判例検索β > 平成25年(ワ)第4755号
損賠賠償請求事件
事件番号平成25(ワ)4755
事件名損賠賠償請求事件
裁判年月日平成29年12月27日
法廷名名古屋地方裁判所
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平成29年12月27日判決言渡
平成25年

第4755号

259号,同第3849号
口頭弁論終結日

損害賠償請求事件

平成29年12月21日
判主1決文
別紙認容額一覧表の「被告」欄記載の被告らは,「原告」欄記
載の各原告に対し,他の被告らと認容額が重なる限度で連帯し
て,それぞれの「原告」及び「被告」に対応する欄記載の各金員
及びこれに対する平成27年1月22日から支払済みまで年5
分の割合による金員を支払え。

2
原告1ないし11,
原告13ないし23,
原告25ないし29,
原告30訴訟承継人29,原告31,原告34ないし42,原告
43訴訟承継人43の1及び同43の2,原告44,原告45,
原告47ないし49,
原告51ないし60,
原告62,
原告63,
原告65ないし67,
原告68訴訟承継人68の1及び同68の
2,原告69ないし78,原告81並びに原告82の被告Gに対
する各請求をいずれも棄却する。

3
原告32,原告33訴訟承継人33の1及び同33の2並びに
原告46の被告Gに対するその余の請求をいずれも棄却する。

4
原告18及び原告45の被告Hに対する請求をいずれも棄却
する。

5
原告18及び原告30訴訟承継人29の被告Iに対する請求
並びに原告29の被告Iに対するその余の請求をいずれも棄却
する。

6
原告46の被告Jに対するその余の請求を棄却する。

7
訴訟費用の負担は,別紙「訴訟費用負担一覧表」記載のとおり
とする。

8
この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

第1

実及び理由
請求

1
別紙請求額一覧表(原告73,74以外関係)の「被告」欄記載の被告らは,同一覧表の対応する「原告」欄記載の原告に対し,連帯して同目録の「請求額」欄記載の金員及びこれに対する平成27年1月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
被告A及び被告Dは,原告73に対し,連帯して3287万3747円及びこれに対する平成27年1月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
被告株式会社C(以下「C」という。),被告B,被告E,被告F及び被告Gは,原告73に対し,被告A及び被告Dと連帯して385万円及びこれに対する平成27年1月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
被告Aは,原告74に対し,被告Dと4950万円の限度で連帯して,6560万5509円及びこれに対する平成27年1月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
被告Dは,原告74に対し,被告Aと連帯して,4950万円及びこれに対する平成27年1月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
被告C,被告B,被告E,被告F及び被告Gは,原告74に対し,被告A及び被告Dと連帯して715万円及びこれに対する平成27年1月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2

事案の概要等

1
事案の概要
本件は,株式会社L(以下「L」という。)又は株式会社M(以下「M」とい
う。)が発行した社債を購入した原告ら(相続が発生している原告については被相続人たる購入者を指す。
社債の購入・販売に関して述べるときは以下同じ。

が,L及びMによる社債の販売は組織的詐欺の一環として行われたものであって,L又はMの勧誘担当者から勧誘を受けて前記社債を購入したことにより,損害を被ったと主張し,被告らに対し,次のとおり,前記第1の金員(社債購入額の一部及び弁護士費用並びにこれらに対する不法行為の後の日であり,かつ催告の後の日である平成27年1月22日(全ての被告らに対して本件の全ての訴状が送達された日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金)の連帯支払を求める事案である。
本訴において,原告らは,被告らから支払を受け得る金額の合計を前記第1の金員と特定し,別紙購入社債一覧表【原告請求】の「請求順位」欄記載の順位に従い,
前記第1の金員に満つるまでの部分に係る損害の賠償を求めている。なお,ここでいう順位付けは,全ての被告との間で別紙購入社債一覧表【原告請求】の当該社債に係る請求が棄却されたときは,これを条件として請求金額に満つるまで後順位の社債についての判断を求めるというものであり,いずれかの被告との関係において請求額が満額認容されれば,当該社債購入について他の被告に対する請求が棄却となっている場合でも,当該他の被告について,後順位の購入社債に関する請求の判断は求めないという趣旨での順位付けである。
被告C関係
原告らは,被告CがLと一体となって組織的詐欺行為に及び,かつ,その代表者である被告Bが職務執行について組織的詐欺行為を行ったと主張し,被告Cに対し,共同不法行為,不法行為の幇助又は会社法350条に基づく損害賠償として,前記第1の金員について,他の被告らとの連帯支払を求め
ている。
被告A,被告D及び被告G関係
原告らは,Lの実質的代表者であった被告A,Lの代表取締役であった被告D及び被告Gが,違法な社債販売を行い,又は従業員をしてこれを行わせたものであると主張し,被告A,被告D及び被告Gに対し,共同不法行為又は会社法429条1項(ただし被告Aについては類推適用)に基づく損害賠償として,前記第1の金員について,他の被告らとの連帯支払を求めている。被告E関係
原告らは,Lの営業部長であった被告Eが,違法な社債販売を行い,又は従業員をしてこれを行わせたものであると主張し,被告Eに対し,共同不法行為,代理監督者責任(民法715条2項)又は会社法429条1項(類推適用。Lの実質的な取締役としての責任を追及するもの。)に基づく損害賠償として,前記第1の金員について,他の被告らとの連帯支払を求めている。被告F関係
原告らは,Lの総務部長であり,被告Cの取締役であった被告Fが,Lのマネーロンダリングに関与し,Lの違法な社債販売に加担したと主張し,被告Fに対し,
共同不法行為又は会社法429条1項に基づく損害賠償として,
前記第1の金員について,他の被告らとの連帯支払を求めている。被告B関係
原告らは,被告Cの代表取締役である被告Bが,被告Aとともに違法な社債販売を行うとともに,被告Cによる違法な社債販売を容認・助長したと主張し,被告Bに対し,共同不法行為又は会社法429条1項に基づく損害賠償として,前記第1の金員について,他の被告らとの連帯支払を求めている。その余の被告関係
原告ら(ただし,勧誘担当者に対して損害賠償請求をしている者に限る。)は,当該原告に対して本件社債の購入を勧誘した担当者である被告H,被告
I,被告J及び被告Kが,社債販売の違法性を認識しつつこれを行ったと主張し,被告H,被告I,被告J及び被告Kに対し,不法行為に基づく損害賠償請求として,前記第1の金員について,他の被告らとの連帯支払を求めている。
2
前提事実(争いのない事実のほかは,後掲各証拠(枝番があるもので,その全てを摘示すべき場合には,その記載を省略する。以下同じ。)及び弁論の全趣旨により明らかに認められる。)
当事者等

L及びM
Mは,信用保証業務,企業間の提携及び合併に関する仲介及びコンサルティング業務等を目的として,平成19年12月28日に設立された資本金3000万円の株式会社である。Mは,平成21年11月にLが設立された後,その事業を事実上Lに引き継ぎ,平成25年8月28日破産手続開始決定を受けた。(甲全6,9,11,18)
Lは,
企業間の提携及び合併に関する仲介及びコンサルティング業務,
有価証券の売買等の媒介,取次及び代理等を目的として,平成21年11月24日に設立された資本金5000万円(ただし平成22年1月14日以前は500万円)の株式会社である。Lは,
99号事件提訴後である平成25年6月24日午後5時,名古屋地方裁判所から破産手続開始決定を受けて,平成28年10月14日,破産手続廃止決定を受けた(同決定は,同年11月10日に確定した。)。(甲
全5,17,顕著な事実)


被告C
被告Cは,企業間の提携及び合併に関する仲介及びコンサルティング業務,信用保証業務等を目的として,平成20年8月5日に設立された資本金500万円の株式会社である。(甲全20)


被告A
被告Aは,自身の名義で,又は,同人が大部分を出資していたN株式会社(以下「N」という。)名義で,Lの全株式を保有し,Lを実質的に支配・経営していた者である。そして,被告Aは,M,株式会社O(Mから従業員の移籍を受け,Lに対して従業員を出向させていた会社である。以下「O」という。)の全株式を保有し,これらの会社を実質的に支配・経営していたほか,設立当初より,被告Cの取締役である。(甲全8,11,19,20,25,27の3,28の3,29の3)


被告D
被告Dは,設立当初からMの代表取締役であり,平成23年9月30日以降はLの代表取締役の地位にもあるほか,平成22年8月4日以降,Oの代表取締役であった者である。(甲全17ないし19)


被告G
被告Gは,Lの設立時である平成21年11月24日から平成22年8月26日までの間,Lの代表取締役であったほか,Oの設立時から平成22年8月4日まで,同社の代表取締役であった者である。(甲全17,19)


被告F
被告Fは,被告C及びOの設立時からの取締役の地位にある者であり,平成23年9月30日までMの取締役であった者である。(甲全18ないし20)


被告E
被告Eは,Oの設立時からの取締役であり,平成22年7月31日までMの取締役であった者である。(甲全18,19)


被告B
被告Bは,被告Aの妻であり,被告Cの設立時である平成20年8月5
日以降,同社の代表取締役である者である。また,被告Bは,被告Cの決算報告書上,被告Cの全株式を保有する株主として記載されている。(甲全20,乙1の5,1の11,1の12)

勧誘担当者ら
被告H
被告Hは,平成23年2月頃,Oに従業員として入社し,顧客に対してLの社債を販売する営業活動を行っていた者である。被告Hは,平成25年5月頃のLの営業停止まで,Oの従業員であった。(甲全57,66,弁論の全趣旨)
被告I
被告Iは,平成21年1月頃,Mに従業員として入社し,顧客に対してMの社債を販売する営業活動を行っていた者である。被告Iは,その後,Oに移籍して,Lの社債を販売する営業活動を行っていたが,平成23年3月頃,退職した。(甲全66,弁論の全趣旨)
被告J
被告Jは,平成20年7月頃,Mに従業員として入社し,顧客に対してMの社債を販売する営業活動を行い,その後,Oに移籍して,Lの社債を販売する営業活動を行っていた者である。被告Jは,平成25年5月頃のLの営業停止まで,Oの従業員であった。(甲全66,弁論の全趣旨)
被告K
被告Kは,
平成19年11月頃,
Mの前身であるP株式会社
(以下
「P」
という。)に従業員として入社した後,顧客に対してMの社債を販売する営業活動を行い,その後,Oに移籍して,Lの社債を販売する営業活動を行っていた者である。被告Kは,平成25年5月頃のLの営業停止まで,Oの従業員であった。(甲全66,弁論の全趣旨)

P,M又はL(以下「L等」という。)による社債販売及び原告らによる社債購入

被告Aは,平成15年頃,信用保証業務を行っていた会社(後にPに社名変更)を買収し,平成19年より,事業会社から債権を買い取り,消費者から回収して買取り価格との差額を得る事業を行うようになった。そして,債権の買取りの資金を調達するために,「クレジット債権購入ファンド」として,予想配当金利年18パーセント等と謳い,資金を集めるようになったが,金融商品取引法(以下「金商法」という。)の改正や監督官庁によりPに対する指導が行われたことなどから,同年12月,Pとは別会社としてMを設立し,同社において,社債販売の形態で,資金調達を開始した。
そして,その後,Mで行っていた社債発行による資金調達事業は,Lに事実上引き継がれ,Lにおいて前記社債販売を継続することになった(以下,P,M又はLにおいて募集された高利の「クレジット債権購入ファンド」又は社債を「本件社債」という。)。なお,資金調達形式は,ファンドから社債に変わったものの,その販売方法は,M及びLにおいても概ね踏襲されていた。(甲全37,54,60,65)


原告らは,消費者であるが,L等の従業員の勧誘又はL等から本件社債を既に購入していた知人から紹介を受け,かつ,L等の従業員から本件社債の内容等に関する説明を受け,平成19年頃から平成25年頃までの間に,本件社債を購入した。
亡原告30は平成27年6月29日死亡し,原告29が同人の本訴請求権を相続した。亡原告33は平成28年8月16日死亡し,原告33訴訟承継人33の1が5分の2,同33の2が5分の3の割合で,亡原告33の本訴請求権を相続した。亡原告43は平成28年4月27日死亡し,原告43訴訟承継人43の1と同43の2が各2分の1の割合で,亡原告4
3の本訴請求権を相続した。亡原告68は,平成29年4月23日死亡し,原告68訴訟承継人68の1と同68の2が各2分の1の割合で,亡原告68の本訴請求権を相続した。(甲全10,甲1ないし82の2,弁論の全趣旨)

L等においては,本件社債の勧誘に当たり,本件社債は次のようなものであるという説明をしていた。(甲全10,12ないし15)
L等は,社債権者(以下「顧客」という。)から集めた資金を,海外企業や関連会社に対する投資に充てたり,不良債権の回収事業等に充てることによって,収益を上げる。
L等は,上記事業により得た収益を原資として,顧客に対する利息の支払(配当)及び元金の返済を行う。
L等による本件社債の販売方法
L等は,本件社債の販売人数の上限を49人,募集金額を4億9000万
円(ただし,後に9900万円とされた。)として,「●回債」などと回債の番号を付した上で,その販売を行っていた。購入希望者が前記上限を上回る場合には,新たな社債として回債を変えて販売を行っていた。(甲全13ないし15,33,54)
Lに対する返金請求及び強制捜査等
本件社債の販売に関しては,遅くとも平成22年9月頃以降,顧客の代理人弁護士から,違法な預り金に当たるなどと主張され,元本の返金請求がなされることがあった。また,平成23年2月頃には,Lの預金口座に対し,犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律3条1項に基づく口座凍結が行われた。さらに,Lは,同年11月頃からは上記社債販売について金商法違反(無届けの私募債募集)の疑いで東海財務局による調査を受け,平成24年7月31日には愛知県警察から強制捜査を受けた。

このため,同年8月頃以降,本件社債の解約申出が加速し,Lは,同年10月頃からは分割払いで対応するようになった。そして,平成25年4月末の社債償還及び同年5月10日の利払が困難になって支払を停止し,同年6月13日,破産手続開始申立てをした。(甲全5,8,37,48)被告A,被告D,被告E及び被告Fに関する刑事事件
被告A及び被告Dは,平成25年10月,本件社債の販売が違法な預り金に当たるとして,
出資の受入れ,
預り金及び金利等の取締りに関する法律
(以
下「出資法」という。)違反事件の被疑者として逮捕・勾留された。そして,被告A及び被告Dは,同月23日,出資法違反事件の被告人として,起訴された。
上記公訴の提起を受けた名古屋地方裁判所は,平成26年6月3日,「被告A及び被告Dは,被告Eらと共謀の上,平成23年3月10日頃から平成25年5月1日頃までの間,不特定かつ多数の相手方である顧客らから,52回にわたり,合計1億5500万円を,いずれも元本額及び所定の利息を支払うことを約して受け取り,もって業として預り金をした」旨の犯罪事実を認定した上で,被告Aに対して懲役1年8月,被告Dに対して懲役2年・執行猶予4年の有罪判決を宣告した。
また,被告E及び被告Fについても,被告A及び被告Dと同様の犯罪事実が認定された上で,それぞれ懲役2年・執行猶予4年の有罪判決が宣告された。(甲全1ないし3,53,59,63)
Lの破産手続の推移
Lの破産管財人であるQ弁護士(以下「Q管財人」という。)は,被告AがLの事実上の代表取締役として損害賠償責任を負うと主張し,被告Aに対する役員責任査定の申立てをした。そして,同申立てを受けた名古屋地方裁判所は,被告Aについて,Lの事実上の代表取締役であったにもかかわらず,取得したとする金融債権のリストと債権証書を保管することもなく,債権回収を委託したとする債権の特定も,委託契約の内容も具体的に明らかにしないものであるから,事実上の代表取締役としての善管注意義務に違反すると判断し,会社法423条1項に基づき,Lの被告Aに対する損害賠償請求権の額を,41億6889万1295円及び遅延損害金と査定した。また,Q管財人は,被告D及び被告Gについても役員責任査定の申立てを行ったところ,同申立てを受けた名古屋地方裁判所は,被告D及び被告Gの両名について,Lが取得する金融債権の管理体制を適切に構築した上で金銭債権購入のための資金を支出すべき注意義務があるのに,これに違反したと判断し,Lの被告Dに対する損害賠償請求権の額を1億3778万円及び遅延損害金と査定し,Lの被告Gに対する損害賠償請求権の額を1億3245万9172円及び遅延損害金と査定した。(甲全39,40)
3
争点
各被告共通

本件社債の販売の違法性(争点①)


損害額(争点②)


原告らの損害と受領した利息との間の損益相殺の可否(争点③)被告A関係


被告Aは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか(争点④)

被告Aは,Lの実質的な代表者として,会社法429条1項(類推適用)に基づく責任を負うか(争点⑤)
被告C関係


被告Cは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任又は不法行為の幇助責任を負うか(争点⑥)


被告Cは,本件社債の販売に関して原告らに対する会社法350条に基づく責任を負うか(争点⑦)
被告B関係

被告Bは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか(争点⑧)

被告Bは,被告Cの取締役として,会社法429条1項に基づく責任を負うか(争点⑨)
被告D関係


被告Dは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか(争点⑩)

被告Dは,Lの取締役として,会社法429条1項に基づく責任を負うか(争点⑪)
被告E関係


被告Eは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか(争点⑫)

被告Eは,本件社債の販売に関して,Lの従業員の代理監督者責任(民法715条2項)を負うか(争点⑬)


被告Eは,Lの事実上の取締役として,会社法429条1項(類推適用)に基づく責任を負うか(争点⑭)
被告F関係


被告Fは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか(争点⑮)

被告Fは,被告Cの取締役として,会社法429条1項に基づく責任を負うか(争点⑯)
被告G関係


被告Gは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか(争点⑰)

被告Gは,Lの取締役として,会社法429条1項に基づく責任を負うか(争点⑱)
勧誘担当者関係


被告Hは,勧誘を担当した顧客に対し,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか(争点⑲)


被告Iは,勧誘を担当した顧客に対し,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか(争点⑳)

被告Jは,勧誘を担当した顧客に対し,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか(争点㉑)


被告Kは,勧誘を担当した顧客に対し,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか(争点㉒)

4
争点に関する当事者の主張
各被告共通

争点①(本件社債の販売の違法性)について

(原告らの主張)
本件社債の販売は,詐欺に当たる上,出資法,金商法にも違反するものである。その詳細は次のとおりである。
本件社債の販売が詐欺に該当すること
本件社債は,年利6.4パーセント以上の高利の配当を謳って一般消費者である原告らに対して販売されたものであるが,本件社債の発行主体であるL等は,原告らに対する高利配当を維持できるほどの収益又は収益構造を有していなかった。したがって,近い将来,高利配当及び元本償還が不可能となることが明らかであるにもかかわらず,L等においては,これができるかのように装った上で,原告らを無差別に勧誘し,社債を販売し続けた。そうすると,本件社債の販売は,原告らに対する詐欺に当たり得るものである。この点を詳述すると,次のとおりである。a
L等が高利配当を維持し得る収益又は収益構造を有していなかったこと
社債発行会社は,社債償還時に社債権者に対して社債元本を一括返済する必要があるから,社債の発行による資金調達は,分割返済であることが多い金融機関からの借入れや返済の必要がない株式発行による資金調達に比べ,償還時の資金的負担が極めて大きい。それゆえ,社債発行による資金調達を行う場合には,社債の利息支払を定期的に行うとともに,元本返済に充てることができる資金を現預金といったキャッシュの形で計画的にストックしなければならない。
すなわち,社債発行会社は,社債の発行に当たり,償還期日における元本返済の見込みの有無を慎重に判断して経営しなければならないところ,このことは,資金のほとんどを社債発行により調達していたL等については特に妥当するものといえる。
しかしながら,そもそもL等を実質的に支配し,調達した資金運用を一手に担っていた被告Aは,本件社債により原告らから得た金銭を着服し,あるいは,個人的な利殖目的で海外等に流出させたのであって,元本償還に行き詰ることのないように現預金を積み立てることを一切していなかった。
元本償還のための資金の積立てすらされていない本件社債は,そもそも,近い将来高利配当及び元本償還が不可能となる詐欺的な金融商品であり,本件社債販売当初から詐欺目的で販売されていたものといえる。
b
L等の従業員による勧誘態様
高利の利息を支払った上で,元本を一括償還する本件社債は,上記のように支払が不可能になって破たんすることが必至な金融商品であった。このように,L等には年利6.4パーセント以上もの社債利息の支払及び社債元本償還を継続できるだけの収益及び収益構造がなく,設立当初よりいずれかの段階で配当又は元本償還の原資の調達に行き詰り,支払が不能となって破たんすることが明らかであるのに,L等の従業員は,高利配当の理由が真実であり,本件社債の元本は必ず償還されるとして,「元本確保」なる勧誘文言を用いるなどして社債購入を勧誘し続け,原告らをして,高利配当及び元本の返還が確実であると誤信させたものである。
c
小括
以上述べたところによれば,本件社債の販売は,原告らに対する詐欺に当たるといえる。
本件社債の販売が出資法に違反すること
本件社債の販売事業は,法定の除外事由がないのに,不特定多数の者
から元本及び利息の支払を約して金銭を預かるという「預り金」に該当するものであって,出資法2条1項に違反するものであった。出資法違反は刑事罰によって禁圧されており,同法違反によってされた社債販売ないし勧誘行為は,
私法上も公序良俗違反として無効であるのみならず,
顧客らに対する違法行為となる。
本件社債の販売が金商法に違反すること
a
本件社債の販売が無届募集であること
社債発行会社は,社債の募集又は売出しが「少人数私募」に当たらない限り,社債の募集又は売出しに当たり,募集又は売出しの届出及び有価証券届出書の提出を行う必要がある(金商法4条,5条1項)ほか,顧客らに対して目論見書を交付する必要がある(同法13条1項)。そして,本件社債は,不特定多数の相手方に対して無差別に電話をかけて,その購入を勧誘されたものであり,「少人数私募」には当たらないにも関わらず,前記届出や目論見書の交付などが行われていない。なお,金商法上の上記義務違反は,刑事罰の対象にもなるものであり(同法197条の2第1項),同違反行為によってなされた本件社債販売は,
私法上も公序良俗違反として無効であるのみならず,
顧客らに対する違法行為となる。

b
適合性原則違反について
金融商品取引業者は,金融商品取引行為について,顧客の知識,経験,財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行って投資者の保護に欠けることとならないよう業務を行わなければならない(適合性原則。金商法40条1項)ところ,同様の規律は,金商法の定める金融商品取引業者でないL等に対しても及ぶものである。
しかるに,L等の従業員による勧誘行為は,原告らの経歴,投資等に関する知識,経験,社債の購入目的等に照らし,全ての原告らとの関係で適合性原則に違反するものであった。
c
説明義務違反について
金融商品取引業者は,顧客の勧誘に際し,顧客が不測の損害を被ることがないよう,顧客の経験,知識,能力に照らして,顧客の理解に必要十分な範囲で説明を行う義務を負うところ,同様の規律は金融商品取引業者でないL等に対しても及ぶ。そして,上記

で述べたと

ころによれば,原告らに対する本件社債の販売に際し,前記説明義務を満たした説明がされたとはいえない。
(被告A,被告C及び被告B(以下「被告Aら」という。)の主張)本件社債の販売は出資法に違反する違法な預り金であったが,本件社債の販売が無許可の預り金であることによって,本件社債の販売が直ちに違法と評価されるものではない。
また,Lにおいては,社債購入者から預かった資金を運用し,その利益によって社債の償還及び配当を行っていたものであって,現にLは平成21年に会社を設立して社債の販売を始めてから平成24年7月までの約3年間,何ら問題なく元本償還を行い,平成25年4月までは利息の支払を滞りなく行っていた。Lが元本償還及び利息の支払に支障を生じるようになったのは,平成24年7月31日に警察による強制捜査を受け,同年8月以降に名古屋国税局により,
Lの出資金や貸付金が差し押えらえたため,
資金繰りが悪化したことによる。以上のことからすれば,Lにおいて,本件社債の元本償還及び利息支払を継続できるだけの収益又は収益構造を有していなかったとはいえない。Lは警察の捜索差押えを受けた同年8月以降,新規の社債募集を停止しており,社債の償還及び配当が困難な状況で社債を募集したこともない。
また,原告らは金商法違反を主張するが,金商法は取締法規にすぎないから,これに違反する行為が直ちに不法行為を構成することはない。(被告D及び被告Eの主張)
本件社債の販売が詐欺であるかについて
不知,否認ないし争う。被告D及び被告Eは,本件社債販売の詳細について関知していないが,配当や元本償還等は可能であるという認識であり,支払不能になって破綻するという認識はなかった。
本件社債の販売が出資法に違反するかについて
被告D及び被告Eにおいて,本件社債の販売(預り金)が出資法に違反するという認識はなかった。
本件社債の販売が金商法に違反するかについて
本件社債の販売が少人数私募の要件を満たさないことは認めるが,その余は否認ないし争う。被告D及び被告Eは少人数私募の要件を満たすものと信じていた。なお,Lは金融商品取引業者でないから適合性原則違反及び説明義務違反の問題が生じる余地はない上,原告らによる適合性原則違反,説明義務違反の主張には具体性がない。さらに,金商法は公法上の業務規制であるから,同法違反の事実が直ちに民法上の不法行為を構成するわけでもないし,金商法違反(無届け募集)と損害の間には因果関係もない。
(被告Fの主張)
本件社債の販売が詐欺であること,出資法及び金商法に違反することについては,不知ないし否認する。被告Fは,被告A又は被告Dの指示に基づいて経理業務,総務的な事務,雑用をしていただけであり,具体的な勧誘の態様,Lの実際の財務状況,配当の見込み等については何も知らされていなかった。
(被告Gの主張)
否認する。本件社債販売について,詐欺事件として起訴された事実はない。
(被告H及び被告Jの主張)
否認する。
(被告I及び被告Kの主張)
不知

争点②(損害額)について
(原告らの主張)
社債購入
原告らは,少なくとも,別紙購入社債一覧表【原告請求】に各記載のとおり,M又はLから社債を購入し,同表の「償還の有無」欄において「償還未了」と記載されている社債については,未だその元本について現実の償還を受けていない。
弁護士費用
原告らは弁護士に委任して本訴を提起せざるを得なかった。各原告らについて本件と相当因果関係のある弁護士費用は,
次の金額を下らない。
a
原告73,74以外の原告関係

別紙請求額一覧表(原告73,7

4以外関係)の「請求」欄中,それぞれ対応する「弁護士費用」欄に記載の額
b
原告73

被告A及び被告Dについては300万円,被告C,被告

B,被告E,被告F及び被告Gについては35万円
c
原告74

被告Aについては600万円,被告Dについては450
万円,被告C,被告B,被告E,被告F及び被告Gについては65万円
(被告A,被告C,被告B,被告D及び被告Eの主張)
否認ないし争う。
(被告Fの主張)
原告らの社債購入については不知,弁護士費用については否認ないし争う。
(被告Gの主張)
社債購入については不知。弁護士費用は争う。
(被告H,被告I,被告J及び被告Kの主張)
否認する。

争点③(原告らの損害と受領した利息との間の損益相殺の可否)について
(被告D及び被告Eの主張)
原告らが受領した配当は,原告ら主張の損害から損益相殺されるべきである。なお,本件社債の販売は,いわゆるヤミ金融や詐欺のような反倫理的行為には当たらないから,原告らが受領した配当金は損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象となるというべきである。
(原告らの主張)
本件社債の販売は反倫理的行為であるところ,原告らが多大な損害を被っていることや原告らには何らの落ち度がないことを考慮すれば,衡平の観点から損益相殺をすべきではない。
また,本訴請求は一部請求であるところ,仮に損益相殺されるとしても,一部請求額の残余額を上回る相殺額になることはないから,上記被告D及び被告Eの主張は,原告らの請求額を左右するものではない。
被告A関係

争点④(被告Aは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか)について
(原告らの主張)
被告Aは,L及びMの100パーセント株主であるが,M時代に本件社債の販売という詐欺商法を発案し,その関連会社,役員らや従業員らを組織化して同商法を実践し,L設立後もこれを引き継いだものである。そして,被告Aは,顧客から集めた資金の投資先を独占的に決定する立場にあり,総額41億円もの資金を扱い得る立場となったものであるが,これを着服し,あるいは個人的な利殖目的で,被告Cを含めて関連会社を経由して海外等に流出させたものであるといえる。
このように,本件社債販売による集金スキームを自ら発案し,これを組織化して統括していた被告Aは,自ら本件社債の販売という詐欺行為を主導的に行っていたものといえるから,顧客である全ての原告らの社債購入に関して,他の被告らとともに共同不法行為責任を負う。
また,この点を措くとしても,本件社債の販売は,出資法及び金商法に違反するものであることは上記のとおりであり,被告Aは,このような違法行為を主導して行ったものともいえるから,この点をみても,顧客である全ての原告らの全ての社債購入に関し,共同不法行為責任を負う。(被告Aの主張)
争点①(被告Aらの主張)に記載のとおり,Lは,本件社債の元本償還
及び利息支払を継続できるだけの収益又は収益構造を有しており,原告らに本件社債を販売した時点で社債の償還及び配当ができなくなることは,被告Aには予見できなかった。
また,被告Aにおいて,本件社債販売当時,その販売が出資法に違反する違法な預り金に当たることを認識していたことは認めるが,出資法違反や金商法違反の事実は,直ちに不法行為を構成するものではない。加えて,本件社債の勧誘方法等については,金融商品販売のノウハウを持っていた被告Dらが発案して決定し,業務を遂行していたため,被告Aはその勧誘態様等の詳細を把握していなかった。さらに,Mが私募債を発行する際には,東海財務局に具体的募集文言と内容を説明し,同局から問題なしという回答を得た上で事業を開始している。それゆえ,仮に本件社債の勧誘方法に違法性があるとしても,被告Aに故意も過失もない。
以上によれば,被告Aが原告らに対する共同不法行為責任を負うことはない。

争点⑤(被告Aは,Lの実質的な代表者として,会社法429条1項(類推適用)に基づく責任を負うか)について
(原告らの主張)
争点④(原告らの主張)に記載のとおり,被告AはL及びMの100パーセント株主であった。また,被告Aは,自ら「Lグループ」の代表と称し,本件社債の購入に当たって用いられたLのパンフレットにおいて,Lを取り巻く状況や同社の将来について述べるなど,対外的にもLの代表者としてふるまっていた。以上のことからすれば,被告AはLの実質的な代表者としての地位・役割を有していたものといえる。
Lにおける前記の地位・役割に照らせば,被告Aは,Lの役員や従業員をしてその業務を適正・適法に行わせるように監督し,従業員の違法行為を防止する管理体制を整備すべき義務があったのに,少なくとも重大な過失により前記義務を怠り,組織的詐欺である本件社債の販売や,L従業員らによる違法な勧誘行為を監督又は防止しなかったものである。
したがって,被告Aは,本件社債を購入した全ての原告らに対し,会社法429条1項(類推適用)に基づく責任を負う。
(被告Aの主張)
被告AがL及びMの100パーセント株主であることは認めるが,その余は否認ないし争う。争点④(被告Aの主張)のとおりであるから,被告Aに悪意・重過失は認められない。
被告C関係

争点⑥(被告Cは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任又は不法行為の幇助責任を負うか)について
(原告らの主張)
被告Cは,Lが組織的詐欺商法である本件社債の勧誘を行う際に,海外投資事業を行っているかのような外観を作出することに関与したり,Lが顧客から得た資金を他社に移転させたりすることにより,本件社債の販売という違法行為を積極的に援助・助長し,加担してきたものであるから,Lとともに共同して本件社債の販売(違法行為)を行ったものといえ,少なくともLによる本件社債の販売(違法行為)を幇助したものである。この点を詳述すると,次のとおりである。
Lと被告Cの取締役の構成等
被告Cの本店所在地はL及びOの本店所在地と同じである上,Lの実質的な代表者である被告Aが被告Cの取締役を,その妻である被告Bが被告Cの代表取締役を務め,さらにLの経理担当者であり財務・経理関係を取り仕切っていた被告Fが被告Cの取締役を務めるなど,L及び被告Cの役員も重複していた。
被告Cが,本件社債の勧誘に必要不可欠な虚偽の外観の作出に関与したこと
Lは,本件社債の勧誘に際して発行したパンフレット等において,被告Cが現地法人として設立した会社がLの海外における事業拠点であるかのように記載し,この点を重要なアピールポイントとして本件社債の勧誘活動を行っていた。被告Cの現地法人をLの事業拠点であるとアピールすることはLにおける本件社債の勧誘にとって必要不可欠であったところ,被告Cは,その現地法人が上記のようにLの違法な社債販売に利用されていることを認識していたのに,何らの是正措置を講じなかった。このように,被告Cは,本件社債の勧誘に際して説明されたLの海外事業という,本件社債勧誘に際して必要不可欠な事項に関する虚偽の外観の作出に関与したものである。
被告A及びLの資産と被告Cの資産が混然一体となっており,被告Cの口座はLの事業にも用いられていたこと
被告Cの預金口座には,Lから極めて多額の現金が流入・流出しているところ,この資金移動は契約関係に基づいて行われたものではなく,被告Aの指示のもとになされていたものである。すなわち,本件社債を購入した顧客らが支払った現金は被告Cへと流れ込んでいたところ,その会計処理は「仮払金」「仮受金」とされたまま,早期に本来の勘定科目に振り分けられることもなかったのであり,合理的な裏付けのない金銭移動であることが明らかである。また,被告CからLに対しては,約5500万円から6600万円にも及ぶ趣旨不明の貸付けが行われており,原告らの求釈明にもかかわらず,被告Cから貸付金の根拠等は明らかにされていない。加えて,被告Cの資金はLの運転資金(役員報酬,従業員の給与等)に流用され,被告Cの取引先とLの取引先はその大部分が重複している上,被告A及び被告Fが,いずれもLと被告Cの資金が混然一体となっていたことを認めている。
さらに,被告Cの口座には,多数回にわたって被告Aの金が流入・流出し,被告Aの資金とも混然一体となっていたものであって,このことも併せ考えると,被告A,Lと被告Cの財産は混然一体となっており,被告Cの口座がLの事業活動のために用いられていたものといえる。そして,被告Cの預金口座の使途は被告Aが判断して決めていた。
被告Cは,本件社債の販売で得た資金を他社(実質的には被告A。形式的には,捜査機関やLの破産管財人による追及を受けにくい海外の関連会社等)に移転するために必要不可欠な存在であったこと
被告Cは,Lから本件社債の販売により得た資金の移転を受けた後,多くの会社に対して貸付金及び出資金などの名目(「投資その他の資産」名目)で現金を流出させているが,いずれも実態を欠くものである上,被告Aやその親族が役員や株主である会社が流出先となっており,実質は被告Aへの送金と同義である。他方,被告Aが供述する被告Cの事業(飲食業・海外投資に関するコンサルティング事業)はいずれも事業として成立していなかった。
すなわち,被告Cの存在価値は,Lが顧客から集めた資金を,被告Cを介在させて,被告Aに移転させる点にあったのであり,被告Cは,Lが本件社債の販売により得た資金を安全な場所(特に,被告Aの兄が代表理事を務め,被告A及び被告Bが社内理事を務めるCコリアに移転させ,顧客からの責任追及を免れるために必要不可欠な役割を担っていたものである。これにより,Lが顧客から社債名下で受領した資金のほとんどは所在不明の状態に陥り,本件社債の償還は不可能になった。小括
以上によれば,被告Cは,本件社債の販売という違法行為を積極的に援助・助長し,加担したものといえ,Lとともに共同して本件社債の勧誘行為(違法行為)を行ったものといえる。また,少なくともLや他の被告らによる本件社債の販売(違法行為)を幇助していたものと認められる。
(被告Cの主張)
(原告らの主張)のうち

の事実は認めるが,その余は否認ないし争う。

Lと被告Cの仕事の内容は完全に分離されており,被告Cは,国内外の会社に対する投資事業,ミュージックレストラン「R」の経営,日本酒の販売事業等を行っていたのであるから,両社が一体として機能していたわけではない。また,被告CとLの間で金銭の出入金がされているのは,両社が共同出資をしたり,Lが被告Cを介して海外事業に出資をしたり,相互に事業資金を貸付け・返済したりしていたことによる。被告Aも,被告Cに事業資金が不足したときに貸付けを行い,被告Cは余裕ができたときにこれを返済していたものである。したがって,被告A及びLと被告Cとの間で金銭の授受があったとしても,被告CがLの事業活動に用いられていたことを意味することにはならない。
そして,
被告Cの預金の使途について被告Aが判断していたこともない。
さらに,被告Cが他社に金銭を送金したのは,被告Cの事業としての投資活動に基づくものであり,多くの投資先については被告Cからの出金額よりも被告Cへの入金額の方が多いし,被告Cからの出金額の方が多いCコリアについても投資回収見込みが十分にあったのであるから,被告Cが本件社債の発行により得た金銭を他社に移転させるための存在であったとの事実もない。
さらに,Lのパンフレットに記載されている海外法人は被告Cの現地法人ではなく,被告Cとは何らの関連性もない。被告Cが積極的にLの行う事業に協力していた事実はない。
以上によれば,被告Cが本件社債の販売に関し,共同不法行為責任を負うことも,不法行為の幇助責任を負うこともない。

争点⑦(被告Cは,本件社債の販売に関して原告らに対する会社法350条に基づく責任を負うか)について
(原告らの主張)
争点⑧(原告らの主張)に記載のとおり,本件社債の販売に関して被告Bに不法行為責任が成立するところ,被告Bは,被告Cの代表取締役としての職務を行うについて前記不法行為に及んだものであるから,被告Cは会社法350条に基づく責任を負う。
(被告Cの主張)
否認ないし争う。
被告B関係

争点⑧(被告Bは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか)について
(原告らの主張)
被告Bは,
被告Bの夫でありLの実質的代表者である被告Aとともに,
被告CをしてLとの間で,海外事業に係る虚偽の外観を作出し,密接な人的・財務的関係を有しつつ一体となって本件社債の販売(違法行為)を行ったものであるから,他の被告らとともに,本件社債を購入した原告らに対して共同不法行為責任を負う。
また,被告Bは,被告Aの求めに応じて被告Cの代表取締役への就任を承諾し,被告Cの設立手続に関与し,その事業としての飲食事業に関わったほか,被告Cが金融事業を営んでいることやその収益構造も理解した上で毎月被告Cの代表取締役としての給与の振り込みを受けていた。このように,被告Bは,被告Cの事業内容が,Lと密接な人的・財務的関係を持ちながら,本件社債の販売という組織的詐欺行為を行うものであることを認識していた。そうであるのに,被告Bは,被告CがLと行っていた違法行為を容認し,助長していた。また,仮に上記のようにいえなくても,被告Bは,被告Cの代表取締役として,被告Cの事業内容を理解し,被告CがLと違法行為を行うことを防止しなかった。したがって,被告Bは,被告Cによる本件社債の販売(違法行為)を容認し,助長したものとして,他の被告らとともに,本件社債を購入した原告らに対する共同不法行為責任を負う。
(被告Bの主張)
(原告らの主張

は否認ないし争う。

また,争点①(被告Aらの主張)に記載のとおり本件社債の販売は違法行為に当たらず,争点⑥(被告Cの主張)に記載のとおり被告Cは不法行為責任を負わないのであるから,被告Bが被告Cの違法行為を容認・助長したとする原告らの主張は,前提を欠く。
そして,被告Bは,被告Aの仕事の内容を知らず,Lが私募債を発行していることを認識していなかったのであり,本件社債の発行事業に何ら関与しておらず,その違法性を全く認識していなかった。そのため,仮に本件社債の販売が違法であるとしても,被告Bが違法行為を行ったとはいえないし,故意も過失も存在しない。被告Bは,本件社債の販売について共同不法行為責任を負わない。

争点⑨(被告Bは,被告Cの取締役として,会社法429条1項に基づく責任を負うか)について
(原告らの主張)
被告Bは,被告Cの代表取締役として,被告Cの業務を適正・適法に行わせるように監督し,被告Cの役員らの違法行為を防止する管理体制を整備すべき地位にあったものである。そうであるのに,被告Bは,少なくとも重大な過失により前記任務を怠り,
Lによる本件社債の販売
(違
法行為)に対する被告Cの関与を監督又は防止しなかった。したがって,被告Bは,被告Cの取締役として,本件社債を購入した原告らに対し,会社法429条1項に基づく損害賠償責任を負う。なお,これを基礎付ける具体的な事実は,争点⑧に対する(原告らの主張)
に記載のとお

りである。
なお,被告Bは,名目的取締役であるから会社法429条1項に基づく損害賠償責任を負わないと主張するが,被告Cの事業内容を理解した上でその代表取締役への就任を承諾している上,被告Cから毎月70万円程度の高額な報酬も受け取っていたのであるから,被告Cの代表取締役として会社法429条1項に基づく損害賠償責任を負う。
(被告Bの主張)
原告らの主張

は否認する。

また,争点①(被告Aらの主張)に記載のとおり本件社債の販売は違法行為に当たらず,争点⑥(被告Cの主張)に記載のとおり被告Cは不法行為責任を負わないから,被告Bに被告Cの取締役としての任務懈怠があるとする原告らの主張は前提を欠く。
そして,被告Bは,被告Cの名目上の代表取締役にすぎなかった。すなわち,被告Bの代表取締役就任手続は被告Aらが行ったものであり,被告Bは被告Cの業務に一切関与したこともなく,被告Cの組織,体制,業務等については,被告Cが飲食業を営むということ以外には,一切知らなかった。さらに,被告Bは,被告Cの業務に関する能力を有しておらず,被告Aによる業務内容決定に対する影響力も有していなかった。したがって,被告Bについては,代表取締役としての任務懈怠につき悪意又は重過失がない。
さらに,被告Bには会社経営の経験はなく,会社経営の是非及び当否について判断し得る状況にはなかったし,被告Cの代表取締役にすぎない被告Bには,Lの事業内容を監督し,本件社債の販売を止めさせることはできなかった。また,仮に被告BがLの事業状況について何らかの調査をしたとしても,Lが平成24年7月まで問題なく元本償還及び配当を行い,平成25年4月までは配当を滞りなく支払っていたことからすれば,被告Bにおいて本件社債の販売が違法行為に該当すると判断することは不可能であった。加えて,被告Bが選択し得るのは,被告CとLの取引中止のみであり,Lをして本件社債販売を中止させることは不可能である。以上によれば,仮に被告Bに被告Cの取締役としての任務懈怠があるとしても,原告らの損害との間には因果関係がない。
被告D関係

争点⑩(被告Dは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか)について
(原告らの主張)
被告Dは,P,M及びLを通じて本件社債の販売業務に携わり,平成19年12月28日以降はLの前身であるMの代表取締役に,平成23年9月30日以降はLの代表取締役に,それぞれ就任したものである。被告Dは,長年にわたり商品先物取引業者等で要職を歴任し,行政処分を受けた業者で勤務した経験もあったことから,金融商品取引の業界に精通し,金融商品取引に関する豊富な知識・経験を有していた。
したがって,被告Dは,不特定多数の者に少人数私募債を勧誘することが違法であることを認識し,少なくとも認識し得たものである上,Lにおいて本件社債の勧誘に当たり組織的に用いていた「元本確保型」という言葉が,顧客をして元本が必ず戻ってくると信用する可能性が高い用語であることを認識していた。にもかかわらず,被告Dは,L設立以後も漫然と不特定多数に対する少人数私募債として本件社債の勧誘を継続する一方,Lにおける資金運用を被告Aに一任し,その実態について何ら把握することも,調査・確認をすることもしなかった。
以上によれば,被告Dは,被告Aをはじめとする他の被告らと共同して,上記のとおりLによる組織的な違法行為
(組織的詐欺に当たるのみならず,
出資法・金商法にも違反することは争点①(原告らの主張)に記載のとおりである。)を指導し,又は関与・助長していたといえる。したがって,被告Dは,本件社債を購入した全ての原告らに対し,他の被告らとともに共同不法行為責任を負うものである。
(被告Dの主張)
被告Dには,本件社債の販売に関して故意及び過失がないため,共同不法行為責任は成立しない。すなわち,被告Dは,本件社債の販売が違法行為に当たるという認識を有していなかったのであって,組織的詐欺行為を行うことについて故意も過失もなかった。
Lを統括していたのは,同社のオーナーである被告Aであり,新たな社債の発行及び社債の利率の決定などは全て被告Aが決定していて,被告Dは実際の資金運用については全く関与していない。そして,被告Dは,被告Aから資産運用の方法について具体的な説明を受けていた上,Lが有する金融債権の回収が困難であることの兆候や,被告AがLの資産価値を毀損していることの兆候もなかったのであるから,本件社債の償還が不可能になることを予見できなかった(このことは被告D自身がLの社債を購入していることによっても裏付けられる。)。被告Dの実質は代表取締役というより一従業員にすぎず,従属的立場にあるにすぎなかったのであるから,被告Dにおいて本件社債の販売スキームを抜本的に変更するなどの結果回避措置を採ることもできず,結果の回避可能性もない。したがって,被告Dには注意義務違反はなく,本件社債の販売に関して過失はない。そして,被告Dは,Lにおいて各支店の責任者から営業報告を受けてこれを被告Aに報告するという業務を行っていたものであって,営業に関する業務は行っていたものの,営業活動は各支店の営業担当者が行っていたものであり,具体的な営業活動は関知していなかったため,違法な勧誘は行われていないと認識しており,違法な勧誘を指示したこともなかった。少人数私募債についても,被告Aが東海財務局に確認をとっていて大丈夫だとの説明を受けていた。したがって,Lにおける勧誘活動が違法であるとしても,この点について,被告Dには故意も過失もない。
以上によれば,被告Dは本件社債の販売について共同不法行為責任を負わない。

争点⑪(被告Dは,Lの取締役として,会社法429条1項に基づく責任を負うか)について

(原告らの主張)
争点⑩(原告らの主張)に記載のとおり,被告Dは,金融商品取引の業界に精通しており,本件社債の販売が違法であることを認識し,あるいは認識し得たものである。以上を前提とすれば,被告DがLの代表取締役に就任した平成23年9月30日以降については,Lの代表取締役として,同社の従業員をしてその業務を適正・適法に行わせるように管理・監督し,従業員の違法行為を防止する社内管理体制を整備すべき地位にあったところ,被告Dは,Lの資金運用を被告Aに一任し,資金運用の状況について何ら把握することも,本件社債の販売が法令に抵触しないかを調査・確認することもしなかったのであるから,少なくとも重大な過失により前記任務を怠り,本件社債の違法な販売を監督又は防止しなかったものである。したがって,被告Dは,本件社債を購入した全原告に対し,会社法429条1項に基づく損害賠償責任を負う。
なお,被告Dは,代表取締役という地位にあり,月額120万円という高額な報酬を受領していたのであるから,仮に実質的には権限のない名目的な代表取締役であったとしても,代表取締役としての前記責任を免れるものではない。
(被告Dの主張)
まず,被告DがLの代表取締役に就任する前である平成23年9月30日より前に発生した損害に関しては,被告Dに任務懈怠も,任務懈怠との因果関係もないから,被告Dがその損害賠償責任を負わない。また,争点⑩(被告Dの主張)に記載のとおり,被告Dは,組織運営上の理由から,Lのオーナーである被告Aの指示で,Lの代表取締役に据えられたにすぎず,形式上代表取締役の地位を与えられていたにすぎない。したがって,被告Dには代表取締役としての代表権や業務執行権は全くなく,従業員と同じような立場にあった。被告Dは,Lにおいて各支店から営業報告を受け,これを被告Aに報告する業務に従事していただけであるから,被告Dの業務範囲はLの業務執行全般に及ぶと解すべきではなく,営業面に限定されるというべきである。したがって,被告Dが被告Aによる資金運用や社債の発行について監視・監督を行わなかったとしてもLの取締役としての任務懈怠があったということはできない。
また,仮に被告DにLの取締役としての任務懈怠があるとしても,悪意又は重過失があるとは認められないことは,争点⑩(被告Dの主張)に記載のとおりである。
以上によれば,被告DにはLの取締役として,悪意又は重過失に基づく任務懈怠は認められない。被告Dは,本件社債を購入した原告らに対し,Lの取締役として会社法429条1項に基づく損害賠償義務を負うことはない。
被告E関係

争点⑫(被告Eは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか)について
(原告らの主張)
被告Eは,平成17年10月頃からFX会社において営業担当社員として稼働し,その後に被告DとともにPに転職し,Lの前身となるMにおいては創業時から取締役に就任していた。そして,Mにおける社債販売のスキームを受け継いだLにおいても,営業統括部長として,部下の営業活動を指導するにとどまらず,自らも勧誘を担当するなど,営業業務全般を管理していた。また,被告Eは,Lに対して従業員を出向させていたOにおいても設立時から取締役の地位にあった上,被告Aとは旧知の仲であり,被告Aとの人的関係を背景にして,Lにおいて被告A,被告Dに次ぐ幹部の地位に在るなど,実質的な権限をも有していた。さらに,被告Eは,一貫して金融取引業務に携わっており金融取引業務に関する知識が豊富であった。
以上の事情に鑑みれば,被告Eは,高配当で事実上の元本保証を謳う本件社債の販売スキームが破たん必至であることは認識可能であったといえる。また,被告Aに対して説明を求めたり,金融庁に相談をするなど,
本件結果を未然に回避するための方策を尽くすことは可能であった。したがって,Lにおいて本件社債の販売を継続させたことについて,被告Eには過失があるといえる。
また,この点を措くとしても,被告Eは本件社債の販売が出資法に違反することを認識していた。さらに,被告EがLにおいて被告A,被告Dに次ぐ地位にあることに照らせば,Lが金商法上の届出義務,説明義務に違反した勧誘を行ったことについて,故意又は過失により加担したといえる。したがって,被告Eは,本件社債を購入した原告らに対して,他の被告らと共同して不法行為責任を負う。
さらに,被告Eは,自らも営業担当者として顧客らに対して本件社債の勧誘を行っていたところ,自らが勧誘し,本件社債を販売した顧客との関係では,本件社債を販売したことについても,不法行為責任を負う。(被告Eの主張)
被告Eには,本件社債の販売に関して故意及び過失がないため,共同不法行為責任は成立しない。すなわち,実質的にLを統括していたのは被告Aであり,被告Eは,少人数私募債の募集について,被告Aから財務局と相談をして確認を受けている旨の説明を受けていた。また,本件社債で得た資金の投資先を決定し,テレフォンアポインターを用いた勧誘方法の指示を行っていたのは被告Aであったため,資金投資や勧誘方法の指導について,被告Eは関知し得なかった。そして,被告Eは,被告Aから資産運用の方法について具体的な説明を受けており,金融資産の回収が困難であるとの兆候もなかったのであるから,債権者に対して本件社債の元本償還が不可能となることを予見することはできなかった(このことは,被告E自身がLの社債を購入し,償還不可能となっていることによっても裏付けられる。)。被告Eが本件社債を勧誘する際には,元本保証という言葉を用いたり,顧客に対して絶対儲かる旨を伝えたことはなく,従業員にも用いないように指導していた。
以上の経緯に照らせば,被告Eが組織的詐欺行為を行ったといえないほか,違法な勧誘の指導監督をしたとも,被告E自らが違法な勧誘をしたともいえない。そして,Lは被告Aのワンマン会社であり,被告Eは従属的な立場にあるにすぎなかったのであるから,本件社債の販売スキームの抜本的変更等の結果回避措置を採ることもできなかった。したがって,本件社債の販売を継続したことについて,被告Eに故意・過失はなく,共同不法行為責任を負わない。

争点⑬(被告Eは,本件社債の販売に関して,Lの従業員の代理監督者責任(民法715条2項)を負うか)について
(原告らの主張)
争点⑫(原告らの主張)に記載したところによれば,被告Eは部下の営業活動の指導など,営業業務全般を管理していたものといえる。したがって,本件社債の販売自体が違法行為に該当する以上,従業員らによる本件社債の販売(違法行為)について,民法715条2項による損害賠償責任を負うというべきである。
(被告Eの主張)
被告Eは,違法な勧誘態様による販売を指導教育したことはなく,違法な勧誘がなされないよう監督していたのであるから,監督義務を尽くしていた。したがって,被告Eは,原告らに対して代理監督者責任を負わない。ウ
争点⑭(被告Eは,Lの事実上の取締役として,会社法429条1項(類推適用)に基づく責任を負うか)について
(原告らの主張)
争点⑫(原告らの主張)に記載したところによれば,被告Eは事実上の取締役といえる重要な地位にあったといえる。
そして,被告Eは,本件社債の勧誘時に,Lが有する債権を売却して現金化すればほぼ間違いなく元本については返金が可能である旨の説明を部下にさせていたところ,このような説明をさせるのであれば,上記説明が真実であることを十分に把握し,あるいは少なくともそのような努力をすべき義務があったにもかかわらず,これを怠ったものといえる。したがって,被告Eは,事実上の取締役という立場に相応する職責を全く果たしていなかったものであり,悪意又は重過失により任務を懈怠したものといえるから,会社法429条1項(類推適用)により,本件社債を購入した原告らに対する損害賠償責任を負う。

(被告Eの主張)
争う。
被告F関係

争点⑮(被告Fは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか)について
(原告らの主張)
被告Fは,Lにおいて総務部長の地位にあり,同社の資金管理等の総務・経理業務全般を担当する管理職であった。そして,被告Fは,顧客から集めた金銭の管理業務を行っており,被告Aの指示に基づいてLの預金口座からの出金・送金を行い,被告Cの資金として振り替えたり,被告Aに現金を渡すなどの処理をしていた。すなわち,被告Fは,マネーロンダリングに直接的に関与しており,L及びLグループの違法行為を組織的に維持・遂行する上で不可欠な存在であった。
以上に加え,被告Fは,Lの前身であるMの創業時からの取締役であり,同社がLに事実上の事業譲渡を行った平成21年11月当時もMの取締役であった上に,関連会社である被告C及びOの取締役を歴任し,Cコリアの代表取締役,Nの清算人にも就いているのであり,以上によれば,被告FがLにおいて非常に重要な地位にあったことは明らかである。
以上のような被告Fの地位・役割からすれば,被告Fは,被告Aらとともに本件社債の販売スキームを構築したものというべきであり,さらには,L社内において資金の管理業務という重要かつ必要不可欠な役割を担っていたものとして,それに見合う収入(平成21年11月から平成24年7月までに合計約3995万円)も得ていた。そして,被告Fが,Lの勧誘担当者の営業方法を把握していたことも踏まえれば,本件社債の販売の違法性を認識していたものといえるから,本件社債の販売に加担したことについて,故意又は過失があるといえる。したがって,被告Fは,本件社債の販売について,共同不法行為責任を負う。
(被告Fの主張)
被告FがLの経理業務を担っていたこと,各社の商業登記簿上現れている地位にあったことは認めるが,その余は否認ないし争う。Lにおける業務は,本件社債の販売を含め,被告Aの独断により行われていた。被告Fは,帳簿の作成などの経理業務そのものに携わっていたわけではなく,被告Aの指示を受けて単なる事務作業として手続を行ったり,会社の備品を購入する等の総務的な雑用を行ったりしていたにとどまり,機械的・従属的役割を担っていたにすぎない。このような被告Fの地位に鑑みれば,被告Fが,本件社債の販売という組織的詐欺行為の一端を担っていたということはできない。
また,被告Fは,被告Aから本件社債は少人数私募債であると聞かされ,「グレーであるが違法ではない」という説明を一貫して受けていたものであって,会社法や金融商品についての専門的知識のない被告Fにおいて,本件社債販売の違法性について疑問を持つことはなく,認識しようと思ってもできなかった。さらに,被告Fは,Lにおける営業会議に出席していたわけでも,営業活動に関与していたわけでもなかったために,本件社債の販売に当たり,詐欺的な言辞が行われていたことも認識し得なかったし,本件社債の販売が違法な預り金であることも認識していなかった。そして,被告Fは,新聞報道がなされるまで,Lの破たんについても何ら認識していなかったものである。
したがって,被告Fは,出資法違反や金商法違反の点なども含め,本件社債販売の違法性を認識しておらず,そのことに過失もなかったのであるから,故意又は過失を欠くものであるといえる。
以上によれば,被告Fが不法行為を行ったものとはいえないし,故意又は過失もないのであるから,原告らに対して共同不法行為責任を負うことはない。

争点⑯(被告Fは,被告Cの取締役として,会社法429条1項に基づく責任を負うか)について
(原告らの主張)
争点⑥(原告らの主張)で述べた通り,被告Cは,Lと一体となってLが海外投資を行っているかのような外観を作出するなど,本件社債の販売(違法行為)に寄与していた。
しかるに,被告Fは,被告Cの設立時以降の取締役として,被告CがLの詐欺行為(本件社債の販売)に加担することを防止する業務監督責任を負っていたのに,これを怠ったものである。そして,被告Fは,被告Cの創業時からの取締役であり,Lの経理担当管理職としての役割を兼ねていたのであるから,Lがパンフレットに虚偽記載をしていることやLと被告Cとの資金関係について詳細に知る立場にあり,被告Cの取締役としての任務懈怠について,悪意又は重過失があったといえる。したがって,被告Fは,被告Cの取締役として,会社法429条1項に基づく責任を負う。
なお,被告Fは,自身が被告Cにおいて名目的取締役であったと主張するが,仮にそうであるとしても,漫然と被告Cの取締役の地位にとどまっていたのであるから,前記責任を免れるものとはいえない。
(被告Fの主張)
被告Cは,Lとは別個の会社であって,本件社債の販売に関して,被告Cが虚偽の外観を作出していたとはいえない。したがって,被告CがLの詐欺行為に加担していたということはなく,被告Fがこの点について何らの権限行使を行わなかったことは,そもそも任務懈怠には当たらない。
また,被告Fは,被告Aの指示で,銀行口座開設等の手続の便宜のために,名目的に被告Cの取締役に就任したにすぎなかった。被告Cにおいては取締役会が開かれることもなく,被告Aの一方的な指示のもとに業務が行われていたのであるから,被告Fにおいて,取締役としての実質的な権限や裁量を発揮する余地はなかった。このようなことからすれば,被告Fは被告Cの名目上の取締役にすぎなかったものといえる。しかるに,被告Fは,Lのパンフレットに虚偽記載があったことや,被告CとLとの間で資金のやり取りがされていたことも認識していなかった。
したがって,被告Fは,そもそも被告Cの取締役としての注意義務を尽くし得る状態になかったのであるから,任務懈怠も悪意・重過失も認められない。
以上によれば,被告Fは,被告Cの取締役として会社法429条1項に基づく責任を負うものではない。
被告G関係

争点⑰(被告Gは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか)について
(原告らの主張)
被告Gは,平成21年1月29日にNの代表取締役に就任した後,同年5月22日に,当時被告Aが代表を務め,Lが貸付けをしていた株式会社Tの取締役に就任した。その後,同年11月24日にはLの設立時代表取締役に就任し,平成22年3月9日には,Oの代表取締役となっている(同時に被告D,被告E及び被告Fが同社の取締役に就任している。)。このように,被告Gは,被告A,被告D,被告E及び被告Fと各社の取締役という関係を通じて仕事上のつながりを有していたものといえるから,L設立時にはこれらの被告らと並ぶ中心的な存在であったといえ,被告AからL設立に関する相談も受けていたものと考えられる。したがって,被告Gは,詐欺又は出資法違反に当たる違法な行為を継続的に行うための組織を作り上げたものとして,代表取締役辞任後のものも含めて,Lが行った不法行為全体について,他の被告らとともに共同不法行為責任を負う。
また,被告Gは,Lの代表取締役として,テレフォンアポインターや営業担当者が不特定多数の者に対して本件社債の勧誘をしていた事実を認識していたにもかかわらず,金商法上義務付けられた届出を怠り,金商法に違反したものであるから,この点においても共同不法行為責任を負う。なお,被告Gがこのような勧誘態様を認識していなかったとしても,認識していないことに過失があるから,いずれにせよ共同不法行為責任を免れない。
(被告Gの主張)
被告GがLの取締役であった平成21年11月24日から平成22年8月26日の間に,Lにおいて詐欺又は出資法違反に当たる違法行為は行われていなかったし,被告Gが組織的詐欺行為に関与したこともない。被告G自身は,詐欺や出資法違反による捜査も受けていないし,被告Aらが出資法違反で有罪になったのも,被告DがLの代表取締役を務めていた時期のことである。また,被告Gは,平成22年8月26日にLの取締役を退任しているのであるから,同日以降に販売された本件社債に係る損害については,被告Gの行為との間に因果関係がない。被告Gが在任中に販売された本件社債に関しても,退任後の社債償還不履行については責任を負わない。

争点⑱(被告Gは,Lの取締役として,会社法429条1項に基づく責任を負うか)について
(原告らの主張)
被告Gは,平成21年11月24日から平成22年8月26日の間,Lの代表取締役であったところ,被告A,被告D,被告E及び被告Fとともに,Lの社債発行業務を通じ,詐欺又は出資法違反に該当する違法な行為を継続的に行うための組織を作り上げてきたものであるから,被告GにLの取締役としての任務懈怠があったこと及びそのことに悪意又は重過失があったことは明らかである。
したがって,被告Gは,Lの取締役として,会社法429条1項に基づく責任を負う。
なお,被告Gは,自身が取締役を辞任しただけでは違法行為が終了しないことを認識しながら,具体的な対処を何ら行うことなく取締役を辞任したものである。したがって,被告Gには,取締役辞任前に,Lにおける継続的な違法行為を終了させる具体的な対処をしなかった点において取締役としての監視義務違反が認められるから,代表取締役辞任後の原告らの損害についても会社法429条1項に基づく責任を負う。(被告Gの主張)
争点⑰(被告Gの主張)と同じ。
勧誘担当者関係

争点⑲(被告Hは,勧誘を担当した顧客に対し,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか)について
(原告らの主張)
被告Hは,1月当たり25万円程度(手取り)の給与の支給を受ける一方で,
就業期間27か月間の間において,
合計697万9760円
(1
月当たり平均25万8509円)もの加給金(加給金とは,顧客から社債金の払込みを受けた際に営業担当者が受領する歩合報酬である。)の支給を受け,
時には86万4000円もの加給金を受領することもあり,
他の営業担当従業員も同様に高額な加給金を受給していた。被告HがO又はLに就職して間もないこと,被告Hに特殊技能があるわけではないこと,被告Hの業務は本件社債の販売であって,Lに利益を生み出すものではないことからすれば,被告Hが過度に高額な加給金を受領していたことは明らかである。
そして,本件社債の利率は昨今の経済情勢に照らして非常に高く,更には従業員に対して過度に高額な加給金を支払わなければならないものであって,このような資産運用方法を容易に見出し難いことは,一般の従業員であっても考えが及ぶところ,被告Hは,Lがこのような資産運用方法を実現できていないことを知っていたから,Lの商法が破綻必至であることを認識していたといえる。
被告Hは,上記のように本件社債による資金調達が,破綻必至であるにもかかわらず,投資経験が乏しく判断力にも劣る高齢者である顧客に対して,元本を保証して販売勧誘をしていたものである。このような元本保証は,特定の金融機関を除き,法律により禁止されているところ,そのことは被告Hも当然認識していたといえる。したがって,被告Hは,自身の行為が違法であることを認識していたし,遅くとも平成22年9月以降は顧客側から払込相当額の返還請求が多発していたこと,平成24年7月31日にはLが金商法違反の容疑で警察による捜索差押えを受けていたことからすれば,被告Hは本件社債の販売が違法であることを認識していたといえる。
また,仮に本件社債販売の違法性を認識していないとしても,社債購入契約の締結を勧誘する被告Hには,信義則上,当然同契約の結末を予見すべき注意義務があるのであるから,被告Hには過失がある。
以上によれば,被告Hは,本件社債の販売に関して,自らが販売した顧客(別紙請求額一覧表の「勧誘者」欄に被告Hの名前が記載されている原告ら)に対して共同不法行為責任を負う。
(被告Hの主張)
被告Hは,被告Aらの説明を受けて,本件社債の元本は確実に償還されるものと信じていたし,金商法の問題についても,被告A及び被告Dから,財務局からの指導に基づいて社債の販売をしているとの説明を受けていたものであるから,原告らに対して共同不法行為責任を負うものではない。イ
争点⑳(被告Iは,勧誘を担当した顧客に対し,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか)について
(原告らの主張)
被告Iは,Lの前身であるM時代から本件社債への出資を勧誘して,顧客をして多額の金銭を出資させたものである。被告Iは,本件社債の販売がLに引き継がれた後,1月当たり20万円以上の給与の支給を受けた上で,Lにおける就業期間12か月間の間において,合計257万3100円(1月当たり平均21万4425円)もの加給金の支給を受け,時には36万円もの加給金を受領することもあり,他の従業員も同様に高額な加給金を受給していた。そして,このような過度に高額な加給金を支給しつつ,顧客に対する元本と高利配当の支払を可能とするような資金運用方法を容易に見い出し難いことは,前記ア(原告らの主張)のとおりであって,被告Iは,L及びMがこのような資産運用方法を実現できていないことを知っていたから,L及びMの商法が破綻必至であることを認識していたといえる。
被告Iは,上記のように本件社債による資金調達が,破綻必至であるにもかかわらず,顧客である原告らに対して,元本を保証して販売勧誘をしていたものである。被告Iが自身の行為の違法性を認識していたこと,仮に認識していなかったとしても過失があることは,前記ア(原告らの主張)

と同様である。

以上によれば,被告Iは,本件社債の販売に関して,自らが販売した顧客(別紙請求額一覧表の「勧誘者」欄に被告Iの名前が記載されている原告ら)に対して不法行為責任を負う。なお,被告Iが販売した社債の中には,M時代に被告Iが販売し,それがLの社債に乗り換えられているものもあるが,乗換えに被告Iが関与していなくても,乗換え後のLの社債が償還未了になっているのは,被告IがMの社債を販売したことに因るものであるから,被告Iは乗換え後の社債による損害についても責任を負う。
(被告Iの主張)
被告IがOを退職した平成23年3月頃までは,顧客への配当,解約や返還はスムーズに行われており,被告A,被告D,Lの支店長であるγが常日頃から「うまくいっている」と述べていたため,本件社債の販売に問題はないものであると考えていた。
また,被告Iの退職後も契約を解約しなかった顧客は,自身の意思又はγに言われて解約を取りやめたものと考えられるから,契約を継続した原告らとの関係で,被告Iが共同不法行為責任を負うことはない。

争点㉑(被告Jは,勧誘を担当した顧客に対し,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか)について
(原告らの主張)
被告Jは,1月当たり34万円程度(手取り)の給与の支給を受ける一方で,
就業期間57か月間の間において,
合計925万4760円
(1
月当たり平均16万2364円)もの加給金の支給を受け,時には95万2000円もの加給金を受領することもあり,他の従業員も同様に高額な加給金を受給していた。そして,このような過度に高額な加給金を支給しつつ,顧客に対する元本と高金利の支払を可能とするような資金運用方法を容易に見い出し難いことは,前記ア(原告らの主張)

のと

おりであって,被告Jは,Lがこのような資産運用方法を実現できていないことを知っていたから,Lの商法が破綻必至であることを認識していたといえる。
被告Jは,上記のように本件社債による資金調達が,破綻必至であるにもかかわらず,投資経験が乏しく判断力にも劣る高齢者である顧客に対して,元本を保証して販売勧誘をしていたものである。被告Jが自身の行為の違法性を認識していたこと,仮に認識していなかったとしても過失があることは,前記ア(原告らの主張)

と同様である。

以上によれば,被告Jは,本件社債の販売に関して,自らが販売した顧客(別紙請求額一覧表の「勧誘者」欄に被告Jの名前が記載されている原告ら)に対して共同不法行為責任を負う。
(被告Jの主張)
被告Jは,会社の業務命令に従って営業活動をしていたにすぎず,本件社債の販売が組織的詐欺商法に当たるとの認識はなかった。

争点㉒(被告Kは,勧誘を担当した顧客に対し,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか)について
(原告らの主張)
被告Kは,Lの前身であるM時代から本件社債への出資を勧誘して,顧客をして多額の金銭を出資させたものである。被告Kは,本件社債の販売がLに引き継がれた後,1月当たり52万円程度(手取り)の給与の支給を受けた上に,就業期間65か月間の間において,合計2918万8710円(1月当たり平均43万5652円)もの加給金の支給を受け,時には305万4600円もの加給金を受領することもあり,他の従業員も同様に高額な加給金を受給していた。そして,このような過度に高額な加給金を支給しつつ,顧客に対する元本と高金利の支払を可能とするような資金運用方法を容易に見い出し難いことは,前記ア(原告らの主張)

のとおりであって,被告Kは,L及びMがこのような資

産運用方法を実現できていないことを知っていたから,L及びMの商法が破綻必至であることを認識していたといえる。
被告Kは,上記のように本件社債による資金調達が,破綻必至であるにもかかわらず,投資経験が乏しく判断力にも劣る高齢者である顧客に対して,元本を保証して販売勧誘をしていたものである。被告Kが自身の行為の違法性を認識していたこと,仮に認識していなかったとしても過失があることは,前記ア(原告らの主張)

と同様である。

以上によれば,被告Kは,本件社債の販売に関して,自らが販売した顧客(別紙請求額一覧表の「勧誘者」欄に被告Kの名前が記載されている原告ら)に対して共同不法行為責任を負う。なお,被告Kが販売した社債の中には,M時代に被告Kが販売し,それがLの社債に乗り換えられているものがあるが,これについても被告Kに責任が生じることは前
(被告Kの主張)
被告Kは,被告AからL及びその投資先の収益は順調であるとの説明がされていたため,その説明を信用していたものであり,元本償還も確実にされるものと信じていた。また,被告Kにおいて,意図的に元本償還を繰り延べたこともない。さらに,被告Kは,無差別に本件社債の勧誘を行ったわけではない上,組織的詐欺商法に加担した事実はなく,本件社債の販売が違法であるとの認識はなかった。
第3
1
当裁判所の判断
認定事実
前記前提事実に加え,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
Lにおける社債購入に至る経緯等

被告Aは,昭和57年に消費者金融大手である株式会社U(以下「U」という。)に入社し,平成4年頃に同社を辞めた後,投資顧問会社や信用保証会社等で勤務するなどしていたが,平成15年頃から,自らが買収した会社であるPにおいて,消費者金融業者向けの信用保証業務を営むようになった。しかしながら,その後,保証会社の保証料等についても利息制限法のみなし利息に該当する旨の判決が出るなどしたことから,消費者金融業者向けの信用保証業務に限界を感じ,他の事業への転換を考えるようになった。(甲全11,37,54,乙1の41,被告A本人)


そこで,被告Aは,U勤務時代の部下である被告Dらを誘い,平成19年4月頃から,Pにおいて,「クレジット債権購入ファンド」と称して,不特定多数の一般消費者から資金を集める事業を開始した。
同社の事業は,
被告Aのほか,被告D,被告Eや被告Fなど十数人が中心となって開始され,その多くは,被告Dが,従前の勤め先であるV株式会社(以下「V」という。)から連れてきた営業担当者らであった。Vは,FX取引を扱う会社であり,電話帳をもとに不特定多数の消費者に対して不招請勧誘を行っていた(同社は平成20年4月4日に金融庁より行政処分を受けた。)。そして,Pにおいては,本件社債(クレジット債権購入ファンド)について,次のような販売がなされた。すなわち,①Pは,不良債権を安値で購入した上で,債権回収業者に委託してその取立てを行う事業を行うことを前提に,その原資を集めるために社債の募集を行うこととする,②その際,配当は年率10パーセント以上(募集される社債の回債毎に,その率は異なるが,募集の際には10パーセント以上の具体的な配当率を伝えることにする。)が見込まれるものとする,③「少人数私募債」(金商法上の届出義務等を負わない勧誘方法)である外観を装うため,その募集人数を49名以下とし,募集金額を4億9000万円以下とする(ある回債について,
募集の上限人数又は額となった場合には,
次の回債を発行する。,

④ただし,現実的には縁故債では資金集めに限界があるので,実際にはテレフォンアポインターから不特定多数の一般消費者に対して電話による勧誘を行う,というものであった。(甲全35,37,50,54,62,64,69,乙1の41,被告A本人,被告D本人)

被告Aは,しばらくPにおいて上記事業を行っていたが,金商法の改正や監督官庁からの指導等により,「ファンド」という名称を使用することが困難になったため,ファンドではなく社債で金銭を集めることにした。そこで,同事業を行う会社としてMを設立し,被告Dを同社の代表取締役に就任させることにし,不特定多数の一般消費者に対して社債の勧誘を行う事業を始めた。もっとも,勧誘方法等は,Pにおいて販売されていたクレジット債権購入ファンドと同様の方法が用いられており,顧客に対してはPからMに社名が変更になった旨が伝えられていた。
(甲全35,37,
52,62,甲64の7,乙1の41,被告A本人,被告D本人)エ
Mでは,同社が設立された平成19年12月以降,Pと同様の方法で,多数回にわたり社債の募集を行い,その販売を行っていた。なお,P及びMは,本社のある名古屋市x区を本拠地として,本件社債の販売活動を行っていたが,M設立後に,丸の内支店(名古屋市y区)と東京支店が開設された。(甲全37,69,乙1の41,被告A本人)


平成21年,Mの投資先である株式会社W等のオーナーXについて詐欺疑惑が指摘されるようになり,被告Aも共犯であるかのような風評が流れたため,被告Aは,Mの業務や社債の販売を新会社に引き継がせることにし,同年11月にLを設立した。そして,会社組織を一新したことを装うために,被告Gを名目的にその代表取締役に就任させた(ただし,被告Gは平成22年8月26日に辞任した。)。
Lは,顧客に対して,クレジット債権等を廉価で買い取ってサービサー等にその回収を委託して利益を得る事業や,Lのグループ企業を通じたレストランなどの店舗経営,出版事業やシステム開発事業等を行っている旨を宣伝し,本件社債の払込金をこれらの事業の運用資金に充てる旨を説明して,年利6パーセントを超える利息の支払を約して社債の販売を行っていた。
この際に用いられていたパンフレットに記載された内容等は,P,Mの際のものとほぼ同様であった。また,Lにおいても,M時代の勧誘担当者が本件社債の勧誘を担当し,勧誘方法についても特段の変更はされず,顧客に対してはLに社名が変更になった旨の説明をしていた。なお,Lが設立された後に神戸支店も開設され,Lは,本社,本店営業部,丸の内支店,東京支店,神戸支店で営業を行っていた。(甲全12ないし15,37,52,54,69,甲50の5,乙1の41,4の1,被告A本人)

被告Aらは,本件社債の販売名目で,延べ約1000名から総額約100億円の出資を受けていたとされている。(甲全1,2)
Lにおける顧客に対する社債の具体的な販売態様等

従業員らの雇用形態等
Lにおいて社債販売に係る営業活動に従事する従業員は,Oからの出向者を充てることとされており,L自身が,社債販売を行う従業員を直接雇用しているわけではなかった。


社債販売に係る営業態様等
そして,Lにおいては,顧客に対する社債販売に関して,トークマニュアル等が作成されており,テレフォンアポインター(電話勧誘者)及び個別の顧客に対する営業担当者において,
概ね次のような説明を行い,
営業活動を行うこととされていた。
すなわち,まず,テレフォンアポインター(電話勧誘者)において,電話帳等をもとに,不特定多数の客に電話をかけ,Lが発行する社債について,営業トークとして決められたとおり,「今回ご紹介させていただいているのが毎月分配型社債と申しまして,年率●パーセントをお約束させて頂いている社債になります。」,「元金の変動がない元本確保型となっておりまして,例えば毎月100万ご運用でしたら毎月約●●●●円ずつ配当が出るんです。」などと説明を行い,社債に関する資料の送付について了解を取る。そして,資料送付に応じた顧客に対し,資料送付後に営業担当者から電話をする旨を伝え,営業担当者による営業につなげる。
そして,営業担当者は,テレフォンアポインターから引き継いだ顧客について,「見込みカード」という顧客に関する情報が記載されたカードを受け取り,これをもとに顧客に電話を掛け,顧客の元に訪問するなどして,営業活動を行う。その際には,償還日には必ず元本が返還される「元本確保の社債」である旨,違約金が取られる場合があるが途中解約も可能である旨を伝えて,社債の販売を行っていた。(甲全33ないし36,52,54,57,被告A本人)
なお,Lにおいては,個々のテレフォンアポインター及び営業担当者に対し,社債に係る元本返還の可能性に関し,「元本保証」という言葉は使用してはならないとの指導がされていたが,「元本確保」という言葉は積極的に使われていた。社債販売に際して,「元本確保」という言葉が使われるようになったのは,遅くともMによる社債販売を開始した頃であり,この頃には,会社がつぶれた場合には,会社が持っているクレジット債権等を現金化して元本を返還できる旨を説明するよう,被告Eによる指導がされていた。以上を踏まえ,営業担当者等は顧客に対して,「毎月分配型社債で,元本確保型です」,「元本割れをすることはありません。」,「年率●パーセントで,毎月10日に決まった額の配当を受け取れます。」,「償還日には,必ず元本をお返しします」などと述べ,「元本確保」型である旨の説明を行っていた。また,平成22年11月5日にLで実施された営業会議(被告Aらも出席し,1月に1回行われる社債販売に関する会議)においては,「商品元本確保を謳えるのか」という質問が営業担当者から出されたが,これに対して被告Aは,「謳える」旨を回答した。
さらに,Lが見込み客に対して送付していた全店舗共通のリーフレットにおいては,「当社の元本確保型社債は,資産の『安定性』『収益性』『継続性』に優れた商品として皆様にご好評を得ています」旨が記載されていた。また,Lが顧客に送付するパンフレットにおいては,実際には提携関係にないΔ債権回収株式会社を「弊社提携サービサー」として紹介するなど,その事業内容に関する説明には虚偽の内容も含まれていた。そのほか,Lのパンフレットには,Lには韓国のソウル,中国の深圳,ベトナムのハノイ,シンガポールに海外拠点があるかのように記載されていたが,これらはいずれもLの海外拠点ではなかった(なお,被告Aは,本人尋問においてΔ債権回収株式会社に対する債権回収委託は事実である,海外にLの海外拠点はあったと供述しているが,これを裏付ける客観資料は提出されておらず,甲全8及び16に照らし,信用することができない。)。
(甲全8,12ないし14,16,33ないし3
6,52,54,57,甲8の4,31の6,50の6,69の4の4,被告A本人,被告E本人)

営業担当者に対する加給金の支払等
Lの営業担当者の給与は雇用主であるOから支払われていたものの,賞
与及び「加給金」と呼ばれる金銭が,給与とは別にLから支払われていた。「加給金」とは,Lにおいて定められた「加給金支給規程」に基づき,営業職等に支給される金銭のことであり,各営業担当者の営業成績に基づき,同規定に定められた算定基準により算出されることとされており,勧誘した顧客に係る証拠金の0.8パーセントないし1.8パーセント(営業成績により率は変動し,営業成績が良いほど,この率は上がる。)が支給されることとされていた。
OからLに出向している従業員に支払われる給与(基本給)は,月額15万円ないし34万5000円とされていたが,加給金の額は,最も多くて,月額305万4600円(被告Kに対して平成23年11月に支払われた分)に及ぶことがあった。(甲全34,37,44,45,47)Lにおける事業内容等及び資金の動き

当時,Lにはテレフォンアポインターも含めて40名前後の従業員がいたが,従業員を用いて営業活動を行っていたのは,Lの社債の販売事業のみであり,Lが社債の発行により顧客から集めた金銭を用いて行う投資事業に関しては,従業員はおろか,Lの取締役らも全く関与していなかった。(甲全33,37,45,乙1の41,2の2,5,6の2,被告A本人,被告D本人,被告E本人,被告F本人)

顧客から社債購入により得た金銭は,被告Fのもとに集められ,被告Fにおいて,被告Aの指示に基づき,送金等の管理を行っていた。顧客から集めた資金の使途は,被告Aの専決事項とされており,被告Aは,被告Fに対して,被告Cなど他の会社の口座への振込みを指示したり,顧客に対する社債元本の償還や利息の支払に充てさせたりすることがあったほか,簿外処理として現金を被告Aに交付させることも度々あった。被告Fが被告Aに一度に交付した現金は,多いときで5000万円程度に及ぶこともあった。(甲全30,43,54,56,被告A本人,被告F本人)

Lは,その損益計算書上,第1期(平成21年10月1日から平成22年9月30日)こそ5億7445万円余の利益を上げたことになっているが,第2期(同年10月1日から平成23年9月30日)には9億2411万円余の損失を出し,第3期(同年10月1日から平成24年9月30日)には6億3318万円余の損失を出し,貸借対照表上,22億9634万円余の債務超過となっていた。(甲全27ないし29)
L破産後の債権回収の状況等
Lが破産手続開始決定を受けた後,Q管財人は,帳簿上Lが有しているは
ずの約41億円のクレジット債権等の内容等について確認し,その取立てを行うために,Lの顧問税理士から会計書類を回収するなどしたほか,Lにおいて債権購入等に従事していた被告Aに対し,投資先等に関する聴取を行った。
しかしながら,被告Aは,Q弁護士が申し立てた役員責任査定申立事件における答弁書において,クレジット債権等の購入依頼を行った者の氏名を明らかにしたものの,資料が手元にないため住所も電話番号もわからない旨述べ,Q管財人が上記の者らと接触することはできなかった。また,被告Aは,東京の司法書士に約10億円分,東京の弁護士に約170億円分の債権回収を依頼したが,上記弁護士の氏名・連絡先は忘れた旨を説明し,Q管財人は上記司法書士及び弁護士の調査を試みたものの,上記司法書士からは被告Aからの債権回収委託業務は存在しなかったとの回答を受け,上記弁護士については該当する法律事務所すら確認できなかった。さらに,被告Aは,購入した債権の債務者・金額・契約内容等の情報を保存したUSBメモリは警察に差し押さえられたと説明したが,警察の差押目録には記載がなく,警察も東海財務局も,上記USBメモリについて把握をしていなかった。以上の調査の結果,Q管財人において,被告Aの説明を裏付ける資料を発見することはできず,
被告A及び被告Dに対する刑事事件の確定記録からも,
クレジット債権等の所在の探索の端緒となる資料は発見されなかった。(甲全29,37ないし39,42,43)
2
争点①(本件社債の販売の違法性)について
本件社債の内容

前記1の

オによれば,L等は,顧客である原告らに対して社

債を販売するに当たり,顧客から得た資金を,①クレジット債権等の取得・回収,②Lのグループ企業を通じたレストランなどの店舗経営,出版事業やシステム開発事業等の事業に充て,これにより元本償還と配当を行う旨の説明を行っていたものと認められる。しかしながら,本件社債は,それ自体が年率6パーセントを超える極めて高利の利息支払を約するものである上,Lは,40名前後の従業員及び5カ所の本店・営業所を抱え(平成24年4月の役員報酬・給与は1か月で総額1500万円余にのぼる。甲全45の1),さらには社債を販売した営業担当者に対して証拠金の0.8パーセントから1.8パーセントにも及ぶ加給金をも支払うこととしていたのであるから,社債販売で集まった資金により上記経費等を賄うことができるほどの高い収益を継続的に上げることができなければ,本件社債の販売は破綻必至といわざるを得ないものであった。

しかるに,Lにおいては,社債を発行して集めた資金をどのような事業に用いるかについては,Lの従業員はおろか,Lの取締役すら全く関知せず,Lを実質的に支配・経営する被告Aが独りで決定していたところ(前記1の

被告Aは,本件訴訟において,誰からいくらクレ

ジット債権等を購入し,その債権回収を誰にどのような条件で委託したのかに関し,裏付けのある具体的立証を何らしていない。また,被告Aは,Lの破産手続や警察での捜査において,本当に債権回収を委託したのであれば回答できてしかるべき委託先弁護士の氏名・連絡先を忘れたと述べ,さらには,弁護士との契約書類は見当たらない,弁護士に債権回収を委託した後にその回収状況を確認したこともないなどと説明しているのであって,その説明内容はおよそ信じ難いといわざるを得ない(甲全55)。そして,Q管財人が調査を尽くしてもなお,Lの会計書類上に計上された約41億円ものクレジット債権等の存在は認められなかったこと(前記1の認定事実

),顧客から集めた出資金が現金で被告Aに度々手渡されるな

ど,正常な事業が行われていれば通常あり得ない資金移動がされていること(前記1の

,Lのパンフレットにおいて提携サービサー

として掲載されているΔ債権回収株式会社はLとの関係を否定していること(甲全16)などの事情を併せ考えると,Lに会計帳簿上計上されただけのクレジット債権等が存在したとは考えられず,Lが社債の元本償還と高利配当を見込むことができるような債権回収事業を営んでいた事実は当初からなかったと推認するのが相当である。
続いて,Lの投資事業について見るに,同社の投資先とされている会社は,①出版事業を営む株式会社ε(被告D,被告A及び被告Fが元取締役に就任。甲全23),②ソフトウエア開発を業とする株式会社Y(被告Aの兄であるSが取締役に就任。甲全26),③大学受験等向けの学習アプリ開発を業とする株式会社Z(被告D及び被告Aが取締役に就任。甲全21),④FX取引を業とするN(被告G,Sが元取締役に,被告Fが元監査役及び代表清算人に就任。甲全25),⑤被告Cが投資等のために現地法人として設立したCシンガポール・Cマレーシア・Cソウル・C深圳・Cハノイなどであるが(甲全9,10,27ないし29,乙1の2),本件証拠資料を精査しても,上記各会社の事業が投資に値するものであったことを客観的に裏付ける証拠は出されていない。また,投資事業により利益を上げようとすれば,投資先の財務状況等や市場動向の調査等をはじめとして,投資先の取捨選択及びその後の動向把握に相当の人的資源を要するはずであるが,Lにおいて投資事業に関与している者は被告A以外に誰もいなかったことが認められる(前記1の認定事実

ア)。以上に加え,

各会社が,本件被告ら及びその親族が役員を務めていた会社であることを併せ考えると,Lが,社債の元本償還と高利配当を見込むことができるような投資事業を営んでいたとは到底考えられず,上記事実は当初からなかったと推認するのが相当である。そのほか,Lが融資を行っていたとする会社(被告Aが設立時から代表取締役を務め,現在はSが代表取締役を務める株式会社Tなど。甲全10,22)についても,実態が不明であることは同様である。
上記のとおり,Lが社債の元本償還と高利配当を可能にするような事業を営んでいなかったことは,同社が第2期から早くも大幅な損失を出していることからも裏付けられる(前記1の認定事実

ウ)。

以上によれば,Lは社債権者に対する元本償還及び高利配当を見込むことができるような事業を当初から営んでおらず,少なくとも同社を実質的に支配・経営していた被告Aは,早晩,顧客に対して高利配当はもちろんのこと元本償還もできなくなるであろうことを知りながら,顧客らに本件社債を販売し続けたことが認められる。したがって,本件社債の販売は詐欺行為であると認められる。

これに対し,被告Aらは,①Lが設立されて以降,平成24年7月までの約3年間,何の問題もなく償還及び配当を行い,配当については平成25年4月まで滞りなく行っていたこと,②被告Aは,社債購入者から返金の申入れがあったときには返金を行っていたこと,③被告Fにおいて被告Aによる資金管理を不審に思わなかったと供述していることからすれば,Lがその利益をもって本件社債の元本償還及び利息支払を行っていたことは明らかである旨を主張する。
しかしながら,Lは,平成24年7月頃に至るまでは社債販売を継続しており,いわば自転車操業により,新たに顧客から支払われた社債金を他の顧客らに対する償還や配当に充てることが可能な状況にあったことが認められるから,被告Aらが指摘する①②の事情は上記認定判断を覆すものではない。また,被告Fは,本件訴訟において相被告として責任を追及されており,被告Aによる資金管理に不信感を抱いていたと供述すれば,自らも責任を負うことになる立場にあるのであるから,本人尋問の際に上記③のような供述をしたからといって,その信用性を高いものと評価することはできない。被告Aらの上記主張はいずれも採用することができない。

したがって,本件社債の販売は詐欺行為に当たるということができる。本件社債の勧誘態様


本件社債の危険性
上記のとおり,本件社債の販売スキームは,破綻必至のものとして詐欺に当たると認められるが,破綻必至かどうかをさて措いても,以下の点において,本件社債の販売に当たり行われた勧誘は違法である。
すなわち,社債は,償還期限に元本全額を弁済するほか,約定の利息を支払うことを前提とした債権ではあるものの,社債発行会社が行う事業の失敗等に起因する信用リスクを負担する金融商品である。また,分割弁済が通常である金融機関からの借入れとは異なり,
社債の場合には,
償還日に一括償還することが通常である(本件社債も同様である。)から,社債発行会社にとって元本償還の負担は重く,それだけリスクが内在する金融商品といえる。
そして,本件社債は,クレジット債権等の購入や各種会社への投資など,Lが行う事業そのものの資金調達名目で募集されたものであるところ,Lの資本金が5000万円にとどまること,同社の資産は同社が事業のために取得したクレジット債権等や出資金等に限られることに照らせば,L自身が行う事業のリスク(クレジット債権等に係る債務者の倒産リスクや飲食店経営等に係るリスクなど)が顕在化した場合に,同社に社債償還の引き当てとなるものは他にほとんどなく,本件社債は,その購入者である顧客において,Lが行う事業自体が負うリスクを直接負担する性質のものであった。
また,前記

アのとおり,本件社債の償還を継続するためには,顧客

から払い込まれた金銭を用いてかなりの高収益を継続的に上げる必要があったところ,特別な新規性のある事業でもない限り,一般的にはそのような高収益は確実に見込めないところであって,単なる債権回収や投資事業による収益を前提とする本件社債は,破綻必至とまでいうかはさておいても,元本欠損のおそれが相当高い危険な金融商品であったと認められる。

本件社債の販売に関するL従業員らの説明態様
ところが,前記1の

Lにおいては,営業用マニ

ュアルを作成した上で,「元本確保」を強調した勧誘を行わせていたものであり,顧客に対する本件社債の説明に際し,本件社債は,安定性,収益性,継続性に優れた商品であって,元本が確実に返済されるものと誤信させる説明を行っていたと認められる(原告らの陳述書によれば,勧誘文言は様々であり,「元本確保」なる文言を明示的に説明された者もいれば,そうではない者もいることがうかがわれるが,元本が確実に返済される旨を誤信させられたことは全原告らについて共通である。)。
また,Lの営業担当者らは,顧客からの質問に対して,会社が倒産してもクレジット債権等を現金化して元本を償却できる旨の説明することがあったが(前記1の認定事実

イ),債務のほとんどを社債償還債務が占め

るLにおいて,社債元本を全額償却できるほどの価値を有するクレジット債権等を保有していればそもそも会社は倒産しないのであって,上記説明は明らかに論理矛盾であった。そのほかにも,提携サービサーや海外拠点等の点において,Lのパンフレットには虚偽の説明が含まれており(前記1の認定事実

イ),その内容は本件社債が安全であるとの顧客らの誤信

を助長するものであった。
そうすると,Lの営業担当者らが原告らに対して,前記のように,本件社債の有する元本欠損のリスクを殊更に過少視し,本件社債は元本が償還されることが確実な安全な金融商品であるとの説明を行っていたことは,商品のリスクにつき著しく正確性を欠き,その安全性を顧客らに誤信させる説明であり,
詐欺的要素をはらむ違法な勧誘であったというべきである。
なお,以上は,同様の社債販売事業を営んでおり,資本金が3000万円に過ぎなかったM(

,前記1の

)に

ついても同様であった。
小括
そこで,以上の本件社債の内容及び従業員による勧誘態様に関する認定判断を前提として,各被告の責任について以下検討することとする。3
被告A関係
争点④(被告Aは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか)について
前記2

Aは,Lが社債権者に対する元本償還及び高利配
当を維持できるほどの事業を営んでおらず,早晩,顧客に対して高利配当はもちろんのこと元本償還もできなくなるであろうことを知っていたにもかかわらず,Lを実質的に支配・経営する者として,営業担当者らをして本件社債を販売させ続けたのであり,本件社債の販売という詐欺行為を中心的に行っていたものであると認められる。したがって,詐欺行為に欺罔されて本件社債を購入した顧客である原告らに対し,本件社債の販売に関して,他の不法行為者との共同不法行為責任を負う。
小括
以上によれば,被告Aは,原告らによる全ての社債購入に関して,共同不法行為に基づく損害賠償責任を負うものと認められる(なお,不法行為に基づく損害賠償請求と選択的に請求された会社法429条1項に基づく損害賠償請求の可否(争点⑤)については,判断を要さない。)。4
被告C関係
認定事実
前記前提事実,前記1の認定事実に加え,後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,被告C設立の経緯及び被告Cの事業内容等について,次の事実が認められる。

被告Aは,Mにおいて社債販売事業を行う中で,関連会社として利用できる法人を設立し,妻である被告Bを代表取締役に就任させようと考え,被告Bに代表取締役の就任を依頼するとともに,前記法人として被告Cを設立しようとした。(乙1の42,被告A本人,被告B本人)


被告Bは,当初,被告Cの代表取締役に就任することに難色を示したが結局了承し,平成20年8月5日,被告Bを代表取締役として,被告Cが設立された。被告Cの株式は,全て被告Bが保有することとされていたが,実質は被告Aが支配・経営する会社であり,被告C設立手続のほか,被告C設立後の事業についても,被告Aが実質的に決定し,統括していた。(乙
1の42,被告A本人,被告B本人)

被告Cは,ミュージックレストラン「R」を運営していたほか,金融事業名下で資金のやり取りをしていたところ,被告Bは,その後,遅くとも平成21年4月頃には,被告Cにおいて被告Aが金融事業を行っていることを認識し,
被告Cから役員報酬として月額70万円の報酬を得ていたが,
一時期,飲食店の経営事業に関与しようとしたことを除き,被告Cの事業に関し,被告Aに対して具体的な説明を求めたり,事業内容に関して口出しをしたりするようなことはなかった。(乙1の5,1の11,1の12,1の41,1の42,被告A本人,被告B本人)


被告Cの設立以降,被告Aからは多額の金員が同社に流入し,同社から被告Aの支配下にある会社ないし個人にその金員の相当額が流出した。すなわち,被告Cの預金口座に対しては,「オーナー現金借入金」「オーナー出資」として,被告Aから数百万から数千万円単位の金員が度々振り込まれており,多いときには1日で1億2000万円もの金員が入金されることもあった(平成21年11月11日)。被告Aから被告Cに入金された金員(現金で被告Cの通帳に入金された金員)は,平成21年2月6日から平成22年4月30日までの間に6億3000万円に上るが,同期間における被告Aへの返金額は2億8800万円にとどまった。そして,
被告Cは,被告Aからの借入金を平成22年4月30日付けで2億9670万円の社債金として計上する旨の仕訳処理を行ったが,上記社債金は平成25年7月31日時点で償還されていない。
他方,被告Cは,Cコリアに貸付けを行い,Cコリアはその資金で韓国
における債権回収事業に投資をしていたとされているが,Cコリアに対する貸付金4億5320万円のうち,返還されたのは1億7482万円余であり,2億7800万円余が回収不能になっている。Cコリアの代表理事は,設立時から平成21年8月4日までが被告B,同日から平成25年8月1日までが被告F,同日以降がSであり,被告Aが設立時から継続して同社の社内理事を務めている。
また,被告Cは,株式会社Yに4360万円の出資をし,普通株式を取得しているが,同社は,Sが取締役を務めている会社であり,Lの投資先でもある。Lが株式会社Yに出資した500万円の株式は,Lの破産手続において回収不能と判断されている。
そのほか,被告Cからは,被告Bに対する役員報酬(平成20年9月から毎月70万円)に加え,被告Aに対しても,平成21年11月から平成22年9月までと平成24年1月から同年7月までの期間,給与(役員報酬)が支払われている(合計1080万円)。
以上のとおり,被告A(及びその支配下にある会社・個人)と被告Cとの間では多額の資金の流入・流出があるところ,M又はLと被告Cとの間でも,多額の資金が「仮払金」
「仮受金」名目でやりとりされ,M又はLか
ら少なくとも6150万円の資金が流入し,Lに対して少なくとも2億7140万円の資金が流出した。Lから被告Cに流入した資金の中には,顧客がLに交付した本件社債代金がそのまま入金されたものもあった。こうした被告Cの資金管理は,被告Aが独りで決定し,被告Fに行わせていた。(甲全26,30,38,56,68,74,乙1の7,1の8,1の12,1の18ないし1の22)

被告Aは,Lの顧客に配付するパンフレットにおいて,被告Cの投資先であるCコリアを「Lkorea」として掲載し,被告Cが経営する「R」をLの投資先であると記載するなど,被告CをLにおける本件社債販売の促進のために利用していた。(甲全12,被告A本人)
争点⑥(被告Cは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任又は不法行
為の幇助責任を負うか)について

上記

認定事実によれば,被告CとLとの間では,「仮払金」「仮受
金」名目で多額の金銭が不明朗な形で流出・流入しているばかりか,被告Aから被告Cに流入した多額の金員が,被告Aが実質的に支配するCコリア等の会社に流出し,あるいは被告B及び被告Aの役員報酬として同人らの手元に流れ,散逸していることが認められる。そして,この点について被告Aは,同人が被告Cに入金した6億3000万円の資金は,被告AがU勤務時代の昭和62年から平成2年くらいの間に不動産担保ローンの手数料で得た7億2000万円から出したものであると供述しているが,①被告Aの供述には何らの客観的裏付けがない上,同人が説明するような方法で3年の間に7億円以上の収入を得られるとは俄に考え難いこと,②7億2000万円もの現金を自宅に段ボール12箱に入れてクローゼットで保管していたという供述自体も不合理であること,③仮に被告Aがそのような多額の現金を保有していたのであれば,被告Bが幼い子供を抱えている平成4年から働きに出たり(被告B本人),昭和63年9月に自宅を建築する際に,実家からの援助以外の全額についてローン1340万円を組んで,平成11年9月まで分割弁済を続けたりするとは考え難いこと(甲全78の2,被告B本人)から,被告Aの上記供述は信用することができない。むしろ,被告Fが,被告Aの指示により,Lの資産から多額の現金を度々被告Aに渡していたことからすれば(前記1の認定事実

イ),被

告Aが被告Cに流入させた金員は,L及びMが本件社債販売により顧客から得た社債金であると推認するのが相当である。
以上によれば,L及び被告Cを実質的に統括していた被告Aは,Lが本件社債の出資金として集めた金銭を,自己ないしその支配下にある第三者に移転させる等の目的で被告Cを利用していたものと認められるから,被告Cは,本件社債の違法な販売事業に関与・加担していたものとみるべきである。被告Aが被告Cを上記のような目的で利用していたことは,被告Aが,被告Cの存在をLの他のメンバーには秘匿し,Lの中でも「浮いていた存在」であった被告Fにのみ関与させていたことからも裏付けられる(被告A本人)。

そのほか,上記

の認定事実によれば,被告Cを実質的に支配・経営し

ている被告Aは,Lのパンフレットにおいて,被告Cの投資先であるCコリアをLの海外拠点として紹介し,被告Cが経営するRを投資先の一つとして取り上げるなどしており,これらの記載は顧客らに対して本件社債の安全性・収益性を誤信させるための手段として用いられているのであるから,被告Cとしても,違法な本件社債販売に係る営業活動に積極的に協力・加担しているものとみることができる。

以上によれば,被告Cは,詐欺行為である本件社債販売の実現を容易にし,その犯罪収益を他に流出・隠匿するために利用されていたものであるから,違法な本件社債販売に関して共同不法行為責任(民法719条1項)を負い,少なくとも幇助責任(同条2項)を負うというべきである。

これに対し,被告Cは,被告Cは,Lとは別個の法人であり,同社独自の事業を行っていたのであるから,Lとの間に一体性はなく,その違法行為を幇助したこともないと主張する。
しかしながら,Lと被告Cの実質的な支配者・経営者はいずれも被告A
であること,両社の間では「仮受金」
「仮払金」名目で多額の資金が融通さ
れていること,Lのパンフレットにおいて,被告Cが経営するRを投資先として,Cコリアを「Lグループ」としてそれぞれ紹介していることは既に指摘したとおりであり,被告CがLと無関係の法人であるとは到底認められない。
また,被告Cの独自事業なるものも,Rの経営以外はその実態が不明であり,頻繁な資金移動は確認できるものの,それが正当な取引であることを裏付ける契約書類等の客観資料はほとんど提出されていない。被告Cの最大の投資先であるCコリアに至っては,2億7800万円余の貸付債権が回収不能となっているにもかかわらず,
被告Aは,
本人尋問において
「こ
ういう数字ということは理解していませんでした」と供述しており,真に投資事業が行われていたかは疑わしい。
よって,被告Cの主張は,上記アないしウの認定判断を左右するものではない。
小括
以上によれば,被告Cは,少なくとも,被告C及びLの両者が設立された後である平成21年11月24日以降に購入された本件社債に関し,原告らに対し,共同不法行為に基づく損害賠償責任を負うものと認められる(なお,不法行為に基づく損害賠償請求と選択的に請求された会社法350条に基づく損害賠償請求の可否(争点⑦)については,判断を要さない。)。5
被告B関係
争点⑨(被告Bは,被告Cの取締役として,会社法429条1項に基づく責任を負うか)について

被告Bは,被告Cの設立当初から,了承した上で同社の代表取締役に就任していたものであるところ(前記4

認定事実イ),前記4のとおり,

被告CはLが行う違法行為(本件社債販売)に加担していたのであるから,被告Bには,これを阻止し,被告Cの業務が適正・適法に行われるように監督・是正すべき義務があったものといえる。しかるに,被告Bは,前記4
認定事実のイ及びウのとおり,被告Cの代表取締役としての業務を何
ら行わず,漫然と被告Cの経営を被告Aに一任していたのであるから,被告Cの取締役としての任務を懈怠したものと認められる。

そして,前記4

認定事実ウによれば,被告Bは,被告Cが金融事業

名下で資金を扱っていることを認識していたのであるから,被告Aにおける事業内容に関して監督を行う端緒は十分にあったものといえる。加えて,
被告Bは被告Aと同居していた配偶者なのであるから,被告Aに事業内容を質問するなどして,監督を行うことも容易であった。
また,被告Bが被告Cの代表権を有し,業務に関する一切の権限を有する唯一の代表取締役の地位にあったことや(会社法349条1項,4項),被告Cから取締役報酬として月額70万円を受給しており,取締役としての職務を適正に果たすことが期待されるべき立場にあったことに照らせば(前記4

認定事実ウ),被告Bが被告Cの取締役として,実質上経営

を支配する者である被告Aに対する監督を行うべき要請は,強かったといえる。
以上によれば,被告Cの代表取締役として何らの職務も行わず,漫然と被告Aに経営を一任していた被告Bの注意義務違反の度合いは著しいといえ,被告Bは,被告Cの取締役としての任務懈怠に関して,少なくとも重大な過失があるといえる。

そして,被告Cの地位・役割は,L(被告A)が構築した本件社債販売スキームの欠くことのできない重要部分の一角を占めていたのであるから,被告Bの上記任務懈怠と原告らの損害との間には相当因果関係があると認められる。


これに対し,被告Bは,①被告Aに依頼されて名目上被告Cの代表取締役に就任したにすぎないから,任務懈怠についての悪意又は重過失が存在しない,②被告Cの業務内容や決算書類のみをみても,Lの事業内容等を確認することはできず,本件社債の販売が違法行為に該当することを認識することは困難であるし,仮に認識し得たとしても被告Cの取締役であるにすぎない被告BにはLの社債販売を中止させることは不可能であるから,
被告Bの任務懈怠と原告らの損害の間には因果関係がないと主張する。しかしながら,①そもそも被告Bは,被告Cの代表権を有する唯一の代表取締役に就任していたものであるところ,月額70万円にも及ぶ役員報酬を受給していた上,被告Cにおいて飲食店を経営しようした時期もあったというのであるから(被告A本人,被告B本人),何ら実質的な権限や責任を有しない名目的取締役であるとは認め難い。被告Bは,役員報酬を被告Aにそのまま渡していたと供述するが,役員報酬が振り込まれる通帳は被告Bが管理していたこと,被告Bが被告Aから毎月生活費を40万円ないし80万円受け取っていたこと(被告A本人,被告B本人)に照らせば,被告Bが被告Cの役員報酬により何らの利益も享受していないとは認められない。
また,②被告Bは,被告Cの取締役として,同社の決算書類等を確認することは可能であったほか,配偶者である被告Aに対して,被告Cの事業内容等を質問することも可能であったところ,これらの確認をすれば,被告CとLが密接な関連性を有することや,被告CとLや被告Aとの間で不明朗な金銭のやりとりがあることは容易に認識可能であった。そして,被告Aに確認をすれば,Lが高利配当と元本確保を謳って多額の社債販売を行っていることも認識可能であり,一般的な金融商品と比較して著しく高利を約束する社債販売が,極めて高い破綻リスクを抱えるものであることを認識することは,社会一般常識に照らして十分可能であったといえる。以上によれば,被告Bが適正な職務執行をしていれば,被告CとLの取引を是正することは可能であり,被告Cの本件社債販売における役割に照らせば,上記是正がされなかったことと原告らの損害との間には因果関係がある。なお,被告Bは,金融事業に関する知識も能力もなかったとも主張するが,役員報酬など取締役としての利益を享受しながら,知識能力がないとして責任だけを免れることはできないのであって(責任を負うだけの知識能力がないのであれば取締役に就任すべきではない。),上記主張は採用できない。
したがって,被告Bの上記主張は,いずれも上記アないしウの認定判断を左右するものではない。

よって,被告Bは,被告Cの取締役として,会社法429条1項に基づき,原告らに対する損害賠償責任を負う。
小括
以上によれば,被告Bは,少なくとも,被告C及びL設立後である平成2
1年11月24日以降に購入された本件社債(いずれも被告Cが加担している。)に関し,会社法429条1項に基づき原告らに対する損害賠償責任を負うものと認められる(なお,会社法429条1項に基づく損害賠償請求と選択的に請求された不法行為に基づく損害賠償請求の可否(争点⑧)については,判断を要さない。)。
6
被告D関係
認定事実
前記前提事実,前記1の認定事実に加え,後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件社債の販売及びLの事業に関する被告Dの関与等に関し,次の事実が認められる。

被告Dの経歴など
被告Dは,昭和59年4月頃,Uに入社し,同社で上司である被告Aと出会った。その後,被告Dは,Uを退職して,先物取引の会社やFX取引の会社を転々とし,平成15年頃からは,FX取引を扱うVにおいて,常務として業務に携わっていた。(甲全54,62,64,乙2の2,被告D本人)


被告Dが本件社債の販売に関与するに至った経緯等
被告Dは,平成18年頃,被告Aと再会し,一緒に会社をやらないかと誘われたため,Vを退職し,同社の従業員らを引き連れて被告Aとともに事業を開始した。そして,被告Dは,Pにおいては理事として,Pの少人数私募債の勧誘に関与したほか,平成19年12月28日以降,同事業を引き続き行うために設立されたMにおいては代表取締役に就き,平成22年3月19日以降はLに従業員の派遣を行うOの取締役(同年8月4日からは代表取締役)に就任した。また,平成21年11月24日に設立されたLでも本件社債販売に関与し,平成23年9月30日以降は,Lの代表取締役を務めていた。(甲全17ないし19,54,62,64,乙2の2,被告D本人)

被告DのLにおける業務内容等
被告Dは,Lにおいて,本社,本店営業部及び各支店を統括する者として位置づけられており,Lの実質的な統括者である被告Aに次ぐ地位にあった。被告DがLの代表取締役に就任したのは,上記のとおり,平成23年9月であったが,被告Dの前の代表取締役である被告G及びαは名目的な代表取締役であったことから,被告DのLにおける業務自体は代表取締役就任前後で特に変わるところはなかった。
被告Dは,平日は毎日朝から夕方まで出社して勤務し,朝礼に参加したり,Lにおいて月1回開催される営業全体会議の司会進行を行い,従業員を激励したり,その勧誘方法等に関してコメントをした。また,各店舗の営業責任者から営業成績に関する報告を受けた上で,営業成績の向上を図るように指示を行うなどして営業部門を管理監督するほか,従業員の採用面接に立ち会っており,本件社債の販売勧誘業務全般において被告Aを補佐していた。
自ら顧客に対して本件社債の販売勧誘に当たることもあった。
なお,被告Dは,Oから月額120万円の給与を受けていたほか,平成22年4月から平成24年4月までの間に合計794万5525円(月額平均31万7821円。最高額は平成22年12月の90万5040円)の加給金を受け取っていた。(甲全45,47,51,54,62,67,甲1の2,2の2,50の2,50の4,64の2,64の5,乙2の2,被告A本人,被告D本人)


本件社債の販売態様及び資金の流れに関する被告Dの認識
Lにおいては,本件社債の販売によって顧客らから得た社債金の運用等は全て被告Aが独りで行っていたために,被告Dは,被告Aから資金運用方法の概略に関して説明を受けてはいたものの,その運用先などの詳細は把握していなかった。
一方で,被告Dは,Lにおいて,本件社債が年6パーセントを超える高利の配当を謳った上で,従業員に対する加給金の支払も約束しているにもかかわらず,本件社債の勧誘に際しては,「元本確保型」と称して,元本は確実に償還される商品である旨の説明をするよう指導されていることは認識しており,実際に従業員らが顧客に対してこのような勧誘を行っていることも認識していた。(甲全35,52,54,60,62,乙2の2,被告D本人)
争点⑩(被告Dは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか)について

上記

Dは,Lにおいて,被告Aに次ぐ地位

にあり,営業活動全体を統括していた者であるところ,本件社債の販売を促進するために従業員らに対する指導監督を行い,実質的な支配・経営者である被告Aの指示を従業員らに伝達するという重要な役割を担っていたものと認められ,Lにおける本件社債の販売に関して,Lの代表取締役という役職にふさわしい重要な役割を担っていたといえる。
加えて,少なくとも平成22年4月以降は,O又はLから加給金を含めて月額百数十万円にも及ぶ高額な報酬を受けていたことなども併せ考えると,被告Dは,本件社債の販売勧誘に関し,積極的に関与し,加担したものであると認められる。

そして,被告Dは,上記のようにLの中心的人物に位置し,本件社債の販売スキームにおいても主導的な地位を果たしていたのであるところ,本件社債による資金調達は,極めて高利な利息負担や加給金の支払負担を伴うものであるから,前記
を受けられない危険性の高い商品であるといえ,その点は被告Dにおいても当然認識していたものといえる。しかるに,顧客に対して元本の償還が確実であるかのような勧誘を行うことは,顧客らに本件社債がリスクのない安全な商品であると誤信させる説明であるところ,上記
のとおり,被告Dは,従業員らがこのような説明を行うことを容認していたものといえるから,こうした勧誘態様の違法性を認識していたものといえる(なお,被告Dは,Pにおいて社債販売事業を開始した当初から,社債販売事業に関与していたものであるから,遅くともL設立後に行われた社債の勧誘に関しては,
本件社債販売の違法性を認識していたといえる。。


これに対し,被告Dは,被告Aから資産の運用方法等について具体的な説明があったので,本件社債の危険性を認識していなかったと主張する。しかしながら,被告Dが供述する説明は,①デフォルト債権や美容整形業者等の自社ローン債権を安く購入して債務者から債権回収を行い,その差額を利益とするほか,②飲食業,出版事業やシステム開発事業等に投資をするというものであるが,被告Aが,たった独りで何十億もの資金を運用して,これらの事業によって高利の利息及び加給金支払の負担をカバーするほどの収益を上げることができるとは通常考え難い。そして,被告Dは,被告Aから運用先の説明を受けたものの,それ以上に運用状況の結果を具体的に確認したわけでもないというのであるから(被告D本人),金融商品を扱う業者等で長く勤務した経験がある被告Dが,被告Aの説明を軽々に信じたものとは考え難いというべきである。被告Dは,自らもM時代に本件社債を購入していたと供述するが,仮に社債購入が事実であるとしても,本件社債の販売システムが破綻する前の利益獲得を狙って購入したものと考えることもでき,上記認定判断を左右するものではない。
また,被告Dは,個々の営業活動は各支店に任せていたために,勧誘活動の違法性を認識していなかったとも主張する。しかしながら,Lにおいて,勧誘方法のマニュアルを作成し,実質的な元本保証を謳うパンフレット等を作成した上で,営業会議においても実質的な元本保証を謳うように指導していたことを,代表取締役である被告Dが知らなかったとは考えられない。被告Dの上記主張は,Lの他の従業員の供述とも矛盾する上(甲全35,52,60),被告D自ら顧客に対して直接勧誘を行っていたことともそぐわないから,採用することができない。
さらに,被告Dは,権限も大きくなく,被告Aの従属的立場にあるにすぎなかったから,結果回避措置を採ることもできなかったと主張するが,上記において認定した被告Dの違法行為は,結果回避義務違反(他者の違法行為を止めなかったという不作為による違法行為)ではなく,違法な本件社債の販売への積極的な加担(他者と共同して行った作為による違法行為)であるから,被告らの共同不法行為と原告らの損害との間に因果関係が認められる以上,責任を免れない。被告Dの上記主張は採用することができない。
したがって,被告Dの上記各主張は,いずれも前記ア及びイの認定判断を左右するものではない。

以上によれば,被告Dは,少なくともL設立後である平成21年11月24日以降に購入された本件社債については,被告Aらと共同し,その違法性を認識しながら(故意により),違法な販売に加担したと認められる。小括
したがって,被告Dは,少なくとも平成21年11月24日以降に購入さ
れた本件社債に関し,原告らに対し,共同不法行為に基づく損害賠償責任を負うものと認められる(なお,不法行為に基づく損害賠償請求と選択的に請求された会社法429条1項に基づく損害賠償請求の可否(争点⑪)については,判断を要さない。)。
7
被告E関係
認定事実
前記前提事実,前記1の認定事実に加え,後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件社債の販売及びLの事業に関する被告Eの関与等に関し,次の事実が認められる。

被告Eの経歴など
被告Eは,昭和52年以降,株式投資のコンサルタント会社や為替・商品オプション取引を扱う会社などで勤務した後,平成17年10月,Vに入社し,同社で営業担当社員として働いていたところ,上司から被告Dらとともに転職することの誘いを受け,平成19年4月頃,Pに転職した。被告Eは,Pにおいて支店長代理の肩書で,上から6番目の地位にいたところ,社債販売事業がPからMに引き継がれた後は,設立時である平成19年12月28日から平成22年7月31日までの間,Mの取締役の地位にあった。また,被告Eは,Mにおいて部長職に就き,本社の営業課を統括する立場にあるものとして,役員会議や営業全体会議に参加していた。そして,被告Eは,Oの設立以降,同社の取締役の地位にあったほか,本件社債の販売事業をLがMから引き継いだ後,Lの取締役には就任しなかったものの,営業統括部長として業務を行っていた。
また,被告Eは,Pにおける社債販売が開始されて以降,自らも勧誘担当者として,顧客に対する本件社債の販売も行っていた。(甲全18,19,51,64,67,乙6の2,被告E本人)


被告EのLにおける業務内容等
被告Eは,営業統括部長として,本社及び本店営業部の営業責任者であり,本社及び本店営業部に所属する勧誘担当者を指導・監督する立場にあった。具体的には,営業担当者の行動を把握するとともに,部下である営業担当者らが営業ノルマを達成できるようにはっぱを掛けること,部下による勧誘活動に同行し,ともに営業勧誘活動を行うほか,部下による営業勧誘態様の問題点などを指摘すること,営業成績を被告Dに報告することなどをその職務としていた。また,自身も担当する顧客(原告1など)に対して,個別に勧誘を行っていた。
そして,被告Eは,従業員に対して,本件社債は「元本確保型」であって元本が確実に償還される商品であること,会社が倒産したときには会社が有している債権を売却して元本を償還できるので不安はないことを説明して本件社債の勧誘をするよう指導しており,自らも顧客に対して同様の勧誘を行っていたほか,他の営業担当者においても同様の勧誘を行っていることを認識していた。
なお,被告Eは,Oから月額80万円の給与を受けていたほか,平成22年4月から平成25年5月までの間(ただし,平成24年8月を除く。)に合計1280万円程度(月額平均約34万6000円。最高額は平成24年9月の137万6775円)の加給金を受け取っていた。また,被告Eは,本件社債が年利6パーセントを超える高利で販売されていたことのほか,従業員らに対して所定の加給金が支払われることを認識していた。(甲全35,36,45,47,51,67,甲1の2,5の2,12の2,23の2,37の2,53の2,64の2,76の2,79の2,80の2,乙6の2,被告E本人)

本件社債の資金の流れ等に関する被告Eの認識
Lにおいては,本件社債の販売によって顧客らから得た社債金の運用等は全て被告Aが独りで決定していた。そのため,被告Eは,被告Aから資金運用方法の概略に関して説明を受けたものの,具体的な収支状況等については把握していなかった。(甲全64,被告E本人)
争点⑫(被告Eは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか)
について

上記

Eは,Mにおいては取締役兼部長職と

して,Lにおいては営業統括部長として,本件社債の営業部門を統括する立場にあり,勧誘担当者に対して営業方法を指導し,本件社債の販売事業を促進させていたものであって,本件社債の販売事業において,重要な役割を担っていたものと認められる。
加えて,被告Eは,自ら勧誘担当者としても本件社債の販売を行い,少なくとも平成22年4月以降は,本件社債を販売し,又は本件社債の販売事業を統括することの対価として,O又はLから加給金を含めて月額100万円を超える高額の報酬を受けていた。以上を併せ考えると,被告Eは,本件社債の販売勧誘に積極的に関与し,これに加担したものであると認められる。

そして,本件社債による資金調達は,極めて高利な利息負担や加給金の支払負担を伴うものであるから,前記
その元本償還を受けられない危険性の高い商品であるといえ,その点は被告Eにおいても当然認識していたものといえる。しかるに,被告Eは,営業担当者らに対し,顧客に対して元本の償還が確実であるかのような勧誘を行うように指導・奨励していたのであるところ(上記

イ),

このような説明方法が,本件社債がリスクのない安全な商品であると顧客らに誤信させる説明であることは既に説示したとおりであるから,被告Eは本件社債の勧誘の違法性を認識していたものといえる(なお,被告Eは,Pにおいて社債販売事業を開始した当初から,社債販売事業に関与していたものであるから,遅くともL設立後に行われた社債の勧誘に関しては,本件社債販売の違法性を認識していたといえる。)。

これに対し,被告Eは,自身が勧誘する際に顧客に対して元本保証である旨を伝えたり,従業員らに対して元本保証という説明をしないように指導していた旨主張する。しかしながら,前記1の認定事実
によれば,

Lにおいては,営業担当者に対し,「元本保証」という言葉を用いないように指導されていたが,他方で,「元本確保型」という用語を用い,元本は確実に償還される旨の勧誘を行うよう指導されていたものである。そして,被告Eもこれと同様の指導をしていたことを認めており,被告Eから勧誘を受けた顧客らも,実質的に元本が確保される旨の勧誘を受けた旨陳述している(甲全36,甲1の2,5の2,12の2,23の2,37の2,53の2,64の2,76の2,79の2,80の2,被告E本人)。したがって,「元本保証」という言葉を使っていなかったことは,上記イの認定判断を左右しない。
また,被告Eは,被告Aから資産の運用方法等について具体的な説明があったので,本件社債の危険性を認識していなかったと主張する。しかしながら,被告Aの説明を前提としても,債権回収業や投資事業によって高利の利息及び加給金支払の負担をカバーするほどの収益を上げることができるとは通常考え難いことは,前記6

で既に述べたとおりである。そし

て,被告Eは,被告Aから運用先の説明を受けたものの,収益予測の根拠や具体的な運用状況を確認したわけではないのであるから(被告E本人),金融商品を扱う会社で長く勤務した経験がある被告Eが,被告Aの説明を軽々に信じたものとは考え難く,元本の償還が不可能になるおそれがあることを認識していなかったとは認められない。証拠(乙6の1)によれば,被告Eは本件社債を購入していたものと認められるが,Lの社債販売システムが破綻する前の利益獲得を狙って購入したものとも考えられるから,上記認定判断を左右するものではない。
さらに,被告Eは,従属的立場にあったにすぎないから損害発生を回避できなかったとも主張するが,同主張が当を得ないことは,前記6
と同

様である。
したがって,被告Eの上記各主張は,いずれも前記ア及びイの認定判断を左右するものではない。

以上によれば,被告Eは,少なくともL設立後である平成21年11月24日以降に購入された本件社債については,被告Aらと共同し,その違法性を認識しながら(故意により),違法な販売に加担したと認められる。小括
したがって,被告Eは,少なくとも平成21年11月24日以降に購入さ
れた本件社債に関し,原告らに対し,共同不法行為に基づく損害賠償責任を負うものと認められる(なお,不法行為に基づく損害賠償請求と選択的に請求された民法715条2項,会社法429条1項(類推適用)に基づく損害賠償請求の可否(争点⑬⑭)については,判断を要さない。)。
8
被告F関係
認定事実
前記前提事実,前記1の認定事実に加え,後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件社債の販売及びLの事業に関する被告Fの関与等に関し,次の事実が認められる。

被告Fの経歴など
被告Fは,平成19年,知人による紹介などを経て,Pに入社することになり,同社において総務課長として仕事をすることになった。そして,被告Fは,Mの設立時である同年12月28日から平成23年9月30日までの間,同社の取締役の地位にあったほか,被告Cの設立時である平成20年8月5日から同社の取締役の地位にあり,Oの設立時である平成22年3月19日から同社の取締役の地位にあった。また,被告Fは,Cコリアの設立時から社内理事を,平成21年8月4日からは代表理事を務めていた(いずれも平成25年8月1日に辞任)。(甲全18ないし20,69,74,乙5の2,被告F本人)


被告FのL,被告Cにおける業務内容等
被告Fは,Lにおいては経理等を担当する総務部長として,被告Cにおいては取締役として,被告Aの指示に従って,顧客らから支払われた社債金の資金移動,社員に対する給与や加給金の支払,顧客に対する社債元本の償還や利息の支払等を担当しており,従業員に対して高額の加給金が支払われていることや,本件社債の利率が極めて高利であることを認識していた。被告Fによる資金移動は,被告Aの指示に基づいて行われていたが,被告Aからは,多いときには現金で5000万円程度を交付するよう指示されることもあり,本件社債の購入者からの社債金を被告Aに対して現金で交付することもあった。また,被告Fは,被告Aから被告Cの口座管理も委ねられていたところ,Lが本件社債の販売により得た資金を被告Cの口座に振り込むことや,同資金を原資として,被告Cが経営する「R」の従業員の給与を支払うことを委託されることもあった。
そして,被告Fは,Lにおいて本件社債の販売には関与していなかったものの,自らの身内に対して社債販売を勧誘した場合には,加給金を受領したことがあったほか,Lにおいて毎月開催されていた営業全体会議にも基本的に出席していた。
なお,被告Fに対しては,平成22年4月以降,Oから毎月74万4130円の給与が支払われ,平成21年11月ないし平成22年9月の間及び平成24年1月以降は被告Cから,平成22年10月から平成23年12月の間はLから,それぞれ毎月25万円の給与が支払われていたほか,加給金としてLから合計128万2000円が支払われた。(甲全51,68,被告F本人)

本件社債の勧誘態様等に関する被告Fの認識
被告C及びLの本社の所在地は同一場所であり,被告Fは,そこで両社に関する業務を行っていた。そして,被告Fの勤務スペースは,営業担当者が電話において営業勧誘をしていたフロアと同一フロアであったことや,被告Fも営業全体会議に出席していたことから,被告Fも,営業担当者による電話勧誘方法の概要は把握しており,営業担当者らが顧客に対して,必ず元本を返還して毎月の配当を支払うことを約束する方法で勧誘を行っていることを認識していた。(甲全69,70,82,被告F本人)争点⑮(被告Fは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか)について

上記

Fは,本件社債の販売によりLが募っ

た資金を被告Cに移転させ,被告Aに現金で交付するなど,Lの事業資金名目で顧客から集めた資金を移転させるという,本件社債の販売による詐欺行為に当たって必要不可欠な行為を行っていたものであると認められる。被告Fの役割が極めて重要であったことは,被告Fが平成23年11月頃にLを退社しようとしたときに,被告Dが「お前が辞めてどうするんだ。回っていかなくなるだろう。」と強く慰留したことからも裏付けられる(甲全70)。以上によれば,被告Fは,本件社債により資金を集める前記スキームにおいて,必要不可欠な役割を果たしたものといえ,本件社債の販売に積極的に加担したものと認められる。

そして,被告Fは,被告Aによる要求を受けて,Lの資金移動を行っていたものであるが,被告Aからの要求に応じて時には5000万円程度にも及ぶ金銭を現金で交付するなど,本件社債により得た資金を事業に用いるとは考え難い資金移動が行われていることを認識していたにもかかわらず,
被告Aに対してその理由を問いただすこともしなかったのであるから,被告Fは,本件社債の販売により得られた社債金がLの事業に使用されていなかったこと(すなわち早晩破綻必至であること)を未必的に認識していたものと推認され,少なくとも容易に認識し得たと認められる。また,上記の点を措くとしても,本件社債の勧誘に当たって,その安全性を顧客らに誤信させる違法な説明がされていたことは既に説示したとおりであるところ,上記

被告Fは,本件社債の勧

誘に当たり,顧客らに上記のような説明が行われていたことを認識していた。そして,本件社債による調達が極めて高利な利息負担や加給金の支払負担を伴うものであることからすれば,被告Fは,少なくとも本件社債の勧誘態様が違法であることを認識すべきであり,この点において過失があると認められる。
したがって,被告Fは,Lの詐欺行為ないし違法な勧誘態様による本件社債の販売に加担した点において,故意又は過失があるといえる。ウ
これに対し,被告Fは,①被告Aの指示に従って総務的な雑用を行っていたにすぎず,機械的・従属的役割を担っていたにとどまる,②本件社債販売の違法性を認識せず,認識し得なかったと主張する。
しかしながら,①すでに述べた通り,被告Fは被告Aから直接指示を受けて,時には5000万円程度にも及ぶ現金を被告Aに交付していたのであって,このような資金移動が本件社債により得た収益を隠匿する手段として必要不可欠であることや,被告FがLにおける資金移動全般を取り扱っていたことに照らせば,
被告Fが行った業務の重要性は否定されない
(な
お,仮に,一部の業務を部下従業員に担当させたことがあるとしても(被告F本人5頁),被告Fの役割の重要性は否定されない。)。そして,被告Fは,本件社債の販売により得た収益の移転等に関与することの報酬として,相当額の報酬を得ていることも併せ考えると,本件社債の販売に積極的に加担していたものといえる。
また,②上記のとおり,本件の資金移動の流れが債権回収等を事業とする会社の資金移動の方法として不自然であることや,本件社債自体が高リスクであるにもかかわらず,Lにおいては顧客らにその安全性を誤信させる違法な勧誘がされていることを,被告Fは認識していたのであるから,被告Aから「大丈夫である」旨の説明を受けていたことによって,本件社債販売に違法性がないと認識せず,認識することもできなかったとは到底考えられない。
したがって,被告Fの主張によっても,上記ア及びイの認定判断は左右されない。

以上によれば,被告Fは,少なくともL設立後である平成21年11月24日以降に購入された本件社債については,被告Aらと共同し,故意又は過失により違法な販売をしたと認められる。
小括
したがって,被告Fは,少なくとも平成21年11月24日以降に購入さ
れた本件社債に関し,原告らに対し,共同不法行為に基づく損害賠償責任を負うものと認められる(なお,不法行為に基づく損害賠償請求と選択的に請求された会社法429条1項に基づく損害賠償請求の可否(争点⑯)については,判断を要さない。)。
9
被告G関係
認定事実
前記前提事実,前記1の認定事実に加え,後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件社債の販売及びLの事業に関する被告Gの関与等に関し,次の事実が認められる。

被告Gは,被告AのU勤務時代の上司であり,平成21年11月24日から平成22年8月26日まではLの,平成22年3月19日から同年8月4日まではOの,平成21年1月29日から会社解散決議がされた平成23年3月31日まではNの代表取締役であった。(甲全17,19,25,54)


もっとも,被告Aが被告GをLの最初の代表取締役としたのは,LがMとは全く異なる一新された会社であることを外部に示して装うためには,被告Dを代表取締役にすることができなかったためであり,名前だけのことであった。このため,被告GがLにおいて社債販売業務を行うことはなく,平成23年9月30日に被告DがLの代表取締役に就任する前も,実質的には被告Dがその業務を行っていた。(甲全54,69)。

被告Gは,平成22年8月26日,別の仕事がしたいと申し出てLの代表取締役を辞任した。このため,被告Aは,名前だけの代表取締役としてαを後任の代表取締役とした。(甲全17,54)
争点⑱(被告Gは,Lの取締役として,会社法429条1項に基づく責任
を負うか)について

代表取締役在任中の責任について
前記1の認定事実によれば,Lは設立当初の平成21年11月24日から,Mの業務を引き継いで違法行為に当たる本件社債の販売を行っていたものであり,被告Gは,Lの代表取締役として,これを阻止した上でLの業務が適正・適法に行われるように監督・是正すべき義務があったものといえる。しかるに,被告G

Lの代表取締

役としての実質的な職務を行わず,漫然とLにおいて本件社債の販売を継続させていたのであるから,Lの取締役としての任務を懈怠したものと認められる。
そして,被告Gは,名目的な代表取締役であったとはいえ,その在任中,同社において正式に選任された唯一の取締役であり(甲全17),さらには,代表権を有し,業務に関する一切の権限を有する代表取締役の地位にあった(会社法349条1項,4項)。
また,本件社債の販売は,Lにおいて従業員を用いて行っていたほぼ唯一の業務であるから,被告Gが,被告Aに質問をしたり,Lに出社したりすれば,多額の社債が販売されている事実及びその勧誘態様は容易に知り得るところであった。そして,資金調達に要するコスト(利子や加給金)が極めて高額であることも,会計帳簿等から容易に把握できる事実であるから,被告Gが,Lにおいて違法な社債販売が行われていることを認識し,これに対する監督を行う端緒は十分にあったといえる。以上によれば,Lの代表取締役として何らの職務も行わず,漫然と被告Aらに経営を一任していた被告Gの注意義務違反の度合いは著しいといえ,被告Gは,Lの取締役としての任務懈怠に関して,少なくとも重大な過失があるといえる。被告Gが,その在任期間中,Lの唯一の取締役兼代表取締役であったことを踏まえれば,名目的な取締役であったことは,上記認定判断を左右しない。
以上によれば,被告GがLの取締役に在任していた間(平成21年11月24日から平成22年8月26日まで)に,顧客らがLの社債を購入したことにより生じた損害は,上記被告Gの任務懈怠と相当因果関係があるといえるから,被告Gは,前記期間に係る社債購入により生じた損害を賠償する責任を負う。
なお,被告AがLの実質的経営者であり,オーナーであることに照らせば,仮に被告Gが被告Aに対して,本件社債の販売の中止あるいは販売方法の是正を促したとしても,被告Aは直ちにこれを受け入れなかった可能性がある。しかしながら,このような場合であっても,仮に中止又は是正がされなければ捜査当局や監督官庁に通報するとの警告も交えて,被告Aに働きかければ,被告Aが少なくとも被告Gの在任中に,それまでと同様の販売方法・形態のままで本件社債の販売を続けたとは考え難いから,被告Gによる任務懈怠と損害との間に相当因果関係は認められる。
また,原告らが購入した本件社債が償還不能になったのは,被告Gが代表取締役を辞任した後のことではあるが,被告Gが在任中の本件社債の違法な販売を監督・是正していれば,原告らはこの期間中に本件社債を購入することはなかったのであるから,償還不能となった時期が被告Gの代表取締役辞任後であることは上記判断を左右しない。

代表取締役退任後の責任について
次に,被告Gが取締役を退任した後に生じた損害については,被告Gの後任者である取締役において,適正に職務を遂行することによって防止すべき損害であったということができるから,被告Gの任務懈怠との間に相当因果関係があるとはいえない。
これに対し,原告らは,被告GがLにおける違法行為を終了させずに退任したことにも任務懈怠があるとして,
取締役退任後の責任も追及するが,
被告Gは,L等における本件社債の販売スキームの構築には関与していなかったことが認められるから(被告A本人),自らの在任中の違法行為を阻止すべき義務を超えて,取締役退任時に,自らが積極的に関与することなく生じた違法状態を除去する義務まで負っていたとは解し得ない。原告らの上記主張は採用することができない。


小括
したがって,被告Gは,取締役に在任していた期間である平成21年11月24日から平成22年8月26日の間にLの社債が購入されたことにより生じた損害について,会社法429条1項により損害賠償義務を負うといえるが,その余の期間の社債購入により生じた損害を賠償する義務を負うとはいえない。
争点⑰(被告Gは,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか)
について
被告Gが,Lの取締役在任中に会社法429条1項に基づく損害賠償責任を負うことは上記

のとおりであり,この期間について選択的に主張されて

いる不法行為責任については判断を要しない。
次に,被告GのLの取締役在任期間外の不法行為責任についてみるに,この期間については,被告GはLの事業に全く関与しておらず,被告Gの在任中の行為がその後のLの違法な社債販売に寄与したことも認められないから,被告Gに不法行為責任は認められない。
小括
以上によれば,被告Gは,Lの代表取締役であった平成21年11月24日から平成22年8月26日の間にLの社債が購入されたことにより生じた損害について,会社法429条1項に基づき原告らに対する損害賠償責任を負うが,その余の責任は負わないものと認められる。
10

勧誘担当者関係
争点⑲(被告Hは,勧誘を担当した顧客に対し,本件社債の販売に関して共同不法行為責任を負うか)について

共同不法行為責任の有無
被告Hは,平成23年2月頃にOに入社し,Lにおいて,顧客に対して実質的に元本の返還を約束した上で本件社債の購入を勧誘していた者であるところ,前記

本件社債勧誘に際して被

告Hやその前任者が行った説明は,本件社債の有する元本欠損のリスクを殊更に過少視し,本件社債は元本が償還されることが確実な安全な金融商品であると誤信させる違法な説明であったと認められる。
そして,前記2

本件社債による資金調達は,極めて高利な

利息負担や加給金の支払負担を伴うものであるところ,被告Hは自らも高額な加給金の支給を受けるなどしてこれを認識していたのであるから,本件社債が元本償還を受けられない危険性の高い商品であることも容易に認識し得たというべきである。にもかかわらず,被告Hは,本件社債の安全性に関する被告Aの説明を軽信し,顧客らに対して違法な説明を行い,あるいは前任の勧誘担当者らが違法な説明を行ったことに乗じて本件社債の販売を継続したというのであるから,違法な社債販売を行ったことについて少なくとも過失があると認められる。
したがって,被告Hは,実際に本件社債の販売を担当した顧客に対し,共同不法行為に基づく損害賠償義務を負う。

勧誘を担当した顧客
そして,証拠(甲3の2ないし4,7の2ないし4,8の2,8の3,9の2,9の3,25の2,25の3の1,44の2,44の3の2,44の4,68の2,68の3,72の2ないし4)によれば,被告Hは,原告3,7ないし9,25,44,68,72に対する営業活動を行い,社債を販売したものと認められる。
一方で,原告18,45は,自身も被告Hから勧誘を受けて社債を購入したと主張する。しかしながら,証拠(甲18の2)によれば,被告Hが原告18の担当者となったのは平成25年4月頃以降であると認められるところ,原告18は,この期間に本件社債を購入していない。また,原告45が社債を購入したのは,被告Hが原告44(原告45の妻)に対して本件社債の販売を開始するようになった平成24年10月頃よりも前であり(甲44の2,45の2),被告Hは原告45に対する本件社債の勧誘・販売は行っていない。したがって,原告18,45による本件社債の購入について,被告Hは損害賠償責任を負わない。


小括
よって,被告Hは,原告3,7ないし9,25,44,68,72が被告Hの勧誘に応じて社債を購入したことにより生じた損害を賠償する義務を負うというべきである。
争点⑳(被告Iは,勧誘を担当した顧客に対し,本件社債の販売に関して
共同不法行為責任を負うか)について

共同不法行為責任の有無
被告Iは,平成21年1月頃にMに入社し,その後Lにおける社債販売活動も行っていたものであるところ,前記
及び10

で説示したとこ

ろによれば,本件社債勧誘に際して被告Iやその前任者が行った説明は,M時代のものも含めて違法な説明であったと認められる。また,被告Iが,違法な社債販売を行ったことについて少なくとも過失があると認められることは,上記

と同様である。

したがって,被告Iは,実際に本件社債の販売を担当した顧客に対し,共同不法行為に基づく損害賠償義務を負う。

勧誘を担当した顧客
そして,証拠(甲6の2,6の3の1,6の5の3)によれば,被告Iは,原告6に対する営業活動を行い,社債(購入社債番号1・2。以下,購入社債番号は各原告の別紙購入社債一覧表における番号をさすものとする。)を販売したものと認められる。そして,被告Iが原告6に対して販売した社債はいずれも,償還日を迎えて購入社債番号3・4に乗り換えられているが,これは実質的には償還日の延長であって,被告Iが購入社債番号1・2を販売したことと,原告6が購入社債番号3・4を購入してこれが未償還になっていることとの間には相当因果関係があると認められるから,被告Iは原告6の購入社債番号3・4の社債購入による損害について責任を負う。
また,証拠(甲29の2)によれば,被告Iは,βとともに原告29に対する営業活動を行い,社債(購入社債番号1)を販売したと認められるところ,同社債は償還日を迎えて購入社債番号4に乗り換えられているが,これは実質的には償還日の延長であって,被告Iが購入社債番号1を販売したことと,原告29が購入社債番号4を購入してこれが未償還となっていることとの間には相当因果関係があると認められるから,被告Iは原告の購入社債番号4の社債購入による損害について責任を負う。一方で,原告29の購入したその余の社債については,被告Iが販売したとは認められないから,被告Iは,原告29が購入したその余の社債に係る損害を賠償する責任を負わない。結局,被告Iは,原告29が購入社債番号4を購入したことにより被った損害を賠償する責任を負う。
次に,原告18,30は,自身も被告Iから勧誘を受けて社債を購入したと主張する。
しかしながら,原告18は,「被告Iが原告18宅を訪れたことがある」旨を陳述するにとどまるところ(甲18の2),被告Iは本件社債の勧誘のために原告18宅を訪れたものと推認できるが,被告Iの勧誘の結果,原告18が社債を購入したか否かは判然としない。したがって,被告Iの勧誘により原告18が社債を購入したことを認めるに足りる証拠はない。
また,原告30及びその妻である原告29の陳述書(甲29の2,30の2)によれば,原告30に対する社債販売を担当したのはγであり,被告Iが原告30に社債販売をしたことはないことが認められるから,原告30の社債販売について被告Iは責任を負わない。

小括
よって,被告Iは,原告6,29が被告Iの勧誘に応じて社債を購入したことにより生じた損害を賠償する義務を負うというべきである。争点㉑(被告Jは,勧誘を担当した顧客に対し,本件社債の販売に関して
共同不法行為責任を負うか)について

共同不法行為責任の有無
被告Jは,平成20年7月頃にMに入社し,その後Lにおける社債販売活動も行っていたものであるところ,前記

10

で説示したとこ

ろによれば,本件社債勧誘に際して被告Jやその前任者が行った説明は違法な説明であったと認められる。また,被告Jが,違法な社債販売を行ったことについて少なくとも過失があると認められることは,上記
と同様

である。
したがって,被告Jは,実際に本件社債の販売を担当した顧客に対し,共同不法行為に基づく損害賠償義務を負う。

勧誘を担当した顧客
そして,証拠(甲27の2,27の7,35の2,35の3の2,35の6,46の2,46の3の2,46の6,63の2,76の2,76の3の2)によれば,被告Jは,原告27,35,46,63,76に対する営業活動を行い,社債を販売したものと認められる。ただし,原告46が請求する購入社債であって本訴請求に係る損害として認定されているもののうち,
被告Jが勧誘を担当しているのは,
購入社債番号2のみである
(甲
46の2)。


小括
よって,被告Jは,原告27,35,46,63,76が被告Jの勧誘に応じて社債を購入したことにより生じた損害(原告46については,購入社債番号2の購入により生じた損害に限る。)を賠償する義務を負うというべきである。
争点㉒(被告Kは,勧誘を担当した顧客に対し,本件社債の販売に関して
共同不法行為責任を負うか)

共同不法行為責任の有無
被告Kは,平成19年11月頃にPに入社し,その後M,Lにおける社債販売活動も行っていたものであるところ,前記

10

で説示し

たところによれば,本件社債勧誘に際して被告Kやその前任者が行った説明は,M時代のものも含めて違法な説明であったと認められる。また,被告Kが,違法な社債販売を行ったことについて少なくとも過失があると認められることは,上記

と同様である。

したがって,被告Kは,実際に本件社債の販売を担当した顧客に対し,共同不法行為に基づく損害賠償義務を負う。

勧誘を担当した顧客
そして,証拠(甲37の2,57の2,57の3,58の2,58の3,65の2,65の3の1,69の2,69の3の2,71の2,71の3,78の2,78の4)によれば,被告Kは,原告37,57,58,65,69,71,78に対する営業活動を行い,社債を販売したものと認められる。そして,被告Kが原告69に対して販売した社債(購入社債番号1)は,償還日を迎えて購入社債番号2に乗り換えられているが,これは実質的には償還日の延長であって,
被告Kが購入社債番号1を販売したことと,
原告69が購入社債番号2を購入してこれが未償還になっていることとの間には相当因果関係があると認められるから,被告Kは原告69の購入社債番号2の社債購入による損害について責任を負う。


小括
よって,被告Kは,原告37,57,58,65,69,71,78が被
告Kの勧誘に応じて社債を購入したことにより生じた損害を賠償する義務を負うというべきである。
11

損害について
争点②(損害額)について

社債購入費用
別紙購入社債一覧表の「証拠」欄記載の各証拠によれば,原告らがM又はLから購入した社債(ただし,未だ現実に元本全額の償還を受けていないもので,請求額に満つるまでの分に限る。)は,同別紙記載のとおりであると認められるところ,これらの社債の販売が違法であることはすでに説示したとおりであるから,原告らは,少なくとも同別紙「認容額」欄の「社債購入費用」欄記載の金額の損害(原告33訴訟承継人33の1及び同33の2,原告43訴訟承継人43の1及び同43の2並びに原告68訴訟承継人68の1及び同68の2については各相続人の
「社債購入費用」
を合算した金額,原告73及び74については被告Aの「社債購入費用」欄記載の金額)を被ったものと認められる。

弁護士費用
原告らは,本件社債の販売により,弁護士費用が損害として発生したと主張するところ,不法行為責任を負う被告A,被告C,被告D,被告E,被告F,被告H,被告I,被告J及び被告Kが行った不法行為との関係では,原告らが負担することとなった弁護士費用も,相当と認められる額の範囲内のものは,相当因果関係のある損害である。
また,被告Bは被告Cの取締役として,被告GはLの取締役として,それぞれ会社法429条1項に基づく損害賠償責任を負うにとどまるものであるが,取締役の行為によって損害が被ったとして第三者が会社法429条1項に基づく損害賠償請求をする場合に主張立証すべき事実は,不法行為に基づく損害賠償を請求する場合と重なる部分が大きいから,会社法429条1項に基づく損害賠償請求権は,第三者がこれを訴訟上行使するためには弁護士に委任しなければ十分な訴訟活動をすることが困難な類型に属する請求権であるということができる。
したがって,
原告らが負担することとなった弁護士費用は,相当と認められる額の範囲内のものである限り,被告B及び被告Gの任務懈怠との関係でも相当因果関係を有する損害であると認められる(最高裁平成23年

第10

39号同24年2月24日第二小法廷判決・集民240号111頁参照)。
そして,原告らは,弁護士に依頼して本訴を提起しているところ,本件事案の内容,認容額,訴訟の経過などの本件に顕れた一切の事情を考慮すると,被告らの違法行為又は任務懈怠と相当因果関係のある弁護士費用は,各原告について,別紙購入社債一覧表の「認容額」欄の「弁護士費用」欄記載の金額のとおりと認めるのが相当である。
争点③(原告らの損害と受領した利息との間の損益相殺の可否)について被告D及び被告Eは,原告らが受領した利息を損益相殺すべきであると主張する。しかしながら,社会の倫理,道徳に反する醜悪な行為に該当する不法行為の被害者が,これによって損害を被るとともに,当該反倫理的行為に係る給付を受けて利益を受けた場合には,同利益については,加害者からの不当利得返還請求が許されないだけでなく,被害者からの不法行為に基づく損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として被害者の損害額から控除することも許されないものというべきである(最高裁平
1488頁参照)。
そして,すでに認定説示したところによれば,本件社債の販売は,詐欺行為ないし詐欺的要素をはらむ違法な勧誘に基づく不法行為であると認められる。原告らに対して配当金が交付されたのは,顧客である原告らをして,本件社債が真にL等の事業に充てられ,元本及び配当の償還を現実に受け得るものであると誤信させるためであったと認められるから,原告らを誤信させ続け,新たな取引を勧誘するなどの手段とされたにとどまるものというべきである。
したがって,本件社債の配当金交付によって原告らが得た利益は,不法原因給付によって生じたものというべきであり,本件請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象とすることは許されない。また,被告D及び被告Eは,原告らが得た配当を具体的に主張しているものでもなく,主張自体としても失当である。
小括
以上によれば,被告らは,別紙認容額一覧表の「原告」欄記載の各原告に対し,同表のそれぞれの「原告」及び「被告」に対応する欄記載の各金員及び遅延損害金の支払義務を負う。
12

被告らの債務相互の関係
被告B及び被告G以外は,共同不法行為に基づく損害賠償義務を負うため,
これらの被告間の債務は,
いわゆる不真正連帯債務となる
(民法719条1項)

また,これらの被告らの債務と被告B及び被告Gが負う債務との関係についてみても,これらはいずれも本件社債の違法な販売行為により原告らに生じた損害に係る損害賠償債務であって,同一の損害の賠償を目的とするものであるから,金額が重複する限度でいわゆる不真正連帯債務の関係となる。第4

結論
したがって,原告らの請求は,別紙認容額一覧表記載の金額及び遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
名古屋地方裁判所民事第10部

裁判長裁判官

田千恵子
裁判官

小田誉太郎
裁判官



福川内裕登
別紙請求額一覧表,別紙購入社債一覧表【原告請求】及び別紙購入社債一覧表は添付省略
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