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不動産引渡命令に対する執行抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
事件番号平成30(許)3
事件名不動産引渡命令に対する執行抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
裁判年月日平成30年4月17日
法廷名最高裁判所第三小法廷
裁判種別決定
結果棄却
原審裁判所名大阪高等裁判所
原審事件番号平成29(ラ)1349
原審裁判年月日平成29年12月20日
判示事項滞納処分による差押えがされた後に設定された賃借権により担保不動産競売の開始前から建物の使用又は収益をする者の民法395条1項1号に掲げる「競売手続の開始前から使用又は収益をする者」該当性(積極)
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平成30年(許)第3号
不動産引渡命令に対する執行抗告審の取消決定に対する許可抗告事件平成30年4月17日

第三小法廷決定
主文
本件抗告を棄却する
抗告費用は抗告人の負担とする。
理由
抗告人の抗告理由について
抵当権者に対抗することができない賃借権が設定された建物が担保不動産競売により売却された場合において,その競売手続の開始前から当該賃借権により建物の使用又は収益をする者は,当該賃借権が滞納処分による差押えがされた後に設定されたときであっても,民法395条1項1号に掲げる「競売手続の開始前から使用又は収益をする者」に当たると解するのが相当である。なぜなら,同項は,抵当権者に対抗することができない賃借権は民事執行法に基づく競売手続における売却によってその効力を失い(同法59条2項),当該賃借権により建物の使用又は収益をする占有者は当該競売における買受人に対し当該建物の引渡義務を負うことを前提として,即時の建物の引渡しを求められる占有者の不利益を緩和するとともに占有者と買受人との利害の調整を図るため,一定の明確な要件を満たす占有者に限り,その買受けの時から6箇月を経過するまでは,その引渡義務の履行を猶予するものであるところ,この場合において,滞納処分手続は民事執行法に基づく競売手続と同視することができるものではなく,民法395条1項1号の文言に照らしても,同号に規定する「競売手続の開始」は滞納処分による差押えを含むと解することができないからである。
これと同旨の見解に基づき,抗告人の相手方に対する引渡命令の申立てを却下した原審の判断は,正当として是認することができる。原決定に所論の違法はなく,論旨は採用することができない。よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官
戸倉

三郎

宮崎

裁判官

裕子

裁判官


岡部喜代子

景一)
裁判官

山崎

敏充

裁判官

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