判例検索β > 平成29年(行ケ)第10082号
審決取消請求事件 特許権 行政訴訟
事件番号平成29(行ケ)10082
事件名審決取消請求事件
裁判年月日平成30年5月24日
法廷名知的財産高等裁判所
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平成30年5月24日判決言渡
平成29年(行ケ)第10082号
口頭弁論終結の日

審決取消請求事件

平成30年2月8日

当事者の表示


別紙当事者目録記載のとおり
主文1
原告の請求を棄却する。

2
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由

第1

請求
特許庁が無効2016-800065号事件について平成29年3月16日にした審決を取り消す。

第2
1
前提事実(いずれも当事者間に争いがない。)
特許庁における手続の経緯等
被告らは,発明の名称を「引戸装置の改修方法及び改修引戸装置」とする発明に係る特許の特許権者である(特許第4839108号。請求項の数6。以下「本件特許」という。)。その出願から設定登録に至る手続の経緯は,以下のとおりである。
平成14年3月8日

優先基礎出願(特願2002-64460号)

平成15年3月7日

原出願(特願2003-62183号)

平成18年3月17日

本件特許出願(特願2006-74123号)

平成23年10月7日

設定登録

原告は,平成28年5月31日,特許庁に対し,本件特許につき特許無効審判を請求した。特許庁は,当該請求を無効2016-800065号事件として審理した上,平成29年3月16日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をした(以下「本件審決」という。)。その謄本は,同月24日,原
告に送達された。
原告は,同年4月21日,本件訴えを提起した。
2
本件発明
本件特許に係る発明は,以下のとおりである(以下,本件特許の特許請求の範囲請求項1~6に係る発明を,請求項の番号順に「本件発明1」などといい,本件発明1~6を併せて「本件発明」という。また,本件特許に係る明細書及び図面を「本件明細書」という。)。
【請求項1】
建物の開口部に取付けてあるアルミニウム合金の押出し形材から成る既設上枠,アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レールと室外側案内レールを備えた既設下枠,アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠を有する既設引戸枠を残存し,
前記既設下枠の室外側案内レールを付け根付近から切断して撤去し,前記既設下枠の室内寄りに取付け補助部材を設け,この取付け補助部材を既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面にビスで固着して取付け,この後に,アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用上枠,アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用竪枠,アルミニウム合金の押出し形材から成り室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜し,室外寄りが低く,室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備えた改修用下枠を有する改修用引戸枠を,前記既設引戸枠内に室外側から挿入し,その改修用下枠の室外寄りを,スペーサを介して既設下枠の室外寄りに接して支持すると共に,前記改修用下枠の室内寄りを前記取付け補助部材で支持し,前記背後壁の上端と改修用下枠の上端がほぼ同じ高さであり,
前記改修用下枠の前壁を,ビスによって既設下枠の前壁に固定することで,改修用引戸枠を取付け補助部材を基準として取付けることを特徴とする引戸装置の改修方法。

【請求項2】
建物の開口部に取付けてあるアルミニウム合金の押出し形材から成る既設上枠,アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レールと室外側案内レールを備えた既設下枠,アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠を有する既設引戸枠を残存し,
前記既設下枠の室外側案内レールを付け根付近から切断して撤去し,前記既設下枠の室内寄りに取付け補助部材を設け,この取付け補助部材を既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面にビスで固着して取付け,この後に,アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用上枠,アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用竪枠,アルミニウム合金の押出し形材から成り室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜し,室外寄りが低く,室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備えた改修用下枠を有し,前記改修用上枠の室外側部に室外側上枠シール材を装着すると共に,前記改修用引戸枠の改修用竪枠の室外側部に室外側竪枠シール材を装着した改修用引戸枠を,前記既設引戸枠内に室外側から挿入し,その室外側上枠シール材を建物の開口部の上縁部に接すると共に,前記室外側竪枠シール材を建物の開口部の縦縁部に接し,前記改修用下枠の室外寄りを,スペーサを介して既設下枠の室外寄りに接して支持すると共に,前記改修用下枠の室内寄りを前記取付け補助部材で支持し,前記背後壁の上端と改修用下枠の上端がほぼ同じ高さであり,
前記改修用下枠の前壁を,ビスによって既設下枠の前壁に固定することで,改修用引戸枠を取付け補助部材を基準として取付けることを特徴とする引戸装置の改修方法。
【請求項3】
建物の開口部に取付けてあるアルミニウム合金の押出し形材から成る既設上枠,アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レールと室外側案内レールを備えた既設下枠,アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠を有
する既設引戸枠を残存し,
前記既設下枠の室外側案内レールを付け根付近から切断して撤去すると共に,室内側案内レールを切断して撤去し,前記既設下枠の室内寄りに取付け補助部材を設け,この取付け補助部材を既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面にビスで固着して取付け,
この後に,アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用上枠,アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用竪枠,アルミニウム合金の押出し形材から成り室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜し,室外寄りが低く,室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備えた改修用下枠を有する改修用引戸枠を,前記既設引戸枠内に室外側から挿入し,その改修用下枠の室外寄りを,スペーサを介して既設下枠の室外寄りに接して支持すると共に,前記改修用下枠の室内寄りを前記取付け補助部材で支持し,前記背後壁の上端と改修用下枠の上端がほぼ同じ高さであり,
前記改修用下枠の前壁を,ビスによって既設下枠の前壁に固定することで,改修用引戸枠を取付け補助部材を基準として取付けることを特徴とする引戸装置の改修方法。
【請求項4】
建物の開口部に残存した既設引戸枠は,アルミニウム合金の押出し形材から成る既設上枠,アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レールと室外側案内レールを備えた既設下枠,アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠を有し,前記既設下枠の室外側案内レールは付け根付近から切断して撤去され,その既設下枠の室内寄りに取付け補助部材を設け,その取付け補助部材が既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面にビスで固着して取付けてあり,
この既設引戸枠内に,アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用上枠,アルミニウム合金の押出し形材から成り室外から室内に向かって上方へ段差を
成して傾斜し,室外寄りが低く,室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備えた改修用下枠,アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用竪枠を有する改修用引戸枠が挿入され,
この改修用引戸枠の改修用下枠の室外寄りが,スペーサを介して既設下枠の室外寄りに接して支持されると共に,前記改修用下枠の室内寄りが,前記取付け補助部材で支持され,前記背後壁の上端と改修用下枠の上端がほぼ同じ高さであり,
前記改修用下枠の前壁が,ビスによって既設下枠の前壁に固定されていることを特徴とする改修引戸装置。
【請求項5】
建物の開口部に残存した既設引戸枠は,アルミニウム合金の押出し形材から成る既設上枠,アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レールと室外側案内レールを備えた既設下枠,アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠を有し,前記既設下枠の室外側案内レールは付け根付近から切断して撤去され,その既設下枠の室内寄りに取付け補助部材を設け,その取付け補助部材が既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面にビスで固着して取付けてあり,
この既設引戸枠内に,アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用上枠,アルミニウム合金の押出し形材から成り室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜し,室外寄りが低く,室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備えた改修用下枠,アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用竪枠を有する改修用引戸枠が挿入され,
この改修用引戸枠の改修用下枠の室外寄りが,スペーサを介して既設下枠の室外寄りに接して支持されると共に,前記改修用下枠の室内寄りが,前記取付け補助部材で支持され,前記背後壁の上端と改修用下枠の上端がほぼ同じ高さであり,

前記改修用上枠の室外側部に室外側上枠シール材が装着され,この室外側上枠シール材は建物の開口部の上縁部に接し,
前記改修用竪枠の室外側部に室外側竪枠シール材が装着され,この室外側竪枠シール材は建物の開口部の縦縁部に接し,
前記改修用下枠の前壁が,ビスによって既設下枠の前壁に固定されていることを特徴とする改修引戸装置。
【請求項6】
建物の開口部に残存した既設引戸枠は,アルミニウム合金の押出し形材から成る既設上枠,アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レールと室外側案内レールを備えた既設下枠,アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠を有し,前記既設下枠の室外側案内レールは付け根付近から切断して撤去されていると共に,室内側案内レールは切断して撤去され,その既設下枠の室内寄りに取付け補助部材を設け,その取付け補助部材が既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面にビスで固着して取付けてあり,この既設引戸枠内に,アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用上枠,アルミニウム合金の押出し形材から成り室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜し,室外寄りが低く,室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備えた改修用下枠,アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用竪枠を有する改修用引戸枠が挿入され,
この改修用引戸枠の改修用下枠の室外寄りが,スペーサを介して既設下枠の室外寄りに接して支持されると共に,前記改修用下枠の室内寄りが,前記取付け補助部材で支持され,前記背後壁の上端と改修用下枠の上端がほぼ同じ高さであり,
前記改修用下枠の前壁が,ビスによって既設下枠の前壁に固定されていることを特徴とする改修引戸装置。
3
本件審決の理由の要旨

本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりであるが,要するに,本件特許出願は,本件発明についての特許法(以下「法」という。)29条2項の適用に当たっては優先基礎出願の時にされたものと見なすことはできず,原出願の出願の時にされたものと見なされるとした上で,以下のとおり,本件発明は,特開2002-285757号公報(甲2。以下「甲2文献」という。)に記載された発明,特開2001-227244号公報(甲3。以下「甲3文献」という。)に記載された発明及び周知技術等に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできず(無効理由1について),また,甲2文献記載の発明,甲4の1~5(以下「甲4図面等」という。)に示された本件特許の原出願日前に公然知られた発明ないし公然実施されたものと一応推認し得る平成12年11月24日竣工の「広電己斐寮浴室改修工事」に係る発明及び周知技術等に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないから(無効理由2について),本件特許は法29条2項に違反してされたものではなく,これを無効とすることはできない,とした。
(1)

甲2文献記載の発明(以下,断熱引き違い窓に改修する方法の発明を
「甲2発明1」,断熱引き違い窓の発明を「甲2発明2」という。)ア
甲2発明1
建物躯体1の開口部2に取付けてある既存の金属引き違い窓を断熱引き違い窓に改修する方法であって,
上枠4,下枠5,左右の縦枠6は,室内外側方向に連続した枠本体7と,この枠本体7の内面7aに一体的に設けた複数の内向突片8を有するアルミ押出形材であり,上枠4,下枠5,左右の縦枠6から形成される金属引き違い窓の金属枠体3を建物躯体の開口部に残存させ,
下枠5の室内側及び室外側の内向突片8は付け根付近から切断し,各枠の枠本体7における室内外側方向中間で長手方向に間隔を置いた
複数部分にスリット状の穴11をそれぞれ加工することにより,残存した既存の金属枠体3を,室内側部と室外側部とに熱が伝わり難くし,アルミ押出形材の室内側部材13とアルミ押出形材の室外側部材14を断熱材15で連結した断熱形材である,下枠22の下地材12を下枠5の室内外方向全体に渡って設け,
下枠22の下地材12の室内側部材13を下枠5の枠本体7のスリット状の穴11よりも室内寄りにて,下枠5の枠本体7の内面7aの最も室内側の立面にビス16で取付け,下枠22の下地材12の室外側部材14を下枠5の枠本体7のスリット状の穴11よりも室外寄りの室外側部にビス17で取付け,
上枠21,下枠22,左右の縦枠23を枠組みしたもので,その各枠は,アルミ押出形材の室内側部材24とアルミ押出形材の室外側部材25を断熱材26で連結した断熱形材であり,下枠22は,室外側から室内側に向かって上方へ段差を成して傾斜し,室外寄りが低く,室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備えている新設の断熱枠体20を,下枠22の室内側部材24は下地材12の室内側部材13に直接ビス止めし,下枠22の室外側部材25を下地材12の室外側部材14に当接し,既存の金属枠体3の上に下地材12を介してかぶせるようにして取付ける改修方法。

甲2発明2
建物躯体1の開口部2に残存した既存の金属引き違い窓の金属枠体3は,上枠4,下枠5,左右の縦枠6から形成され,
上枠4,下枠5,左右の縦枠6は,室内外側方向に連続した枠本体7と,この枠本体7の内面7aに一体的に設けた複数の内向突片8を有するアルミ押出形材であり,
下枠5の室内側及び室外側の内向突片8は付け根付近から切断され,
各枠の枠本体7における室内外側方向中間で長手方向に間隔を置いた複数部分にスリット状の穴11をそれぞれ加工することにより,残存した既存の金属枠体3を,室内側部と室外側部とに熱が伝わり難くし,アルミ押出形材の室内側部材13とアルミ押出形材の室外側部材14を断熱材15で連結した断熱形材である,下枠22の下地材12を下枠5の室内外方向全体に渡って設け,
下枠22の下地材12の室内側部材13が下枠5の枠本体7のスリット状の穴11よりも室内寄りにて,下枠5の枠本体7の内面7aの最も室内側の立面にビス16で取付けられ,下枠22の下地材12の室外側部材14が下枠5の枠本体7のスリット状の穴11よりも室外寄りの室外側部にビス17で取付けられ,
上枠21,下枠22,左右の縦枠23を枠組みしたもので,その各枠は,アルミ押出形材の室内側部材24とアルミ押出形材の室外側部材25を断熱材26で連結した断熱形材であり,下枠22は,室外側から室内側に向かって上方へ段差を成して傾斜し,室外寄りが低く,室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備えている新設の断熱枠体20を,下枠22の室内側部材24は下地材12の室内側部材13に直接ビス止めし,下枠22の室外側部材25を下地材12の室外側部材14に当接し,既存の金属枠体3の上に下地材12を介してかぶせるようにして取付けた,既存の金属引き違い窓を改修した断熱引き違い窓。
(2)

甲3文献記載の技術(以下「甲3技術」という。)
既設サッシ下枠の上に重ねて取り付ける改装サッシ下枠において,改装サッシ下枠は,障子の戸車を受けるレールを含む突設要素の上端が
所定の略同じ高さで形成してある上板部と,既設サッシ下枠に固定される固定脚部とを備え,
改装サッシ下枠の上板部の室内側端部の裏面には逆L字状の支持部材を
備えており,その横板部は上板部に対してネジ固定され,逆L字状の支持部材の縦板部が既設サッシ下枠の上板部の最も室内側の端部に連なる縁壁にネジ固定されること。
(3)

甲4図面等から把握される技術(以下「甲4技術」という。)
既設下枠の底壁部分m1の最も脱衣側の端部には,立ち上がって浴室側
面となる壁部m5が形成され,
上壁s1を浴室側に延ばした逆L字状の部材sの縦壁s2を壁部m5の浴室側面にビスで固定し,
既設下枠の浴室側の壁部m4には,逆L字状の部材tをビスで固定し,平坦で浴室側と脱衣側の高さが同一である底壁を備えた,改修用引戸枠の改修用下枠の浴室寄りを断面逆L字状の部材tの上部にビスで固定し,改修用下枠の脱衣寄りを逆L字状の部材sの上壁s1に対してビスで固定すること。
(4)

無効理由1について
本件発明1と甲2発明1との対比
(ア)

一致点
建物の開口部に取付けてあるアルミニウム合金の押出し形材から成る
既設上枠,アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レールと室外側案内レールを備えた既設下枠,アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠を有する既設引戸枠を残存し,
既設下枠の室外側案内レールを付け根付近から切断して撤去し,既設下枠に取付け補助部材を設け,この取付け補助部材を既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面にビスで固着して取付け,この後に,アルミニウム合金の押出し形材を用いた改修用上枠,アルミニウム合金の押出し形材を用いた改修用竪枠,アルミニウム合金の押出し形材を用い室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜し,室
外寄りが低く,室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備えた改修用下枠を有する改修用引戸枠を,既設引戸枠内に挿入し,改修用下枠の室内寄りを取付け補助部材で支持し,
改修用引戸枠を取付け補助部材を基準として取付ける引戸装置の改修方法。
(イ)

相違点

[相違点1]
取付け補助部材に関し,本件発明1では,取付け補助部材は既設下枠の室内寄りに設けるのに対し,甲2発明1では,下枠22の下地材12は下枠5の室内外方向全体に渡って設ける点。
[相違点2]
改修用引戸枠の材質に関し,本件発明1では,改修用上枠,改修用竪枠及び改修用下枠はアルミニウム合金の押出し形材から成るのに対し,甲2発明1では,上枠21,下枠22及び縦枠23は,アルミ押出形材の室内側部材24とアルミ押出形材の室外側部材25を断熱材26で連結したものである点。
[相違点3]
改修用引戸枠の既設引戸枠内への挿入方向に関し,本件発明1では,改修用引戸枠を既設引戸枠内に室外側から挿入するのに対し,甲2発明1では,新設の断熱枠体20を既存の金属枠体3に室外側及び室内側のいずれから挿入するか不明である点。
[相違点4]
本件発明1では,背後壁の上端と改修用下枠の上端がほぼ同じ高さであるのに対し,甲2発明1では,そのような構成を有していない点。[相違点5]
改修用引戸枠の既設引戸枠内への取付けに関し,本件発明1では,改
修用下枠の室外寄りを,スペーサを介して既設下枠の室外寄りに接して支持し,改修用下枠の前壁をビスによって既設下枠の前壁に固定するのに対し,甲2発明1では,下枠22の室外側部材25を下地材12の室外側部材14に当接する点。
(ウ)
a
相違点についての判断
相違点1について
甲3技術の「既設サッシ下枠」,「改装サッシ下枠」,「逆L字
状の支持部材」及び「既設サッシ下枠の上板部の最も室内側の端部に連なる縁壁」は,本件発明1の「既設下枠」,「改修用下枠」,「取付け補助部材」及び「既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面」にそれぞれ相当する。
しかし,甲2文献の記載によれば,甲2発明1の「下枠22の下
地材12」は下枠5の室内外方向全体に渡って設けることにより,スリット状の穴11を形成した下枠5の枠本体7を補強する機能を有するものであること,及び,甲2発明1の「下枠22の下地材12の室外側部材14」は,既存の金属枠体3に新設の断熱枠体20を取り付けるにあたり,下枠22の室外側部材25が当接されるものであることに照らせば,甲2発明1において,「下枠22の下地材12」に代えて,そのような機能を有しない甲3技術の「逆L字状の支持部材」を適用する動機付けはない。
よって,甲2発明1において,下枠22の下地材12を下枠5の
室内寄りに設けること,すなわち相違点1に係る本件発明1の構成とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできない。

b
相違点2について
サッシの枠材としてアルミニウム合金製の押出し形材から成るも
のを用いることは周知である。

他方,甲2発明1は,建物躯体の開口部に取り付けてある既存の
金属建具を断熱建具に改修する方法に関するものであって,上枠21,下枠22及び縦枠23を,アルミ押出形材の室内側部材24とアルミ押出形材の室外側部材25を断熱材26で連結したものとすることにより,新設の断熱枠体20の室内側部材24に室外の冷気が伝わり難くしたものである。そして,甲2発明1において,新設の断熱枠体20の上枠21,下枠22,左右の縦枠23を,断熱材が介在することのないアルミニウム合金の押出し形材から成るものとすると,断熱効果が低下することは明らかである。
そうすると,アルミサッシの枠材としてアルミニウム合金製の押
出し形材から成るものを用いることが周知技術であったとしても,当業者にとって,断熱を目的とする甲2発明1において新設の断熱枠体20の上枠21,下枠22,左右の縦枠23をアルミニウム合金の押出し形材から成るものとすることは想到し得ない。
よって,甲2発明1において,相違点2に係る本件発明1の構成
とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできない。
c
相違点5について
上記のとおり,甲2発明1において,下枠22の下地材12を下
枠5の室内寄りに設けることは,当業者が容易になし得たとすることはできない。そうすると,甲2発明1は,断熱枠体20の下枠22の室外側部材25を下地材12の室外側部材14に当接するものであるから,断熱枠体20の下枠22の室外寄りを,スペーサを介して金属枠体3の下枠5の室外寄りに接して支持するとの構成,すなわち相違点5に係る本件発明1の構成は採用し得ない。
また,改修用下枠の室外寄りをスペーサを介して既設下枠の室外
寄りに接して支持することは,甲5,6,12及び26のいずれにも
記載されておらず,周知技術であるとも認められない。してみると,仮に甲2発明1において,下枠22の下地材12を下枠5の室内寄りに設けることが当業者にとって容易に想到し得ることであったとしても,その際に,下枠22の室外寄りをスペーサを介して金属枠体3の下枠5の室外寄りに接して支持することが当業者にとって容易になし得たとすることはできない。
よって,甲2発明1において,相違点5に係る本件発明1の構成
とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできない。
(エ)

小括
したがって,相違点3及び4について検討するまでもなく,本件発明
1は,甲2発明1,甲3技術及び周知技術等に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

本件発明2と甲2発明1との対比
(ア)

本件発明2と甲2発明1とは,上記相違点1~5に加え,以下の点
で相違する。
[相違点6]
本件発明2では,改修用上枠の室外側部に室外側上枠シール材を装着すると共に,前記改修用引戸枠の改修用竪枠の室外側部に室外側竪枠シール材を装着し,室外側上枠シール材を建物の開口部の上縁部に接すると共に,室外側竪枠シール材を建物の開口部の縦縁部に接するのに対し,甲2発明1では,そのような構成を有していない点。
(イ)

相違点についての判断
甲2発明1において,相違点1,2及び5に係る本件発明2の構成と
することが当業者にとって容易であるとすることができないことは,上記ア(ウ)と同様である。
よって,相違点3,4及び6について検討するまでもなく,本件発明
2は,甲2発明1,甲3技術及び周知技術等に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

本件発明3と甲2発明1との対比
本件発明3と甲2発明1とは,上記相違点1~5で相違するところ,甲2発明1において,相違点1,2及び5に係る本件発明3の構成とすることが当業者にとって容易であるとすることができないことは,上記ア(ウ)と同様である。
よって,相違点3及び4について検討するまでもなく,本件発明3は,甲2発明1,甲3技術及び周知技術等に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。


本件発明4と甲2発明2との対比
(ア)

一致点
建物の開口部に残存した既設引戸枠は,アルミニウム合金の押出し形
材から成る既設上枠,アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レールと室外側案内レールを備えた既設下枠,アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠を有し,既設下枠の室外側案内レールは付け根付近から切断して撤去され,その既設下枠に取付け補助部材を設け,その取付け補助部材が既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面にビスで固着して取付けてあり,
この既設引戸枠内に,アルミニウム合金の押出し形材を用いた改修用上枠,アルミニウム合金の押出し形材を用い室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜し,室外寄りが低く,室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備えた改修用下枠,アルミニウム合金の押出し形材を用いた改修用竪枠を有する改修用引戸枠が挿入され,
この改修用下枠の室内寄りが,取付け補助部材で支持されている改修引戸装置。

(イ)

相違点

[相違点A]
取付け補助部材に関し,本件発明4では,取付け補助部材は既設下枠の室内寄りに設けるのに対し,甲2発明2では,下枠22の下地材12は下枠5の室内外方向全体に渡って設ける点。
[相違点B]
改修用引戸枠の材質に関し,本件発明4では,改修用上枠,改修用竪枠及び改修用下枠はアルミニウム合金の押出し形材から成るのに対し,甲2発明2では,上枠21,下枠22及び縦枠23は,アルミ押出形材の室内側部材24とアルミ押出形材の室外側部材25を断熱材26で連結したものである点。
[相違点C]
本件発明4では,背後壁の上端と改修用下枠の上端がほぼ同じ高さであるのに対し,甲2発明2では,そのような構成を有していない点。[相違点D]
改修用引戸枠の既設引戸枠内への取付けに関し,本件発明4では,改修用下枠の室外寄りを,スペーサを介して既設下枠の室外寄りに接して支持し,改修用下枠の前壁をビスによって既設下枠の前壁に固定するのに対し,甲2発明2では,下枠22の室外側部材25を下地材12の室外側部材14に当接する点。
(ウ)
a
相違点についての判断
相違点Aについて
甲3技術の「既設サッシ下枠」,「改装サッシ下枠」,「逆L字
状の支持部材」及び「既設サッシ下枠の上板部の最も室内側の端部に連なる縁壁」は,本件発明4の「既設下枠」,「改修用下枠」,「取付け補助部材」及び「既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背
後壁の立面」にそれぞれ相当する。
しかし,甲2文献の記載によれば,甲2発明2の「下枠22の下
地材12」は下枠5の室内外方向全体に渡って設けることにより,スリット状の穴11を形成した下枠5の枠本体7を補強する機能を有するものであること,及び,甲2発明2の「下枠22の下地材12の室外側部材14」は,既存の金属枠体3に新設の断熱枠体20を取り付けるにあたり,下枠22の室外側部材25が当接されるものであることに照らせば,甲2発明2において,「下枠22の下地材12」に代えて,そのような機能を有しない甲3技術の「逆L字状の支持部材」を適用する動機付けはない。
よって,甲2発明2において,下枠22の下地材12を下枠5の
室内寄りに設けること,すなわち相違点Aに係る本件発明4の構成とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできない。
b
相違点Bについて
サッシの枠材としてアルミニウム合金製の押出し形材から成るも
のを用いることは周知である。
他方,甲2発明2は,建物躯体の開口部に取り付けてある既存の
金属建具を断熱建具に改修することに関するものであって,上枠21,下枠22及び縦枠23を,アルミ押出形材の室内側部材24とアルミ押出形材の室外側部材25を断熱材26で連結したものとすることにより,新設の断熱枠体20の室内側部材24に室外の冷気が伝わり難くしたものである。そして,甲2発明2において,新設の断熱枠体20の上枠21,下枠22,左右の縦枠23を,断熱材が介在することのないアルミニウム合金の押出し形材から成るものとすると,断熱効果が低下することは明らかである。
そうすると,アルミサッシの枠材としてアルミニウム合金製の押

出し形材から成るものを用いることが周知技術であったとしても,当業者にとって,断熱を目的とする甲2発明2において新設の断熱枠体20の上枠21,下枠22,左右の縦枠23をアルミニウム合金の押出し形材から成るものとすることは想到し得ないものである。
よって,甲2発明2において,相違点Bに係る本件発明4の構成
とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできない。
c
相違点Dについて
上記のとおり,甲2発明2において,下枠22の下地材12を下
枠5の室内寄りに設けることは,当業者が容易になし得たとすることはできない。そうすると,甲2発明2は,断熱枠体20の下枠22の室外側部材25を下地材12の室外側部材14に当接するものであるから,断熱枠体20の下枠22の室外寄りを,スペーサを介して金属枠体3の下枠5の室外寄りに接して支持するとの構成,すなわち相違点Dに係る本件発明4の構成は採用し得ない。
また,改修用下枠の室外寄りをスペーサを介して既設下枠の室外
寄りに接して支持することは,甲5,6,12及び26のいずれにも記載されておらず,周知技術であるとも認められない。してみると,仮に甲2発明2において,下枠22の下地材12を下枠5の室内寄りに設けることが当業者にとって容易に想到し得ることであったとしても,その際に,下枠22の室外寄りをスペーサを介して金属枠体3の下枠5の室外寄りに接して支持することが当業者にとって容易になし得たとすることはできない。
よって,甲2発明2において,相違点Dに係る本件発明4の構成
とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできない。

(エ)

小括
したがって,相違点Cについて検討するまでもなく,本件発明4は,
甲2発明2,甲3技術及び周知技術等に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

本件発明5と甲2発明2との対比
(ア)

本件発明5と甲2発明2は,上記相違点A~Dに加え,以下の点で
相違する。
[相違点E]
本件発明5では,改修用上枠の室外側部に室外側上枠シール材が装着され,この室外側上枠シール材は建物の開口部の上縁部に接し,改修用竪枠の室外側部に室外側竪枠シール材が装着され,この室外側竪枠シール材は建物の開口部の縦縁部に接するのに対し,甲2発明2では,そのような構成を有していない点。
(イ)

相違点についての判断
甲2発明2において,相違点A,B及びDに係る本件発明5の構成と
することが当業者にとって容易であるとすることができないことは,上記エ(ウ)と同様である。
よって,相違点C及びEについて検討するまでもなく,本件発明5は,甲2発明2,甲3技術及び周知技術等に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

本件発明6と甲2発明2との対比
本件発明6と甲2発明2とは,上記相違点A~Dで相違するところ,甲2発明2において,相違点A,B及びDに係る本件発明6の構成とすることが当業者にとって容易であるとすることができないことは,上記エ(ウ)と同様である。
よって,相違点Cについて検討するまでもなく,本件発明6は,甲2発明2,甲3技術及び周知技術等に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(5)

無効理由2について
本件発明1と甲2発明1との対比
(ア)

本件発明1と甲2発明1の一致点及び相違点は,前記(4)ア(ア)及び(イ)
のとおりである。
(イ)
a
相違点についての判断
相違点1について
甲4技術は,本件特許の原出願日前に公然知られたもの又は公然
実施されたものであると一応推認でき,甲4技術の「既設下枠」,「改修用下枠」及び「逆L字状の部材s」は,本件発明1の「既設下枠」,「改修用下枠」及び「取付け補助部材」にそれぞれ相当し,甲4技術の「既設下枠の底壁部分m1の最も脱衣側の端部」の「立ち上がって浴室側面となる壁部m5」と本件発明1の「既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面」とは「既設下枠の底壁の最も一方側の端部に連なる背後壁の立面」である点で共通する。
しかし,甲2文献の記載によれば,甲2発明1の「下枠22の下
地材12」は下枠5の室内外方向全体に渡って設けることにより,スリット状の穴11を形成した下枠5の枠本体7を補強する機能を有するものであること,及び,甲2発明1の「下枠22の下地材12の室外側部材14」は,既存の金属枠体3に新設の断熱枠体20を取り付けるにあたり,下枠22の室外側部材25が当接されるものであることに照らせば,甲2発明1において,「下枠22の下地材12」に代えて,そのような機能を有しない甲4技術の「逆L字状の部材s」を適用する動機付けはない。
よって,甲2発明1において,下枠22の下地材12を下枠5の
室内寄りに設けること,すなわち相違点1に係る本件発明1の構成とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできない。

b
相違点2について
前記(4)ア(ウ)bと同様の理由により,当業者が容易になし得たとすることはできない。

c
相違点5について
前記(4)ア(ウ)cと同様の理由により,当業者が容易になし得たとすることはできない。

(ウ)

小括
したがって,相違点3及び4について検討するまでもなく,本件発明
1は,甲2発明1,甲4技術及び周知技術等に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

本件発明2と甲2発明1との対比
本件発明2と甲2発明1とは,相違点1~5に加え,相違点6で相違する。
そして,甲2発明1において,相違点1,2及び5に係る本件発明2の構成とすることが当業者にとって容易であるとすることができないことは,上記ア(イ)と同様である。
よって,相違点3,4及び6について検討するまでもなく,本件発明2は,甲2発明1,甲4技術及び周知技術等に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。


本件発明3と甲2発明1との対比
本件発明3と甲2発明1とは,相違点1~5で相違する。
そして,甲2発明1において,相違点1,2及び5に係る本件発明3の構成とすることが当業者にとって容易であるとすることができないことは,上記ア(イ)と同様である。
よって,相違点3及び4について検討するまでもなく,本件発明3は,甲2発明1,甲4技術及び周知技術等に基づいて,当業者が容易に発明
をすることができたものとすることはできない。

本件発明4と甲2発明2との対比
(ア)

本件発明4と甲2発明2との対比
本件発明4と甲2発明2の一致点及び相違点は,前記(4)エ(ア)及び(イ)
のとおりである。
(イ)
a
相違点についての判断
相違点Aについて
甲4技術は,本件特許の原出願日前に公然知られたもの又は公然
実施されたものであると一応推認でき,甲4技術の「既設下枠」,「改修用下枠」及び「逆L字状の部材s」は,本件発明4の「既設下枠」,「改修用下枠」及び「取付け補助部材」にそれぞれ相当し,甲4技術の「既設下枠の底壁部分m1の最も脱衣側の端部」の「立ち上がって浴室側面となる壁部m5」と本件発明4の「既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面」とは「既設下枠の底壁の最も一方側の端部に連なる背後壁の立面」である点で共通する。
しかし,甲2文献の記載によれば,甲2発明2の「下枠22の下
地材12」は下枠5の室内外方向全体に渡って設けることにより,スリット状の穴11を形成した下枠5の枠本体7を補強する機能を有するものであること,及び,甲2発明2の「下枠22の下地材12の室外側部材14」は,既存の金属枠体3に新設の断熱枠体20を取り付けるにあたり,下枠22の室外側部材25が当接されるものであることに照らせば,甲2発明2において,「下枠22の下地材12」に代えて,そのような機能を有しない甲4技術の「逆L字状の部材s」を適用する動機付けはない。
よって,甲2発明2において,下枠22の下地材12を下枠5の
室内寄りに設けること,すなわち相違点Aに係る本件発明4の構成と
することは,当業者が容易になし得たとすることはできない。
b
相違点Bについて
前記(4)エ(ウ)bと同様の理由により,当業者が容易になし得たとすることはできない。

c
相違点Dについて
前記(4)エ(ウ)cと同様の理由により,当業者が容易になし得たとすることはできない。

(ウ)

小括
したがって,相違点Cについて検討するまでもなく,本件発明4は,
甲2発明2,甲4技術及び周知技術等に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

本件発明5と甲2発明2との対比
本件発明5と甲2発明2とは,相違点A~Dに加え,相違点Eで相違する。
そして,甲2発明2において,相違点A,B及びDに係る本件発明5の構成とすることが当業者にとって容易であるとすることができないことは,上記エ(イ)と同様である。
よって,相違点C及びEについて検討するまでもなく,本件発明5は,甲2発明2,甲4技術及び周知技術等に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。


本件発明6と甲2発明2との対比
本件発明6と甲2発明2とは,相違点A~Dで相違する。
そして,甲2発明2において,相違点A,B及びDに係る本件発明6の構成とすることが当業者にとって容易であるとすることができないことは,上記エ(イ)と同様である。
よって,相違点Cについて検討するまでもなく,本件発明6は,甲2
発明2,甲4技術及び周知技術等に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
第3
1
当事者の主張
原告の主張
(1)

取消事由1(無効理由1及び2における甲2発明1及び2の認定の誤り)
及び取消事由2(無効理由1及び2における本件発明と甲2発明1及び2との相違点の認定の誤り)

取消事由1(無効理由1及び2における甲2発明1及び2の認定の誤り)(ア)

本件審決における甲2発明1及び2の認定は,甲2文献に開示され
た発明を同文献の特許請求の範囲の請求項に係る発明に限定して認定したものであり,本件発明の進歩性を判断するための,甲2文献に開示された発明の認定として妥当でない。
(イ)

すなわち,甲2文献記載の特許請求の範囲の各請求項には,既存の
金属建具を断熱建具に改修する方法であって,建物躯体の開口部に残存させた既存の金属枠体を,室内側部と室外側部とに熱が伝わり難くし,新設の断熱枠体を前記建物躯体の開口部に取り付けることを特徴とする建具の改修方法が記載されている。本件審決は,この特許請求の範囲の各請求項に係る発明にならって,甲2発明1及び2として,既存の金属建具の断熱引違い窓への改修に関する発明に限定して認定している。
しかし,同文献に開示されている発明は,本件審決の認定に係るものに限られない。
甲2文献記載の建具を含め建物に設置される窓等の建具は,採光を主たる目的の一つとし,そのために窓の開口面積はできるだけ大きく確保することが常に考慮されている。このことは窓等の建具における基本的な設計思想として改修用サッシの技術分野において常識である。このた
め,甲2文献記載の改修用サッシにおいても,改修後の窓の開口面積ができるだけ確保されることは当然考慮されている。
また,改修用サッシの技術分野においては,既設サッシに対して効率的に改修用サッシを設置することが常に考慮されており,改修用サッシを安定的,効率的に取り付けるための様々な取付け補助部材を備える改修用建具が開発されており,公知技術として存在する。これらの公知技術に鑑み,甲2文献について,改修用下枠を,下地材(取付け補助部材)を基準として既設下枠に取り付ける技術に着目してみると,その記載(段落【0024】,図3)から,甲2文献の下地材12は,室外側から室内側に向かって上方へ段差を成して傾斜し,室外寄りが低く,室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備えている新設の枠体を支持する取付け補助部材であって,室内側が下枠5の枠本体7の内面7aの最も室内側部にビス17で取り付けられ,下地材12の室内側で新窓枠の下枠の室内側を支持する取付け補助部材として認めることができる。そうすると,甲2文献には,その発明の詳細な説明全体の記載から,上記「室外側から室内側に向かって上方へ段差を成して傾斜し,室外寄りが低く,室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備えている新設の枠体を支持する取付け補助部材であって,室内側が下枠5の枠本体7の内面7aの最も室内側部にビス17で取付けられ,下地材12の室内側で新窓枠の下枠の室内側を支持する取付け補助部材」を備える改修建具に関する技術思想(発明)を認めることができる。
そして,甲2文献に開示された上記発明を,その特許請求の範囲の各請求項に係る発明に限定することなく認定した場合,新窓枠を構成する各枠は,アルミ押出形材の室内側部材24とアルミ押出形材の室外側部材25を断熱材26で連結した断熱形材である必要はなく,また,下地材12も,アルミ押出形材の室内側部材13とアルミ押出形材の室外側
部材14を断熱材15で連結した断熱形材である必要もない。さらに,各枠の枠本体7における室内外側方向中間で長手方向に間隔を置いた複数部分にスリット状の穴11をそれぞれ加工する必要もない。
以上より,甲2文献に開示された発明として,以下の発明を認定することができる(以下,改修方法に係る発明を「甲2真発明1」,引違い窓に係る発明を「甲2真発明2」という。)。
[甲2真発明1]
建物躯体1の開口部2に取付けてある既存の金属引違い窓を引
違い窓に改修する方法であって,
上枠4,下枠5,左右の縦枠6は,室内外側方向に連続した枠
本体7と,この枠本体7の内面7aに一体的に設けた複数の内向
突片8を有するアルミ押出形材であり,上枠4,下枠5,左右の
縦枠6から形成される金属引違い窓の金属枠体3を建物躯体の開
口部に残存させ,
下枠5の室内側及び室外側の内向突片8は付け根付近から切断
し,
下枠22の下地材12を下枠5の室内外方向全体に渡って設け,
下枠22の下地材12の室内側部材13を下枠5の枠本体7の
内面7aの最も室内側の立面にビス16で取付け,
上枠21,下枠22,左右の縦枠23を枠組みしたもので,下
枠22は,室外側から室内側に向かって上方へ段差を成して傾斜
し,室外寄りが低く,室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備え
ている新設の枠体20を,下枠22の室内側部材24は下地材1
2の室内側部材13に直接ビス止めし,下枠22の室外側部材2
5を下地材12の室外側部材14に当接し,既存の金属枠体3の
上に下地材12を介して被せるようにして取付ける改修方法。

[甲2真発明2]
建物躯体1の開口部2に残存した既存の金属引違い窓の金属枠
体3は,上枠4,下枠5,左右の縦枠6から形成され,
上枠4,下枠5,左右の縦枠6は,室内外側方向に連続した枠
本体7と,この枠本体7の内面7aに一体的に設けた複数の内向
突片8を有するアルミ押出形材であり,
下枠5の室内側及び室外側の内向突片8は付け根付近から切断
され,
下枠22の下地材12を下枠5の室内外方向全体に渡って設け,
下枠22の下地材12の室内側部材13が下枠5の枠本体7の
内面7aの最も室内側の立面にビス16で取り付けられ,
上枠21,下枠22,左右の縦枠23を枠組みしたもので,下
枠22は,室外側から室内側に向かって上方へ段差を成して傾斜
し,室外寄りが低く,室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備え
ている新設の枠体20を,下枠22の室内側部材24は下地材1
2の室内側部材13に直接ビス止めし,下枠22の室外側部材2
5を下地材12の室外側部材14に当接し,既存の金属枠体3の
上に下地材12をかぶせるようにして取付けた,既存の金属引違
い窓を改修した引違い窓。
(ウ)

これに対し,本件審決は,甲2文献記載の改修用建具について,建
具における上記基本的な設計思想を無視し,特許請求の範囲に記載された発明を,甲2発明1及び2として断熱引違い窓の改修に関する発明に限定して認定したものであり,誤りである。

取消事由2(無効理由1及び2における本件発明と甲2発明1及び2との相違点の認定の誤り)
(ア)

本件審決は,無効理由1及び2についての検討を行うに際し,本件
発明1~3と甲2発明1との相違点の1つとして相違点2を認定し,また,本件発明4~6と甲2発明2との相違点の1つとして相違点Bを認定している。
しかし,上記アのとおり,そもそも本件審決における甲2発明1及び2の認定に誤りがあることから,本件発明1~3と甲2発明1及び本件発明4~6と甲2発明2との相違点を論じても無意味である。本件発明1~3と甲2真発明1,本件発明4~6と甲2真発明2とをそれぞれ対比すれば,その相違点は,以下の相違点2’(前者について)及び相違点B’(後者について)のとおりに認定されるべきである。
[相違点2’]
改修用引戸枠の材質に関し,本件発明1では,改修用上枠,改
修用竪枠及び改修用下枠はアルミニウム合金の押出し形材から成
るのに対し,甲2真発明1では,改修用引戸枠の材質については
何ら限定されるものではない点。
[相違点B’]
改修用引戸枠の材質に関し,本件発明4では,改修用上枠,改
修用竪枠及び改修用下枠はアルミニウム合金の押出し形材から成
るのに対し,甲2発明真2では,改修用引戸枠の材質については
何ら限定されるものではない点。
(イ)

本件審決も認めるとおり,アルミサッシの枠体としてアルミニウム
合金製の押出し形材から成るものを用いることは周知技術であるから,甲2真発明1及び甲2真発明2の枠体20を周知のアルミニウム合金製の押出し形材から成るものにすることは,当業者が容易になし得たことである。
そうすると,相違点2’及び相違点B’について,本件発明は,甲2文献に開示された発明に周知技術を適用することで当業者にとって容易
に想到することができたものである。
(ウ)

これに対し,本件審決は,甲2文献記載の発明を,誤って特許請求
の範囲に記載された発明に限定して認定することで,改修用引戸枠が,上枠21,下枠22及び縦枠23がアルミ押出形材の室内側部材24とアルミ押出形材の室外側部材25を断熱材26で連結したものであることを必須の構成とし,その前提の上で対比して相違点2及び相違点Bを認定しており,誤りである。
(2)

取消事由3(無効理由1の判断における本件発明と甲2発明1及び2と
の相違点についての判断の誤り)

仮に,本件発明と甲2文献に開示された発明との間に,本件審決が認定した相違点1,2及び5並びに相違点A,B及びEが存在するとしても,それら相違点についての本件審決の判断は,以下のとおり誤りである。

取消事由3-1(本件発明1~3と甲2発明1との相違点1についての判断の誤り)
(ア)

本件審決は,①甲2発明1の「下枠22の下地材12」は下枠5の
室内外方向全体に渡って設けることにより,スリット状の穴11を形成した下枠5の枠本体7を補強する機能を有するものであること,及び②甲2発明1の「下枠22の下地材12の室外側部材14」は,既存の金属枠体3に新設の断熱枠体20を取り付けるにあたり,下枠22の室外側部材25が当接されるものであることに照らせば,甲2発明1において,「下枠22の下地材12」に代えて,そのような機能を有しない甲3技術の「逆L字状の支持部材」を適用する動機付けはないから,甲2発明1において,下枠22の下地材12を下枠5の室内寄りに設けること,すなわち相違点1に係る本件発明1の構成とすることは当業者が容易になし得たとすることはできない旨判断した。(イ)

しかし,甲2発明1において相違点1に係る本件発明1の構成とす
るには,甲2発明1の下地材12を既設下枠の室内寄りに設けることが容易であればよく,「下枠22の下地材12」に代えて「逆L字状の支持部材」を適用する必要はない。本件審決は,相違点1に係る本件発明1の構成を正しく理解していない。
そして,甲3文献に「取付け補助部材を既設枠体の室内寄りに設ける」技術が記載されていることは明らかであるから,相違点1に係る本件発明1の構成は,甲2発明1の「下枠22の下地材12」に対して甲3技術を適用することにより当業者が容易になし得たことである。
すなわち,甲2文献の実施形態に記載されたスリット状の穴11は極めて室内寄りに形成されていることから,下地材12を,その室内側部材13と室外側部材14を断熱材15で連結してなる断熱構造をそのままに小さく形成することで,室内側部材13が枠本体7のスリット状の穴11よりも室内寄りの室内側部に取り付けられ,室外側部材14が枠本体7のスリット状の穴11よりも室外寄りの室外側部に取り付けられるものであっても,下地材12を室内寄りに設けることは十分に可能である。また,甲2発明1によって下地材12に求められる補強の程度は,樹脂や木材等の材料によっても達成できる程度の補強,又は各枠の長手方向に短尺(ピース)状のものを複数設けることで達成できる程度の補強であって(段落【0024】),その程度は定かでない。一方,見込み方向に小さく形成した下地材12であっても,スリット状の穴11をまたぐ形で既設下枠に取り付けることによって当然に既設下枠を補強することができるし,仮に,見込み方向に小さく形成した下地材12による補強の程度が足りないのであれば,下地材12を各枠の長手方向全長にわたるように形成したり,下地材12の厚み寸法を大きくするなどの強度を高めるための通常の工夫を施せば,スリット状の穴11が形成された既設下枠を補強することができることは,当業者にとって自明
である。
このように,本件審決は,甲2文献の記載を看過したものであり,上記①は,甲2発明1の「下枠22の下地材12」に対して甲3技術を適用する動機付けがないことの理由にはならない。
(ウ)

また,改修用下枠の室外寄りを既設下枠で支持する手法として,金
具等の取付け補助部材を介して支持すること,直接既設下枠で支持すること,スペーサを介して支持することは,いずれも改修用サッシの技術分野の当業者にとって周知技術である。他方,甲2発明1において,新設の断熱枠体20を下地材12を介さずに既設下枠に支持したとしても,既設下枠はスリット状の穴11が形成されて断熱処理が施されているため甲2発明1の作用効果の達成が妨げられるものではない。また,仮に,断熱性能が更に求められるのであれば,新設の断熱枠体20と既設下枠との間に断熱材料等からなる周知のスペーサ等を配置すれば済むことであり,その程度のことは当業者にとって通常の設計事項の範囲にすぎない。このように,甲2発明1の下枠22の室外側部材25が必ず下地材12を介して支持されなければならない理由はなく,下枠22の室外寄りを下枠5で直接支持したり,スペーサ等を介して支持することも,十分想定できる構成である。
このように,本件審決は,改修用サッシの技術分野における上記の周知技術を理解しないものであり,上記②は,甲2発明1の「下枠22の下地材12」に対して甲3技術を適用する動機付けがないことの理由にはならない。
(エ)

以上のように,本件審決の相違点1についての判断は,本件発明1
の相違点1に係る構成を正しく認識せず,甲2文献の記載事項及び当該技術分野における周知技術を看過してなされたものであり,誤りである。


取消事由3-2(本件発明1~3と甲2発明1との相違点2についての判断の誤り)
(ア)

本件審決は,サッシの枠体としてアルミニウム合金製の押出し形材
から成るものを用いることは周知であるとしながら,そうであったとしても,当業者にとって,断熱を目的とする甲2発明1において新設の断熱枠体20の上枠21,下枠22,左右の縦枠23をアルミニウム合金の押出し形材から成るものとすることは想到し得ない旨判断した。
(イ)

しかし,改修用サッシの技術分野において,断熱性を有する枠体は
甲2発明1の「アルミ押出形材の室内側部材とアルミ押出形材の室外側部材とを断熱材で連結した」枠体に限るものではなく,アルミニウム合金製の押出し形材からなる枠体であっても,断熱性が考慮され,窓枠全体として断熱性を備えることのできる枠体は存在する。また,甲2発明1の下地材12はその材質が樹脂,木材等でもよく,既設枠と新設枠との断熱を下地材12によって図ることもできるのであるから,甲2発明1の新設枠として,上記のようなアルミニウム合金製の押出し形材からなり断熱性を備える枠体を採用しても,建物躯体の開口部に残存させた既存の金属枠体を室内側部と室外側部とに熱が伝わり難くするとの構成による作用効果を妨げることはなく,その採用は十分に可能である。
(ウ)

本件審決は,アルミニウム合金製の押出し形材からなる枠体は断熱
性を全く考慮しないものであるとの誤った認識に基づき相違点2についての判断をしたものであって,誤りである。

取消事由3-3(本件発明1~3と甲2発明1との相違点5についての判断の誤り)
(ア)

本件審決は,甲2発明1において,下枠22の下地材12を下枠5
の室内寄りに設けることは当業者が容易になし得たとすることはできないところ,甲2発明1は,断熱枠体20の下枠22の室外側部材25を下地材12の室外側部材14に当接するものであるから,断熱枠体20の下枠22の室外寄りを,スペーサを介して金属枠体3の下枠5の室外寄りに接して支持するとの構成,すなわち相違点5に係る本件発明1の構成は採用し得ない旨判断した。
しかし,甲2発明1において下枠22の下地材12を下枠5の室内寄りに設けることが当業者にとって容易になし得たものであることは上記イのとおりであり,本件審決は,その判断の前提部分に誤りがある。(イ)

さらに,本件審決は,本件発明1のスペーサが甲号各証に開示され
ていることを認めながらも,改修用下枠の室外寄りをスペーサを介して既設下枠の室外寄りに接して支持することはいずれの証拠にも記載されておらず,周知技術であるとも認められないとし,仮に甲2発明1において下地材12を下枠5の室内寄りに設けることが当業者にとって容易に想到し得ることであったとしても,その際に,下枠22の室外寄りをスペーサを介して金属枠体3の下枠5の室外寄りに接して支持することが当業者にとって容易になし得たとすることはできない旨判断した。
しかし,甲2発明1において下枠22の下地材12を下枠5の室内寄りに設ければ,新窓の下枠25の室外寄りを下枠5によって支持しなければならないことは当然である。そして,前記イのとおり,改修用下枠の室外寄りを既設下枠で支持する手法として金具等の取付け補助部材を介して支持すること等はいずれも周知の技術であるし,改修用下枠の室外寄りをスペーサを介して既設下枠の室外寄りに接して支持することも,周知の技術に過ぎない。
したがって,甲2発明1にこれらの周知技術を採用し,新窓の下枠2
5を下枠5に接して支持すること,及び支持する際に,新窓の下枠25と既設枠の下枠5との間に隙間等があればその隙間を埋めるためにスペーサを介して既設枠の下枠5で支持することは,当業者が必要に応じて適宜なし得た設計事項に過ぎない。
(ウ)

加えて,実公昭58-45431号公報(甲7。以下「甲7文献」
という。)には「新窓枠5の下枠の室外寄りが既存のスチール製下枠の室外寄りに接して支持されている」技術,及び「新窓枠5の下枠の外側フランジ5a(前壁)を既存のスチール製下枠の垂下フランジ1b(前壁)にビス止めして固定する」技術を認めることができる。このことと,本件発明1のスペーサに相当する部材が周知であることに鑑みれば,相違点5に係る構成は,甲2発明1に甲7文献に開示された技術及び周知技術を適用することにより,当業者が容易になし得たものである。
(エ)

したがって,相違点5に係る本件審決の判断は誤りである。

取消事由3-4(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Aの判断についての誤り)
本件審決は,甲2発明2において,「下枠22の下地材12」に代えて,そのような機能を有しない甲3技術の「逆L字状の支持部材」を適用する動機付けはないから,下枠22の下地材12を下枠5の室内寄りに設けること,すなわち相違点Aに係る本件発明4の構成とすることは当業者が容易になし得たとすることはできない旨判断した。
この判断は,相違点1に係るものと同内容のものであるところ,当該判断が誤りであることは上記イのとおりである。
したがって,相違点Aに係る本件発明4の構成は,甲2発明2において,「下枠22の下地材12」に対し甲3技術を適用することにより当業者が容易になし得たことであり,相違点Aに係る本件審決の判断は誤
りである。

取消事由3-5(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Bの判断についての誤り)
本件審決は,サッシの枠体としてアルミニウム合金製の押出し形材から成るものを用いることは周知であるとしながら,当業者にとって,断熱を目的とする甲2発明2において新設の断熱枠体20の上枠21,下枠22,左右の縦枠23をアルミニウム合金の押出し形材から成るものとすることは想到し得ない旨判断した。
この判断は,相違点2に係るものと同内容のものであるところ,当該判断が誤りであることは上記ウのとおりである。
したがって,相違点Bに係る本件審決の判断は誤りである。


取消事由3-6(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Dの判断についての誤り)
(ア)

本件審決は,甲2発明2において,下枠22の下地材12を下枠5
の室内寄りに設けることは当業者が容易になし得たとすることはできず,そうすると,甲2発明2は,断熱枠体20の下枠22の室外側部材25を下地材12の室外側部材14に当接するものであるから,断熱枠体20の下枠22の室外寄りを,スペーサを介して金属枠体3の下枠5の室外寄りに接して支持するとの構成,すなわち相違点Dに係る本件発明4の構成は採用し得ない旨判断した。
しかし,甲2発明2において下枠22の下地材12を下枠5の室内寄りに設けることが当業者にとって容易になし得たものであることは上記イのとおりであり,本件審決は,その判断の前提部分に誤りがある。(イ)

さらに,本件審決は,本件発明4のスペーサが甲号各証に開示され
ていることを認めながらも,改修用下枠の室外寄りをスペーサを介して既設下枠の室外寄りに接して支持することはいずれの証拠にも記載
されておらず,周知技術であるとも認められないから,仮に甲2発明2において,下枠22の下地材12を下枠5の室内寄りに設けることが当業者にとって容易に想到し得ることであったとしても,その際に,下枠22の室外寄りをスペーサを介して金属枠体3の下枠5の室外寄りに接して支持することが当業者にとって容易になし得たとすることはできない旨判断している。
この判断は,相違点5に係るものと同内容のものであるところ,当該判断が誤りであることは上記エのとおりである。
したがって,相違点Dは,甲7文献に開示された技術及び周知技術から,当業者が容易になし得たものである。
(ウ)
(3)

以上のとおり,相違点Dに係る本件審決の判断は誤りである。

取消事由4(無効理由2の判断における本件発明と甲2発明1及び2と
の相違点についての判断の誤り)

取消事由4-1(本件発明1~3と甲2発明1との相違点1の判断についての誤り)
本件審決は,前記(2)イで引用したのと同様に,甲2発明1において,「下枠22の下地材12」に代えて甲4技術の「逆L字状の部材s」を適用する動機付けはなく,下枠22の下地材12を下枠5の室内寄りに設けること,すなわち相違点1に係る本件発明1の構成とすることは当業者が容易になし得たとすることはできない旨判断した。
この判断は,無効理由1の判断における相違点1に係るものと同内容のものであるところ,この判断が誤りであることは前記(2)イのとおりである。
したがって,相違点1に係る本件特許発明1の構成は,甲2発明1において,「下枠22の下地材12」に対して甲4技術を適用することにより当業者が容易になし得たことであって,相違点1に係る本件審決の
判断は誤りである。

取消事由4-2(本件発明1~3と甲2発明1との相違点2の判断についての誤り)
本件審決は,前記(2)ウで引用したのと同様の判断をしたところ,この判断が誤りであることは,前記(2)ウのとおりである。
したがって,相違点2に係る本件審決の判断は誤りである。


取消事由4-3(本件発明1~3と甲2発明1との相違点5の判断についての誤り)
本件審決は,前記(2)エで引用したのと同様の判断をしたところ,この判断が誤りであることは,前記(2)エのとおりである。
したがって,相違点5に係る本件審決の判断は誤りである。


取消事由4-4(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Aの判断についての誤り)
本件審決は,甲2発明2において,「下枠22の下地材12」に代えて,スリット状の穴11を形成した下枠5の枠本体7を補強する機能を有しない甲4技術の「逆L字状の部材s」を適用する動機付けはないから,甲2発明2において,下枠22の下地材12を下枠5の室内寄りに設けること,すなわち相違点Aに係る本件発明1の構成とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできないと判断した。
この判断は,無効理由2の判断における相違点A(ひいては相違点1)に係るものと同内容のものであるところ,この判断が誤りであることは前記(2)オのとおりである。
したがって,相違点Aに係る本件発明4の構成は,甲2発明2において,「下枠22の下地材12」に対して甲4技術を適用することにより当業者が容易になし得たことであって,相違点Aに係る本件審決の判断は誤りである。


取消事由4-5(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Bの判断についての誤り)
本件審決は,前記(2)カで引用したのと同様の判断をしたところ,この判断が誤りであることは前記(2)カのとおりである。
したがって,相違点Bに係る本件審決の判断は誤りである。


取消事由4-6(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Dの判断についての誤り)
本件審決は,前記(2)キで引用したのと同様の判断をしたところ,この判断が誤りであることは,前記(2)キのとおりである。
したがって,相違点Dに係る本件審決の判断は誤りである。

2
被告らの主張
(1)

取消事由1(無効理由1及び2における甲2発明1及び2の認定の誤り)
及び取消事由2(無効理由1及び2における本件発明と甲2発明1及び2との相違点の認定の誤り)に対し

取消事由1(無効理由1及び2における甲2発明1及び2の認定の誤り)に対し
(ア)

原告は,本件審決が認定した甲2発明1及び2から,甲2文献記載
の発明の技術課題である「断熱目的」に関連した構成部分を除いた構成を甲2真発明1及び2と認定しているけれども,これらの構成は,甲2文献記載の実施形態から,同文献記載の発明の課題及び作用効果と無関係な「枠体の構成」のみを取り出し,しかも当該「枠体の構成」を本件発明の構成に準じて抽象化・一般化したものであって,失当である。
引用発明(本件では甲2文献記載の発明)の認定は,対象とする特許発明の進歩性の判断のために行われることから,対象特許発明の構成要件との対比が重要であり,引用発明独自の構成を逐一認定する必要はな
いが,引用発明はその発明特定事項の構成に基づいて作用効果を奏する一体の技術的思想であるから,作用効果を達するために必須の構成に基づき行われるべきである。この点,本件審決による甲2文献記載の発明の認定は,その発明特定事項の構成に基づいてその作用効果を奏する一体の技術的思想として認定されており,合理性がある。
したがって,取消事由1には理由がない。
(イ)

また,原告は,甲2文献につき,改修用下枠を,下地材(取付け補
助部材)を基準として既設下枠に取り付ける技術に着目するとし,同文献記載の発明の下地材12につき,室外側から室内側に向かって上方へ段差を成して傾斜し,室外寄りが低く,室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備えている新設の枠体を支持する取付け補助部材であって,室内側が下枠5の枠本体7の内面7aの最も室内側部にビス17で取り付けられ,下地材12の室内側で新窓枠の下枠の室内側を支持する取付け補助部材として認められるとした上で,甲2文献の発明の詳細な説明全体の記載から,そのような取付け補助部材を備える改修建具に関する技術思想(発明)を認めることができる旨主張する。しかし,甲2文献記載の下地材12は,同文献の記載から,断熱性を向上させることを目的に行われた穴加工によって強度が低下した既存の金属枠体を補強するために用いられるものであって,それ以外の目的で用いられる旨の記載は同文献に一切存在しない。すなわち,原告主張に係る「改修用下枠を,下地材(取付け補助部材)を基準として既設下枠に取り付ける技術」なるものは甲2文献記載の発明とは何ら関係がないのであって,その誤った前提に基づく原告の主張はいずれも誤りである。(ウ)

さらに,原告は,甲2文献記載の発明につき,同文献の特許請求の
範囲の各請求項に係る発明に限定することなく認定した場合,新窓枠を構成する各枠及び下地材12ともに断熱形材である必要はなく,ま
た,スリット状の穴11をそれぞれ加工する必要もない旨主張する。しかし,甲2文献記載の発明における下地材12は,断熱性を向上させることを目的に行われた穴加工によって強度が低下した既存の金属枠体を補強するために用いられるものである。このため,甲2文献記載の発明において,「残存した既存の金属枠体を,室内側部と室外側部とに熱が伝わり難く」することをしないのであれば,スリット状の穴11をそれぞれ加工する必要はなく,そうである以上,既存の金属枠体の強度が低下する課題も当然無くなる。そうすると,甲2文献記載の発明において下地材12を用いる必要もなくなるが,そのような構成は,同文献(【0007】)記載の従来技術そのものとなる。
このように考えた場合,原告主張に係る甲2真発明1及び2を甲2文献から認定することは不可能となる。
(エ)

原告は,本件審決につき,甲2文献記載の改修用建具について,建
具における基本的な設計思想を無視し,あくまで特許請求の範囲に記載された発明を,引用発明として断熱引違い窓の改修に関する発明に限定したものであり誤りである旨主張する。
しかし,甲2文献記載の改修用建具の設計思想は,「本発明は,…室外の冷気が残存した既存の金属枠体を通して新設の断熱枠体の室内側部に伝わり難く,新設の断熱枠体の室内側部に結露が生じることがない建具の改修方法を提供することである。」(【0008】)というものであって,当該設計思想や技術思想を無視し,同文献記載の発明の作用効果を奏しない抽象化・一般化された独自の「枠体の構成」を主引用発明として認定しているのは原告であり,これを前提とする原告の主張は失当である。

取消事由2(無効理由1及び2における本件発明と甲2発明1及び2との相違点の認定の誤り)に対し

原告は,甲2文献記載の発明につき甲2真発明1及び2が認定されるべきことを前提として,これと本件発明との相違点としては,相違点2’及びB’が認定されるべきであるのに,本件審決は相違点2及びBを誤って認定したものである一方,真の相違点である相違点2’及びB’に関しては,本件発明は,甲2文献に開示された発明に周知技術を適用することで当業者にとって容易に想到することができたものである旨主張する。
しかし,前記のとおり,原告主張に係る甲2文献記載の発明の認定(甲2真発明1及び2)は誤りであるから,これを前提とする相違点の認定(相違点2’及びB’)に係る主張も誤りである。このような誤った相違点を前提とした取消事由2の主張には理由がない。
(2)

取消事由3(無効理由1の判断における本件発明と甲2発明1及び2と
の相違点についての判断の誤り)に対し

取消事由3-1(本件発明1~3と甲2発明1との相違点1についての判断の誤り)に対し
(ア)

原告は,甲2発明1において相違点1に係る本件発明1の構成とす
るには,甲2発明1の下地材12を既設下枠の室内寄りに設けることが容易であればよく,甲2発明1の「下枠22の下地材12」に代えて「逆L字状の支持部材」を適用する必要はなく,本件審決は相違点1に係る本件発明1の構成を正しく理解していないなどと主張する。しかし,甲2発明1と甲3文献記載の発明の組合せによる容易想到性の判断は,主引用発明である甲2発明1から出発して,本件発明1との相違点1を甲3文献記載の発明により本件発明1の構成に代えることが容易か否かを判断するのであるから,本件審決のように甲2発明1の「下枠22の下地材12」に代えて甲3文献記載の発明の「逆L字状の支持部材」を適用できるか否かを判断すべきなのであって,「甲2発明
1の下地材12を既設下枠の室内寄りに設けることが容易であればよい」というものではない。
そもそも,甲2発明1の「下枠22の下地材12」は下枠5の室内外方向全体に渡って設けることにより,スリット状の穴11を形成した下枠5の枠本体7を補強する機能を有する部材である。そうすると,当該下地材12を「既設下枠の室内寄りに設けることが容易であればよい」との原告の主張は,甲2文献記載の発明が対象とする下地材12の機能と両立し得ず,むしろこれを阻害するものである。
したがって,原告の上記主張は失当である。
(イ)

また,原告は,甲3文献に「取付け補助部材を既設枠体の室内寄り
に設ける」技術が記載されていることは明らかであるから,相違点1に係る本件発明1の構成は,甲2発明1の「下枠22の下地材12」に対して甲3文献に記載された技術を適用することにより,当業者が容易になし得たことであるなどと主張する。
しかし,甲3文献に「取付け補助部材を既設枠体の室内寄りに設ける」技術が記載されていることが明らかであるとしても,当該技術を甲2発明1の「下枠22の下地材12」に適用できるかどうかは別問題である。そもそも,進歩性の有無の判断は,法29条1項各号に掲げる発明から当業者が容易に発明できたか否かを判断するのであるから,引用例に記載されたひとまとまりの構成及び技術的思想の組み合わせとして問題となるのであり,原告が主張する甲2発明1の構成と甲3文献記載の発明の構成の組合せの問題ではない。
そして,甲2発明1の下地材12は,下枠5の室内外方向全体に渡って設けることにより,スリット状の穴11を形成した下枠5の枠本体7を補強すると共に室外の冷気の伝わりを防止するためのものであるから,既存の下枠5全体と一体となることを必須としている。そうすると,甲
2発明1の下地材12について甲3文献記載の発明の適用可能性を論ずるには,甲2発明1の不可分一体部分(既存の下枠5と下地材12)に代えて,甲3文献記載の発明の支持部材24だけでなく改装下枠1も含め,これら両部材を適用できるか否かについて判断しなければならず,この場合,甲3文献記載の発明の適用可能性がないことは明白である。そもそも,甲2発明1と甲3文献記載の発明には課題及び作用効果の共通性はなく,また,甲3文献記載の発明は,甲2文献に示された下地材12のような既設下枠5と新設の下枠22の結合部材を使用しないことを目的とし,これを排除する発明である。しかも,甲3文献記載の発明は改修用下枠をバリアフリーとする技術であり,甲2発明1のように改修用下枠を階段状とするものではない。このように,甲2発明1に甲3文献記載の発明を組み合わせる動機付けはなく,むしろ,阻害要因があるというべきであって,甲2発明1の下地材12に代えて甲3文献記載の発明の支持部材24を適用する可能性を論ずる余地はない。
以上のとおり,この点に関する本件審決の認定は正当であり,取消事由3-1は理由がない。
(ウ)

原告は,甲2発明1の下枠22の室外側部材25が必ず下地材12
を介して支持されなければならない理由はなく,周知技術を適用して下枠22の室外寄りを下枠5で直接支持したり,スペーサ等を介して支持することも,十分想定できるなどと主張する。
しかし,原告主張に係る周知技術が存在したとしても,当該周知技術を適用して本件発明の構成に至ることが容易であるというためには,主引用発明である甲2発明1に当該周知技術を組み合わせる動機付けが必要であるが,甲2発明1と原告主張の周知技術は課題や解決手段が異なるから,組み合わせる動機付けがない。また,前記のとおり,甲2発明1の下地材12は,下枠5の室内外方向全体に渡って設けることにより,
スリット状の穴11を形成した下枠5の枠本体7を補強すると共に室外の冷気の伝わりを防止するためのものであり,既存の下枠5全体と一体となっているものであるから,このような下地材12を周知技術の構成に代えることは不可能である。
しかも,原告の上記主張は,「甲2発明1において,新設の断熱枠体20を下地材12を介さずに既設下枠に支持したとしても,既設下枠はスリット状の穴11が形成されて断熱処理が施されているので,甲2発明1の作用効果の達成が妨げられるものではない」ことを理由とするけれども,これは,甲2発明1が対象とする改修用引戸枠の構成を前提としたものではない。甲2発明1は,下地材12を室外側部材14と室内側部材13を断熱材15で連結した断熱部材とし,室外側部材14を既設の枠体7のスリット状の穴11よりも室外寄りの室外端部に,室内側部材13を穴11より室内寄りの室内端部に,それぞれビスで固定する構成を採用することにより,甲2発明1の作用効果を奏するのであって,下地材12を除外した構成を前提とする原告主張は失当である。

取消事由3-2(本件発明1~3と甲2発明1との相違点2についての判断の誤り)に対し
原告は,改修用サッシの技術分野において,断熱性を有する枠体は甲2発明1の「アルミ押出形材の室内側部材とアルミ押出形材の室外側部材とを断熱材で連結した」枠体に限るものではないなどとした上で,本件審決は,アルミニウム合金製の押出し形材からなる枠体は断熱性を全く考慮しないものであるとの誤った認識に基づき相違点2についての判断をしたものであるなどと主張する。
しかし,甲2発明1は建物駆体の開口部に取り付けてある既存の金属建具を断熱建具に改修する方法に関するものであり,原告主張に係る「アルミニウム合金製の押出し形材からなり断熱性を備える枠体」は甲
2発明1が対象とする枠体ではない。また,本件審決は,「アルミニウム合金製の押出し形材からなる枠体は断熱性を全く考慮しない」とするのではなく,「断熱効果が低下する」と述べているのである。
したがって,原告の主張は失当であり,本件発明1~3と甲2発明1との相違点2に係る本件審決の判断に誤りはなく,取消事由3-2は理由がない。

取消事由3-3(本件発明1~3と甲2発明1との相違点5についての判断の誤り)に対し
(ア)

原告は,甲2発明1において下枠22の下地材12を下枠5の室内
寄りに設けることは当業者にとって容易になし得たものであることを根拠として,相違点5に係る本件審決の判断は誤りである旨主張する。しかし,上記原告主張の根拠それ自体が誤りであることは,上記アのとおりである。
(イ)

また,原告は,甲2発明1に周知技術を採用し,新窓の下枠25を
下枠5に接して支持すること,及び支持する際に新窓の下枠25と既設枠の下枠5との間に隙間等があればその隙間を埋めるためにスペーサを介して既設枠の下枠5で支持することは,当業者が必要に応じて適宜なし得た設計事項に過ぎないなどと主張する。
しかし,本件審決が認定するように,原告が周知技術とするものはいずれも改修用下枠の室外寄りをスペーサを介して既設下枠の室外寄りに接して支持するものではないから,原告の周知技術に関する主張は,誤りである。
さらに,甲7文献についても,甲2発明1と甲7文献記載の考案とは,課題及び作用効果の共通性がないから,甲2発明1に甲7文献記載の技術を組み合わせる動機付けがない。
(ウ)

以上より,この点に関する本件審決の認定に誤りはなく,取消事由
3-3は理由がない。

取消事由3-4(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Aの判断についての誤り)に対し
上記アのとおり,甲2発明2に甲3文献記載の発明を組み合わせる動機付けはないから,取消事由3-4は理由がない。


取消事由3-5(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Bの判断についての誤り)に対し
上記イのとおり,原告の主張は,甲2発明2が対象とする構成を無視して,これに代えて原告が独自に考える抽象的な構成を前提として反論しようとするものであり,失当である。
したがって,取消事由3-5は理由がない。


取消事由3-6(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Dの判断についての誤り)に対し
上記ウ及びエのとおり,相違点Dに対する原告の主張は誤りであり,取消事由3-6は理由がない。

(3)

取消事由4(無効理由2の判断における本件発明と甲2発明1及び2と
の相違点についての判断の誤り)に対し

本件審決が「広電己斐寮浴室改修工事」(甲4図面等に係る工事)に係る技術を公然知られたもの又は公然実施されたものと認定したことは誤りであるが,その認定を前提としても,以下のとおり,取消事由4は理由がない。


取消事由4-1(本件発明1~3と甲2発明1との相違点1の判断についての誤り)に対し
(ア)

原告は,甲2発明1に甲4図面等記載の発明を組み合わせ得ること
を前提に,本件審決は誤りである旨主張する。
しかし,甲2発明1は既設枠を断熱枠体に改修することを目的とする
のに対し,甲4図面等記載の発明はその技術的思想が不明である。また,その構成を見る限り,甲4図面等記載の発明は,階段状の既設枠(L1,m1等)に水平の改修用下枠をかぶせる技術である。このため,甲2発明1と甲4図面等記載の発明とは課題や作用効果の共通性がなく,甲2発明1に甲4図面等記載の発明を組み合わせる動機付けがないから,原告の主張はその前提において誤りである。
また,甲2発明1の下地材12は,「既存の金属枠体の穴よりも室内寄りの室内側部と穴よりも室外寄りの室外側部とに,室内側部と室外側部とに熱が伝わり難い下地材の室内側部と室外側部をそれぞれ連結」(甲2文献【請求項4】)して,「各枠の枠本体7に下地材12をそれぞれ取付けて穴11を形成した各枠を補強する」(【0024】)ことで,「既存の金属枠体を下地材で補強しているから,新設の断熱枠体が強固に取付けできる」(【0036】)との目的を果たすことを可能とするものである。仮に,原告主張に係る甲4図面等記載の発明の逆L字状の部材sを下地材12に代えて甲2発明1に適用しようとしても,甲2発明1において強度が低下した既存の金属枠体3の「穴よりも室内寄りの室内側部」と「穴よりも室外寄りの室外側部」に対して,甲4図面等記載の発明の逆L字状の部材sの「室内側部」と「室外側部」が連結できないことは明らかであり,また,連結可能な構成の記載や示唆もない。このため,甲4図面等記載の発明の逆L字状の部材sでは,甲2発明1の既存の下枠5を補強することができず,甲2公然実施発明の逆L字状の部材sを甲2発明1に適用する動機付けが存在せず,むしろ,逆L字状の部材sを適用する際の阻害要因が存在する。
さらに,そもそも甲2発明1の下地材12は,室内側部と室外側部とに熱が伝わり難くしたために強度が低下した既存の下枠5の強度を補強するため不可分一体となる部材であるから,甲2発明1の下地材12に
ついて甲4図面等記載の発明の適用可能性を論じる場合,この甲2発明1の不可分一体部分(既存の下枠5と下地材12)に代えて,甲4図面等記載の発明の逆L字状の部材sだけでなく既設下枠も含め,これら両部材を適用できるか否かを判断しなければならないところ,原告の主張は,甲2発明1から下地材12のみを抜き出して甲4図面等記載の発明の適用可能性を論じるものに過ぎない。
(イ)

以上より,この点に関する本件審決の認定は正当であり,取消事由
4-1は理由がない。

取消事由4-2(本件発明1~3と甲2発明1との相違点2の判断についての誤り)に対し
前記(2)イのとおり,原告は,甲2発明1が対象とする構成を無視し,当該構成に代えて原告が独自に考える抽象的な構成を前提として本件審決に反論しようとするものであり,失当である。
したがって,取消事由4-2は理由がない。


取消事由4-3(本件発明1~3と甲2発明1との相違点5の判断についての誤り)に対し
(ア)

前記(2)アと同様に,甲2発明1と甲4図面等記載の発明の組合せに
よる容易想到性の判断は,主引用発明である甲2発明1から出発して,本件発明1との相違点1を甲4図面等記載の発明により本件発明1の構成に代えることが容易か否かを判断するのであるから,本件審決のように甲2発明1の「下枠22の下地材12」に代えて甲4図面等記載の発明の「逆L字状の支持部材s」を適用できるか否かを判断すべきなのであって,「甲2発明1の下地材12を既設下枠の室内寄りに設けることが容易であればよい」というものではない。そもそも,甲2発明1の「下枠22の下地材12」は下枠5の室内外方向全体に渡って設けることにより,スリット状の穴11を形成した下枠5の枠本
体7を補強する機能を有する部材である。そうすると,当該下地材12を「既設下枠の室内寄りに設けることが容易であればよい」との原告の主張は,甲2文献記載の発明が対象とする下地材12と両立し得ず,むしろこれを阻害するものである。
したがって,原告の上記主張は失当である。
(イ)

原告は,相違点5につき,甲2発明1に甲7文献に開示された技術
及び周知の技術から,当業者が容易になし得たものである旨主張するけれども,これが誤りであることは前記(2)ウのとおりである。(ウ)

以上より,この点に関する本件審決の認定に誤りはなく,取消事由
4-3は理由がない。

取消事由4-4(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Aの判断についての誤り)に対し
原告は,相違点Aに係る本件発明4の構成は,甲2発明2において,「下枠22の下地材12」に対して甲4技術を適用することにより当業者が容易になし得たことである旨主張する。
しかし,上記イのとおり,甲4図面等記載の発明は技術的思想が不明であり,甲2発明2の課題及び作用効果と共通性がないから,甲2発明2に甲4図面等記載の発明を組み合わせる動機付けがない。また,甲4図面等記載の発明の逆L字状の部材sを下地材12に代えて甲2発明2に適用しようとしても,甲2発明2の「前記残存した既設の金属枠体における室内外側方向中間部に,穴を長手方向に間隔を置いて複数形成,又は長手方向全長に連続して形成する」ことによって強度が低下した既存の金属枠体3の「穴よりも室内寄りの室内側部」と「穴よりも室外寄りの室外側部」に対して,甲4図面等記載の発明の逆L字状の部材sにより「室内側部」と「室外側部」が連結できないことは明らかであり,連結可能な構成の記載や示唆もないから,甲4図面等記載の発明の逆L
字状の部材sを下地材12に代えることは不可能である。
以上より,この点に関する本件審決の認定に誤りはなく,取消事由4-4は理由がない。

取消事由4-5(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Bの判断についての誤り)に対し
前記(2)イのとおり,原告は,甲2発明2が対象とする構成を無視し,当該構成に代えて原告が独自に考える抽象的な構成を前提として本件審決に反論しようとするものであり,失当である。
以上より,この点に関する本件審決の認定に誤りはなく,取消事由4-5は理由がない。


取消事由4-6(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Dの判断についての誤り)に対し
前記(2)ウ及びエのとおり,原告主張は誤りであり,取消事由4-6は理由がない。

第4
1
当裁判所の判断
本件発明
本件発明に係る特許請求の範囲請求項の記載は,前記(第2の2)のとおりである。

2
本件明細書の記載等
本件明細書には,以下のような記載及び図が認められる(甲1)。(1)

技術分野
本発明は,建物の壁に窓として設けられている既設引戸を改修用引戸に
改修する引戸装置の改修方法,及び,その改修した改修引戸装置に関する。(【0001】)
(2)

背景技術
経年変化によって老朽化した集合住宅などの建物は,リフォームとも呼
ばれる改修工事の一環として,その建物に設けられる窓もまた,改修される。この窓は,集合住宅の場合,一棟に設けられる設置箇所数が多いため,改修作業の効率の向上が望まれている。(【0002】)
建物の開口部2には,この開口部2の開口3に下方から臨む下縁部4に固定される既設下枠5と,開口部2の前記開口3に左右両側から臨む両側縁部6にそれぞれ固定される一対の既設竪枠7と,開口部2の前記開口3に情報から臨む上縁部8に固定される既設上枠9とを有する既設引戸枠10が設けられ,この既設引戸枠10に改修用引戸装置1が装着される。(【0003】)
改修用引戸装置1は,…既設下枠5に固定される改修用下枠13と,各既設竪枠7に固定される一対の改修用竪枠14と,既設上枠9に固定される改修用上枠15と…を含む。(【0004】)
前記改修用下枠13は,既設下枠5の2本の案内レール21,22上に直接乗載されて,室外23側から螺着されたビス24によって固定される下枠下地材25と,前記2本の案内レール11,12を有し,下枠下地材25に室外23側から螺着されたビス26によって固定される下枠本体27と,下枠本体27に2本のビス28,29によって固定される…下枠補助材30とを含む。(【0005】)
(3)

発明が解決しようとする課題
このような従来の技術では,改修用下枠13が既設下枠5に載置された
状態で既設下枠5に固定されるので,改修用下枠13と改修用上枠15との間の空間の高さ方向の幅H1が小さくなり,有効開口面積が減少してしまうという問題がある。(【0010】)
また,改修用下枠13の下枠下地材30(裁判所注

正しくは「25」

と認められる。)は既設下枠5の案内レール21,22上に直接乗載され,その案内レール21,22を基準として固定されているから前述の改修用下
枠13と改修用上枠15との間の空間の高さ方向の幅H1がより小さくなり,有効開口面積が減少してしまうという問題がある。(【0011】)本発明の目的は,広い開口面積を確保することができる引戸装置の改修方法及び改修引戸装置を提供することである。(【0012】)
(4)

発明の効果
本発明によれば,既設下枠の室外側案内レールを切断して撤去したので,
改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅が大きく,有効開口面積が減少することがなく,広い開口面積が確保できる。
また,既設下枠に室内寄りに取付補助部材を設けるとともに,この取付け補助部材を既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面にビスで固着して取付け,取付け補助部材を基準として改修用引戸枠を既設引戸枠に取付けるので,既設引戸枠の形状,寸法に応じた形状,寸法の取付け補助部材を用いることで,形状,寸法が異なる既設引戸枠に同一の改修用引戸枠を取付けできる。(【0018】)
(5)

発明を実施するための最良の形態
図1は本発明の実施の一形態の改修用引戸装置50が設置された窓51の鉛直断面図であり,図2は図1の切断面線Ⅱ-Ⅱから見た窓51の水平断面図である。本実施の形態の改修用引戸装置50は,建物52の開口部53の開口54に下方から臨む下縁部55に,略水平…に固定される既設下枠56と,開口部53の前記開口54に左右両側から臨む両側縁部57,58に略鉛直…にそれぞれ固定される一対の既設竪枠59,60と,開口部53の前記開口54に上方から臨む上縁部61に略水平に固定される既設上枠62とを有する既設引戸枠63内に嵌まり込んだ状態で装着される。(【0019】)
この改修用引戸装置50は,…複数の案内レール66,67を有し,既設下枠56に室外73側から当接して支持される改修用下枠69と,
各既設竪枠59,60に室外73側から当接して支持される一対の改修用竪枠70,71と,既設上枠62に室外73側から当接して支持される改修用上枠72と…を含む。(【0020】)
改修用下枠69,各改修用竪枠70,71,改修用上枠72…は,アルミニウム合金の押出し形材から成る。上記の既設下枠56,各既設竪枠59,60,および既設上枠62もまた,アルミニウム合金の押出し形材から成る。(【0023】)


この改修用下枠69は,室外73に臨んで略水平な間口方向…に延びる
前壁80と,前壁80の上端部に室内68側へ屈曲して連なり,室外73から室内68に向かって上方へ段差を成して傾斜する底壁81と,底壁81の最も室内68寄りの端部付近から下方へ突出する支持壁89と,底壁81から上方へ突出する2本の案内レール66,67と…を有する。(【0024】)
底壁81は,室外73から室内68に向かって第1~3底壁部85,86,87を有する。(【0025】)
前記既設下枠56は,…前壁102と,前壁102の上端部から室内68に向かって上方へ傾斜する…底壁103と,底壁103の最も室内68側の端部に連なり,室内側案内レール67と同一高さまで立ち上がる背後壁104と,…室外側案内レール114と,室内側案内レール115とを有する。(【0027】)
前記室外側案内レール114は,改修用下枠69を装着するにあたって,改修用下枠69の取付けスペースを確保するため,図1…の仮想線で示されるように,付け根付近から切断されて撤去されている。(【0028】)
このような既設下枠56と改修用下枠69との間には,取付け補助部材106が介在される。この取付け補助部材106は,室外側壁部107と,室内側壁部108と,室外側壁部107および室内側壁部108の各上端部に連なる上壁部109とを有し,断面逆U字状の長尺材から成る。この取付け補助部材106は,既設下枠56に,室内側案内レール115に室外73側から室外側壁部107を当接させ,かつ背後壁104に室外73側から室内側壁部108を当接させた状態で,前記上壁部109を上方にして装着される。前記室外側壁部107は,室内側案内レール115にビス110によって固定される。(【0029】)取付け補助部材106の上壁部109には,装着された改修用下枠6
9の室内側脚部分91と支持壁89とが支持され,第3底壁部87がビス111によって固定される。また,前壁80は,ビス112によって既設下枠56の前壁102に固定される。(【0030】)
このようにして改修用下枠69が既設下枠56に取付けられた状態では,第3底壁部86の最も室内68側の端部112が既設下枠56の背後壁104に室外73側から当接し,前記前壁80が既設下枠56の前壁102に当接して,改修用下枠69が既設下枠56に対して図1の左右方向である見込み方向に位置決めされ,位置決め作業に手間がかからず,容易に取付けることができる。(【0031】)
また,前壁80を室外73側から室内68側に向かって螺着されたビス112によって既設下枠56の前壁102に固定するので,取付け作業中に改修用下枠69が既設下枠56に対して室外73側にずれてしまうことが防がれ,単にビス112を締付ければ,改修用下枠69を既設下枠56に対して位置決めされ,取付け作業の効率が向上される。(【0032】)

本実施の形態によれば,改修用下枠69は既設下枠56に室外73側から当接して支持され,各改修用竪枠70,71は各既設竪枠59,60に室外73側から当接して支持され,改修用上枠72は既設上枠62に室外73側から当接して支持される。(【0056】)
このように改修用下枠69,各改修用竪枠70,71及び改修用上枠72は,…既設引戸枠63に取付けられるので,前記従来の技術…に比べて,部品点数が少なく,取付作業の作業工程数が削減され,改修用下枠69,各改修用竪枠70,71,および改修用上枠72を既設引戸枠63に容易に設けることが可能となる。(【0057】)
また,前記従来の技術のように,改修用下枠と下枠下地材との間…に,下枠補助材…が介在されないので,改修用上枠72と改修用下枠69と
の間の間隔,すなわち高さ方向の幅が大きく減少せず,…広い有効開口面積を確保することができる。(【0058】)
また,本実施の形態によれば既設下枠56の室外側案内レール114を切断して撤去し,取付け補助部材106の上壁部109に改修用下枠69の室内側脚部分91と支持壁89を支持しているので,改修用下枠13と改修用上枠15との間の空間の高さ方向の幅が大きく,有効開口面積が減少することが少ない。
しかも,取付け補助部材106を基準として改修用下枠69を取付けできるから,既設下枠56の形状,寸法に応じた形状,寸法の取付補助部材106を用いることで,同一の改修用下枠69を取付けできる。(【0060】)

図6は本発明の実施の他の形態の改修用引戸装置50bが設置された窓51の鉛直断面図で…ある。…本実施の形態の改修用引戸装置50bは,基本的には前述の図1,図2に示す実施形態の改修用引戸装置50と同様に構成され,建物52の開口部53の開口54に下方から臨む下縁部55に,略水平に固定される既設下枠56と,開口部53の前記開口54に左右両側から臨む両側縁部57,58に略鉛直にそれぞれ固定される一対の既設竪枠59,60と,開口部53の前記開口54に上方から臨む上縁部61に略水平に固定される既設上枠62とを有する既設引戸枠63内に嵌まり込んだ状態で装着される改修用引戸装置50bであって,…複数の案内レール66,67を有し,既設下枠56に室内68側から支持される改修用下枠69と,…既設下枠56に取付けた取付け補助部材106とを含む。(【0067】)
この実施の形態の既設下枠56,改修用下枠69,取付け補助部材106は図1,図2に示す実施の形態の既設下枠56,改修用下枠69,取付け補助部材106とほぼ同様で,既設下枠56の背後壁104の上
端部に室内68側に向かう横向片104aを有し,この横向片104aと改修用下枠69の支持壁89の上端が同一高さであること…が大きく相違する。(【0069】)
具体的には,既設下枠56の室外側案内レール114を図6の仮想線で示すように切断して撤去されている。…
取付け補助部材106は,その室外側壁部107が室内側案内レール115にビス110で固着して取付けられる。
改修用下枠69の支持壁89,室内側脚部分91が取付け補助部材106の上壁部109に支持され,底壁81の室外寄りがスペーサ301を介して既設下枠56の底壁103の室外寄りに支持され,ビス112で取付け補助部材106に固定される。(【0070】)

この実施の形態によれば,図1と図2と同様な作用効果を奏すると共
に,次のような作用効果を奏する。
(1)

既設下枠56に取付け補助部材106を取付け,改修用下枠69

の室内側脚部分91,支持壁89(つまり,改修用下枠69の室内側部分)を取付け補助部材106に載置し,その取付け補助部材106にビス112で固着して取りと付けたことをによって(裁判所注

原文マ

マ),その取付用補助部材106の高さ寸法を変えることで,異なる形状の既設下枠56にも同一形状の改修用下枠56(裁判所注

正しくは

「69」と認められる。)を,その支持壁89と背後壁104を同一高さに取付けることが可能である。(【0091】)

図14に示すように,既設下枠56の室内側案内レール115を前述と同様に切断して撤去し,取付け補助部材106を既設下枠56の背後壁104にビス110で固着しても良い。
例えば,取付け補助部材106の室内側壁部108を既設下枠56の背後壁104にビス110で固着する。(【0100】)

3
本件発明の特徴
本件明細書の前記各記載によれば,本件発明の特徴は,以下のとおりであると認められる。
(1)

本件発明は,既設引戸を改修用引戸に改修する引戸装置の改修方法及び
その改修した改修引戸装置に関する(【0001】)。
(2)

集合住宅の改修工事の一環として改修される窓は,一棟に設けられる設
置箇所数が多いため,改修作業の効率化が望まれる。その際に使用される改修用引戸装置は,建物の開口部に設けられた既設引戸枠に装着されるところ,従来の技術では,改修用引戸装置の改修用下枠は,既設下枠に載置された状態で固定され,改修用下枠の下枠下地材は既設下枠の2本の案内レール上に直接乗載されるので,改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅が小さくなり,有効開口面積が減少するという問題があった(【0002】~【0006】,【0010】,【0011】)。
本件発明の目的は,広い開口面積を確保することができる引戸装置の改修方法及び改修引戸装置を提供することである(【0012】)。(3)

本件発明によれば,既設下枠の室外側案内レールを切断して撤去したこ
とにより,改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅が大きく,有効開口面積が減少することがなく,広い開口面積が確保できる。また,既設下枠に室内寄りに取付け補助部材を設けるとともに,この取付け補助部材を既設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる背後壁の立面にビスで固着して取り付け,取付け補助部材を基準として改修用引戸枠を既設引戸枠に取り付けるので,既設引戸枠の形状,寸法に応じた形状,寸法の取付け補助部材を用いることで,形状,寸法が異なる既設引戸枠に同一の改修用引戸枠を取り付けできる(【0018】)。
(4)

本件発明の改修用引戸装置は,既設引戸枠の既設下枠に室外側から当接
して支持される改修用下枠と,一対の既設竪枠に室外側から当接して支持される一対の改修用竪枠と,既設上枠に室外側から当接して支持される改修用上枠とを含み,改修用下枠,各改修用竪枠及び改修用上枠,並びに既設下枠,各既設竪枠及び既設上枠は,いずれもアルミニウム合金の押出し形材から成る(【0019】~【0023】)。

本件発明の改修用下枠は,室外側の前壁と,前壁の上端部に連なり,室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜する底壁と,底壁の最も室内寄りの端部付近から下方へ突出する支持壁と,底壁から上方へ突出する2本の案内レールとを有し,底壁は,室外から室内に向かって第1~3底壁部を有する(【0024】,【0025】)。
他方,本件発明の既設下枠は,室外側の前壁と,前壁の上端部から室内に向かって上方へ傾斜する底壁と,底壁の最も室内側の端部に連なり,改修用下枠の室内側案内レールと同一高さまで立ち上がる背後壁とを有しており,既設下枠の室外側案内レールは,改修用下枠を装着するにあたって,その取付けスペースを確保するために,付け根付近から切断撤去される(【0027】,【0028】)。
本件発明の取付け補助部材は,既設下枠の背後壁に室外側から当接させた状態でビスにより固着される。この取付け補助部材を基準として改修用下枠を取り付けることができるので,既設下枠の形状,寸法に応じた取付け補助部材を用いることで,同一の改修用下枠を形状,寸法が異なる既設下枠に対して取り付けることができる。また,改修用下枠の前壁は,ビスにより既設下枠の前壁に固定されるので,ビスを締め付けることで改修用下枠を既設下枠に対して位置決めでき,作業効率が向上する。なお,改修用下枠の底壁の室外寄りは,スペーサを介して既設下枠の底壁の室外寄りに支持される(【0029】~【0032】,【0060】,【0069】,【0070】,【0100】)。
4
取消事由1(無効理由1及び2における甲2発明1及び2の認定の誤り)及び取消事由2(無効理由1及び2における本件発明と甲2発明1及び2との相違点の認定の誤り)について
(1)

甲2文献記載の発明
甲2文献には,以下の記載及び図が認められる。

(ア)

特許請求の範囲

【請求項1】建物躯体の開口部に取付けてある既存の金属建具を断熱建具に改修する方法であって,
前記既存の金属建具の金属枠体を建物躯体の開口部に残存させ,
この残存した既存の金属枠体を,室内側部と室外側部とに熱が伝わり難くし,
新設の断熱建具の断熱枠体を,前記建物躯体の開口部に取付けることを特徴とする建具の改修方法。
【請求項2】前記残存した既設の金属枠体における室内外側方向中間部に,穴を長手方向に間隔を置いて複数形成,又は長手方向全長に連続して形成することで室内側部と室外側部とに熱が伝わり難くした請求項1記載の建具の改修方法。
【請求項3】前記穴に断熱材を注入充填又は,断熱材の成形品を嵌め込んだ請求項2記載の建具の改修方法。
【請求項4】前記既存の金属枠体の穴よりも室内寄りの室内側部と穴よりも室外寄りの室外側部とに,室内側部と室外側部とに熱が伝わり難い下地材の室内側部と室外側部をそれぞれ連結した請求項2記載の建具の改修方法。
【請求項5】前記新設の断熱枠体の室内側部を,前記下地材の室内側部に固着した請求項4記載の建具の改修方法。」
(イ)

発明の属する技術分野
本発明は,引き違い窓などの開き窓,引き違い戸などの引戸,玄関ド
アなどのドア等の建物躯体の開口部に取付けてある既存の金属建具を断熱建具に改修する方法に関する。(【0001】)
(ウ)

従来の技術
開き窓,引戸,ドア等の枠体に障子戸・扉などを開閉自在に装着した
建具は,長い年月が経過することで老朽化し,見栄えが悪くなると共に,開閉操作がやりずらくなったり等の不具合が発生する。このために,既存の建具を新設の建具に改修する方法が種々提案されている。(【0002】)
例えば,既存の建具の枠体から障子戸・扉などを取り外して枠体を建物躯体の開口部に残存させる。この残存した既存枠体の上に新設の建具の枠体(以下新設枠体という)をかぶせて取付け,その新設枠体に障子戸・扉などを装着して新設の建具に改修するかぶせ工法と呼ばれる改修方法が提案されている。(【0003】)
(エ)

発明が解決しようとする課題
集合住宅などに取付けてある建具は,スチール,アルミ等の金属枠体
に障子戸,扉などを装着した金属建具が多い。この金属建具は,金属枠体の室外側部と室内側部とに熱が伝わり易いから,室内と室外とに金属枠体を通して熱が伝わり易く,室内冷暖房効率が悪い。また,室外の冷気が金属枠体の室内側部に伝わり,その金属枠体の室内側部に結露が生じる。(【0004】)
このことを解消するために,室内側部と室外側部とに熱が伝わり難い断熱枠体に障子戸・扉などを装着した断熱建具が提案されている。例えば,アルミ押出形材の室内側部材と室外側部材を断熱材で連結した断熱形材を枠組みした断熱枠体に障子戸・扉を開閉自在に装着した断熱建具が提案されている。(【0005】)
この断熱建具であれば,断熱枠体を通して室内と室外に熱が伝わり難いので,室内冷暖房効率が向上する。また,室外の冷気が断熱枠体の室内側部に伝わり難く,断熱枠体の室内側部に結露が生じないようにできる。(【0006】)
前述のことから,集合住宅などに取付けてある既存の金属建具を新設
の断熱建具に改修することが考えられる。しかしながら,前述した従来の改修方法により既存の金属建具を新設の断熱建具に改修すると,建物躯体の開口部に金属枠体が残存する。この残存した既設の金属枠体を通して室外の冷気が新設の断熱枠体の室内側部に伝わり,その室内側部に結露が生じる。このために,断熱枠体の室内側部に結露が生じないという断熱建具の利点が損なわれてしまう。(【0007】)
本発明は,前述の課題を解決するためになされたものであって,その目的は,室外の冷気が残存した既存の金属枠体を通して新設の断熱枠体の室内側部に伝わり難く,新設の断熱枠体の室内側部に結露が生じることがない建具の改修方法を提供することである。(【0008】)(オ)

課題を解決するための手段
第1の発明は,建物躯体の開口部に取付けてある既存の金属建具を断
熱建具に改修する方法であって,前記既存の金属建具の金属枠体を建物躯体の開口部に残存させ,この残存した既存の金属枠体を,室内側部と室外側部とに熱が伝わり難くし,新設の断熱建具の断熱枠体を,前記建物躯体の開口部に取付けることを特徴とする建具の改修方法である。(【0009】)
第2の発明は,第1の発明において前記残存した既設の金属枠体における室内外側方向中間部に,穴を長手方向に間隔を置いて複数形成し,又は長手方向全長に連続して形成することで室内側部と室外側部とに熱が伝わり難くした建具の改修方法である。(【0010】)
第3の発明は,第2の発明において前記穴に断熱材を注入充填又は,断熱材の成形品を嵌め込んだ建具の改修方法である。(【0011】)第4の発明は,第2の発明において前記既存の金属枠体の穴よりも室内寄りの室内側部と穴よりも室外寄りの室外側部とに,室内側部と室外側部とに熱が伝わり難い下地材の室内側部と室外側部をそれぞれ連結し
た建具の改修方法である。(【0012】)
第5の発明は,第4の発明において前記新設の断熱枠体の室内側部を,前記下地材の室内側部に固着した建具の改修方法である。(【0013】)
(カ)

作用(なお,甲2文献には,発明の効果としても同旨の記載がある。
【0033】~【0037】)
第1の発明によれば,室外の冷気が,残存した既存の金属枠体を通して新設の断熱枠体の室内側部に伝わり難く,新設の断熱枠体の室内側部に結露が生じない。よって,既存の金属建具を断熱建具に改修することが可能である。(【0014】)
第2の発明によれば,穴加工することで既存の金属枠体を,その室内側部と室外側部とに熱が伝わり難くできる。(【0015】)
第3の発明によれば,既存の金属枠体の穴加工による強度低下を補償できる。(【0016】)
第4の発明によれば,既存の金属枠体を下地材で補強しているから,新設の断熱枠体が強固に取付けできる。(【0017】)
第5の発明によれば,既存の金属枠体の室内側部に伝わった室外の冷気が新設の断熱枠体の室内側部に直接的に伝わることがない。新設の断熱枠体の室内側部が下地材の室内側に固着されているので,その断熱枠体を強固に取付けできる。(【0018】)
(キ)

発明の実施の形態
図1と図2に示すように,建物躯体1,例えばコンクリート又はPC
板の開口部2に金属建具,例えば金属引き違い窓が取付けてある。この金属引き違い窓は金属枠体3に図示しない障子戸を引き違いに装着してある。前記金属枠体3を形成する上枠4,下枠5,左右の縦枠6は,室内外側方向に連続した枠本体7と,この枠本体7の内面7aに一体的に
設けた複数の内向突片8を有するアルミ押出形材である。スチールであっても良い。前記枠本体7の外面寄り部にブラケット9を係止して取付け,このブラケット9がアンカー10に溶接等で固着されている。(【0019】)

前記既存の金属引き違い窓を新設の断熱引き違い窓に改修する手順を
説明する。金属枠体3から障子戸を取り外して金属枠体3を残存させる。前述のように金属枠体3を残存させることで,その金属枠体3を建物躯体1から取り外す手間がはぶけ,改修作業効率が向上する。また,建物躯体1がコンクリート,PC板等の場合には残存した既存の金属枠体3に,後述するように下地材又は新設の断熱枠体をビス止めできるから,建物躯体1がコンクリート,PC板等のビスを直接的に螺合することが難しい場合に有利である。(【0020】)
前記残存した既存の金属枠体3における上枠4,下枠5,縦枠6の各内向突片8の図1,図2に斜線で示す部分を切断して除去する。前記上枠4,下枠5,縦枠6を,室内側部と室外側部とに熱が伝わり難くする。例えば,各枠の枠本体7における室内外側方向中間で長手方向に間隔を置いた複数部分に穴11をそれぞれ加工する。この穴11は室内外側方向に短かく,長手方向に長いスリット状の穴である。このスリット状の穴11はグラインダーやセーバーソー,プラズマ切断機等で加工する。すなわち,前述の改修作業は室内に人が居住している状態で実施されることが多く,火炎や火花が発生しない加工方法で加工することが好ましい。また,上枠4,下枠5,縦枠6の内向突片8が切断して除去されているので,前述の穴11の加工作業を容易に実施できる。(【0021】)
これにより,上枠4,下枠5,縦枠6の室内側部と室外側部の連続する面積が減少し,残存した既存の金属枠体3の室外側部と室内側部とに亘って熱が伝わり難くなる。(【0022】)
前記スリット状の穴11にウレタン系樹脂などの断熱材11aを注入充填したり,樹脂,ゴムなどの断熱材の成形品を嵌め込んでスリット状の穴11による各枠の強度低下を補償するようにしても良い。(【0023】)

図3,図4に示すように,各枠の枠本体7に下地材12をそれぞれ取付けて穴11を形成した各枠を補強する。この四周の下地材12が新設の断熱引き違い窓の取付用開口部で,前記上枠4,下枠5,縦枠6の内向突片8が切断して除去してあるので,その取付用開口部が大きい。この下地材12は金属,例えばアルミ押出形材の室内側部材13とアルミ押出形材の室外側部材14を断熱材15で連結した断熱形材である。この下地材12は断熱形材に限ることはなく,樹脂,木材,合成木などでも良い。つまり下地材には室内側部と室外側部に熱が伝わり難いものであれば良い。前記下地材12は各枠と略同一長さの長尺であるが,短尺の下地材12を各枠の長手方向に間隔を置いて複数取付けても良い。前記下地材12の室内側部材13が枠本体7のスリット状の穴11よりも室内寄りの室内側部にビス16で取付けられる。前記下地材12の室外側部材14が枠本体7のスリット状の穴11よりも室外寄りの室外側部にビス17で取付けられる。これによって,各枠本体7(つまり,上枠4,下枠5,縦枠6)を補強すると共に,その室内側部と室外側部に下地材12を通して熱が伝わらないようにする。(【0024】)
この後に新設の引き違い窓の断熱枠体20を取付ける。前記新設の断熱枠体20は上枠21,下枠22,左右の縦枠23を枠組みしたもので,その各枠は,金属,例えばアルミ押出形材の室内側部材24と金属,例えばアルミ押出形材の室外側部材25を断熱材26で連結した断熱形材である。前記各室内側部材24を下地材12の室内側部材13に,木,樹脂等の断熱材のスペーサ27を介してビス28で連結する。なお,下枠22の室内側部材24は下地材12の室内側部材13に直接ビス止めする。各室外側部材25を下地材12の室外側部材14に当接し,新設の断熱枠体20を既存の金属枠体3の上に下地材12を介してかぶせるようにして取付ける。前記上枠21,縦枠23における室外側部材25
と下地材12の室外側部材14との当接部を水密材29で水密し,その当接部から雨水等が浸入しないようにする。(【0025】)
このようにすることで,室外の冷気は既存の金属枠体3の室内側部に伝わり難いから,室外の冷気が既存の金属枠体3を通って断熱枠体20の室内側部(室内側部材24)に伝わり難い。しかも,室外の冷気は各枠の室外側部材25と下地材12の室外側部材14に伝わるが,これら室外側部材25,14に伝わった室外の冷気は下地材12の室内側部材13,既存の金属枠体3の室外側部に伝わり難い。よって,断熱枠体20の室内側部(室内側部材24)に室外の冷気がより一層伝わり難い。(【0026】)
また,新設の断熱枠体20が下地材12を介して既存の金属枠体3に強固に取付けられる。前記スリット状の穴11と下地材12の断熱材15と新設の断熱枠体20の各枠の断熱材26は室内外方向に略同一位置である。これにより,輻射熱等で室内外部材と室外側部材とに熱が伝わり難い。(【0027】)
前記残存した既存の金属枠体3の残存した部分の室内側部と新設の断熱枠体20の各枠の室内側部材24とに亘って内部額縁30をそれぞれ取付けて室内側部の見栄えを良くする。この内部額縁30は表面(室内に露出する面)に熱が伝わり難く,断熱性を有するものである。例えば,アルミ押出形材の内部額縁30の表面に樹脂カバー31を嵌め込んで取付ける。アルミ押出形材の内部額縁30の裏面にウレタン等の断熱樹脂を吹きつけ,又は裏面に成形した断熱材を設ける。木材,合成木で内部額縁30を作製する。(【0028】)
前述のスリット状の穴11を枠本体7の室内外側方向中間部に長手方向に連続して形成(つまり,切断)することで,その室内側部と室外側部に熱が伝わらないようにしても良い。すなわち,既存の金属枠体3の
室内外側方向中間部に熱が伝わらない部分を加工すれば良い。(【0029】)
前記新設の断熱枠体20は,アルミ押出形材の室外側部材の室内側部に樹脂の室内側部材を連結した複合枠材を枠組みしたものでも良い。例えば,図5と図6に示すように,上枠21,下枠22,縦枠23をアルミ押出形材の室外側部材40の室内側部に樹脂の室内側部材41を連結したアルミと樹脂の複合枠材とする。前記室外側部材40は,アルミ押出形材の室外側部40aと室内側部40bを断熱材40cで連結した断熱形材であるが,アルミ押出形材の一体形状でも良い。この場合の改修方法は前述の改修方法と同様である。(【0030】)
前記断熱枠体20の室内側部(上枠21,下枠22,縦枠23の室内側部材24)を,下地材12の室内側部材13ではなく,残存した既設の金属枠体3における穴11よりも室内寄りの室内側部にビス等で固着しても良い。(【0032】)

甲2文献記載の発明
(ア)

以上より,本件発明と対比すべき甲2文献記載の発明として,以下
の発明が認められる。
a
開き窓等の枠体に障子戸等を開閉自在に装着した建具が老朽化し,不具合が発生した際に,既存の建具を新設の建具に改修する方法として,例えば,既存の建具の枠体を建物躯体の開口部に残存させ,この残存した既存枠体の上に新設の建具の枠体をかぶせて取り付け,その新設枠体に障子戸等を装着して新設の建具に改修するかぶせ工法と呼ばれる改修方法が提案されている(【0002】,【0003】)。集合住宅に多く取り付けてある金属建具は,室内と室外とに金属
枠体を通して熱が伝わり易いため冷暖房効率が悪く,また,室外の冷気が金属枠体の室内側部に伝わり結露が生じる(【0004】)。そ
こで,室内側部と室外側部とに熱が伝わり難い断熱枠体,例えば,アルミ押出形材の室内側部材と室外側部材を断熱材で連結した断熱形材を枠組みした断熱枠体を用いた断熱建具が提案されている(【0005】)。しかし,従来のかぶせ工法により既存の金属建具を新設の断熱建具に改修する場合,建物躯体の開口部に残存した既設の金属枠体を通して室外の冷気が新設の断熱枠体の室内側部に伝わり結露が生じるために断熱建具の利点が損なわれる(【0007】)。
b
そこで,室外の冷気が残存した既存の金属枠体を通して新設の断熱枠体の室内側部に伝わり難くし,新設の断熱枠体の室内側部に結露が生じないようにするために(【0008】),建物躯体の開口部に残存させた既存の金属建具の金属枠体を,室内側部と室外側部とに熱が伝わり難くし,新設の断熱建具の断熱枠体を前記建物躯体の開口部に取り付ける構成とした(【請求項1】,【0009】)。また,残存した既設の金属枠体を熱が伝わり難くするために,その室内外側方向中間部に,穴を長手方向に間隔を置いて複数形成し,又は長手方向全長に連続して形成し(【請求項2】,【0010】),前記既存の金属枠体の穴よりも室内寄りの室内側部と穴よりも室外寄りの室外側部とに,室内側部と室外側部とに熱が伝わり難い下地材の室内側部と室外側部をそれぞれ連結して,既存の金属枠体を下地材で補強し(【請求項4】,【0012】,【0017】),前記新設の断熱枠体の室内側部を前記下地材の室内側部に固着することで,既存の金属枠体の室内側部に伝わった室外の冷気が新設の断熱枠体の室内側部に直接的に伝わることがなく,また,断熱枠体を強固に取り付けできるようにした(【請求項5】,【0013】,【0018】)。

c
その実施の形態は,以下のとおりである。建物躯体1の開口部2に金属引き違い窓等の金属建具が金属枠体3に装着されて取り付けられ,
金属枠体3は,上枠4,下枠5,左右の縦枠6が室内外側方向に連続するように形成された枠本体7と,この枠本体7の内面7aに一体的に設けた複数の内向突片8を有するアルミ押出形材である(【0019】)。この既存の金属引き違い窓を新設の断熱引き違い窓に改修する際,金属枠体3を残存させ,前記残存した既存の金属枠体3における上枠4,下枠5,縦枠6の各内向突片8の図1,図2に斜線で示す部分を切断して除去し,前記上枠4,下枠5,縦枠6を,室内側部と室外側部とに熱が伝わり難くするために,例えば,各枠の枠本体7における室内外側方向中間で長手方向に間隔を置いた複数部分にスリット状の穴11をそれぞれ加工する(【0020】~【0022】)。各枠の枠本体7に下地材12をそれぞれ取り付け,穴11を形成した各枠を補強するが,この下地材12は,金属,例えばアルミ押出形材の室内側部材13とアルミ押出形材の室外側部材14を断熱材15で連結した断熱形材など,室内側部と室外側部に熱が伝わり難いものであり,各枠と略同一長さの長尺であるか,短尺のものを各枠の長手方向に間隔を置いて複数取り付けたものである。下地材12の室内側部材13を枠本体7のスリット状の穴11よりも室内寄りの室内側部にビス16で取り付け,下地材12の室外側部材14を枠本体7のスリット状の穴11よりも室外寄りの室外側部にビス17で取り付けることにより,各枠本体7(上枠4,下枠5,縦枠6)を補強すると共に,その室内側部と室外側部に下地材12を通して熱が伝わらないようにする(【0024】)。この後に新設の引き違い窓の断熱枠体20を取り付けるが,新設の断熱枠体20は,上枠21,下枠22,左右の縦枠23を枠組みしたもので,各枠は,金属,例えばアルミ押出形材の室内側部材24とアルミ押出形材の室外側部材25を断熱材26で連結した断熱形材である。下枠22の室内側部材24は下地材12の
室内側部材13に直接ビス止めし,各室外側部材25は下地材12の室外側部材14に当接し,新設の断熱枠体20を既存の金属枠体3の上に下地材12を介してかぶせるようにして取り付ける(【0025】)。
d
なお,スリット状の穴11は,枠本体7の室内外側方向中間部に長手方向に切断することで,室内側部と室外側部に熱が伝わらないようにしてもよく(【0029】),新設の断熱枠体20は,アルミ押出形材の室外側部材の室内側部に樹脂の室内側部材を連結した複合枠材を枠組みしたものでもよい(【0030】)。また,断熱枠体20の室内側部(上枠21,下枠22,縦枠23の室内側部材24)は,下地材12の室内側部材13ではなく,残存した既設の金属枠体3における穴11よりも室内寄りの室内側部にビス等で固着してもよい
(【0032】)。

e
以上を踏まえると,甲2文献記載の発明として,同文献には,甲2発明1及び2が記載されているものと認められる。すなわち,この点に関する本件審決の認定に誤りはない。

(イ)
a
原告の主張について
原告は,本件審決による甲2文献記載の発明の認定は,同文献の特許請求の範囲の請求項に係る発明に限定して認定したものであり,本件発明の進歩性を判断するための発明の認定として妥当でなく,甲2真発明1及び2が認定されるべきである旨主張する。
しかし,甲2文献記載の発明は,上記(ア)aのとおり,残存した既存の金属枠体を通して室外の冷気が新設の断熱枠体の室内側部に伝わり結露が生じることを解決すべき課題とし,同b~dの構成を採用したものである。他方,甲2真発明1及び2は,当該課題の解決を目的とするものではなく,既存の金属建具を断熱建具に改修するものでは
ない。そうである以上,甲2文献に甲2真発明1及び2が開示されていると見ることはできない。
b
また,原告は,改修用サッシの技術分野では改修用サッシを安定的,効率的に取り付けるための様々な取付け補助部材を備える改修用建具の公知技術が存在することに鑑みると,甲2文献には,「室外側から室内側に向かって上方へ段差を成して傾斜し,室外寄りが低く,室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備えている新設の枠体を支持する取付け補助部材であって,室内側が下枠5の枠本体7の内面7aの最も室内側部にビス17で取り付けられ,下地材12の室内側で新窓枠の下枠の室内側を支持する取付け補助部材」を備える改修建具に関する技術思想を認めることができるなどと指摘する。
しかし,甲2真発明1及び2は上記技術思想とは内容が異なるこ
とから,仮に甲2文献に上記技術思想を認めることができたとしても,甲2真発明1及び2が記載されていることにはならない。

c
さらに,原告は,新窓枠はアルミ押出形材の室内側部材24とアルミ押出形材の室外側部材25を断熱材26で連結した断熱形材である必要がなく,下地材12も,アルミ押出形材の室内側部材13とアルミ押出形材の室外側部材14を断熱材15で連結した断熱形材である必要がない,枠本体7における室内外側方向中間で長手方向に間隔を置いた複数部分にスリット状の穴11を加工する必要もない,とも指摘する。
しかし,甲2文献記載の発明においては,これを構成する新設の
枠体,下地材,既設の枠体が,それぞれ上記(ア)b~d記載の機能を果たすことにより,同a記載の課題を解決することとされているのであるから,上記の新設の枠体,下地材,既設の枠体の構成は,甲2文献記載の発明において必須というべきものである。したがって,これ
らの構成をそれぞれ捨象したものを組み合わせた甲2真発明1及び2が甲2文献に記載されているということはできない。
d
その他原告が縷々主張する点を踏まえても,この点に関する原告の主張は採用し得ない。


(2)

以上より,取消事由1は理由がない。
取消事由2について
取消事由2は,取消事由1につき原告の主張に理由があることを前提と
するものであるところ,上記のとおり,取消事由1は理由がない以上,取消事由2も理由がない。
前記(1)のとおり,甲2文献記載の発明として甲2発明1及び2が認められることを踏まえると,本件発明と甲2発明1及び2との一致点及び相違点は,本件審決の認定のとおりに認められるといってよい。
5
取消事由3(無効理由1の判断における本件発明と甲2発明1及び2との相違点についての判断の誤り)について
(1)

取消事由3-1(本件発明1~3と甲2発明1との相違点1についての
判断の誤り)について

甲3技術に係る本件審決の認定については,当事者間に争いがなく,甲3文献の記載によれば本件審決の認定のとおり認められる。
なお,甲3文献には,以下の図2が認められる(以下次頁)。


前記4(1)イのとおり,甲2発明1の「下枠22の下地材12」は,下枠5を補強すると共に室内側部と室外側部に熱が伝わり難くする機能を有し,また,下枠22の下地材12の室外側部材14は,既存の金属枠体3に新設の断熱枠体20を取り付けるにあたり,下枠22の室外側部材25が当接することで,新設の断熱枠体20を既存の金属枠体3の上に下地材12を介してかぶせるようにして取り付けできるように機能するものである。しかるに,甲3技術において改装サッシ下枠2の上板部21の室内側端部の裏面に備えられている「逆L字状の支持部材」(上記図2の「24」)は,その構造から明らかに上記機能を果たし得るも
のではない。そうである以上,甲2発明1にそのような機能を有しない甲3技術の「逆L字状の支持部材」を適用する動機付けはない。
そうすると,甲2発明1に甲3技術を適用し,相違点1に係る本件発明1~3の構成とすること(下枠22の下地材12を下枠5の室内寄りに設けること)は,当業者が容易になし得たとすることはできない。この点に関する本件審決の判断に誤りはない。

原告の主張について
(ア)

この点,原告は,相違点1に係る本件発明1の構成とするには,甲
2発明1の下地材12を既設下枠の室内寄りに設けることが容易であればよく,甲2発明1の「下枠22の下地材12」に代えて「逆L字状の支持部材」を適用する必要はないなどと指摘するけれども,甲2発明1の「下枠22の下地材12」は上記機能を有するものである一方,下地材12を既設下枠の室内寄りに設けると上記機能を果たすことができないから,下地材12を既設下枠の室内寄りに設けることは容易であるとはいえず,この点に関する原告の指摘は当たらない。(イ)

また,原告は,改修用下枠の室外寄りを既設下枠で支持する手法と
して,金具等の取付け補助部材を介して支持すること,直接既設下枠で支持すること,スペーサを介して支持することはいずれも周知技術であるところ,甲2発明1において,新設の断熱枠体20を下地材12を介さずに既設下枠に支持したとしても,既設下枠はスリット状の穴11が形成されて断熱処理が施されているので,甲2発明1の作用効果の達成が妨げられるものではないなどと指摘するけれども,甲2発明1の「下枠22の下地材12」が持つ上記機能を有しない上記周知技術を同発明に適用する動機付けがないから,この点に関する原告の指摘は当たらない。
(ウ)

そうすると,この点に関する原告の主張は採用し得ない。


(2)

以上より,取消事由3-1は理由がない。
取消事由3-2(本件発明1~3と甲2発明1との相違点2についての
判断の誤り)について

サッシの枠材としてアルミニウム合金製の押出し形材から成るものを用いることは周知であるといってよく(甲10,11,弁論の全趣旨),また,前記4(1)イのとおり,甲2発明1は,上枠21,下枠22及び縦枠23を,いずれもアルミ押出形材である室内側部材24と室外側部材25を断熱材26で連結したものとすることにより,新設の断熱枠体20の室内側部材に室外の冷気が伝わりにくくしたものである。しかるに,甲2発明1において,新設の断熱枠体20の上枠21,下枠22及び縦枠23を,断熱材が介在することのないアルミニウム合金の押出し形材から成るものとすると,甲2発明1が目的とするところと比較して断熱効果が低下することは明らかである。
そうすると,当業者にとって,断熱を目的とする甲2発明1において,新設の断熱枠体20の上枠21,下枠22及び縦枠23をアルミニウム合金の押出し形材から成るものとすることには阻害要因があると見られる。
したがって,甲2発明1において,相違点2に係る本件発明1~3の構成とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできない。この点に関する本件審決の判断に誤りはない。


原告の主張について
この点,原告は,改修用サッシの技術分野において,断熱性を有する枠体は甲2発明1の「アルミ押出形材の室内側部材とアルミ押出形材の室外側部材とを断熱材で連結した」枠体に限るものではないなどと主張する。
しかし,甲2発明1のアルミ押出形材の室内側部材とアルミ押出形材
の室外側部材とを断熱材で連結した新設の断熱枠体は,前記4(1)イのとおり,アルミ押出形材の室外側部材の室内側部に樹脂の室内側部材を連結した複合枠材としてもよいとされているものの,甲2文献には,断熱機能が低下するアルミニウム押出形材からなる枠体までをも許容されるものとして想定していることをうかがわせる記載はない。そうである以上,この点に関する原告の主張は採用し得ない。

(3)

以上より,取消事由3-2は理由がない。
取消事由3-3(本件発明1~3と甲2発明1との相違点5についての
判断の誤り)について

前記(1)のとおり,甲2発明1において,下枠22の下地材12を下枠5の室内寄りに設けることは,当業者が容易になし得たとすることはできない。そうすると,甲2発明1は,断熱枠体20の下枠22の室外側部材25を下地材12の室外側部材14に当接するものであることから,下枠22の室外寄りを,スペーサを介して金属枠体3の下枠5の室外寄りに接して支持するとの構成,すなわち相違点5に係る本件発明1~3の構成は採用し得ないというべきである。この点に関する本件審決の判断に誤りはない。


原告の主張について
この点,原告は,甲2発明1において下枠22の下地材12を下枠5の室内寄りに設けることは当業者にとって容易になし得たものであることを前提として,本件審決はその判断の前提部分に誤りがある旨や,甲2発明1に周知技術を採用し,新窓の下枠25を下枠5に接して支持すること,及び支持する際に新窓の下枠25と既設枠の下枠5との間に隙間等があればその隙間を埋めるためにスペーサを介して既設枠の下枠5で支持することは,当業者が必要に応じて適宜なし得た設計事項にすぎない旨,並びに甲7文献に開示された技術と周知技術を適用することに
より,相違点5に係る構成は当業者が容易になし得たものである旨を主張するけれども,原告主張に係る前提を欠くことは前記(1)のとおりである。
したがって,この点に関する原告の主張は採用し得ない。

(4)

以上より,取消事由3-3は理由がない。
取消事由3-4(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Aの判断につ
いての誤り)について
前記(1)と同様の理由により,甲2発明2において相違点Aに係る本件発明4~6の構成とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできず,この点に関する本件審決の判断に誤りはない。
この点に関する原告の主張を採用し得ないことも,前記(1)と同様である。したがって,取消事由3-4は理由がない。
(5)

取消事由3-5(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Bの判断につ
いての誤り)について
前記(2)と同様の理由により,甲2発明2において相違点Bに係る本件発明4~6の構成とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできず,この点に関する本件審決の判断に誤りはない。
この点に関する原告の主張を採用し得ないことも,前記(2)と同様である。したがって,取消事由3-5は理由がない。
(6)

取消事由3-6(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Dの判断につ
いての誤り)について
前記(3)と同様の理由により,甲2発明2において相違点Dに係る本件発明4~6の構成とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできず,この点に関する本件審決の判断に誤りはない。
この点に関する原告の主張を採用し得ないことも,前記(3)と同様である。したがって,取消事由3-6は理由がない。

6
取消事由4(無効理由2の判断における本件発明と甲2発明1及び2との相違点についての判断の誤り)
(1)

取消事由4-1(本件発明1~3と甲2発明1との相違点1の判断につ
いての誤り)

甲4技術に係る本件審決の認定については,当事者間に争いがなく,甲4図面等の記載によれば本件審決の認定のとおり認められる。
なお,甲4図面等には,以下の縦断面図(甲4の2)が含まれる。

上記の点を踏まえると,前記5(1)と同様の理由により,甲2発明1に
おいて,「下枠22の下地材12」に代えて,甲4技術の「逆L字状の部材s」を適用する動機付けはない。そうである以上,甲2発明1に甲4技術を適用して相違点1に係る本件発明1~3の構成とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできず,したがって,この点に関する本件審決の判断に誤りはない。
この点に関する原告の主張を採用し得ないことも,前記5(1)と同様である。

(2)

よって,取消事由4-1は理由がない。
取消事由4-2(本件発明1~3と甲2発明1との相違点2の判断につ
いての誤り)について
前記5(2)と同様の理由により,甲2発明1において相違点2に係る本件発明1~3の構成とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできず,したがって,この点に関する本件審決の判断に誤りはない。
この点に関する原告の主張を採用し得ないことも,前記5(2)と同様である。
よって,取消事由4-2は理由がない。
(3)

取消事由4-3(本件発明1~3と甲2発明1との相違点5の判断につ
いての誤り)について
前記5(3)と同様の理由により,甲2発明1において,相違点5に係る本件発明1~3の構成とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできず,したがって,この点に関する本件審決の判断に誤りはない。この点に関する原告の主張を採用し得ないことも,前記5(3)と同様である。
よって,取消事由4-3は理由がない。
(4)

取消事由4-4(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Aの判断につ
いての誤り)について

前記(1)と同様の理由により,甲2発明2において,相違点Aに係る本件発明4~6の構成とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできず,したがって,この点に関する本件審決の判断に誤りはない。
この点に関する原告の主張を採用し得ないことも,前記(1)と同様である。よって,取消事由4-4は理由がない。
(5)

取消事由4-5(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Bの判断につ
いての誤り)について
前記(2)と同様の理由により,甲2発明2において,相違点Bに係る本件発明4~6の構成とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできず,したがって,この点に関する本件審決の判断に誤りはない。
この点に関する原告の主張を採用し得ないことも,前記(2)と同様である。よって,取消事由4-5は理由がない。
(6)

取消事由4-6(本件発明4~6と甲2発明2との相違点Dの判断につ
いての誤り)について
前記(3)と同様の理由により,甲2発明2において,相違点Dに係る本件発明4~6の構成とすることは,当業者が容易になし得たとすることはできず,したがって,この点に関する本件審決の判断に誤りはない。
この点に関する原告の主張を採用し得ないことも,前記(3)と同様である。よって,取消事由4-6は理由がない。
7
結論
以上のとおり,取消事由1~4はいずれも理由がない。
よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部

裁判長裁判官
鶴岡稔彦杉浦正樹寺田利彦
裁判官

裁判官

(別紙)

当事者目録

原告三協立山株式会社
同訴訟代理人弁護士

三村量一同羽鳥貴広同面山
同訴訟代理人弁理士

岩﨑孝治同小橋立昌結被告
YKK

AP株式会社

被告
日本総合住生活株式会社

被告ら訴訟代理人弁理士

根本
同訴訟代理人弁護士

小池同櫻井彰人同石井隼平恵司豊
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