判例検索β > 平成30年(ワ)第7906号
承継参加申立事件 特許権 民事訴訟
事件番号平成30(ワ)7906
事件名承継参加申立事件
裁判年月日平成30年5月23日
法廷名東京地方裁判所
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平成30年5月23日判決言渡

同日原本領収

裁判所書記官

平成30年(ワ)第7906号

承継参加申立事件

口頭弁論終結日平成30年3月19日
判決
当事者の表示

別紙当事者目録記載のとおり

主文1
原告の請求を棄却する。

2
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由

第1請求
参加人は,原告に対し,別紙特許権目録記載1ないし3の特許権につき,特許法74条1項を原因とする移転登録手続をせよ。
第2事案の概要等
1事案の要旨

本件は,原告が,脱退被告の地位を承継した参加人に対し,参加人が登録名義を有する別紙特許目録記載1ないし3の特許権(以下「本件特許権1」などといい,併せて「本件各特許権」という。また,同特許権に係る特許をそれぞれ「本件特許1」などといい,併せて「本件各特許」という。
)が,いわゆる冒認出願に対して設定登録さ
れたものであると主張して,特許法74条1項に基づき,同特許権について移転登録
手続をすることを求める事案である。
2前提事実
(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお,枝番の記載は特記しない限り省略する。)
⑴当事者
ア原告は,コンピュータシステムの企画・開発・販売及び保守に関する業務等を
目的とする株式会社である。
イ脱退被告は,総合的なコンピュータシステムを利用した情報ネットワークのコンサルティング等を目的とする株式会社である。
ウ参加人は,平成30年2月19日,脱退被告から特定承継により本件各特許権の移転登録を受けた株式会社である(丙1ないし3)

参加人は,上記承継を原因として,同年3月13日付けで承継参加の申出をし,原告が,同月19日に行われた本件第2回口頭弁論期日において,脱退被告の脱退を承諾したため,脱退被告は同訴訟から脱退した。
⑵脱退被告による特許出願及びその登録
脱退被告は,
①本件特許1に係る特許請求の範囲の請求項1ないし13に係る発明(以下「本件発明1」という。
)について平成27年12月28日に特許出願し,平成

28年8月5日に登録され,②本件特許権2に係る特許請求の範囲の請求項1ないし13に係る発明(以下「本件発明2」という。
)について平成27年6月22日に特許
出願し,平成28年12月16日に登録され,③本件特許権3に係る特許請求の範囲の請求項1ないし11に係る発明(以下「本件発明3」といい,本件発明1及び2と併せて「本件各発明」という。
)について平成27年6月22日に特許出願し,平成2

9年2月17日に登録された(甲4ないし6,19)

⑶脱退被告から参加人への移転登録
参加人は,本件各特許権について,脱退被告から平成30年2月19日受付で移転登録を受け,本件各特許権の登録名義人となった(丙1ないし3)。3争点

原告は,本件各発明に係る特許を受ける権利を有するか。
第3争点に対する当事者の主張
1原告の主張
⑴ア

原告の従業員であるAらは,平成23年6月23日,スマートフォン用の
AR(拡張現実)エンジンである「ARme」を開発した。もっとも,当初のARmeは,特定の画像にスマートフォンをかざした際,それにつき一つのコンテンツのみを表示するエンジンであった。
そこで,原告の従業員であるB,C及びDは,遅くとも平成23年7月11日,ARmeの演出のバリエーションを増やすべく,それをカスタムする形で,特定の画像にスマートフォンをかざした際,複数のコンテンツを連続して合成表示することができるソフトウエアである,
「ARmeセカンドコンテンツ機能」を発明した。また,上
記B,C及びDは,遅くとも同年10月13日,GPS信号を使い,スマートフォン使用者の現在いる位置の周囲の情報を自動的にAR表示するソフトウエアである,「ARmeロケーションベース機能」を発明した。さらに,上記A及びDは,遅くとも同年12月6日,目的地を入力すると,現在地から目的地までカメラに写している映像に方向を示す矢印が表示され,当該矢印に従って進むと,目的地に到着すること
ができるものであり,さらには目的地までの距離,到着までの残り時間も付加情報として表示されるソフトウエアである,
「ARmeナビゲーション機能」
を発明した
(以
下,これらの3つの機能を併せて「本件3機能」という。。

ARmeに本件3機能が追加搭載されたものが「ARnavi」である。イARmeとARnaviは,別紙「本件特許権1の構成要件」「本件特許権2,

の構成要件」

「本件特許権3の構成要件」
(以下,
これらを併せて
「対比表」
という。

のとおり,本件各発明の構成要件を充足する。
⑵原告は,上記従業員から,本件各発明がされると同時に,本件各発明に係る特許を受ける権利を譲り受けた。
⑶よって,原告は,参加人に対し,特許法74条1項に基づき,本件各特許権の
移転登録手続を求める。
2参加人の主張
否認し,又は争う。
原告の全主張を総合しても,
原告が誰を本件各発明の発明者と主張するのか特定で
きない。本件各発明は,いずれも脱退被告の従業員であるEが発明したものであるか
ら,原告は,本件各発明の特許を受ける権利を取得していない。
また,
原告は,
ARme及びARnaviの具体的構成を明らかにしていないから,本件各発明との対比の前提を欠くものであるし,別紙対比表によると,本件各発明のいずれの構成要件も充足していない。
第4当裁判所の判断
1原告は,原告の従業員がARme及びARnaviを発明し,これらが本件各発明の構成要件を充足するから,原告の従業員が本件各発明を発明した旨主張する。しかしながら,別紙対比表を見ても,ARme及びARnaviの具体的構成やそれが本件各発明の構成要件をどのように充足しているか明らかではなく,そもそも主張自体として不十分なものである。しかも,原告がARme及びARnaviを説明するものとして提出した証拠(甲2,7ないし9,14,15,20,21)を見ても,
甲2は他社に対するARmeの提案資料,甲7ないし9は本件3機能の紹介資料,甲14及び15は他社に対するARnaviの提案・紹介資料,甲20はARme又はARnaviの紹介動画,甲21は「スマボー」という防災アプリを紹介したテレビ番組の動画にすぎない。したがって,上記各証拠は,ARme及びARnaviの具体的構成を明らかにするものではないから,本件各発明の構成要件を充足すると認め
ることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。そうすると,原告の従業員が本件各発明を発明したと認めることはできない。
2したがって,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第29部

裁判長裁判官

嶋末和秀
裁判官

伊藤清隆
裁判官天野研司は転補のため署名押印できない。

裁判長裁判官

嶋末和秀
(別紙)
当事者目録

原告
NSENSE株式会社

同訴訟代理人弁護士

金紀彦同金慶幸同沈賢治
脱退被告承継参加人(以下「参加人」という。)
株式会社オカムラホールディングス

脱退被告
オカムラ印刷株式会社

上記2名訴訟代理人弁護士

島同飯藤田知美同真鍋怜子同町野静同松下外同村上歩友紀
(別紙)
特許権目録

1特許番号
発明の名称

特許第5982056号
情報処理システム,情報処理装置,情報処理方法,情報
処理プログラム,携帯端末装置およびその制御プログラ
ム出出願登番2特録許番
平成27年12月28日


特願2015-256812

日願日
平成28年8月5日


特許第6059298号

発明の名称

情報処理システム,
情報処理装置,
情報処理プログラム,
携帯端末装置およびその制御プログラム

出出願登番3特録許番
平成27年6月22日


特願2015-125180

日願日
平成28年12月16日


特許第6093805号

発明の名称

情報処理システム,情報処理装置,情報処理方法,情報
処理プログラム,携帯端末装置およびその制御方法と制
御プログラム

出出登願願日番録
平成27年6月22日


特願2015-125179


平成29年2月17日

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