判例検索β > 平成29年(ワ)第15889号
損害賠償等請求事件 不正競争 民事訴訟
事件番号平成29(ワ)15889
事件名損害賠償等請求事件
裁判年月日平成29年11月29日
法廷名東京地方裁判所
戻る / PDF版
平成29年11月29日判決言渡

同日原本領収

平成29年(ワ)第15889号

損害賠償等請求事件

口頭弁論終結日

平成29年8月28日
判原
裁判所書記官

決告
株式会社ブイ・テクノロジー

同訴訟代理人弁護士
同関同鮫島正洋同髙野芳徳
同補佐人弁理士

白坂被溝
ウシオ電機株式会社

告田宗裕司治朗一
同訴訟代理人弁護士

尾和同相良由同佐竹勝一
同訴訟代理人弁理士

大塚文昭
同補佐人弁理士

谷口信行同松岸慶憲主里子文1
原告の請求をいずれも棄却する。

2子
訴訟費用は,原告の負担とする。
事実及び理由

第1
1
請求
被告は,原告に対し,24億7624万3546円及びこれに対する平成2
9年5月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。2
被告は,別紙取引先目録記載の各企業に対し,別紙謝罪目録記載の謝罪文を
本判決確定の日から10日以内に送付せよ。

第2
1
事案の概要等
事案の要旨

本件は,原告が,被告に対し,被告は,原告の国内外の取引先に「原告の製品が被告の特許権を侵害している」旨の告知又は流布(以下「告知等」という。)をしたと主張した上で,同告知等は,被告と競争関係にある原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知等であって,不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項15号所定の不正競争行為(以下,単に「不正競争行為」という。)に該当するとして,同法4条に基づき,損害賠償金24億7624万3546円及びこれに対する平成29年5月26日(不法行為後である本件訴状送達の日)から支払済み
までの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,不競法14条に基づき,信用回復措置として,別紙取引先目録記載の各企業宛に別紙謝罪目録記載の謝罪文を本判決確定の日から10日以内に送付することを求める事案である。
2
前提事実(当事者間に争いがないか,掲記の証拠等により容易に認められる
事実)


原告


原告は,フラットパネルディスプレイ用製造装置,検査装置,測定装置,観
察装置及び修正装置の開発,製造,販売,サービス並びに太陽電池及びLED向け装置の開発及び販売を主たる事業とする株式会社である。

原告は,商品名「AEGIS-IPS」に係る光配向用偏光光照射装置(ス
テージ数や偏光光照射光源を構成する照射ユニットの列数などを異にする数種の装置を含む。以下,これらを総称して,「原告製品」という。)を製造販売するなどしている(乙2,4,弁論の全趣旨)。

被告


被告は,
産業用放電灯を含む各種光源,
管球及び電子機器部品並びに完成品,

各種医療用光源,器具及びその他各種電気機器の製造及び販売等を業とする株式会
社である。

被告は,発明の名称を「光配向用偏光光照射装置」とする特許第48159
95号の特許権(平成17年10月24日出願〔特願2005-308117〕,平成23年9月9日設定登録。以下「995号特許権」といい,その特許を「995号特許」という。)及び発明の名称を「光配向用偏光光照射及び光配向用偏光光照射方法」とする特許第5344105号の特許権(平成25年3月8日出願〔特願2013-47350〕,同年8月23日設定登録。以下「105号特許権」といい,その特許を「105号特許」という。)を保有している(乙1ないし4)。⑶

競争関係

原告と被告とは,光配向用偏光光照射装置の市場(以下「本件市場」という。)において,競争関係にある(以下,被告が製造販売するなどしている光配向用偏光光照射装置であって本件市場において原告製品と競合するものを総称して,「被告製品」という。)。


105号特許に対する無効審判

原告は,平成27年2月2日,被告を被請求人として,105号特許の特許請求の範囲の請求項1ないし5に係る発明についての特許を無効とすることを求めて,特許無効審判(無効2015-800021)を請求した。
同審判の手続において,同年4月20日付け訂正請求,同年7月7日付け無効理由通知(以下「105号無効理由通知」という。),同年8月10日付け訂正請求,
同年10月26日付け無効理由通知,同年12月2日付け訂正請求を経て,平成28年5月26日付け審決の予告(以下「105号審決予告」という。)がされた。被告は,105号審決予告を受けて,同年7月28日付け訂正請求(以下「105号訂正請求」という。)をし,平成27年4月20日付け訂正請求,同年8月10日付け訂正請求及び同年12月2日付け訂正請求は,いずれも取り下げたものと
みなされた(特許法134条の2第6項)。
特許庁は,平成28年10月17日,「特許第5344105号の明細書及び特
許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。特許第5344105号の請求項1ないし5に係る発明についての特許を無効とする。」との審決(105号訂正請求を認めた上で,同訂正後の請求項1ないし5に係る発明についての特許を無効とする旨の審決。以下「105号審決」という。)をした。
105号審決については,その取消しを求める審決取消訴訟が知的財産高等裁判所に係属中であり,同審決は,未確定である。
(以上につき,乙1,2,弁論の全趣旨)


105号特許権に基づく侵害訴訟

被告は,平成27年7月3日,原告を相手方として,105号特許権に基づく侵害訴訟(当庁平成27年(ワ)第18593号)を提起し,原告製品のうち,ツインステージのもの(以下「原告ツインステージ製品」という。)が105号特許の特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る発明の技術的範囲に属するから,原告が原告ツインステージ製品を製造し,販売し,又は販売のための展示その他の販売の
申出(以下,これらの行為を総称して,「製造販売等」という。)をすることは,105号特許権の侵害を構成する旨主張して,原告ツインステージ製品の製造販売等の差止め及び原告ツインステージ製品の廃棄並びに平成26年1月1日から平成27年7月3日までの原告ツインステージ製品の販売による損害賠償金10億7600万円及び遅延損害金の支払を求めた。

東京地方裁判所は,平成29年2月9日,105号特許の特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る発明はいずれも進歩性を欠くから,上記各発明についての特許は特許無効審判により無効とされるべきところ,訂正の対抗主張(105号訂正請求に基づく主張)は成り立たない(その理由は,同請求に基づく訂正後の請求項1ないし4に係る発明が進歩性を欠くというもので,同訂正後の請求項1ないし4に
係る発明につき105号審決が説示しているところと概ね同様である。)として,被告の請求を全て棄却する旨の判決(以下「105号判決」という。)をした。
被告は,
105号判決を不服として,
知的財産高等裁判所に控訴を提起しており,
同判決は未確定である。
(以上につき,乙1,2,弁論の全趣旨)

995号特許権に基づく侵害訴訟

被告は,平成27年10月9日,原告を相手方として,995号特許権に基づく侵害訴訟(当庁平成27年(ワ)第28608号)を提起し,原告製品が105号特許の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の技術的範囲に属するから,原告が原告製品を製造販売等することは,995号特許権の侵害を構成する旨主張して,原告製品の製造販売等の差止め及び原告製品(及びその半製品)の廃棄並びに平成2
6年1月1日から平成27年7月3日までの原告製品の販売による損害賠償金10億7600万円及び遅延損害金の支払を求めた。
被告は,訴えの変更(請求の変更)を複数回行い,差止請求の対象を原告製品のうち,①シングルステージで偏光光照射光源が3列の照射ユニットで構成されているもの(以下「原告シングルステージ(3列)製品」という。),②ツインステー
ジで偏光光照射光源が3列の照射ユニットで構成されているもの(以下「原告ツインステージ(3列)製品」といい,これと原告シングルステージ(3列)製品を併せて「原告3列製品」という。),③シングルステージで偏光光照射光源が4列の照射ユニットで構成されているもの(以下「原告シングルステージ(4列)製品」という。),及び④ツインステージで偏光光照射光源が4列の照射ユニットで構成
されているもの(以下「原告ツインステージ(4列)製品」といい,これと原告シングルステージ(4列)製品を併せて「原告4列製品」という。)に減縮する一方,差止めを求める行為に上記各製品の輸出を追加し,また,原告3列製品を構成する一定の構成を備えたUV偏光光照射光源及び原告4列製品を構成する一定の構成を備えたUV偏光光照射光源の製造の差止めを求めるに至った(なお,変更後の請求
の趣旨には,廃棄請求は含まれていない。)
同訴訟は,当裁判所を受訴裁判所として,現在も係属中である。

(以上につき,当裁判所に顕著な事実)


995号特許権に基づく仮処分命令申立て

被告は,平成27年10月9日,原告を相手方として,995号特許権に基づく仮処分命令申立て(当庁平成27年(ヨ)第22088号)をし,原告3列製品は,105号特許の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の技術的範囲に属するとして,同製品の製造販売等及び輸出を仮に差止めることを求めた。
東京地方裁判所は,
平成28年6月24日,
同申立てを相当と認め,
原告に対し,
原告3列製品の製造販売等及び輸出の禁止を命ずる旨の仮処分決定(なお,同仮処分決定については,同月27日付けで更正決定がされている。以下,同更正後の同
仮処分決定を「995号仮処分決定」という。)をした。
原告は,995号仮処分決定を不服として保全異議を申し立てた。当裁判所は,平成29年8月23日,995号仮処分決定を認可する旨の決定をした。
なお,原告は,同決定に対する保全抗告をしておらず,同決定は確定した。(以上につき,乙4,当裁判所に顕著な事実)



995号特許に対する無効審判

原告は,平成28年2月17日,被告を被請求人として,995号特許の特許請求の範囲の請求項1に係る発明についての特許を無効とすることを求めて,特許無効審判(無効2016-800024)を請求した。
特許庁は,平成29年6月27日,「本件審判の請求は成り立たない。」との審決(以下「995号審決」という。)をした。
(以上につき,乙3)
3


争点
被告は原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知等を原告の取引先にし
たか(争点1)

被告は「原告の製品が被告の特許権を侵害する」旨の告知等をしたか(争点
1ア)



被告に故意又は過失があるか(争点2)


被告は「虚偽の事実」を告知等したか(争点1イ)

原告に損害が(幾ら)発生したか(争点3)



信用回復措置は必要か(争点4)

第3
1
争点に対する当事者の主張
争点1(被告は原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知等を原告の取
引先にしたか)について
【原告の主張】


争点1ア(被告は「原告の製品が被告の特許権を侵害する」旨の告知等をし
たか)について

別紙取引先目録記載の各企業等に対する告知等
(以下,
これらを総称して
「本

件各告知」という。)が原告の営業上の信用を害すること
被告は,別紙取引先目録記載の各企業等に対し,以下のとおり,「原告の製品が被告の特許権を侵害する」旨の事実を告知等したが(甲1,2の1,3の1,4の1),これらは,いずれも原告の営業上の信用を害する事実の告知等にあたる。イ
シャープ株式会社(以下「シャープ」という。)に対する告知等(以下「本
件告知1」という。)について
被告は,平成27年10月19日付けで,シャープ(別紙取引先目録記載1の企業)に対し,「・・・弊社は株式会社ブイ・テクノロジーに対し,弊社の保有する特許第5344105号に基づいて,
既に,
特許権侵害訴訟を提起しておりますが,
さらに,このたび特許第481599号に基づいても特許権侵害訴訟を提起するとともに,併せて,特許権侵害行為の差止めを求める仮処分命令の申立ても行いましたのでお知らせいたします。・・・弊社は,今後とも自社の保有する知的財産権の
侵害または侵害するおそれのある行為に対しては,直ちに適切な措置を講じてまいる所存です。」などと申し向け(甲1),もって「原告の製品が被告の特許権を侵
害している」旨の事実を告知等した。
本件告知1の前段には,被告が原告に対し2件の訴訟(当庁平成27年(ワ)第18593号及び当庁平成27年(ワ)第28608号を意味する。)及び仮処分申立て(当庁平成27年(ヨ)第22088号を意味する。)を提起したとあり,原告が被告の特許権を侵害している可能性があることが読み取れるところ,本件告知1の後段に「今後とも」とあることからすると,少なくとも,被告は,本件告知1の時点において,原告の製品が被告の特許権に抵触していると決め付けていることが明らかであり,「原告の製品が被告の特許権を侵害している」旨の事実を告知等したものと解釈できる。


合肥京东方光电科技有限公司(以下「BOE」という。)に対する告知等(以
下「本件告知2」という。)ついて
被告は,
平成27年11月16日までに,
BOE
(別紙取引先目録記載2の企業)
に対し,「原告の製品が被告の特許権を侵害している」旨の事実を告知等した。このことは,BOEが,原告の製品が被告の特許権を侵害していると理解し,原告の製品を現在及び将来使用し続けることが特許権侵害となることを懸念し,その懸念の払しょくを原告に求めたこと(甲2の1)から,明らかである。エ
成都天马微电子有限公司(以下「成都天馬」という。)に対する告知等(以
下「本件告知3」という。)について
被告は,平成27年10月26日付けで,成都天馬(別紙取引先目録記載3の企業)に対し,「・・・弊社は株式会社ブイ・テクノロジーに対し,弊社の保有する特許第5344105号『光配向用偏光光照射装置及び光配向用偏光光照射方法』にもとづいて,同社が製造販売する『光配向用偏光光照射装置』の販売差止と製品の廃棄,ならびに損害賠償を求める訴訟を,2015年7月3日付で東京地方裁判所に提起いたしましたので,お知らせいたします。・・・弊社は,今後とも自社の
保有する知的財産権の侵害または侵害するおそれのある行為に対しては,直ちに適切な措置を講じてまいる所存です。」などと申し向け(甲3の1),もって「原告
の製品が被告の特許権を侵害している」旨の事実(このように解釈できることは,本件告知1の場合と同様である。)を告知等した。

LGDisplayCo.,Ltd.(以下「LGD」という。)に対する告知等(以下「本
件告知4」という。)について
被告は,平成27年10月頃,LGD(別紙取引先目録記載6の企業)に対し,下記のとおり申し向け(甲4の1),もって「原告の製品が被告の特許権を侵害している」旨の事実(このように解釈できることは,本件告知1の場合と同様であるほか,原告が,平成28年7月25日,LGDとの間で被告の不正競争行為の後に特許補償契約の締結を余儀なくされたこと〔甲5〕からも,明らかである。)を告
知等した(なお,下記において,「USHIO」は,被告を意味することが明らかであり,また,「V社」は,原告の名称のイニシャルと一致するところ,被告が提起した侵害訴訟等の相手方であること,原告及び被告が実質的に原告及び被告しか存在しない本件市場において競業していることからすれば,原告を意味することが明らかである。)。

「特許訴訟の概略History
①14年12月~

USHIOが保有した光配向用Twin

Stage特許

(NO.1)に関してUSHIOはV社と円満な合意を目標としました。②15年7月3日

両社間半年程協議を繰り返しましたが,合議に至ることは出

来ませんでした。USHIOは販売停止,製品の廃棄,損害賠償を要求する訴訟を15年7月3日の日付で東京地方裁判所に起こしました。
③15年10月9日

又,偏光板の交差配置(チドリ配置)特許(NO.2)に

関しても追加訴訟を実施。Twin

Stage採用の装置だけではなく,偏光板

の連結部をずらして配置させた照射機を採用した装置も対象になり,対象範囲が拡大されます。同時に特許侵害行為の停止を要求する仮処分命令の提起も申請しました。」

その他の告知等(以下「本件告知5」という。)について

被告の原告に対する営業妨害は,本件告知1ないし4にとどまらない。被告は,遅くとも平成25年9月頃以前から,原告の取引先に対し,「原告の製品が被告の特許権を侵害している」旨の事実を告知等してきたものであり,現在も,その告知等を続けている。


争点1イ(被告は「虚偽の事実」を告知等したか)について

被告は,少なくとも別紙取引先目録記載の各企業に対し,「原告の製品が被告の特許権を侵害している」旨の事実を告知等したが,そのような事実は,実際には存在しないのであるから,
被告が告知等したところの事実は,
虚偽である。
すなわち,
105号特許権に基づく侵害訴訟(当庁平成27年(ワ)第18593号)について,原告(同訴訟の被告)は,勝訴しているし,995号特許権に基づく侵害訴訟(当庁平成27年(ワ)第28608号)についても,原告(同訴訟の被告)は,勝訴する見込みを有している。
【被告の主張】


争点1ア(被告は「原告の製品が被告の特許権を侵害する」旨の告知等をし
たか)について

本件各告知について

原告の主張のうち,
本件告知2の具体的内容
(原告は具体的な主張をしていない。

及び本件告知4の具体的内容については不知,本件各告知が「原告の製品が被告の特許権を侵害している旨」の事実の告知等であると評価されるとの点は争う。本件告知1の具体的内容(ただし,「平成27年10月19日付け」とあるのは,「平成27年10月9日付け」の誤りである〔甲1〕。)及び本件告知3の具体的内容については認める。
本件各告知において,被告が原告の各取引先に告知した内容は,侵害訴訟を提起した事実や仮処分命令申立てをした事実など,客観的な真実であるか,一般的な考
え方(決意表明)などにすぎず,「原告の製品が被告の特許権を侵害している旨」の事実ではない。

なお,原告は,本件告知5につき,時,場所,告知の具体的内容などを全く特定しておらず,主張自体失当である。


争点1イ(被告は「虚偽の事実」を告知等したか)について

仮に,原告主張の本件各告知について,被告が原告の取引先に「原告の製品が被告の特許権を侵害している旨の事実」を告知等したものと評価されたとしても,原告は,当該事実が「虚偽」であること(具体的には,原告の製品が105号特許権又は995号特許権と抵触しないこと)について,何らの立証もしていない。なお,
105号特許権に基づく侵害訴訟
(当庁平成27年
(ワ)
第18593号)
は,控訴審が知的財産高等裁判所に係属中であって,原告(同訴訟の1審被告)の
「勝訴」が確定したものではないし,また,原告が995号特許権に基づく侵害訴訟(当庁平成27年(ワ)第28608号)につき「勝訴する見込みを有している」とする点は,原告(同訴訟の被告)の希望的観測にすぎない(同特許権に基づく仮処分命令申立て〔当庁平成27年(ヨ)第22088号〕については,平成28年6月24日,〔同事件の債権者〕
被告
の申立てを認める仮処分決定がされている。。


2
争点2(被告に故意又は過失があるか)について

【原告の主張】
特許権侵害の有無は,公権的に判断されるべきものであるところ,被告は,これを怠ったまま(特に,105号特許に関しては,無効2015-800021事件において,平成27年7月9日に105号無効理由通知が発送された後に),本件各告知に及んだ。原告及び被告は,実質的に原告及び被告しか存在しない本件市場において競業しており,被告は,原告さえ存在しなければ,利益を独占できる構図にあったので,被告がそのようなよからぬ独占を企んで,不正競争行為に及んだことが明らかである。したがって,被告には,不正競争行為につき,故意又は少なくとも過失があったというべきである。

【被告の主張】
既に述べたとおり,そもそも,本件各告知は,「虚偽」の事実の告知等に該当し
ないのであるが,仮に,この点を措くとしても,被告は,原告の製品が105号特許権又は995号特許権と抵触する可能性につき,
相当の注意を払って調査検討し,
本件各告知をしたものであるから,被告には,原告主張の不正競争行為につき,故意も過失も認められない。
3
争点3(原告に損害が〔幾ら〕発生したか)について

【原告の主張】


積極損害について

原告は,別紙取引先目録記載の各企業に対して被告の不正競争行為に関する説明をするため,交通費等を支出するという損害が発生した。その合計額は18万0497円である(甲9)。


消極損害について

原告製品と被告製品とは,前者が短尺ランプを用いるのに対し,後者が長尺ランプを用いるという相違があるところ,短尺ランプは,これから出る光の均一性を確保するのが難しい反面,この点さえクリアできれば,短尺ランプを用いる方が,長尺ランプを用いるよりも,メンテナンスの点で優位性がある。本件各告知がされた頃には,
原告製品は,
既に光の均一性を確保することができていた
(この点につき,
原告にはノウハウがある。)ことから,被告製品と比較して,需要者に対する訴求力が強くなっていた。また,原告は,固定販管費を抑えることにより,原告製品が高性能かつ低価格となるように努力しており,被告製品と比較して,同様の性能で
あるにもかかわらず,価格優位性を保っていた。
本件市場には,実質上,原告と被告の2社しか参入しておらず(原告及び被告以外には,アイグラフィック社が参入しているが,そのシェアは低い。),需要者は,原告製品か被告製品のいずれかを選択するのが通常であるところ,上述した両製品の相違を考えれば,原告製品を購入するのが経済合理的であり,故に,実際にも原
告製品が選ばれることが圧倒的に多かった。
ところが,被告の不正競争行為があってからは,取引先との商談開始後,原告製
品が購入されずに失注してしまうという事態が生じた。上記原告が失注したものについては,被告が受注している。
このように原告が失注し,代わりに被告が受注するという事態は,経済合理的にはあり得ないことであるから,その原因は,被告の不正競争行為以外に考えられない。つまり,被告の不正競争行為がなければ,原告は受注できたのであり,このような事態は,被告の不正競争行為があったからこそ生じたことが明らかである。また,失注とまではいかずとも,被告の不正競争行為により,原告が取引先から原告製品の値引きを求められたり,説明を求められたり,特許補償を求められたりする事態も生じており,原告製品を一切購入しないという決定をした取引先もいた
であろうことは,想像に難くない。
被告がその不正競争行為によって受注し,得た利益の額は,別紙消極損害一覧表の「失注分」欄に示されるとおりであり,合計16億8875万円と推測されるから,これが原告に生じた損害(失注による逸失利益)と推定される(不競法5条2項)。

また,原告が受注したものについても,被告の不正競争行為がなければ,「通常価格」(甲8)で原告製品を販売できたはずであったところ,被告の不正競争行為によって,原告は,同別紙の「減額分」欄に示されるとおり,値引きを余儀なくされ,合計5億6220万円の損害(値引きによる逸失利益)を受けた。なお,本件告知3に係る減額分は,上海天馬微電子有限公司(以下「上海天馬」という。)及
び上海中航光電子有限公司(以下「AVIC」という。)を取引先とするものであるが,上海天馬及びAVICは,いずれも本件告知3が宛てられた成都天馬の属する天馬グループの企業であることからすると,上海天馬及びAVICに対しても,本件告知3と同じ告知等がされたか,本件告知3が上海天馬及びAVICにも共有されたことが明らかである。



弁護士等費用について

原告には,
弁護士・弁理士費用が発生したところ,
それは,
少なく見積もっても,

積極損害18万0497円と消極損害22億5095万円を合計した22億5113万0497円の1割である2億2511万3049円を下らない。⑷

小括

以上より,被告の不正競争行為によって,原告に発生した損害の額は,積極損害18万0497円,消極損害22億5095万円及び弁護士等費用2億2511万3049円を合計した24億7624万3546円となる。
【被告の主張】
既に述べたとおり,そもそも,本件各告知は,「虚偽」の事実の告知等に該当せず,また,被告には,故意も過失も存在しないのであるが,仮に,これらの点を措
くとしても,本件各告知と原告の主張に係る損害との間には,因果関係が存在しない。
4
争点4(信用回復措置は必要か)について

【原告の主張】
被告による本件各告知により,原告の別紙取引先目録記載の各企業に対する原告の信用が棄損され,
信用回復措置
(不競法14条)
が必要であることから,
原告は,
被告に対し,上記各企業に宛てて別紙謝罪目録記載の謝罪文を本判決確定の日から10日以内に送付することを求めるものである。
【被告の主張】
原告の主張は,否認し又は争う。

第4
1
当裁判所の判断
争点1(被告は原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知等を原告の取
引先にしたか)について


争点1ア(被告は「原告の製品が被告の特許権を侵害する」旨の告知等をし
たか)について

本件告知1について

証拠(甲1)及び当事者間に争いのない事実によれば,被告は,平成27年10
月9日付けで,シャープに対し,次の具体的内容からなる本件告知1をしたことが認められる。
「・・・弊社は株式会社ブイ・テクノロジーに対し,弊社の保有する特許第5344105号に基づいて,既に,特許権侵害訴訟を提起しておりますが,さらに,このたび特許第481599号に基づいても特許権侵害訴訟を提起するとともに,併せて,特許権侵害行為の差止めを求める仮処分命令の申立ても行いましたのでお知らせいたします。・・・弊社は,今後とも自社の保有する知的財産権の侵害または侵害するおそれのある行為に対しては,直ちに適切な措置を講じてまいる所存です。」

前記前提事実及び弁論の趣旨によれば,本件告知1の上記具体的内容において,「弊社」が被告,「株式会社ブイ・テクノロジー」が原告,「特許第5344105号に基づ」(く)「特許権侵害訴訟」が105号特許権に基づく侵害訴訟(当庁平成27年(ワ)第18593号),「特許第481599号に基づ」(く)「特許権侵害訴訟」(「特許第481599号」とあるのは,「特許第4815995
号」の誤記と認められる。)が995号特許権に基づく侵害訴訟(当庁平成27年(ワ)第28608号),「仮処分命令の申立て」が995号特許権に基づく仮処分命令申立て(当庁平成27年(ヨ)第22088号)をそれぞれ意味することが認められ,シャープにおいても,そのように理解することができたものと推認するのが相当である。

上記認定に係る本件告知1の具体的内容等からすれば,同告知は,被告が,シャープに対し,
①被告が,
原告を相手方として,
105号特許権に基づく侵害訴訟
(当
庁平成27年(ワ)第18593号)を提起したこと,②被告が,原告を相手方として,995号特許権に基づく侵害訴訟(当庁平成27年(ワ)第28608号)を提起したこと,③被告が,原告を相手方として,995号特許権に基づく仮処分
命令申立事件(当庁平成27年(ヨ)第22088号)を提起したこと,④被告が,今後も,被告の保有する知的財産権の侵害又はそのおそれのある行為につき,適切
な措置を講じていくことを告知等したものであるということができ,また,本件告知1の名宛人であるシャープの立場にある者としては,
同告知に接することにより,
被告が上記侵害訴訟2件を提起し,上記仮処分命令申立てをしたとの客観的事実に加え,被告が原告の製品について被告の上記特許権に抵触するとの見解(原告の製品が被告の上記特許権に係る発明の技術的範囲に属し,当該発明についての特許に無効理由があるなど被告が当該特許権を行使することができないとすべき事情が見当たらないとの見解)を有していることを理解するものといえる。しかしながら,本件告知1によっては,未だ原告の製品が被告の特許権に抵触することが客観的事実として告知等されているものとはいえず,原告が主張するとこ
ろの「原告の製品が被告の特許権を侵害する」旨の事実が告知等されたとはいえない。

本件告知2について

原告の主張する本件告知2(被告のBOEに対する告知等)の具体的内容は,明らかでないが,原告がその主張の根拠としているBOEから原告に対する平成27年11月16日付け文書(甲2の1)によれば,被告が,原告を相手方として,差止め及び損害賠償を求める侵害訴訟を提起したり,仮処分命令申立てをしたりしていること,被告が105号特許権又は995号特許権の侵害を主張していることをBOEに告知等したことがうかがわれるところである。
しかしながら,本件告知2の名宛人とされるBOEの立場にある者としては,そ
のような告知等に接することにより,被告が105号特許権又は995号に基づき侵害訴訟の提起や仮処分命令申立てをしたとの客観的事実に加え,被告が原告の製品について被告の上記特許権に抵触するとの見解を有していることを理解するとはいえても,本件告知2によっては,未だ原告の製品が被告の特許権に抵触することが客観的事実として告知等されているものとはいえず,
原告が主張するところの
「原

告の製品が被告の特許権を侵害する」旨の事実が告知等されたとはいえない。ウ
本件告知3について

被告が,平成27年10月26日付けで,成都天馬に対し,次の具体的内容からなる本件告知3をしたことは,当事者間に争いがない。
「・・・弊社は株式会社ブイ・テクノロジーに対し,弊社の保有する特許第5344105号『光配向用偏光光照射装置及び光配向用偏光光照射方法』にもとづいて,同社が製造販売する『光配向用偏光光照射装置』の販売差止と製品の廃棄,ならびに損害賠償を求める訴訟を,2015年7月3日付で東京地方裁判所に提起いたしましたので,お知らせいたします。・・・弊社は,今後とも自社の保有する知的財産権の侵害または侵害するおそれのある行為に対しては,直ちに適切な措置を講じてまいる所存です。」

前記前提事実及び弁論の趣旨によれば,本件告知3の上記具体的内容において,「弊社」が被告,「株式会社ブイ・テクノロジー」が原告,「特許第5344105号・・・にもとづいて・・・販売差止と製品の廃棄,ならびに損害賠償を求める訴訟」
が105号特許権に基づく侵害訴訟
(当庁平成27年
(ワ)
第18593号)
をそれぞれ意味することが認められ,成都天馬においても,そのように理解するこ
とができたものと推認するのが相当である。
上記認定に係る本件告知3の具体的内容等からすれば,同告知は,被告が,成都天馬に対し,
①被告が,
原告を相手方として,
105号特許権に基づく侵害訴訟
(当
庁平成27年(ワ)第18593号)を提起したこと,②被告が,今後も,被告の保有する知的財産権の侵害又はそのおそれのある行為につき,適切な措置を講じて
いくことを告知等したものであるということができ,また,本件告知3の名宛人である成都天馬の立場にある者としては,同告知に接することにより,被告が上記侵害訴訟を提起したとの客観的事実に加え,被告が原告の製品について被告の上記特許権に抵触するとの見解(原告の製品が被告の上記特許権に係る発明の技術的範囲に属し,当該発明についての特許に無効理由があるなど被告が当該特許権を行使す
ることができないとすべき事情が見当たらないとの見解)を有していることを理解するものといえる。

しかしながら,本件告知3によっては,未だ原告の製品が被告の特許権に抵触することが客観的事実として告知等されているものとはいえず,原告が主張するところの「原告の製品が被告の特許権を侵害する」旨の事実が告知等されたとはいえない。

本件告知4について

本件告知4(被告のLGDに対する告知等)の具体的内容に関し,原告がその主張の根拠とする「特許訴訟の概略History」から始まる平成27年10月頃作成されたとされる文書(甲4の1)は,そもそも,作成日,作成者,作成経緯等が明らかでないが,仮に,この点を措いて,同文書記載の内容が被告からLGDに告知されたことを前提とし,同文書にいう「USHIO」を被告,「V社」を原告,
「光配向用Twin

Stage特許」を105号特許,「偏光板の交差配置(チ

ドリ配置)特許」を995号特許と理解すれば,本件告知4は,被告が,LGDに対し,①被告は,平成26年12月,被告の保有に係る105号特許権に関して,原告と円満な合意を目標としたこと,②被告が,平成27年7月3日,原告を相手方として,同特許権に基づく侵害訴訟(当庁平成27年(ワ)第18593号)を提起したこと,③被告が,同年10月9日,原告を相手方として,995号特許権に基づく侵害訴訟(当庁平成27年(ワ)第28608号)を提起したこと,④被告が,同日,原告を相手方として,仮処分命令の申立て(当庁平成27年(ヨ)第22088号)をしたことを告知等したものであるということができる。
ここで,本件告知4の名宛人であるLGDの立場にある者としては,同告知に接することにより,被告が上記2件の侵害訴訟及び仮処分命令申立事件を提起したとの客観的事実に加え,被告が原告の製品について被告の上記特許権に抵触するとの見解を有していることを理解するものとはいえる。
しかしながら,本件告知4によっては,未だ原告の製品が被告の特許権に抵触す
ることが客観的事実として告知等されているものとはいえず,原告が主張するところの「原告の製品が被告の特許権を侵害する」旨の事実が告知等されたとはいえな
い。

本件告知5について

原告は,本件告知5について,「被告の原告に対する営業妨害は,本件告知1ないし4にとどまらない」,「被告は,遅くとも平成25年9月頃以前から,原告の取引先に対し,「原告の製品が被告の特許権を侵害している」旨の事実を告知等してきたものであり,現在も,その告知等を続けている」と主張する。しかし,原告の主張に係る本件告知5は,具体的な事実関係を何ら明らかにしないもので,請求原因事実の特定として不十分であるから,主張自体失当である。また,本件全証拠によるも,被告が,原告の取引先に対し,「原告の製品が被告
の特許権を侵害している」旨の事実を告知等してきたとか,現在も,その告知等を続けているなどと認めることは,困難である。


争点1イ(被告は「虚偽の事実」を告知等したか)について


上記⑴で認定説示したところによれば,被告が原告の取引先に対して「原告
の製品が被告の特許権を侵害する」旨の事実を告知したものと認めることはできないが,以下,念のため,仮に,本件各告知によって原告の製品が被告の特許権に抵触することが客観的事実として告知等されたものであると解釈した場合に,これが不競法2条1項15号にいう「虚偽」の事実の告知等であるといえるか否かについても検討する。

原告の製品が被告の特許権に抵触することが客観的事実として告知等された
という場合に,当該事実が「虚偽」の事実であるというためには,①原告の製品(具体的には,原告製品の全て)について被告の保有する特許権(具体的には,105号特許権又は995号特許権)に係る発明の技術的範囲に含まれないことが主張立証されるか,②当該発明についての特許に無効理由があるなど被告が当該特許権を行使することができないとすべき事情が存在することが主張立証される必要がある。
しかるに,原告は,105号特許権に基づく侵害訴訟(当庁平成27年(ワ)第18593号)につき,原告(同訴訟の被告)が「勝訴」したとか,995号特許
権に基づく侵害訴訟(当庁平成27年(ワ)第28608号)につき,原告(同訴訟の被告)が「勝訴する見込みを有している」と主張するだけで,上記①又は②について,何ら具体的な主張立証をしない。
確定判決において上記①又は②の判断がされているとか,当該特許を無効とする審決が確定しているなどの事情があれば,格別,前記前提事実によれば,本件について口頭弁論が終結された時点において,105号特許権及び995号特許権につきそのような事情があるとは認められないから,本件において,上記①又は②の立証があるということは,そもそも,困難であるといえる。したがって,仮に,本件各告知によって原告の製品が被告の特許権に抵触することが客観的事実として告知
等されたものであると解釈したとしても,これをもって「虚偽」の事実の告知等であると認めることは,困難であるというほかはない。

かえって,本件においては,次のような事情が認められる。

(ア)前記前提事実によれば,105号特許権に基づく侵害訴訟(当庁平成27年(ワ)第18593号)は,控訴審が知的財産高等裁判所に係属中であって,原告(同訴訟の1審被告)の「勝訴」(105号判決)が確定したものではないし,105号特許権に関して原告が請求した無効審判(無効2015-800021)において,105号訂正請求を認めた上,同訂正後の請求項1ないし5に係る発明についての特許を無効とした105号審決についても,同審決の取消しを求める審決取消訴訟が知的財産高等裁判所に係属中であって,上記審決は未確定であることが
認められる。
そして,弁論の全趣旨並びに105号審決(乙1)及び105号判決(乙2)に摘示されている被告
(無効2015-800021の被請求人,
当庁平成27年
(ワ)
第18593号の原告)の主張に鑑みれば,被告は,これらの発明が進歩性を欠くとの105号審決及び105号判決の判断を審決取消訴訟や侵害訴訟の上級審にお
いて争っていると推認されるところであり,被告の主張が排斥されることが確実であると断言することはできず,そのように認めるに足る証拠もない。
また,105号判決(乙2)に摘示されている当事者の双方の主張に鑑みれば,原告ツインステージ製品について,105号特許の105号訂正請求による訂正後の請求項1ないし4に係る発明の技術的範囲に属する旨の判断がされる可能性を直ちには否定できないところであることがうかがわれる。
そうすると,原告ツインステージ製品が105号特許権に抵触するものと認められる可能性を否定することは,困難であるといえる。
(イ)前記前提事実,証拠(乙4)及び当裁判所に顕著な事実によれば,995号特許権に基づく仮処分命令申立事件(当庁平成27年(ヨ)第22088号)については,平成28年6月24日,被告(同事件の債権者)の申立てを認めて,原告
による原告3列製品の製造販売及び輸出を仮に差止める旨の955号仮処分決定がされた後,原告が保全異議申立て(当庁平成28年(モ)第40031号)をしたが,当裁判所は,平成29年8月23日,被告の仮処分申立てには理由があり,これを認容した955号仮処分決定は相当であって,原告の主張(構成要件非充足,特許無効及び先使用権の主張)はいずれも採用することができない旨判断して,9
55号仮処分決定を認可する旨の決定をしたこと,原告が法定の期間内に同決定に対する保全抗告をしなかったことが認められる。
そうすると,
同特許権に基づく侵害訴訟
(当庁平成27年
(ワ)
第28608号)
につき,原告が全面的かつ最終的に「勝訴する見込みを有している」とはいうことは,およそ困難であるといえ,むしろ,少なくとも,原告3列製品については,9
95号特許権に抵触するものと認められる高度の蓋然性があるといえる。⑶

争点1についての小括

以上のとおりであるから,被告が原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知等を原告の取引先にしたと認めることは,困難である。
第5
結論

よって,その余の争点について判断するまでもなく,原告の本件請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第29部

裁判長裁判官
嶋末和秀伊藤清隆西山芳樹
裁判官
裁判官

(別紙)
取引先目録

12
合肥京东方光电科技有限公司(住所は省略)

3
成都天马微电子有限公司(住所は省略)

4
上海天馬微電子有限公司(住所は省略)

5
上海中航光電子有限公司(住所は省略)

6
シャープ株式会社(住所は省略)

LGDisplayCo.,Ltd.(住所は省略)

(別紙)
謝罪目録

当社は,平成27年10月頃,貴社及び貴社関連取引先に対し,株式会社ブイ・テクノロジーの製造・販売するIPS露光装置が,当社の所有する特許権(特許第5344105号及び特許第4815995号)の技術的範囲に属するとして,当該特許権を侵害していることを喧伝し,かつその旨の書面を何の権限も無しに配布致しました。
しかしながら,これは当社のまったくの独断と偏見に基づく誤った判断によるも
のであって,株式会社ブイ・テクノロジーの製造・販売するIPS露光装置は,当該特許権を侵害するものでは決してございません。
当社は,貴社及び貴社関連取引先に対して採った行為が違法行為であることを認め,全ての言動を撤回し,当社の誤った判断に基づく行動によって,貴社及び株式会社ブイ・テクノロジーに有形・無形の迷惑をお掛けし,株式会社ブイ・テクノロ
ジーの名誉,
社会的信用を毀損致しましたことを深く陳謝し,
ここに謝罪致します。
以上
(別紙)
消極損害一覧表

失注分
本件告知1
本件告知2
本件告知3

-
4億4275万円
-

減額分

合計

1億2300万円

1億2300万円

2億4120万円

6億8395万円

1億3100万円

1億3100万円

本件告知4

5億7050万円

本件告知5

6億7550万円

6700万円

7億4250万円

16億8875万円

5億6220万円

22億5095万円

合計

-

5億7050万円

トップに戻る

saiban.in