判例検索β > 平成28年(ワ)第38082号
損害賠償請求事件 商標権 民事訴訟
事件番号平成28(ワ)38082
事件名損害賠償請求事件
裁判年月日平成30年2月8日
法廷名東京地方裁判所
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平成30年2月8日判決言渡

同日原本交付

平成28年(ワ)第38082号

裁判所書記官

損害賠償請求事件

口頭弁論終結日平成29年12月13日
判決原有
同訴訟代理人弁護士

藤被告A
同訴訟代理人弁護士

告井主限会井上社鉄風神平潮文
1被告は,原告に対し,95万円及びこれに対する平成28年5月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2原告のその余の請求を棄却する。
3訴訟費用はこれを10分し,その7を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
4この判決は,1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由

第1請求
被告は,原告に対し,330万円及びこれに対する平成28年5月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
本件は,
「アロマグランデ」の標準文字からなる商標に係る商標権を有する原
告が,被告による「RFアロマグランデ」との標章の使用が原告の商標権の侵害に当たる旨主張して,民法709条及び商標法38条3項に基づき,一部請求として,
損害賠償金330万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成28年5月21日(原告が被告に本件請求の通知を送付した日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。1前提事実
(当事者間に争いのない事実及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
当事者
原告は,男性客の依頼を受けて女性セラピストを派遣し,人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において,その客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(派遣型ファッションヘルス)を行うなどする特例有限
会社である。
被告は,派遣型ファッションヘルスの営業等を営んでいた者である。原告の商標権
原告は,
次の
「アロマグランデ」
の標準文字からなる商標
(以下
「原告商標」
という。
)に係る商標権を有している。
登録番号

第5713465号

出願日

平成26年5月29日

登録日

平成26年10月24日

登録商標

アロマグランデ(標準文字)

指定商品及び指定役務並びに商品及び役務の区分
第44類
あん摩・マッサージ及び指圧,あん摩・マッサージ及び指圧に関する情報の提供,アロマオイルを使用するマッサージ,アロマオイルを使用するマッサージに関する情報の提供,アロマテラピーを用いたマッサージ,アロマテラピーを用いたマッサージに関する情報の提供,美容,美容に関する情報の提

第45類
ファッション情報の提供,個室において異性の客に接触する役務の提供,個室において異性の客に接触する役務の提供に関する情報の提供,派遣による人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務の提供,派遣による人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務の提供に関する情報の提供,部屋的コーナーにおいて客の好みに応じ遊興接客する役務の提供,
部屋的コーナーにおいて客の好みに応じ遊興接客する
役務の提供に関する情報の提供
被告の行為

被告は,平成25年6月26日頃から,
「RFアロマグランデ」
(以下「被告
標章」という。
)との名称を使用して,派遣型ファッションヘルスの営業(以下
「本件風俗営業」という。
)を行い,その宣伝のために,インターネット上の風
俗情報サイトや風俗雑誌等において被告標章を使用した。
なお,被告が本件風俗営業を止めた時期については争いがある。

2争点
原告商標と被告標章の類否
被告が本件風俗営業を行っていた期間
被告の先使用権の成否
損害不発生の抗弁の成否

損害額
原告の請求の権利濫用該当性
3争点に関する当事者の主張
原告商標と被告標章の類否)について
(原告の主張)

被告標章は,原告商標の「アロマグランデ」の冒頭に「RF」を付したものであって外観が類似すること,
「アロマグランデ」との標章からは芳香を用い
たリラクゼーション・マッサージが連想されるのであって観念が類似すること,「アロマグランデ」の部分の称呼は同じであることからすれば,原告商標と被告標章は類似する。
(被告の主張)
原告の風俗営業の対象地域(女性セラピストを派遣する範囲)が「新宿~東京都内23区」であるのに対し,被告の本件風俗営業の営業対象地域は神田で異なること,
原告の風俗営業における女性セラピストは日本人に限られるのに
対して被告の本件風俗営業における女性セラピストは日本人に限られないこと,
原告の風俗営業の料金体系と被告の本件風俗営業の料金体系は異なること
から,
顧客が原告の風俗営業と被告の本件風俗営業について誤認混同するおそれはなく,原告商標と被告標章は類似しない。
を行っていた期間)について
(原告の主張)
被告は,平成28年8月1日,上野警察署に対して本件風俗営業の廃止届を
提出した。
また,
被告は,
平成25年8月9日から平成28年2月29日まで,
株式会社Mネットシステムが管理するインターネット上の風俗情報サイト「MAN-ZOKUネット」及び「もみパラネット」
(以下,両情報サイトを併せて
「本件情報サイト」という。
)に本件風俗営業の広告を掲載していた。
そうすると,被告は,本件風俗営業を原告商標の登録前から廃止届を提出し
た平成28年8月1日まで行っていたか,少なくとも本件情報サイトでの広告掲載を止めた同年2月29日まで行っていた。
(被告の主張)
被告は本件風俗営業を平成27年6月30日頃までしか行っていない。このことは,被告が,同日頃,広告掲載を依頼していた株式会社ワークスの担当者
に対して本件風俗営業を廃業するので広告掲載を止めるように指示したことからも明らかである。
被告は本件風俗営業の廃止届を平成28年8月1日に提出したが,これは,単に届出が遅くなったにすぎない。また,被告は,新たな事業としてインターネット上のウェブサイトを運営することを検討しており,株式会社Mネットシステムの営業担当者から,ウェブサイト制作者の紹介を受ける等していたことから,
サイト制作者や株式会社Mネットシステムの営業担当者との関係維持のため,廃業後も同社に対するサイト掲載料の支払を継続していたにすぎない。被告の先使用権の成否)
(被告の主張)
被告は,平成23年2月頃から「アロマグランデ」の名称で店舗型マッサー
ジ店を営業していた。
被告は平成24年夏頃に上記店舗の営業を第三者に譲渡
したが,その後,業態を派遣型ファッションヘルスに変更して同店舗の営業に再び関わることにし,原告商標の出願に先立つ平成25年6月26日頃から被告標章を使用して本件風俗営業を開始し,風俗情報サイトや風俗雑誌において本件風俗営業の広告宣伝を行い,その結果,被告標章は需要者に広く認識され
るに至った。被告が,被告標章を使用して本件風俗営業を開始したのは,以前から使用していた「アロマグランデ」との名称に対する被告及び従業員並びに顧客の愛着と店舗型マッサージ店との継続性を表現したいという意図があったからである。
以上のとおり,被告は,原告商標出願前から不正競争の目的なく,被告標章
を使用し,その結果,被告標章は被告の本件風俗営業を表示するものとして需要者に広く認識されるに至ったから,被告は被告標章について先使用権(商標法32条1項前段)を有する。
(原告の主張)
否認ないし争う。

原告は,平成18年秋頃から「アロマグランデ」の名称で派遣型ファッションヘルスの営業を開始し,これが需要者に広く認識されており,被告もそのことを認識していたにもかかわらず,
「アロマグランデ」の名称を使用して原告
と同じ派遣型ファッションヘルスの営業を開始したのであるから,被告には不正競争の目的がある。
また,被告は風俗情報サイトや風俗雑誌で宣伝広告を行ったと主張するが,当該サイトのアクセス数は明らかではなく,風俗雑誌における本件風俗営業の広告スペースは限定されており,発行部数も明らかではないこと等からすると,被告標章が本件風俗営業を表示するものとして需要者に広く認識されていたとはいえない。
争点

(損害不発生の抗弁の成否)について

(被告の主張)
上記

の被告の主張のとおり,顧客が原告の風俗営業と本件風俗営業を誤認
混同するおそれはなく,原告の営業上の利益が減少するおそれはない。(原告の主張)
否認ないし争う。
争点

(損害額)について

(原告の主張)

商標法38条3項に基づく損害
被告は,原告商標の登録日である平成26年10月24日から平成28年8月1日までの22か月間,被告標章を使用して本件風俗営業を行って
いた。原告商標の使用料相当額は1か月当たり15万円であるから,原告は330万円(15万円×22か月間)の損害を被った。
原告商標の使用料相当額が1か月当たり15万円である根拠は次のとおりである。
原告は,派遣型ファッションヘルスの営業に使用する目的で,
「アロマ

ファンタジー」との文字からなる商標(以下「アロマファンタジー商標」という。
)に係る商標権を有しており,1500万円の広告費をかけて広
く周知させたが,その結果,アロマファンタジー商標の無断使用等が多発した。そこで,原告は,原告代表者が代表者を務める株式会社Fプロジェクト(以下「Fプロジェクト」という。
)との間でアロマファンタジー商標
に係る商標使用許諾契約を締結し,同社において同商標を管理することとした。その際,原告が1500万円の広告費をかけていたため,その1%
に当たる15万円を1か月当たりの使用料として定めた。そして,原告商標とアロマファンタジー商標はともに派遣型ファッションヘルスの営業に使用され,
「アロマ」
の文言が共通するから,
使用料相当額も同額程度で
あると考えるのが相当である。

弁護士費用相当額の損害
弁護士費用相当額は46万2961円が相当である。


よって,原告は,被告に対し,民法709条及び商標法38条3項に基づき,上記賠償金合計376万2961円の一部請求として,賠償金330万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成28年5月21日(原告が被告に本件請求の通知を送付した日の翌日)
から支払済みまで民法所定の年

5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(被告の主張)
否認ないし争う。

原告は,
アロマファンタジー商標の使用料相当額は1か月15万円であり,原告商標とアロマファンタジー商標の使用料相当額は同額程度であると考
えるのが相当であると主張する。しかし,アロマファンタジー商標の使用料の計算過程は不明瞭であり,客観的に合理性のある金額とはいえない。しかも,原告とFプロジェクトは代表者等が同じであり,実態的には同一企業であるから,両社が定めた使用料相当額はお手盛りの金額である。

被告は平成27年6月30日頃には本件風俗営業を廃業しているから,同日以降は原告に損害は発生していない。
争点

(原告の請求の権利濫用該当性)について

(被告の主張)
上記

の被告の主張のとおり,被告が「アロマグランデ」の名称でマッサー
ジ店の営業を開始し,その後,被告標章を使用して本件風俗営業を開始したのは原告による原告商標登録より前であるところ,被告は原告から原告商標の登
録の事実を知らされることなく,本件風俗営業を廃業し,営業に関する資料の多くを廃棄した。原告は,原告商標登録後,すぐに被告に対して被告標章使用について警告等を送付することができたにもかかわらず,相当期間経過後に本件請求を行ったのであり,その権利行使の態様は極めて不当であるから,原告の本件請求は権利の濫用というべきである。

(原告の主張)
否認ないし争う。
第3当裁判所の判断
1
原告商標について
原告商標の外観は標準文字で
「アロマグランデ」
とするものであり,
「アロマ
グランデ」の称呼が生じる。観念についてみると,我が国において「アロマグランデ」という語は知られていない。
「アロマ」の部分は,香,芳香を意味する
英単語として我が国で広く知られているが,
他方,
「グランデ」
の部分は偉大で

あること,大きいことを意味するイタリア語及びスペイン語の単語であるが,我が国で広く知られているとまではいえず,
また,
「アロマ」
と結びついて特定
の観念を生じさせるものとはいえない。したがって,原告商標に接した需要者は,
原告商標から特定の観念は想起せず,
原告商標を香又は芳香を意味する
「ア
ロマ」「グランデ」

との文字を組み合わせた造語であるととらえるといえる。

被告標章について
被告標章の外観は「RFアロマグランデ」とのアルファベット2文字とカタカナ7文字の9文字を横書きしたものであり,
「アールエフアロマグランデ」
の称呼が生じる。
観念についてみると,
我が国において
「RFアロマグランデ」
という語は知られていない。被告標章の「RF」のアルファベット2文字の部分は,本件指定役務との関係において,それ自体独立の意味を持った英語その他の外国語の単語ないし略語として認識されるものとみるべき事情は見当たらないため特定の観念を生じさせるものではなく,
被告標章に接した需要者に
とって特に関心を引く部分ではない。
これに対し,
「アロマグランデ」
の部分は
片仮名からなるひとまとまりの部分であり,

,それに接

した需要者は,
その部分から特定の観念は想起せず,
香又は芳香を意味する
「ア
ロマ」「グランデ」

との単語を組み合わせた造語であるととらえるといえる。
対比
以上のとおり,原告商標と被告標章は,外観及び称呼のうち「アロマグランデ」との部分において同一である。被告標章において,
「RF」のアルファベッ
ト2文字の部分はそれ自体独立の意味を持った単語ないし略語としては認識
されず,
需要者にとって強く関心を引く部分とはいえず,
「アロマグランデ」

部分がひとまとまりの造語として,役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえる。そうすると,原告商標と被告標章は外観,称呼が全体として類似し,観念において区別されないといえる。
そして,原告商標と被告標章につき,役務の出所を誤認混同するおそれがな
いとするような取引の実情等があるとは認められない。被告は,原告の風俗営業と被告の本件風俗営業とでは,営業対象地域(原告が「新宿~東京都内23区」であるのに対し,被告は「神田」であること。,女性セラピストの人種,)
料金体系等が異なるため,
顧客が原告の風俗営業と被告の本件風俗営業につい
て誤認混同するおそれはないなどと主張するが,それらが商標の類否判断の場
面における役務の出所を誤認混同するおそれを否定する取引の実情等であるとは認められない。
以上によれば,原告商標と被告標章は類似すると認められる。
そして,被告は,原告商標の登録日である平成26年10月24日より前から,インターネット上の風俗情報サイトや風俗雑誌等において,派遣による人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する本件風俗営業に関する広告において被告
標章を使用し,同日以降もその使用をしたのであり(前提事実

。使用の終了

日については争いがある。,原告商標の登録日以降の被告の上記行為は,原告)
商標に係る商標権の侵害とみなされる。
2
行っていた期間)について
証拠及び弁論の全趣旨によれば,被告は,平成25年8月9日から平成28年2月29日まで本件情報サイトに本件風俗営業の広告を掲載していたこと(甲14)
,本件情報サイトにおける本件風俗営業の広告ページには,料金体系の説明,派遣可能かどうかも含む女性セラピストの情報,電話番号,女性セラピストを派遣することが可能な対象地域等の情報が掲載されていたこと(甲
15)が認められる。
本件情報サイトは,
女性セラピストの派遣の申込みを考えている者を対象と
した情報サイトであって,それを閲覧した者に店舗や女性セラピストを閲覧させてサービスを申し込ませるためのものであり,派遣型ファッションヘルスの営業にとって重要な広告であると認められることからすると,被告は本件情報
サイトでの広告掲載を止めた平成28年2月29日頃まで本件風俗営業を行っていて,同日頃,本件風俗営業を廃業したと推認することができる。これに対し,原告は,被告が本件風俗営業を廃業したのは本件風俗営業の廃止届を提出した平成28年8月1日(甲16)であると主張する。しかし,被告は,廃止届は実際の廃業日より後に提出したと主張し,廃止届の提出時期が
実際の廃業日より後になることはあり得ることであり,上記廃止届提出日頃まで被告が営業を行っていたことをうかがわせる他の事情も認められないから,上記廃止届の提出時期は上記

ない。

他方,被告は,本件風俗営業を廃業したのは平成27年6月30日頃であって,
本件情報サイトを管理する株式会社Mネットシステムの営業担当者等との関係維持のためにその後も同社に対するサイト掲載料の支払を継続していたにすぎないと主張し,
被告本人の陳述書中にも同旨の記載がある
(乙6)しか


ている者を対象とする情報サイトであり,
営業をしていない店舗が本件情報サ
イトへの広告掲載を継続すると本件情報サイトに対する混乱や不満等を生じさせかねないもので,上記記載内容はにわかに措信し難い。
また,被告は,平成27年6月30日頃,広告掲載を依頼していた株式会社ワークスの担当者に対して本件風俗営業を廃業するので広告掲載を止めるように指示したと主張し,被告本人及び株式会社ワークスの従業員であるB(以下「B」という。
)の陳述書にも同旨の記載がある(乙5,6)
。証拠及び弁論
の全趣旨によれば,
被告は,
株式会社ワークスが発行する
「エステタウン情報」

との名称の情報誌や同社が管理するインターネット上の情報サイトに本件風俗営業の広告を掲載していたこと,Bは,平成28年7月1日,同社の担当者に対し,
被告の本件風俗営業について情報サイトでの有料広告掲載を無料広告掲載に変更するように電子メールで指示したこと(乙1,2の5~8,乙5,6)が認められる。しかし,Bが送信した上記電子メール(乙5)は無料であ
るにしても本件風俗営業の広告を掲載し続けるというものであって,そこには被告が本件風俗営業を廃業したことをうかがわせるような記載はない。被告が
廃業したのであれば情報サイトから被告の広告ページを削除するように指示するのが自然であり,
上記電子メールから被告主張の事実を認めることはでき
ない。
Bは営業を止めても無料掲載の広告ページを残す場合もあるというので
あるが,
そのような掲載は顧客に当該情報サイトに対する混乱や不満等を生じさせかねないものであり,にわかに措信し難い。
したがって,被告が主張する事実は上記

推認を覆すには足りない。

以上によれば,被告は,原告商標の登録日前から本件情報サイトでの広告掲載を止めた平成28年2月29日頃まで本件風俗営業を行っていて,同日頃,本件風俗営業を廃業したと認めることが相当であり,同日頃まで被告標章を使用していたと認められる。

3
証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。

被告は,
平成23年2月頃から,
「アロマグランデ」
との名称で店舗型マッ
サージ店を営業し,平成24年夏頃にはその営業を第三者に譲渡したが,業態を変更して営業に関わることとし,平成25年6月26日頃から,本件風
俗営業を開始した(甲2,乙6)


被告は,
本件風俗営業の広告を平成25年7月25日発行
(Vol.
14。
甲11,乙1)
,同年9月26日発行(Vol.15。乙2の5)
,同年11
月26日発行
(Vol.
16。
乙2の6)
及び平成26年1月27日発行
(V
ol.17。乙2の8)の「エステタウン情報」並びに平成25年12月1
6日発行の「エステPOKET2014春号」との名称の風俗雑誌(乙2の7)に掲載し,それらにおいて被告標章を表示した。

被告は,平成25年8月9日から平成28年2月29日まで,本件情報サイトに本件風俗営業の広告を掲載し,
被告標章を表示した
(甲14,
15)



被告は,平成23年7月27日以降,インターネット上で「神田エステマッサージ『アロマグランデ』日記」と題するブログを開設し,本件風俗営業開始後は,同営業に関する記事を掲載する等していた(乙4の1~6)。
検討
以上のとおり,被告標章は,被告の営業を示す標章として,本件風俗営業が
開始された平成25年6月26日から原告が原告商標を商標登録出願した平成26年5月29日までの期間において,風俗雑誌に5回掲載されたこと,風俗情報サイトに掲載されていたこと及び被告が個人的に開設したブログに掲載されていたことが認められる。
しかし,当該風俗雑誌には多数の風俗店の広告が掲載されているのであり(甲11,
乙1,
2の5~8)当該風俗雑誌の発行部数や風俗情報サイト及び

ブログの閲覧数も明らかではない。
そうすると,
原告が原告商標を商標登録出願した平成26年5月29日にお
いて,
被告標章が需要者にとって広く認識されていたとは認めることはできず,ほかにこれを認めるに足りる証拠はない。
したがって,その余の点について検討するまでもなく,被告が主張する先使
用権を認めることはできない。
4争点

(損害不発生の抗弁の成否)について

原告は,
商標権侵害を理由として商標法38条3項に基づく損害を主張するところ,被告は,顧客が原告の風俗営業と被告の本件風俗営業について誤認混同するおそれはなく,原告の営業上の利益が減少するおそれはないなどとして,原告に損害が発生していない旨主張する。
しかし,
原告が平成18年頃から原告商標を使用して派遣型ファッションヘルスの営業を行っていること(甲12,乙1,2の1~8)からすると原告商標には顧客吸引力があることがうかがわれ,他方,被告は被告標章を自己の名称として使用して本件風俗営業を行って広告をしていたのであり,
被告の本件商標権侵

害により,原告には少なくとも使用料相当額の損害が生じたというべきである。被告の主張は採用することができない。
5争点

(損害額)について

原告商標の使用料相当額について検討する。
原告は,原告商標の使用料相当額は,別の商標について原告がFプロジェクトとの間で締結した契約における使用料と同額の1か月当たり15万円であり,
この金額を被告が被告標章を使用していた期間に乗じた金額が損害額であると主張する。
しかし,
原告が上記主張の根拠とする契約は代表者を同じくする法人間の契約であり,その使用料の算出根拠も不明瞭なものであり,また,同契約の対象となったのは,多額の広告費をかけ,無断使用等が頻発した商標であるというのに対し,
原告商標について同様の状況があることを認めるに足りる証拠はな
く,
上記契約における金額が原告商標の使用料として合理的な金額であると認めることはできない。
そして,
被告標章の使用態様
(前提事実

)本件風俗営業と同種の営業にお


いて「アロマ」の文字を含む商標が使用されることも多いこと(乙1,2の3~8)
,その他本件における諸事情を総合すると,原告商標の使用料相当額は
1か月5万円とするのが相当である。
したがって,原告が,原告商標の使用に対し受けるべき金銭の額は85万円(1か月当たりの使用料5万円に17か月分
(原告が原告商標の商標権を取得
した平成26年10月24日から被告が本件風俗営業を廃業した平成28年2月29日まで)を乗じた額)であると認められる。

また,
本件における弁護士費用相当額の損害額は10万円とするのが相当である。
6
原告の請求の権利濫用該当性)について
被告は,
原告は原告商標登録後にすぐに被告に対して被告標章使用について警
告等を送付することができたにもかかわらず,相当期間経過後に本件請求を行ったのであり,その権利行使の態様は極めて不当であるから,原告の本件請求は権利の濫用であると主張する。
しかし,
原告が被告に対し被告標章の使用を容認していたと受け止められるような言動等をした事情もなく,被告が主張する事情によって原告の本件請求が権
利の濫用に該当するとはいえず,ほかにこれを認めるに足りる証拠はない。したがって,被告の主張は採用することができない。
7結論
よって,原告の請求は,民法709条及び商標法38条3項に基づき,95万円及びこれに対する不法行為の日の後の日である平成28年5月21日(原告が被告に本件請求の通知を送付した日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第46部

裁判長裁判官

柴田義明
裁判官

萩原孝基
裁判官

大下良仁
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