判例検索β > 平成29年(ワ)第19011号
商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟
事件番号平成29(ワ)19011
事件名商標権侵害差止等請求事件
裁判年月日平成30年2月28日
法廷名東京地方裁判所
戻る / PDF版
平成30年2月28日判決言渡
平成29年(ワ)第19011号
口頭弁論終結日

同日原本交付

商標権侵害差止等請求事件

平成29年12月22日
判原
裁判所書記官



株式会社ステップワン

同訴訟代理人弁護士

横被
株式会社トルース

告井康真
同訴訟代理人弁護士

原同古川智祥同増田哲也
同補佐人弁理士

梁瀬右司同小丸山陽介主文1
原告の請求をいずれも棄却する。

2望
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由

第1
1
請求
被告は,別紙1被告標章目録記載1又は2の標章を付した製品及び別紙2被
告製品目録記載の製品を輸入,製造,販売し,販売のために展示してはならない。2
被告は,前項の製品を廃棄せよ。

3
被告は,原告に対し,1980万円及びこれに対する平成29年6月15日
から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2
1
事案の概要等
請求の概要

本件は,別紙3商標目録記載の各商標登録(以下,その登録商標を,個別には同目録の番号に対応して「本件商標1」などといい,これらを併せて「本件各商標」
という。)に係る各商標権(以下,個別には同目録の番号に対応して「本件商標権1」などといい,これらを併せて「本件各商標権」という。)を有する原告が,①別紙1被告標章目録記載1の標章(以下「被告標章1」という。)は本件商標1に類似し,同目録記載2の標章(以下「被告標章2」といい,被告標章1と併せて「被告各標章」という。)は本件商標2に類似するから,被告が被告各標章を付したハンドバッグ,ショルダーバッグ等の各種バッグ(以下「被告バッグ」という。これらはいずれも本件各商標権に係る指定商品に該当する。)を輸入し,製造し,販売し,販売のために展示すること(以下,これらの行為を併せて「販売等」という。)は,いずれも本件各商標権を侵害するとみなされる行為に当たる,②本件各商標は
原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されているから,被告による被告バッグの販売等は,不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号の不正競争行為にも当たる(なお,原告が同号の商品等表示として特定した表示は,実際の使用態様ではなく,登録商標である本件各商標自体である。),③被告バッグのうち別紙2被告製品目録記載のショルダーバッグ(以下「被告ショルダーバッグ」
という。)は,別紙4原告製品目録記載のショルダーバッグ(以下「原告ショルダーバッグ」という。)の形態を模倣したものであるから,被告による被告ショルダーバッグの販売等は,不競法2条1項3号の不正競争行為に当たると主張して,被告に対し,⑴商標法36条1項又は不競法3条1項に基づき,被告各標章を付した製品(なお,原告は,請求の趣旨において「製品」という各種バッグに限られない
表現を用いるものの,被告バッグ以外の製品につき請求原因を主張していない。)及び被告ショルダーバッグの販売等の差止めを求め(なお,原告は,不競法3条1項に基づいて,同法2条1項1号,3号の規定しない「製造」の差止めを求めることができるとする理由を述べていない。),⑵商標法36条2項又は不競法3条2項に基づき,被告各標章を付した製品及び被告ショルダーバッグの廃棄を求めると
ともに,⑶商標権侵害の不法行為による損害賠償請求権又は不正競争行為による損害賠償請求権に基づき,損害賠償金1980万円及びこれに対する不法行為及び不
正競争行為後の日である平成29年6月15日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である(商標権侵害を原因とする各請求及び不競法2条1項1号の不正競争行為を原因とする各請求は,互いに選択的併合の関係にあり,また,これらの請求のうち被告ショルダーバッグに係る部分は,いずれも不競法2条1項3号の不正競争行為を原因とする請求と選択的併合の関係にあると解される。)。
2
前提事実(当事者間に争いがないか,掲記の証拠〔書証の枝番号の表記は省
略する。〕及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)

当事者

原告は,かばん,ハンドバッグ等の商品企画,製造・販売等を営む株式会社であり,被告は,バッグ企画・製造・輸入卸等を営む株式会社である。⑵

本件各商標権

原告は,本件各商標権の商標権者である。
本件商標1及び同2の構成は,それぞれ別紙3の1(3)及び2(3)に示されるとおりであるが,これらの具体的な特徴は,それぞれ別紙5及び同6のとおり説明することができる。


原告ショルダーバッグ

原告は,平成27年10月頃から現在に至るまで,原告ショルダーバッグを販売している(甲4ないし6)。原告ショルダーバッグの形態は,別紙9のとおり説明することができ,
その外観を写真撮影すると同11に示されるとおりである
(乙1)



被告の行為

被告は,遅くとも平成29年初め頃から現在に至るまで,被告各標章を付したハンドバッグ,ショルダーバッグ等の各種バッグ(被告バッグ)を販売等している。被告各標章の構成は,別紙1に示されるとおりであるが,これらを説明のために白黒反転させ,刺繍様の印象を捨象すると,それぞれ別紙7及び同8のとおり表現することができる。

また,被告は,平成29年初め頃から現在に至るまで,被告ショルダーバッグを販売等している。被告ショルダーバッグの形態は,別紙10のとおり説明することができ,その外観を写真撮影すると同12に示されるとおりである(乙2)。原告ショルダーバッグと被告ショルダーバッグの寸法を対比すると,
別紙13のとおり,
同程度である。
3


商標権侵害を原因とする請求に関する争点


被告標章1は本件商標1と類似するか(争点1-1)


被告標章2は本件商標2と類似するか(争点1-2)


原告が受けた損害の額(争点1-3)



不競法2条1項1号の不正競争行為を原因とする請求に関する争点

争点

本件各商標は,原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されているも
のか(争点2-1)
イウ
被告標章2は本件商標2と類似するか(争点2-3)


原告が受けた損害の額(争点2-4)



不競法2条1項3号の不正競争行為を原因とする請求に関する争点

被告標章1は本件商標1と類似するか(争点2-2)

被告ショルダーバッグは,原告ショルダーバッグを模倣したものか(争点3
-1)

原告が受けた損害の額(争点3-2)

4
争点に対する当事者の主張



争点1-1,同2-2(被告標章1は本件商標1と類似するか)について
【原告の主張】
本件商標1及び被告標章1は,いずれもバッグの生地柄として用いられるものであり,実際にはこれらの商標ないし標章が連続して用いられるとの取引の実情がある。また,バッグの需要者は,バッグに付された模様を凝視するというより,やや
遠めからみてそのデザインを把握するのが通常である。これらのことからすれば,本要素a,同bないし被要素A,同Bといった個別の柄の細かな相違は殊更強く認識されるものではなく,
これらの配置及び構成によって作出される図柄全体こそが,
需要者が注目する部分ということができる。
そして,原告商標1と被告標章1は,ともに4つの花冠の紋章を十字に組み合わせた図形と,当該花冠紋章図形間に配された複数の略矩形図形とが等間隔で整然と並んでいる点において共通しており,図形商標の類否判断の原則である隔離観察を行った場合には,需要者は,これらの商標を構成する個別の図形の些細な差異や配置の違いに気付くことはなく,極めて似た印象を持つといえる。

したがって,被告標章1は本件商標1に類似するといえる。
この点について,被告は,「ラシット」ブランドの商標を持ち出して,これが本件商標1と類似するなどと主張するが,「ラシット」ブランドの商標は,白黒反転した図形や単体の花冠様の図形などからなるものであって,本件商標1とは類似しないことが明らかであって,本件商標1と被告標章1との類似性の判断に影響を及
ぼすものではない。
【被告の主張】
本件商標1の本要素aは4弁の花を表しているのに対し,被告標章1の被要素Aは「P」の文字が点対称に配置された黒塗りの図形であるから,全く異なる。本件商標1の本要素bと被告標章1の被要素Bとは,柱頭部の形状,めしべ状部の白抜
きの有無,花弁の形状,がく片部の有無などにおいて明らかに異なっており,被要素Bには「P」との文字が配されている点においても異なる。
本件商標1と被告標章1は,2種類の要素の組合せによりなる点において共通してはいるが,本件商標1は,小さな本要素aが4個と大きな本要素bが2個との組合せからなり,
左側の列に小さい本要素aが3個,
縦一列に配されているのに対し,

被告標章1は,小さな被要素Aと大きな被要素Bとがそれぞれ3個ずつ,互い違いに並べられているのであり,上記のとおり各要素の形状も異なることからして,看
者に異なる印象を与える。
原告は,バッグの需要者はやや遠めからみてそのデザインを把握するなどと主張するが,バッグは実用品であり,購入する者はその使用感を確かめるために現物を確認するべく,至近距離からバッグ表面の生地を確認するのが通常であり,その場合には上記のような商標の相違点にも容易に気付くはずである。また,仮に多少離れた場所からバッグの模様を観察することがあったとしても,「大きい方の略正方形と小さい方の略正方形の配列」,
「大小の略正方形の大きさの比率がほぼ同じ」,
という模様のバッグはありふれており(例えば,「ラシット」ブランドにおける次の商標),また,「フルールドリス(被要素Bにみられるアヤメの花を模式化した
意匠)」を使用した模様もありふれているところ,需要者は,そのようなありふれた構成の模様が多数存在する中から販売元を特定するために,実際に手に取って図柄を確認するのが通常である。
(「ラシット」の商標:商標登録第5041777号)

以上によれば,被告標章1は,外観において本件商標1と相違し,取引の実情を考慮しても,その出所につき誤認混同を生じさせるものではないから,本件商標1と類似するとはいえない。


争点1-2,同2-3(被告標章2は本件商標2と類似するか)について
【原告の主張】
本件商標2及び被告標章2は,いずれもバッグの生地柄として用いられるものであり,実際にはこれらの商標ないし標章が連続して用いられ,需要者がやや遠めからみてそのデザインを把握するとの取引の実情があることは,
前記⑴
【原告の主張】
において主張したとおりである。よって,本要素aないし同dや被要素Aないし同Fといった個別の柄の細かな相違は殊更強く認識されるものではなく,これらの配置及び構成によって作出される図柄全体こそが,需要者が注目する部分である。そして,原告商標2と被告標章2は,大きい略正方形の図形,小さい略正方形の図形,文字で形成される線状の図形及び円形の図形が規則正しく配列され,円形の
図形と線状の図形で構成される1本の線状の図形の間に3列の略正方形の列が配列されている点において共通しており,図形商標の類否判断の原則である隔離観察を行った場合には,需要者は,これらの商標を構成する個別の図形の些細な差異や配置の違いに気付くことはなく,極めて似た印象を持つといえる。
なお,原告商標2からは「クリスチャンオリビエ」,被告標章2からは「ピエモ
ンテルッソ」「トリノイタリー」などの称呼が生じ得るが,上記のとおり,文字部分は模様となっており,需要者の注意を惹かないから,称呼の相違は両商標が類似していることを否定するものではない。
したがって,被告標章2は本件商標2に類似するといえる。
この点について,被告は,本件商標2ないし被告標章2のうち「基本図柄」なる
ものを切り取って対比するが,本件商標2ないし被告標章2は,いずれもバッグの図柄として連続して配置されるのであるから,そのように商標の一部を取り出して比較することは誤りである。
【被告の主張】

本件商標2の基本図柄は,4個の本要素cを頂点とし,一の対向する2辺に
本要素d,他の対向する2辺の3個の本要素aが配置されてなる大きな正方形の内側に,3行3列のマトリクス状に5個の本要素a及び4個の本要素bが配置され,
本件商標2全体は主として本要素a,同b及び同cの模様により構成される。(本件商標2の基本図柄)
(本要素c)

(本要素a)
(本要素b)

(本要素d)

また,被告標章2の基本図柄は,4個の被要素Cを頂点とし,対向する2つの長辺に被要素D,同E及び同Fが配置され,対向する2つの短辺に3個の被要素B,同A及び同Bが配置されてなる横長の長方形の内側に,3行7列のマトリクス状に11個の被要素A及び10個の被要素Bが配置され,被告標章2は全体として被要素A,同B,同C及び同Fの模様により構成されている。
(被告標章2の基本図柄)

(被要素C)

(被要素D)(被要素F)(被要素E)

(被要素A)

(被要素B)


本件商標2は,本要素dより「クリスチャンオリビエ」の称呼を生じる。ま
た,本要素dより外国人の名前,本要素cより獅子の観念を生じる。
他方,被告標章2は,被要素Dから「ピエモンテルッソ」,被要素Eから「トリノイタリー」の各称呼を生じる。また,被要素Dから外国人の名前,被要素Eからイタリアの都市の観念を生じる。

本要素aと被要素A,本要素bと被要素Bの外観上の差異については,上記
⑴【被告の主張】において主張したとおりである。本要素cの円図形の中には獅子が描かれているのに対し,被要素Cの円図形の中には文字が描かれている点において異なる。本件商標2における文字部分である本要素dと,被告標章2における文字部分である被要素D及び同Eとは,外観,称呼及び観念のいずれも異なる。被告標章2における被要素Fに相当する部分は,本件商標2には存在しない。
上記アのとおり,本件商標2の基本図柄は正方形を基調とし,その内側に3行3列に本要素a及び同bが配されるのに対し,被告標章2の基本図柄は長方形を基調とし,
その内側に3行7列に被要素A及び同Bが配されている点においても異なる。そして,バッグの需要者が至近距離からバッグ表面の生地を確認するのが通常であることは,上記⑴【被告の主張】で主張したとおりである。
以上の諸要素を総合すると,被告標章2は,外観,称呼及び観念のいずれにおいても本件商標2と相違し,取引の実情を考慮しても,その出所につき誤認混同を生じさせるものではないから,本件商標2と類似するとはいえない。⑶

争点1-3(原告が受けた損害の額)について

【原告の主張】
被告は,平成29年1月以降同年6月8日までの間,被告各標章が付された被告バッグを販売等し,6000万円を売り上げて1800万円の利益を得たから,商標法38条2項により,同額が,被告の商標権侵害行為を原因として原告が受けた損害の額と推定される。仮に,商標法38条2項が適用されないとしても,同条3項により,原告は,本件各商標の使用料に相当する600万円を損害賠償として請
求することができるというべきである。
また,商標権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用として,180万円が認
められるべきである。
【被告の主張】
否認し,又は争う。

争点2-1(本件各商標は,原告の商品等表示として需要者の間に広く認識
されているものか)について
【原告の主張】
原告は,平成25年から平成29年4月にかけて,本件各商標を付したバッグをテレビ通販番組「ジュピターショップチャンネル」を通じた通信販売,卸売り,楽天,ヤフー,ショップチャンネル,テレビ朝日など通販サイトなどを通じて,約4
0万個販売した。また,原告は,本件各商標を付したバッグを,地上波のテレビ番組や通販カタログでも宣伝しており,通販サイトでは,本件各商標は,有名ブランドと並んで表示されるなどしている。
したがって,被告が被告バッグの販売を開始した平成29年までには,原告各商標は,原告の商品等表示として,需要者の間に広く認識されていた。
【被告の主張】
否認し,争う。
原告は,本件各商標が原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されていることを示す客観的な証拠を提出していない。
仮に,原告が販売等するバッグの出荷数が原告主張のとおりであったとしても,
4年間で40万個程度の販売量は,日本での中小のバッグ販売業者の売上としては一般的なものであり,他の業者に比して突出しているものでもない。また,原告は,テレビ通販番組等で原告の商品が取り上げられたことを強調しているが,これらの番組は視聴者が限られており,また短期間で多数の商品が取り扱われていることからして,原告商標が原告の商品等表示として周知であったことを
示すことにはならない。


争点2-4(原告が受けた損害の額)について

【原告の主張】
被告は,平成29年1月以降同年6月8日までの間,被告各標章が付された被告バッグを販売等し,6000万円を売り上げて1800万円の利益を得たから,不競法5条2項により,同額が,不競法2条1項1号の不正競争行為を原因として原告が受けた損害の額と推定される。
仮に,
不競法5条2項が適用されないとしても,
同条3項1号により,原告は,本件各商標の使用料に相当する600万円を損害賠償として請求することができるというべきである。
また,不競法2条1項1号の不正競争行為と相当因果関係のある弁護士費用として,180万円が認められるべきである。

【被告の主張】
否認し,又は争う。


争点3-1(被告ショルダーバッグは,原告ショルダーバッグを模倣したも
のか)について
【原告の主張】

実質的同一性について

原告ショルダーバッグと被告ショルダーバッグの各形態を比較すると,まず,ショルダーバッグの「顔」ともいうべき表面生地の柄について,バッグ全体にわたって付されている本件各商標と被告各標章とが類似することは,
前記⑴及び⑵の各
【原
告の主張】において主張したとおりである。
また,原告ショルダーバッグと被告ショルダーバッグの各形態は,前カブセの上部に位置する皮の装飾の有無,ファスナの色,ファスナの引手部分の形状などにおいて異なるものの,これらの相違点は,ショルダーバッグ全体の形状との関係においては軽微な部分であって,ショルダーバッグ全体の寸法(別紙13参照),ファスナポケット及びオープンポケットの数などの具体的な構造についてはほぼ同一で
ある。
したがって,原告ショルダーバッグと被告ショルダーバッグの各形態は,実質的
に同一であるということができる。
この点について,被告は,原告ショルダーバッグ及び被告ショルダーバッグが有する基本的形態を同じくする先行商品が存在するなどと主張するが,商品の形態の実質的同一性は,商品の全体的印象から判断すべきであって,基本的形態のみを抜き出して判断の対象から除外することは相当でない。また,被告が主張する先行商品なるものも,原告が平成22年頃に開発したバッグの形状(甲23,24)を模倣した可能性が高いというべきである。

依拠性について

上記アのとおり,原告ショルダーバッグと被告ショルダーバッグの各形態が実質的に同一であることからすれば,被告は,平成27年秋頃に発売されて好評を博していた原告ショルダーバッグに依拠して,被告ショルダーバッグを製造したことが明白である。
【被告の主張】

実質的同一性について

原告ショルダーバッグと被告ショルダーバッグの各形態を対比すると,①基本的形態,②表面生地が多少のざらつき感を感じることができるが全体として滑らかな質感を有していること,③表面生地が濃い茶色で本件商標又は被告標章が模様として金色又はベージュ色で施されていること,④バッグ本体の底面及び上面は略角丸横長長方形状であること,⑤バッグ本体の正面視左右上端部の突き出した部分の先
端において,銀色の金具でショルダーストラップの両端が接続されていることにおいて共通しているといえるが,このうち③の表面生地の色を除く部分は,遅くとも平成21年6月頃には一般に販売されていたショルダーバッグ「ラピース」において現れており,バッグの形状としてありふれたものである。
他方,原告ショルダーバッグと被告ショルダーバッグの各形態は,①表面生地の
模様(本件商標と被告標章),②前カブセ裏面の生地,③前カブセにおける装飾部の有無,④ショルダーストラップの表面の織り込みの有無,⑤各ファスナーの色,
⑥各ファスナーのスライダーに接続された持ち手の形状,⑦各収納部の内部の生地,
⑧主収納部内部の背面側の壁面のファスナーポケットの下のタグの内容及び主収納部内部の小ポケットの有無,⑨正面側副収納部内部の小ポケットの有無,⑩側面ポケット内部の外側壁面の生地,⑪各ファスナーを閉じた状態のバッグ本体を上面から見た場合の,2つの副収納部及び前カブセ収納部の両端部において見える収納部内部の生地において異なっており,ショルダーバッグの需要者が実際に手にとって至近距離で観察し,収納部内部も確認することからして,需要者に異なった印象を与えるものである。
したがって,原告ショルダーバッグと被告ショルダーバッグの各形態が実質的に
同一であると評価することはできない。

依拠性について

被告は,遅くとも平成27年6月には,「ジャガード」という名称のショルダーバッグを輸入し,同年7月から販売しているところ(乙17ないし19),「ジャガード」と被告ショルダーバッグの各形態は,商品表面の生地を除いて共通している(乙16,25,26)。被告ショルダーバッグは,「ジャガード」の形態に依拠して製作されたものであり,原告の主張によれば平成27年秋から販売を始めた原告ショルダーバッグの形態に依拠したものではあり得ない。

小括

以上のとおり,被告ショルダーバッグは,原告ショルダーバッグの形態を模倣したものではない。


争点3-2(原告が受けた損害の額)について

【原告の主張】
被告は,平成29年1月以降同年6月8日までの間,被告ショルダーバッグを販売等し,1200万円を売り上げて360万円の利益を得たから,不競法5条2項により,同額が,不競法2条1項3号の不正競争行為を原因として原告が受けた損害の額と推定される。仮に,不競法5条2項が適用されないとしても,同条3項2
号により,原告は,本件各商標の使用料に相当する120万円を損害賠償として請求することができるというべきである。
また,不競法2条1項3号の不正競争行為と相当因果関係のある弁護士費用として,36万円が認められるべきである。
【被告の主張】
否認し,又は争う。
第3

当裁判所の判断

1

争点1-1,同2-2(被告標章1は本件商標1と類似するか)について本件商標1について

本件商標1の外観は,別紙3の1(3)のとおりであり,別紙5の説明のとおり,本要素a及び本要素bの各要素を等間隔に配置してなる図形商標である。本件商標1からは,特段の称呼及び観念を生じない。


被告標章1について

被告標章1の外観は,別紙1の1のとおりであり,別紙6の説明のとおり,被要素A及び被要素Bとを等間隔に配置してなる図形商標である(ただし,別紙6は,各要素の説明のために,白黒を反転させ,また,別紙1の1に見られるような刺繍状の印象は捨象してある。)。
被告標章1からは,特段の称呼及び観念を生じない。


対比

本件商標1と被告標章1は,花形の図形が4つ十字に組み合わされ,ほぼ正方形を構成する相対的に大きな要素(本要素b,被要素B)と,これよりもやや小さく,ほぼ正方形を構成する要素(本要素a,被要素A)とが,等間隔で配列されている点,全体として2列3行にわたってこれらの要素が配列されている点において共通する。

他方,本件商標1を構成する本要素aは,4弁の花を表したハート型図形を組み合わせてなるのに対し,
被告標章1を構成する被要素Aは,
略正方形の図形内に
「P」

の文字2個を点対称に組み合わせてなる点,被告標章1を構成する被要素Bの中央部には,円図形とその内側に「P」との文字が描かれているのに対し,本件商標1を構成する本要素bにはそのような円図形や文字は描かれていない点などにおいて異なっている。また,本件商標1における各要素の配列は,左側に3個の本要素aが縦一列に等間隔に配列され,その右に縦一列に本要素b,同a,同bの順で等間隔に配列されているのに対し,被告標章1における各要素の配列は,左側に縦一列に被要素A,同B,同Aの順で等間隔に配列され,その右に縦一列に被要素B,同A,同Bの順で等間隔に配列されている点においても,両商標は異なる。以上のとおり,本件商標1及び被告標章1を構成する各要素の形状は異なり,各
要素の配列も異なっているのであるから,両商標の外観は,全体として異なる印象を需要者に与えるものであり,類似しないというべきである。


原告の主張について

原告は,本件商標1及び被告標章1はいずれもバッグの生地柄として連続して用いられるものであるところ,バッグの需要者は,バッグに付された模様を凝視するというより,やや遠めからみてそのデザインを把握するのが通常であるから,需要者は,個別の柄の細かな相違を殊更強く認識せず,これらの配置及び構成によって作出される図柄全体にこそ注目するなどと主張し,原告商標1と被告標章1について隔離間接を行った場合には,需要者は,これらの商標を構成する個別の図形の些細な差異や配置の違いに気付くことはないなどと主張する。

しかし,原告が主張するような,「バッグの需要者は,バッグに付された模様を凝視するというより,やや遠めからみてそのデザインを把握するのが通常である」との取引の実情を認めるに足りる的確な証拠はない。むしろ,証拠(乙4,8)及び弁論の弁趣旨によれば,花などの植物や幾何学模様からなる大小の図形を等間隔に配して敷き詰めたパターンの柄をバッグの表面に用いることは,一般に見られる
ことであって,バッグが実用品であると同時に装飾品としての要素を有することからすれば,需要者は,これらのパターン柄が付された複数のバッグの中から嗜好に
合ったものを吟味すべく,柄の図形やその配置についても観察するものと考えられる。
そうすると,原告商標1と被告標章1とを分離観察したとしても,需要者は,これらの商標ないし標章を構成する各要素の形状及び配置の差異に起因するところの異なる印象を受けるというべきであるから,本件商標1と被告標章1とは類似しないというほかない。
2
争点1-2,同2-3(被告標章2は本件商標2と類似するか)について


本件商標2について

本件商標2の外観は,別紙3の2⑶のとおりであり,別紙6の説明のとおり,本要素a,
同b,
同c及び同dの各要素を組み合わせて配置してなる図形商標である。本件商標2からは,その文字部分である本要素dから「クリスチャンオリビエ」との称呼を生じるが,特段の観念を生じない。


被告標章2について

被告標章2の外観は,別紙1の2のとおりであり,別紙8の説明のとおり,被要素A,同B,同C,同D,同E及び同Fの各要素を組み合わせて配置してなる図形商標である(ただし,別紙8は,各要素の説明のために,白黒を反転させ,また,別紙1の2に見られるような刺繍状の印象は捨象してある。)。
被告標章2からは,その文字部分である被要素Dから「ピエモンテルッソ」の,被要素Eから「トリノイタリー」との各称呼を生じるが,特段の観念を生じない。


対比

本件商標2と被告標章2は,円図形からなる要素(本要素c,被要素C)が四角形の各頂点に配置し,当該四角形のうち対向する2つの辺に欧文字が配され(本要素d,被要素D及び同E),当該四角形の内部に,花形の図形が4つ十字に組み合わされ,ほぼ正方形を構成する相対的に大きな要素(本要素b,被要素B)と,これよりもやや小さく,ほぼ正方形を構成する要素(本要素a,被要素A)とが,等間隔で配列されている点,これらの要素の集合が,全体として略斜め45度左側に
傾いた基本的なパターンとして,繰り返し用いられている点において共通する。他方,本要素aと被要素Aとの相違点及び本要素bと被要素Bとの相違点は,前記1⑶において認定説示したとおりである。本要素cの円図形の中には獅子のような動物模様が描かれているのに対し,被要素Cの円図形の中には「P」との文字及び「PIEMONTE」,「LUSSO」の文字が配置されている点において異なる。また,本件商標2を構成する文字部分である本要素dは,欧文字で「CHRISTIAN

OLIVIER」と書され,「クリスチャンオリビエ」との称呼を生
じるのに対し,被告標章2を構成する文字部分である被要素D及び同Eは,それぞれ,欧文字で「Piemonte
Lusso」,「TORINO

ITALY」

と書され,それぞれ「ピエモンテルッソ」,「トリノイタリー」との称呼が生じる点において異なる。さらに,被告標章2において,被要素Cを頂点とする長方形の長辺中央付近には,被要素D及び同Eの間に,被要素Fが配されているが,本件商標2には被要素Fに相当する要素は存在しない。
加えて,本件商標2における各要素の配列は,円図形である本要素cを頂点とす
る略正方形の対向する2つの辺に欧文字である本要素dが配され,別の対向する2つの辺には相対的に小さな本要素aが等間隔に3個ずつ配されており,当該略正方形の内部に,相対的に大きい本要素bを四隅に配し,相対的に小さな本要素aを十字状に等間隔に配してなるものであるのに対し,被告標章2における各要素の配列は,円図形である被要素cを頂点とする長方形の対向する2つの辺に欧文字である
被要素D,同Eのほか,被要素Fが当該辺の中央付近に配され,当該2辺の間に,3行9列にわたって,被要素A及び同Bが交互に等間隔に配置されている点において異なっている。
以上のとおり,本件商標2及び被告標章2を構成する各要素の形状は異なり,各要素の配列も異なっているほか,生じる称呼も異なるのであるから,両商標は,全
体として異なる印象を需要者に与えるものであり,類似しないというべきである。⑷

原告の主張について

原告は,バッグの需要者がバッグに付された模様を凝視するというより,やや遠めからみてそのデザインを把握するのが通常であり,個別の柄の細かな相違を殊更強く認識せず,これらの配置及び構成によって作出される図柄全体にこそ注目するとして,原告商標2と被告標章2について隔離間接を行った場合には,需要者は,これらの商標を構成する個別の図形の些細な差異や配置の違いに気付くことはないなどと主張する。
しかし,前記1⑷において認定説示したとおり,原告が主張するような,「バッグの需要者は,バッグに付された模様を凝視するというより,やや遠めからみてそのデザインを把握するのが通常である」との取引の実情を認めるに足りる的確な証
拠はなく,需要者は,パターン柄が付された複数のバッグの中から嗜好に合ったものを吟味すべく,柄の図形やその配置についても観察するものと考えられ,原告商標2と被告標章2とを分離観察したとしても,これらの商標ないし標章を構成する各要素の形状及び配置の差異の存在に起因するところの異なる印象を受けるというべきであるから,本件商標2と被告標章2とは類似しないというべきである。
3
争点3-1(被告ショルダーバッグは,原告ショルダーバッグを模倣したも
のか)について


実質的同一性について

原告ショルダーバッグの形態は別紙9及び同11のとおりであり,被告ショルダーバッグの形態は別紙10及び同12のとおりである。また,原告ショルダーバッグと被告ショルダーバッグの寸法を比較した結果は,別紙13のとおりである。以上によれば,原告ショルダーバッグと被告ショルダーバッグは,①寸法を含めたショルダーバッグとしての基本的形態(A1ないしE1,A2ないしE2),②表面生地が多少のざらつき感を感じることができるが全体として滑らかな質感を有していること(F1,F2),③表面生地が濃い茶色で本件各商標又は被告各標章
が模様として金色又はベージュ色で施されていること(G1,G2),④本体の底面及び上面は略角丸横長長方形状であること(I1,I2),⑤本体の正面視左右
上端部の突き出した部分の先端において,銀色の金具でショルダーストラップの両端が接続されていること(K1,K2)において共通している。
しかし,証拠(甲23,24,乙13ないし19,25ないし27)によれば,原告が遅くとも平成23年には寸法において若干の相違があるものの上記①,②,④及び⑤の特徴を備えたショルダーバッグを販売していること,ローズロバーツ有限会社が遅くとも平成25年2月には寸法不明なるも上記①,②,④及び⑤の特徴を備えたショルダーバッグを販売していること,被告が遅くとも平成27年6月には寸法を含めて上記①,②,④及び⑤の各点において原告ショルダーバッグ及び被告ショルダーバッグと一致するショルダーバッグを販売していることが認められる。
そうすると,上記した原告ショルダーバッグと被告ショルダーバッグの共通点のうち,①,②,④及び⑤は,原告において原告ショルダーバッグを販売した平成27年10月頃には,ショルダーバッグの形態として既にありふれたものであったと認めるべきものである。
これに加え,原告ショルダーバッグと被告ショルダーバッグの各形態は,⑥表面
生地の模様(本件各商標と被告各標章)
(G1,G2),⑦前カブセ裏面の生地(H
1,H2),⑧前カブセにおける装飾部の有無(J1,J2),⑨ショルダーストラップの表面の織り込みの有無
(L1,
L2)⑩各ファスナーの色

(M1,
M2)

⑪各ファスナーのスライダーに接続された持ち手の形状(N1,N2),⑫各収納部の内部の生地(O1,O2),⑬主収納部内部の背面側の壁面のファスナーポケ
ットの下のタグの内容及び主収納部内部の小ポケットの有無(P1,P2),⑭正面側副収納部内部の小ポケットの有無(Q1,Q2),⑮側面ポケット内部の外側壁面の生地(S1,S2),⑯各ファスナーを閉じた状態のバッグ本体を上面から見た場合の,2つの副収納部及び前カブセ収納部の両端部において見える収納部内部の生地(T1,T2)において異なることは当事者間に争いがないところ,上記
のとおり①,②,④及び⑤の共通点に係る部分がショルダーバッグの形態としてありふれたものであること,また,上記③の共通点につき,バッグの表面生地を濃い
茶色とし,柄を金色ないしベージュ色とすることもありふれたものというほかないことからすれば,これらの相違点は,両形態の実質的同一性を左右する要素として無視することはできないというべきである。
したがって,原告ショルダーバッグと被告ショルダーバッグの各形態が,実質的に同一のものと認めることはできない。


依拠性について

原告は,原告ショルダーバッグと被告ショルダーバッグの各形態が実質的に同一であることからして,被告が,平成27年秋頃に発売されて好評を博していた原告ショルダーバッグに依拠して,被告ショルダーバッグを製造したことが明白であると主張するが,原告ショルダーバッグと被告ショルダーバッグの形態が実質的に同一であるといえないことは上記⑴のとおりであるし,また,上記⑴において認定したとおり,上記共通点①,②,④及び⑤は,原告が原告ショルダーバッグを販売した平成27年10月頃には,ショルダーバッグの形態として既にありふれたものであったと認められること,特に,被告自身が,原告が原告ショルダーバッグの販売
を開始する前である平成27年6月には,被告ショルダーバッグと寸法を含め基本的形態が同一のショルダーバッグを販売していたことに照らせば,被告が,原告ショルダーバッグの形態に依拠して,被告ショルダーバッグを作り出したと認めることはできない。


小括

以上のとおり,被告ショルダーバッグは,原告ショルダーバッグの形態を模倣した商品とは認められない。
4
結論

以上によれば,その余の争点につき判断するまでもなく,原告の請求にはいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第29部

裁判長裁判官

嶋末和秀天野研司西山芳樹
裁判官

裁判官

(別紙1)
被1標章目録
以下の図柄からなる標章

2告
以下の図柄からなる標章

以上
(別紙2)

PIEMONTE
告製品目録
LUSSO(ピエモンテルッソ)のブランド名のショルダー

バッグのうち,ブランド商品番号4550のもの
以上
(別紙3)
商1標目録
商標登録第5600088号

(1)出願日:平成25年3月18日
(2)登録日:平成25年7月19日
(3)登録商標:

(4)商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務:第18類ポシェット,ショルダーバッグ,リュックサック,ボストンバッグ,トートバッグ,財布,化粧ポーチ,鞄類,袋物類

2
商標登録第5870768号

(1)出願日:平成28年2月22日
(2)登録日:平成28年7月29日
(3)登録商標:

(4)商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務:第18類ポシェット,ショルダーバッグ,リュックサック,ボストンバッグ,トートバッグ,財布,化粧ポーチ,鞄類,袋物類
以上
(別紙4)

CHRISTIAN
告製品目録
OLIVIER(クリスチャンオリビエ)のブランド名の

ショルダーバッグのうち,商品番号7804のもの
以上
(別紙5)
本件商標1の構成(説明)

本件商標1は次の2つの要素からなり,これら2つの要素を本要素a,本要素bと称する。

(本件商標1)
(本要素b)
(本要素a)

1
本要素a

4弁の花を表した黒い縁取りによりハート型を成しその縁取りの中にはスペード型の黒塗り模様が配されたハート型図形が,各ハート型図形の先端を結ぶ線がほぼ正方形をなすように,
中央に小さい白抜きの丸を有する黒丸の周りに配されている。
2
本要素b

一般的な花が有する花柱のない先端の丸い柱頭及びその下方の膨らんだ子房からなるめしべを模した白抜きのめしべ状部が中央に配されるとともに,その両側に半円状の2片に先割れし下方の先割れの先端が内側に巻き込むように構成された花弁が配されてなる花冠部と,これを支える直線状の花柄部と,花柄部の途中に当該花
柄部と直交するように配置された短い直線状のがく片部とにより構成される花型図形4つが,各花柄部により十文字を形成すべく各花柄部の先端が突き合わされて全体でほぼ正方形をなすように配されている。
3
本要素bがなす正方形の一辺の長さは,
本要素aがなす正方形の一辺の約1.

83倍となっている。
4
本件商標1は,3個の本要素aが縦一列に等間隔で配置され,その右隣の縦
一列に本要素b,同a及び同bがこの順番で配置され,かつ,横一列に並ぶ本要素a及び同bの中心を結ぶ直線,次の横一列に並ぶ本要素a同士の中心を結ぶ直線,さらに次の横一列に並ぶ本要素a及び同bの中心を結ぶ直線が平行で等間隔に並ぶように,本要素a及び同bが配置されている。
以上
(別紙6)
本件商標2の構成(説明)

本件商標2は,本件商標1を構成する2つの本要素a及び同bに,さらに2つ要素が追加されており,
これら追加された2つの要素を本要素c,
本要素dと称する。

(本件商標2)

(本要素c)

(本要素b)

(本要素d)

(本要素a)
(本要素c)

(本要素d)

1
本要素a

4弁の花を表した黒い縁取りによりハート型を成しその縁取りの中にはスペード型の黒塗り模様が配されたハート型図形が,各ハート型図形の先端を結ぶ線がほぼ正方形をなすように,
中央に小さい白抜きの丸を有する黒丸の周りに配されている。
2
本要素b

一般的な花が有する花柱のない先端の丸い柱頭及びその下方の膨らんだ子房から
なるめしべを模した白抜きのめしべ状部が中央に配されるとともに,その両側に半円状の2片に先割れし下方の先割れの先端が内側に巻き込むように構成された花弁が配されてなる花冠部と,これを支える直線状の花柄部と,花柄部の途中に当該花柄部と直交するように配置された短い直線状のがく片部とにより構成される花型図形4つが,各花柄部により十文字を形成すべく各花柄部の先端が突き合わされて全体でほぼ正方形をなすように配されている。
3
本要素c

円図形の中に,黒塗りで獅子のような動物模様が描かれている。なお,本要素cの円図形の大きさは,本要素bよりも小さく本要素aよりも大きい。4
本要素d

「CHRISTIAN

OLIVIER」の欧文字が一列に描かれ,「C」及び

「O」の文字が他の文字よりも若干大きく描かれている。
5
本件商標2は,本要素cがほぼ正方形の4つの頂点に配置され,当該正方形
の対向する2辺の位置に本要素dが配置され,このとき文字である一方の本要素dは他方の本要素dを180度回転した向きに配置されている。さらに,当該正方形の別の対向する2辺の位置に上記した本要素aが等間隔に3個ずつ配置され,当該正方形の内側であって当該正方形よりも小さい正方形の4つの頂点に上記した本要素bが配置され,当該小さい正方形の内側に5つの本要素aが十字をなすように等間隔に配置されてなる基本図柄の繰り返しパターンにより構成されている。以上
(別紙7)
被告標章1の構成(説明)

被告標章1は,次の2つの要素からなり,これら2つの要素を被要素A,被要素Bと称する(判決注:下図は,構成を説明するために被告が作成したものであり,被告標章1そのもの〔別紙1の1参照〕ではない。)。

(被告標章1の構成を説明するために被告が作成した図)
(被要素A)

1
(被要素B)

被要素A

略正方形の黒塗り図形の中に,白抜きの「P」の文字2個が点対称に位置するように配されている。
2
被要素B

子房のみが強調されてなるめしべを模しためしべ状部が中央に配されるとともに,その両側に半円状の花弁が配されてなる花冠部と,花冠部の根元の両側に花弁の半円よりも小さい半円状のがく片が配されてなるがく片部とにより構成される花型図形4つが,内側に「P」の文字が描かれた円図形の外側に,全体でほぼ正方形をなすように配されている。

3
被要素Bがなす正方形の一辺の長さは,
被要素Aがなす正方形の一辺の約1.

66倍となっている。
4
被告標章1は,被要素A,同B及び同Aがこの順番で縦一列に配置され,そ
の右隣の縦一列に被要素B,同A及び同Bがこの順番で配置され,かつ,横一列に並ぶ被要素A及び同Bの3組それぞれにおいて,被要素Aと同Bの中心を結ぶ3つの直線が平行で等間隔に並ぶように,被要素A及び同Bが配置されて構成されている。
以上
(別紙8)
被告標章2の構成(説明)

被告標章2は,被告標章1を構成する2つの被要素A及び同Bに,さらに4つ要素が追加されており,これら追加された4つの要素を被要素C,被要素D,被要素E,被要素Fと称する(判決注:下図は,構成を説明するために被告が作成したものであり,被告標章2そのもの〔別紙1の2参照〕ではない。)。
(被告標章2の構成を説明するために被告が作成した図)
(被要素C)

(被要素E)(被要素F)

(被要素D)

(被要素C)

(被要素B)

(被要素A)

(被要素E)

(被要素C)

(被要素D)
(被要素B)
(被要素F)

1
被要素A

略正方形の黒塗り図形の中に,白抜きの「P」の文字2個が点対称に位置するように配されている。
2
被要素B

子房のみが強調されてなるめしべを模しためしべ状部が中央に配されるとともに,その両側に半円状の花弁が配されてなる花冠部と,花冠部の根元の両側に花弁の半円よりも小さい半円状のがく片が配されてなるがく片部とにより構成される花型図形4つが,内側に「P」の文字が描かれた円図形の外側に,全体でほぼ正方形をなすように配されている。
3
被要素C

円図形の中に「P」の文字が描かれ,この円図形の外側には,これよりも大きな半径の円図形が配され,大小2つの円図形間の「P」の文字の上部に当たる一方の半円弧状部分に「PIEMONTE」の文字が描かれるとともに,大小2つの円図形間の「P」の文字の上部に当たる他方の半円弧状部分に「LUSSO」の文字が描かれて構成され,
「PIEMONTE」
及び
「LUSSO」
の文字は,
中央の
「P」

の文字の向きと同じ向きで読み取れるように配置されている。
4
被要素D

「PiemonteLusso」の欧文字が一列に描かれている。5
被要素E

「TORINOITALY」の文字が線状に配されている。
6
被要素F

子房のみが強調されてなるめしべを模しためしべ状部が中央に配されるとともに,その両側に半円状の花弁が配されてなる花冠部が,円図形の外側の180度対向する対称の位置に配され,円図形の外側の両花冠部から90度ずれた位置であって互いに180度対向する位置に菱形図形が配され,2つの花冠部の先端及び2つの菱形図形の先端を結ぶ線がほぼ正方形をなすように配置されて構成される。7
被要素Cが横長の長方形の4つの頂点に配置され,当該長方形の対向する2
つの長辺の位置に,被要素D,同F及び同Eが配置され,このとき一方の長辺における文字の被要素D及び同Eは,他方の長辺における文字の被要素D及び同Eを180度回転した向きに配置されている。さらに,当該長方形の対向する2つの短辺の位置には,被要素B,同A及び同Bがこの順番で配置され,当該長方形の内側には,上記した被要素A及び同Bを3個ずつ組み合わせてなる被告標章1(1点鎖線囲み部分)が3組と,被告標章1の左側の縦一列部分(破線囲み部分)が並んで配置されてなる基本図柄の繰り返しパターンにより構成されている。以上
(別紙9)
原告ショルダーバッグの形態(説明)


基本的形態
A1

バッグ本体及びショルダーストラップからなる婦人用ショルダーバッグである。

B1

バッグ本体の形状は,正面視で略角丸横長等脚台形状で,正面視左右上端部が上方に突き出した形状である。

C1

バッグ本体の正面には,前カブセが設けられている。

D1

バッグ内部は,前カブセ部分に設けられたものも含めて6つの収納部に分割されており,バッグ中央部にある開口部をファスナーで開閉可能に
した主収納部,その両サイドにある開口部をファスナーで開閉可能にした副収納部,カバンの正面及び背面の両側面にある開口部をファスナーで開閉可能にした側面収納部及び前カブセ上部の開口部をファスナーで開閉可能にした前カブセ収納部からなる。
E1

バッグ本体の両側面には,上部が開口したままの側面ポケットが設けられている。



具体的形態
F1

カバンの表面生地は,多少のざらつき感を感じることができるが全体として滑らかな質感を有している。

G1

カバンの表面生地は濃い茶色で本件商標が模様として金色で施されている。

H1

前カブセの裏面の生地も表面生地と同様に本件商標が模様として施されている。

I1
バッグ本体の底面及び上面は略角丸横長長方形状である。

J1

前カブセの中央からやや上部にかけて横長で中央部分が膨らんでいる形状の革製装飾部があり同装飾部の膨らんだ中央部分には「CHRISTIAN
OLIVIER」「PARIS」との文字が2段で刻まれている。K1

バッグ本体の正面視左右上端部の突き出した部分の先端において,金色の金具でショルダーストラップの両端が接続されている。

L1

ショルダーストラップは茶色無地の布製であり金色の長さ調整用金具が設けられている。

M1

各収納部の開口部に設けられたファスナーは光沢のある金色である。
N1

各ファスナーのスライダーには,革製の略紡錘形で中央やや先端よりに金色のボタンを設けた形状の持ち手が,金色の金具によって接続されている。

O1

各収納部の内部は,いわゆるペイズリー柄の生地が張られている。
P1

主収納部内部の背面側の壁面にファスナーポケットが設けられており,そのファスナーポケットの下に,円形のロゴ,「CHRISTIANOLIVIER」及び「PARIS」の3段からなるタグが縫い付けられている。

Q1

正面側の副収納部の内部には,二つの小ポケットが設けられ,さらにそのうち一方のポケットの表面には革製の2つのトンネルで構成されるペ
ン入れが設けられている。
R1

背面側の副収納部,正面及び背面の側面収納部,前カブセ収納部の内部にはポケットは一切設けられていない。

S1

側面ポケット内側の本体側壁面はカバンの表面生地と同じ生地であるが,同内側の外側壁面はペイズリー柄の生地が張られており,上部の返し部
分のみカバン表面生地と同じ生地である。
T1

各ファスナーを閉じた状態のバッグ本体を上面から見ると,2つの副収納部及び前カブセ収納部の両端部においてはファスナーによって閉じられていないため,収納部内部のペイズリー柄の生地が僅かに見えるよう
になっている。
以上
(別紙10)
被告ショルダーバッグの形態(説明)


基本的形態
A2

バッグ本体及びショルダーストラップからなる婦人用ショルダーバッグである。

B2

バッグ本体の形状は,正面視で略角丸横長等脚台形状で,正面視左右上端部が上方に突き出した形状である。

C2

バッグ本体の正面には,前カブセが設けられている。

D2

バッグ内部は,前カブセ部分に設けられたものも含めて6つの収納部に分割されており,バッグ中央部にある開口部をファスナーで開閉可能に
した主収納部,その両サイドにある開口部をファスナーで開閉可能にした副収納部,カバンの正面及び背面の両側面にある開口部をファスナーで開閉可能にした側面収納部及び前カブセ上部の開口部をファスナーで開閉可能にした前カブセ収納部からなる。
E2

バッグ本体の両側面には,上部が開口したままの側面ポケットが設けられている。



具体的形態
F2

カバンの表面生地は,多少のざらつき感を感じることができるが全体として滑らかな質感を有している。

G2

カバンの表面生地は,濃い茶色で被告標章が模様としてベージュ色で施されている。

H2

前カブセの裏面の生地は明るい紫色一色の無地の生地であり,前カブセ端部の折り返しの部分のみがカバンの表面生地と同じ生地である。
I2
バッグ本体の底面及び上面は略角丸横長長方形状である。

J2

前カブセに装飾部は存在しない。

K2

バッグ本体の正面視左右上端部の突き出した部分の先端において,銀色
の金具でショルダーストラップの両端が接続されている。
L2

ショルダーストラップは茶色の布製であり,
表面には
「PIEMONTELUSSO」
の文字が見えるように織り込まれており,銀色の長さ調整用金具が設けられている。

M2

各収納部の開口部に設けられたファスナーは黒色であり,スライダーのみが銀色である。

N2

各ファスナーのスライダーには,合成皮革製ベルトを丸めてリング状にした形状の持ち手が,銀色の金具によって接続されている。

O2
各収納部の内部は,明るい紫色一色の無地生地が張られている。

P2

主収納部内部の背面側の壁面にファスナーポケットが設けられており,そのファスナーポケットの下に,四角形のロゴ,「PIEMONTELUSSO」及び「ITALY」の3段からなるタグが縫い付けられており,正面側の壁面に横幅の長さの異なる小ポケットが横方向に連続して設けられている。
Q2
正面側の副収納部の内部には,ポケットは一切設けられていない。
R2

背面側の副収納部,正面及び背面の側面収納部,前カブセ収納部の内部にはポケットは一切設けられていない。

S2

側面ポケット内側の本体側壁面はカバンの表面生地と同じ生地であるが,同内側の外側壁面は明るい紫色一色の無地生地が張られており,上部の返し部分のみカバン表面生地と同じ生地である。

T2

各ファスナーを閉じた状態のバッグ本体を上面から見ると,2つの副収納部及び前カブセ収納部の両端部においてはファスナーによって閉じられていないため,収納部内部の明るい紫色一色の無地生地が見えるようになっている。
以上
トップに戻る

saiban.in