判例検索β > 平成27年(ワ)第1190号
職務発明対価請求事件 特許権 民事訴訟
事件番号平成27(ワ)1190
事件名職務発明対価請求事件
裁判年月日平成30年5月29日
法廷名東京地方裁判所
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平成30年5月29日判決言渡

同日原本交付

平成27年(ワ)第1190号

職務発明対価請求事件

口頭弁論終結日

裁判所書記官

平成30年3月8日
判決原X
同訴訟代理人弁護士

大野聖二小林英了大野浩之木村広行多告田宏文
同訴訟復代理人弁護士


同訴訟代理人弁護士

熊倉禎男岡英次松野仁彦山本飛翔渡ソ富告辺鈴木
同補佐人弁理士
主1ニー株式会社光信彦文
被告は,原告に対し,3181万8836円及びこれに
対する平成27年1月29日から支払済みまで年5分の割
合による金員を支払え。

2
原告のその余の請求を棄却する。

3
訴訟費用は,これを16分し,その15を原告の,その
余を被告の各負担とする。
4
この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

第1

実及び理由
請求
被告は,原告に対し,5億円及びこれに対する平成27年1月29日から支
払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2

事案の概要

1
事案の要旨
本件は,被告の従業員であった原告が,被告に対し,職務発明について特許を受ける権利を被告に承継させたことにつき,平成16年法律第79号による
改正前の特許法(以下「旧法」という。
)35条3項の規定に基づき,相当の
対価の未払分296億6976万3400円の一部である5億円及びこれに対する請求の日(訴状送達の日)の翌日である平成27年1月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。2
前提事実(根拠を括弧内(掲げた証拠の直後の〔〕内の記載はその関係ページ番号又は関係部分である。以下同じ。
)に示す。



当事者

原告は,昭和56年4月から平成17年7月まで被告の従業員であり,非接触式ICチップの開発等に従事していた者である(争いのない事実)。


被告は,情報処理装置及び記録媒体を含む電子・電気機械器具の製造,販売等を業とする株式会社である(争いのない事実)
。被告は,原告らに
よって開発された非接触型ICチップを利用したICカードその他の販売等をしている(以下,上記非接触型ICチップを利用するICカード等に係る技術について,単に「FeliCa」ということがある。。




職務発明及び特許を受ける権利の承継

原告は,昭和63年頃から非接触式ICチップの開発に従事するようになり,平成8年5月頃から平成12年3月頃までの間に,被告の他の従業員と共同で,別紙特許目録記載1~20の発明(以下「本件発明」と総称し,個別の発明を同目録の1~20の各冒頭に記載の名称に付された番号〔1~12〕に従い「本件発明1」「本件発明2-1」などという。また,,
本発明2-1及び2を「本件発明2」
,本件発明3-1及び2を「本件発

明3」
,本件発明4-1及び2を「本件発明4」
,本件発明5-1~3を
「本件発明5」
,本件発明6-1及び2を「本件発明6」
,本件発明10-
1~3を「本件発明10」と総称する。
)をした。
本件発明は,被告の業務範囲に属し,かつ,発明をするに至った行為が被告における原告の職務に属するものであった。
(争いのない事実)


原告は,被告に対し,別紙特許目録記載1~20の各⑴に記載の日頃に本件発明を報告し,その頃,本件発明についての特許を受ける権利を譲渡した(争いのない事実,乙27~36)




被告の特許出願及び登録
被告は,別紙特許目録記載1~20の各⑵に記載のとおり,本件発明につ
き特許出願をし,特許登録を受けた(以下,本件発明の特許出願の願書に添付された明細書及び図面を総称に係る本件発明1~12の番号に従い「本件明細書1」などといい,本件発明に係る特許を「本件特許」という。。本件)
発明に係る特許請求の範囲の記載は,同目録記載1~20の各⑶に記載のとおりである。
(争いのない事実)



被告の職務発明に関する規定の定め
被告は,被告の役員及び従業員が職務上行った発明の取扱い等につき,「発明考案規定」を設けている。発明考案規定は●省略●に改正され,その後も複数回の改正がされたが,●省略●改正後のものには,いずれも次の趣
旨の定めがある(乙37~46。以下,これらの発明考案規定を総称して「被告発明考案規定」という。。


職務発明をした場合には社外に発表する前に直ちに上司に届け出,知的財産権の登録を受ける権利を被告に譲渡すること。


被告は,職務発明をした役員又は従業員に対し,発明を報告した際には発明報告褒賞金を,特許出願をしたときに出願表彰褒賞金を,特許登録を受けた発明を実施又は実施許諾によって特に顕著な功績が認められた場合
は特別表彰又は実施等に関する報奨金(平成20年4月1日改正前は「褒賞金」
。以下,
「報奨金」というときは,同改正前の「褒賞金」を含むこと
がある。
)を支払う。


被告による現物出資
被告は,平成15年12月頃,会社分割によりフェリカネットワークス株
式会社(以下「FN社」という。
)を設立し,その頃,FN社に対し,●省
略●(以下「本件対象実施権」という。
)その他の知的財産権の使用を許諾
した(争いのない事実,乙48〔別紙4の番号15,18,20,22,30,31,49,51〕
,弁論の全趣旨)



被告による本件発明の実施
被告は,別紙被告製品目録記載1~6の製品に係るICチップ(以下,同目録記載1~6の各欄に記載された製品群を各欄冒頭の番号に従い「被告製品1」などといい,これらを併せて「被告製品」という。
)のうち,被告製
品1~5を製造販売しており,被告製品6を平成16年1月7日まで製造販
売していた。このうち,被告製品5にはセキュアタイプと呼ばれる仕様の製品(かざされたFeliCaICカード,トークン等が真正なものであることを当該製品内において認証する機能を有するもの)とノンセキュアタイプと呼ばれる仕様の製品(上記機能を有しないもの。以下,上記各仕様の被告製品5をそれぞれ「被告製品5セキュア」「被告製品5ノンセキュア」とい,

う。
)がある(争いのない事実,弁論の全趣旨)

次表(以下「実施関係表」という。
)の本件発明欄記載の番号に対応する
本件発明につき,被告製品1~6欄に「○」が記載された被告製品及び「▲」が記載された被告製品のうちEEPROMが搭載された製品はそれぞれ当該欄記載の発明の実施品であり,
「-」が記載された被告製品は当該欄記載の
発明の実施品でない(争いのない事実,弁論の全趣旨)
。実施関係表の「▲」
が記載された被告製品のうちFeRAMが採用された製品及び「◆」が記載
された被告製品について,それぞれ当該欄記載の発明の実施品である否かについては当事者間に具体的な争いがある。
本件
発明

被告製品被告製品被告製品被告製品被告製品被告製品被告製品
1234
5セキュ5ノンセ
ア6
キュア

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

2-1

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

2-2

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

3-1

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

3-2

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

4-1

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

4-2

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

5-1

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

5-2

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

5-3

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

6-1

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

6-2

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●
10-1

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

10-2

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

10-3

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●

●省略●



実施報奨金の支払
被告は,原告に対し,遅くとも平成28年3月頃までに,次表の本件発明欄記載の各本件発明につき,発明が実施,実施許諾されたことに基づく報奨金として金額欄記載の報奨金を支払った(合計●省略●。争いのない事実,甲15)


本件発明
1,11

●省略●

2
●省略●

3
●省略●

4
●省略●

5
●省略●

6
●省略●

7,12

●省略●

8
●省略●

9
●省略●

10


金額

●省略●

消滅時効の援用
被告は,原告に対し,平成27年10月23日の本件第3回弁論準備手続期日において,本件発明に係る各特許の登録日前の実施に対応する相当の対価支払請求権につき消滅時効を援用するとの意思表示をした(当裁判所に顕著な事実)

3
争点
旧法35条3項の「相当の対価」の支払請求権の存否及び額につき,次の点が争点である。


被告製品における本件発明の実施の有無
アイ
被告製品1(本件発明12の実施)


被告製品5ノンセキュア(本件発明1,11の実施)


被告製品5(本件発明2の実施)


被告製品5(本件発明3の実施)


被告製品5(本件発明4-2の実施)


被告製品5(本件発明5-1,5-3の実施)


被告製品5(本件発明6-2の実施)


被告製品5ノンセキュア(本件発明7の実施)


被告製品5ノンセキュア(本件発明9の実施)


被告製品5(本件発明10-1の実施)


FeRAMが採用された被告製品1及び6(本件発明3の実施)


FeRAMが採用された被告製品1及び6(本件発明2の実施)

被告製品5(本件発明10-2の実施)



本件発明により受けるべき利益

本件発明の被告による実施に伴う利益


FN社に対する実施権の現物出資に伴う利益


第三者に対する実施許諾に伴う利益




4
本件発明に対する発明者間における原告の貢献の程度



本件発明について被告が貢献した程度

登録日前の実施に対応する相当の対価支払請求権の消滅時効の成否争点についての当事者の主張


争点⑴(被告製品における本件発明の実施の有無)について(原告の主張)
被告製品については,原告主張のとおり本件発明が実施されている。このことは,被告からの平成26年10月27日付け回答書(甲15)において被告が実施を認めた事実やその前後の経緯等に鑑みれば明らかである。
被告が本件発明を実施したことを争う被告製品について,具体的には後記ア~スのとおり,本件発明の技術的範囲に属する。
また,被告製品が本件発明の直接実施品でないとしても,被告製品の販売等による被告の売上げの中に法的独占権に由来する利益があるといえる場合は相当の対価の算定の基礎となる利益(独占の利益)に含めるべきで
ある。そして,仮に第三者が製造販売していれば,特許法101条所定の間接侵害が成立する製品の製造販売については,同条2号及び5号の創設前であっても,上記の独占の利益の算定に含めるべきである。

FeRAMが採用された被告製品1及び6(本件発明2の実施)
本件発明2-1の「第1の領域」及び「第2の領域」は,データ領域に割り当てられた所定の物理ブロック番号を直接記憶,管理するものに限定されることはない。このことは,①特許請求の範囲の記載に,記憶,管理するものが所定の物理ブロック番号であると限定する旨の記載がないこと,②非接触通信における通信状態の不良によるメモリコラプショ
ンのおそれを防止する課題(本件明細書2の段落【0006】等)の解決とブロック番号群の記憶方法は関係しないこと,③本件明細書2にデータ領域に対応するブロック番号(
【図7】
)を「第1の領域」
「第2の
領域」に対応させる実施例に加えてポインタ領域に対応するブロック番号(
【図11】
)が含まれる実施例が記載されていることから明らかであ

る。被告が指摘する意見書(乙158)は,
「ブロック番号」がデータ
領域に対応するブロック番号であることを主張するものでないから,被告の主張する解釈に限定される根拠とならない。
被告製品1及び6のうちFeRAMが採用された製品も,EEPROMが採用された製品と同様,メモリをブロック単位で管理し,1ブロックは16バイトである(甲23)から,本件発明2-1の技術的範囲に属する。
仮に本件発明2-1の「第1の領域」
「第2の領域」が記憶等するも
のが物理データに対応するブロック番号に限定されるとしても,本件発明2-2はデータブロック番号を記憶するポインタ領域に対応する「ポインタブロック番号」を「第1の領域」
「第2の領域」に含む構成であ

るところ,FeRAMの「ルートテーブル」に含まれる「セグメント情報」がこれに対応するから,被告製品1及び6のうちFeRAMが採用された製品は本件発明2-2の技術的範囲に属する。
そして,本件発明2-2についても,記憶手段が有するデータ領域及びポインタ領域が同一の「ブロック単位」でデータ及びデータブロック
番号を記憶するものであると限定されない。このことは,①特許請求の
の段落【0006】等)の解決にデータの記憶単位が関係しないこと,③本件明細書2において実施例として同一のブロック単位の例があるにすぎないことから,明らかである。
被告製品1及び6のうちFeRAMが採用された製品についても,非接触通信における通信状態の不良によるメモリコラプションのおそれを防止するという課題(段落【0006】等)がある。そして,FeRAMを採用したICカード(RC-S880。被告製品1の一つである。)が製造
販売され始めた平成21年2月頃より後に発行されたユーザーズマニュ
アル(甲31)において,メモリコラプション防止につきEEPROMを採用した製品との区別なく記載されていること,FeRAMが採用されたICチップの開発に当たり原告が本件発明2及び3以外の方法を提案したが採用されずに本件発明2及び3を実施することが決定したという経緯からしても,FeRAMが採用された被告製品1及び6は本件発明2の技術的範囲に属している。

FeRAMが採用された被告製品1及び6(本件発明3の実施)
と同様の理由により,本件発明3の「第1の領域」及
び「第2の領域」が解釈され,FeRAMが採用された被告製品1及び6は,
「第1の領域」
「第2の領域」を充足する。
「消去ステップ」の「消去」は,当業者の技術常識によればゴミ箱にデータを捨てることや媒体のフォーマットも該当する(甲25)から,
新しいデータが書き込まれることで古いデータが使われなくなることも含まれる。FeRAMにおいては,上書き処理等によって古いデータが使われなくなるから,データを「消去」している。
この点をおくとしても,EEPROMが採用された被告製品1及び6においては「消去ステップ」に相当する処理を行っていたところ,その
後にFeRAMが採用された際,公共交通機関で用いられているFeliCaの互換性に関する不安を払拭するため,上記処理を残すこととした。したがって,FeRAMが採用されたものについても「消去ステップ」が実行可能となっている。
以上に加え,前記ア

の経緯からすれば,FeRAMが採用された被

告製品1及び6は本件発明3の技術的範囲に属する。

被告製品1(本件発明12の実施)
●省略●から,被告製品1は本件発明12の技術的範囲に属する。

被告製品5ノンセキュア(本件発明1,11の実施)
被告製品5ノンセキュアのうちサーバ等を利用して認証等を行うもの(FeliCaポート等)は,被告製品1等に現金でチャージをすることが可能であることが主な仕様とされていること(乙169)からすれば,本件発明1及び11の「情報処理装置」に当たり,被告製品5セキュアと同じく,本件発明1及び11を実施しているというべきである。仮に被告製品5ノンセキュアが本件発明1及び11の「情報処理装置」に当たらないとしても,上記FeliCaポート等は少なくとも「第1の情報処理装置」が備える「送信手段」に該当し,これとサーバ等が組み合わさって「第1の情報処理装置」となる。
また,上記FeliCaポート等において,本件発明1及び11の相互認証を行わない住民基本台帳カード,e-Tax(国税電子申告・納
税システム)その他のtypeB規格のカード等と通信することができたとしても,被告の広告資料等(乙169,170,175)においては,上記FeliCaポート等は金銭のチャージや通信販売サイトにおける決済が可能であるとされていて,本件発明1及び11の実施が可能である旨が記載されている。typeB規格のカードに対応したリーダ
が販売等されているのに,被告製品5ノンセキュアを敢えて購入する者がFeliCaを用いないまま被告製品5ノンセキュアの使用を続けることは考えられないことからすれば,上記の実施をする機能を使用せず,これをしない機能のみを使用し続けることがその物の経済的,商業的又は実用的な使用形態であるといえない。したがって,上記FeliCa
ポート等は,本件発明1及び11の方法の使用にのみ用いる物であり,サーバ等を利用して本件発明1及び11を実施することとなる上記FeliCaポート等の製造販売(東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」という。,日本電気株式会社,株式会社ローソンに対するOEM)
販売を含む。
)は特許法101条4号の間接侵害に該当する。

と同じく,上記FeliCaポート等は少なくとも本件発明1
及び11の「第1の情報処理装置」が備える「送信手段」に該当するから,本件発明1及び11の方法の使用に用いる物である。
「第1の情報
処理装置」等が行う処理により本件発明1及び11の課題が解決されることは明らかであるから,FeliCaポート等は本件発明1及び11の課題の解決に不可欠なものである。したがって,その製造販売は,特許法101条5号の間接侵害に該当する。


被告製品5(本件発明2の実施)
被告製品5は,本件発明2の実施品である被告製品1と通信を行うところ,その際に生じ得るメモリの不都合を回避するため,本件発明2の方法が実施される。被告製品5を使用する際に本件発明2の方法が使用
されないことがあるとしても,少なくとも被告製品5が被告製品1に対応する以上,当然に本件発明2の方法の実施が予定されており,これを実施しない機能のみではメモリの不整合が防止できず,被告製品5として全く用をなさない。また,typeB規格のカードに対応したリーダが販売等されているのに,被告製品5を敢えて購入した者がFeliC
aを用いないまま使用を続けることは考えられない。そうすると,被告製品5において本件発明2の方法を実施しない機能のみを使用し続けながらこれを実施する機能を全く使用しないという使用形態がその物の経済的,商業的又は実用的な使用形態といえない。
したがって,被告製品5の製造販売は,本件発明2との関係で,第三
者が製造販売していれば特許法101条4号の間接侵害となる。
本件発明2の方法は,メモリコラプションに対して効果的に対処することができるようにするという課題を解決するものであり,被告製品1などと通信する際,メモリコラプションに対処するために,書き込みの命令(Writeコマンド等)により「記憶手段」に「記憶させ」る処
理を行うものであるから,リーダライタである被告製品5なくしてこの方法は実現し得ない。そうすると,被告製品5は,本件発明2による課題の解決に不可欠なものである。そして,被告は,本件発明2に係る特許を保有し,その実施に係る事業は被告における一大プロジェクトであるから,その発明が特許発明であること,その物が当該発明の実施に用いられることを知っていることは疑いの余地がない。
したがって,第三者が被告製品5を製造販売していれば,本件発明2
との関係で特許法101条5号の間接侵害となる。

被告製品5(本件発明3の実施)
被告製品5は,書き込みの命令により本件発明3の「データを書込む書込みステップ」「ブロック番号を記憶させ」る処理や「ブロック番号を記,
憶させる記憶制御ステップ」等を行わせるものである。

そうすると,本件発明2について述べたのと同様の理由により,本件発明3との関係で,第三者が被告製品5を製造販売していれば特許法101条4号又は5号の間接侵害となる。

被告製品5(本件発明4-2の実施)
被告製品5は,本件発明4-2の実施品である被告製品1との通信過程において,例えば,
「情報処理装置」に当たる被告製品1の「ユーザ
ブロック」に当たる同一のメモリ領域が複数のサービスプロバイダに割り当てられ,各プロバイダについて上記の領域における異なるアクセス権が領域定義ブロックにより設定されている場合,被告製品1が「プロ
バイダの装置」に当たる被告製品5からコマンドを受信し,このコマンドをある特定のプロバイダについての処理を行い,その結果を送信することにより使用され,本件発明4-2の方法が実施される。
そして,被告製品5は,被告製品1に対応している以上,当然に本件発明4-2の方法が実施されることが予定されており,これを実施しな
い機能のみでは被告製品1に対応しているといえないから,被告製品5において,本件発明4-2の方法を実施しない機能のみを使用し続けながら当該発明を実施する機能を全く使用しないという使用形態がその物の経済的,商業的又は実用的な使用形態といえない。
したがって,被告製品5は,本件発明4-2との関係で,第三者が製造販売していれば特許法101条4号の間接侵害となる。
本件発明4-2の課題は,
「複数の利用者(R/W)に対応して個別

の処理を行うことができるようにする」ことである(本件明細書4の発明の詳細な説明欄の段落【0011】。被告製品5は,本件発明4-2)
の「プロバイダの装置」に該当するところ,本件発明4-2の実施品であり,
「情報処理装置」に当たる被告製品1が被告製品5からのコマン
ドを受信し,所定の領域定義ブロック領域を基に,前記コマンドを処理
し,その処理の結果を送信することで,複数のサービスプロバイダに割り当てられた共有のメモリ領域について,プロバイダごとに異なるアクセス権(リード/ライト又はリードオンリー)を認めることが可能になる。そうすると,被告製品5は本件発明4-2による課題の解決に不可欠なものである。被告製品5は「複数の利用者に対応して個別の処理を
行うことができるようにする」ためのコマンドを送信するのであり,こうした構成を要する被告製品5は従来から必要とされていたものとはいえない。
そして,被告は,本件発明4-2に係る特許を保有し,被告製品1において本件発明4-2を実施しているから,これと通信する被告製品5
が本件発明4-2の実施に用いられることを知っていた。
したがって,被告製品5の製造販売は,本件発明4-2との関係で,第三者がこれを行えば特許法101条5号の間接侵害となる。

被告製品5(本件発明5-1,5-3の実施)
a
被告製品1は本件発明5-2の実施品であり,本件発明5-1の
「データ記憶装置」に該当するところ,本件発明5はICカード等を回収せずに安全にサービスを追加することを可能にした発明であるから,被告製品1と通信する被告製品5がそのようなサービス追加のための構成を有していることは明らかであり,被告製品5において本件発明5-1,5-3が実施されている。
b
また,本件発明5-1は,例えば,
「データ記憶装置」に該当する
被告製品1のメモリにおいて,上位層のメモリ領域(第1の記憶領域)の一部を,他のサービスの提供などのために,下位層のメモリ領域(第2のメモリ領域)として割り当てるに際し,当該割当てに必要な情報(第2の管理情報)を,当該上位層の鍵(第1の管理情報に含ま
れる鍵)で暗号化し,被告製品5は,暗号化した情報と,当該上位層を特定するための識別情報(第1の記憶領域の識別情報)を被告製品1に対して送信し,被告製品1は,これに基づいて上位層を特定し,鍵を用いて第2の管理情報を復号し,下位層としてのメモリ領域を割り当てる。

そして,仮に被告製品5が「第2の管理情報を作成する管理情報作成手段」を有していなくても,被告製品1等と通信することで発券業者等の管理者が有する上記手段と必然的に組み合わされて本件発明5-1の「情報処理装置」の構成を満たすことになる。被告製品5は,この「情報処理装置」を生産する以外の経済的,商業的又は実用的な
他の用途がないから,特許法101条1号の間接侵害が成立する。特に,発券機能を有する被告製品5は,
「第2の管理情報を作成す
る管理情報作成手段」に相当するコンピュータ等と組み合わさって又はこれに組み込まれて一つの装置になり,
「情報処理装置」となる。
このことは,本件発明5の実施形態として発券情報提供装置(131)
と発券機(101)を組み合わせた情報処理装置を開示していること(本件明細書5の発明の詳細な説明欄の段落【0263】~【0276】
)から,明らかである。そして,発券機能を有する被告製品5は,このような「情報処理装置」を生産するために用いられないことはおよそ想定し得ないから,特許法101条1号の「生産にのみ用いる物」である。
c
前記bで主張したことからすれば,被告製品5は特許法101条2号の「その物の生産に用いる物」に当たる。また,本件発明5-1は,発券作業において「記憶領域にアクセスするのに必要なキーその他の情報を,セキュリティ上安全でない場所においても安全に書き込むことができるようにする」という課題を解決するものであり(本件明細
書5の発明の詳細な説明欄の段落【0012】,被告製品5は暗号化)
された「第2の管理情報」と「第1の記憶領域の識別情報」とを「送信する送信手段」を備え,これらの構成によって初めて上記課題が解決されるから,この「解決の課題に不可欠なもの」である。したがって,被告製品5の製造販売は,本件発明5-1との関係で,第三者が
これを行えば同号の間接侵害が成立する。
本件発明5-3は本件発明5-1を方法の観点から特定した発明であり,
「第2の管理情報」を「暗号化する暗号化ステップ」や,
「暗号化さ
れた前記第2の管理情報」とともに「第1の記憶領域の識別情報」を「送信する送信ステップ」などで特定された方法である。被告製品5は
少なくとも被告製品1に対応している以上,当然に本件発明5-3の情報処理方法が実施されることが予定されており,これを実施しない機能のみでは被告製品1に対応しているといえないことになる。そのため,本件発明5-3の方法を実施しない機能のみを使用し続けながら当該発明を実施する機能は全く使用しないという使用形態がその物の経済的,
商業的又は実用的な使用形態といえない。したがって,被告製品5を第三者が製造,販売していれば,特許法101条4号の間接侵害が成立する。また,被告製品5は課題の解決に不可欠なものであるから同条5号の間接侵害が成立する。

被告製品5(本件発明6-2の実施)
被告製品5は,本件発明6-1の実施品である被告製品1に対応するリーダライタであって,本件発明6-2は被告製品1と5の通信過程に
おいて使用されるものである。そうすると,被告製品5において,本件発明6-2の方法を実施しない機能のみを使用し続けながらこれを実施する機能を全く使用しないことはおよそ想定し難い。したがって,被告製品5は上記の「方法の使用にのみ用いる物」に該当し,特許法101条4号の間接侵害が成立する。

上記

のとおり,被告製品5は本件発明6-2の「方法の使用に用い

る物」であるところ,本件発明6-2の課題は「データの記憶のためのリソース管理や,データに対するフレキシブルでセキュリティの高いアクセス制御を行うことができるようにする」ことである(本件明細書6の発明の詳細な説明欄の段落【0010】。被告製品5は,被告製品1)

に対応してアクセスすることが可能であるように構成されており,これによって上記課題が初めて解決されるから,その「課題の解決に不可欠なもの」に該当し,第三者が製造販売した場合その製造販売は特許法101条5号の間接侵害となる。

被告製品5ノンセキュア(本件発明7の実施)
被告製品5ノンセキュアのうちサーバ等を利用して認証等を行うものは,被告製品1等に現金でチャージをすることが可能であることが主な仕様とされていること(乙169)からすれば,被告製品5セキュアと同じく,本件発明7を実施しているというべきである。

本件発明7は,例えば,リーダライタ(第1の装置)と被告製品1(第2の装置)との認証の際,複数の鍵を縮退した第1の認証鍵を用いて認証処理の回数を低減する発明である。被告製品5ノンセキュアは,被告製品1等に現金でチャージする際には「第1の通信手段」に該当し,これとサーバを組み合わせると「第1の装置」となる。このことは,例えば,本件明細書7において,システムをコントローラ(1)
,リーダ
ライタ(2)及びICカード(3)により構成し,コントローラにおいて暗号書きを記憶するメモリと縮退鍵を生成する縮退処理部を有し,リーダライタがコントローラの通信部及びICカード3と通信を行うもので,暗号化部(22)を備えている形態が開示されており(段落【0039】~【0042】,本件発明7における「第1の装置」が一体のも)

のとして構成されたものに限定されていると解されないことから,明らかである。
このように,被告製品5ノンセキュアは,外部サーバ及び被告製品1によって必然的に本件発明7の認証システムを構成し,これを生産する以外の経済的,商業的,実用的な他の用途はないから,本件発明7の
「生産にのみ用いる物」である。
したがって,第三者が被告製品5ノンセキュアの製造販売をした場合,本件発明7との関係で特許法101条1号の間接侵害となる。

ことによって本件発明7の「第1の装置」を構成する。また,本件発明7は,例えば,複数の鍵から一つの縮退鍵を生成し,これを用いて認証を行うことにより,複数の鍵を用いた複数回の認証処理よりも迅速な認証ができるようにするものである(本件明細書7の発明の詳細な説明欄の段落【0008】。被告製品5ノンセキュアは,サーバ及び被告製品)
と組み合わせることによって上記の課題を解決することができるから,
その「課題の解決に不可欠なもの」に当たる。
したがって,第三者が被告製品5ノンセキュアの製造販売をした場合には本件発明7との関係で特許法101条2号の間接侵害となる。サ
被告製品5ノンセキュア(本件発明9の実施)
被告製品5ノンセキュアのうちサーバ等を利用して認証等を行うものは,被告製品1等に現金でチャージをすることが可能であることが主な
仕様とされていること(乙169)からすれば,被告製品5セキュアと同じく,本件発明9を実施している。
本件発明9は,例えば,複数のサービスプロバイダそれぞれに固有のファイル鍵情報を付与し,管理者がその固有の鍵情報で各サービスプロバイダのファイル鍵情報を暗号化するなどしてアクセス鍵情報を生成し,
これを用いてあるサービスプロバイダの被告製品5(アクセス装置)が被告製品1などを認証して,被告製品1のファイルにアクセスすることを可能にする「情報携帯処理システム」の発明であるところ,被告製品5ノンセキュアは,被告製品1等に現金チャージする際にサーバと組み合わさって「認証の処理」を行う「アクセス装置」となる。このことは,
本件発明9に係る特許出願における特許請求の範囲の請求項2において「アクセス装置」が情報携帯装置に送信するものとして特定されており,本件発明9の「アクセス装置」についても同様に解されること,本件明細書9において,
「情報形態処理システム」に相当するICカードシス
テムが端末装置と,これとは別のリーダライタ,
「情報携帯装置」に相

当するICカードなどにより構成され,端末装置がリーダライタを介して「アクセス鍵」を用いてICカードとの相互認証を行う形態が開示されており(発明の詳細な説明欄の段落【0016】【0034】【00,

35】【図2】【図9】,


)「アクセス装置」が一体のものとして構成さ
れたものに限定されないことから,明らかである。

こうした被告製品5ノンセキュアは,外部サーバ及び被告製品1によって必然的に本件発明9の情報携帯処理システムを構成するもので,これを生産する以外の経済的,商業的,実用的な他の用途はないから,本件発明9の「生産にのみ用いる物」である。
したがって,第三者が被告製品5ノンセキュアの製造販売をした場合,本件発明9との関係で特許法101条1号の間接侵害となる。
上記

のとおり,被告製品5ノンセキュアは,サーバと組み合わせる

ことによって本件発明9の「アクセス装置」を構成する。また,本件発明9は,複数の事業者でICカード等を共用する場合,事業者ごとにユーザの個人情報を秘密化することが必要になり,各事業者が使用するメモリ空間を時間的にも領域的にも管理する必要がある点を考慮して,複数の事業者で共用することができる情報携帯処理システムなどを提案す
るものである(本件明細書9の発明の詳細な説明欄の段落【0007】,
【0008】。被告製品5ノンセキュアは,サーバ及び被告製品と組み)
合わせることによって上記の課題を解決することができる(段落【0012】
)から,その「課題の解決に不可欠なもの」に当たる。
したがって,第三者が被告製品5ノンセキュアの製造販売をした場合,
本件発明9との関係で特許法101条2号の間接侵害となる。

被告製品5(本件発明10-1)
被告製品1は,本件発明10-3の実施品であることは争いがなく,本件発明10-1(
「携帯装置」に搭載された「集積回路」の「記憶領

域」を分割するデータ処理方法)における「携帯装置」に該当し,本件発明10-1の方法は,被告製品1と被告製品5との通信過程において使用される。
そして,被告製品5は,被告製品1に対応しており,少なくとも発券機能を有する被告製品5からのコマンド等により,被告製品1に本件発
明10-1の方法を実施させるのであり,このような方法を実施しない機能のみを使用し続けながら本件発明10-1を実施する機能を全く使用しないことはおよそ想定し難い。
したがって,第三者が被告製品5の製造販売をした場合,本件発明10-1との関係で特許法101条4号の間接侵害となる。
被告製品1のメモリ分割をするに当たって本件発明10-1が実施される以上,被告製品5は「方法の使用に用いる物」である。また,本件
発明10-1は「複数の事業者で単体のカードを共用する場合に,サービス提供元のセキュリティの面を含む各種要望に対応することができるデータ処理方法及びそのシステム,携帯装置,データ処理装置及びその方法をプログラムを提供することを目的とするものである(本件明細書10の発明の詳細な説明欄9頁41~44行目)
。本件発明10-1に

おいては,例えば,
「記憶領域運用元」に相当するメモリ管理業者等が
「携帯装置」に相当する被告製品1のメモリを分割するに当たり,被告製品5を管理し,
「携帯装置の発行元である前記第1のサービスの提供
元」に相当するカード発行者が,
「第2のモジュールデータ」を「第1
の領域管理鍵データを用いて」更に「暗号化」する。被告製品5は,こ
の暗号化されたデータを被告製品1の集積回路に提供し,メモリの分割を実行させる。本件発明10-1の課題は,このメモリの分割の実行により解決されるのであって,これを実行させるのは被告製品5である。被告製品5が「課題の解決に不可欠なもの」に該当することは明らかである。

したがって,第三者が被告製品5の製造販売をした場合,本件発明10-1との関係で特許法101条5号の間接侵害となる。

被告製品5(本件発明10-2の実施)
本件発明10-2は,例えば,被告製品1の発行者(第1のサービス
提供元)以外のメモリ管理者(記憶領域運用元)が当該発行者や分割されたメモリ領域の割り当てを受けるサービスプロバイダ(第2のサービス提供者)のセキュリティを確保しつつ被告製品1のメモリ領域を分割することを可能にする方法の発明である。例えば,メモリ管理者は,分割に必要なデータを分割用鍵データで暗号化し,これを発行者に提供し,発行者がこの暗号化されたデータを含むデータを更にその領域管理鍵データとして暗号化してこれをメモリ管理者に提供し,メモリ管理者は提供を受けたデータと被告製品5(記憶領域分割装置)を用いて被告製品1などのメモリ分割を実行する。
そして,被告製品5は少なくとも被告製品1に対応している以上,当然に本件発明10-2の「データ処理方法」が実施されることが予定さ
れているから,本件発明10-2の方法が実施されないことがあるとしても,その方法を実施しない機能のみを使用し続けながらこれを実施する機能を全く使用しないという使用形態がその物の経済的,商業的,実用的な使用形態といえない。
したがって,第三者が被告製品5の製造販売をした場合,本件発明1
0-2との関係で特許法101条4号の間接侵害となる。
上記

のとおり,本件発明10-2は被告製品5を用いて記憶領域の

安全な分割を実現するから,本件発明10-2の課題の解決に不可欠なものであり,被告は本件発明10-2が特許発明であること,その物がその実施に用いられることを知っている。
したがって,第三者が被告製品5の製造販売をした場合,本件発明10-2との関係で特許法101条5号の間接侵害となる。
(被告の主張)
後記の被告製品は,いずれも対応する本件発明の技術的範囲に属しない。原告は,第三者が被告製品5の製造販売をした場合に特許法101条1号,
2号,4号又は5号の間接侵害に該当すると主張するが,職務発明の対価の計算においては,第三者の利益が使用者の利益に該当しないことからして,使用者である被告の行為であるICチップの製造販売が本件発明の実施に該当するか否かを検討すれば足りると解すべきであり,特許権侵害を補完する違法な行為として捉える間接侵害の規定は適用すべきでない。仮にそうでないとしても,後記のとおり,原告が主張する行為を第三者が行ったとしても間接侵害に該当することはない。


FeRAMが採用された被告製品1及び6(本件発明2の実施)
本件発明2-1には「記憶内容の新しさに関する情報である最新情報を,それぞれ記憶する第1の領域並びに第2の領域とを有し」という構成要件があるところ,
「第1の領域」及び「第2の領域」は,記憶内容

の新しさに関する「最新情報」を記憶するとともに,データを記憶する「データ領域」に割り当てられた所定の物理ブロック番号を直接記憶,管理するものである。このことは,特許請求の範囲に「更新前のデータが記憶されているブロックのブロック番号を示す第1のブロック番号群,更新後のデータを記憶するブロック番号を示す第2のブロック番号群」
を記憶する旨記載されていること,本件発明2がメモリコラプションに対して効果的に対処するという課題(本件明細書2の段落【0011】)
を解決するために物理ブロック番号を直接記憶,管理する構成を採用したもので,第1及び第2の領域に最新情報と共にデータ領域の所定の物理ブロック番号が配置されると本件明細書2に記載されていること(段
落【0102】【図7】

)に加え,当該記載を根拠に上記構成要件を補
正により追加,変更し,その旨の意見書(乙158)を提出したという出願経過にも照らせば,明らかである。
●省略●したがって,被告製品1及び6のうちFeRAMが採用されたものは,上記構成要件を充足しない。

本件発明2-2は,記憶手段が有するデータ領域及びポインタ領域が同一の「ブロック単位」でデータ及びデータブロック番号を記憶することを構成要件とするものである。このことは,①特許請求の範囲の記載上「所定の」と記載されており,
「所定」は「一定」を意味すること,
②本件明細書2に,記憶手段としてはEEPROMのみが開示され,EEPROMの40バイト単位のブロックのうち一部がデータ領域を,別の一部がポインタ領域を構成することが開示されており(段落【020
0】,EEPROMにおいてはデータの更新に時間がかかるために複数)
のブロックをページ単位にまとめて更新することから,本件発明2はブロックの大きさを同一にすることでブロックを効率的にページに収納できるようにするものであると読み取れること,③本件明細書2に,データ領域を構成する各物理ブロックは8バイト単位でデータを記憶し,ポ
インタ領域(ブロック番号領域)を構成する各物理ブロックも8バイト単位で物理ブロック番号を記憶するものとする実施例(段落【0146】【図11】

)があること,④この実施例の記載を根拠に上記構成に係る部分が補正により追加,変更されたという出願経過に照らせば,明らかである。

FeRAMでは,●省略●したがって,被告製品1及び6のうちFeRAMが採用された製品は,上記構成要件を充足しない。

FeRAMが採用された被告製品1及び6(本件発明3の実施)
本件発明3の「第1の領域」及び「第2の領域」の解釈及びFeRA
Mが採用された被告製品1及び6がこれを充足しないことは,前記ア及び

のとおりである。

「消去ステップ」の「消去」は新しいデータに上書きされることを含まない。このことは,本件発明3が,古いデータを上書きする場合に更新中に電源が遮断されると,更新したデータを読み出したときに,古いデータが読み出されることがある等不安定な状態になることがあったため,更新後のデータの書き込みステップと独立した消去ステップを設けたものであること(本件明細書3の発明の詳細な説明欄の段落【0011】【0012】【図5】【図7】



)から明らかであるし,出願手続中
に提出された平成16年10月4日付け意見書(乙161)において,メモリの書き込み処理後に不要なデータが存在している場合,次回以降の書き込み処理において当該不要なデータが存在する位置に新たなデー
タを上書きすることが一般的であり,当該不要なデータを消去しないとし,上書きと消去を別概念として記載していることからも明らかである。FeRAMは●省略●「消去ステップ」を充足しない。

被告製品1(本件発明12の実施)
本件発明12は①「前記他の装置が対応する前記認証鍵を生成するのに
必要な情報と前記第1の乱数を通知する通知手段と」
,②「前記認証手段
により前記復号された前記第2の乱数と前記第1の乱数が一致した場合,前記生成手段により生成された前記認証鍵を用いて前記他の装置からの情報を暗号化する」との構成を有する。被告製品において●省略●したがって,被告製品1は本件発明12の技術的範囲に属しない。


被告製品5ノンセキュア(本件発明1,11の実施)
被告製品5ノンセキュアは,●省略●本件発明1及び11の「第1の情報処理装置」が備えるべき①乱数を生成する「乱数生成手段」と暗号鍵を記憶する「記憶手段」
,②上記暗号鍵を使用して乱数を暗号化する

「暗号化手段」
,③上記暗号鍵を使用して暗号を元のデータに復号する「復号手段」
,④情報処理装置から送信されてくる暗号鍵を復号して生成されたデータに応じて上記情報処理装置を認証する「認証手段」を備えていない。したがって,このような被告製品5ノンセキュアは被告製品1~3と組み合わせても本件発明1及び11の技術的範囲に属しない。
被告製品5ノンセキュアは,●省略●から,本件発明1及び11の「第1の情報処理装置」に当たらず,その製造販売が特許法101条4号,5号の間接侵害となることはない。原告は,被告製品5ノンセキュアが「送信手段」であり,サーバと組み合わさって「第1の情報処理装置」に該当すると主張するが,本件発明1及び11に係る特許請求の範囲の記載並びに本件明細書1及び11の記載において,ユーザが管理する個々の端末に搭載される被告製品5ノンセキュアとサービス事業者等
が管理するサーバとを一体の「装置」とする趣旨の記載は見当たらず,上記のように評価することは不可能である。
以上の点をおくとしても,被告製品5ノンセキュアは,被告製品2及び3,typeA及びBその他の本件発明1及び11の「第2の情報処理装置」に当たらないICカード等との通信にも使用されるのであって,
本件発明1及び11が実施されない経済的,商業的又は実用的な使用形態があるから,本件発明1及び11の「方法の使用にのみ用いる物」に当たらない。
また,特許請求の範囲(請求項)に記載された発明の構成要素であってもその発明が解決しようとする課題と無関係に従来から必要とされて
いたものは特許法101条5号の「発明による課題の解決に不可欠なもの」に当たらないところ,複数の情報処理装置において迅速に相互認証を行い,正規の通信相手と通信を行うようにすることで課題を解決しようとするのが本件発明1及び11であるのに対し,被告製品5ノンセキュアは,●省略●この「課題の解決に不可欠なもの」に当たらない。

被告製品5(本件発明2の実施)
●省略●したがって,被告製品5は本件発明2の技術的範囲に属しない。
特許法101条4号の間接侵害については,本件発明2はICカード
に搭載された「記憶手段」における「情報処理方法」の発明であって,被告製品5に相当する構成要素はないから,被告製品5は本件発明2の方法に使用されるものでない。
また,被告製品5はtypeA,Bその他のFeliCa以外のICカードとの通信機能を有しているところ,この通信においては本件発明2の方法が実施されない。したがって,被告製品5は,本件発明2が実施されない使用形態を,経済的,商業的,実用的な使用形態として有す
るから,本件発明2の方法の「使用にのみ用いる物」に当たらない。被告製品5に本件発明2に相当する構成はなく,被告製品5が本件発明2との関係で特許法101条5号の「方法の使用に用いる物」に当たることはない。また,本件発明2はメモリ更新時に生じ得るメモリコラプションに対して効果的に対処することができるようにするという課題
を解決しようとする発明である(本件明細書2の発明の詳細な説明欄の段落【0011】。被告製品5は,この課題とは無関係にICカードと)
の通信等に使用される製品にすぎないから,同号の「課題の解決に不可欠なもの」に当たらない。

被告製品5(本件発明3の実施)
より,被告製品5は本件発明3の技術的範囲
に属しない。
と同様の理由により,本件発明3との関係にお
いて,被告製品5の製造販売が特許法101条4号又は5号の間接侵害となることはない。


被告製品5(本件発明4-2の実施)

範囲に属しない。
と同様に,被告製品5は本件発明4-2の「情報処理
装置」に当たらないtypeA,Bその他のICカードとの通信にも使用されており,この通信においては本件発明4-2は実施されない。したがって,被告製品5は,本件発明4-2が実施されない使用形態を,経済的,商業的,実用的な使用形態として有するから,本件発明4-2の「方法の使用にのみ用いる物」
(特許法104条4号)に当たらない。
本件発明4-2はICカード等の情報処理装置においてサービスプロバイダごとに設定されたアクセス権に応じた処理を実現することを課題
とする発明である。被告製品5は,本件発明4-2の方法が実施されないICカード等とも通信するから,上記の課題と無関係に必要とされるものであって,特許法101条5号の「課題の解決に不可欠なもの」に当たらない。

被告製品5(本件発明5-1,5-3の実施)
a
本件発明5-1はICカードの発券作業に関し,複数のサービス事業者により管理させる領域を設定する発明であり,
「前記第2の管理
情報を作成する管理情報作成手段と」
「暗号化手段と」
「送信手段とを
備えることを特徴とする情報処理装置」という構成を有するものである。

被告製品5のほぼ全てはICカードの発券機能を有さず,暗号化された第2の管理情報を生成することはなく(第2の管理情報は管理者のコンピュータにおいて生成される。,
)「第2の管理情報」を「暗号
化」「送信」することもないから,上記部分を充足しない。

●省略●そうすると,発券機能を有する被告製品5は,単独のサー
ビス事業者が管理するICカードの発券作業に使用されると推測されるので,本件発明5-1を実施しない使用形態が主な使用形態である。したがって,被告製品5は情報処理装置の「生産にのみ用いる物」でなく,その製造販売は特許法101条1号の間接侵害とならない。b
被告製品5は,上記aのとおり情報処理装置を構成しないから,本件発明5-1との関係で,その「生産に用いる物」でない。また,本件発明5-1は発券作業において「記憶領域にアクセスするのに必要なキーその他の情報を,セキュリティ上安全でない場所においても,安全に書き込むことができるようにする」という課題を解決するものである(本件明細書5の発明の詳細な説明欄の段落【0012】。)
被告製品5のほぼ全てはこうした発券作業と無関係である。

発券機能を有する被告製品5についても「第2の管理情報を作成する管理情報作成手段」を備えず,単に別のコンピュータ等において生成されたエリア登録パッケージを「暗号化」してICカード等に「送信」するにすぎないから,上記課題と無関係である。
したがって,被告製品5は本件発明5-1との関係で「課題の解決
に不可欠なもの」
(特許法101条2号)には当たらない。
本件発明5-3はICカードの発券作業に関する発明であるところ,前記

に述べたのと同様の理由により,被告製品5について特許法10

1条4号又は5号の間接侵害は成立しない。

被告製品5(本件発明6-2の実施)
本件発明6-2は,ICカードのICチップに相当する「データ記憶装置」における「データ記憶方法」の発明であり,リーダライタに相当する構成は特許請求の範囲に記載されていないから,被告製品5は本件発明の方法の使用に用いられるものでない。

また,被告製品5は,●省略●本件発明6-2を実施しない使用形態が経済的,商業的,実用的な使用形態として存在する。
したがって,被告製品5は,本件発明6-2の「方法の使用にのみ用いる物」
(特許法101条4号)に当たらない。
上記

のとおり,被告製品5は本件発明6-2の方法の使用に用いら

れるものでない。また,本件発明6-2は「データの記憶のためのリソース管理や,データに対するフレキシブルでセキュリティの高いアクセス制御を行うことができるようにする」という課題を有している(本件明細書6の発明の詳細な説明欄の段落【0010】
)ところ,被告製品
5はこの課題とは無関係にICカードとの通信に用いられるものにすぎない。したがって,被告製品5は本件発明6-2の「課題の解決に不可欠なもの」
(特許法101条5号)に当たらない。


被告製品5ノンセキュア(本件発明7の実施)
被告製品5ノンセキュアは相互認証の機能を果たさないので「第1の装置」が備える複数の鍵を記憶する「記憶手段」
,複数の鍵を縮退して
認証鍵を生成する「生成手段」
,上記認証鍵を用いてデータを暗号化す

る「暗号化手段」をいずれも備えないから,被告製品1~3と組み合わせて本件発明7を実施するとはいえない。
5ノンセキュアは本件発明7の生産に用い
る物でない。また,被告製品5ノンセキュアは,●省略●本件発明7を実施しない使用形態が経済的,商業的,実用的な使用形態として存在す
る。
したがって,被告製品5ノンセキュアは,本件発明7の「生産にのみ用いる物」
(特許法101条1号)に当たらない。
上記

のとおり,被告製品5は本件発明7の生産に用いる物でない。

また,本件発明7はICカードに相当する「第1の装置」と外部のサーバに相当する「第2の装置」が縮退鍵を生成し,1回の認証で2以上のエリアに対するアクセスを認証することにより,より迅速な認証ができるようにする発明である(本件明細書7の発明の詳細な説明欄の段落【0008】。被告製品5ノンセキュアは,外部のサーバとICカード)
との間の通信を中継するにすぎず,縮退鍵の生成に関与しないから,本
件発明7の「課題の解決のために不可欠なもの」
(特許法101条2号)
に当たらない。

被告製品5ノンセキュア(本件発明9の実施)
被告製品5ノンセキュアは,相互認証の機能を有さず,
「アクセス装
置」が行うこととされている「認証の処理」を行わないから,本件発明9の「アクセス装置」に該当しない。
5ノンセキュアは本件発明9の生産に用い

る物でない。また,被告製品5ノンセキュアは,●省略●本件発明9を実施しない使用形態が経済的,商業的,実用的な使用形態として存在する。
したがって,被告製品5ノンセキュアは,本件発明9の「生産にのみ用いる物」
(特許法101条1号)に当たらない。

ノンセキュアは本件発明9の生産に用い
る物でない。また,本件発明9は,事業者ごとにユーザの個人情報を秘密化し,また,各事業者が使用するメモリ空間を時間的,領域的に管理することにより,複数の事業者でICカード等を共用することができる情報携帯処理システムを実現する発明である(本件明細書9の発明の詳
細な説明欄の段落【0007】【0008】。被告製品5ノンセキュア,

は,外部のサーバとICカードとの間の通信を中継するにすぎず,「認
証の処理」を実施しないから,その「課題の解決のために不可欠なもの」(特許法101条2号)に当たらない。

被告製品5(本件発明10-1の実施)
本件発明10-1はICカードに相当する「携帯装置」に関して,第1,第2の「サービス提供元」「記憶領域運用元」等が行う「データ処,
理方法」の発明であり,サービス提供元のために記憶領域を分割する,発券作業に係る方法の発明であるところ,リーダライタに相当する装置
は本件発明10-1の構成に含まれることはない。被告製品5は本件発明10-1の「データ処理方法」に用いる物でないから,その「方法の使用にのみ用いる物」
(特許法101条4号)に当たらない。
また,●省略●本件発明10-1の方法の使用に用いられないし,被告製品5は,●省略●から,本件発明10-1を実施しない使用形態が経済的,商業的,実用的な使用形態として存在しており,この発明の「方法の使用にのみ用いる物」
(特許法101条4号)に当たらない。

本件発明10-1は,ICカードの発行においてその方法により「サービス提供元」のために「記憶領域」を「分割」することにより「複数の事業者で単体のICカード等を共用する場合に,サービス提供元のセキュリティの面を含む各種要望に対応することができることを課題とする発明である(本件明細書10の発明の詳細な説明欄9頁41~43行
目)
。ほぼ全ての被告製品5は,●省略●上記「記憶領域」の「分割」の方法に関係しないから,本件発明10-1の上記課題と無関係にICカード等との通信に使用されるにすぎない。発券機能を有する被告製品5も,●省略●本件発明10-1の課題の解決のために不可欠なものでない。

したがって,被告製品5につき,本件発明10-1の「課題の解決に不可欠なもの」
(特許法101条5号)に当たらない。

被告製品5(本件発明10-2の実施)
に述べたのと同様の理由により,被告製品5の製造販売
は,本件発明10-2との関係においても,特許法101条4号又は5号
の間接侵害とならない。


争点⑵(本件発明により受けるべき利益)についてア
本件発明の被告による実施に伴う利益
(原告の主張)

売上高
被告製品1の売上げは,平成26年12月末日までで●省略●翌日から本件特許のうち存続期間が最後に経過する本件発明10に係る特許の満了日である平成33年4月6日までの売上げは●省略●である。被告製品2~4の同日までの売上げは●省略●である。被告製品5の売上高は,Edy加盟店,自動販売機,自動改札機等に採用されているものについて,●省略●こと,同日までに●省略●ことからすれば,●省略●であり,他の被告製品の売上高は●省略●であるから,合計●省略●である。被告製品6の売上高は,●省略●である。
したがって,被告製品の売上高は●省略●である。
被告は,本件発明についての特許登録後のICチップに換算した売上
げのみを開示するが,本件発明に係る特許を受ける権利の承継時からの被告製品全体の売上高が問題となる。
超過売上割合
本件各発明はFeliCaの根幹に関する発明であるところ,平成12年頃におけるtypeAに準拠した非接触ICカードの累計出荷数は
2億枚を超え,市場占有率は85%に上っており,その後もこうした状況を維持し続けていた。被告が本件発明の実施を独占しなければ,FeliCa関連製品,住民基本台帳カード,タスポその他の非接触ICカードの製造販売を手がける競合企業が本件発明を適宜実施し,被告製品と類似した企画の競合品が多数市場に登場し,被告が80%を下回らな
い限界利益率で被告製品の販売が可能な独占市場が形成されるということはなく,他社のtypeAの非接触ICカードによってFeliCaが市場から淘汰されていた。
したがって,発明の実施を独占したことに伴って売上げが向上した部分(超過売上げ)が被告製品の売上げに占める割合は,100%である。
利益率又は仮想実施料率
自己実施に係る相当の対価は上記の超過売上げに対して利益率を乗ずることなどにより算定すべきところ,販売管理費等は被告の貢献度として考慮される事柄であるから,その利益率は限界利益率であると解すべきである。仮にそうでないとしても,少なくとも被告製品の製造販売の有無にかかわらず必要な一般管理費その他の固定費は,本件特許の価値と無関係であるから,売上高から控除すべきでない。
被告製品の限界利益率は
別の規格を採用するまで被告製品以外を用いる選択肢がなく,被告が極めて有利な地位に立って事業を進めることができることからして,50%を下回ることはない。被告は,いわゆる25%ルールや利益三分法
を用いるべきであると主張するが,超過売上高が独占権に由来するものであって算定の基礎が知的財産権に由来するものに限定されているから,こうした超過売上高に対して更に独占権に由来する売上げを含んだ計算方法である25%ルールや利益三分法を用いるのは相当でない。
また,本件発明は有機的に関連するから,全体として仮想実施料率を
認定すべきである。本件発明の技術的意義を考慮すれば,その仮想実施料率は全体として30%を下回らず,以上によれば,超過利益は,売上高×100%×30%により,●省略●である。仮にそうでないとしても,1チップ当たりの相当な実施料額は,60円又は20円を下回らない。原告は,利益率に基づく算定を第1次的に,仮想実施料率に基づく
算定を第2次的に主張する。
被告は,独占の利益を算出する過程でFeliCa関連特許の総数で除するべきである旨を主張するが,上記関連特許がICチップにおいて実施されているか否か不明であるのにそうした計算を行うのは不当である。また,被告は,本件発明の寄与率を乗じるべきである旨を主張する
が,本件発明が実施されなければFeliCa用製品でなくなり,顧客が購入することはないし,本件発明の寄与率が低減する事情を被告は主張しないから,寄与率は100%である。
(被告の主張)
売上高
本件特許のうち最も早く登録されたものは本件発明2であり,その登録日は平成17年7月29日である。本件発明はICチップにおいて実施されているところ,同月から平成26年12月までにおける被告製品1~5の売上高(各売上台数に対して該当するICチップの単価を乗じたもの)は別表(売上高)のとおりである。被告製品6は,FN社が設立された平成16年1月からFN社がその製造に関する実施許諾を行っ
ており,上記期間において被告が製造販売していない。本件発明はICチップにおいて実施されていて,各被告製品の単価を被告の利益算定の基礎としても,結局,その販売単価に寄与率を乗じることとなるのであり,ICチップの売上高を開示すれば,各被告製品そのものの単価及び売上高を開示する必要はない。

超過売上割合
超過売上割合を100%とすることは,使用者は無償の通常実施権に基づいて自己実施を行うことができ(旧法35条1項)
,これによる部
分を超える部分が相当の対価の基礎となる独占の利益であるとの理解に沿わない。

超過売上高(独占の利益)は,①非接触ICカード市場にはFeliCaのほかにも国際規格ISO/IEC14443に採用されたtypeA及びtypeBという有力な代替技術があり,一度ある技術が採用された後に他の技術に乗り換えられた事例もあること,②本件発明はJR東日本からの要請に基づき開発する過程で創作され,本件特許が得ら
れたのであり,本件特許があったからJR東日本に採用されたのでなく,売上高が本件特許の価値を表しているといい難いこと,③●省略●その他の総合電子機器メーカーや●省略●その他のカードメーカーが開発競争を展開して多くの特許を集積してきたこと,④被告がFN社に対して携帯各社用のICチップに関する再実施権許諾付き通常実施権を移転して実施許諾を行っていることその他の事情の下では,●省略●を超えない。
また,被告のFeliCa事業は,開発が開始された平成6年度からFeliCa事業部が設けられる平成8年度までは毎年●省略●近い研究開発費を支出し,累積で損失を生じており,また,サービス事業者に対して電子乗車券の読取装置の共通技術基盤を無償で開示したことによ
りこの点について独占の利益を確保できなくなった。FeliCa事業部設立後も,●省略●低水準の利益状態が続いている。国内市場はほぼ飽和状態にあり,国外市場は他の技術に市場が占められており,●省略●であることが見込まれている。こうした事情に照らしても,被告の独占の利益は低水準にとどまることが明らかである。

利益率又は仮想実施料率
被告のFeliCa事業全体の収益性は,FeliCa事業を行っている被告FeliCa事業部その他の事業主体につき,本件特許の最長存続期間である平成33年4月6日までの予測を含めてみると,●省略●これに利益三分法(カード事業の利益を資本力,営業力及び知的財産
の3要素に分け,利益の3分の1を知的財産によるものとする評価方法)や25%ルール(本,組織,企業努力及び知的財産に4分し,利益の4分の1を知的財産によるものとする評価方法)を適用すると,知的財産全体の利益率は,0.42%又は0.56%であり,これらの数値が知的財産全体の実施料率であると考えられる。このことは,利益三分法や
25%ルールが一般に用いられ,信頼性の高い経験則であるところ,本件特許の技術分類であるG04,H04が属する分野の平均実施料率は機械分野(G02~12)で3.5%,電気分野(H01~05,99)で2.9%であり,実施例件数比率で加重平均をとると3.1%であり,また,この業界における平均営業利益率が9~11%,営業利益に占める割合が27~33%となっており,利益三分法や25%ルールと比較して大きな差がないことから裏付けられる。

また,上記の実施料率は知的財産全体のものであるから,これを少なくともFeliCaに関連する特許の数で除し,本件特許のうち何らかのものが実施されている数である11を乗じたものが仮想実施料率となる。

FN社に対する実施権の現物出資に伴う利益
(原告の主張)
本訴提起時におけるFNの純資産は●省略●であり,被告はFN社の株式の57%を保有しているから,被告がFN社に対して許諾した実施権の価値は●省略●である。

被告は,被告がFN社に対して許諾した実施権の価値は現物出資時の評価によるべき旨主張するところ,仮に現物出資時の評価によるとしても,平成16年3月時点の純資産●省略●を基準に算出すべきである。また,被告は,本件発明のうちFN社に対して実施を許諾したのは●省略●件であり,そのほかにも●省略●FN社はライセンス事業以外にも,プラット
フォーム事業及びソリューション事業があると主張するが,●省略●本件発明の実施許諾の対価との関係が明らかでない上,本件発明がFeliCaの基本発明であること,他の事業もFeliCaに関する特許があるから優位な事業継続が可能となっていることからすれば原告が主張する算出根拠を否定することはできないし,仮に何らかの考慮をするとしても●省
略●を下回らない。
仮にFN社に対する現物出資の価値に本件発明の実施権以外のものが含まれているとしても,被告は,FN社から,ICチップの売上高に対して相当な実施料率を乗じて算出したライセンス料を受け取ることが可能であった。被告は,単価が600円を下回らないICチップを平成26年6月までに●省略●製造販売し,その頃から本件発明10に係る特許の満了日である平成33年4月6日まで,同程度の製造販売数が継続するといえること(年間●省略●×6.75年)
,本件発明はFeliCaの基本発明
であり,その数が12件であるから,全体として相当な実施料率は30%であることからすれば,上記のライセンス料は●省略●(計算式は(●省略●)×600×30%)である。原告は,いずれかの算出結果のうち高
額のものを主張する。
(被告の主張)
被告は,株式会社NTTドコモ(以下「NTTドコモ」という。
)と合
弁契約を締結してFN社を設立した時,●省略●株式を取得した。FN社は,モバイル用FeliCa技術に関する特許等のライセンス事業,Fe
liCaICチップ内のメモリ領域管理と運営等を行うプラットフォーム事業及びFeliCaシステムに必要なソフトウェアの開発及びライセンス等を行うソリューション事業を運営しているところ,FeliCa技術に関する特許が関係するのは上記ライセンス事業のみである。上記合弁契約締結に当たり,合弁契約を締結しないで被告単独で事業を行う場合は事
業全体が●省略●でライセンス事業が●省略●の価値があり,合弁事業契約においては事業全体が●省略●でライセンス事業が●省略●の価値があるとされていた。したがって,被告のFN社に対する出資の価値は事業全体で●省略●であり,そのうちライセンス事業の価値は,上記合弁契約締結前の評価によれば●省略●又は●省略●であったことを踏まえると,●
省略●である。
次に,上記ライセンス事業について,被告がFN社に移転又はライセンスしたものは●省略●本件発明8件が含まれている。
上記ライセンス事業は特許とそれ以外のノウハウがあり,その配分を1対1とすると,FN社に出資された本件発明の実施権の価値は,●省略●である。
原告は,被告がFN社に対して許諾した実施権の価値は直近のFN社の
純資産に基づいて算定すべきであると主張する。しかし,被告はFN社に出資をしたのみであり,事業はFN社が行っているのであるから,出資により被告が受ける利益は現物出資の対価により評価し尽くされており,その後の事情は本件発明の実施の独占権の取得により得た利益ではない。ウ
第三者に対する実施許諾に伴う利益
(原告の主張)
被告は,●省略●に対してそれぞれ本件発明の実施を許諾した。その許諾料はそれぞれ1億円であるから,被告は,本件発明の実施許諾に伴い3億円の利益を得た。また,被告は,●省略●ライセンス料を徴収しており,その額は5億1145万円を下回らず,これも実施許諾に伴う被告の利益
である。
(被告の主張)
原告が主張する会社に対して被告は本件発明の実施を許諾していない。●省略●実施を許諾したものではない。


争点⑶(本件発明について被告が貢献した程度)について(原告の主張)

被告においては,昭和63年頃から荷物の仕分けに利用する無線ICタグの開発が開始され,ここから派生して非接触式ICカードをビル等の入退出管理や自動改札機で利用するための開発が開始された。被告がその開
発に費やした予算は僅少であり,人的資源も僅か10人ほどで,本件発明をするための環境は整備されていなかった。
原告は,平成元年頃に非接触ICカードを使用したビルの入退出管理システムを完成させ,さらに,同年春頃,非接触で書き込み可能なICカードの試作品を製作するに至ったが,平成2年頃に磁気式の自動改札機が導入され,他方で平成4年に被告が入退出管理システムから撤退することとなり,被告の態勢は原告とその部下一人のみであった。その後,約2か月間の開発中止期間を経ても原告は非接触ICカードの開発の継続を希望し,香港の交通機関の非接触ICカードを利用した改札システムの開発に携わり,その開発過程でFeliCa用のOSやCPUを開発するとともに,メモリ破壊を防止するための本件発明2及び3や相互認証を行うための本
件発明1及び11の原理の基礎が築かれた。
また,原告は,ICカード上のメモリのアクセス権限の設定に階層構造を利用する構想を独自に練り,その結果本件発明4~7,9,10及び12を創作するに至った。
このように,原告は,少なくとも昭和63年2月からJR東日本がSu
icaの利用を開始した平成13年11月まで約14年にわたり,事業と結びついた技術構想を練り,その過程で本件発明が創作され,その結果FeliCa事業が成立したのであって,原告の貢献度の高さは際立っている。
被告は,FeliCaの開発をしたのがA(以下「A」という。
)を中

心とした被告における開発メンバーであると主張するが,実際に開発の中心にいたのは原告である。また,原告は,FeliCa事業化における唯一の窓口として,国内外の企業の技術幹部らに対する説明等も行っており,こうした事業化のための活動(被告が主張する技術的事項への貢献を含む。
)は,発明者であるからなし得たものであるから,原告の貢献として
評価すべきである。被告は,音楽配信,電子マネー等についての事業化に関する原告の提案を受け入れないという誤った判断,特に電子マネーにつきビットワレットの失敗により,得られるべき超過売上高及び独占の利益を大きく減少させた。

被告は,非接触式ICカードの基本特許として被告の従業員であったAが昭和63年1月に開発した発明と上記発明の関連発明2つがあるから,
FeliCaの開発までにICカードに関する技術的蓄積があり,FeliCaの基本原理を構成したと主張するが,上記各発明は画期的なものでなく,FeliCaの基本原理でもなく,被告製品において実施されていないし,本件発明との関連性もない。その上,上記発明のうち昭和63年1月に開発したものに係る特許は実施可能要件違反,進歩性欠如により無
効である。
被告は,被告における他のグループでの原告の開発経験が無線ICカードの開発に役立ったこと,公益社団法人鉄道総合技術研究所(以下「鉄道総研」という。
)との共同開発がされたこと,入退出管理のための無線I
Cカードシステムを東京ガス株式会社のビルに納入したこと,香港におけ
る地下鉄用無線ICカードの試作品を製作,納入したこと,FeliCaの開発には被告半導体事業部及び製造部門の協力のほかにJR東日本の協力があったこと,被告がFeliCa製造装置に●省略●の投資をしたことから被告の貢献度が大きいと主張する。しかし,原告が所属した他のグループは無線ICカードとかけ離れた分野におけるものであって被告製品
に係るICチップの開発に直接役立たないし,むしろ被告入社前からの知識経験がFeliCaの開発に役立ったものである。また,鉄道総研との間の共同開発は無線ICタグが原理的に動くことを他人に示せる程度まで原告が開発をしたことにより実現したものであり,上記の各システムや試作品の納入は原告が膨大な時間や労力を投じて開発を長期間継続した結果
であり,被告半導体事業部の関与は失敗に終わっている。さらに,JR東日本の関与の程度が大きいことは,被告の貢献と評価され得ないばかりか被告の貢献度が低いことの裏付けであるし,被告の主張する投資額は大きなものとはいえない。

以上によれば,被告の貢献度は80%を超えない。

(被告の主張)

被告は,昭和62年末頃に配送仕分けの自動化システムの開発を依頼され,Aに担当させた。Aは,部下とともに,後のFeliCaの基本原理となる無線ICカードの発明及びそのデータ書き込みの基本原理となる発明を昭和63年1月に特許出願し,後にこれが特許登録された。この発明は,カードからの信号伝送を低消費電力で行い,送信回路が極めてシンプ
ルでICチップの面積を小さくすることが可能となるもので,FeliCa開発のきっかけとなった。Aはこれを元にしてICカードの試作を半導体部門に依頼すると共にカードリーダを試作するために原告を含む数人の技術者を開発グループに加え,技術的課題が生じた際にもリーダーシップを発揮して開発を続け,平成元年春には被告創業者からの接触をきっかけ
に鉄道総研から依頼された鉄道の自動改札システムについて,平成2年春にはビルの入退出管理システムについて試作の非接触型ICカードを納入した。こうした被告による技術的蓄積があったことが本件発明を含むFeliCaの開発の基礎となった。
FeliCaの開発の過程においても,被告は,香港における地下鉄の
自動改札システムについて,開発,製造技術,企画営業の各担当者を併せて●省略●その後も多額の投資を行い,また,半導体事業部や製造部門,他社の協力を得て開発を行った。そして,上記チームの原告以外の者が,例えば,ICカード用チップにおける回路の考案,動作電圧等の条件の整備その他ICの物理的な部分(アナログ部)の開発を行った結果,平成9
年6月に実用品を納品するに至った。こうして実用化したFeliCaのICカードには本件発明を始めとする関連特許●省略●件及び多数の技術が関係している。
他方,被告の創業者が鉄道総研の初代会長であった関係をきっかけに昭和63年から被告とJR東日本が非接触式ICカードの共同開発に取り組むこととなった。被告は,●省略●その後もJR東日本に被告の非接触式ICカードを採用してもらうよう,様々な努力を行った。他方,JR東日
本も,開発中のFeliCaカードを利用したフィールドテストを主宰するなどの協力をした。こうして被告が構築した長年のJR東日本との密接な関係が大きく影響し,FeliCaがJR東日本の自動改札システムに採用されるに至り,大口の顧客を確保できた。
また,被告は,ビットワレット株式会社を設立し,同社が大きな営業努
力及び費用負担をすることで電子マネー「Edy」を利用するためのリーダライタの普及に努めたことから,交通機関用のFeliCaが小売店等で使用できる素地ができ,nanacoやWAONの普及の拡大につながったし,FeliCaがJR東日本で採用された後も更に開発を継続した。原告も,FeliCa事業部長その他のFeliCa事業及び開発に関
する要職を歴任して,FeliCaのCPU等の開発行為やFeliCaシステムの営業行為に関与したが,そうした行為は,本件発明の発明者としての活動から離れたものであり,会社である被告の貢献として評価すべきである。

このように,本件発明に至る技術的蓄積,開発環境の整備のほか,FeliCa普及のための社会的インフラその他の環境の整備,被告製品の生産体制の整備,開発の継続を行った被告の貢献度は極めて高く,99%を下回らない。


争点⑷(本件発明に対する発明者間における原告の貢献の程度)について(原告の主張)
本件発明の創作に当たり,原告はグループリーダーであって,他の者は原告の指揮監督の下で本件発明に携わったにすぎない。特に,本件発明1~7,9~12につき実施できる程度に具体的かつ客観的なものとして構成する創作活動をしたのは原告である。本件発明8は,原告が被告製品の開発に携わって得た知見に基づき着想された発明である。したがって,発明者間における原告の貢献の程度は70%を下回らない。

(被告の主張)
本件発明は発明報告書から明らかなように共同発明であり,実施できる程度に具体的かつ客観的なものとして構成する創作活動を原告が単独で行ったものでない。特に,本件発明2~6及び9はBが,本件発明8はCが,本件発明10はDがそれぞれ具体的構成を創作するなどして主体的に発明の創作
に関与したものである。
一般に共同発明において貢献割合は原則として平等であると考えられ,共同発明者(B,D,E,C,F,A,G)がチームとして発明を行なった本件各発明については,どれほど大きく見積もっても共同発明者間で頭割りした均等割合を上回らないから,発明者間における原告の貢献の程度は50%
を超えない。


争点⑸(登録日前の実施に対応する相当の対価支払請求権の消滅時効の成否)について
(被告の主張)

被告発明考案規定は,●省略●本件発明に係る特許の登録前の実施に対応する相当の対価の支払請求権の消滅時効は各発明について特許を受ける権利が被告に承継された時である●省略●(平成8年2月12日~平成12年3月31日)から進行する。そうすると,登録日前の実施に対応する相当の対価支払請求権は,消滅時効期間(平成18年2月12日~平成22年3月3
1日)の経過により消滅時効が成立し,その援用により消滅した。被告による報奨金の支払は被告発明考案規定に基づいて行ったものであるから,時効の中断事由にも時効利益の放棄にも当たらない。
(原告の主張)
●省略●明らかである。そうすると,登録前後を通じた実施に対応する対価につき,特別表彰の対象とされるまで職務発明者が請求することは法的に許されていないから,特許権の設定登録時,当該発明の実施又は実施許諾時
のうちいずれか遅い時点(少なくとも平成18年1月11日)までは法律上の障害があった。したがって,消滅時効は完成していない。
また,被告の一部弁済により債務承認がされ,時効が中断しているか,被告の時効援用権が喪失しているから,いずれにせよ消滅時効の主張は失当である。

第3

当裁判所の判断

1
争点⑴(被告製品における本件発明の実施の有無)について⑴

FeRAMが採用された被告製品1及び6(本件発明2の実施)
原告は,FeRAMが採用された被告製品1及び6が本件発明2-1,2
-2の技術的範囲に属すると主張するのに対し,被告は,本件発明2-1の「第1の領域」及び「第2の領域」はデータ領域のブロック番号を直接記憶するものであり,本件発明2-2のそれらは同一のブロック単位でデータ及びデータブロック番号を管理するものであると主張して,被告の主張をそれぞれ争う。被告は,上記以外の要件の充足性を争っていない。


本件発明2-1の充足性について
本件発明2-1に係る特許請求の範囲の記載(別紙特許目録記載2⑶のとおり)によれば,①本件発明2-1の「第1の領域」及び「第2の領域」は「第1のブロック番号群」
(更新前のデータが記憶されている
ブロックのブロック番号)「第2のブロック番号群」

(更新後のデータ

が記憶されているブロックのブロック番号)及び「最新情報」
(記憶内
容の新しさに関する情報)を記憶する。また,同記載によれば,②上記各「ブロック番号」は「ブロック単位でデータを記憶するデータ領域」を構成する「複数のブロック」の「各ブロックに割り当てられた」番号であると解される。
「ブロック」は一般的に「ひとかたまり」という意
味を有するから,
「第1の領域」及び「第2の領域」は,
「最新情報」の
ほか,更新前又は更新後のデータを記憶するデータ領域であるひとかたまりの領域に付した番号を記憶するものであると解される。
本件明細書2(甲2)の発明の詳細な説明欄には以下の記載がある。a
非接触でICカードとR/Wと間でデータの送受信を行う場合においては,ICカードが内蔵するメモリにアクセスしている途中で,又
は,
「ICカードとR/Wとを接触させてデータの送受信を行う場合
においても,ユーザが,ICカードを,R/Wに対して自由に抜き差しすることができるときには,メモリにアクセスしている途中で,ICカードがR/Wから抜かれると」「電磁波の受信状態が不良になっ,
た場合に十分な電力が得られなくなり,メモリにおけるデータの整合
性に欠陥が生じる(メモリコラプション(MemoryCorruption)が生じる)
」ことで「最悪の場合で,ICカードが使用不能となる」し,
「ICカードでは,一般に,所定のブロック単位でデータの読み書きが行われるため,関連する複数のデータが,複数のブロックにそれぞれ書き込まれることがあ」り,
「関連するデータが書き込まれる複数

のブロックのいずれかでメモリコラプションが生じたときにも対処する必要」があった。
「本発明は,このような状況に鑑みてなされたも
のであり,メモリコラプションに対して,効果的に対処することができるようにするものであ」り,上記課題に効果的に対処するため,本件発明2-1の構成を採用したものである(発明が解決しようとする
課題及び課題を解決するための手段。段落【0006】~【0012】。

b
メモリコラプションに対する対処方法の基本原理について,
「例え
ば,いま,メモリに対して,情報の読み書きが所定のブロック単位で行われるとし,あるブロックB1に記憶されたデータを更新する(ブロックB1に記憶されているデータを,他のデータに書き換える)ことを考える。この場合,ブロックB1自体に,新たなデータを書き込
むと(既に記憶されているデータに上書きすると)
,その書き込みの
最中に,ICカードへの電力の供給が不足したりしたときには,新たなデータは完全には書き込まれず,さらに,ブロックB1に記憶されていたデータは破壊されることになり,メモリコラプションが生じる。「そこで,ブロックB1に書き込むべき新たなデータを,そのブ」

ロックB1とは異なるブロックB2に書き込む。このようにすることで,ブロックB2への書き込みの最中にメモリコラプションが生じた場合には,新たなデータの書き込みは完全に行われず,その有効性は保証されないが,少なくとも,ブロックB1に記憶されていたデータが破壊されることは防止することができる。なお,さらに新たなデー
タが供給されたときには,そのデータは,ブロックB2とは異なるブロックである,例えばブロックB1に書き込まれる。(発明の実施の」
形態。段落【0066】~【0070】

c
「そこで,メモリを,例えば,図7に示すように構成する。,
」「メ
モリを,データを記憶するデータ領域としての物理ブロックと,データ領域を構成する物理ブロックの物理ブロック番号を記憶する第1および第2の領域としての物理ブロックとで構成する。,
」「第1および
第2の領域としての物理ブロックは,その先頭の1バイトが最新情報に,終わりの2バイトが有効性情報に,それぞれ割り当てられている
点で,図4における場合と共通している。但し,最新情報と有効性情報との間の8バイトには,データ領域の物理ブロックの物理ブロック番号,即ち,データ領域を構成する物理ブロックへのポインタが配置される。第1および第2の領域における最新情報と有効性情報との間の8バイトのうち,前半の4バイトには,データ領域の対象ブロックの物理ブロック番号が配置され,その後半の4バイトには,データ領域の更新ブロックの物理ブロック番号が配置される。「なお,以上の」

図7乃至図10で説明したメモリに対する読み書き方式は,データ領域への1段のポインタを利用したものなので,以下,適宜,シングルポインタ方式という。(発明の実施の形態。段落【0096】【00」

97】【0101】【0102】【0136】。




d
「シングルポインタ方式を,図7および図8のメモリ構成に適用した場合には,上述のように,最大で,4ブロック分のデータの整合性を維持することができるが,逆に言えば,それより多いブロック分の整合性の維持を図ることは困難である。,
」「そこで,メモリを,例え
ば,図11に示すように構成する。即ち,ここでは,メモリを,デー
タを記憶するデータ領域としての物理ブロックと,データ領域を構成する物理ブロックへのポインタとしての,そのブロック番号を記憶するポインタ領域としての物理ブロック,およびポインタ領域を構成する物理ブロックへのポインタとしての,そのブロック番号を記憶する第1および第2の領域としての物理ブロックとで構成する。「ここで,」

以上の図11および12で説明したメモリに対する読み書き方式は,データ領域への,いわば2段のポインタを利用したものなので,以下,適宜,ダブルポインタ方式という。(段落【0139】~【014」
1】【0177】【図11】。



上記記載によれば,本件発明2-1は,メモリコラプションを防止す
るために,既にデータが書き込まれたデータ領域と異なる領域に新たなデータを書き込むこととし,新たなデータを書き込むべき領域を特定するために第1及び第2の領域を設け,各領域のデータ領域を特定し,データの新しさが分かるようにしたものであって,本件発明2-1の特許請求の範囲の記載によれば,そのデータ領域の特定の方法は,データ領域の物理ブロック番号を記憶するという方法であり,発明の詳細な説明欄ではシングルポインタ方式とも呼ばれている方法であると解される。FeRAMが採用された被告製品1及び6においては,データ領域の物理ブロック番号及びそのデータの新しさに関する情報を記憶する領域が設定されていると認めるに足りる証拠はない。
そうすると,上記各被告製品は,本件発明2-1の「第1の領域」
「第2の領域」を充足せず,その技術的範囲に属しない。
これに対し,原告は,
「第1の領域」
「第2の領域」においてはデータ
領域のブロック番号を直接記憶する必要はないと主張し,その根拠として,特許請求の範囲にその旨の限定がないこと,本件発明2-1の課題の解決とブロック番号群の記憶方法は関係しないこと,ダブルポインタ
方式の実施例が記載されていること,被告が指摘する意見書(乙158)は「ブロック番号」がデータ領域に対応するブロック番号であることを主張するものでないことを挙げる。
に述べたところによれば,本件発明2-1では,特許
請求の範囲の記載において,データ領域のブロック番号を記憶する旨が
の解決手段は一つに限られないのであり,本件発明2-1は,複数あり得る解決手段のうち,前記で述べたような本件発明2-1の構成を採用することで課題を解決することとしたものといえる。さらに,本件明細書2にはダブルポインタ方式と呼ばれる方法が記載されているが,同方法が前記

の解釈と整合するとはいえず,また,本件明細書2には本件

発明2-1と異なる構成を採用する本件発明2-2その他の発明も開示されていることからすれば,本件明細書2にダブルポインタ方式が記載されていることをもって,これが直ちに本件発明2-1の実施の形態であるとすることはできない。本件発明2-1の特許請求の範囲及び明細書についての平成16年10月4日付け手続補正書(乙157)に併せて特許庁に提出された同日付け意見書(乙158)によれば,本件発明
2-1に係る補正は本件明細書の段落【0102】【図7】に基づくも,
のであり,本件発明2-2に係る補正はその段落【0145】【図11】,
に基づくものである旨が記載されているのであり,原告指摘の意見書における記載が本件発明2-1の上記解釈を左右するものではない。したがって,原告の主張は採用できない。

また,原告は,FeRAMが採用された製品についても,メモリコラプションのおそれを防止する課題が当てはまること,これを採用したICカードの製造販売開始後のユーザーズマニュアル(甲31)上,メモリコラプション防止につき何らかの区別なく記載されていること,FeRAMが採用されたICチップの開発に当たり本件発明2及び3以外の
方法を原告が提案したが採用されずに本件発明2及び3を実施することが決定したものであることを挙げて,FeRAMが採用された被告製品1及び6が本件発明2-1の技術的範囲に属していると主張する。しかし,証拠(甲2,3)によれば本件発明2及び3に係る特許発明はいずれも内容の異なる複数の請求項からなっていると認められるから,
原告が指摘する上記事情は,上記複数の請求項に係る発明のうちいずれかが実施されていることをうかがわせるものにすぎない。したがって,これらの事情からFeRAMが採用された被告製品1及び6が本件発明2-1の技術的範囲に属すると認めることはできず,原告の主張は採用できない。


本件発明2-2の充足性について
本件発明2-2に係る特許請求の範囲の記載(別紙特許目録記載3⑶のとおり)によれば,本件発明2-2の「情報処理方法」は,
「所定の
ブロック単位で情報を記憶する記憶手段」を用いるもので,
「データ領
域」「ポインタ領域」及び「第1および第2の領域」を有し,

「第1お
よび第2の領域」は「ポインタブロック番号群」及び「最新情報」を記憶するものである。ここにいう「所定」は,一般的に,
「定まっている
こと。一定。(乙311)「定まっていること。定めてあること」」

(広
辞苑〔第六版〕参照)という意味を有し,
「一定」は「一つに定まって
動かないこと。定まった状態にすること。
(あらかじめ)決まっている

こと」
(甲89)という意味を有する。
そうすると,
「データ領域」「ポインタ領域」及び「第1および第2

の領域」は,それぞれ予め定められたブロック単位で情報を記憶するものであると解される。そして,各領域のブロック単位が同一である旨の文言は見当たらない。
本件明細書2の発明の詳細な説明欄には以下の記載がある。

a
本件発明2-2は,前記ア

aの課題の解決のために本件発明2-

2に係る特許請求の範囲の記載の構成を採用した(段落【0006】~【0011】【0014】。


b
メモリコラプションに対する対処方法の基本原理及び当該基本原理
c
EEPROMに対するデータの読み書き処理につき,メモリ割り当
ての例として,EEPROMが物理ブロックを256個有しており,各物理ブロックが32バイトのデータ部及び8バイトのパリティ部から構成されており,256の物理ブロックに物理ブロック番号#00H~#FFHがそれぞれ割り当てられており,#00H~#EFHがデータ領域を,#F0H~#FDHがポインタ領域を,#EFH,#FFHが第1,第2の各領域をそれぞれ構成しているとする発明の実施の形態がある(段落【0199】~【0201】【図15】。


上記記載によれば,本件発明2-2は,メモリコラプションを防止するために既にデータが書き込まれたデータ領域と異なる領域に新たなデータを書き込むこととし,かつ,4を超えるブロック分のデータの整合性の維持を図れるようにするため,新たなデータを書き込むべき領域を特定するポインタ領域を設けた上,第1及び第2の領域を設け,上記ポインタ領域と当該領域に係るデータ領域のデータの新しさが分かるようにしたものである。その各領域の容量の例として8バイト単位とするも
のが示されているが,各領域の容量が上記単位に限られる旨の示唆はない。
以上によれば,本件発明2-2の「データ領域」「ポインタ領域」及,
び「第1および第2の領域」は,それぞれ予め定められたブロック単位で情報を記憶するものであればよく,各領域のブロック単位が同一であ
ることは要しないと解するのが相当である。
これに対し,被告は,本件発明2-2の「データ領域」及び「ポインタ領域」が同一のブロック単位でデータ及びデータブロック番号を記憶することが必要であると主張し,その理由として,
「所定」は「一定」
を意味すること,本件明細書2によれば,本件発明2は,対象とするE
EPROMにおいてはデータの更新に時間がかかるために複数のブロックをページ単位にまとめて更新することから,ブロックの大きさを同一にすることでブロックを効率的にページに収納できるようにするものであると読み取れること,本件明細書2に,データ領域,ポインタ領域をそれぞれ構成する各物理ブロックが8バイト単位である実施例があるこ
と,この実施例の記載を根拠に上記構成に係る部分を補正により追加,変更したことを挙げる。
」と解することはできな
い。また,被告が指摘する本件明細書2の記載はいずれも発明の実施の形態を説明するものにすぎず,この記載から本件発明2-2の構成がそこに記載された構成に限ると解することは相当でない。さらに,補正の際に被告が提出した意見書(乙158)によれば,本件発明2-2に係
る補正は本件明細書2の段落【0145】【図11】に基づくものであ,
る旨の記載があるが,上記記載に構成を限ることを示唆する記載は見当たらないから,上記意見書を根拠としてデータ領域及びポインタ領域のブロック単位が同一であると解するのは相当でない。
したがって,被告の主張は採用できない。

証拠(甲23,24)及び弁論の全趣旨によれば,FeRAMが採用された被告製品1及び6は,所定のバイト数のブロックを複数設けた上,①データ記憶領域であるデータブロック,②データブロックのブロック番号を記憶する管理テーブル,③有効な管理テーブルを記憶するルートテーブルを設けたと認められる。

上記①が本件発明2-2の「データ領域」に該当し,上記②が「ポインタ領域」に該当し,上記③が「第1および第2の領域」のルートテーブルに該当することは当事者間に争いがない。そうすると,FeRAMが採用された被告製品1及び6は,上記各「領域」を有し,それぞれが「所定のブロック単位で情報を記憶」しているから,本件発明2-2の
技術的範囲に属する。


FeRAMが採用された被告製品1及び6(本件発明3の実施)
原告は,FeRAMが採用された被告製品1及び6が本件発明3(本件発明3-1,3-2)の技術的範囲に属すると主張するのに対し,被告は,本
件発明3の「第1の領域」「第2の領域」及び「第1および第2の領域」に,
ついて,前記⑴と同様の主張をして,原告の主張を争う。また,被告は,FeRAMが●省略●ことを理由に「消去ステップ」の充足性を争う。被告は,上記以外の要件の充足性を争っていない。

本件発明3の「第1の領域」「第2の領域」及び「第1および第2の領,
域」の充足性について

本件発明3(本件発明3-1,3-2)の各特許請求の範囲の記載は別紙特許目録記載4⑶及び5⑶に記載のとおりであり,本件発明3の「第1の領域」「第2の領域」及び「第1および第2の領域」の各構成,
は本件発明2(本件発明2-1,2-2)における「第1の領域」「第,
2の領域」及び「第1および第2の領域」の各構成と同じである。
本件明細書3(甲3)の発明の詳細な説明欄には,①本件発明2と同様の課題(従来の技術。段落【0006】~【0009】
)に対し,前
回と前々回のデータを残しておき,古い方のデータを新しいデータで更新できるようにし,古いデータが破壊されても前回の有効なデータが残るようにすることが考えられるが,それでは古いデータを更新中に例え
ば電源が遮断されると,その更新したデータを正しいデータとして読み出されたり,誤ったデータとして読み出すことができず前回のデータが読み出されたりする不安定な状態になることがあったことから,安定して常に一つのデータを読み出すことができるようにするため,特許請求の範囲に記載の構成とすることとしたものであるとの記載(発明が解決
しようとする課題。段落【0010】~【0016】,②メモリコラプ)
ションに対する対処方法の基本原理につき,本件明細書2と同様の記載(発明の実施の形態。段落【0066】~【0070】,③以上のよう)
な基本原理を適用したメモリの読み書き方法について,本件明細書2におけるシングルポインタ方式のもの及びダブルポインタ方式のものと同
じ記載(発明の実施の形態。段落【0102】~【0108】【014,
4】【0147】~【0156】【0186】【図8】【図12】,④,




EEPROMに対するデータの読み書き処理におけるメモリ割り当ての例につき,本件明細書2の例と同様の記載(発明の実施の形態。段落【0210】~【0212】【図16】

)がある。
そうすると,
「第1の領域」「第2の領域」は,

「最新情報」のほか,
更新前又は後のデータを記憶するデータ領域の一部となるひとかたまり
に付した番号を記憶するものであると解される。また,
「第1および第
2の領域」は,定められたブロック単位で情報を記憶するものであればよく,
「データ領域」「ポインタ領域」及び「第1および第2の領域」

の各領域のブロック単位が同一であることは要しないと解される。以上によれば,FeRAMが採用された被告製品1及び6は,前記⑴
アに説示したところと同様の理由により,本件発明3-1の「第1の領域」「第2の領域」を充足しない。また,FeRAMが採用された被告,
製品1及び6は,同イに説示したところと同様の理由により,本件発明3-2の「第1および第2の領域」を充足する。

本件発明3の「消去ステップ」の充足性について
被告は,EEPROMが採用された被告製品1及び6について本件発明3の技術的範囲に属することは争わず,FeRAMが採用された被告製品1及び6について,前記アの点のほか,●省略●ことを理由に「消去ステップ」の充足性を争う。

弁論の全趣旨によれば,●省略●
前記ア

によれば,本件発明3は,データの書き込みの際に不都合が

生じても安定して常に一つのデータを読み出すことができるようにする目的のために,古いデータが破壊されても前回の有効なデータが残るようにするのみならず,データの管理情報を記憶する第1及び第2の領域の一方の情報を全て消去することとして,古いデータを更新中に電源が遮断される等の事態が生じてもその更新したデータが正しいデータとして読み出されたり,誤ったデータとして読み出すことができず前回のデータが読み出されたりしないようにした点に技術的意義があるということができる。
本件明細書3の発明の詳細な説明欄には,本件発明3の書き込み処理では,ステップS11(S41,71)において,第1の領域と第2の領域の有効性が判定され,第1の領域としてのブロックが有効であると判定された場合,有効でないブロックである第2の領域のデータが消去されているか否かが判断され,消去されていると判断されれば,第2の領域を更新するステップS13(S43~45,73~77)にそのま
ま進み,消去されていないと判断されれば,ステップS20(S54,88)に進んで第2の領域のデータが消去された上で,第2の領域を更新するステップS13(S43~45,73~77)に進むこと,古い方のデータが消去されていなければメモリコラプションが発生し,第1と第2の領域の双方が有効と判断されるが,その場合には,第1と第2
の領域のうちの新しい方の領域への上書きがされた上で,他方の領域が消去され,その後に,当該他方の領域が更新されることが記載されている(段落【0085】~【0094】【0135】~【0143】【0,

195】~【0208】【図7】【図11】【図15】。




また,証拠(甲23,31〔33〕
)及び弁論の全趣旨によれば,F

eRAMが採用された被告製品1の一つであるICカード(RC-S880)の販売開始後に発行された被告製品1のユーザーズマニュアルにおいて,メモリコラプション防止につき,FeRAMを採用した製品とEEPROMを採用した製品との区別なく,ブロックへの書き込みは,全データの書き込みが完了した場合のみ正規のデータとして取り扱われ,書き込
みが途中終了した場合は書き込みデータを破棄し,データが前の状態に復旧される旨が記載されていることが認められる。
上記明細書の記載によれば,メモリコラプションが生ずるような場合に上書きがされることがあるが,その場合でも,その後に書き込みが予定される領域については書き込み前に消去するとされることが記載されており,本件発明3においては,上書き処理をすることが機能的に可能な場合であっても,課題の解決のために,データが書き込まれる領域は,
その書き込み前に消去するという構成を採用したといえる。また,FeRAMにおいてデータを消去することが不可能であることを認めるに足りる証拠はない。
このことに上記ユーザーズマニュアルの記載を考慮すれば,FeRAMにおいても本件発明3-2の「第1および第2の領域」についての
「消去ステップ」が採用されていると推認するのが相当である。

以上によれば,FeRAMが採用された被告製品1及び6は,本件発明3-1の技術的範囲に属しないが,本件発明3-2の技術的範囲に属する。


被告製品1(本件発明12の実施)
原告は,本件発明12以外の本件発明に関して被告が技術的範囲の属否を
争った発明について,被告製品が本件発明の技術的範囲に属することに関する具体的な主張をする一方,本件発明12に関しては,被告が回答書(甲15)において被告製品1が本件発明12の実施品である旨の認識を表明したことを主張するのみである。本件発明12について,被告は,●省略●これに対し,原告は特段の認否反論をせず,被告製品1が「乱数を通知」「認証,

鍵を用いて・・・暗号化する」を充足することについて具体的に主張しない。一般に特定の製品が特許発明の実施品であるとの認識を表明したことのみから客観的に本件発明12の技術的範囲に属すると認めることは困難であり,上記事情に照らしても,被告製品1が本件発明12の技術的範囲に属すると認めることはできない。



被告製品5ノンセキュア(本件発明1,11の実施)

被告製品5ノンセキュアの「情報処理装置」該当性
本件発明1及び11に係る各特許請求の範囲の記載(別紙特許目録記載1⑶及び19⑶のとおり)によれば,本件発明1及び11の「情報処理装置」は,
「乱数生成手段」「鍵を記憶する記憶手段」「所定のデー



タを・・・鍵を利用して暗号化する暗号化手段」「復号手段」を少なく,
とも備え,一方の「情報処理装置」が,生成した「乱数」を暗号化して他方の「情報処理装置」に送信し,当該他方の「情報処理装置」により復号して暗号化されたものを受信して復号したものと上記「乱数」が一致すれば当該他方の「情報処理装置」を認証する認証方法を採用するも
のである。
被告製品5ノンセキュアは,かざされたFeliCaICカード,トークン等が真正なものであることを当該製品内において認証する機能を有しないものである(前提事実⑹)
。証拠(乙171)及び弁論の全趣
旨によれば,被告製品5ノンセキュアを用いた場合でも,サーバ等と通
信することでICカード等を認証することは可能であると認められるが,上記に照らし,被告製品5ノンセキュアにICカード等を認証する機能は内蔵されていない。
本件発明1及び11において,
「情報処理装置」は,
「乱数生成手段」

「鍵を記憶する記憶手段」「暗号化手段」「復号手段」を備え,また,,


他方の「情報処理装置」から受信したものを復号したものと上記「乱数」が一致するかどうかの認証を行うものである。
被告製品5ノンセキュアの機能は上記のとおりであり,被告製品5ノンセキュアにおいて上記の認証が行われることはないのであるから,被告製品5ノンセキュアは本件発明1及び11の「情報処理装置」に該当
しない。
原告は,被告製品5ノンセキュアについて,サーバ等を利用して認証等を行うものは現金でチャージすることが可能であることが主な仕様とされていること(乙169)から,本件発明1及び11の「情報処理装置」に当たると主張する。しかし,サーバ等を利用して認証が行われることがあったとしても,被告製品5ノンセキュアにおいて認証が行われていないのであるから,被告製品5ノンセキュアが上記「情報処理装置」
に該当するとすることはできない。

特許法101条4号の間接侵害の成否
原告は,被告製品5ノンセキュアが本件発明1又は11の「第1の情報処理装置」が備える「送信手段」に該当し,これとサーバ等が組み合
わさって「第1の情報処理装置」となるとした上で,被告製品5ノンセキュアが特許法101条4号に所定の物に当たると主張する。
被告製品5ノンセキュアが特許法101条4号に所定の物に当たることなどを理由として被告から許諾を受けない第三者がこれを製造,販売等する行為が特許権を侵害するとみなされ(間接侵害)
,その行為が禁

止される場合,被告製品5ノンセキュアに関する被告の売上げが「相当の対価」の算定に当たり考慮される余地があることから,以下,この点について検討する(なお,見出し等における「間接侵害の成否」は,上記の趣旨で使用するものである。以下同じ。。

括弧内の前記前提事実及び証拠並びに弁論の全趣旨によれば,以下の
事実が認められる。
a
被告製品5ノンセキュアのうちRC-S330以降のものはtypeA規格を採用するICカードである住民基本台帳カードを用いたe-Tax(国税電子申告・納税システム)に正式に対応している(乙170)


b
FeliCaの一種である被告製品2は相互認証ではなく簡易認証と呼ばれる認証を行っており,被告製品3は他の被告製品とは異なる認証方法を採用していて,これらにおいては,本件発明1及び11を実施していない(前記前提事実⑹,乙171,172)。
上記

の認定事実によれば,被告製品5ノンセキュアにおいては,上

記のe-Tax,被告製品2又は3との通信といった本件発明1及び11の方法を実施しない用途があり,こうした用途は単に使用することが
できるというにとどまらず,経済的,商業的,実用的なものということができる。
そうすると,仮に被告製品5ノンセキュアがサーバ等と組み合わさって「第1の情報処理装置」となるとしても,被告製品5ノンセキュアが特許法101条4号の「方法の使用にのみ用いる物」ということはでき
ない。

特許法101条5号の間接侵害の成否

わさって「第1の情報処理装置」となるとした上で,被告製品5ノンセキュアが特許法101条5号所定の物に当たると主張する。
本件明細書1(甲1)及び11(甲11)の発明の詳細な説明欄には以下の記載がある。
a
「情報処理技術の発展に伴い,大量の情報が所定の伝送路を介して通信されている。情報が通信される伝送路には,第三者(送信者およ
び受信者以外の者)が,通信されているデータを盗聴することが可能なものが多い。「このような伝送路を利用して,情報を第三者に漏洩」
させずに,通信を行う場合,しばしば,暗号が利用される。
・・・」
「このような暗号を生成する暗号化方法には,所定の鍵を利用して,平文(送信する情報)から,暗号(実際に送信されるデータ)を生成
するものが利用されることが多い。「このような,鍵を利用した暗号」
には,共通鍵暗号と公開鍵暗号の2種類がある。共通鍵暗号においては,暗号化するときの鍵(暗号化鍵データ)と,復号化するときの鍵(復号化鍵データ)が同一である。
・・・受信者は,送信者のために,
それらの鍵のうち,暗号化鍵データを公開するが,復号化鍵データは公開せずに隠しておく(即ち,復号化鍵データは,受信者のみが知っている)「・・・このような鍵を利用して,通信相手が,正規の受信」

者であるか否かを判断する(認証する)ことができる。
・・・認証す
る側111は,乱数Mを発生し,その乱数Mを認証される側112に送信する。認証する側111は,認証される側112に,その乱数Mを,鍵Kで暗号Cに暗号化させ,その暗号Cを送信させる。そして,認証する側111は,その暗号Cを受信し,鍵Kで平文M1に復号化
する。そして,認証する側111は,乱数Mと平文M1が一致するか否かを判断し,一致する場合,認証される側112を認証する。(従」
来の技術。本件明細書1及び11の各段落【0002】~【0009】

b
「しかしながら,上述の認証方法においては,所定の送受信者が,他の送受信者を認証するだけであるので,例えば,リーダ/ライタ(R/W)とICカードで構成されるカードシステムに,上述の認証方法を適用した場合,R/Wは,通信相手が正規のICカードであるか否かを判断する(通信相手を認証する)ことができるが,ICカー
ドは,通信相手が正規のR/Wであるか否かを判断することが困難であるという問題を有している。「本発明は,このような状況に鑑みて」
なされたものであり,複数の情報処理装置において,相互に認証を行い,正規の通信相手と通信を行うようにするものであ」り,そのために本件発明1及び11の構成を採用したものである。
(発明が解決し

ようとする課題。本件明細書1及び11の各段落【0012】【00,
13】
,本件明細書1の段落【0015】
,本件明細書11の段落【0
014】

上記記載によれば,本件発明1及び11は,従来の認証方法では相互認証ができなかったことから,一方が他方を正規のものであるか判断できても当該他方が当該一方を正規のものであると判断できなかった課題があったのに対し,例えばカードシステムにおいてICカードとリーダ
ライタにおいて相互認証の機能を備えるために本件発明1及び11の構成とすることで,相互に正規の通信相手と通信を行うことができ,上記課題を解決する発明である。そうすると,本件発明1及び11において,特許法101条5号にいう「課題の解決に不可欠なもの」というためには,通信相手となる情報処理装置を認証する機能を備える必要があると
いえる。

認証する機能を備えておらず,上記の機能を有しているとはいえない。したがって,仮に被告製品5ノンセキュアがサーバと組み合わさって「第1の情報処理装置」となるとしても,被告製品5ノンセキュアが
「課題の解決に不可欠なもの」
(特許法101条5号)に当たるとはい
えない。


被告製品5(本件発明2及び3の実施)

原告は,被告製品5は,本件発明2及び3の実施品である被告製品1に対応するので,被告製品1との通信の際に本件発明2及び3の実施が予定
されており,特許法101条4号又は5号に各所定の物に当たると主張する。

特許法101条4号の間接侵害の成否

発明2及び3を実施していないことからすれば,被告製品5は,e-Tax,被告製品2又は3との通信といった本件発明2及び3の方法を実施しない用途があり,こうした用途は経済的,商業的,実用的なものということができる。
したがって,被告製品5は特許法101条4号の「方法の使用にのみ用いる物」ということはできない。

特許法101条5号の間接侵害の成否
前記⑴ア

によれば,本件発明2は,本件発明2の構成を採用するこ

とでメモリコラプション(データの整合性の欠陥)が生じるという課題を解決する発明である。そうすると,特許法101条5号にいう「課題の解決に不可欠なもの」というためには,記憶手段について更新前後の各データが記憶されているブロックを特定する番号を示す各番号群及び記憶内容の新しさに関する情報を記憶する領域を備える必要があるところ,被告製品5にそうした記憶領域があることを認めるに足りる証拠はない。したがって,被告製品5が「課題の解決に不可欠なもの」
(特許
法101条5号)に当たるとはいえない。

題に対し,前回と前々回のデータを残しておき,古い方のデータを新しいデータで更新できるようにし,古いデータが破壊されても前回の有効なデータが残るようにすることが考えられるところ,そのような方法では古いデータを更新中に例えば電源が遮断されると,その更新したデータを正しいデータとして読み出されたり,誤ったデータとして読み出すことができず前回のデータが読み出されたりする不安定な状態になることがあったことから,安定して常に一つのデータを読み出すことができるようにするため,本件発明3の構成としたものである。そうすると,特許法101条5号にいう「課題の解決に不可欠なもの」というために
は,記憶手段について更新前後の各データが記憶されているブロックを特定する番号を示す各番号群及び記憶内容の新しさに関する情報を記憶する領域を備える記憶手段に対して「書込みステップ」「記憶制御ステ,
ップ」及び「第1の消去ステップ」に相当する命令を発する機能を備える必要がある。
しかし,本件明細書3の発明の実施の形態において,リーダライタとは別のコントローラがリーダライタに制御信号を供給し処理を行わせる
として,上記命令を発する機能を備えるのはリーダライタとは別のコントローラであるとされていて(段落【0023】【図1】,また,リー,

ダライタである被告製品5に上記命令を発する機能があることを認めるに足りる証拠もなく,被告製品5に上記命令を発する機能があるとは認められない。

したがって,被告製品5が「課題の解決に不可欠なもの」
(特許法1
01条5号)に当たるとはいえない。


被告製品5(本件発明4-2の実施)

原告は,被告製品5は,本件発明4-2の「プロバイダの装置」に当たるとし,特許法101条4号又は5号に各所定の物に当たると主張する。

特許法101条4号の間接侵害の成否

る被告製品2及び3において本件発明4を実施していないことからすれば,被告製品5は,e-Tax,被告製品2又は3との通信といった本件発明4-2の方法を実施しない用途があり,こうした用途は経済的,商業的,
実用的なものということができるから,特許法101条4号の「方法の使用にのみ用いる物」ということはできない。

特許法101条5号の間接侵害の成否
本件明細書4(甲4)の発明の詳細な説明欄には以下の記載がある。
a
バッテリレス型のICカードにおいては,リーダライタ(R/W)から電力を供給されるが,このような「ICカードにおいては,R/Wに対して一様な処理を行っているため,複数のR/Wに対応して個別の処理を行うことが困難であるという問題を有している。「本発明」
は,上述の記憶部において,第2の領域における所定の領域,および,それぞれ異なるアクセス権を規定する複数のデータを,1利用者に対応して第1の領域に記憶したり,第2の領域における所定の領域を規
定するデータを,複数の利用者に対応して,第1の領域に記憶することで,複数の利用者(R/W)に対応して個別の処理を行うことができるようにするものである。(背景技術,発明が解決しようとする課」
題。段落【0004】【0008】【0011】



b
「本発明の情報処理方法は」
,本件発明4-2の構成をとること
「を特徴とする。(課題を解決するための手段。段落【0015】」


c
「本発明によれば・・・所定の利用者に対して,所定の記憶領域における複数のアクセス権を与えることができる。さらに,複数の利用者に,同一の記憶領域を割り当てることができる。また,複数の利用
者に対して,所定の記憶領域における異なるアクセス権を与えることができる。(発明の効果。段落【0019】


上記記載によれば,本件発明4-2は,複数のリーダライタに対応して個別の処理を行うことが困難であるという課題に対し,本件発明4-2の構成を採用することにより,同一の記憶領域に対して利用者ごとに
異なるアクセス権を与える効果が生じ,上記課題が解決するというものである。そうすると,特許法101条5号にいう「課題の解決に不可欠なもの」というためには,少なくとも,
「複数のプロバイダの装置が利
用するデータを記憶するユーザブロック領域」に対して複数の領域定義ブロックが割り当てられるように定義され,当該ブロックがリード/ラ
イトとリードオンリーの異なるアクセス権のうちいずれが設定されているかという情報を元にプロバイダの装置からのコマンドを処理することができる物であることが必要である。
しかし,リーダライタである被告製品5に上記処理をする機能があることを認めるに足りる証拠はなく,被告製品5に上記処理をする機能があるとは認められない。なお,本件明細書4の発明を実施するための最良の形態において,リーダライタとは別のコントローラがリーダライタ
に制御信号を供給し処理を行わせるとして,上記処理をする機能を備えるのはリーダライタとは別のコントローラであるであるとされているところである(段落【0025】【図1】。原告は,被告製品5は「複数,

の利用者に対応して個別の処理を行うことができるようにする」ためのコマンドを送信すると主張するが,コマンドを単に送信することを超え
て被告製品5が上記の処理をすることを裏付ける証拠はない。
したがって,被告製品5は「課題の解決に不可欠なもの」
(特許法1
01条5号)に当たるとはいえない。


被告製品5(本件発明5-1,5-3の実施)
原告は被告製品5が本件発明5-1,5-3の技術的範囲に属する旨を主
張し,また,被告の行為が特許法101条所定の間接侵害に該当すると主張するのに対し,被告は,本件発明5-1の「管理情報作成手段」
「暗号化手
段」
「送信手段」及び本件発明5-3の「管理情報作成ステップ」
「暗号化ス
テップ」
「送信ステップ」の各充足性を争い,また,間接侵害の成立を争っている。

被告製品5の「管理情報作成手段」
「暗号化手段」
「送信手段」及び「管
理情報作成ステップ」
「暗号化ステップ」
「送信ステップ」の各充足性
特許請求の範囲の記載(別紙特許目録記載8⑶及び10⑶)によれば,本件発明5-1の「管理情報作成手段」及び本件発明5-3の「管理情
報作成ステップ」は,
「データ記憶手段」に既に形成されている「第1
の前記記憶領域」に「前記第1の記憶領域に割り当て可能な第2の記憶領域」を形成するに当たって「第2の管理情報」を作成するものである。また,
「暗号化手段」及び「暗号化ステップ」は,所定の方法により
「第2の管理情報」を暗号化するものである。
「送信手段」は「暗号化
された前記第2の管理情報」を「前記第1の記憶領域の識別情報とともに」所定の伝送媒体を介して「データ記憶装置」に送信するものである。本件明細書5(甲5)の記載によれば,本件発明5は,
「ICカード
に対して,新サービスを提供するためのデータを保持するファイルを新たに追加したり,また,データのアクセスに必要なキーを変更したりするための,いわゆる発券作業」について,
「記憶領域にアクセスするの

に必要なキーその他の情報を,セキュリティ上安全でない場所においても,安全に書き込むことができるようにする」ことを課題とし,本件発明5の構成を採用することによってこれを解決する発明である(段落【0006】~【0012】。

被告製品1が本件発明5-2の実施品であることについて当事者間に
争いはない(前記前提事実⑹)

括弧内の証拠及び弁論の全趣旨によれば,①リーダライタである被告製品5については発券機能を有するものと有しないものがあること,②●省略●⑤カード発行者からカード製造の依頼を受けたカード製造者は,FN社に対して申請をして,FN社からメモリ分割情報及びフォーマッ
ト情報の提供を受け,これを用いてカードを製造しカード発行者に納品すること(甲43)が認められる。
上記

及び

①の事実関係によれば,発券機能を有しない被告製品5
について,
「暗号化手段」又は「暗号化ステップ」があると認めるに足
りない。
を分割するためのエリアに関する情報はFN社が生成してこれをカード製造者に提供している。そうすると,カード製造者が保有する発券機能を有する被告製品5は,エリアに関する情報を生成していないのであり,「第2の管理情報」を作成する「管理情報作成手段」又は「管理情報作成ステップ」を有しているとは認められない。
原告は,本件発明5-2の実施品である被告製品1が被告製品5と通
信し,被告製品5に対応するとされている以上,被告製品5が本件発明5-1,5-3のサービス追加のための構成を有していることは明らかであると主張する。
しかし,本件発明5-2の特許請求の範囲の記載は,別紙特許目録記載9⑶のとおりであり,本件発明5-2の情報処理装置は,「データ記

憶手段」「管理情報記憶手段」「受信手段」「記憶領域処理手段」を備,


えることを特徴とするものである。ICカードである被告製品1において,これらの手段を備えて本件発明5-2が実施され,また,被告製品5と通信することができるとしても,被告製品5とは別の装置において,本件発明5-1,5-3が定める手段,ステップの一部がされることも
あり得るのであるから,被告製品5において本件発明5-1,5-3が定める手段,ステップが全てされるとは限らないといえ,上記原告の主張には理由がない。
そうすると,被告製品5が被告製品1に対応していることを理由として発券機能に関する本件発明5-1及び5-3を実施しているものと推
認することは相当でない。原告の主張は採用できない。
以上によれば,被告製品5は本件発明5-1及び5-3の技術的範囲に属しない。

特許法101条1号,2号,4号又は5号の間接侵害の成否
原告は,被告製品5が「第2の管理情報を作成する管理情報作成手段」を有していなくても,被告製品1等と通信することで発券業者等の管理者が有する上記手段と必然的に組み合わされて本件発明5-1の「情報処理装置」
,本件発明5-3の「情報処理方法」の構成を満たすことに
なるとし,第三者が被告製品5の製造販売をすることが特許法101条1号又は2号の間接侵害になると主張し,また,同条4号又は5号の間接侵害になると主張する。
前記ア

及び

の事実関係によれば,被告製品5には発券機能を有す

るものと有しないものとがあるところ,発券機能を有しない被告製品5については,前記

に照らして,少なくとも,発明の課題を解

決するための「暗号化手段」又は「暗号化ステップ」を有するとは認められず,これと発券業者等の管理者が有する本件発明5-1の「第2の管理情報を作成する管理情報作成手段」とを組み合わせたとしても,それが「情報処理装置」に該当するとは認め難いし,本件発明5-3の「情報処理方法」に用いるものに該当するとは認め難い。
そうすると,発券機能を有しない被告製品5が,特許法101条1号
及び2号の「その物の生産」に用いる物であるとは認められないし,同条4号及び5号の「その方法の使用」に用いる物であるとは認められない。
●省略●「暗
号化手段」「送信手段」「暗号化ステップ」及び「送信ステップ」を有,


する。しかし,メモリを分割するためのエリアに関する情報については,カード製造者にからの申請に基づいてFN社が生成してこれをカード製造者に提供するのであるから,カード製造者が保有する発券機能を有する被告製品5においてはエリアに関する情報の生成自体はしておらず,「第2の管理情報」を作成する「管理情報作成手段」又は「管理情報作
成ステップ」を有していない。そして,
「管理情報」の提供についての
上記態様等に照らせば,発券機能を有する被告製品5とFN社におけるエリアに関する情報を生成する機器とが一体の「情報処理装置」となるということはできない。したがって,発券機能を有する被告製品5は特許法101条1号及び2号の「その物の生産」に用いる物であるとは認められない。
なお,被告は,本件発明5-1の「情報処理装置」が有すべき構成の
うち,
「暗号化手段」及び「送信手段」については被告が製造等する発
券機能を有する被告製品5に搭載し,
「管理情報作成手段」については
FN社に置き,その上で発券機能付き被告製品5を製造,販売していたともいえる。また,FN社と被告との間には資本関係等がある。しかし,これらを考慮したとしても,上記第三者の発券機能付き被告製品5に相
当する製品の販売等が特許法の規定によっては禁止されず,また,FN社と被告は別法人であって,仮に被告以外の第三者が発券機能付き被告製品5に相当する製品をカード製造者に対して販売した場合でもカード製造者がFN社から「管理情報」の提供を受けることが法的に制限される事情を認めるに足りる証拠はないことから,発券機能付き被告製品5
の被告による販売等について,独占の利益を観念することは相当でないと解される。
また,仮に発券機能付き被告製品5が被告製品1に対応するとしても,前記のとおり,
「管理情報作成ステップ」はFN社においてされていて,
同ステップの意義に照らし,発券機能を有する被告製品5は特許法10
1条4号及び5号の「その方法の使用」に用いる物とはいえない。⑻

被告製品5(本件発明6-2の実施)

原告は,被告製品5は,本件発明6-1の実施品である被告製品1に対応するので本件発明6-2の実施が予定されているとし,特許法101条4号又は5号に各所定の物に当たると主張する。


特許法101条4号の間接侵害の成否
る被告製品2及び3において本件発明6を実施していないことからすれば,被告製品5は,e-Tax,被告製品2又は3との通信といった本件発明6の方法を実施しない用途があり,こうした用途は経済的,商業的,実用的なものということができるから,特許法101条4号の「方法の使用に
のみ用いる物」ということはできない。

特許法101条5号の間接侵害の成否
本件明細書6(甲6)の発明の詳細な説明欄には以下の記載がある。「ISO(InternationalOrganizationforStandardization)781
6では,接触式のICカードの標準が規定されており,これによれば,例えば,データを格納するEF(ElementaryFile)(いわゆるファイル
に相当する)と,EFおよびDF(DedicatedFile)(いわゆるディレ
クトリ(フォルダ)に相当する)を格納するDFとによるデータの管理が可能となっている。従って,あるDFを親の階層として,その子の階
層のDFを設けることで,階層構造によるデータの管理が可能である。」
「ICカードを,複数の管理者によるサービスの提供に用いる場合には,その複数の管理者それぞれに,階層としてのDFを割り当て,そのDFに,各管理者によるサービスの提供に供するデータとしてのEFを格納するようにする方法が考えられる。「しかしながら,ISO7816等」

では,DFごとに,使用可能な容量や,DFおよびEFを識別するための識別コード(ファイル名やディレクトリ名に相当する)などのICカードのリソースを制限することが困難であった。「このため,識別コー」
ドが,異なる管理者の間で重複することを防止したり,管理者が,あらかじめ,契約等で定められた容量を超えてICカードが内蔵するメモリ
を使用することを制限すること等が困難であった。「また,ICカード」
を,電子マネーシステムやセキュリティシステムなどで利用する場合においては,
・・・例えば,ある管理者が,親の管理者として,自身に割
り当てられたリソースの一部を,その子の管理者となる,他の管理者に分け与え,親の管理者が管理するDFの中に,子の管理者が管理するDFをつくると,子の管理者が,自身のDFにアクセスするには,その親の階層のDF,即ち,親の管理者のDFにアクセスするためのキーを知る必要があり,セキュリティ上の問題が生じることになる。「本発明は,」
このような状況に鑑みてなされたものであり,データの記憶のためのリソース管理や,データに対するフレキシブルでセキュリティの高いアクセス制御を行うことができるようにするものであ」り(発明が解決しよ
うとする課題。段落【0004】~【0010】,そのために本件発明)
6-2の構成を有する(課題を解決するための手段。段落【0012】,
【0016】。

上記記載によれば,本件発明6-2は,従来技術では複数の管理者によるサービスの提供を行う際,使用可能な容量等のリソースを制限する
ことが困難であり,また,ある管理者が自分に割り当てられた領域の一部を他の管理者に割り当てた際,当該他の管理者が自分の領域にアクセスする際に当該ある管理者の領域にアクセスするキーが必要となるなど,セキュリティ上の問題が生じるという課題があり,これを本件発明6-2の構成を採用することで解決する発明である。そうすると,特許法1
01条5号にいう「課題の解決に不可欠なもの」というためには,少なくとも,所定の「コード範囲」及び「空き容量」を記憶する「エリア定義領域」を有する記憶手段に対し,その記憶内容に基づいて上記記憶手段を管理する物であることが必要である。
しかし,リーダライタである被告製品5が上記の記憶手段を管理して
いることを認めるに足りる証拠はなく,被告製品5が上記管理をしているとは認められない。なお,本件明細書6の発明の実施形態において,リーダライタとは別にコントローラがリーダライタに制御信号を供給し処理を行わせるとして,上記記憶手段を管理しているのはリーダライタとは別のコントローラであるとされているところである(段落【0022】【図1】。


したがって,被告製品5が「課題の解決に不可欠なもの」
(特許法1

01条5号)に当たるとはいえない。


被告製品5ノンセキュア(本件発明7の実施)

本件発明7の技術的範囲の属否
本件発明7に係る特許請求の範囲の記載(別紙特許目録記載13⑶の
とおり)によれば,本件発明7は,
「第1の装置」と「第2の装置」と
の間で認証処理を行う認証システムであって,
「第1の装置」が「第1
の複数の鍵を記憶する第1の記憶手段」と「少なくとも2つの鍵を縮退して・・・認証鍵を生成する・・・生成手段」と「暗号化手段」と「第1の通信手段」を備え,
「第2の装置」が「第2の複数の鍵を記憶する

第2の記憶手段」と「少なくとも2つの鍵を縮退して第2の認証鍵を生成する第2の生成手段」と「復号化手段」と「第2の通信手段」を備えるものである。
被告商品5ノンセキュアは,かざされたFeliCaICカード,トークン等が真正なものであることを当該製品内において認証する機能を
有しないものである(前記前提事実⑹)
。そうすると,被告製品5ノン
セキュアは,認証のための「記憶手段」「生成手段」及び「暗号化手段」,
を有しているとは認められず,
「第1の装置」であるとは認められない
し,
「第2の装置」であるとも認められない。
したがって,被告製品5ノンセキュアが本件発明7の技術的範囲に属
するとは認められない。
原告は,サーバ等を利用して認証等を行うものは,現金でチャージすることが可能であることが主な仕様とされていること(乙169)から,被告製品5ノンセキュアも本件発明7の「装置」に当たると主張する。しかし,サーバ等を利用して認証等が行われていても,被告製品5ノンセキュアにおいて「記憶手段」「生成手段」及び「暗号化手段」を備え,
ていないのであるから,被告製品5ノンセキュアが上記「第1の装置」,

「第2の装置」に該当するということはできない。

特許法101条1号の間接侵害の成否
原告は,被告製品5ノンセキュアとサーバが組み合わさって「第1の装置」となるとした上で,被告製品5ノンセキュアが特許法101条1号所定の物に当たると主張する。

72)及び弁論の全趣旨によれば,FeliCaの一種である被告製品2は相互認証ではなく簡易認証と呼ばれる認証を行っており,被告製品3は他の被告製品とは異なる認証方法を採用していて,これらにおいて本件発明7を実施していない。そうすると,被告製品5ノンセキュアは,
e-Tax,被告製品2又は3との通信といった本件発明7を実施しない用途があり,こうした用途は経済的,商業的,実用的なものということができる。
したがって,仮に被告製品5ノンセキュアとサーバ等と組み合わって「第1の装置」となるとしても,被告製品5ノンセキュアが特許法10
1条1号の「物の生産にのみ用いる物」ということはできない。

特許法101条2号の間接侵害の成否
と組み合
わさって「第1の装置」となるとした上で,被告製品5ノンセキュアが
特許法101条2号所定の物に当たると主張する。
本件明細書7(甲7)の発明の詳細な説明欄には以下の記載がある。a
本件発明7は「認証システムおよび方法,並びに認証方法に関し,特に,より迅速に,認証を行うことができるようにした,認証システムおよび方法,並びに認証方法に関する。(発明の属する技術分野。」
段落【0001】


b
「従来の認証システム・・・の構成例においては,ICカード102とリーダライタ101の間で,認証処理を行うようになされている。ICカード102は,情報を記憶するためのエリアが,エリア1乃至エリア5の5つのエリアに区分されている。そして,各エリア毎に,それぞれ異なる暗号鍵1乃至暗号鍵5が対応されている。エリアiを
アクセスするには,対応する暗号鍵iが必要となる。「すなわち,リ」
ーダライタ101が,ICカード102の,例えばエリア1にデータを記録するか,あるいは,そこに記録されているデータを読み出す場合,最初に,相互認証処理が行われる。リーダライタ101は,ICカード102が記憶している暗号鍵1乃至暗号鍵5と同一の符号鍵1
乃至暗号鍵5を予め記憶している。そして,ICカード102のエリア1にアクセスする場合には,このエリア1に対応する暗号鍵1を読み出し,これを用いて認証処理を行う。「例えば,リーダライタ10」
1は,所定の乱数を発生し,この乱数とアクセスすべきエリアの番号1をICカード102に通知する。ICカード102においては,通
知されてきた番号1のエリアに対応する暗号鍵1を読み出し,その暗号鍵1を用いて,通知されてきた乱数を暗号化する。そして,暗号化した乱数を,リーダライタ101に通知する。リーダライタ101は,この暗号化された乱数を暗号鍵を用いて復号化する。ICカード102に通知した乱数と復号化した乱数とが一致していれば,ICカード
102が適正なものであるとの判定を行う。「同様に,ICカード1」
02は,所定の乱数を発生し,リーダライタ101に出力する。リーダライタ101は,暗号鍵1を用いて,この乱数を暗号化し,暗号化した乱数をICカード102に通知する。ICカード102は,この暗号化された乱数を暗号鍵1を用いて復号化する。そして,復号化された乱数とリーダライタ101に通知した乱数とが一致していれば,リーダライタ101が適正なリーダライタであると判定する。「以上」

の処理は,各エリア毎に行われる。(従来の技術。段落【0002】」
~【0006】

c
「従来のシステムにおいては,相互認証処理が,エリア毎に個別に行われるようになされているため,各エリアに,迅速にアクセスする
ことが困難である課題があった。その結果,例えば,通勤者が,改札口に設けられているゲートを通過する,比較的短い時間の間に,ICカード102の所定のエリアにリーダライタ101がアクセスし,情報を書き込み,または読み出すことが困難となる課題があった。「本」
発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり,より迅速な認証
ができるようにする」ために,本件発明7の構成を採用した(発明が解決しようとする課題,課題を解決するための手段。段落【0007】~【0009】。

上記記載によれば,従来技術として,複数のエリアを有するICカードとリーダライタとの通信において,エリアごとに相互認証を行う構成
があったところ,エリアごとの相互認証では迅速なアクセスが困難で,比較的短い時間で所定のエリアへのアクセスが困難であるという課題があり,本件発明7は,その課題を「第1の装置」と「第2の装置」が複数の鍵を縮退して縮退鍵を生成し,1回の認証で複数のエリアに対するアクセスを認証することとしてより迅速な認証ができるようにすること
により解決するものである。そうすると,本件発明7において,特許法101条2号にいう「課題の解決に不可欠なもの」というためには,複数の鍵を縮退して縮退鍵を生成し,1回の認証で複数のエリアに対するアクセスを認証する機能を備える必要があるといえる。
「記憶手段」「生成

手段」及び「暗号化手段」を有しているといえないから,上記の機能を有しているといえない。

したがって,仮に被告製品5ノンセキュアがサーバと組み合わさって「第1の装置」となるとしても,被告製品5ノンセキュアが「課題の解決に不可欠なもの」
(特許法101条2号)に当たるとはいえない。
⑽ア
被告製品5ノンセキュア(本件発明9の実施)
本件発明9の技術的範囲の属否
本件発明9に係る特許請求の範囲の記載(別紙特許目録記載15⑶のとおり)によれば,本件発明9は,
「ユーザーにより携帯される情報携
帯装置を複数の事業者により共用する情報携帯処理システム」であり,「前記各事業者に固有のファイル鍵情報と所定の管理部門に固有の発行
者鍵情報とを用いた暗号化処理を介して前記管理部門で生成されたアクセス鍵情報を用いて,前記各事業者のアクセス装置と前記情報携帯装置とで認証の処理を実行」するものである。
被告製品5ノンセキュアは,かざされたFeliCaICカード等が真正なものであることを当該製品内において認証する機能を有しないも
のである(前記前提事実⑹)

本件発明9は各事業者のアクセス装置と情報携帯装置とで認証の処理を行うものであるところ,被告製品5ノンセキュアにおいて上記の認証が行われることはないのであるから,被告製品5ノンセキュアは,本件発明9の「情報携帯処理システム」であるとは認められないし,
「各事

業者のアクセス装置」であるとも認められない。
したがって,被告製品5ノンセキュアは本件発明9の技術的範囲に属しない。

特許法101条1号の間接侵害の成否
原告は,被告製品5ノンセキュアがサーバと組み合わさって「各事業者のアクセス装置」となるとした上で,被告製品5ノンセキュアが特許法101条1号所定の物に当たると主張する。

しかし,前記⑷
72)及び弁論の全趣旨によれば,FeliCaの一種である被告製品2は相互認証ではなく簡易認証と呼ばれる認証を行っており,被告製品3は他の被告製品とは異なる認証方法を採用しており,これらにおいて本件発明9を実施していない。そうすると,被告製品5ノンセキュアは,
e-Tax,被告製品2又は3との通信といった本件発明9を実施しない用途があり,こうした用途は経済的,商業的,実用的なものということができる。
したがって,仮に被告製品5ノンセキュアがサーバと組み合わさって「各事業者のアクセス装置」に当たるとしても,被告製品5ノンセキュ
アを特許法101条1号の「物の生産にのみ用いる物」ということはできない。

特許法101条2号の間接侵害の成否

わさって「各事業者のアクセス装置」となるとした上で,被告製品5ノンセキュアが特許法101条2号所定の物に当たると主張する。
本件明細書9(甲9)の発明の詳細な説明欄には以下の記載がある。a
本件発明9は「本発明は,情報携帯処理システム,情報携帯装置のアクセス装置及び情報携帯装置に関し,例えば非接触型のICカード
を用いたシステムに適用することができる。本発明は,管理部門で管理する発行者鍵情報と,事業者に固有のファイル鍵情報によりアクセス鍵を生成して各事業者に配付し,このアクセス鍵を使用して情報携帯装置をアクセスすることにより,複数の事業者でICカードを共用することができるようにする。(発明の属する技術分野。段落【00」
01】

b
従来,ICカードシステムのICカードにおいては,
「ICカード
を含めて,それぞれ各カードに係るサービスを提供する事業者が個別に発行して利用に供されるようになされている。(従来の技術。段落」
【0002】~【0004】


c
「ところでICカードにおいては,内蔵のメモリに複数のサービスに係る個人情報を充分に記録可能な容量を確保することができることにより,複数の事業者でICカードを共用することができると考えられる。「このようにすればそれまでカードを発行していた事業者にお」
いては,カード発行の負担を軽減することができ,また個々の事業者では獲得困難な多数のユーザーを獲得することもできる。またユーザ
ーにおいては,携帯して管理するカードの枚数を少なくすることができることにより,多数のカードを携帯,管理する煩雑さから開放されることになる。「ところがこのようにICカードを複数の事業者で共」
用する場合,各事業者毎に,ユーザーの個人情報を秘密化することが必要になる。また各事業者が使用するメモリ空間を時間的にも領域的
にも管理する必要がある。「本発明は以上の点を考慮してなされたも」
ので,複数の事業者でICカード等を共用することができる情報携帯処理システム,情報携帯装置のアクセス装置及び情報携帯装置を提案しようとするものであ」り,そのために本件発明9の構成を採用したものである。
(発明が解決しようとする課題。段落【0005】~

【0009】

上記記載によれば,本件発明9は,ICカードを複数の事業者で共用する場合には事業者ごとにユーザの個人情報を秘密化し,また,各事業者が使用するメモリ空間を時間的,領域的に管理する必要があるという課題があるところ,これを,本件発明9の構成を採用することで複数の事業者でICカード等を共用することができる情報携帯処理システムを実現する発明であるということができる。そうすると,特許法101条
2号にいう「課題の解決に不可欠なもの」というためには,事業者ごとにユーザの個人情報を秘密化し,また,各事業者が使用するメモリ空間を時間的,領域的に管理する機能を備える必要があるといえる。被告製証の処理を実行」してい
るといえないから,上記の機能を備えているとはいえない。

したがって,仮に被告製品5ノンセキュアがサーバと組み合わさって「各事業者のアクセス装置」となるとしても,被告製品5ノンセキュアが「課題の解決に不可欠なもの」
(特許法101条2号)に当たるとは
いえない。

被告製品5(本件発明10-1の実施)

原告は,被告製品1が本件発明10-3の実施品であることから本件発明10-1の「携帯装置」に該当し,本件発明10-1のデータ処理方法が被告製品5との通信過程において使用されるとし,被告製品5は,被告製品1に対応しており,少なくとも発券機能を有する被告製品5からのコマンド等により,被告製品1に本件発明10-1の方法を実施させるので
あるから,特許法101条4号又は5号所定の物に当たると主張する。イ
特許法101条4号の間接侵害の成否

前記前提事実⑹のとおりFeliCaの一種である被告製品2及び3において本件発明10を実施していないことからすれば,被告製品5ノンセキュアは,e-Tax,被告製品2又は3との通信といった本件発明10-1の方法を実施しない用途があり,こうした用途は経済的,商業的,実用的なものということができるから,特許法101条4号の「方法の使用にのみ用いる物」ということはできない。

特許法101条5号の間接侵害の成否
本件明細書10(甲10)の発明の詳細な説明欄には以下の記載があ
る。
a
「ICカードを複数の事業者で共同使用する場合,1人の事業者が専用のICカードを発行する場合に比して,種々の要求に対応することが必要になる。すなわち事業者によっては,他の事業者とICカードを共同使用する場合でも,あたかも自らが発行したICカードのよ
うな使い勝手を望む場合も考えられる。また特定の事業者との間では,ICカードの共同使用を望まない場合も考えられる。また共同使用する側で負担の軽減が要求される場合も考えられる。「本発明は以上の」
点を考慮してなされたもので,複数の事業者で単体のICカード等を共用使用する場合に,サービス提供元のセキュリティの面を含む各種
要望に対応することができるデータ処理方法およびそのシステム,携帯装置,データ処理装置およびその方法とプログラムを提供することを目的とする。(背景技術。本件明細書10〔9頁35~44行目〕」

b
「上述した目的を達成するために,第1の発明のデータ処理方法は」本件発明10-1の構成を採用する。
「上述した第1のデータ処理方
法では,集積回路内で第2のモジュールが復号され,集積回路が第2の領域管理鍵データを得ることを条件に,第2のサービス提供元のサービスに用いられる第2の記憶領域が適切に形成される。「このと」
き,
・・・第1の領域管理鍵データおよび分割用鍵データの双方を用

いなければ第2のモジュールを生成できないため,第2の記憶領域の生成時に必要な第2の領域管理鍵データを集積回路が得られない。」
「また,第2のサービス提供元には,分割用鍵データおよび第1の領域管理鍵データの双方を秘密にしているため,第2のサービス提供元は第2のモジュールを生成できない。「これにより,第1のサービス」
提供元,記憶領域運用元および第2のサービス提供元が適切に連携して処理を行わないかぎり,集積回路内には第2の記憶領域が形成されないため,高いセキュリティが実現できる。(発明の開示。本件明細」
書10〔9頁46行目~10頁30行目〕

上記記載によれば,本件発明10-1は,ICカードを複数の事業者で共同使用する場合における各事業者によって使用方法に関する要望が
異なり,サービス提供元のセキュリティの面を含む各種要望に対応するという課題を,本件発明10-1の構成を採用することで第1のサービス提供元,記憶領域運用元及び第2のサービス提供元が適切に連携して処理を行わない限り集積回路内には第2の記憶領域が形成されないこととし,高いセキュリティを実現することによって解決するものである。
そうすると,特許法101条5号にいう「課題の解決に不可欠なもの」というためには,少なくとも,
「分割用鍵データ」で「第1のモジュー
ルデータ」を暗号化する機能,
「第1の領域管理鍵データ」で「暗号化
された第1のモジュールを含む第2のモジュールデータ」を暗号化する機能,
「携帯装置」の「集積回路」に対して「暗号化された第2のモジ

ュールデータ」を提供し,
「集積回路」内で第2のモジュールデータ,
第1のモジュールデータを順次復号し,第2の領域管理鍵データを用いて第1の記憶領域と第2の記憶領域に分割する機能のいずれかを備えることが必要である。

いものがあるところ,発券機能を有しない被告製品5が「記憶領域運用元」から提供を受けた暗号化されたデータを含むデータを「記憶領域運用元」の管理下でこれを「携帯装置」の「集積回路」に提供して「記憶領域を・・・第1の記憶領域と・・・第2の記憶領域とに分割する」機能を有していることを認めるに足りる証拠はない。発券機能を有する被告製品5について,
「暗号化された第1のモジュール」データに相当す
るデータを「携帯装置」に相当するICカードに書き込むための発券用
コマンドを実行可能とする機能を有することについては当事者間に争いがないが,
「記憶領域運用元」に対して上記データを提供する機能を有
していることを認めるに足りる証拠はなく,被告製品5が上記の機能を有しているとは認められない。
以上によれば,被告製品5が「課題の解決に不可欠なもの」
(特許法

101条5号)に当たるとはいえない。

被告製品5(本件発明10-2の実施)

原告は,前記⑾アと同様に,被告製品5が特許法101条4号又は5号所定の物に当たると主張する。


本件発明10-2は,その特許請求の範囲の記載によれば,本件発明10-1の構成のうち「第1のサービス提供元が」
「暗号化された第2のモ
ジュールデータを前記集積回路に提供」する点について「記憶領域の分割を行うための記憶領域分割装置を前記第2のサービス提供元に提供し,前記記憶領域分割装置が」上記の提供を行うこととした発明であるところ,仮に被告製品5が被告製品1に対応するとしても,前記⑾イに述べたとこ
ろと同様の理由により,被告製品5が特許法101条4号の「方法の使用にのみ用いる物」ということはできない。

また,本件発明10-2が上記イのとおりであること及び本件明細書10に前記

たところと同様の理由により,被告製品5が「課題の解決に不可欠なもの」(特許法101条5号)に当たるとはいえない。
2
争点⑸(登録日前の実施に対応する相当の対価支払請求権の消滅時効の成否)について


争点⑵(本件発明により受けるべき利益)を検討するに先立ち,争点⑸(登録日前の実施に対応する相当の対価支払請求権の消滅時効の成否)について検討する。
括弧内の証拠及び弁論の全趣旨によれば,被告発明考案規定には次の規定があると認められる。

平成4年12月改正のもの(乙37)
従業員(役員を含む。以下同じ。
)が職務発明をした場合は社外に発

表する前に直ちに上司に届け出て,工業所有権の登録を受ける権利を被告に対して譲渡すること。
(2項)
被告が上記権利を取得したときは速やかにその登録出願の手続をとるものとすること。
(3項)
発明につきその報告がなされた場合には当該発明者を表彰することと
し,国内の出願については,出願の貢献,出願,公開技報公表の際に出願表彰褒賞金を支給すること。
(4項)
工業所有権の登録を受けた発明の実施又は実施許諾によって特に顕著な功績が挙がった場合には,これを1年ごとに審査の上当該発明者を特別に表彰することがあり,その特別表彰の審査は経営会議において工業
所有権の登録を受けており,かつ,実施又は実施許諾された発明について,1級~4級の区分により行うこと。
(5項⑴,⑵)

平成9年5月改正のもの(乙38)
上記ア

と同趣旨の規定(3条1号)

被告が上記権利を取得したときはその判断に従い出願し,公開技報で公表し,あるいはいずれの手続をもとらないことができること。
(4条)
上記ア

と同趣旨の規定(5条)

工業所有権の登録を受けた発明の実施又は実施許諾によって特に顕著な功績が挙がった場合には,被告の内規に従いこれを審査の上,経営会議の決定により当該発明をした従業員を特別に表彰すること(6条1項)
,特別表彰に当たっては特級,1級~5級の区分により褒賞金を支
給するが,特級区分の表彰にあってはその功績が継続する限り5年間継続して同額の褒賞金を支給する(工業所有権が消滅した場合はこの限りでない。
)こと(同条2項)


平成10年9月,平成13年4月,平成16年4月各改正のもの(乙39~41)

上記イ



と同趣旨の規定(2条1号,3条,4条)

工業所有権の登録を受けた職務発明に関して自社実施若しくは第三者への実施許諾又は当該発明の創造性若しくは先見性等の卓越した価値によって被告に対し顕著な貢献が認められる場合,他の国の工業所有権の貢献を加算して,内規に定める評価基準に従い審査の上,審査委員会の
決定により当該発明をした従業員を特級,1級~5級の区分により褒賞金を支給するが,特級区分の表彰にあってはその貢献が継続する限り5年間継続して同額の褒賞金を支給する(工業所有権が消滅した場合はこの限りでない。
)こと。
(5条)
●省略●


上記⑴の認定事実によれば,本件発明がされた期間に適用される被告発明考案規定において,職務発明をした被告の従業員は特許を受ける権利を被告に取得させること,それに対して被告から報奨金が支給される場合があること,報奨金が支給されるのは,●省略●

勤務規則等の定めに基づき職務発明について特許を受ける権利を使用者に承継させた従業者は,使用者に対し相当の対価支払請求権を取得する(旧法35条3項)ところ,同請求権についての消滅時効の起算点は,特許を受ける権利の承継時であるのが原則であるが,勤務規則等に使用者が従業者に対して支払うべき対価の支払時期に関する定めがあるときは,その支払時期が消滅時効の起算点となると解される(最高裁平成15年4月22日第三小法廷判決・民集57巻4号477頁参照)

そして,特許発明の実施の実績を考慮して支払われる相当の対価について,対象期間の実績に対応する対価に関する支払時期の定めが勤務規則等にある場合には,当該所定の支払時期までは権利行使について法律上の障害があるといえ,当該期間の実績に対応する対価支払請求権について,所定の支払時
期が消滅時効の起算点となると解される。
●省略●このような同規定の趣旨,文言,登録前の実施等に基づく実績を考慮の対象としていたことを裏付ける他の規定や客観的な証拠がないこと等に照らせば,被告発明考案規定において定められた実施報奨金は,その支給の有無や額の決定において,当該発明の登録後の実施等に基づく実績を考慮
の対象とするものであり,当該登録前の実施等については考慮の対象としていないと解するのが相当と認められる。そうすると,特許登録前の発明の実施等の実績に応じた相当の対価の支払については被告発明考案規定における実施報奨金の定めが対象とするところとはいえず,他に,当該対価の支払時期についての定めがあることを認めるに足りる証拠はない。

以上によれば,被告においてされた職務発明において,登録後の発明の実施等の実績に応じた対価支払請求権については被告発明考案規定において少なくとも特許登録後の支払が定められているといえるから特許を受ける権利の承継の時が相当の対価支払請求権の消滅時効の起算点となることはないとされ,また,登録前の発明の実施等の実績に応じた相当の対価の支払請求権
自体は発生することがあるとしても,登録前の発明の実施等の実績に応じた対価支払請求権については,その支払時期についての定めがないといえる以上,原則どおり,特許を受ける権利の承継の時から消滅時効が進行すると解される。
本件発明については,発明報告書の提出が平成8年2月12日から平成12年3月31日までの間に行われ,その頃特許を受ける権利が被告に譲渡された(前記前提事実⑵)から,本件発明に係る特許登録前の実施についての相当の対価支払請求権については,遅くとも平成22年3月31日の経過により消滅時効が完成し,その消滅時効の援用(前記前提事実⑻)により消滅した。
⑶ア

これに対し,原告は,●省略●,平成16年法律第79号による改正後の特許法35条5項(現行特許法35条7項)によれば勤務規則等に職務発明承継の対価につき不合理でない定めを置けば使用者等は免責されるのに対し,仮に被告発明考案規定が特許登録前の実施を対象としていないとすれば上記の免責はないこととなるが,被告がそうした不合理な帰結を意図していると解されないことから,特別表彰の対象とされるまで職務発明
者が請求することは法的に許されておらず,本件発明に係る特許権の設定登録時,実施又は実施許諾時のいずれか遅い時点まで法律上の障害があったと主張する。
しかし,●省略●との記載は,文言等から,登録後の実施をいうと解するのが相当と解される。被告発明考案規定の●省略●の改正において,●
省略●も,従前の規定は登録前の事象を対象としていなかったと解することと矛盾しない。
また,本件とは異なる訴訟において被告が特定の事項を争点としなかったことから,本件で被告が主張している解釈を採用することができなくなるものではない。そして,原告は,実施報奨金の審査及び算定に当たって
登録前の実施分を考慮していたと主張し,陳述書にその旨記憶していると記載する(甲90〔37〕
)が,その内容は具体的でなく,他に原告主張
の事実を裏付けるに足りる証拠はなく,本件において,被告が特別表彰等において,原則として実施等の実績について登録の前後を区別せずに等級区分を判断していたことを認めるに足りる証拠はない。
さらに,被告発明考案規定の不合理性について,被告が,上記のとおり●省略●の改正によって登録を受ける前の職務発明について,実施等とは
別の観点から対価について支払う旨の定めを置いたことからも,前記解釈について被告が不合理であると考えているとは解されない。
したがって,原告の主張は採用することができない。

原告は,被告が本件発明の実施報奨金を支払ったことにより,特許登録前の実施分についての消滅時効が中断したか,時効利益が放棄されたと主
張する。しかし,前記⑵のとおり,実施報奨金は特許登録後の実施等の実績に応じた対価支払請求権について支払われるものであるから,特許登録前の発明の実施等の実績に応じた対価支払請求権についての債務の弁済と評価することはできない。したがって,原告の主張は採用することができない。



以上によれば,本件発明に係る特許登録前の実施等の実績に応じた相当の対価支払請求権に関する原告の主張は,その余の点を判断するまでもなく理由がない。

3


争点⑵(本件発明により受けるべき利益)について旧法35条4項は,同条3項に規定する相当の対価の額について「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」を考慮して定めるべき旨を規定している。
使用者は特許を受ける権利を承継しない場合でも職務発明の通常実施権を有する(同条1項)ところ,使用者等が特許を受ける権利を承継して特許発
明の実施を独占することにより得られるべき利益(以下「独占の利益」という。
)がある場合には,この独占の利益が「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」になると解される。そして,本件において,独占の利益は,通常実施権に基づく売上げを超えた部分の売上げ(以下「超過売上げ」ということがある。
)に対応する,特許発明が他人に実施許諾された場合の実施
料相当額であると解するのが相当であり,具体的には本件発明の実施品の売上高に超過売上げの割合及び仮想実施料率を乗じることにより算出すること
が相当である。
原告は,被告製品の販売による独占の利益の算出方法として,売上高に超過売上げの割合及び利益率を乗じて算出した結果を第1次的に主張し,売上高に超過売上げの割合及び仮想実施料率を乗じて算出した結果を第2次的に主張するとする。しかし,旧法35条3項及び4項の規定及びその趣旨に照
らし,
「相当の対価」が複数あるわけでなく,上記算出方法も合理的であり,同方法を採用することができると解されること,本件の証拠上,被告製品の利益率を算定するのが困難であるともいえることに照らすと,本件においては,独占の利益の算出に当たっては,上記のとおり,実施品の売上高に超過売上げの割合及び仮想実施料率を乗じることとする。



本件発明の被告による実施に伴う利益

上記のとおり,本件における独占の利益は,実施品の売上高に超過売上げの割合及び仮想実施料率を乗じることにより算定される。


実施品の売上高
前記前提事実⑹及び前記2によれば,後記の表の「本件発明」欄記載の発明につき,被告製品1~6の各欄に「○」が記載された被告製品はその実施品であり,被告製品1及び6欄に「△」が記載されたものは,被告製品1及び6のうちEEPROMが搭載された製品が,その実施品である(なお,以下,本件発明のうちの被告製品において実施された発
明を総称して,単に「本件実施発明」ということがある。。

もっとも,本件発明2~6及び10は,本件発明2-1及び2を併せて「本件発明2」というなど複数の発明を総称したものであるところ,前記前提事実⑵及び⑶並びに弁論の全趣旨によれば,総称される発明に含まれる複数の発明は同一の発明報告書から具体化された発明であると認められることからすると,総称される発明に含まれる発明が実施されていれば上記各本件発明の実施品であるとして売上高を計上するのが相
当といえる。
本件
発明

被告製品被告製品被告製品被告製品被告製品被告製品被告製品
1234
5セキュ5ノンセ
ア6
キュア

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

2-1

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

2-2

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

3-1

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

3-2

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

4-1

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

4-2

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

5-1

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

5-2

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

5-3

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

6-1

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

6-2

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

10-1

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

10-2

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●
10-3

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●

●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●●省略●
前記2のとおり,本件実施発明についての相当の対価支払請求権のうち特許登録前の実施に係る部分は時効により消滅していると解されるから,本件実施発明の特許登録日後の実施による売上高に基づいて相当の対価を算定すべきところ,証拠(乙332)及び弁論の全趣旨によれば,
平成17年7月(本件実施発明に係る特許登録の最も早い月)から平成26年12月までの期間における被告製品1~5において利用されたICチップの売上高を会計年度(4月1日から翌年3月31日まで)ごとに示したものは別表(売上高)のとおりである。なお,被告製品6は,FN社が設立された平成16年1月からFN社がその製造に関する実施
を第三者に許諾しており,平成17年7月以降において被告が製造販売していないと認められる。
対象となる売上高の点に関し,原告は,ICチップを含む被告製品全体の売上高を算定の基礎とすべきであると主張する。なお,被告は,被告製品において利用されたICチップの売上高は開示したが,各被告製
品そのものの単価及び売上高は本件に必要がないとして開示していない。前記前提事実⑶(別紙特許目録記載1~19の各⑶)及び前記1のとおり,本件発明1及び11は機器の認証,本件発明2~4はメモリにおける領域の定義及びデータ記憶方法,本件発明5~7,9,10は記憶領域の形成及び管理,認証方法,本件発明8はICカードへの電源供給
をしつつ高速な通信を可能とするための電磁波の変調等の方法についての物又は方法の発明であって,いずれもICチップにおける実施を想定したものということができ,被告製品中ICチップ以外の部分において本件発明1~11が実施されているとは認められない。
そうしたところ,証拠(甲23,乙172,173,312~315)によれば,被告は,被告製品1~5につき,ICチップのほかにカード,アンテナモジュール,リーダライタを製造販売しており,被告製品1~3はPETその他のプラスチック材料を角丸四角形に成形したものであって,その内部に少なくともICチップ及びアンテナを搭載したものであり,被告製品5も少なくともICチップ及びアンテナを搭載したものであると認められ,以上に照らせば被告製品4もICチップ及びアンテナを搭載したものであると推認される。他方,証拠(乙98〔3頁14~23行目〕
,107〔発明の詳細な説明欄の段落【0011】~【0

015】)によれば,ICチップを搭載するなどしたカードにおいて,〕
プラスチックカードの材料はユーザの使用による繰り返しの曲げに対応する強度が求められ,また,ICカードが重ねられても受信効率を低下させないようにループアンテナの形状等を工夫することが求められていたと認められる。

これらによれば,被告製品1~5に係るカード,アンテナモジュール及びリーダライタはICチップのほかにプラスチックカードやアンテナその他の構成要素から成り,上記カード等の単価自体はICチップの単価よりも高いと推認できるが,被告製品1ないし5の製品化に当たっては,ICチップ以外の構成要素について,それ自体の材料や形状等につ
いて被告による相当の開発,工夫等が必要であり,そのような開発等を経て当該被告製品の製品化がされたものといえる。
そして,証拠(甲23,55〔27,32〕
,乙172,173)に
よればICチップはこれを搭載したICカードと別の型番が付されていると認められるから,ICチップとそれ以外の部分が不可分であってI
Cチップのみの売上高を認定できないとも認められない。また,上記に述べた状況下において,上記カード等の単価とICチップの単価の差額において,直ちにICチップにおける発明に帰属すべきといえる部分があることをうかがわせるような事情もない。
上記のような諸事情を考慮すると,本件においては,本件発明1~11に係る特許の独占の利益を算定するに当たって,ICチップの売上高を基礎とすることが許されないわけではないというべきである。原告の主張は採用できない。
上記

の被告製品の年度ごとの売上高については,別表(売上高)の

とおりである。
本件実施発明に係る各特許の登録日から平成26年12月までの間における実施品である被告製品の売上高については,同一会計年度中の売上高の増減を認めるに足りる証拠はないことから,会計年度ごとに,各特許の登録日から平成26年12月までの間における別表(売上高)の売上高について実施期間に係る月単位(登録初月については実施期間の日数に応じた割合)で按分し,これに実施月数(登録初月については実
施日数に応じた割合)を乗じて算出することが相当である。この場合における実施月数(小数点第4位切り捨て)は,別表(実施月数)のとおりである。そうすると,本件実施発明について,特許の登録日から平成26年12月までにおける実施品である被告製品の売上高は,会計年度ごとに以下の「計算式」によって算出した結果(1円未満切り捨て)の
和になり,その額は別紙対価算定表記載第2表の「関係売上」欄上段記載の額となる。
(計算式)当該年度の売上高×実施月数/12(平成17年度及び平成26年度は「9」

また,前記前提事実⑶(別紙特許目録記載1~19の各⑵)の出願日
又は原出願日によれば,次表の本件発明欄記載の番号の各本件実施発明に係る特許は,満了日欄記載の日まで存続する。
本件発明

満了日

1
平成28年6月28日

2
平成29年2月28日

3
平成29年7月9日

4
平成29年6月27日

5
平成30年7月16日

6
平成30年7月16日

7
平成29年4月28日

8
平成28年6月20日

9
平成32年1月7日

10

平成33年4月6日

11

平成28年6月28日

告製品1~5について,平成27年1月以降も上記各満了日まで相当額の売上げが生じると推認することができるから,本件においては,このような平成27年1月以降に発生することが推認される売上げについても相当の対価の算定に当たって考慮することが相当である。

そして,平成26年12月までの売上額に照らせば,平成27年1月以降も,被告製品について,その直近3年度分の平均額の割合で売上げが継続して生じると認めるのが相当である。そうすると,上記各発明について,平成27年1月から存続期間満了日までにおける実施品である被告製品の売上高は,年度(暦年)ごとに上記

の「計算式」によって

算出した結果(1円未満切り捨て)の和になり,その額は別紙対価算定表記載第2表の「関係売上」欄下段記載の額であると認められる。ウ
超過売上げの割合
括弧内の前提事実及び証拠並びに弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
a
被告は,被告製品1~5に係るICチップを自ら又は第三者に委託して製造し,これを販売しており(前記前提事実⑹,甲76,乙156〔8〕,このICチップを利用した被告製品1~3につき共同印刷)
株式会社その他の第三者が製造することを許諾している(甲41,4
3,64)

b
被告は,被告とNTTドコモの合弁契約に基づき設立し,平成26年3月期において原告が57%,NTTドコモが38%,JR東日本が5%の株式を有するFN社に対して●省略●FeliCaに関するライセンス事業,モバイルFeliCaチップでの発券に当たり,チ
ップの利用者に対してメモリの管理サービスを提供する事業などを譲渡した(前記前提事実⑸,甲20,乙53〔7〕
,327〔11〕
,3
30)
。そして,少なくとも被告製品1に相当するFeliCaは,
カード製造者がカード発行者からの依頼を受けるなどしてFN社に対して申請をし,FN社からメモリ分割情報及びフォーマット情報の提
供を受けてからカードを発行する(甲43)

●省略●
d
非接触式ICカードの技術には,FeliCaのほかにISOの国際規格であるtypeA,typeBがあり,typeAはクレジッ
トカードのほか,海外の鉄道における乗車用カードシステムに採用され,typeBはクレジットカード,タスポ,住民基本台帳カードその他のものに採用され,FeliCaは日本における公共交通機関の乗車券のほか,Edy,nanaco及びWAONの各電子マネーその他のものに採用されている(甲33,35,45,乙165,16
6)

平成25年における発行枚数は,FeliCaが55200千枚
(非接触式ICカード全体の約51%)
,typeAが16000千
枚(同約15%)
,typeBが36900千枚(同約34%)であ
る(乙6)

被告は,本件実施発明に係る特許を受ける権利を取得しなくても通常実施権を有しており,同通常実施権に基づいて被告が被告製品を製造販売することが可能である。
そして,被告は被告が出資したFN社に本件対象実施権の使用を許諾しているほかは第三者に本件実施発明の実施を許諾しているとは認めるに足りないこと,被告は第三者にICチップの製造を委託していて,そ
の製造を行う能力を有する第三者がいること,別の規格の非接触型ICカードが大量に生産されていて非接触型ICカード,チップの生産,開発能力を有する第三者が存在することなどに照らすと,被告製品の売上げには,被告が特許を受ける権利を取得して特許権を有し,第三者の製造等を禁止することによる売上げ,すなわち,通常実施権による売上げ
を超えた売上げである超過売上げがあるといえる。他方,後記4⑴のとおり,被告は,特許発明に関係する技術を開発した者で,被告自身が被告製品の製造等に関する技術を蓄積するなどしていて,これらの事情が,特許権に基づく第三者による製造等の禁止とは別に被告の売上げに対して寄与していることがうかがわれる。

これらを踏まえると,本件実施発明の実施の独占が被告製品の売上げに寄与しているといえるが,その程度はその半分を超えるとはいい難く,独占の利益による被告の超過売上げは本件実施発明に係る各特許につきいずれも40%であると認めるのが相当である。
この点に関し,原告は,被告が本件実施発明の実施を独占しなければ
FeliCa関連製品その他の非接触ICカードの製造販売を手がける競合企業が本件実施発明を適宜実施し,被告製品と類似した規格の競合品が多数市場に登場することなどからすれば超過売上割合が100%であると主張する。しかし,被告が本件実施発明に係る特許を受ける権利を取得せず,その特許権を取得しない場合,競合企業が当然に本件実施発明を完全に自由に使用することができるようになることを認めるに足りる証拠もなく,被告製品と類似した規格の競合品が市場に登場して被
告製品の売上げがなくなるとも認められず,原告の主張する事情から超過売上割合を100%とすることはできない。

仮想実施料率
本件発明1~7,9~11の意義は,前記1

明4)
,⑺ア

また,本件発明8の特許請求の範囲の記載(別紙特許目録記載14⑶のとおり)及び本件明細書8の記載(発明の詳細な説明欄の段落【0001】~【0011】【0013】

)に照らせば,本件発明8の意義は,
バッテリを装備内ICカードはリーダライタから受信した電磁波を整流してその電力を電源として利用するので,従来技術においては安定した電力を供給するために変調派の振り幅が一定であるPSK(PhaseShiftKeying)やFSK(FrequencyShiftKeying)を用いるが,これらの
変調方法では占有帯域が広くなり,他の電子機器に影響を与える一方,占有帯域を制限すると高い通信レートで送受信を行うことが困難であるという課題があったところ,本件発明8の構成を採用し,変調度が1未満のASK(AmplitudeShiftKeying。段落【0032】)変調を利用
することで,占有帯域幅を狭くしたまま高い通信レートで通信を行い,
かつ,ICカードに良好な電源を供給することとした点にあるといえる。上記のとおりの本件実施発明の技術的意義に加え,証拠(甲23,31,乙172,173)により認められる被告製品の機能及び前記イの表のとおりの実施の有無等に照らすと,本件実施発明は,被告製品の基本的な機能の一部として実施されていると認められる。もっとも,例えば●省略●被告製品には,本件実施発明に係る発明だけで一定数の発明が実施されているものがある。
さらに,この点に関係し,被告は,被告製品においては,本件発明1~11を含めてFeliCaに関連する特許●省略●件に係る発明が実施されていると主張する。
括弧内の証拠及び弁論の全趣旨によれば,被告が被告製品において実
施されていると主張する上記各発明中には,半導体集積回路(IC)の構成を定める発明(乙25)や複数の認証先で共用される鍵データと認証先固有の別の鍵データを用いて認証を行う発明(乙306)のようにICチップにおいて実施されていることがうかがわれる発明がある。もっとも,被告が主張する上記各発明中には,被告が非接触ICチップ関
連に分類される発明であると主張するもの(55件)に限っても特許登録がされたか不明のものが●省略●ある(乙73,77,88,95,96,216,217,221,225,227~232)ほか,コア剤と外装材とを含んでなるプラスチックカードの材料や加工,集積回路チップが設けられていることその他の構成のみを構成要素とする発明
(乙98)
,ループアンテナを含む略四角形状で略板状の電子装置にお
ける上記ループアンテナの形状等を構成要素とする発明(乙107)などICチップにおいて実施されていないものも含まれていると認められる。
したがって,被告が主張する上記各発明について,被告製品のICチ
ップにおいて,その全ての発明が実施されているとは認められないものの,被告製品のICチップに実施されている発明があることもうかがわれる。
を考慮する
と,本件実施発明に係る各発明についてそれぞれ仮想実施料率を定め,その仮装実施料率をいずれも0.8%と認めるのが相当である。
被告は,被告のFeliCa事業全体の累積利益率が1.7%であり,
これに利益三分法又は25%ルールと呼ばれる評価方法を適用して知的財産全体の利益率を算出し,これが知的財産全体の実施料率となり,その上で本件特許に係る実施料率を算出すべきと主張し,本件では知的財産全体の実施料率が0.42%又は0.56%であると主張する。しかし,被告が主張する方法を採用することに一定の合理性がある場
合があるとしても,証拠(乙177の1)上,産業分野により実施料率にばらつきがあるとされており,この点を考慮する必要があること,上記のとおり被告製品のICチップにおいて本件発明以外の特許発明が実施されているとうかがわれる一方でその内容が明らかでないことなどに照らすと,本件において上記の算出方法を採用することは相当でない。

小括
以上によれば,被告が被告製品1~5を製造販売したことに伴い得たといえる利益は,別紙対価算定表記載第2表の「発明」欄に記載された数字の各本件実施発明について,
「関係売上」上下段の数の和に対し,
「超過売
上割合」「仮想実施料率」の各欄記載の割合を順次乗じて算出された額で,

あると認められる。
なお,
「関係売上」上下段の数はICチップの売上げであるところ,本
件実施発明の内容に照らし,同売上げに対する本件実施発明の寄与度を観念してその寄与度を同売上げに乗じることはしない。


FN社に対する実施権の現物出資に伴う利益

前記前提事実⑸,括弧内の証拠及び弁論の全趣旨によれば,①被告は,NTTドコモと合弁契約を締結してFN社を設立した時に本件対象実施権(8件)を含めて●省略●株式を取得したこと(乙53,330),②F
N社は,モバイル用FeliCa技術に関する特許等のライセンス事業,FeliCaICチップ内のメモリ領域管理と運営等を行うプラットフォーム事業及びFeliCaシステムに必要なソフトウェアの開発及びライ
センス等を行うソリューション事業を運営していること(乙330),③
上記合弁契約締結に当たり,合弁契約を締結しないで被告単独で事業を行う場合は事業全体が●省略●でライセンス事業が●省略●の価値があり,合弁事業契約においては事業全体が●省略●でライセンス事業が●省略●の価値があるとされていたこと(乙53)が認められる。


上記①の認定事実によれば,被告はFN社に対して行った現物出資の対価として●省略●分の株式を取得したということができるから,現物出資の目的物の価値は上記額であると認めるのが相当であるところ,その現物出資の目的物に本件対象実施権が含まれているから,本件対象実施権の価値は上記額のうち一部といえる。

次に,上記認定事実によれば,FN社はライセンス事業のほかにも事業を行っており,他の事業は本件対象実施権との関連性が明らかでなく,また,合弁事業を行う場合はライセンス事業の価値は全体の●省略●と評価されていた。そうすると,本件対象実施権の価値を含むライセンス事業に係る現物出資の価値は,●省略●であると認められる。そうしたところ,
出資の対象には特許発明のみならず●省略●出資の目的となった特許出願に係る発明のそれぞれにつきその軽重が考慮されたとは認められないから,各発明はいずれも同価値を有していると認められる。以上を踏まえると,本件対象実施権の価値は●省略●であると認めるのが相当である。ウ
この点に関し,原告は,現物出資に伴う利益について,FN社の直近の純資産の評価額に被告の有する株式の割合を乗じて算定すべきである旨主張するが,●省略●FN社の現在の純資産と被告の株式との対価関係は希薄になっているといわざるを得ず,本件において,原告主張の方法によることは相当でない。
また,原告は,現物出資の対象には,対象として明示された発明のみならず分割出願に係る発明を含むと主張するが,現物出資の対象とされた表
(乙48)からその趣旨を認めることはできない。
さらに,原告は,現物出資の対象となった知的財産には特許登録に至ったか不明なものがあることや被告製品における実施の有無が不明であることからすれば他の特許出願に係る発明の存在を考慮すべきでないと主張する。しかし,当該出資の際,上記イのとおり出資の対象となった発明に特
段の軽重が付されていないことに照らせば,対象となる各発明の実施に何らかの価値があることを前提に対価を算定したということができるから,仮に上記発明がその後特許登録に至らず,又は被告製品において実施されなかったとしても,本件対象実施権の対価の算定に当たっては上記発明の存在を考慮するのが相当である。



第三者に対する実施許諾に伴う利益
原告は,FN社以外にも本件実施発明の実施を許諾していると主張するが,証拠(証人H〔15,16,41,42〕
)によれば,●省略●これを認め
るに足りる証拠はない。この点に関し,原告は,被告が他者からFeliCaOSのICチップへの搭載につきICチップ1個当たり60円の割合によ
る特許ライセンス料を得ていると供述し,陳述書に記載する(原告本人〔13,14〕
,甲91〔17〕
)が,これを裏付ける証拠はない。
したがって,被告がFN社以外の者に本件実施発明の実施を許諾していると認めることはできないから,これによる利益を認めることはできない。4
争点⑶(本件発明について被告が貢献した程度)について⑴

括弧内の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。ア
原告は,大学生の時に二足歩行用ロボットの制御を課題として研究し,その制御のために必要なコンピュータを開発したほか,コンピュータの開発に関するアルバイトに従事するなどした。原告は,昭和56年に被告に入社し,画像認識技術やリアルタイムOS,パソコン,ワープロの開発を行った。
(甲90〔1~4〕
,乙4〔101〕



被告は,昭和62年頃,日本国内の運送業者から,荷物に貼り付けたICタグに情報を記録し,その情報によって荷物を仕分けるシステムの開発を依頼された。
被告の研究所に在籍していたAは,上記ICタグの開発に着手し,低消費電力でデータを転送する方法の発明や,動作電源を取り出すための整流
用のダイオードをアンテナインピーダンスを変化させる素子としても使用し,データが送れる送信装置を小型化するとともに無電源で動作させることができる発明(以下,これらの発明を「A発明」と総称する。
)を創作
した。A発明は昭和63年1月に特許出願され,平成9年10月9日,平成10年10月23日にそれぞれ特許登録された。なお,上記の配送シス
テムは実現に至らなかった。
(甲90〔5〕
,乙1,2,4〔96~10
2〕
,154〔10,11〕
,52〔1,2〕


原告は,昭和63年頃からAが率いる無線ICタグの研究チームに所属していた。
Aが率いる無線ICタグの研究チームは,鉄道総研がICカード乗車券
の研究開発をしていることを知り,A及び原告が鉄道総研の開発責任者と面会するなどした上,昭和63年11月頃には被告と鉄道総研の間で非接触式ICカードの共同開発契約が締結された。
(甲32〔27~31〕
,9
0〔5,6〕
,乙4〔103~105〕


A,原告らは,上記ウの共同開発契約に基づき,鉄道総研が求める条件(改札を1分間に60人が通過することを可能とし,カードは読み書きが可能でメモリが数百バイト,通信時間は200ミリ秒とする等)を満たすための開発を進めた。また,非接触ICカードを用いたビルの入退出管理システムの開発が行われ,上記システムは事業化された。もっとも,その後,JR東日本が平成3年5月にプリペイド式磁気カードの導入を決定し,上記入退出管理システムにおいて技術的な不具合が生じて,平成4年6月
頃,被告は入退出管理システムの事業から撤退し,上記共同開発契約に基づく開発体制は原告とその部下1人のみの規模まで縮小された。しかし,同年10月頃,被告の当時の社長が非接触ICカードに係る開発を続けるとの判断をして,開発のための予算も確保された。
(甲32〔52~66〕

58,乙4〔105~111〕



上記再開後の開発において,リーダライタ及びカードのそれぞれについて無線,ソフトウェア,ロジック,プロセッサの各開発領域があるため,1領域当たり担当者1人が必要であり,被告における開発体制は約10人のチームとなった。

また,●省略●上記開発チームは,香港の地下鉄における非接触式ICカードを用いた自動入改札システムの開発を進めた。そのシステムの発注者は,無線方式でデータ通信を行い,1枚のカードで6社の料金決済を行い,各社別にデータ領域を用意するほかに各社共通の電子マネー用データ領域を設け,カードに電池を搭載しないという仕様を求めた。この仕様に
対応するため,これまで被告で開発していたICカードでは必要な情報を処理できず,CPU及びOSを新たに開発する必要が生じ,原告ら上記開発チームが独自にそれらの開発を行った。また,上記発注者がカードに電池を搭載することに難色を示したことから,上記開発チームは,ICカードを無電源式とすることなどの仕様変更を決めた。この仕様変更に伴い,
回路,デバイス及びソフトウェアの改良が必要となり,CMOSチップ上に電源回路を含めたアナログ回路を搭載するなど,独自に様々な開発する必要があった。
上記開発チームは,納期までの期間が短かったことから,開発完了前から,被告製造部門の担当者の協力を得て開発を進め,平成7年2月~4月頃にその試作品が完成し,同年6月にこれを香港の地下鉄の運営会社に納入し,上記システムにおけるICカードを被告が受注することが決まった。
もっとも,その後も,ICカードの製造のためには,厚さが0.76mmであってICチップを保護するベース材が使えないカードにICチップを埋め込むための工夫,PET樹脂を使用したカードにおいても接着剤を機能させるための工夫などを要した。これらの工夫などを経て,平成9年1月以降,300万枚のカードの製造が開始された。なお,当該ICカード
の採用に当たっては,オーストリアの会社の別の規格のカードと受注を争った。上記オーストリアの会社はベンチャー的な企業であったところ,発注側の責任者は,その後,発注に当たり,企業規模や財務の安定性が影響を与えたと述べた。
(甲32〔67,75,88~105〕
,59,乙4
〔113~121〕
,9,52〔6,7〕
,90〔7~9〕
,154〔14

~23〕
,原告本人〔10〕


上記オの開発期間中にも上記開発チームは鉄道総研及びJR東日本との共同開発を進め,平成6年2月頃からはJR東日本においてフィールドテストが行われるなどし,JR東日本の担当者からは,被告に対し,カード
内のデータを読み書きする権限を自動改札機やカード発行機ごとに細かく設定することなど,様々な要望をした。JR東日本は,平成12年6月頃,国際競争入札を経て,FeliCaを正式に採用することを決めた。被告は,FeliCaを量産するため,平成10年から平成14年までの間,●省略●JR東日本におけるFeliCaを使用した鉄道の改札システム
は,平成13年11月18日から使用が開始された。FeliCaを使用した鉄道の改札システムは,その後も他の鉄道事業者に採用され,平成25年3月には鉄道事業者間においてFeliCaを使用した改札システムの相互利用サービスが開始された。
(甲60,94,乙4〔121~12
6〕
,154〔30,31〕
,337,証人H〔12,13〕


被告は,平成13年1月,被告の100%子会社であった株式会社ソニーファイナンスインターナショナルのほかNTTドコモその他の会社と合
弁契約等を締結した上,FeliCaを用いた電子マネーの事業主体としてビットワレット株式会社を設立した。ビットワレット株式会社は,電子マネーEdyのカードの発行,加盟店及びカード発行会社の開拓,Edyを利用した決済サービスの提供その他の事業を行うほか,●省略●FeliCaを用いた電子マネーについて,各種の利用促進策を講じた。(乙1

54〔32,34〕


FeliCaの累計発行枚数は,平成13年3月末時点で約1640万枚であり,平成14年3月末時点で約3000万枚となり,平成16年には5000万枚を突破した(乙155〔105〕。



FeliCaの開発は,JR東日本における使用開始後にも継続され,遅くとも平成21年頃までにICカード及びリーダライタの暗号方式がSEACからDESに変更され,その後にAESが加えられるなどした(甲90〔16,17〕
,証人H〔6~8〕。



前記前提事実⑵及び⑸によれば,①本件実施発明が平成8年5月から平成13年3月までの間に発明の報告がされたこと,②被告がFN社を設立し,対象実施権を含む知的財産権のライセンス事業その他のFeliCa関連事業を行わせていることが明らかである。

⑶ア

使用者が特許を受ける権利を承継して特許が登録された場合に,使用者が発明の実施等によって利益を受けたことによって相当の対価を算定する
場合には,
「使用者等が貢献した程度」
(旧法35条4項)として,発明が
されるについての使用者の貢献度のほか,実施品の売上げを得たことに対する使用者の貢献度等の諸事情を総合的に考慮して,相当の対価を算定することが相当というべきである。

上記⑴及び⑵の事実関係に加え,前記前提事実⑶及び前記3おりの本件実施発明の内容及び意義によれば,本件実施発明は,被告入社
前からコンピュータ等について知見を有していた原告が,その知見を活用し努力及び創意工夫をすることにより着想した面がある。
もっとも,被告においては昭和60年代から無線ICタグの開発がされて,A発明がされ,その後もAが率いる無線ICタグの研究チームで研究が続けられていて,原告も同チームに属していた。上記の着想の背景には,
原告が,被告による費用負担の下で,被告入社後にOSやコンピュータの開発を行って知識経験を獲得し,また,被告における無線ICタグの開発チームに所属して,その開発チームによる技術的蓄積に触れていたことがあったともいえる。そして,被告として製品を納入することを検討していた案件において,発注者から細かな仕様が要求されたところ,本件実施発
明は,それらの要求に応じる製品の開発の過程において着想され,具体化されたという面もある。
その後,被告製品が鉄道事業者等に多数納入されることとなるが,製品化に当たっては,新たに各種の開発が必要であったのであり,被告においては,相当数の被告の従業員がその開発を行った。また,継続的なシステ
ムにも関わり得るという被告製品の性質上,被告製品の導入に当たっては一般的に発注者がその供給等についての継続性や大量の製品の供給可能性等を重視する場合も多いといえるが,その際には企業としての被告の実績,規模等が影響したことが推認できる。その他,被告とJR東日本等との契約に基づく共同開発その他の過程を経て,被告製品が開発されて被告製品
が多数納入される環境が構築され,また,FN社やビットワレット株式会社の設立及びその後の事業の運用により電子マネーその他の鉄道の改札以外の用途が確立し,カードの利便性が高められて被告製品の販売数が向上したということができる。被告においては,相当額の投資を行い,こうした需要や顧客の要望に応え得る被告製品の生産体制の確立も行われた。加えて,FeliCaのシステムは,暗号方式の変更等の改良が継続的に加えられるなど,被告が継続的に技術的な改良等を行い,被告製品の売上げ
が維持されている面もある。これらのことは,発明者以外の被告の従業員等の関与があって初めて実現し得ることである。

被告の貢献度に関し,原告は,開発チームの一員として又はFeliCa事業部長として上記発注者や担当者らとの交渉や被告製品の活用方法の
提案等を行っていたこと,被告が原告の提案を受け入れなかったために本来得られる利益を得られなかったことなどを主張する。
しかし,職務発明の発明者の行動のうち,営業面,販売面における行動は,発明者しか行うことができない行動であれば格別,基本的には発明者もその一員である従業員としての貢献として考慮されるものといえる。そ
の他,原告は,A発明が被告製品において実施されていない上に特許の無効理由を有するなどとも主張するが,少なくとも上記に述べた理由により,本件実施発明がされるまでの間における被告の研究等の活動は,使用者の貢献として考慮されるといえる。
なお,証拠(乙184)によれば,原告は,平成11年に41歳で統括
部長に,平成13年に事業部長に,平成14年にFeliCa開発・技術部門の部門長に就任し,平成15年4月から平成17年7月の退職時まで情報技術研究所の統括部長の地位にあり,また,上記各就任時の原告の年齢は上記各地位の平均年齢よりも若く,特に部門長に就任した際は5歳以上若かったと認められ,従業員等としての貢献に対しても相応の待遇を受
け,給与及び退職金についても高い処遇を受けていたといえる。
●省略●


以上の事情その他本件に現れた全事情を総合考慮すると,本件実施発明の実施に係る相当の対価の算定に当たっての被告の貢献度は大きなものであり,その割合は95%と認めるのが相当である。

5
争点⑷(本件発明に対する発明者間における原告の貢献の程度)について⑴

証拠(甲1~11,乙27~36)及び弁論の全趣旨によれば,本件実施発明の発明者は,本件発明1~4及び11につき原告及びBの2人,本件発明5,6及び9につき原告,上記B及びDの3人,本件発明7につき原告,E及び上記Bの3人,本件発明8につきC,F,原告及びAの4人,本件発明10につき上記B,原告,上記D及びGの4人であると認められる。こうした共同発明者各自の発明に対する貢献の程度は,特段の事情がない
限り均等であると認めるのが相当であるところ,本件の証拠上,上記各発明者のうち本件実施発明の着想から特許取得までの過程において有意に主体的に関与した者がいることを裏付ける客観的な証拠はない。原告は,発明者以外にも開発に携わった者の氏名を発明報告書や特許出願の願書における発明者として記載する慣習が被告にあり,発明完了後のコーディングをした者や
開発の長にある者が記載されていると供述する(原告本人〔3,4〕)が,
これを直ちに裏付ける証拠はないし,本件発明に係る発明報告書(乙27~36)において必ずしも開発の長にある者が記載されていないことに照らせば,上記供述を採用することはできない。
そうすると,本件において,共同発明者各自の発明に対する貢献の程度は
均等であると認めるのが相当である。


以上によれば,共同発明者間における原告の貢献の程度は,各本件実施発明につき共同発明者各自の貢献の程度を均等として算定されたものであり,次のとおりであると認められる。

本件発明1~4及び11

各50%

本件発明5~7及び9

各33%
本件発明8及び10
6
各25%

原告に支払うべき相当の対価
以上に基づき,被告が原告に支払うべき相当の対価についてみると,まず,被告が被告製品1~5を製造販売したことに関し,別紙対価算定表記載第2表
の「発明」欄に記載された数字の各本件実施発明についての相当の対価は,「関係売上」欄記載の上下段の数の和に対し,
「超過売上割合」及び「仮想実
施料率」の各欄記載の割合,発明者の貢献度(
「被告の貢献度」欄記載の割合
を控除した割合である5%)「発明者間の原告の貢献率」欄記載の割合を順次,
乗じて算出された「相当の対価」欄記載の額(1円未満切り捨て)である。こ
れに対し,前記前提事実⑺の表のとおりの弁済がされた(本件発明1及び11,7及び12については,弁済の時期が不明であることに照らし,上記の表の金額の各2分の1の額がそれぞれ充当されたものと認める。
)ことから,被告が
原告に支払うべき対価の額は上記額から「弁済」欄記載の額を差し引いた「弁済後」欄記載の額(本件発明4及び11についての相当の対価に対して本来の
相当の対価より多く弁済されていることとなるため,上記算定表においては,相当の対価を消滅させた弁済額を示し,実際の支払額(上記方法による充当後のものを含む。
)を[]内に示している。
)となり,その合計額は上記算定表記
載第1表「自己実施分」欄記載の額となる。
次に,被告がFN社に本件対象実施権を現物出資したことに関する相当の対
価は,上記算定表記載第3表「現物出資額(関係分)
」欄記載の額(本件対象
実施権の価値●省略●前記3⑶イ)に対し,発明者の貢献度(上記の5%)及び「発明者間の原告の貢献率」欄記載の割合(各本件対象実施権についての原告の貢献の程度(前記5)の平均。百分率標記において小数点第3位切り捨て)を順次乗じて算出された「相当の対価」欄記載の額(1円未満切り捨て)であ
る。
したがって,被告が原告に支払うべき相当の対価の額は,上記第1表の「相当の対価合計」欄記載の3181万8836円となる。
7
結論
よって,原告の請求は上記6記載の相当の対価及びこれに対する請求の日(訴状送達の日)の翌日である平成27年1月29日から支払済みまで民法所
定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,その限度でこれを認容し,その余は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第46部

裁判長裁判官

柴田義明
裁判官

大下良仁
裁判官萩原孝基は,転補につき署名押印することができない。

裁判長裁判官

柴田義明
(別紙)
特1許目録
本件発明1
発明報告提出日

平成8年5月28日

特許番号

第3709946号

出願日

平成8年6月28日(特願平8-168965)

登録日

平成17年8月19日

発明の名称



通信方法,および,情報処理装置



特許請求の範囲
【請求項1】
第1の情報処理装置が第2の情報処理装置と通信する通信方法であって,前記第1の情報処理装置および前記第2の情報処理装置は,それぞれ,乱数を生成する乱数生成手段と,

第1の鍵および第2の鍵を記憶する記憶手段と,
所定のデータを前記第1の鍵または前記第2の鍵を利用して暗号化する暗号化手段と,
暗号化されたデータを前記第2の鍵または前記第1の鍵により復号する復号手段と,

前記暗号化手段により暗号化されたデータを送信する送信手段と,前記所定のデータと,送信されてくる暗号を復号して生成されたデータに応じて,前記暗号を送信してきた情報処理装置を認証する認証手段とを備え,
前記第1の情報処理装置の前記暗号化手段が,前記乱数生成手段により生成
された第1の乱数を前記第1の鍵を用いて第1の暗号に暗号化し,前記第1の情報処理装置の前記送信手段が,前記第1の暗号を前記第2の情報処理装置に送信し,
前記第2の情報処理装置において,前記第1の情報処理装置から送信されてきた前記第1の暗号が,前記第2の情報処理装置の前記復号手段により前記第1の鍵を用いて復号された後,前記第2の情報処理装置の前記暗号化手段により前記第2の鍵を用いて第2の暗号に暗号化されるとともに,前記第2の情報処理装置の前記乱数生成手段により生成された第2の乱数は,前記第2の情報処理装置の前記暗号化手段により前記第2の鍵を用いて第3の暗号に暗号化され,暗号化された前記第2の暗号および前記第3の暗号が前記第1の情報処理装置に送信され,

前記第1の情報処理装置の復号手段が,前記第2の情報処理装置から送信されてくる第2の暗号および第3の暗号を,前記第2の鍵を用いてそれぞれ第4のデータおよび第5のデータに復号し,
前記第1の情報処理装置の前記認証手段が,前記第4のデータと前記第1の乱数を比較し,比較結果が一致した場合,前記第2の情報処理装置を認証し,
前記第1の情報処理装置の暗号化手段が,前記第5のデータを第4の暗号に暗号化し,
前記第1の情報処理装置の前記送信手段が,前記第4の暗号を前記第2の情報処理装置に送信し,
前記第2の情報処理装置において,前記第2の情報処理装置の前記復号手段
により前記第1の情報処理装置から送信されてきた前記第4の暗号が第6のデータに復号され,前記第2の情報処理装置の前記認証手段によって前記第6のデータと前記第2の乱数が比較され,比較結果が一致し,前記第1の情報処理装置が認証されることで,前記第1および第2の情報処理装置が相互に認証された場合,前記第1の乱数は,前記第2の情報処理装置との相互認証後の通信
で用いられる認識番号として保持されるとともに,前記第2の乱数と同一であると判断された前記第5のデータは,新たな鍵として,前記第2の情報処理装置に送信するコマンドの暗号化に用いるとともに,前記第2の情報処理装置から送信されてくる前記第2の乱数で暗号化されたデータの復号に用いることを特徴とする通信方法。
2
本件発明2-1
発明報告提出日

平成8年2月12日

特許番号

第3702923号

出願日

平成9年2月28日(特願平9-62542)

登録日

平成17年7月29日

発明の名称



情報処理方法および情報処理装置



特許請求の範囲
【請求項1】
所定のブロック単位で情報を記憶する記憶手段を用いた情報処理方法であって,
前記記憶手段は,

複数のブロックから構成され,ブロック単位でデータを記憶するデータ領域と,
前記複数のブロックの各ブロックに割当てられたブロック番号であって,更新前のデータが記憶されているブロックのブロック番号を示す第1のブロック番号群,更新後のデータを記憶するブロックのブロック番号を示す第2のブロ
ック番号群,および記憶内容の新しさに関する情報である最新情報を,それぞれ記憶する第1の領域並びに第2の領域と
を有し,
前記最新情報に基づいて選択された前記第1および第2の領域のうちの一方の領域の,前記第2のブロック番号群が示すブロック番号のブロックに,前記
更新後のデータを記憶させ,
前記第1および第2の領域のうちの他方の領域の前記第1ブロック番号群に,前記更新後のデータを記憶させたブロックのブロック番号を記憶させ,その他方の領域の前記第2のブロック番号群に,前記更新前のデータが記憶されているブロックのブロック番号を記憶させる
ことを特徴とする情報処理方法。
3
本件発明2-2


発明報告提出日

平成8年2月12日



特許番号

第3702923号

出願日

平成9年2月28日(特願平9-62542)

登録日

平成17年7月29日

発明の名称

情報処理方法および情報処理装置



特許請求の範囲
【請求項7】
所定のブロック単位で情報を記憶する記憶手段を用いた情報処理方法であって,

前記記憶手段は,
複数のブロックから構成され,ブロック単位でデータを記憶するデータ領域と,
複数のブロックから構成され,ブロック単位で,前記データ領域の各ブロックであるデータブロックに割当てられたデータブロック番号を記憶するポイン
タ領域と,
前記ポインタ領域の各ブロックであるポインタブロックに割当てられたポインタブロック番号を記憶する前記第1および第2の領域と
を有し,
前記第1および第2の領域は,更新前のデータが記憶されている前記データ
ブロックのデータブロック番号を記憶する,前記ポインタブロックのポインタブロック番号を示す第1のブロック番号群,更新後のデータを記憶する前記データブロックのデータブロック番号を記憶する,前記ポインタブロックのポインタブロック番号を示す第2のブロック番号群,および記憶内容の新しさに関する情報である最新情報を,それぞれ記憶し,
前記最新情報に基づいて選択された前記第1および第2の領域のうちの一方の領域の,前記第2のブロック番号群が示すポインタブロック番号の前記ポイ
ンタブロックに記憶されているデータブロック番号の前記データブロックに,前記更新後のデータを記憶させ,
前記更新後のデータを記憶させたデータブロックのデータブロック番号を,前記ポインタブロックに記憶させ,
そのポインタブロックのポインタブロック番号を,前記第1および第2の領
域のうちの他方の領域に記憶させる
ことを特徴とする情報処理方法。
4
本件発明3-1


平成9年6月6日



特許番号

第3721725号

出願日

平成9年7月9日(特願平9-183534)

登録日

平成17年9月22日

発明の名称

発明報告提出日

情報処理方法および情報処理装置


特許請求の範囲
【請求項1】
所定のブロック単位で情報を記憶する記憶手段を用いた情報処理方法において,
前記記憶手段は,
複数のブロックから構成され,ブロック単位でデータを記憶するデータ領
域と,
前記複数のブロックの各ブロックに割当てられたブロック番号であって,更新前のデータが記憶されているブロックに対応するブロック番号を示す第1のブロック番号群と,
更新後のデータが記憶されるブロックに対応するブロック番号を示す第2のブロック番号群と,
記憶内容の新しさに関する最新情報と

をそれぞれ記憶する第1の領域および第2の領域を有し,
前記最新情報に基づいて選択された前記第1および第2の領域の一方に記憶されている前記第2のブロック番号群に対応するデータ領域のブロックの少なくとも一部に更新後のデータを書込む書込みステップと,
前記第1および第2の領域の他方の第1のブロック番号群に,前記書込みス
テップの処理によって書き込まれた前記更新後のデータを記憶させたブロックのブロック番号を記憶させ,前記他方の第2のブロック番号群に,前記更新前のデータが記憶されているブロックのブロック番号を記憶させる記憶制御ステップと,
前記記憶制御ステップの処理後において,前記第1および第2の領域の前記
一方に記憶されている前記第1および第2のブロック番号群のブロック番号,並びに前記最新情報を消去する第1の消去ステップと
を含むことを特徴とする情報処理方法。
5
本件発明3-2
発明報告提出日

平成9年6月6日

特許番号

第3721725号

出願日

平成9年7月9日(特願平9-183534)

登録日

平成17年9月22日

発明の名称



情報処理方法および情報処理装置



特許請求の範囲
【請求項8】
所定のブロック単位で情報を記憶する記憶手段を用いた情報処理方法において,
前記記憶手段は,
複数のブロックから構成され,ブロック単位でデータを記憶するデータ領域と,
前記データ領域の各ブロックに割当てられた複数のブロック番号を記憶するポインタ領域と,
更新前のデータが記憶されているブロックを指示する前記ポインタ領域のブロック番号を示す第1のブロック番号と,更新後のデータが記憶されるブロ
ックを指示する前記ポインタ領域のブロック番号を示す第2のブロック番号と,記憶内容の新しさに関する最新情報とをそれぞれ記憶する第1および第2の領域と
を有し,
前記最新情報に基づいて選択された前記第1および第2の領域の一方に記憶
されている前記第2のブロック番号に対応する前記ポインタ領域が記憶するブロック番号に対応する前記データ領域のブロックの少なくとも一部に更新後のデータを書込む書込みステップと,
前記書込みステップの処理で前記更新後のデータが書き込まれたデータ領域のブロックのブロック番号を,前記ポインタ領域の前記第1のブロック番号に
対応するブロックに記憶させる第1の記憶制御ステップと,
前記第1の記憶制御ステップの処理でデータ領域のブロック番号を記憶させたポインタ領域の第1のブロック番号を,前記第1および第2の領域の他方に記憶させる第2の記憶制御ステップと,
前記第2の記憶制御ステップの処理後において,前記第1および第2の領域
の前記一方に記憶されている前記第1および第2のブロック番号,並びに前記最新情報を消去する第1の消去ステップと
を含むことを特徴とする情報処理方法。
6
本件発明4-1


発明報告提出日

平成9年5月30日



特許番号

第3890602号

出願日

平成16年6月25日(特願2004-188866。

特願平9-171430の分割)
原出願日
登録日



平成18年12月15日

発明の名称
平成9年6月27日

情報処理装置および情報処理方法,並びに記録媒体

特許請求の範囲
【請求項1】
所定のシステムを提供するプロバイダの装置からのコマンドを受信する受信手段と,
前記コマンドを処理する処理手段と,

前記処理の結果を送信する送信手段と,
1以上のユーザブロックが所定の大きさのブロック単位で管理され,複数のプロバイダの装置が利用するデータを記憶するユーザブロック領域と,前記ユーザブロックの利用を定義する複数の領域定義ブロックおよびシステムIDブロックを有するシステムブロック領域とが形成される記憶手段と
を備え,
前記ユーザブロック領域には,前記記憶手段のブロックのうちの,前記システムブロック領域として使用されていないブロックが割り当てられ,前記領域定義ブロックは,前記ユーザブロック領域の所定のユーザブロックに対して複数の前記領域定義ブロックが割り当てられるように定義されるとと
もに,その複数の前記領域定義ブロックは,前記割り当てられたユーザブロックに対してリード/ライトとリードオンリーの異なるアクセス権を設定することを特徴とする情報処理装置。
7
本件発明4-2


発明報告提出日

平成9年5月30日



特許番号

第3890602号

出願日

平成16年6月25日(特願2004-188866。

特願平9-171430の分割)
原出願日
登録日



平成18年12月15日

発明の名称
平成9年6月27日

情報処理装置および情報処理方法,並びに記録媒体

特許請求の範囲
【請求項4】
1以上のユーザブロックが所定の大きさのブロック単位で管理され,それぞれ所定のシステムを提供する複数のプロバイダの装置が利用するデータを記憶するユーザブロック領域と,前記ユーザブロックの利用を定義する複数の領域
定義ブロックおよびシステムIDブロックを有するシステムブロック領域とが形成され,前記ユーザブロック領域には,前記システムブロック領域として使用されていないブロックが割り当てられる記憶手段を備える前記情報処理装置の情報処理方法において,
前記プロバイダの装置からのコマンドを受信する受信ステップと,
前記ユーザブロック領域の所定のユーザブロックに対して複数の前記領域定義ブロックが割り当てられるように定義されるとともに,その複数の前記領域定義ブロックが,前記割り当てられたユーザブロックに対してリード/ライトとリードオンリーの異なるアクセス権を設定する前記領域定義ブロックのうちの所定の前記領域定義ブロック領域を基に,前記コマンドを処理する処理ステ
ップと,
前記処理の結果を送信する送信ステップと
を含むことを特徴とする情報処理方法。
8
本件発明5-1


発明報告提出日

平成10年7月2日



特許番号

第4029234号

出願日

平成10年7月16日(特願平10-201497)

登録日

平成19年10月26日

発明の名称

情報処理装置および情報処理方法



特許請求の範囲
【請求項1】

所定のサービスの提供を受けるのに必要なデータを記憶する記憶領域であって,アクセスするのに所定のキーが必要な記憶領域が1個以上形成されているデータ記憶手段と,
前記記憶領域にアクセスするのに必要なキーを含む管理情報を記憶する管理情報記憶手段と,

前記データ記憶手段に形成されているある第1の前記記憶領域の第1の前記管理情報に含まれるキーで暗号化されている,これから形成される前記第1の記憶領域に割り当て可能な第2の記憶領域の第2の管理情報と前記第1の記憶領域の識別情報を受信する受信手段と,
前記受信手段により受信された暗号化されている前記第2の管理情報を,前
記受信手段により受信された前記識別情報により識別される前記第1の管理情報に含まれるキーで復号して前記管理情報記憶手段に記憶させるとともに,前記第2の記憶領域を,前記データ記憶手段に形成する記憶領域制御手段とを備えるデータ記憶装置に対して,前記管理情報を提供するための処理を行う情報処理装置であって,

前記第2の管理情報を作成する管理情報作成手段と,
前記管理情報作成手段により作成された前記第2の管理情報を,前記データ記憶装置の前記データ記憶手段にすでに形成されている前記第1の記憶領域の前記第1の管理情報に含まれるキーで暗号化する暗号化手段と,
前記暗号化手段により暗号化された前記第2の管理情報を,前記第1の記憶領域の識別情報とともに,所定の伝送媒体を介して,前記データ記憶装置に送信する送信手段と

を備えることを特徴とする情報処理装置。
9
本件発明5-2


発明報告提出日

平成10年7月2日



特許番号

第4029234号

出願日

平成10年7月16日(特願平10-201497)

登録日

平成19年10月26日

発明の名称

情報処理装置および情報処理方法



特許請求の範囲
【請求項4】

所定のサービスの提供を受けるのに必要なデータを記憶する記憶領域であって,アクセスするのに所定のキーが必要な記憶領域が1個以上形成されているデータ記憶手段と,
前記記憶領域にアクセスするのに必要なキーを含む管理情報を記憶する管理情報記憶手段と,

前記データ記憶手段に形成されているある第1の前記記憶領域の第1の前記管理情報に含まれるキーで暗号化されている,これから形成される前記第1の記憶領域に割り当て可能な第2の記憶領域の第2の管理情報と前記第1の記憶領域の識別情報を受信する受信手段と,
前記受信手段により受信された暗号化されている前記第2の管理情報を,前
記受信手段により受信された前記識別情報により識別される前記第1の管理情報に含まれるキーで復号して前記管理情報記憶手段に記憶させるとともに,前記第2の記憶領域を,前記データ記憶手段に形成する記憶領域制御手段とを備えることを特徴とする情報処理装置。
10


発明報告提出日

平成10年7月2日



特許番号

第4029234号

出願日

平成10年7月16日(特願平10-201497)

登録日

平成19年10月26日

発明の名称

本件発明5-3

情報処理装置および情報処理方法


特許請求の範囲
【請求項3】
所定のサービスの提供を受けるのに必要なデータを記憶する記憶領域であって,アクセスするのに所定のキーが必要な記憶領域が1個以上形成されているデータ記憶手段と,
前記記憶領域にアクセスするのに必要なキーを含む管理情報を記憶する管理
情報記憶手段と,
前記データ記憶手段に形成されているある第1の前記記憶領域の第1の前記管理情報に含まれるキーで暗号化されている,これから形成される前記第1の記憶領域に割り当て可能な第2の記憶領域の第2の管理情報と前記第1の記憶領域の識別情報を受信する受信手段と,

前記受信手段により受信された暗号化されている前記第2の管理情報を,前記受信手段により受信された前記識別情報により識別される前記第1の管理情報に含まれるキーで復号して前記管理情報記憶手段に記憶させるとともに,前記第2の記憶領域を,前記データ記憶手段に形成する記憶領域制御手段とを備えるデータ記憶装置に対して,前記管理情報を提供するための処理を行
う情報処理方法であって,
前記第2の管理情報を作成する管理情報作成ステップと,
前記管理情報作成ステップの処理で作成された前記第2の管理情報を,前記データ記憶装置の前記データ記憶手段にすでに形成されている前記第1の記憶領域の前記第1の管理情報に含まれるキーで暗号化する暗号化ステップと,前記暗号化ステップの処理で暗号化された前記第2の管理情報を,前記第1の記憶領域の識別情報とともに,所定の伝送媒体を介して,前記データ記憶装
置に送信する送信ステップと
を含むことを特徴とする情報処理方法。
11


発明報告提出日

平成10年7月2日



特許番号

第4051510号

出願日

平成10年7月16日(特願平10-201498)

登録日

平成19年12月14日

発明の名称

本件発明6-1

データ記憶装置およびデータ記憶方法



特許請求の範囲
【請求項1】

所定のサービスを提供するためのデータを記憶するデータ記憶装置であって,管理対象の記憶領域に割り当て可能な,前記記憶領域を識別するための数値よりなる記憶領域識別コードの範囲であるコード範囲,および管理対象の前記記憶領域の空き容量を記憶するエリア定義領域を有する記憶手段と,前記エリア定義領域の記憶内容に基づいて,前記記憶手段を管理する管理手
段と
を備えることを特徴とするデータ記憶装置。
12

本件発明6-2
発明報告提出日

平成10年7月2日



特許番号

第4051510号

出願日

平成10年7月16日(特願平10-201498)
登録日
発明の名称


平成19年12月14日
データ記憶装置およびデータ記憶方法

特許請求の範囲
【請求項21】
所定のサービスを提供するためのデータを記憶するデータ記憶装置のデータ
記憶方法であって,
前記データ記憶装置は,管理対象の記憶領域に割り当て可能な,前記記憶領域を識別するための数値よりなる記憶領域識別コードの範囲であるコード範囲,および管理対象の前記記憶領域の空き容量を記憶するエリア定義領域を有する記憶手段を備え,

前記エリア定義領域の記憶内容に基づいて,前記記憶手段を管理する管理ステップを備える
ことを特徴とするデータ記憶方法。
13

本件発明7
発明報告提出日

平成9年4月18日

特許番号

第4268690号

出願日

平成9年4月28日(特願平9-110889)

登録日

平成21年2月27日

発明の名称



認証システムおよび方法,並びに認証方法



特許請求の範囲
【請求項1】
第1の装置と第2の装置との間で認証処理を行う認証システムにおいて,前記第1の装置は,
第1の複数の鍵を記憶する第1の記憶手段と,

前記第1の記憶手段に記憶されている前記第1の複数の鍵のうち少なくとも2つの鍵を縮退して第1の認証鍵を生成する第1の生成手段と,
前記第1の認証鍵を用いて前記第2の装置からの第1のデータを暗号化して,第2のデータを生成する暗号化手段と,
前記第2の装置との間で通信を行う第1の通信手段と
を備え,
前記第2の装置は,
複数のエリアと,前記複数のエリアのそれぞれに対しアクセス可能であるようにそれぞれ対応する第2の複数の鍵を記憶する第2の記憶手段と,前記第2の記憶手段に記憶されている前記第2の複数の鍵のうち少なくとも2つの鍵を縮退して第2の認証鍵を生成する第2の生成手段と,

前記第2の認証鍵を用いて,前記第1の装置からの前記第2のデータを復号化する復号化手段と,
前記第1の装置との間で通信を行う第2の通信手段と
を備え,
前記第1の通信手段は,前記第2のデータ,および前記第2の複数の鍵から
前記第1の認証鍵に対応する前記第2の認証鍵を生成するのに必要な情報を送信し,
前記第2の通信手段は,前記第1のデータを送信し,前記第2のデータ,および前記情報を受信し,
前記第2の生成手段は,前記第2の通信手段により受信された前記情報に基
づいて,前記第2の記憶手段の2以上のエリアに対するアクセスのための認証に必要な前記第2の認証鍵を生成し,
前記第2の装置における認証処理は,前記復号化手段により第2のデータが復号化された結果のデータと,前記第1のデータが一致するか否かを判断することで,前記第2の認証鍵に基づく1回の認証で,前記2以上のエリアに対す
るアクセスを認証する
ことを特徴とする認証システム。
14

本件発明8



発明報告提出日

平成8年6月3日



特許番号

第4560744号

出願日

平成20年3月18日(特願2008-70057。特
願2004-230991の分割)

原出願日

平成8年6月20日

登録日

平成22年8月6日

発明の名称

通信システム,通信方法,データ処理装置,およびデー
タ処理方法



特許請求の範囲
【請求項1】
非接触でデータ通信を行う送受信装置とデータ処理装置から構成される通信システムにおいて,
前記送受信装置は,

所定の周波数の矩形波を搬送波として,前記データ処理装置に送信するデータを用いたBPSK変調により変調波を生成する符号化手段と,単一の周波数のキャリアを,変調度の最大値の範囲が10乃至14.1%としてそれ以下の変調度でASK変調する変調手段と,
データ送信時は,前記変調手段によって変調された電磁波を送信し,前記
データ送信時以外の時は,ハイレベルの振幅を維持したキャリアからなる電磁波を送信する送信手段と,
前記送信手段によって送信され,前記データ処理装置によって変動されたハイレベルの振幅を維持したキャリアからなる前記電磁波の電圧変動の変化を検出する検出手段と,

前記検出手段の検出結果から,前記データ処理装置から送信された返信データを復調する復調手段とを含み,
前記データ処理装置は,
前記送信手段によって送信された前記電磁波をアンテナを用いて受信する受信手段と,
前記受信手段によって受信された前記電磁波を整流して電源を生成する整流手段と,

前記受信手段によって受信された前記電磁波から前記変調波を復調する復調手段と,
前記復調手段によって復調された,BPSK変調されている前記変調波を復号して前記送信するデータを得る復号手段と,
前記復号手段によって復号された前記送信するデータを処理し,前記送受
信装置に対して送信するための前記返信データを生成する生成手段と,前記返信データに対応し,前記アンテナにより受信されたハイレベルの振幅を維持したキャリアからなる前記電磁波を変動させて前記アンテナの端子間の負荷変動を生じさせることにより,前記返信データを送信する変動手段とを含む

通信システム。
15

本件発明9



発明報告提出日

平成11年10月1日



特許番号

第4501197号

出願日

平成12年1月7日(特願2000-5910)

登録日

平成22年4月30日

発明の名称

情報携帯処理システム,情報携帯装置のアクセス装置及

び情報携帯装置

特許請求の範囲
【請求項1】
ユーザーにより携帯される情報携帯装置を複数の事業者により共用する情報携帯処理システムであって,
前記各事業者に固有のファイル鍵情報と所定の管理部門に固有の発行者鍵情報とを用いた暗号化処理を介して前記管理部門で生成されたアクセス鍵情報を用いて,前記各事業者のアクセス装置と前記情報携帯装置とで認証の処理を実行し,

前記情報携帯装置の前記事業者に割り当てられたメモリ空間を前記アクセス装置によりアクセス可能とする
ことを特徴とする情報携帯処理システム。
16

本件発明10-1
発明報告提出日

平成12年3月31日

特許番号

第4645000号

出願日

平成13年4月6日(特願2001-575298)

登録日

平成22年12月17日

発明の名称



携帯装置の記憶領域分割方法



特許請求の範囲
【請求項1】
分割用鍵データおよび第1の領域管理鍵データを記憶する集積回路であって,前記第1の領域管理鍵データを用いることを条件に当該集積回路内の記憶領域へのデータの書き込みおよび記憶領域内のデータの書き換えの少なくとも一方
を行うことが許可される集積回路を搭載した携帯装置が,前記記憶領域を用いてサービスを提供する第1のサービス提供元によって発行された場合に,第2のサービス提供元に前記集積回路の前記記憶領域の一部を用いたサービスを提供させる処理を行うデータ処理方法であって,
前記分割用鍵データを管理する記憶領域運用元が,第2の領域管理鍵データを
含む第1のモジュールデータを前記分割用鍵データで暗号化して前記第1のサービス提供元に提供し,
前記携帯装置の発行元である前記第1のサービス提供元が,前記暗号化された第1のモジュールを含む第2のモジュールデータを前記第1の領域管理鍵データを用いて暗号化して前記記憶領域運用元に提供し,
前記記憶領域運用元の管理下で,前記暗号化された第2のモジュールデータを前記集積回路に提供し,前記集積回路内で前記第1の領域管理鍵データを用い
て前記第2のモジュールデータを復号し,当該復号された第2のモジュール内の前記第1のモジュールデータを前記分割鍵データを用いて復号し,当該復号によって得られた前記第2の領域管理鍵データを用いて,前記記憶領域を前記第1のサービス提供元のサービスに用いられる第1の記憶領域と前記第2のサービス提供元のサービスに用いられる第2の記憶領域とに分割するデータ処理
方法。
17

本件発明10-2



発明報告提出日

平成12年3月31日



特許番号

第4645000号

出願日

平成13年4月6日(特願2001-575298)

登録日

平成22年12月17日

発明の名称

携帯装置の記憶領域分割方法



特許請求の範囲
【請求項4】
前記記憶領域運用元の管理下で,前記記憶領域の分割を行うための記憶領域分
割装置を前記第2のサービス提供元に提供し,
前記記憶領域分割装置が,前記暗号化された第2のモジュールデータを前記集積回路に提供する
請求項1に記載のデータ処理方法。
18


本件発明10-3
発明報告提出日

平成12年3月31日


平成13年4月6日(特願2001-575298)

登録日

平成22年12月17日

発明の名称


第4645000号

出願日

特許番号

携帯装置の記憶領域分割方法

特許請求の範囲
【請求項16】
第1のサービス提供元がサービスを提供するために用いられる集積回路を搭載した携帯装置であって,
前記集積回路は,
第2のサービス提供元に当該集積回路の記憶領域の一部を用いたサービスを提
供させる処理を行う記憶領域運用元によって管理される分割用鍵データと,第1の領域管理鍵データとを記憶する記憶手段と,
前記記憶領域運用元が発行した第2の領域管理鍵データを含むモジュールであって,前記記憶領域運用元が前記分割用鍵データを用いて暗号化し,さらに前記第1のサービス提供元が前記第1の領域管理鍵データを用いて暗号化したモ
ジュールを入力する入力手段と,
前記分割用鍵データおよび前記第1の領域管理鍵データを用いて,前記入力されたモジュールを復号し,当該復号された前記モジュール内の前記第2の領域管理鍵データを用いて,前記記憶手段の記憶領域を第1の記憶領域と第2の記憶領域とに分割し,前記第1の領域管理鍵データを用いることを条件に前記第
1の記憶領域へのデータ書き込みおよび記憶領域内のデータの書き換えの少なくとも一方を許可し,前記第2の領域管理鍵データを用いることを条件に前記第2の記憶領域へのデータ書き込みおよび記憶領域内のデータの書き換えの少なくとも一方を許可する処理手段と
を有する携帯装置。

19

本件発明11


発明報告提出日

平成8年5月28日



特許番号

第3897177号

出願日

平成16年8月27日(特願2004-248312。
特願平8-168965の分割)

原出願日

平成19年1月5日

発明の名称


平成8年6月28日

登録日

認証方法,および情報処理装置

特許請求の範囲
【請求項1】

第1の情報処理装置が第2の情報処理装置との間で相互に認証を行う認証方法であって,
前記第1の情報処理装置および前記第2の情報処理装置は,それぞれ,乱数を生成する乱数生成手段と,
第1の鍵および第2の鍵を記憶する記憶手段と,

所定のデータを前記第1の鍵または前記第2の鍵を利用して暗号化する暗号化手段と,
暗号化されたデータを前記第2の鍵または前記第1の鍵により復号する復号手段と
を備え,

前記第1の情報処理装置の前記暗号化手段により前記第1の鍵を用いて前記乱数生成手段により生成された第1の乱数が第1の暗号に暗号化され,暗号化された前記第1の暗号を,前記第2の情報処理装置に送信し,
前記第1の情報処理装置から送信された前記第1の暗号は,前記第2の情報処理装置の前記復号手段により前記第1の鍵を用いて復号された後,前記第2
の情報処理装置の前記暗号化手段により前記第2の鍵を用いて第2の暗号に暗号化されるとともに,前記第2の情報処理装置の前記乱数生成手段により生成された第2の乱数は,前記第2の情報処理装置の前記暗号化手段により前記第2の鍵を用いて第3の暗号に暗号化され,
前記第2の情報処理装置から前記第2の暗号および前記第3の暗号を受信し,受信された前記第2の暗号および前記第3の暗号が前記第1の情報処理装置の前記復号手段により前記第2の鍵を用いてそれぞれ第4のデータおよび第5
のデータに復号され,復号された前記第4のデータと前記第1の乱数を比較し,比較結果が一致した場合,前記第2の情報処理装置を認証し,
前記第1の情報処理装置の暗号化手段により前記第5のデータが前記第1の鍵を用いて暗号化された第4の暗号を前記第2の情報処理装置に送信し,送信された前記第4の暗号は,前記第2の情報処理装置の前記復号手段によ
り第6のデータに復号され,復号された前記第6のデータと前記第2の乱数が比較され,比較結果が一致した場合,前記第2の情報処理装置により前記第1の情報処理装置が認証される
ことを特徴とする認証方法。
20

本件発明12



発明報告提出日

平成9年4月18日



特許番号

第5012818号

出願日

平成21年1月14日(特願2009-5543。特願
平9-110889の分割)

原出願日

平成24年6月15日

発明の名称


平成9年4月28日

登録日

認証装置,および認証方法

特許請求の範囲
【請求項1】

他の装置との間で認証処理を行う認証装置において,
自己に割り当てられた鍵を記憶するとともに,前記他の装置が保持する少なくとも2以上の鍵を用いて生成された個別データを記憶する記憶手段と,前記記憶手段に記憶されている前記鍵と,前記個別データとから,認証鍵を生成する生成手段と,
第1の乱数を生成する乱数生成手段と,
前記他の装置が対応する前記認証鍵を生成するのに必要な情報と前記第1の乱数を通知する通知手段と,
前記他の装置が,前記第1の乱数を,前記情報に基づいて生成した認証鍵で暗号化した第2の乱数を受信したとき,前記第2の乱数を前記生成手段により生成された前記認証鍵を用いて復号し,復号された前記第2の乱数が,前記第
1の乱数と一致するか否かをチェックすることで認証する認証手段と,前記認証手段により前記復号された前記第2の乱数と前記第1の乱数が一致した場合,前記生成手段により生成された前記認証鍵を用いて前記他の装置からの情報を暗号化する暗号化手段と,
前記他の装置との間で通信を行う通信手段と

を備える認証装置。
(別紙)
被1告製品目録
被告製品1
後記の型番により特定される製品その他被告が販売した「FeliCaStandard用ICチップ」「FeliCaStandard用ICカード」及び「FeliCaStandard用アン,
テナモジュール」の全て
(ICチップ)
RC-SA00

RC-S915
RC-S952
RC-S953
RC-S962
RC-S960

(ICカード)
RC-S860
RC-S862
RC-S863
RC-S864

RC-S880
RC-S889
RC-S885
RC-S888
RC-S100

(アンテナモジュール)
RC-S934F
RC-S935
RC-S970F
RC-S975F
RC-SA02F
RC-SA03F

2
被告製品2
後記の型番により特定される製品その他被告が販売した「FeliCaCチップ」「FeliCa


Lite用ICカード」及び「FeliCa

Lite用I

Lite用アンテナモジ

ュール」の全て
(ICチップ)

RC-S965
(ICカード)
RC-S886
RC-S887
RC-S701

(アンテナモジュール)
RC-S978F
RC-S710
3
被告製品3
後記の型番により特定される製品その他被告が販売した「FeliCaICチップ」「FeliCa


Lite-S用ICカード」及び「FeliCa

ナモジュール」の全て
(ICチップ)
RC-S966
(アンテナモジュール)
RC-S711
Lite-S用

Lite-S用アンテ

RC-S712
4
被告製品4
後記の型番により特定される製品その他被告が販売した「FeliCa用ICトークン」の全て
RC-S108

RC-S109
RC-S892
RC-S893
5
被告製品5
後記の型番により特定される製品その他被告が販売した「FeliCa用リーダライタ」及び「FeliCa用リーダライタのモジュール」並びに「FeliCa用リーダライタ用ICチップ」の全て
RC-S390
RC-S380/S

RC-S330/S
RC-S360/S
RC-S360/SH
RC-S350
RC-S340

RC-S320
RC-S600/SA
RC-S600/UA

RC-S632
RC-S634
RC-S620/S
RC-S620/U
RC-S020A
RC-S012B
RC-S012C
RC-S400B

RC-S492B
RC-S462B
RC-S462C
RC-S493B
RC-S494A

RC-S491B
RC-S461B
RC-S461C
RC-S490B

RC-S460B
RC-S460C
RC-S936
RC-S480A
RC-S440A

RC-S440C
RC-S310/J1C
6
被告製品6
被告が販売した「携帯電話に搭載されるFeliCa用ICチップ」の全て(別表(売上高)

年度
(平成)

被告製品1

被告製品2

被告製品3

被告製品4

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年度

被告製品5

被告製品5

(平成)

セキュア

ノンセキュア

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(別表(実施月数)

年度
平成西暦

本件発明
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(別紙)
対価算定表
第1表
相当の対価合計

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自己実施分

(弁済後)

FN社分

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第2表(自己実施分)

発明
関係売上

発明者
超過売仮想実被告の間の原
相当の対価
上割合施料率貢献度告の貢
献率


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弁済

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弁済後

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第3表(FN社分)

現物出資額
(関係分)

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発明者
被告の間の原
相当の対価
貢献度告の貢
献率
95%38.37%
●省略●

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