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覚せい剤取締法違反(変更後の訴因 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律違反、覚せい剤取締法違反)被告事件
事件番号平成30(わ)134
事件名覚せい剤取締法違反(変更後の訴因 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律違反,覚せい剤取締法違反)被告事件
裁判年月日平成30年7月20日
法廷名札幌地方裁判所
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平成30年7月20日宣告
平成30年(わ)第134号

覚せい剤取締法違反(変更後の訴因

国際的な協力

の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律違反,覚せい剤取締法違反)被告事件判決主文
被告人を懲役7年6月及び罰金180万円に処する
未決勾留日数中100日をその懲役刑に算入する。
その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
札幌地方検察庁で保管中のビニール袋入り覚せい剤7袋(平成30年領第206号符号1-1,7-1,8-1,9-1,10-1,11-1及び12-1)及びチャック付きビニール袋入り覚せい剤2袋(同号符号4-1及び5-1)並びに被告人が株式会社甲銀行に対して有する被告人名義の通常貯金債権のうち金3万円に相当する部分及びこれに対する平成29年1月25日からの利息債権をいずれも没収する。
被告人から金205万円を追徴する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,営利の目的で,みだりに,
1⑴ア

平成29年5月19日,北海道苫小牧市a町b丁目c番地d乙駅北口自転車駐車場北側路上において,Aに対し,覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパンの塩類を含有する結晶粉末約0.18グラムを代金1万円の約束で譲り渡し,


同月29日,同市e町f丁目g番h号株式会社丙店東側駐車場において,Bに対し,覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパンの塩類を含有する結晶粉末約0.18グラムを代金1万円で譲り渡し,ウ
同年6月6日,同市i町j丁目k番l号丁北東側駐車場において,Cに対し,覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパンの塩類を含有する結晶粉末約0.18グラムを代金1万円で譲り渡し,



薬物犯罪を犯す意思をもって,


同月23日,同市m町n丁目o番p号戊店西側駐車場において,Dに対し,覚せい剤様の結晶粉末約0.18グラムを覚せい剤として代金1万円で譲り渡し,


同年9月23日,同市q町r丁目s番地己公園南側路上において,Eに対し,覚せい剤様の結晶粉末約0.18グラムを覚せい剤として代金1万円で譲り渡し,


同月29日,同市t町u丁目v番w号付近路上において,Fに対し,覚せい剤様の結晶粉末約0.18グラムを覚せい剤として代金1万円の約束で譲り渡したほか,

平成28年12月8日頃から平成29年10月6日頃までの間,同市内において,多数人に対し,多数回にわたり,覚せい剤様の結晶粉末を覚せい剤として有償で譲り渡し,
もって覚せい剤を譲り渡す行為と,薬物犯罪を犯す意思をもって覚せい剤様の結晶粉末を覚せい剤として譲り渡す行為を併せてすることを業とし,2
平成29年10月6日,同市t町x丁目y番z号庚号の被告人方(当時)において,覚せい剤である塩酸フエニルメチルアミノプロパンの結晶粉末約2.788グラム(平成30年領第206号符号1-1,4-1,5-1,7-1,8-1,9-1,10-1,11-1,12―1はいずれもその鑑定残量)を所持した。

(累犯前科)
平成23年10月17日札幌地方裁判所室蘭支部宣告覚せい剤取締法違反の罪により懲役3年10月及び罰金30万円平成27年8月7日その懲役刑の執行終了
(法令の適用)


判示1の行為

国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長
する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取
締法等の特例等に関する法律(以下「麻薬特例法」
という。)5条(判示1⑴につき同条4号,覚せい剤取締法41条の2第2項,1項,判示1⑵につき麻薬特例法8条2項)

判示2の行為

覚せい剤取締法41条の2第2項,1項

以上包括して麻薬特例法5条に該当
刑累種の犯選加択
有期懲役刑及び罰金刑を選択


刑法56条1項,57条,14条2項

未決勾留日数の算入

刑法21条(懲役刑に算入)


刑法18条

没役場留置収
覚せい剤9袋につき

いずれも覚せい剤取締法41条の8第1項本文(いず
れも判示2の罪に係る覚せい剤であり,犯人である被
告人の所有するもの)

通常貯金債権のうち3万円に相当する部分及びこれに対する利息債権につき麻薬特例法11条1項1号,2号,12条,組織的な
犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律14条,
15条1項本文(判示1⑵の行為により犯人である被告人が得た薬物犯罪収益及び薬物犯罪収益に由来する
財産とそれ以外の財産とが混和して生じた財産のうち薬物犯罪収益に相当する部分及び薬物犯罪収益に由来する財産で,犯人である被告人以外の者に帰属しな
い。)
追徴
麻薬特例法13条1項前段,11条1項1号(下記の
とおり判示1の犯行により犯人である被告人が得た薬
物犯罪収益208万円のうち没収すべき3万円を除い
た205万円は没収することができない。)

訴訟費用の不負担

刑事訴訟法181条1項ただし書

(追徴額についての争点の補足説明)
本件において,追徴額との関係で,被告人が覚せい剤又は覚せい剤様の結晶粉末を譲り渡した回数について争いがあるので,主文掲記の追徴額に至った点について補足して説明を加えておく。
1
被告人がBに覚せい剤又は覚せい剤様の結晶粉末を譲り渡した回数について,検察官は,Bの検察官調書を根拠に9回であると主張し,これに対し,弁護人は6回であると主張する。
Bの検察官調書抄本には,被告人から譲渡された回数は9回であり,これは,Bから被告人に対して電話をかけた12回の通話履歴を参照しながら,覚せい剤譲渡の代金の後払いについて連絡している可能性のある生活保護の給付金の受給日の通話(3回)を除外した残りの9回が覚せい剤譲渡に関する通話である,と特定したことによるものである旨の記載がある。その内容は,生活保護の給付金の受給という事実に従い,具体的根拠に基づき合理的に説明しており,信用できるものである。他方で被告人が譲渡回数を6回と述べていることに明確な根拠があるわけではない。よって,被告人のBに対する譲渡の回数は9回であると認められ,1回当たりの譲渡価額をもとにこれによる薬物犯罪収益を算出すると,9万円であったと認められる。

2
被告人がGに覚せい剤様の結晶粉末を譲り渡した回数(ただし,平成29年1月の振込みに係る3万円に対応する譲渡を除く。以下同じ。)について,検察官は,Gの検察官調書抄本を根拠に69回である(このうち66回分について代金を受領している)と主張し,これに対し,弁護人は四,五十回程度であると主張する。
Gの検察官調書抄本には,被告人から譲渡された回数は69回であり,これは,被告人とGとの通話履歴を参照しながら,通話履歴中の覚せい剤取引の通話として考えられる部分を特定したことによるものであるとの記載がある。そして,この特定に当たっては,覚せい剤を注文する際には,注文の電話をした後,待ち合わせ場所への到着の連絡を入れることが多かったことを理由に通話履歴を参照したというのである。
しかしながら,Gの検察官調書抄本には,そもそも通話履歴を見れば概ねの取引日が分かるという記載があるにとどまっており,280件の通話履歴の中から取引の回数を正確に計算するための記載にはなっていない。しかも,その通話履歴のうち,Gが回数に入れているものの中には,1回のみの通話であって根拠に疑問があるもの(平成29年9月12日の通話)や,被告人からGに対する発信によるごく短時間(3秒及び5秒)の2回の通話であって,Gから被告人に覚せい剤の注文を行ったとは考え難いもの(平成29年8月1日の各通話)が,いずれも特別説明がないままに含まれている。そうすると,Gが通話履歴の中で覚せい剤の譲渡に係るものとそうでないものとを区別しているのは明確かつ合理的な根拠に基づくものであるか合理的疑いが残るところである。
したがって,検察官が主張するように被告人のGに対する覚せい剤様の結晶粉末の譲渡の回数が69回(受領した代金の合計額として66万円)であったと認めることはできないが,取り調べられた証拠及び被告人の供述を踏まえると,少なくとも40回の譲渡により40万円(振込みによる3万円を除く。)の薬物犯罪収益があったと認められる。
以上により認定した,争いがあるものについての薬物犯罪収益と,争いがないものについての薬物犯罪収益とを合算すると,208万円となり,通常貯金債権のうち没収される額である3万円を差し引いた205万円が追徴額となる。(量刑の理由)
被告人は,約10か月の間,10人に対し,のべ200回以上もの多数回覚せい剤(覚せい剤様の結晶粉末を含む。)を譲り渡したのであって,本件は,単独犯が覚せい剤等を譲り渡す行為を業とした同種の事案の中で,中程度(懲役6年から8年までの幅)に位置付けられる。そして,被告人については,過去に覚せい剤取締法違反を含む前科が3犯あり,このうち最後のものでは覚せい剤を営利目的で所持するなどの罪により懲役3年10月及び罰金30万円に処せられていたのに,その懲役刑の執行を受け終わってから1年半も経過しないうちに本件に及んでいる。このように,被告人が,覚せい剤の害悪を十分に認識しながらも,その関わりを断ち切ることなく,暴力団に所属しながら,より重い犯罪である本件に及んで覚せい剤の害悪を拡散させたことは,厳しい非難に値するところである。このように考えると,被告人に対する刑は上記の幅の中で重いものとすべきであるが,被告人の元妻及び子が被告人の社会復帰後の更生を支援する意思を表明していることも考慮すれば,検察官の求刑はやや重いと考えられるから,主文掲記の懲役刑及び罰金刑に処することとした。
(検察官
(求刑

大友隆,長谷川麻理,国選弁護人

岡聖子,野田晃弘

各出席)

懲役8年,罰金200万円,覚せい剤及び通常貯金債権の各没収並びに
金231万円の追徴)
平成30年7月31日
札幌地方裁判所刑事第1部

裁判長裁判官

島戸純
裁判官

平手健
裁判官

亀井直太郎子
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