事件番号 | 平成29(わ)159 |
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事件名 | 窃盗被告事件 |
裁判年月日 | 平成30年3月27日 |
法廷名 | 函館地方裁判所 |
被告人を懲役2年6か月に処する。 未決勾留日数中50日をその刑に算入する。 この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 理由 (犯罪事実) 被告人は,漁船の船長であるところ,同船の乗組員らと共謀の上 第1 平成29年11月10日頃から同月28日頃までの間,別表1記載のとおり, 北海道松前郡a町字bc番地所在の共同宿舎ほか4か所において,A所有又は管理に係る発電機等30点(時価合計約77万1300円相当)を窃取した。第2その頃,別表2記載のとおり,同郡a町字bd番地所在のB灯台総合管制舎又はその敷地内において,C管理に係る太陽電池モジュール等9点(時価合計約486万8900円相当)を窃取した。 (法令の適用) 罰条(第1,第2) いずれも刑法60条,235条 刑種の選択(第1,第2) いずれも懲役刑 併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の重い第 2の罪の刑に加重) 未決勾留日数の算入 刑法21条 刑の執行猶予 刑法25条1項 訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書 (量刑の理由) 本件は,無人島に漂着した外国漁船の船長である被告人が,同船の乗組員らと共謀の上,島内の2か所の建造物等から物品を窃取したという事案である。本件の犯行態様は,被告人の主導の下,被告人と乗組員らとで合計39点の物品を窃取したという悪質なものであり,被害総額も約564万200円相当と高額に及ん でいる。被告人は,窃取した物品を自分や乗組員らで分配したり,前記漁船を安全に航行させるための重りとしたりするために本件各犯行に及んだというのであるが,そのような理由から窃盗に及ぶことが許されるものではなく,本件の犯行動機に酌量の余地は乏しいというべきである。 したがって,被告人の刑事責任を軽くみることはできない。 他方,被告人が本件各犯行を認め,反省の態度を示していること,本件の被害品については,原動機付自転車1台を除く全てが被害者らに還付されていること,被告人に本邦における前科がないことなど,被告人のために酌量すべき事情もある。そこで,これらの事情を総合考慮して被告人を主文の刑に処し,今回については,その刑の執行を猶予することとした。 (求刑-懲役2年6か月) 平成30年3月27日 函館地方裁判所刑事部 裁判長裁判官 橋本 裁判官 村尾和泰 裁判官 宮光宗司健 |