判例検索β > 平成30年(行ケ)第10005号
審決取消請求事件 商標権 行政訴訟
事件番号平成30(行ケ)10005
事件名審決取消請求事件
裁判年月日平成30年7月25日
法廷名知的財産高等裁判所
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平成30年7月25日判決言渡
平成30年(行ケ)第10005号
口頭弁論終結日

審決取消請求事件

平成30年6月27日
判原決告
株式会社R&M

JaPan

訴訟代理人弁護士

池智被
ルイス

告田洋
ポールセン

エイ/エス

訴訟代理人弁理士

村木清司同関口一秀同川端佳主1代子文
特許庁が無効2017-890004号事件について平成29年12月1日にした審決を取り消す。

2
訴訟費用は被告の負担とする。

3
この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由

第1請求
主文第1項と同旨
第2事案の概要
1
特許庁における手続の経緯等

(1)

原告は,
以下の商標
(登録第5685459号。「本件商標」
以下
という。

の商標権者である(甲1,2)。
商標
別紙1記載のとおり

登録出願日

平成26年1月30日

登録査定日

平成26年6月4日

設定登録日

平成26年7月11日

指定役務
第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電球類及び照明用器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,屋内用ブラインドの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,すだれの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,装飾用ビーズカーテンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,日よけの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物製いすカバーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物製壁掛けの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,カーテンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,テーブル掛けの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,敷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,壁掛け(織物製のものを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(2)

被告は,
平成28年12月31日,
本件商標について商標登録無効審判を

請求した。
特許庁は,上記請求を無効2017-890004号事件として審理を行い,平成29年12月1日,「登録第5685459号の登録を無効とする。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同月12日,原告に送達された。
(3)

原告は,
平成30年1月6日,
本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起

した。
2
本件審決の理由の要旨
本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。
その要旨は,本件商標は,その登録出願前ないし登録査定時において,他人(被告)の業務に係る商品であることを表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されていた,別紙2記載のとおりのランプシェードの立体的形状(以下「引用商標」という。甲6)と類似の商標であって,原告が不正の目的をもって使用をするものであるから,商標法4条1項19号に該当し,本件商標の登録は,同号に違反してされたものであるから,請求人(被告)主張のその余の無効理由(同項7号,10号及び15号)について判断するまでもなく,同法46条1項の規定により無効とすべきであるというものである。

3
取消事由
商標法4条1項19号該当性の判断の誤り

第3当事者の主張
1
原告の主張

(1)

引用商標の周知性について
本件審決は,①引用商標は,デンマーク国法人の被告が1958年(昭和
33年)に販売を開始した,ポール・ヘニングセン(以下,特に断りのない限り,「ヘニングセン」という。)のデザインによる「PH

スノーボール」

と称されるランプシェード(以下「被告商品」という場合がある。)の立体的形状であること,②被告は,1958年(昭和33年)から現在まで約60年間継続して被告商品を販売し,日本国内においても,被告商品は,遅くとも1986年(昭和61年)から30年以上にわたり継続して被告の日本法人を通じて販売されていること,定期的に作成された被告の販売代理店や日本法人等の商品カタログに,被告商品がその写真と共に掲載され,当該商品カタログが全国的に配布されたことが推認されること,照明又はインテリアの書籍,雑誌等の数多くの出版物では,被告商品は,近代照明の父といわれるデザイナーのヘニングセンによりデザインされ,被告の販売に係る名作のランプシェードとして,その写真と共に長期にわたって採り上げられていることに照らせば,被告商品は,本件商標の登録出願前から被告の業務に係る商品として日本国内における需要者の間に広く認識され,その状況は本件商標の登録査定時においても継続していたこと,③引用商標の立体的形状(8層構造のランプシェードの立体的形状において8層のシェードが独特に組み合わさった形状)は,そのデザインに起因する周知著名性を有し,需要者の目を引きやすく,強い印象を与えるものであって,引用商標は,被告商品が1958年
(昭和33年)
から現在まで約60年にわたって販売され,
照明器具関連の専門誌やファッション雑誌等に掲載されて使用されてきたことに照らすと,引用商標それ自体が独立して自他商品識別力を獲得するに至っており,取引者,需要者がこれを見れば被告の販売に係るランプシェードであることを識別することができること,以上の諸事情を総合すれば,引用商標は,本件商標の登録出願前ないし登録査定時において,被告商品に永年使用された結果,他人(被告)の業務に係る商品であることを表示するものとして,自他商品識別力を獲得するに至り,日本国内における需要者の間に広く認識されていた旨判断したが,以下のとおり誤りである。

商品の機能又は美感に資することを目的として採用される商品の立体的形状であって,パブリックドメインになっているものは,原則として公正かつ自由な競争に資するため,何人も自由に実施し,使用することができるものであるから,本来的に自他商品識別力を有する文字,図形等で構成される商標よりも,周知性を厳格に判断すべきである。
引用商標は,円周,高さ,外周の曲がり具合の異なる8枚の円筒状のシェードが,下から5枚目まで徐々に広がるように,また,5枚目から8枚目まで徐々にすぼまるように,ランダムな間隔で積み重ねられて構成されているが,このような引用商標の立体的形状は,ペンダントランプ用のランプシェードの基本的な機能及び美感を発揮させるために必要な形状の範囲内のものであるから,それ自体に自他商品識別力はない。
イ(ア)

被告商品が掲載された商品カタログには,被告商品は,多数ある商
品の中の一商品として掲載されていたに過ぎないので
(例えば,
甲19,
20,31),そこに掲載された被告商品を需要者が目にしていたとは限らない。また,被告商品の立体的形状は,商品の機能及び美感に資する目的で採用されたものであり,本来的に自他商品識別力を有するものとはいえないから,需要者は,被告商品を見たとしても,その立体的形状がもたらす美感・印象に目をとどめるだけで,当該立体的形状については,美感を際立たせるために選択されたものとしてしか認識しないというべきである。
しかも,本件審決には,商品カタログの配布部数,地域,一般的な需要者層への配布状況が示されておらず,また,被告商品の広告宣伝がされた期間,地域,規模などを示す証拠も提出されていないから,被告商品の立体的形状が,被告の業務に係る商品であることを表示するものとして,自他商品識別力を獲得するに至ったとみるべき事情はない。(イ)

商品カタログ,雑誌等の記事には,被告商品は「PH

スノーボー

ル」として紹介されていることからすると,商品カタログ等に接した需要者は,「PH

スノーボール」を自他商品識別標識として認識し,被
告商品の立体的形状は,あくまでも商品の形状そのものとして認識するにとどまる。
(ウ)

本件審決は,被告は,1958年(昭和33年)から現在まで約6
0年間継続して被告商品を販売している旨認定しているが,被告商品が商品化されたのは1983年(昭和58年)であるから,本件審決の販売期間の認定には25年もの事実誤認がある。
次に,本件審決は,被告商品は,世界中で販売されているロングセラー商品であり,日本国内においては,2000年(平成12年)から2016年(平成28年)の間に,約5700台が販売された旨認定している。
しかし,被告商品が世界中で販売されているロングセラー商品であるというのは,客観的裏付けに乏しく,信用し難い。
また,被告商品が2000年(平成12年)から2016年(平成28年)までの17年間に約5700台(5759台・甲118)販売されたとすると,
1年間の平均販売台数は約340台ということになるが,
2016年上半期の日本における屋内家庭用照明器具の販売台数が570万台(甲122・審決乙1)であることと対比すると,被告商品の販売台数は,わずか0.003%程度のマーケットシェアに過ぎない。上記期間における被告商品の累計売上額が約6億8000万円
(甲118)
であるとすれば,1年間の売上金額はわずか4000万円程度である。このような被告商品の1年間の平均販売台数及び売上金額に照らすと,被告商品の立体的形状が,自他商品識別力を獲得したとはいい難い。この点について,本件審決は,上記屋内家庭用照明器具の販売台数と比較すると,被告商品の販売台数は必ずしも多いとはいえないが,1種類の照明器具としては異例の長期間にわたって販売されている旨述べるが,年間当たりの販売台数約340台というのはあまりに少なすぎる。(エ)

本件審決は,被告商品が掲載された商品カタログは,全国の建築設
計事務所,住宅メーカー,インテリアコーディネーター,インテリアショップ,百貨店等の約5千社(人)の顧客へ配布された旨認定している。しかし,照明器具が半年(2016年上半期)で570万台前後販売される中で,わずか5000人の顧客に対して,様々な商品が多数掲載された商品カタログを定期的に配布するだけで,被告商品の立体的形状のみが周知になるとは考え難い。しかも,5000人の中には同一法人に所属する個人が多数含まれているので,同一法人に対して重複して配布している分は除外して評価すべきである。
ランプシェードは,家庭用の屋内照明に用いられるものであり,通常の需要者は一般消費者であるところ,商品カタログの配布先の顧客は,主として建築設計事務所などいわゆるインテリア等の専門家であって,一般消費者とはいえない。インテリア等の専門家に対する商品カタログの配布や取引により,被告商品の立体的形状が,通常の需要者である一般消費者の間で,広く認識されるに至ったものとはいえない。また,本件審決では,一般消費者に対して被告商品の広告宣伝等が積極的に行われていたことが示されていない。

以上を総合すると,被告商品の立体的形状からなる引用商標は,本来的
に自他商品識別力を備えていないのみならず,引用商標が被告商品に使用された結果,引用商標それ自体が本件商標の登録出願前に自他商品識別力を獲得したものということはできないから,引用商標が,本件商標の登録出願前ないし登録査定時において,被告の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本国内における需要者の間に広く認識されていたことを認めた本件審決の判断は誤りである。
(2)

不正の目的について
本件審決は,①原告は,ヘニングセンのデザインによる「PHスノーボ

ール」と称されるランプシェード(被告商品)が現在も販売されている状況において,原告が「PH

スノーボール」の「リプロダクト製品」を販売す

ることによって被告の営業に重大な支障を来すおそれがあることは容易に予想されるところであり,しかも,原告が被告から平成25年2月20日に警告状の送付を受けたことから,両者の間には,「リプロダクト製品」の販売に関して,紛争が生じていたことがうかがえること,②これらの事情に加え,
本件商標と引用商標が類似の商標といえること,
本件商標の構成のうち,
「上部に大きく描かれ凸部を有する左右対称の8層の幾何図形」部分(以下「本件図形」という。)が被告商品の取扱説明書に表示されている引用商標を側面から描写した図と酷似していること,本件商標の登録出願時に既に引用商標に係る立体的形状が日本国内における著名性を獲得していたことを併せ考慮すると,
原告は,
引用商標が未だ商標登録されていないことに乗じ,
これに化体された信用及び顧客吸引力にただ乗りし,本件商標を使用することで利益を得,又は被告商品の営業に支障を生じさせて損害を生じさせることを目的として本件商標を使用するものと推認されるから,本件商標は,原告が不正の目的をもって使用をするものである旨判断したが,以下のとおり誤りである。
ア(ア)

商品の基本的な機能及び美感を発揮させるために必要な形状は,そ
の形状により発揮される機能の観点からは発明ないし考案として,商品の美感の観点からは意匠として,特許法,実用新案法及び意匠法がそれぞれ定める要件を満たせば,独占権が付与されて保護される。一方で,特許,実用新案又は意匠に関する権利の存続期間終了後は,当該商品の形状は,パブリックドメインとして,何人も自由に実施し,使用することができるものとなる。
そして,特許,実用新案又は意匠に関する権利の存続期間終了によりパブリックドメインになった家具や照明器具などの工業製品の立体的形状を忠実に再現したレプリカを,リプロダクト品,ジェネリック品としてオリジナル製品より安い価格設定で製造,販売することは,本件商標の登録出願前から,業界で普通に行われていた。
引用商標を構成する立体的形状については,
被告商品が1983年
(昭
和58年)から販売されていることからすると,仮に特許権,実用新案権又は意匠権があったとしても,本件商標の登録出願前には存続期間が終了していたことは明らかである。また,本件商標の登録出願前に立体商標制度はあったが,引用商標については登録出願されていなかったのみならず,引用商標を構成する立体的形状を真横から見た側面形状を表す図形を使用することについて,法的な制限を受けると認識すべき状況も全くなかった
このような事情から,原告は,被告から平成25年2月20日付け警告書の送付を受けた当時,引用商標を構成する立体的形状は,パブリックドメインになっており,業界の慣行に従って,リプロダクト品に自由に使用できるものと認識していた。
(イ)

原告による本件商標の登録出願の目的は,本件商標の商標権を取得
することにより,被告からの言いがかりを回避するためである。
また,原告のウェブサイトでは,原告の販売する商品はリプロダクト品であることを一貫して述べており,かつ,実際の購入画面には,必ず「※商品はリプロダクト品となります。」の表示があるので,原告は,原告の販売する「PH

スノーボール」のリプロダクト品(以下「原告

商品」という。)が真正品であるかのように装っていない。
さらに,原告が本件商標の登録出願前に原告商品を販売していたことは,競業秩序を逸脱するものではなく,信義則にも反しない。
したがって,原告は,不正の目的をもって本件商標の登録出願を行ったものではない。

以上のとおり,原告は,不正の目的をもって本件商標の登録出願を行ったものではないから,本件商標は,原告が不正の目的をもって使用をするものであるとした本件審決の判断は誤りである。

(3)

小括
以上によれば,本件商標が商標法4条1項19号に該当するとした本件審
決の判断に誤りがあるから,本件審決は,違法として取り消されるべきである。
2
被告の主張
(1)

引用商標の周知性について
本件審決は,引用商標の立体的形状自体に自他商品識別機能があると判断したのではなく,引用商標が被告商品に長年使用された結果,引用商標の立体的形状が独立して自他商品識別力を獲得し,日本国内における需要者の間で,被告の販売に係る商品であることを十分に認識することができるほどの周知著名性を有していると認定した上で,引用商標は,本件商標の登録出願前ないし登録査定時において,被告の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本国内における需要者の間に広く認識されていた旨を判断したものであり,本件審決の上記判断に誤りはない。
イ(ア)

原告は,本件審決認定の被告商品の販売台数に関し,日本における
屋内家庭用照明器具の販売台数が570万台であるのに対し,被告商品の販売台数は,わずか0.003%程度のマーケットシェアに過ぎない旨主張する。
しかし,本件審決が,屋内家庭用照明器具の販売台数全体と比較すれば必ずしも多いとはいえないものの,1種類の照明器具としては異例の長期間にわたって販売されている旨認定しているように,
屋内家庭用照明器具の販売台数には,玄関,廊下,居間,洗面所や浴室などの場所で意匠の価値とは関係なく,「明かり」を確保する設備として使用されるある程度安価な照明器具が多く含まれているから,屋内家庭用照明器具の販売台数全体を比較することに特別な意味を見いだせない。また,被告商品のマーケットシェアを問題とするのであれば,被告商品と同程度に意匠性が重視される,ある程度の高価な照明器具の販売台数と比較すべきである。
したがって,原告の上記主張は失当である。
(イ)

原告は,被告商品が掲載された商品カタログの配布先の顧客は,主
として建築設計事務所などいわゆるインテリア等の専門家であって,一般消費者とはいえないから,被告商品の立体的形状が,通常の需要者である一般消費者の間で,広く認識されるに至ったものとはいえない旨主張する。
しかしながら,被告商品は,照明器具の業界の書籍・雑誌に掲載されるなど名声を博しているのみならず,商品カタログには,被告商品が一商品として掲載されている場合のほか,被告商品のデザイナーと共に,デザイナーズブランド商品として紹介される場合もあり,かつ,その広告活動が継続的に行われた結果,被告商品は,一部の照明器具愛好家にとどまらず,
広く一般需要者にも知られるものとなっていたものである。
また,原告がリプロダクト品の対象として被告商品を選択したこと自体が,被告商品及びその立体的形状である引用商標が需要者の間に周知であったことを示すものといえる。
したがって,原告の上記主張は失当である。

以上のとおり,
原告の主張は,
いずれも客観的妥当性を欠くものであり,

引用商標が被告商品に長年使用された結果,引用商標が自他商品識別力を獲得したことを認定した本件審決の判断を覆すものではない。
(2)

不正の目的について

ア(ア)

原告は,商品の立体的形状は,特許,実用新案又は意匠に関する権利の存続期間終了によりパブリックドメインになり,何人も自由に使用できる旨主張する。
しかし,周知な商品の形態(立体的形状)は,周知な「商品等表示」(不正競争防止法2条1項1号)として不正競争防止法により保
護されているから,同法による保護を考慮していない点において,原告の上記主張は誤りである。
また,引用商標が被告商品に長年使用された結果,自他商品識別力を獲得し,被告の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本国内における需要者の間に広く認識されていたことは,
前記(1)のとおり
であるから,引用商標は,周知な「商品等表示」に該当するものとして保護を受け得るものである。そして,原告は,被告から不正競争防止法に基づく警告書(乙5)を受けたのであるから,同法に基づく違法性の有無を判断する必要があった。
したがって,原告の上記主張は理由がない。
(イ)

次に,
たとえ,
他人の商品の模倣品
(原告のいう
「リプロダクト品」


を販売することが一般的に行われていたとしても,リプロダクト品を販売する行為と,他人の商品を真横から見た形状を表す図形について商標権を取得しようとする行為とは,全く異なるものである。
そして,本件商標を構成する本件図形は,被告商品の取扱説明書(甲10)に表示された図形と酷似していることに照らすと

原告は,警告

書を送ってきた係争相手方が創作したデザインについて,自らが権利を取得しようとして,そのデザインの図形を取り込んだ本件商標の登録出願を行ったものであるから,原告の不正の目的は明らかである。
(ウ)

原告は,原告による本件商標の登録出願の目的は,被告からの言い
がかりを回避するためである旨主張するが,被告の著名商標が登録されていないことを奇貨として自らの侵害行為を合法化し,被告に損害を与える目的で本件商標の登録出願を行ったものであるから,原告の主張は失当である。

したがって,
原告は,
引用商標が未だ商標登録されていないことに乗じ,
これに化体された信用及び顧客吸引力にただ乗りし,本件商標を使用することで利益を得,又は被告商品の営業に支障を生じさせて損害を生じさせることを目的として本件商標の登録出願を行ったものであるから,本件商標は,原告が不正の目的をもって使用をするものに該当する。

(3)

小括
以上によれば,本件商標が商標法4条1項19号に該当するとした本件審
決の判断に誤りはないから,原告主張の取消事由は理由がない。
第4当裁判所の判断
1
引用商標の周知性について
(1)

認定事実
前記第2の1の事実と証拠(甲3ないし7,9,10,19ないし83,
87ないし95,117ないし120,122,乙5,11,12)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。

被告
被告は,1874年に設立された,電気器具,照明器具の製造販売等を行等するデンマーク国法人である。
被告は,1967年(昭和42年)から,ドイツ,フランス,スウェーデン,アメリカ,ノルウェー,オランダ,オーストラリア,フィンランド,スイス及びイギリスの各国に100%子会社の現地法人を設立し,日本においても,1990年(平成2年)に,照明器具の製造,輸出入,卸売を業とする「ルイスポールセン
ッティ

ポールセン

ジャパン株式会社」(旧商号・「タルジェ

ジャパン株式会社」以下
。「被告日本法人」
という。


を設立した。

被告商品の販売状況

(ア)

被告は,1958年(昭和33年)にデンマークのデザイナーであ
るヘニングセンがデザインした「PH

Snowball」と称される

ランプシェード(被告商品)の販売を,1983年(昭和58年)に開始して以来,各国の現地法人等を通じて,被告商品を含むヘニングセンがデザインしたランプシェード商品(「PHシリーズ」)の販売を世界的に展開している。
日本においては,1986年(昭和61年)当時から,株式会社YAMAGIWA
(旧商号
「株式会社ヤマギワ」以下

「ヤマギワ」
という。

が被告の販売代理店として,1993年(平成5年)当時から,被告日本法人が,現地法人として被告商品の輸入,販売等を行っている。日本における2000年(平成12年)から2016年(平成28年)までの間の被告商品の販売台数は合計5759台,売上額は合計約6億8000万円(甲118)である。
(イ)

被告の顧客リスト(甲119)には,全国の建築設計事務所,ゼネ
コン設計部,照明設計事務所,インテリアデザイン・内装設計事務所,住宅リフォームメーカー,家具・インテリアショップ,プレス等の約5000社(人)(同一法人の重複分を含む。)が掲載されており,被告商品は,北海道から九州にかけての全国的な範囲で取り扱われている。ウ
広告宣伝

(ア)

商品カタログ
ヤマギワ又は被告日本法人は,1986年(昭和61年)以降,被告
商品がその写真と共に掲載された商品カタログ(甲19ないし26,31,33ないし43,87ないし95)を定期的に作成し,被告の顧客リスト掲載の顧客等に配布している。
ヤマギワ作成の商品カタログでは,被告商品及び「PH」シリーズの他の複数の商品について,これらの商品の形態(立体的形状)が認識できるような写真が掲載されると共に,
「ルイスポールセン/PHシリーズ
/デンマーク,ルイスポールセン社は1920年代半ばに照明事業を開始。以来,「環境と,人と光の調和をデザインする」というコンセプトを貫いています。気鋭のデザイナーで建築家でもあった,ポール・ヘニングセンによってデザインされたPHシリーズは同社を代表する作品です。緻密に設計された羽やセードによってどこからも光源が見えず,柔らかい間接光だけが空間に放たれます。独自の存在感を持つ独創的なフォルムは,あくまでも良質な光を生むためにデザインされており,光のオブジェとさえ表現されています。(
」「1998-99」(甲90)


「2002-2003」版(甲91),「2004-2005」版(甲92))等の説明がされている。また,被告日本法人作成の商品カタログでは,被告商品が写真と共に1頁にわたって紹介され,「PHスノーボール

デザイン:ポール・ヘニングセン

ルーパーが幾重にも配され

たデザインで,1958年に発表されたもの」(「1992年」版(甲24),「1996年」版(甲26)),「PHスノーボール

192

4年の8枚シェードランプがリ・デザインされ1958年に発表されたもの。発売は1983年」(「2001年」版(甲31),「2007年」版(甲35))等の説明がされている。
(イ)

被告商品の雑誌等の出版物への掲載
被告商品は,2000年(平成12年)から2014年(平成26年)
ころまでの間に,家具に関する書籍,照明に関する雑誌・カタログ,インテリア雑誌,ファッション雑誌等の出版物(甲44ないし83)で紹介されている。
これらの出版物においては,
例えば,
以下のような説明がされている。
a
被告商品及び「PH」シリーズの他の複数の商品について,これらの商品の形態(立体的形状)が認識できるような写真が掲載されると共に,「北欧三都市で選ぶ,照明の逸品。」,「POUL
INGSEN

ポール・ヘニングセン

スノーボール

HENN

1958年の

「ガラス,光と色展」に出品され,85年に商品化される。」(「pen
b
2000.2」・甲44)

被告商品及び「PH」シリーズの他の複数の商品について,これらの商品の形態(立体的形状)が認識できるような写真が掲載されると共に,「P・ヘニングセンが愛した,黄昏の光。」,「その名のとおり,雪の玉を思わせる美しいシェードが,心を酔わせる柔らかい光をもたらす「スノーボール」。」(「pen

2001

4/1」・甲

45)
c
被告商品及び「PH」シリーズの他の複数の商品について,これらの商品の形態(立体的形状)が認識できるような写真が掲載されると共に,「ルイスポールセンを代表するポール・ヘニングセンデザインのPHランプ。…PHスノーボール」(「Memo男の部屋

200

1.10」・甲46)
d
被告商品及び「PH」シリーズの他の複数の商品について,これらの商品の形態(立体的形状)が認識できるような写真が掲載されると共に,「あたたかでやさしい北欧のあかり」,「ポール・ヘニングセンのPHスノーボール。重なりあうシェードが計算された光と影を演出します。」,「光沢とマットにシェードを塗り分けることによって,生まれる独特の光と影は,ひとつの芸術。スノーボール」(「新しい住まいの設計

e
2002.1」・甲48)

被告商品及び他の複数の商品について,これらの商品の形態(立体的形状)が認識できるような写真が掲載されると共に,「スノーボール
ポール・ヘニングセン

名品中の名品。シェードとリフレクター
が演出する柔らかい光とグラデーションは他に類がない美しさ」「北(
欧スタイル
f
2002

Summer」・甲49)

被告商品及び他の複数の商品について,これらの商品の形態(立体
的形状)が認識できるような写真が掲載されると共に,「緻密に計算してデザインしたセードによって,やわらかな間接光を生みだすP・ヘニングセンの名作。…PHスノーボール」(「輸入住宅
いの設計
g
別冊住ま

118」・甲50)

被告商品及び他の複数の商品について,これらの商品の形態(立体
的形状)が認識できるような写真が掲載されると共に,「ポール・ヘニングセンの不朽の名作PHシリーズのひとつ。光沢とマットに塗り分けられた8枚シェードがつくる光の効果が素晴らしい。…品名:PH
Snowball」(「輸入住宅

ベストセレクション5」・甲

53)
h
被告商品が写真と共に1頁にわたって紹介されると共に,「伝統と
モダンが息づくやわらなか照明」,「ポール・ヘニングセンのPHシリーズは,光が目に直接当たらないように,工夫を凝らした構造によって,反射や拡散を調整し,空間を美しく見せる。どこから覗いても光源である電球が見えない「PHスノーボール」や「PHアーティチョーク」などは,その象徴といえる。」(「家具コレクション
l.17
i
SPRING

Vo

2006」・甲58)

被告商品が写真と共に1頁にわたって紹介されると共に,「光の美
を極めた新しい住宅照明

ポール・ヘニングセン「スノウボール」」,

「PHランプとよばれる照明器具の中で,特に名高いのは主にペンダント型の器具ですが,代表作とも言える「PH5」「スノウボール」などは,
実はアルミニウムを主素材としてつくられています。(
」「エ
コムス

22

2007.9」・甲60)
j
被告商品及び「PH」シリーズの他の複数の商品について,これらの商品の形態(立体的形状)が認識できるような写真が掲載されると共に,「シェード両面を光沢とマットで塗り分けることで得られる,独特な光の効果をもった「PHスノーボール」。その美しさは長い時の経過に耐え得る照明です

ペンダントライト(PH

ll)」(「SEMPRE

NEWS

Vol.4

snowba
2009」・甲

63)
k
被告商品及び「PH」シリーズの他の複数の商品について,これらの商品の形態(立体的形状)が認識できるような写真が掲載されると共に,「約50年前に誕生した「PHスノーボール」は,北欧の照明デザインを代表する機能美を備えた名品のひとつです。」(「プレシャス


2009.3」・甲64)

本件訴訟に至る経緯
(ア)

インテリア商品の販売を業とする原告は,意匠権の存続期間が終了
した意匠に係る製品を,オリジナルデザインを元にできるだけ忠実に復刻生産し,これを「リプロダクト品」と称して,原告の管理するウェブサイト(甲3)で販売している。
(イ)

被告は,平成25年2月20日,原告に対し,原告のウェブサイト
上で,原告が照明器具を販売することは,Poul
en(PH)のPH5,PH

Hennings

Artichoke,PH50等の商品

の商標権及び著作権を侵害し,不正競争を構成するので,販売の差止め及び損害賠償を求めることなどを記載した電子メール(甲7・訳文乙11)を送信した。上記電子メールに添付された販売の差止め等の対象商品には,原告商品も含まれていた。
(ウ)

原告は,同年3月6日,被告に対し,原告は,日本における被告の
著作権及び商標権を調査したが,原告が被告の著作権及び商標権を侵害した事実はないこと,もし原告が被告の知的財産権を侵害しているのであれば法的な証拠を添えて知らせて欲しいことなどを記載した電子メール(甲120・訳文乙12)を送信した。
被告は,同日,原告に対し,日本における被告の登録商標(「Louis

Poulsen」及び「ARTICHOKE」)の登録証を添付

した上で,同月8日までに原告のウェブサイトから被告の商標権及び著作権を侵害するすべての照明器具の掲載の削除を求めること,照明器具はデザイナーの死後70年間応用美術品として保護されることなどを記載した電子メール(甲120・訳文乙12)を返信した。
(エ)

被告の代理人弁理士は,平成25年11月11日付けで,原告に対
し,PH5のデザインは,被告の製造,販売に係る商品を表示するものとして,日本において周知・著名な商品等表示であること,原告がそのウェブサイトで販売する「PH5

Pendantlamp

Model」という名称の商品及び「PH50

Old

Pendantlam

p」という名称の商品は,PH5のデザインと酷似していること,原告による上記商品の販売行為は,不正競争防止法2条1項1号の不正競争に当たるので,販売を中止し,原告のウェブサイトから上記商品のページを削除することを求めることなどを記載した警告書(乙5)を送付した。
(オ)

原告は,平成26年1月30日,本件商標の登録出願をし,同年6
月4日に登録査定を受け,
同年7月11日,
その旨の設定登録を受けた。
(カ)

被告は,平成28年12月31日,本件商標について商標登録無効
審判を請求した。
(キ)

原告は,特許庁が平成29年12月1日にした本件商標の商標登録
を無効とする旨の本件審決を不服として,平成30年1月6日,本件訴訟を提起した。
(2)

引用商標の周知性の有無について


引用商標は,別紙2記載のとおり,上部に小さな凸部を有する8層構造のランプシェードの立体的形状からなり,8層のシェードが組み合わさった形状から構成されている。このような8層のシェードが組み合わさった形状は独特なものであり,特徴的な形状と認められる。また,引用商標は,ヘニングセンがデザインした「PHスノーボール」と称されるランプシェード(被告商品)の立体的形状であり,1986年(昭和61年)に日本国内で被告商品の販売が開始された当時には,他のランプシェード商品には見られない独自のデザインであったものと認められる。もっとも,被告商品の立体的形状は,ランプシェードとしての機能をより効果的に発揮させ,美感をより優れたものとする目的で採用されたものであり(甲90ないし92),しかも,ランプシェードの形状として通常採用されている範囲を大きく超えるものとはいえないから,被告商品の立体的形状それ自体に商品の出所を表示し,自他商品を識別する機能(自他商品識別機能)ないし自他商品識別力があるものとは認められない。
以上を前提に,
引用商標が,
被告商品に使用された結果,本件商標の登録

出願時において,自他商品識別機能ないし自他商品識別力を獲得するに至り,被告の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本国内における「需要者の間に広く認識されている」ものであったかどうかについて判断する。

被告商品がランプシェード商品であることからすると,被告商品の需要
者は,照明器具,インテリアの取引業者及び照明器具,インテリアに関心のある一般消費者であることが認められる。
そこで,まず,被告商品の販売状況をみると,被告商品は,1986年(昭和61年)から,日本国内における販売が開始され,2000年(平成12年)から2016年(平成28年)までの17年間の被告商品の販売台数が合計5759台,売上額が合計約6億8000万円であったことは,前記(1)イ(ア)のとおりである。そうすると,上記17年間における被告商品の1年当たりの平均販売台数は約339台,1台当たりの売上額は約11万8076円となる。
被告商品の価格帯のランプシェード商品の販売台数等の販売状況の総体は明らかではないものの,1年当たりの平均販売台数が約339台であるという被告商品の販売実績は決して多いとはいえない。また,各年の販売台数の推移(甲118)をみても,被告商品の販売台数が短期間の一時期に飛躍的に増加したというような事情はうかがわれない。
ウ(ア)

被告商品の広告宣伝状況をみると,ヤマギワ又は被告日本法人は,
全国の建築設計事務所,ゼネコン設計部,照明設計事務所,インテリアデザイン・内装設計事務所,住宅リフォームメーカー,家具・インテリアショップ,
プレス等の約5000社
(人)
(同一法人の重複分を含む。

の被告の顧客リスト(甲119)に掲載された顧客に対し,定期的に被告商品が掲載された商品カタログを配布していたことは,
前記(1)イ(イ)
及びウ(ア)のとおりである。
しかし,商品カタログにおける被告商品の取り上げ方をみると,ヤマギワ作成の商品カタログでは,被告商品は,「PH」シリーズの他の複数の商品と共に掲載され,これらの商品の形態(立体的形状)が認識できるような写真が掲載されてはいるが,被告商品の写真は他の商品の写真と同程度の大きさであり,
被告商品が特に目立つものではない。
また,
被告商品の写真が商品の説明と共に掲載されたもの
(甲90ないし92)
もあるが,その説明は,ヘニングセンによってデザインされたPHシリーズの商品全体についてのものであり,被告商品に特に焦点を当てて,その立体的形状を印象付けるような内容のものとはいえない。
次に,被告日本法人作成の商品カタログでは,被告商品が写真と共に1頁にわたって紹介されたもの(甲24,26,31,35)があるが,被告商品の説明は,被告商品の機能が中心であり,その立体的形状を印象付けるような内容のものとはいえない。
さらに,商品カタログの全体の発行部数や被告の顧客リストに掲載された顧客以外の需要者に対する配布状況等は明らかではない。
(イ)

被告商品の雑誌等の出版物への掲載状況をみると,前記(1)ウ(イ)
のとおり,被告商品は,2000年(平成12年)から2014年(平成26年)ころまでの間に,家具に関する書籍,照明に関する雑誌・カタログ,インテリア雑誌,ファッション雑誌等の出版物で紹介されているが,その多くは,被告商品が「PH」シリーズの他の複数の商品と共に掲載されたものであって,被告商品の写真は他の商品の写真と同程度の大きさであり,被告商品が特に目立つものではない。また,被告商品が写真と共に1頁にわたって紹介されると共に,被告商品の説明が付された雑誌(甲58,60)もあるが,これらの雑誌の発行部数,主な購買層等は明らかではない。

前記イ及びウの認定事実に照らすと,被告商品の販売が1983年(昭和58年)から開始され,日本国内においても1986年(昭和61年)から本件商標の登録出願がされた2014年(平成26年)当時まで約29年以上にわたり継続的に販売されていたことを考慮しても,被告商品の販売等の取引,商品カタログの配布,被告商品の雑誌等の出版物への掲載等を通じて,被告商品が日本国内の広範囲にわたる照明器具,インテリアの取引業者及び照明器具,インテリアに関心のある一般消費者の間で広く知られるようになったということはできない。
そうすると,引用商標が,1986年(昭和61年)から本件商標の登録出願日
(平成26年1月30日)
までの間に被告商品に使用された結果,
本件商標の登録出願時において,周知著名となったものとはいえないし,また,自他商品識別機能ないし自他商品識別力を獲得するに至ったものと認めることはできないから,引用商標は,被告の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本国内における「需要者の間に広く認識されている商標」に当たるものと認めることはできない。
オ(ア)

この点に関し,被告は,原告がリプロダクト品の対象として被告商
品を選択したこと自体が,被告商品及びその立体的形状である引用商標が需要者の間に周知であったことを示すものといえる旨主張する。しかしながら,インテリア商品の販売を業とする原告がリプロダクト品の対象として被告商品を選択したからといって,少なくとも需要者である照明器具,インテリアに関心のある一般消費者の間に被告商品及びその立体的形状が広く認識されていることを客観的に裏付けるものではないから,被告の上記主張は採用することができない。
(イ)

なお,駐日デンマーク大使作成の陳述書(甲121)中には,「P
Hスノーボール」は,30年以上にわたり世界でそして日本で使用されており,需要者によって被告の製品であることが認知されている旨の記載部分がある。
しかしながら,「認知」が何を意味するのか明確ではない上,「認知」を客観的に裏付ける具体的事実の記載はないから,上記記載部分を採用することができない。
(3)

小括
以上のとおり,引用商標は,他人(被告)の業務に係る商品であることを
表示するものとして,日本国内における「需要者の間に広く認識されている商標」に当たるものと認めることはできないから,その余の点について判断するまでもなく,本件商標は,商標法4条1項19号に該当するものとは認められない。
2
結論
以上の次第であるから,本件商標が商標法4条1項19号に該当するとした本件審決の判断は誤りであり,原告主張の取消事由は理由がある。したがって,原告の請求を認容することとし,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第4部

裁判長裁判官

大鷹一郎
裁判官

古河謙一
裁判官

関根澄子
(別紙1)

(別紙2)

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