判例検索β > 平成30年(わ)第280号
過失運転致死
事件番号平成30(わ)280
事件名過失運転致死
裁判年月日平成30年5月30日
法廷名東京地方裁判所  立川支部
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平成30年5月30日宣告
平成30年(わ)第280号

過失運転致死被告事件
主文
被告人を禁錮2年に処する
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,平成28年11月12日午後2時55分頃,普通乗用自動車を運転し,東京都立川市a町b番地所在のA病院敷地内において,駐車場から出庫するため精算機前で停止するに当たり,ブレーキを確実に操作して自車を安全に停止させるべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り,同精算機及びその下方の縁石に気を取られ,ブレーキペダルに乗せていた左足がアクセルペダルに移動していることに気付かず,ブレーキペダルと間違えて左足でアクセルペダルを踏み込んだ過失により,自車を急加速させて前方に暴走させ,さらに,進路前方の歩道上を歩行中の歩行者を前方約22.3mの地点に認め急制動の措置を講じようとしたが,自車を暴走させたことに狼狽し,再度ブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んで自車を時速約40㎞に加速させて前方歩道上に暴走させ,折から同歩道上を歩行中のB(当時35歳)及びC(当時39歳)に自車前部を衝突させて両名を前方に跳ね飛ばした上,前方のコンクリート壁に激突させて歩道上の植込み内に転倒させ,よって,Bに頭蓋内損傷等の傷害を,Cに外傷性血気胸等の傷害をそれぞれ負わせ,即時同所において,Bを,同日午後3時50分頃,前記病院において,前記Cを,それぞれ前記各傷害により死亡させたものである。
(証拠の標目)

(法令の適用)

(量刑の理由)
歩道上の歩行者2名を死亡させており,結果が極めて重い。
各被害者の母らが強い処罰感情を示しているのも理解できる。
しかも,その過失の態様は,アクセルペダルをブレーキペダルと間違えて踏み込んで自車を前方に暴走させ,さらに,歩行者を認め急制動の措置を講じようとしたが,自車を暴走させたことに狼狽し,再度ブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んで自車を加速させて暴走させ,歩行者2名を跳ね飛ばした上,コンクリート壁に激突させたというものであって,基本的な注意義務の違反である。被告人は,本件事故当時83歳という高齢であったが,健康であり,その約半年前に運転免許を更新し,その際実施された認知機能検査,適性検査,実車教習等に何ら問題がないとして免許が更新されたというのであるから,本件事故は,必ずしも高齢による認知機能等の衰え等に起因するとはいえない。
もっとも,被告人は,無謀な運転に及んだものではないし,悪質な道路交通法規の違反を伴う運転をしたものでもない。
被告人は,金銭による賠償ではあるものの,被害者らのうち一名(C)の遺族(妻)との間では示談を成立させている。被告人の加入している共済保険は上限が限定されていないものなので,もう一名の被害者の遺族に対しても,将来的に合理的な額での賠償がなされる見込みもある。
被告人は,本件を深く悔いており,亡くなられた被害者らはもとより遺族への謝罪の気持ちも心からのものとうかがえる。
以上に加え,被告人は,現在85歳であり,健康状態に問題は抱えていないようであるが,その年齢を考慮すると,長期間の服役に心身が耐えきれるかという懸念は拭えない。
以上を踏まえると,その犯情に照らし,実刑は免れないとしても,刑期は主文の程度にとどめるのが相当である。
(求刑

禁錮4年)

平成30年5月30日
東京地方裁判所立川支部刑事第3部
裁判官

宮本孝文
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