきものであって,休業損害から控除されるべきである旨主張する。


しかし,証拠(甲C33,36,37,39,49から52まで)及び弁論の全趣旨によれば,本件事故直後,Fの従業員のうち郡山市に残った経理担当のOから,同社の金銭を管理する責任を負えないとの申出があったので,1審原告Aが管理することとしてOに本件送金①をさせたこと,同社の代表取締役がGに交代した後も,同人がH再開に向けての作業で手一杯であったため,同社の金銭の管理だけは1審原告Aが引き受けることになり,本件送金②ないし④が行われたこと,1審原告Aは,本件送金①ないし④の中から,同社の経費を支払ったり,営業資金等として,GやPに送金を行ったりした(原判決第3の4


)ことを認めることができ

る。
また,証拠(甲A33,甲C44から46まで)及び弁論の全趣旨によれば,本件送金⑤はFから1審原告Aに対する貸付金,本件送金⑥はGから1審原告Aに対する貸付金であり,1審原告Aは,本件送金⑤及び⑥に対する返還の趣旨で,平成28年4月12日Gに670万円を,同月21日同社に50万円をそれぞれ送金していることを認めることができる。ウ
上記イの認定を覆し,本件送金①ないし⑥の中に,Fから1審原告Aに対する報酬又はこれと同視すべき金員が含まれていることを認めるに足りる証拠はないから,上記アの主張は採用することができない。
以上によれば,本件事故と相当因果関係のある1審原告Aの休業損害は,月額45万円を基準額とし,平成23年3月から平成25年11月までを期間として算出した1485万円と認められる。
5
争点4(1審原告Bの休業損害は,本件事故と相当因果関係のある損害に当たるか)について
原判決を次のとおり補正するほか,原判決の事実及び理由第3の5(原判決59頁11行目から60頁7行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。
原判決59頁12行目から17行目までを次のとおりに改める。
1審原告Bも,1審原告Aと同様の事情で,本件事故による自主避難のためにFの取締役としての職務を遂行し得なくなったというべきであるが,前記4の事情を考慮すると,1審原告Bの本件事故と相当因果関係のある減収は月額15万円と認めるのが相当である。原判決60頁6行目の月額40万円を月額15万円に改める。
原判決60頁7行目の720万円を270万円に改める。
6
争点5(本件事故と相当因果関係のある1審原告らの慰謝料額)について原判決を次のとおり補正するほか,原判決の事実及び理由第3の6(原判決60頁9行目から61頁9行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。
原判決60頁12行目の平成24年8月31日を平成23年10月31日に改める。原判決60頁15行目の100万円を25万円に改める。
原判決60頁24行目の100万円を55万円に改める。
原判決61頁9行目の次に改行して次のとおり加える。

1審被告は,本件事故による放射線の客観的なリスクは1審原告らに対して具体的な健康被害や影響を及ぼす程度のものではないが,中間指針追補等においては,放射線の影響に対する不安に基づく日常生活阻害に係る慰謝料を賠償することとしているものであり,1審原告Aに対する8万円,平成23年8月11日まで妊婦であった1審原告Bに対する40万円の精神的損害等の各賠償額には合理性がある旨主張する。しかし,自主避難の合理的期間は,1審被告が主張するように,1審原告Aにつき平成23年4月22日頃まで,1審原告Bにつき同年12月31日までではなく,1審原告Aにつき同年10月31日まで,1審原告Bにつき平成24年8月31日までと解すべきである上,放射線の客観的リスクや本件事故に起因する放射線被ばくによって1審原告らの具体的な法的に保護された権利利益が侵害されているかどうかが慰謝料額の算定において考慮すべき事情であるとしても,考慮要素はそれらのみにとどまるものではなく,1審原告らの自主避難の経緯や避難先での生活状況等諸般の事情をも考慮すべきであるから,上記主張は採用することができない。7
争点6(1審原告Aの放射能測定費用は,本件事故と相当因果関係のある損害に当たるか)について
原判決61頁15行目の冒頭に郡山市における空間線量については,前記2オのとおり測定結果が公表されているから,これに加えて住居付近の空間線量を測定する必要は乏しい上,を加え,自主避難としての合理性が認められるのはの次に,1審原告Aにつき平成23年10月31日まで,その余の1審原告らにつきを加えるほか,原判決の事実及び理由第3の7(原判決61頁12行目から19行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。
8
争点7(本件事故が1審原告Aの精神疾患に寄与した度合)について原判決を次のとおり補正するほか,原判決の事実及び理由第3の8(原判決61頁21行目から62頁15行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。
原判決61頁24行目の京都市への転居,から26行目のストレスまでを金沢市での差別的視線,京都市への転居,自主避難の長期継続等に伴う本件事故に帰因し得ない様々なストレスに改める。原判決62頁5行目の前記の原告Aの通院に伴う費用から8行目の末尾までを前記の1審原告Aの通院に伴う費用等118万1180円と休業損害1485万円を40%減じ,また,1審原告Bについても1審原告Aの罹患が就労不能の一因であり,慰謝料の算定要素ともなっていることにかんがみ,その休業損害270万円と慰謝料55万円を20%減ずるのが相当である。に改める。原判決62頁15行目の次に改行して次のとおり加える。
1審被告は,避難終了(平成23年4月1日)から約半年後にうつ病の診断を受けていることなどの事情を踏まえると,1審原告Aの精神疾患罹患に対する本件事故の寄与度は原判決が認定する4割を更に下回るものとされるべきであるとも主張するが,前記のとおり,1審原告Aにつき自主避難の合理性が認められる期間は平成23年10月31日までである上,1審原告Aは,同年4月頃から不眠や精神の不調を訴えるようになり,同年8月頃には1日中部屋に閉じこもるようになるなどの行動が見られているものであって,上記期間中の避難生活との関連性を認め得るストレスが主な原因となって1審原告Aは精神疾患を発症したと認められるから,これに対する本件事故のるのが相当であって,上記主張は採用することができない。9
争点8(本件事故と相当因果関係のある損害は,中間指針追補により示された損害に限られるか)について
原判決の事実及び理由第3の9(原判決62頁18行目から63頁1行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。

1審原告A及び1審原告Bの損害額について
以上によれば,本件事故により1審原告A及び1審原告Bに生じた損害は次のとおりとなる。

1審原告A
自主避難に伴う費用

123万4155円

通院に伴う費用等

70万8708円

休業損害

891万0000円

慰謝料(通院慰謝料を除く)
弁護士費用
合イ計
25万0000円
110万0000円

1220万2863円

1審原告B
休業損害

216万0000円

慰謝料

44万0000円

弁護士費用

26万0000円

合計
原判決第2の2

286万0000円
のとおり,1審被告は,平成25年7月19日,1審原

告Aに対し8万円を,1審原告Bに対し60万円を,同年8月28日,1審原告A及び1審原告Bに対し各4万円をそれぞれ賠償金として支払っている。そこで,1審原告Aについて,損害金合計1220万2863円に対する平成23年3月12日から平成25年8月28日まで民法所定の年5分の割合による遅延損害金150万4462円に12万円(8万円+4万円)を充当すると,残額は138万4462円になるから,1審被告は,1審原告Aに対し,1358万7325円及びうち1220万2863円に対する同月29日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負うことになる。また,1審原告Bについて,60万円を損害金合計286万円に対する平成23年3月12日から平成25年7月19日まで民法所定の年5分の割合による遅延損害金33万6931円と元金のうち26万3069円に充当し,4万円を259万6931円に対する同月20日から同年8月28日まで民法所定の年5分の割合による遅延損害金1万4229円と元金のうち2万5771円に充当すると,1審被告は,1審原告Bに対し,257万1160円及びこれに対する同月29日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負うことになる。
1審被告の民訴法260条2項による裁判を求める申立てについて証拠(乙116,117)及び弁論の全趣旨によれば,1審原告A及び1審原告Bは,いずれも仮執行の宣言が付された原判決に基づき債権差押命令を得て,その第三債務者である株式会社三井住友銀行から,平成28年3月25日,1審原告Aにつき2671万4494円(損害賠償金2401万8026円,遅延損害金268万9694円,仮執行手続費用6774円),1審原告Bにつき724万5487円(損害賠償金644万8809円,遅延損害金78万9904円,仮執行手続費用6774円)を取り立てたことが認められる。そして,当裁判所が認容した平成28年3月25日における損害賠償額は,1審原告Aにつき1515万8263円(1220万2863円+138万4462円+157万0938円(平成25年8月29日から平成28年3月25日までの遅延損害金)),1審原告Bにつき290万2158円(257万1160円+33万0998円(平成25年8月29日から平成28年3月25日までの遅延損害金))であるから,1審被告に対し,原状回復として,1審原告Aは,2671万4494円と1515万8263円の差額である1155万6231円及びこれに対する平成28年3月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による損害金を,1審原告Bは,724万5487円と290万2158円の差額である434万3329円及びこれに対する同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による損害金を,それぞれ支払うべき義務がある。

第4

結論
よって,1審被告の控訴は一部理由があるからその限度において原判決を主文のとおり変更し,1審原告らの各控訴はいずれも理由がないから棄却し,1審被告の民訴法260条2項による裁判を求める申立ては上記変更の限度で理由があるから認容し,その余の申立ては理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
大阪高等裁判所第1民事部

裁判長裁判官

佐村浩之
裁判官

大野正男
裁判官

井田宏
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