判例検索β > 平成29年(ネ)第1578号
商標権侵害差止請求控訴事件 商標権 民事訴訟
事件番号平成29(ネ)1578
事件名商標権侵害差止請求控訴事件
裁判年月日平成29年11月30日
法廷名大阪高等裁判所
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平成29年11月30日判決言渡同日原本交付裁判所書記官

平成29年(ネ)第1578号商標権侵害差止請求控訴事件(原審大阪地方裁判所平成28年(ワ)第5249号)
口頭弁論終結日平成29年9月14日
判決
控訴人

株式会社ロックオン

同訴訟代理人弁護士


被控訴人

内康雄
ビジネスラリアート株式会社

同訴訟代理人弁護士

木村
圭二郎

同松井亮行
同訴訟代理人弁理士

柳野隆生
同補佐人弁理士

大西裕人主文1
本件控訴を棄却する

2
控訴費用は,控訴人の負担とする。
事実及び理由

第1

控訴の趣旨

1
原判決を取り消す。

2
被控訴人は,原判決別紙「ホームページ目録」記載のインターネットホームページに原判決別紙「被告標章目録」記載の標章を付してはならない。
3
被控訴人は,そのメール配信役務及びプッシュ通知役務の広告及びインターネットホームページに原判決別紙「被告標章目録」記載の標章を付してはならない。
4
訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

第2

事案の概要

1
事案の要旨
本件は,原判決別紙「商標権目録」記載の商標権を有する控訴人が,被控訴人に対し,被控訴人が原判決別紙「被告標章目録」記載の標章をインターネットホームページのサイトで使用する行為が,控訴人の商標権を侵害すると主張して,商標権に基づき,被控訴人の役務に係るホームページ及び広告に同標章を付することの差止めを求めている事案である。
原審は,控訴人の請求をいずれも棄却したため,控訴人がこれを不服として控訴を申し立てた。

2
争いのない事実等
争いのない事実等,争点及び争点に関する当事者の主張は,当審における控訴人の主張を後記3に,それに対する被控訴人の反論を後記4にそれぞれ付加するほかは,原判決「事実及び理由」中の第2の1及び第2の2,第3(原判決2頁5行目から11頁19行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。

3
当審における控訴人の主張

(1)

被告サービスにおけるプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能は,
次に述べるとおり,被告サービスの中で独立した固有の価値を有するサービスであるから,本件商標権の侵害の有無は,これらの機能それぞれにおける被告標章の使用状況から判断されなければならない。

プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能は,被告サービスの主たる要素であるホームページ作成ASPサービスとは相互に関連がなく,サービスの本質が根本的に異なっている。


プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能の管理画面は,ホームページ作成機能から独立したものになっている。

メールマーケティング機能については,ホームページ作成機能とは別に固有の対価を徴収している。プッシュ通知機能については,それのみの価格設定はされていないが,ホームページ作成機能のみのコースでは利用することができず,プッシュ通知機能を含む,より高価なコースを申し込まなければ利用することができないから,ホームページ作成機能からは独立した対価を徴収している。

(2)

被告標章は,次のとおり,プッシュ通知機能及びメールマーケティング機
能のために使用されている。

被告標章は,原判決別紙「ホームページ目録」記載のプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能を表示するページのタイトル部分に使用されており,その出所を示す機能を果たしている。当該ページは,被告サービスのサイトの他のページを経由することなく直接閲覧することができるから,被告サービスのサイトの他のページとは関係なく,個別にインターネット上に配信され,その出所を示す働きをしている。


被告サービスのサイト全体に着目するとしても,被控訴人は,被告サービスのトップページ上において,プッシュ通知機能が被告サービスの目玉機能であると積極的に訴求しており,被告サービスのトップページは,プッシュ通知機能の宣伝のための重要な導線として機能している。メールマーケティング機能についても同じであり,「よくある質問」として,メールマーケティング機能を積極的に説明している。

(3)

メールマーケティング機能の提供は広告業に該当する。
被告サービスの中には,エンドユーザーからの空メールの送信によって広告メールの配信先となるメールアドレスを収集する空メール機能がある。空メールの送信先は,原則として,被告サービスのドメイン名「090.jp」と実質的に同一で,「ロックオン」に由来することが容易に連想できるドメイン名「@090.co.jp」のメールアドレスであり,被控訴人がそのネームサーバを管理している。したがって,被控訴人は,外観上も実態上も自らが主体となってメールアドレスを収集するなどして,広告の配信先を主体的に収集し,そこに広告メールを送信しているのであるから,利用者のために広告行為を行っている。メールマーケティング機能は,このような空メール機能を含む被告サービスの一部として提供されている。
(4)

プッシュ通知機能の提供は広告業に該当する。
被控訴人は,プッシュ通知の配信先であるアプリケーションを自らの名義と責任において配信しているから,被控訴人自身が広告業を行っている。
4
被控訴人の反論
(1)

プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能は,次のとおり,被告サービスから独立したサービスではない。

被告サービスが社会的に果たしている役割は,インターネットを介して携帯電話用のホームページの作成・運用を支援するためのアプリケーションソフトの提供を行うことであり,付随的な個別の機能を切り離すことはできない。


被控訴人は,被告サービスにおいて,プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能を単独では提供していない。


プッシュ通知機能は,ホームページ作成画面から利用することができるし,メールマーケティング機能も,ホームページ作成画面の上部にあるタブから移行した画面上で利用することができるから,プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能の管理画面がホームページ作成画面から独立しているとはいえない。

(2)

被告標章は被告サービスの全体について使用されている。
プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能が被告サービスから独立したサービスといえない以上,被告標章がプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能に使用されていると解することはできない。
(3)

メールマーケティング機能の提供が広告業に該当する余地はない。被告サービス中の空メール機能を利用してエンドユーザーのメールアドレスを収集して登録を行っているのは被控訴人の顧客であり,被控訴人は,空メールの送信先のメールアドレスの提供と,空メールが送信されればメールアドレスが自動的に登録されるアプリケーションソフトの提供をしているにすぎない。被控訴人の顧客が収集したエンドユーザーのメールアドレスは,被控訴人の管理するサーバ上にデータとして保存されることとなるが,被控訴人が当該メールアドレスを利用することはなく,被控訴人は,被告サービスの一環としてサーバを管理しているだけである。被控訴人の提供するこのような役務が広告業と解される余地はない。

(4)

プッシュ通知機能の提供が広告業に該当する余地はない。
被控訴人は,ASPサービスのプッシュ通知機能を利用するために必要なスマートフォン用のアプリケーションソフトを作成し,それを被控訴人の顧客がエンドユーザーに提供するために,顧客から委託を受けて,GooglePlayやAppStoreへの登録業務を代行しているにすぎない。この事業が広告業に該当することはない。

第3
1
当裁判所の判断
認定事実
後掲証拠によれば,以下の事実が認められる。

(1)

被告サービスの内容
被控訴人は,原判決別紙「ホームページ目録」記載のホームページを含むウェブサイトを開設し,被告サービスを提供しているが,上記ウェブサイトには,次のページが含まれている。

「製品・サービス」のページ
被控訴人のホームページは,「新着情報」,「会社概要」,「事業案内」,「製品・サービス」及び「採用情報」のページから構成されており,そのうちの「製品・サービス」のページでは,被控訴人の「製品・サービス」の一つとして「ロックオン」の項があり,そこには,「スマートフォン対応のケータイサイト作成ASP。SEOにも効果的。華やかなケータイサイトが専門知識なしで簡単に作成できる!」と記載されている(乙1の1)。

「Lockonとは?」のページ
「製品・サービス」のページ(前記ア)中の「ロックオン」の項にリンクされているページ(http://www.090.jp)は,「Lockonとは?」,「機能一覧」,「導入事例」,「料金」,「よくある質問」のページから構成されており,そのうちの「Lockonとは?」のページのタイトルには「スマートフォン対応のケータイサイトを簡単に作るならLockon|ビジネスラリアート株式会社」と記載され,ページの最上部に,他より小さいフォントで「スマートフォン対応のケータイサイト作成ASP。SEOにも効果的。華やかなケータイサイトが専門知識なしで簡単に作成できる!」と記載されている。それに続く記載内容は,次のとおりである(甲7,乙1の2)。
(ア)

「Lockonとは」として,太字で「スマートフォンアプリ(iOS・Android)が標準対応!スマホ&ガラケーのサイト制作・編集システム。」と記載され,更にその下に,より小さいフォントで「華やかなサイトが専門知識なしで作成でき,専用管理画面&エディタで更新も簡単です。また,スマートフォンアプリが標準対応。クーポン機能やアプリ特有のプッシュ通知など,アプリだからできる様々な機能も満載。プッシュ通知を使えば,ユーザーのスマートフォンに,簡単&確実にクーポンやお知らせを通知できます。」と説明されている。

(イ)

「プッシュ通知」として「管理画面からボタン一つで簡単に,iOS・Androidのスマートフォンにプッシュ通知ができます。」と記載され,その下に管理画面の画像があり,更にその下に「プッシュ通知を送信するには,管理画面の『アプリ通知』から,プッシュ通知で発信したい情報を登録し,ボタン一つで送信することができます。ユーザーのスマートフォンにリアルタイムに通知することができるため,タイムセールス等の告知にも有効的です。もちろん,事前予約も可能!」と記載されている。
(ウ)

「Lockonの主な機能」として,8種類の機能が示され,そのうちの一つにプッシュ通知機能が示されている。

(エ)

「プラン別サービスご利用料金」として,「アプリプランスマート
フォンアプリ対応」,「スタンダードエディションアプリなしのプラン」,「PCセットプランPC/スマホサイトを一元管理」及び「ビジネスエディション柔軟にカスタマイズが可能」が挙げられ,初期費用及び月額費用が記載され,「備考」として,それぞれ「アプリ申請費用は別途必要になります。」,「年契約もご利用いただけます。」,「PCサイト制作費用は別途必要になります。」,「共有型・専有型プランがあります。」と記載され,その下部に「※1すべてのプランにおいて,サイト制作費用は別途必要になります。」などと記載されている。ウ
「機能一覧」のページ
「製品・サービス」のページ(前記ア)中の「ロックオン」の項にリンクされているページ(http://www.090.jp)のうち「機能一覧」のページには,タイトル及びページの最上部に前記イ(ア)と同様の記載があり,その下に「機能一覧」,「Lockonの特長的な機能」との見出しの下,17種類の機能が簡略な説明と共に列挙されている(原判決別紙「機能一覧」のとおり)。17種類の機能のうち,「Lockonアプリ」及び「メールマーケティング」については,それぞれ次の記載がある(乙1の3)。

(ア)

「Lockonアプリ」についての記載
「Lockonアプリ」の項には,「アプリのプッシュ通知でユーザーにダイレクトに情報配信」と記載されている。
その下の階層には,原判決別紙「ホームページ目録」記載1のアドレスの,プッシュ通知機能に関するページがある。このページには「機能一覧」,「Lockonアプリ」との見出しの下,太字で「アプリのプッシュ通知でカンタン情報配信!」と記載され,更にその下に,より小さいフォントで,「アプリと連動することで,ユーザーがリアルタイムに最新のニュース(更新情報)を知る手だて(アイキャッチ効果)が増え,アクセス数の増加が見込めます。また,メルマガを配信してもユーザーがメールアドレスを変更等をして届かない場合もありますが,アプリをダウンロードしていただければアプリダウンロードユーザーに更新情報を届けることが出来ます。」と記載されている。その下の右側には「アプリ通知」の画面が掲載され,左側には携帯電話機の画像と共に,「今月のセールのお知らせ!」,「イベントの情報を更新しました!」との文字が吹き出し内に記載されている(甲4,乙2の1)。
(イ)

「メールマーケティング」についての記載
「メールマーケティング」の項には,「メールを送りたいターゲットの条件を絞って送信」と記載されている。
その下の階層には,別紙「ホームページ目録」記載2のアドレスの,メールマーケティング機能に関するページがある。このページには「機能一覧」,「メールマーケティング」との見出しの下,太字で「属性配信で,よりユーザーに求められる情報を配信!」と記載され,更にその下に,より小さいフォントで,「メールマーケティングではケータイアンケートの作成・収集データのダウンロード・データ属性抽出によるメール配信などができます。また,配信日時の指定予約をまとめて登録できる機能を装備した,メールマガジン配信も可能です。」と記載されている(甲5,乙2の2)。
(2)

被告サービスの利用方法

被控訴人の顧客は,被控訴人と契約を締結し,ホームページ作成アプリ画面へのログインID及びパスワードを取得し,被控訴人が管理するサーバにログインして,サーバ内にあるソフトウェアを利用する(乙9)。

被控訴人の顧客がログインして利用する管理画面中,ホームページを作成する際に使用する「ページ作成」画面では,左側に「イメージプレビュー」の画像が表示される。その右側には「ページ編集」の欄があり,「編集モード」,「背景色」,「テキスト色」,「リンク色」,「訪問済みリンク色」を選択し,「タイトル」,「SEO対策用説明文」,「SEO対策用キーワード」,「スタイルシート」を記入し,「改行処理」を選択し,「内容」,「パスワード」を記入し,「安全装置」を選択するようになっており,被控訴人の顧客は,これらによりホームページを作成する(乙7)。
そして,「ページ編集」の下に「アプリ通知」の欄があり,「通知先」を選択し,「通知メッセージ」,「最終通知日」を記入するようになっており,その下に「通知」の押し下げボタンがある。被控訴人の顧客が,この欄にメッセージを入力して通知ボタンを押すと,登録されたエンドユーザーにメッセージが配信される(乙7)。


被控訴人の顧客がログインして利用する管理画面の中の,「メールマーケティング」画面では,被控訴人の顧客がエンドユーザーに任意のタイミングで送信する「サンクスメール」及び「バースデーメール」について,それらのタイトル,本文(内容)等を記入する欄のほか,「クーポン管理」や「配信メッセージ管理」のメニューが設けられている(乙8の1~乙8の5)。

2
争点1(被控訴人による被告標章の使用は,本件商標の指定役務又はこれに類似する役務についての使用に当たるか)について
(1)

被告サービスの役務
前記1で認定したとおり,被控訴人のホームページにおいて,被告サービスの要点は「スマートフォン対応のケータイサイト作成ASP」,「華やかなケータイサイトが専門知識なしで簡単に作成できる」と紹介されており,かつ,被告サービスの17の機能の多くはホームページの作成支援に関わるものであることからすると,被告サービスは,ホームページ作成支援を主たる機能とするものであると認められる。そして,被告サービスは「ASP」とされているところ,弁論の全趣旨によれば,ASPとは,ソフトウェアをインターネットを介して利用させるサービスをいうと認められることからすると,被告標章が使用されている被告サービスは,全体として,インターネットを介してスマートフォン等の携帯電話用のホームページの作成・運用を支援するためのアプリケーションソフトの提供を行うものであり,第42類の「電子計算機用プログラムの提供」に該当すると認められ,本件商標の指定役務である第35類の「広告」には該当せず,また,これに類似する役務とも認められない。

(2)

プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能を,独立した機能として表示するために被告標章が使用されているか
控訴人は,被告サービスにおけるプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能は,第35類に該当し,被告サービスの中で独立した固有の価値を有するサービスであるから,本件商標権の侵害の有無は,プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能それぞれにおける被告標章の使用状況から判断されなければならない旨主張し,その根拠として,これらの機能は,被告サービスの主たる要素であるホームページ作成ASPサービスとは相互に関連がないこと,これらの機能の管理画面は,ホームページ作成機能から独立したものになっていること,これらの機能の提供に当たっては,ホームページ作成機能からは独立した対価を徴収していることを挙げる。
前記1において認定したプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能の内容(控訴人の指摘する管理画面の独立性の点を含む。)からすれば,これらの機能は,広告宣伝を目的とした携帯電話用ホームページを専門的知識なく作成する上で必要不可欠な機能であるとまではいえない。証拠(甲18~21)によれば,実際,他社において,ホームページ作成のASPサービスと,プッシュ通知配信やメールマーケティングに関するサービスは,必ずしも一体のものとして提供されているものではないこと,被控訴人においても,メールマーケティングに関するサービスを単体で提供したり,被告サービスとは別に提供しているサービスにプッシュ通知機能を盛り込んでいたり,プッシュ通知機能のないホームページ作成ASPサービスを提供していたりすることが認められる。また,証拠(甲22)によれば,被告サービスにおける料金設定において,メールマーケティング機能はオプションとして追加料金を要するものとされていること,プッシュ通知機能はオプションとはされていないが,これを含まないプランよりも,含むプランの方がより高い料金を要するものとされていることが認められる。これらのことからすると,被告サービス中のプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能は固有の価値を有すると評価できないわけではない。
しかしながら,証拠(甲22,乙1の2)によれば,被控訴人は,被告サービスの中で,プッシュ通知機能又はメールマーケティング機能のみを,ホームページ作成ASPサービスから切り離しては提供していないことが認められる。そうである以上,被告標章が使用されている被告サービスの中からプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能のみを切り離して,これらの機能について被告標章が使用されているとみることはできないというべきである。
なお,控訴人は,被告標章がプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能のために使用されているといえる根拠として,被告標章が,これらの機能を表示するページのタイトル部分に使用されており,当該ページは,被告サービスのサイトの他のページを経由することなく直接閲覧することができること,被告サービスのサイト全体においても,トップページ上でプッシュ通知機能が被告サービスの目玉機能であると積極的に訴求していること,「よくある質問」においてメールマーケティング機能を積極的に説明していることを挙げる。
しかし,これらの点は,いずれも,あるサービスをホームページにおいて広告宣伝するに当たり,当該サービス中の特定の機能について訴求する多くの場合に当てはまることであり,被告サービス中のプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能に,被告サービスから独立して被告標章が使用されているといえる根拠にはならない。
(3)

プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能が広告機能を有するか控訴人は,被告サービスのプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能がメールサーバによる電子メールの配信を提供する要素を含んでおり,それが広告機能を営むものであると主張し,また,メールマーケティング機能の提供が広告業に該当することの根拠として,被控訴人が主体となって,被告サービス中の空メール機能を利用し,メールアドレスを収集して広告メールを送信していること,プッシュ通知機能の提供が広告業に該当することの根拠として,被控訴人がプッシュ通知の配信先であるアプリケーションを自らの名義と責任において配信していることをそれぞれ挙げる。
しかし,前記1によると,被告サービスのプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能は,被告サービスによって提供されるアプリケーションソフトを被控訴人の顧客が使用することにより行われるものである。したがって,被告サービスは,広告配信サービス自体を提供するものではなく,広告配信のための機能を有するプログラムを提供するものに過ぎない。また,被告サービスのうちのプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能のみに着目して被告標章が使用されているとみることができないことは前記(1)から(3)までにおいて説示したとおりである。需要者においても,控訴人が指摘する観点から被告サービスに含まれる個別の機能を分析的に把握して,プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能の部分は広告業のサービスを受けるものであると認識するとは考えられないから,控訴人の上記主張は,前記(1)の判断を覆すものではない。
(4)

以上によれば,被控訴人による被告標章の使用は,本件商標の指定役務又はこれに類似する役務についての使用には当たらない。

3
結論
以上の次第で,控訴人の請求は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がない。
よって,これと同旨の原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
大阪高等裁判所第8民事部

裁判長裁判官

山田陽三
裁判官

種村好子
裁判官

中尾彰
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