判例検索β > 平成29年(わ)第2348号
犯人蔵匿被告事件
事件番号平成29(わ)2348
事件名犯人蔵匿被告事件
裁判年月日平成30年4月27日
法廷名大阪地方裁判所
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主文
被告人を懲役1年8月に処する
未決勾留日数中220日をその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,氏名不詳者らと共謀の上,Xが殺人事件等の罪を犯した犯人として逮捕状が発せられ,逃走中の者であることを知りながら,その逮捕を免れさせる目的で,平成29年2月26日頃から同年5月18日までの間,広島市h区iのj丁目k番l-m号NビルM号室に前記Xを居住させるなどし,もって犯人を蔵匿したものである。
(証拠の標目)
省略。括弧内は,検察官請求証拠番号を示す。
(証拠能力についての補足説明)
1
関連性について
弁護人は,検察官が証拠として請求した各写真(甲2ないし59,69ないし71,75及び78)に加え,判示のNビルM号室(以下「M号室」という。)を捜索場所とした捜索差押調書(甲64[抄本]),M号室内で発見された通帳の写し(甲67)及び各封筒の写し(甲79ないし81)について,本件とは関連性がないと主張する。しかしながら,事実認定の補足説明において摘示するとおり,当裁判所は,いずれの証拠についても関連性があると判断した。
2
違法収集証拠の主張について
(1)甲2号証ないし甲59号証について
弁護人は,M号室に出入りする人物を撮影した写真(甲2ないし59)について,その撮影は被撮影者のプライバシーを侵害するものであるから,本来は令状を必要とするというべきであり,令状なしで撮影された前記写真は違法収集証拠として証拠能力が否定される旨主張するので,この点について検討す
る。なお,前記写真は,M号室前の廊下をビデオ撮影していたものを,静止画として切り出したものであるから,以下,当該ビデオ撮影(以下「本件ビデオ撮影」という。)の適法性について検討する。
関係証拠によれば,以下の事実が認められる。すなわち,捜査機関は,○○委員会(通称「●●派」。以下「●●派」という。)の活動家として把握していた被告人について,兵庫県内のホテルに虚偽の住所と氏名で宿泊したという旅館業法違反の事実を認知した。そこで,捜査機関は,前記旅館業法違反の事実の捜査として,被告人の住所について捜査した結果,被告人がM号室に居住しているのではないかとの疑いを抱くに至った。捜査機関は,被告人がM号室に居住しているか否かを確認する目的で,平成29年2月14日から,同室への出入りを目視で確認することとした。そうしたところ,同月18日には被告人が,同月19日には氏名不詳の男が,それぞれM号室に出入りするのを確認したため,引き続き被告人が同室に居住しているか否かを確認する目的で,同月26日からは,同室への出入り状況をビデオ撮影して記録に残すこととし,当該撮影は,同年5月18日まで続けられた。その撮影態様は,捜査機関が,M号室の玄関ドア付近を見通せる場所にあるマンションの一室を賃借し,望遠のビデオカメラ2台を同所に設置して,24時間態勢で,M号室の玄関ドアやその付近の共用廊下を撮影したというものである。
以上の事実関係によれば,本件において撮影対象とされたのは,M号室の内部ではなく,その出入口である玄関ドア及びその付近の共用廊下にとどまっており,かつ,これらの場所は,前記Nビルの周辺の建物から視認され得る状況にある。そうすると,本件において撮影対象となった場所は,通常,人が他人から容ぼう等を観察されること自体は受忍せざるを得ない場所といえ,プライバシーの保護の合理的期待が高い場所であるとはいえない。したがって,本件ビデオ撮影は,被撮影者のプライバシーを大きく制約するものとはいえないから,本件ビデオ撮影は強制処分には当たらない。

更に進んで,本件ビデオ撮影が任意捜査として適法といえるかについて検討する。捜査機関においては,被告人が虚偽の住所と氏名でビジネスホテルに宿泊した前記旅館業法違反の捜査の一環として,被告人のM号室における居住の有無及びその実態を明らかにする必要があったと認められる。そして,同室には被告人のほかに氏名不詳の男も出入りしていたところ,両名による同室の使用頻度,状況等を明らかにして被告人の居住実態を確認するためには,相当期間継続して同室の出入り状況を把握する必要があったといえる。そして,その撮影態様は,前記のとおり必ずしもプライバシーの保護の合理的期待が高いとはいえないM号室の玄関付近を撮影したにとどまる上,その撮影期間も3か月に満たず,前記捜査の目的及び必要性に照らし,不相当に長いとはいえない。以上によれば,本件ビデオ撮影は,前記捜査目的を達成するため,必要な範囲において,相当な方法によって行われたものといえ,任意捜査としても適法である。
よって,本件ビデオ撮影は適法であり,弁護人の前記主張は理由がない。(2)甲69ないし71,75及び78について
弁護人は,銀行の現金自動預払機に設置された防犯カメラにより撮影された映像を切り出した写真(甲69ないし71)及び店舗内に設置された防犯カメラにより撮影された映像を切り出した写真(甲75及び78)について,いずれも被撮影者のプライバシーを侵害するものであり,その押収について本来は令状を必要とするというべきであるのに,令状なしで任意提出されたものであるから違法収集証拠である旨主張する。そこで,以下,この点について検討する。
近時,防犯や犯罪発生時の証拠保全等の目的から,金融機関の現金自動預払機や小売店の店舗内に防犯カメラが設置されているところ,その必要性は明らかである上,このような防犯カメラが設置されていることは,その利用者にとっても公知の事実であって,
これを受忍しているといえるから,
本件において,

前記防犯カメラの設置,撮影に違法な点はない。そして,捜査機関は,本件の捜査遂行上の必要から,前記各防犯カメラの画像の任意提出を受けたものであり,これ自体に何ら違法な点はない。よって,弁護人の前記主張は理由がない。(事実認定の補足説明)
第1

争点等
弁護人は,M号室に被告人以外の者が居住していたことは立証されておらず,
仮に同室に被告人以外の者が居住していたとしても,被告人が,その者が,逮捕状が発せられ逃走中の者であるXであることを認識していたことは立証されていないのであるから,被告人には犯人蔵匿の故意がなく,無罪である旨主張する。しかしながら,当裁判所は,被告人において犯人蔵匿の故意を有し,判示認定のとおり,
犯人蔵匿罪が成立すると判断したので,
その理由を補足して説明する。
第2

前提となる事実
(以下,
特に断らない限り,
日付は平成29年のそれを示す。
必要に応じて証人の公判供述を示す際には,速記録における丁数を用いる。)

1
関係者
(1)被告人について
被告人は,以前,●●派のいわゆる非公然アジトとされる場所にいたとして検挙された者であり(a証人2丁)
,被告人の住民登録は,東京都n区内に
ある●●派の拠点とされる住所でなされている(b証人18丁)
。また,後記
のとおり,M号室における被告人の居室からは,●●派の機関紙である「▲▲」
及び●●派と関係がある団体の新聞である
「△△新聞」
が多数押収され,
被告人は,当公判廷においても,これらの機関紙等の記載内容に沿う供述をしている。
(2)Xについて
Xは,
昭和46年
(1971年)
11月14日に実行された凶器準備集合,
公務執行妨害,傷害,現住建造物等放火及び殺人の被疑事実(以下「渋谷暴動事件」という。
)により,遅くとも昭和58年5月12日には逮捕状が発付

され,昭和59年10月31日には公開指名手配となり,氏名や顔写真等が掲載されたポスターが貼られるようになった。また,判示の平成29年2月26日頃から同年5月18日までの間(以下「本件期間」という。)においても,前記被疑事実に係る有効な逮捕状が発せられている状態であり,Xには懸賞金もかけられていた(甲84,85,a証人39,40丁)。(3)氏名不詳の男(A)について

捜査機関は,平成29年5月18日,M号室内において,有印私文書偽造・同行使,旅館業法違反の被疑事実により,被告人を逮捕するとともに(甲60)
,同被疑事実に関してM号室の捜索差押えを実施した。その際,
氏名不詳の男(以下「A」という。
)が同室内におり,同人は,浴室におい
て,水溶紙と思料される紙片等を浴槽に投棄していた。警察官がこれを制止しようとしたところ,Aは,同警察官に体当たりする等の暴行を加えたことから,公務執行妨害により現行犯人逮捕された(甲61)



その後,捜査機関は,Aの人定を明らかにするため,AのDNA型(STR型及びアメロゲニン型)と,Xの母親であるOのDNA型(STR型及びアメロゲニン型)とを鑑定した。その結果は,両者のDNA型のSTR型15座位全てにおいて,少なくとも一方のDNA型を共有しており,AとOとの間に,生物学的な親子関係が存在するとしても矛盾しないというものであった(甲92,98,c証人8丁)

さらに,捜査機関は,母系遺伝,すなわち,母親からその子どもに遺伝するミトコンドリアDNAの性質を利用して,AのミトコンドリアDNA型と前記OのミトコンドリアDNA型を,また,AのミトコンドリアDNA型とXの姉に当たるPのミトコンドリアDNA型を,それぞれ比較・鑑定した。その結果は,それぞれ塩基配列の同じ箇所に変異が認められ,AとOとの間,及び,AとPとの間に,それぞれ母系の関係性があるとして矛盾しないというものであった(甲99,101,d証人9丁)


また,捜査機関は,父系遺伝,すなわち,父親からその男性の子どもに引き継がれるY染色体STR型の性質を利用して,Xの父親の兄弟の孫に当たるQ
(f証人1丁)
及びXの父親の弟の息子に当たるR
(g証人2丁)
の各DNA型(Y染色体STR型)とAのDNA型(Y染色体STR型)とを比較・鑑定した。その結果は,Y染色体STR型16部位のうち,DYS389Ⅰ型及びDYS389Ⅱ型を除く14部位が全て一致し,AとRとの間,及び,AとQとの間に,それぞれ生物学的な親族関係が存在する可能性が否定されないというものであった(甲106,110,c証人4ないし6丁)

2
M号室について
(1)M号室の管理,使用状況

M号室は,島根県内に住所を有する「Y」名義で賃借され,同人名義の水道,
電気,
ガス等の各契約が締結されており,
その家賃や水道光熱費は,
S銀行のY名義の口座
(以下
「Y口座」
という。から引き落とされていた。

しかしながら,前記Yが本件期間中にM号室に居住していたことはない。また,
同所に住民登録している者は存在しない
(甲63,67,a証人3,
40ないし41丁)



捜査機関は,本件期間中,M号室に出入りする人物の入退室状況を24時間態勢で視察していたところ,その間,同室に出入りしたのは,被告人とAの2人のみであった。また,本件期間中,被告人が連日ないし1日おきに短時間の外出を繰り返していたのに対し,Aが外出したのは11回のみで,それぞれ短時間の外出であった(甲2ないし59,a証人8ないし37丁)



被告人は,平成29年4月19日,S銀行T支店の現金自動預払機からY口座に27万円を入金している(甲39,67,71,a証人42ないし43丁。なお,甲69及び70も,Y口座の利用者を特定するための証
拠であり,本件との関連性が認められることは明らかである。。

(2)M号室内の状況

M号室内には6畳洋室(以下単に「6畳洋室」という。
)と6畳和室(以
下単に「6畳和室」という。
)があり,捜査機関による同室の検証時,6畳
洋室には布団が1組敷かれており,6畳和室の押入には布団が片付けられていた(甲64)
。同室内には,テレビや冷蔵庫など,一通りの生活用品が
揃えられていた。


6畳和室からは,
「n区oのp丁目q番r号

U(被告人の氏名)
」宛て

に送付された平成29年度国保健診無料受診券や,
「u(被告人の氏)
」と
刻した印鑑が発見された
(甲64押収目録番号48,
b証人11,
12丁)

また,
同室からは,
●●派の機関紙である
「▲▲」
(甲86,
b証人10,
11丁)及び●●派と関係がある団体の新聞である「△△新聞」
(b証人1
1丁)が多数押収されている。同新聞の記載(2016年11月7日第20号参照)と被告人の公判供述に照らせば,
「△△新聞」の△△とは,渋谷
暴動事件に関与したとして無期懲役判決を受けたZ氏のことを指すものと解される。また,同新聞(2016年11月21日第21号)には,「Zさ
んと共に決起し指名手配と闘っているXさんに,警視庁が300万円の懸賞金をかけた」との記載がある。さらに,
「▲▲」第2823号には,Z氏
に関する1面にわたる記事があり,その中で,
「X同志に対する300万円
の賞金付き指名手配」との記載がある。なお,発見された「▲▲」には,多数の箇所に線が引かれている。
さらに,6畳和室において,Y口座に係る総合口座通帳のほか,現金約46万円(e証人5丁)「FOODS」等と記載された封筒(甲79)「水,

光熱」等と記載された封筒(甲80)及び「備品」等と記載された封筒(甲81)が発見された(甲64,b証人7丁)


6畳洋室からも,
6畳和室に置かれていたのと同じ前記
「▲▲」甲86,


b証人10,11丁)や前記「△△新聞」
(b証人11丁)が多数押収され
たほか,
現金約72万円が押収された
(甲64)なお,

発見された
「▲▲」
には,多数の箇所に線が引かれている。また,Aは,現行犯人逮捕されてM号室を退出する際,6畳洋室に掛けてあったジャンパーを取り,それを着て出て行った(e証人6丁)

第3
1
当裁判所の判断
はじめに
弁護人の前記第1の主張に照らせば,本件の主要な争点は,①被告人がAをM号室に居住させていたといえるか,②AがXであるといえるか,③被告人が,
Xについて,殺人事件等の罪を犯した犯人として逮捕状が発せられ,逃走中の者であることを認識していたといえるか,④被告人において,AがXであると認識していたといえるかの点にある。以下,これらの点について検討する。
2
①被告人がAをM号室に居住させていたといえるか前記認定したM号室内の状況や,本件期間中に同室に出入りしたのは被告人及びAの2人のみであり,前記捜索差押え時に同室内にいたのも被告人及びAの2人のみであることなどからすれば,本件期間中,被告人及びAが,M号室に居住していたことは明らかである。そして,6畳和室及び6畳洋室にはそれぞれ布団やパソコン,テレビ等が置かれていたところ,6畳和室には被告人の国保健診無料受診券や「u(被告人の氏)
」と刻した印鑑があったこと,6畳洋
室にはAのジャンパーが掛けられていたことからすれば,6畳和室を被告人が,6畳洋室をAが,それぞれ使用していたと認められる。
そして,Aがほとんど外出しないのに対し,被告人は,連日ないし1日おきに外出し,食料品の購入を行ったり,M号室の家賃や水道光熱費が引き落とされるY口座に入金をしたりしていること,被告人の使用する6畳和室から,「水
光熱」「FOODS」「備品」等と書かれ,それぞれ数字が記載された封筒が,

発見されていることなどからすれば,専ら被告人がM号室の維持管理を担って
いると認められる。そうすると,そのような立場にある被告人が,AをM号室に居住させていたものと認められる。
3
②AがXであるといえるか
前記DNA型鑑定の結果によれば,AがXであると考えて矛盾はしない。これに加えて,Aが,●●派の人物である被告人と同居し,かつ,前記「△△新聞」や「▲▲」を,これに線を引くなどして熱心に読んでいることなどに照らし,Aも●●派又はこれに近い思想を持つ人物であること,Aは,前記捜索差押えの際,水溶紙と思料される紙片等を浴槽に投棄し,これを制止しようとした警察官に対し妨害行為に出て,罪証隠滅工作をしていることも考慮すると,Aは,渋谷暴動事件で逮捕状が発付され,指名手配されているXであると認められる。

4
③被告人が,Xについて,殺人事件等の罪を犯した犯人として逮捕状が発せられ,逃走中の者であることを認識していたといえるか
前記第2の1(1)で認定した事実に照らせば,被告人は●●派の活動家であると認められる。そして,Xは,●●派の活動家として渋谷暴動事件に関与したとされ,指名手配中の人物であるところ,被告人は,前記「△△新聞」や「▲▲」を定期的に読んでおり,Z氏が関与したとされる渋谷暴動事件についても相応の知識を有していると認められる。さらに,前記認定のとおり,被告人が使用していた6畳和室から発見された「△△新聞」及び「▲▲」には,Z氏の記載と共にXが指名手配されている旨の記載があることも併せ鑑みれば,被告人は,Xが,渋谷暴動事件に関与し,殺人事件等の罪を犯した犯人として逮捕状が発せられ,逃走中の者であることを認識していたと認められる。
5
④被告人において,AがXであると認識していたといえるか前記認定のとおり,
被告人は,
東京都内に住民登録しているにもかかわらず,
他人名義で賃借された広島市内のM号室に,
少なくとも約82日間
(本件期間)
の長期間にわたり,他人であるAと同居していたものである。その上,前記の
とおり,AはほとんどM号室から出ることはない一方で,専ら被告人がM号室の維持管理を担い,Aとの共同生活を維持していたことが認められる。さらに,M号室における生活資金の原資についてみると,被告人及びAが就労により収入を得ていた形跡はうかがわれない。また,M号室からはY口座に係る前記通帳以外の預金通帳等は発見されておらず,被告人又はAがそれぞれの預貯金等により生活資金を拠出していた形跡もうかがわれない。そうであるにもかかわらず,M号室には多額の現金があった上,およそ2か月に1回の頻度で,18万円ないし27万円がY口座に入金され,光熱費等の支払も滞りなくなされているのである。このような事情に加え,被告人及びA(X)がいずれも●●派の活動家であることも併せ鑑みれば,
被告人及びAは,
第三者から,
M号室における生活資金の提供を受けていたと認められる。
このように,被告人は,M号室において極めて特異な生活を送っていたといえるところ,前記諸事情に照らせば,被告人は,このような形でAと同居生活を送る理由ないし必要性やAの素性について認識していたとみるのが自然であり,被告人が,これらの点について全く認識していなかったとみるのは不自然というほかない。よって,被告人は,AがXであると認識していたと認められる。
6
まとめ
以上検討したところによれば,被告人において,AがXであって,同人が殺人事件等の罪を犯した犯人として逮捕状が発せられ,逃走中の者であることを認識していたと認められる。以上の認識に加え,前記認定したM号室における生活状況も考慮すると被告人は,Xが逮捕されるのを免れさせる目的で同人をM号室に匿っていたものと認められる。そして,Y名義で賃借されたM号室を被告人及びXの利用に供することを許可した人物や,M号室における生活資金を援助していた人物の存在がうかがわれることからすると,本件犯人蔵匿の犯行は,被告人が,氏名不詳者らと共謀の上,実行したものと認められる。
以上によれば,判示認定のとおり,被告人には犯人蔵匿罪が成立する。(法令の適用)
罰刑条種の選
刑法60条,103条


懲役刑を選択

未決勾留日数の算入

刑法21条

訴訟費用の不負担

刑事訴訟法181条1項ただし書

(量刑の理由)
本件は,●●派の活動家である被告人が,氏名不詳者らと共謀の上,同じく●●派の活動家であり,殺人等の被疑事実で逮捕状が発付されていたXを,マンションの一室に住まわせて匿ったという犯人蔵匿の事案である。
まず,犯情について検討する。被告人は,殺人等の疑いがかけられているXが事件発生から約45年以上の長期にわたって逃亡し続けていることを認識しながら,2か月半余りもの長期間,同人を前記マンションの一室に匿ったものである。被告人及びXは,他人名義で賃借されたマンションの一室で同居し,第三者から資金援助を受けながら生活していたところ,本件犯行が組織的な犯行であることは明らかであり,被告人は,その実行犯として重要な役割を果たしたといえる。以上によれば,本件犯行により,刑事司法作用の適正な運営が大きく妨げられたものといえ,被告人よりも上位の共犯者が存在することを考慮に入れても,犯情は悪質であり,被告人の刑事責任は重い。
一般情状をみても,被告人は,自己の主義主張について述べて,犯行を正当化する態度を示しており,規範意識は乏しい。そうすると,被告人に前科がないことなど,被告人のために酌むべき一般情状を考慮しても,相当期間の実刑は免れず,被告人を主文の実刑に処するのが相当と判断した。
よって,主文のとおり判決する。
(求刑

懲役2年)

平成30年5月1日

大阪地方裁判所第2刑事部

裁判長裁判官

伊藤
裁判官

三宅寿由子
裁判官荒金慎哉は転任のため,署名押印することができない。

裁判長裁判官

伊藤寿
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