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報酬金支払等請求事件(本訴)過払報酬金返還請求事件(反訴) その他 民事訴訟
事件番号平成28(ワ)6073等
事件名報酬金支払等請求事件(本訴)過払報酬金返還請求事件(反訴)
裁判年月日平成30年8月30日
法廷名東京地方裁判所
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平成30年8月30日判決言渡

同日原本領収

平成28年(ワ)第6073号

報酬金支払等請求事件(本訴)

平成28年(ワ)第31196号
口頭弁論終結日

裁判所書記官

過払報酬金返還請求事件(反訴)

平成30年4月17日

当事者の表示


別紙当事者目録記載のとおり。
主1文
被告は,原告Aに対し,173万3392円及びこれに対する平成27年8月5日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

2
被告は,原告Bに対し,241万6980円及びこれに対する平成27年8月5日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

3
被告は,原告Cに対し,197万7171円及びこれに対する平成27年8月5日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

4
被告は,原告Dに対し,241万6980円及びこれに対する平成27年8月5日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

5
原告らのその余の本訴請求及び被告の反訴請求をいずれも棄却する。
6
訴訟費用は,
本訴反訴を通じこれを2分し,
その1を原告らの負担とし,
その余を被告の負担とする。

78
この判決は,第1項ないし第4項に限り,仮に執行することができる。原告らのために,この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。

第1
1実及び理由
請求
本訴請求

(1)被告は,原告Aに対し,847万9821円及びこれに対する平成27年8月5日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

(2)被告は,原告Bに対し,916万3409円及びこれに対する平成27年8月5日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(3)被告は,原告Cに対し,872万3600円及びこれに対する平成27年8月5日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(4)被告は,原告Dに対し,916万3409円及びこれに対する平成27年8月5日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2
反訴請求

(1)原告Aは,被告に対し,236万8765円及びこれに対する平成28年9月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)原告Bは,被告に対し,236万8765円及びこれに対する平成28年9月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3)原告Cは,被告に対し,236万8765円及びこれに対する平成28年9月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(4)原告Dは,被告に対し,236万8765円及びこれに対する平成28年9月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2

事案の概要
本件は,原告らが,エンターテイメント事業を行う被告との間でマネジメント
委託等を内容とする専属契約及び附属合意(以下,併せて「本件契約」という。)を平成25年8月に締結し,グループ名「5tion」としてアーティスト活動をしていたところ,被告が本件契約に定められた報酬を支払わず,また,本件契約に定められた公演を開催しなかったことにより報酬を得られなかったと主張して,被告に対し,本件契約に基づく未払報酬請求及び債務不履行に基づく損害賠償請求として,原告Aにおいて,847万9821円及びこれに対する本件契約終了以後である平成27年8月5日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合
による遅延損害金の支払を,原告Bにおいて,916万3409円及びこれに対する同日から支払済みまで同割合による遅延損害金の支払を,原告Cにおいて,
872万3600円及びこれに対する同日から支払済みまで同割合による遅延損害金の支払を,原告Dにおいて,916万3409円及びこれに対する同日から支払済みまで同割合による遅延損害金の支払を求める(本訴請求)のに対し,被告が,原告らに支払った報酬が過払いであったと主張して,原告らに対し,不当利得返還請求として,それぞれ236万8765円及びこれに対する不当利得発生後である平成28年9月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(反訴請求)事案である。
1
前提事実(証拠(枝番を付さないものはすべての枝番を含む。以下同じ。)を掲げない事実は当事者間に争いがない。)

(1)当事者

原告ら
原告らは,韓国及び日本で「5tion」(オーション)というグルー
プ名でアーティスト活動をしている個人である。
5tionは,アーティストグループとして平成13年12月に韓国で結成された。原告Aは,グループ結成当初からのメンバーであり,平成24年2月に原告Bが,平成25年8月に原告C及び原告Dが,それぞれ加入した。
平成25年8月に本件契約が締結された後,5tionは,平成27年6月までは,原告ら4人を含む5人で活動し,それ以降は,原告ら4人で
活動している(平成27年2月に訴外Eが脱退し,同年3月に訴外Fが加入し,同年6月に同人が脱退した。)。
5tionは,平成24年8月以降,日本において同グループ名でアーティスト活動を行っている。

被告
被告は,アーティストのマネジメントやライブ会場の運営等を目的とす
る株式会社であり,
(住所は省略)にあるライブ会場「SHOW

BOX」

の運営を行っている。
(2)本件契約の締結等

平成25年8月5日,原告A及び原告Bは,被告との間でマネジメント
委託等を内容とする専属契約及び附属合意(本件契約)を締結した。(甲1,2)
なお,原告A及び原告Bは,本件契約締結以前は,韓国の芸能事務所である訴外事務所K-Story(以下「訴外K-Story」という。)とアーティスト活動に係る契約を締結していた。
(乙23,
弁論の全趣旨)

同月中旬頃,原告C及び原告Dは,被告との間で,上記アと同様(ただ
し,後記(3)の報酬に関する定めは異なる。)のマネジメント委託等を内容とする専属契約及び附属合意(本件契約)を締結した。(乙1,2)ウ
本件契約は,遅くとも,平成27年8月5日の経過をもって終了した。
(甲3)

原告らは,
本件契約の存続中,
被告に所属するアーティストグループ
「5

tion」として,被告の運営するライブ会場「SHOW

BOX」にお

いて公演を開催するなどの活動を行った。
(3)本件契約における報酬の定め

原告らと被告との間で締結された専属契約書(甲1,乙1,2)には以
下の趣旨の定めがある。
(ア)10条(収益の分配など)3項
芸能活動と関連した収益に対する収益分配方式や具体的な分配比率も被告と5tionが別途で合意して定める。その時,収益分配の対象となる収益は,5tionの芸能活動で発生したすべての収入から,5tionの公式的な芸能活動の現場で直接的に必要とされる費用(車両維
持費,衣食住費用,交通費などの芸能活動の補助・維持のために必要的にかかる実費)
と広告手数料などを支出した費用を控除した金額をいう。

(イ)16条(附属合意)
被告と5tionは,この契約の内容を補充したり,この契約で定めない事項を規定するため,附属合意書を作成することができる。

原告A,
原告B及び訴外Eと被告との間で締結された附属合意書
(甲2)

には,「収益の分配など」という表題の後に以下の趣旨の定めがある。(ア)1項
SHOW

BOXでの公演の収益の分配は,被告が70%,5tio

nが30%とする
(以下,
これにより5tionに支払われる報酬を
「報
酬①」という。後記ウ(ア)においても同じ。)。(イ)2項
SHOW

BOXでの公演の収益以外の写真撮影,物品販売などの収

益の分配は,被告が20%,5tionが80%とする(以下,これにより5tionに支払われる報酬を「報酬②」という。後記ウ(イ)においても同じ。)。
(ウ)3項
SHOW

BOX以外の対外活動に対する収益の分配は,すべてのイ

ベント,広報,物品販売,写真撮影などの収益として入ってくるもののうち,すべての経費を除外した収益を,アーティスト50%,SHOWBOX30%,
訴外K-Story20%で配分することとする
(以下,
これにより5tionに支払われる報酬を「報酬③」という。後記ウ(ウ)
においても同じ。)。

原告C及び原告Dと被告との間で締結された附属合意書(乙1,2)に
は,「収益の分配など」という表題の後に以下の趣旨の定めがある。(ア)1項
SHOW

BOXでの公演の収益の分配は,被告が70%,5tio

nが30%とする。ただし,5tion(5人)の30%の分配金は,
それぞれ訴外E25%,原告A25%,原告B25%,原告D及び原告C25%(1/2)ずつ分配することとする。
(イ)2項
SHOW

BOXでの公演の収益以外の写真撮影,物品販売などの収

益の分配は,被告が30%,5tionが70%とする。

(ウ)3項
SHOW

BOX以外の対外活動に対する収益の分配は,すべてのイ

ベント,広報,物品販売,写真撮影などの収益として入ってくるもののうち,すべての経費を除外した収益を,SHOW

BOX50%,アー

ティスト50%で配分することとする。ただし,5tion(5人)の
50%の分配金は,
それぞれ訴外E25%,
原告A25%,
原告B25%,
原告D及び原告C25%(1/2)ずつ分配することとする。
2
争点
本件の争点は「未払報酬(損害賠償金を含む)の有無及び額ないし過払報酬の有無及び額」であり,より具体的には,以下のとおりである。

(1)報酬①及び報酬②の算定において収益から経費を控除すべきか(2)報酬②における原告らへの分配の割合
(3)債務不履行(平成27年3月の被告による公演開催義務違反)の有無(4)報酬①ないし報酬③における売上,経費及び既払金の額(5)報酬①ないし報酬③の支払時期(6)(過払報酬がある場合)被告による非債弁済(民法705条)の成否(7)(上記(1)ないし(5)を踏まえた)未払報酬額ないし過払報酬額3
争点に関する当事者の主張

(1)争点(1)(報酬①及び報酬②の算定において収益から経費を控除すべきか)(原告らの主張)

報酬①及び報酬②の算定の基礎となる収益とは売上金額を意味し,収益
から経費を控除すべきではない。

一般的に,芸能事務所が所属タレントのマネジメントを行うに当たり,
宣伝広告費,交通費,宿泊費等の様々な経費が生じることは当然予想できるため,専属契約書10条では,収入(売上)から経費を控除した収益を分配対象とすることが規定されており,また,あらかじめ予想される経費については例示列挙されている。他方で,専属契約書16条においては,当事者は附属合意書を作成することができる旨規定されており,附属合意書にて定められた内容は,本件契約で定められた内容に優先するものとして取り扱うことを当事者間で合意している。

この点,被告は一般的な芸能事務所とは異なり,自らライブ会場(SHOW

BOX)を所有・経営しており,SHOW

BOXにおけるライブ

活動を通じて所属タレントをプロモーションし,収益を上げるノウハウを備えていることから,被告と原告らは,専属契約書10条では本来予定されていない芸能活動(SHOW
BOXにおける公演活動)に関する収益

の分配方法を定めるべく,附属合意書1項ないし3項において,SHOWBOXにおける活動と,SHOW

BOX以外における活動に分けて収益

の分配方法を定めたのである。すなわち,SHOW

BOX以外の一切の

対外活動による収益(報酬③)については,「収益から・・・すべての経費を除外し」と定め,収益から経費を除外した金額を基に分配することとし(3項),他方,SHOW

BOXにおける活動による収益(報酬①及

び報酬②)については,単に「収益の分配」と規定し,経費は控除せずに分配することにしたのである(1項及び2項)。このように,附属合意書において,報酬③では経費についてあえて言及しているのに対し,報酬①及び②では経費についてあえて言及していないことからすれば,当事者間において,報酬①及び報酬②については,売上から経費を控除しないものと合意していたことは明らかである。


上記のように,SHOW

BOXにおける活動と,SHOW

BOX以

外における活動に分けて収益の分配方法を定めた趣旨は次のとおりである。すなわち,
原告らが公演活動をしていたSHOW

BOXは,
被告が所有・

管理し,
主に被告に所属するアーティストがライブを行う場所であるため,被告としては,SHOW

BOXでの活動において,売上に対する経費が

どの程度の額になるかは充分予測・把握できるものであった。そこで,SHOW

BOXにおける活動による収益(報酬①及び②)については,売
上に対してどの程度の分配比率にすれば被告として妥当な収益を得られるかを考慮し,経費分も含めて分配比率を決定した。他方,被告がどのくらいの経費がかかるのか予測困難な地方公演やアメーバ放送(SHOW
B
OX以外での対外活動による収益(報酬③))については,事後的に要した経費を売上から控除して分配することとした。このように,報酬①及び報酬②については経費を控除せず,報酬③については経費を控除するものとした附属合意書は,至極合理的な分配方法を定めたものである。エ
被告から原告らに報酬を支払う際に原告らに共通する内容として交付さ
れていた報酬明細書(甲7ないし17)によれば,被告は,報酬①については,総売上から経費を控除することなく,総売上金額を基に一定の分配比率に従い算定した金額を実際に原告らに報酬として支払っていた。平成25年12月分以降の報酬明細書には,報酬①に関する運営経費の金額すら記載されておらず,このことは,被告自身が,運営経費を控除せずに総売上を基に報酬を算定することを認識していたことを示している。一方,被告は,報酬③については,総売上から経費を控除した残額である純売上額を基に,附属合意書3項規定の分配比率に従い算定した金額を,実際に原告らに報酬として支払っていた。このように,被告自身が報酬①と報酬
③とで異なった計算方法によって報酬金額を算定していたこと自体,被告が報酬①及び報酬②については運営経費を控除せずに総売上を基に報酬を
算定することを認識していたことを示している。
(被告の主張)


報酬①及び報酬②の算定の基礎となる収益から経費を控除すべきである。専属契約書では,収益分配の対象となるのは「収益」であり,「収益」
は,「5tionの芸能活動で発生したすべての収入から5tionの公式の芸能活動の現場で直接的に要する費用(車両維持費,衣食住の費用,交通費などの芸能活動の補助・維持のために必要的にかかる実費)と広告手数料などを支出した費用を差し引い」
て算定する旨が明記されている
(1
0条3項)。そして,附属合意書においても,分配の対象は「収益」とさ
れている(1項ないし3項)。こうした定めからすれば,分配金の算定については,売上(専属契約書でいう「収入」)を基にしてするのではなく,そこから所定の費用を控除した「収益」を基にしてするものと合意されていたことが明らかである。

附属合意書3項の「収益」という語には「収入から経費を除外した」旨
が付記されている一方,同1項及び同2項の「収益」という語にそうした付記がなされていないが,専属契約書において,「収益」は収入(売上)から所定の経費を控除したものであることが明記されている。附属合意書は,専属契約書の「内容を補充したり」,同契約書で「定めない事項を規定する」ためのものであって,同契約書による合意内容を変更するための
ものではないとされている(専属契約書16条)。附属合意書は,あくまでも,「収益分配方式や具体的な分配比率」を別途合意したものにとどまるのであって(専属契約書10条3項),「収益」の意味内容を専属合意書で定められたものと異なるものに変更したものとみる余地はない。報酬③については,
報酬①及び報酬②とは異なり,
その分配の算定にあたって,

どの収入とどの経費を差し引き計算するのか専属契約書の規定からは必ずしも明らかでないため,専属契約書の内容を補充するため,附属合意書に
おいて経費を控除することを明記したものである。

被告が原告らと本件契約を締結した平成25年8月当時,原告らは5t
ionとしてSHOW

BOXでの公演等の芸能活動を行うにはほど遠く,

被告としてはコンテンツの制作やプロモーション活動等に多大な経費を要する状態にあったことを踏まえると,本件契約において報酬の算定にあたり経費を控除することとしたことは合理的である。

専属契約書4条3項では,原告らが行うべき芸能活動の一つとして「舞
台公演」が規定されており,附属合意書9項では,
原告らが「SHOW

B
OX以外の場所」で活動する場合には,被告の事前の同意が必要であることが規定されている。こうした契約書等の規定からすれば,本件契約の締結に当たり,原告らと被告は,SHOW

BOXでの活動を原告らが行う

べき主要な芸能活動と位置付けていたものというべきである。実質的に考えてみても,自らSHOW

BOXを運営している被告と,歌唱やダンス

等を行うアーティストである原告らが,本件契約を締結するに当たって,SHOW

BOXでの公演活動を予定していなかったなどということは,

常識的にあり得ない。原告らと被告は,当初から,原告らがSHOW
B
OXでの公演活動を行うことを念頭に置いて専属契約書を取り交わしたのであって,SHOW

BOXでの公演は本来予定されていなかったなどと

する原告らの主張は事実ではない。
(2)争点(2)(報酬②における原告らへの分配の割合)(原告らの主張)

報酬②における原告らへの分配の割合は80%である。

確かに,原告C及び原告Dと被告との間の附属合意書(乙1,2)2項
には,被告の分配割合について30%,原告C及び原告Dの分配割合については70%と記載されているが,これまで被告から報酬が支払われた際に,原告A及び原告Bと,原告C及び原告Dとの間で,特段の差異を設け
て支給された事実はなく,原告らは,全員同額の分配金を受領していた。この事実からすれば,
原告C及び原告Dについても,
他の原告2名と同様,
報酬②について,原告らの分配割合を80%とする新たな合意が被告との間で成立していると解するのが合理的である。
(被告の主張)

報酬②における原告らへの分配の割合は70%である。

原告A,原告B及び訴外Eと被告との間の附属合意書(甲2)では原告
Aらへの分配割合は80%とされているものの,原告C及び原告Dと被告との間で原告Cらへの分配割合を70%とする附属合意(乙1,2)がされた際,原告A,原告B及び訴外Eと被告との間でも,原告Aらへの分配割合を70%とすることが合意された。
(3)争点(3)(平成27年3月の被告による公演開催義務違反の有無)(原告らの主張)

被告は,附属合意書8項によって,原告らに対し,SHOW

BOXに

おける公演を1か月当たり(最低でも)10回以上開催する義務を負っているところ,平成27年3月は,SHOW

BOXにおける公演は一切開

催されなかったため,公演開催義務に違反している。そして,同月の報酬①及び②については,同月に開催されるべきSHOW
BOXにおける公

演10回分相当額の各報酬が,原告らの得べかりし報酬(損害)となり,その額は別紙1及び2の「売上」欄中の「原告ら」欄の「2015年3月分」に記載されたとおり,報酬①については702万4000円,報酬②については650万1000円である。

SHOW

BOXは専ら被告が管理しているライブハウスであるところ,

被告は,
原告らの芸能活動の一環であるイベント及び行事の活動について,誠実にマネジメント権限を行使する義務(専属契約書2条2項,
4条3号)
を負っている。そうだとすれば,附属合意書8項における「乙(原告ら)
は,SHOW

BOXでの公演は義務的に・・・公演することにする。」

とは,裏を返せば,被告が専属契約におけるマネジメント義務の一内容として,原告らに対して,月10回以上SHOW

BOXで公演をする機会

を保証していたことにほかならない。よって,被告は,誠実にマネジメント権限を行使する義務の一内容として,SHOW

BOX公演の開催義務

を負っていたことは明らかといえる。
そして,原告らが平成27年3月にSHOW

BOXにおける公演を開

催することができなかった原因は,次のとおり,被告が上記公演開催義務を怠ったことにある。すなわち,平成27年2月,被告が企画した,5tionメンバーとファンとの交流を図った日本での温泉旅行において,原告らは,興行ビザで許された範囲の行動を超える活動(ファンが宿泊しているホテルの部屋に原告らが訪問すること)をするよう被告に強要され,やむなく被告の指示に従った。その結果,入国管理局が原告ら及び被告のこのような活動を問題視し,原告らにビザが発行されなかったため,原告
らは同年3月に韓国から来日することが不可能となり,SHOW

BOX

公演を開催することができなくなった。これは,明らかに,原告らの芸能活動の一環であるイベント及び行事の活動について誠実にマネジメント権限を行使するという被告の義務に反するものであり,平成27年3月にSHOW
BOX公演が開催できなかったことによる報酬金の不発生は,被

告の義務不履行に起因する原告らの損害である。

被告は,テレビ番組製作者からの説明及び説得を受けて渋々了承したも
のと主張するが,原告が問題視したファンの部屋への訪問については,そもそも一切放送はない。仮に被告の主張が事実だとしても,被告が活動内容を了承した以上,原告らの芸能活動のマネジメント管理者としての責任は生じる。
(被告の主張)


被告はSHOW

BOXでの公演を1か月当たり10回以上開催すべき

専属契約・附属合意上の義務を負っていない。すなわち,附属合意書8項は,「乙は,SHOW

BOXでの公演は義務的に1ヶ月に10回から1

2回以上を公演するものとする。」と規定しているところ,ここで「乙」とは,5tionのメンバー(原告ら及び訴外E)のことであって,被告のことではないため,SHOW

BOXでの公演を義務的に行うべきもの

とされているのは,原告ら(及び訴外E)であり,同規定は,被告に公演開催義務を課したものではない。ましてや,同規定を,被告が原告らに対し,公演が開催されなかった場合であっても,1か月当たり,公演10回分に相当する収益の分配金(報酬金)を支払うべきことを定めた規定であるなどと解する余地は全くない。よって,被告には,原告らに対して「得べかりし報酬(損害)」に相当する金員を支払うべき義務はない。イ
平成27年2月に行われた温泉ツアーの際,原告らが,ファンらが宿泊
している部屋を訪問したこと,この原告らの行動が,在留資格上,許される範囲を逸脱するものであったこと,及び,その行動が入国管理局から問題視され,原告らの在留期間の更新が認められなかったことについては,認めるが,原告らは被告に強要された結果やむを得ずに上記の行動をしたとする主張については否認する。すなわち,原告らがファンらの部屋を訪問し交流することは,上記温泉ツアーを題材とするテレビ番組の制作者ら
が発案し,原告ら及び被告に要請したものであるところ,原告らはそれに自ら進んで応じた。この際,被告は,原告らの在留期間の更新や今後の日本での活動に悪影響が生じることを懸念したが,テレビ番組の制作者らから
「入国管理局から問題視される心配はない」
旨の説明,
説得を受け,
渋々
了承したものである。よって,被告が原告らに対しSHOW

公演開催義務を負う旨,及び,平成27年3月にSHOW

BOXでの
BOXでの公

演を開催できなかったことが被告の責めに帰すべきものである旨の主張に
ついては争う。
(4)争点(4)(報酬①ないし報酬③における売上,経費及び既払金の額)(原告らの主張)

報酬①ないし報酬③における売上,経費及び既払金の額は,それぞれ別
紙1ないし3の「売上」,「経費」及び「受け取った額」欄中の「原告ら」欄記載の各金額が同各欄右の「証拠」欄記載の各証拠ないし被告の自白により認められる。なお,報酬①及び報酬②の経費については,前記(1)のとおり主位的には控除すべきではないが,仮に控除すべきだとしても,以下のとおり,被告の提出する総勘定元帳の経費は不相当であり,報酬②の
チェキフィルム代以外を経費として認めることはできない。

経費が不相当であること
被告が主張する経費の根拠となる総勘定元帳には,不合理な経費及び関
連性の詳細が不明な経費が多数含まれているため,全体として信用できない。以下,主にSHOW
BOXでの公演に係る収益の分配金(報酬①)

における平成25年11月から平成26年5月までの7か月間(乙11の1,2)において不合理な経費等を挙げる。
(ア)チケット販売HP制作費・看板制作費等
ホームページ制作費(乙11の1[1頁]31,500円
や,看板用シート制作費(乙11の1[7頁]28,900円

など,SHOW

取引日H25.11.7)
取引日H26.3.4)

BOX公演に関する経費ではなく,公演会場の運営に

関する経費が計上されている。
(イ)電子機器関連
プリントインク代等(乙11の1[2頁]10,836円

取引日H25.11.20)

や,PC周辺機器ヨドバシカメラ(乙11の1[3頁]10,910円取引日H25.12.10)など,SHOW

BOX公演とは全く無関係な経費が計上さ

れている。

(ウ)事務所備品
プリンター(乙11の1[3頁]30,870円

取引日H25.12.12)などが計

上されている。
(エ)寮備品
寮/TV(乙11の1[1頁]14,710円

等(乙11の1[8頁]67,566円

取引日H25.11.15),寮/寝袋

取引日H26.3.14)など,SHOW

B
OX公演とは全く無関係な経費が計上されている。
(オ)医薬品・治療費
寮/医薬品代(乙11の1[1頁]65,550円
SHOW

取引日H25.11.5)など,

BOX公演とは全く無関係な経費が計上されている。

(カ)贈答品
贈答品(乙11の1[1頁]3,150円

H25.11.12)
など,
SHOW

取引日H25.11.5,10,500円,取引

BOX公演とは全く無関係な経費が計

上されている。
(キ)中国航空券
航空券購入代(日本-中国)(乙11の1[1頁]58,260円H25.11.28)
として,SHOW

取引日

BOX公演に関する経費とは無関係な経

費が計上されているが,そもそも,原告らは,中国で公演を行ったことなどない。このことからも,乙11号証には,原告らとは全く無関係の経費として,被告の他の経費や被告代表者が代表を務める関連会社の経費等が計上されていることは明らかといえる。
(ク)交通費
原告らは車で移動しているため,
経費として駐車料
(乙11の1[1頁]
1,300円

取引日H25.11.2)
やガソリン代
(乙11の1[1頁]6,887円


引日H25.11.3)が計上されていることについては理解できるが,その他にも,多数の交通費:タクシー代(乙11の1[1頁]710円

取引日

H25.11.1)や,交通費:チャージ代(乙11の1[2頁]3,000円
取引日

H25.11.18)が計上さている。
このことからも,乙11号証には,原告らとは全く無関係の経費として,被告の他の経費や被告代表者が代表を務める関連会社の経費等が計上されていることは明らかといえる。
(ケ)交通費,飲食費,化粧品(韓国にいる期間)
原告らが韓国にいる期間中であるにもかかわらず,車両に関する経費として,
交通費チャージ代

(乙11の1[5頁]3,000円
交通費:ガソリン代(乙11の1[6頁]10,510円

交通費:駐車料金(乙11の1[5頁]300円

500円

取引日H26.1.7)

取引日H26.1.23),
いずれも取引日

H26.1.8)などが計上されており,また,飲食費(乙11の1[6頁]4,900円
取引日H26.1.21,6,150円

の1[5頁]198円

取引日

H26.1.25)や,化粧品(乙11

取引日H26.11.17)などが計上されている。このこと

からも,乙11号証には,原告らとは全く無関係の経費が計上されていることは明らかといえる。
(コ)洗車・車オイル
原告らが移動に使用している車両は1台であるが,複数の車を同時に洗車した際の費用として,交通費:洗車(乙11の1[5頁]1,500円,500円,1,000円,500円

いずれも取引日H25.12.13)が,また,複数台の車

のオイルを同時に交換した際の費用として,エンジンオイル交換(乙11の1[4頁]23,625円,3,675円,5,880円

いずれも取引日H25.12.19)

が計上されている。このことからも,乙11号証には,原告らとは全く無関係の経費として,被告の他の経費や被告代表者が代表を務める関連会社の経費等が計上されていることは明らかといえる。
(サ)電話料金(au)
原告らには,被告から携帯電話や固定電話は支給されていないが,経
費として,電話料金/au12月分(乙11の1[4頁]4,702円,取引日H25.12.11)や,1月分電話料金(乙11の1[7頁]14,691円,取引日H26.2.5)が計上されている。このことからも,乙11号証には,原告らとは全く無関係の経費が計上されていることは明らかである。
(シ)年会費,運営費
経費として,年会費(乙11の1[1頁]11,550円,取引日H25.11.15)や,寮/運営費(乙11の1[5頁]9,900円,取引日H26.1.1)が計上されているが,年会費や運営費の名目の記載がなく,原告らのSHOW
B
OXにおける公演との関連性が不明である。
(ス)事務所使用代,事務所手数料,公演場賃館料
被告代表者が代表取締役を務める有限会社楽園の利益として計上するために,毎月,事務所使用代(乙11の1[3頁]105,000円,取引日H25.11.30など)として,10万5000円を原告らの経費として計上している。

被告代表者が代表取締役を務める清水インターナショナル有限会社の利益として計上するために,
毎月,
事務所手数料
(乙11の1[3頁]150,000
円,取引日H25.11.30など)として,15万円を原告らの経費として計上している。
被告の利益として計上するために,「SHOW

BOXでの公演係る

収益の分配金」(報酬①)に関する経費として,SHOW場賃館料(乙11の1[3頁]750,000円

BOX公演

取引日H25.11.30,乙11の1

[4頁]550,000円取引日H25.12.31など)
を,
1回の公演当たり5万円計上
している。
さらに,「SHOW
BOXでの写真撮影(チェキ)に係る収益の分

配金」(報酬②)に関する経費としても,同様に公演場賃館料として同額を計上しており
(乙12の1[1頁]750,000円

取引日H25.11.30,乙

12の1[1頁]550,000円

取引日H25.12.31など),1回の公演で合計1

0万円の公演場賃館料を費用計上している。
以上のように,乙11号証には,関連会社間での実態が不明かつ原告らとは全く無関係な金銭のやりとりまで経費として計上されている。(セ)役員報酬
被告は,原告らによるSHOW

BOXの運営は赤字であったと主張

しているが,役員報酬として毎月60万円も支払っており,しかも,役員報酬は,原告らのSHOW

BOXにおける公演活動に関する経費と

は全く無関係であるにもかかわらず,原告らの経費として計上されている(乙11の1[2頁]600,000円

取引日H25.11.25など)。

(ソ)交通違反罰金
交通違反金(乙11の2[3頁]6,000円,取引日2014.11.17)が計上されている。
(タ)訴外Fの専属契約金,報酬金
過払いであるとして,原告らに対しては給与が支払われていなかった
期間であるにもかかわらず,被告は,原告らとは別のメンバーで新たに「The5tion」を結成しようと画策し,訴外F(通称名(省略))を韓国から呼び寄せ,専属契約を締結して専属契約金68万3676円を支払い,また訴外Fに対してだけ毎月報酬70万5139円を支払っていた。そして,これら専属契約金や報酬金の合計210万1888円を,
原告らのSHOW

BOX公演に関する経費として計上している
(乙

11の2[8頁]683,676円

取引日2015.2.23,乙11の2[11頁]705,139
取引日2015.5.20など)。

(チ)「The5tion」の経費
被告は,原告らとは別のメンバーで新たに「The5tion」を結成しようと画策し,新規メンバーを選考するため韓国でオーディション
を開催しているが,そのときにかかったと思われる韓国までの航空券代や韓国でかかった経費を,全て原告らのSHOW

BOX公演に関する

経費として計上している(乙11の2[11頁]5,814円
から

同頁8,488円

取引日2015.5.20

取引日2015.5.20など)。

加えて,原告らは平成27年7月8日の公演が最後で,同月9日には
韓国に帰国しているにもかかわらず,同月16日までのガス料金や同月14日まで水道料金をそのまま計上するなど(乙11の2[13頁]8,101円
取引日2015.7.17,乙11の2[13頁]29,392円
取引日2015.7.17な

ど),毎月計上しているものについて日割精算することなく満額を計上している。


その他の既払金
原告ら各自は,
本件契約に基づくアーティスト活動の報酬の一部として,

別紙1ないし3記載のものとは別途,以下のとおり,被告から金員を受領しているため,当該受領金額(源泉所得税を含む金額)を,各人の未払報酬金合計額から控除する。被告は,同金員が解決金として支払われたものと主張するが,報酬として支払われたものである。
(ア)原告ら各自は,本件契約及び本件合意に基づくアーティスト活動の報酬として,平成27年5月10日に20万円,同年7月8日に50万円を被告から受領している(源泉所得税を含む合計金額:87万9617円)。

(イ)原告Aのみ,平成27年7月9日に60万円を受領している(源泉所得税を含む金額:68万3588円)。
(ウ)原告Cのみ,平成26年に報酬の前借り名目で,被告から43万9809円を受領している。
(被告の主張)

報酬①ないし報酬③における売上,経費及び既払金の額は,それぞれ別
紙1ないし3の「売上」,「経費」及び「受け取った額」欄中「被告」欄記載の各金額のとおり。

経費が相当であること

(ア)ホームページ制作費等
原告らが指摘する「ホームページ制作費」は,原告らのいわゆるオフィシャルサイトに係る制作費である。そして,この経費の「摘要」欄に「チケット購入枚数上限設定機能」と記載されているとおり(乙11の1〔1頁〕),この「ホームページ制作費」は,原告らがSHOW
B
OXで行う公演のチケットに関する経費である。したがって,この経費がSHOW

BOX公演に関するものであることは明らかである。

原告らが指摘する「看板用シート制作費」は,SHOW

BOXに掲

示されている原告らのプロモーション用の看板に関する制作費である。したがって,この経費がSHOW

BOX公演に関するものであること

は明らかである。
(イ)電子機器に関する費用
被告代表者は,平成25年11月11日,SHOW

BOXでの公演

等の原告らの活動に関する事業だけを行うための法人として,株式会社SUPER

RICH

ENTERTAINMENT(以下「スーパー

リッチ社」という。)を設立した(乙6の2)。同社の事務所は,被告の事務所が入っている建物と同じ建物に設けられたが,被告の事務所とは別の階に設けられ,被告の事務所とは別個の事務所として運営されていた(乙6の1,乙6の2参照)。原告らが指摘する「プリントインク代等」,「PC周辺機器」といった経費は,これらの取引日がスーパーリッチ社の設立後であることからも明らかなとおり,スーパーリッチ社
の事務所で使用する電子機器に関するものである。したがって,これらの経費は,原告らがSHOW

BOXで行う公演に関するものである。

(ウ)事務所備品に関する費用
原告らが指摘する「スケジュールボード」(原告らは「プリンター」と主張するが誤記と思われる。)などの事務所備品に関する費用は,スーパーリッチ社の事務所で使用する備品に関するものである。したがって,前記(イ)の経費と同様,これらの経費も,原告らがSHOW
BOX

で行う公演に関連するものである。
(エ)寮に関する費用
被告は,原告らの住居とするためにマンションの1フロア(全3戸)を賃借し,原告らは,そのうちの2戸を使用し,そこを生活拠点としてSHOW

BOXでの公演等の活動を行っていたものである。したがっ

て,原告らが指摘する「寮」の備品に関する経費は,原告らがSHOWBOXで行う公演に関連するものである。
(オ)医薬品代等
原告らが指摘する「寮/医薬品代」といった経費は,「寮」と付記されていることからも明らかなとおり,前記(エ)の「寮」の備品に関する経費と同様,原告らのために支出されたものであって,原告らが行う活動に関係するものである。したがって,これらの経費は,原告らがSHOW
BOXで行う公演に関連するものである。

(カ)贈答品に関する費用
原告らに関するマネジメント業務やプロモーション業務を円滑に行い,SHOW

BOXでの公演をはじめとする原告らの活動を成功させてい

くためには,取引先など関係各所との間で良好な関係を形成・維持し,発展させていくことが重要である。その際に贈答品のやりとりがなされることは常識であって,何ら不合理なことではない。贈答品に関する費用がSHOW

BOXでの公演活動に関連する経費であることは明らか

である。

(キ)航空券購入代
原告らは,「航空券購入代」について,「原告らとは全く無関係の経費」などと主張しているが,この航空券購入費は,原告Dが被告に対し「(中国での)公演を実現するために必要であるので,航空券を手配してもらいたい」旨を要望したことから支出されたものである。したがって,
この経費が原告らの活動と関連するものであることは明らかである。(ク)タクシー代等
被告は,原告らの活動に利用するための車(7人乗り)を用意しており,原告らは,その車で移動することもあった。しかしながら,原告ら
が常時その車で移動していたわけではなく,例えば,運搬すべき荷物が大量であるときなどは,荷物をその車で運び,原告らはタクシー等を利用して移動していた。また,当然のことながら,原告らが活動していく上では,スタイリストやいわゆるマネージャー業務に従事する者などのスタッフが不可欠であり,そうしたスタッフの移動費も必要となる。し
たがって,原告らが指摘する「タクシー代」や「チャージ代」は,原告らの活動に関する経費であることが明らかである。
(ケ)原告らが韓国に滞在していた期間中が取引日になっている費用原告らは,原告らが韓国に滞在している期間中に生じた経費は「原告らとは全く無関係」である旨主張する。しかし,当然のことながら,原
告らが韓国に行っている間にも,日本では,SHOW

BOXでの公演

の準備業務や,外部での公演活動等の日程調整,関係各所との打合せなど,原告らの活動に関する業務が日々行われていたのである。こうした業務に伴って発生する費用が原告らの活動に関連する経費であることは明らかである。
(コ)洗車等の費用
原告らが指摘する「洗車」費用(①1500円,②500円,③10
00円,④500円)は,1台の車に関する①車体の洗車料金,②その大型車加算料金,
③ルームクリーニング料金,
④その大型車加算料金が,
それぞれ別個の項目で費用計上されたものであって,原告らが主張するように「複数の車を同時に洗車」したものではない。原告らが指摘する「エンジンオイル交換」費用についても同様であり,1台の車に関して生じた費用について,その細目ごとに別個の費用計上がなされていたにすぎない。したがって,これらの費用の中に,「原告らとは全く無関係の経費」が含まれているとする原告らの主張には理由がない。
(サ)電話料金
原告らが指摘する「電話料金/au」,「電話料金」は,原告らを担
当するスタイリストに支給されていた携帯電話,原告らの活動に関する事業だけを行っていたスーパーリッチ社の事務所に設置されていた固定電話の利用料金であって,これらの経費は,明らかに原告らの活動に関連するものである。
(シ)年会費等
原告らが指摘する「年会費」は,原告らの活動に要する費用を決済するために利用されていた被告名義のクレジットカードの年会費であり,原告らの活動に明らかに関連する経費である。
また,
「寮/運営費」
は,
原告らが住居として使用していた「寮」の運営に要した費用であり,そ
の細目が記載されていないとしても,原告らの活動に関連する経費であることは明らかである。
(ス)事務所使用代等
a
原告らが指摘する「事務所使用代」(原告は,「事務所使用代」の支払先が「有限会社楽園」であった旨主張するが,「清水インターナ
ショナル有限会社」の誤記と思われる。)は,原告らの活動に関する事業だけを行っていたスーパーリッチ社の事務所に関し,その建物の
所有者である清水インターナショナル有限会社に支払われていた賃料であって,原告らの活動に関連する経費であることが明らかである。この点,被告代表者の陳述書(乙22)の2頁に,「弊社所有の建物で『SHOW

BOX』というライブハウスを運営しています」とあ

るが,ここでいう「弊社」とは「弊社グループ」という意味で使用し
たものである。なお,原告らは,この事務所賃料について,「清水インターナショナル有限会社の利益として計上するため」の実態を伴わないものである旨主張するようであるが,スーパーリッチ社は,実際にその場所を事務所として使用し,原告らの活動に関する業務が行われていたのであって,原告らの主張には理由がない。

b
原告らが指摘する「事務手数料」(原告は,「事務手数料」の支払先が
「清水インターナショナル有限会社」
であった旨主張しているが,
「有限会社楽園」の誤記と思われる。)は,有限会社楽園の従業員がスーパーリッチ社の経理等の業務にも従事していたことから,同社に対して支払われていた業務委託料であって,原告らの活動に関連する
経費であることが明らかである。なお,原告らは,この「事務手数料」について,「有限会社楽園の利益として計上するため」の実態を伴わないものである旨主張するようであるが,同社の従業員は実際にスーパーリッチ社の経理等の事務に従事していたものであり,原告らの主張には理由がない。

c
原告らが指摘する
「SHOWBOX公演場賃館料」SHOW
は,

B
OXの建物の所有者である清水インターナショナル有限会社に対して,原告らが行った同所での公演等に関し,施設利用料を支払ったものであり,
原告らの活動に関連する経費であることが明らかである。
なお,
原告らは,この「賃館料」の支払先が被告であったと主張するが,上記のとおり,支払先は清水インターナショナル有限会社であって,原
告らの主張は事実に反するものである。
(セ)役員報酬
a
原告らは,平成25年11月から平成26年9月までの間に被告から被告代表者に支払われた「役員報酬」は,原告らの活動とは全く無関係であるなどと主張する。しかし,被告は,唯一の専属アーティス
トである原告らのマネジメント事業に人的・物的・金銭的資源のほとんどを投入していたものである。被告が運営していたSHOW

BO

Xでは,他の芸能事務所に所属するなどしており,被告と専属契約を締結しているわけではないアーティスト(原告ら以外の全てのアーティストがこれに当たる。)による公演も行われており,その公演の告
知等もSHOW

BOXのホームページ上で行われてはいたものの,

裏を返せば,そうした原告ら以外のアーティストに関して被告が行っていたことは,SHOW

BOXでの公演の日程調整や告知等だけで

あった。こうした業務に要する人的・物的・金銭的資源は,唯一の専属アーティストである原告らのマネジメントに要するものに比べれば
ごく僅かであり,被告はその経営資源の大半を原告らに用いていたのである。その中で,とりわけ被告代表者は,自らの時間や労力の大部分を原告らのマネジメントに関する業務に捧げていたものである。したがって,被告代表者の役員報酬は,原告らの活動に関連する経費とみるべきものである。

b
原告らは,平成26年10月以降にスーパーリッチ社から被告代表者に支払われていた「役員報酬」についても,原告らの活動とは全く無関係であるなどと主張するようである。しかし,スーパーリッチ社が原告らのマネジメントに関する業務のみを行っていたものであるこ
とや,前記aのとおり,被告代表者が自らの時間,労力の大部分を原告らのマネジメントに関する業務に捧げていたことからすれば,この
役員報酬もまた,
原告らの活動に関連する経費とみるべきものである。
(ソ)交通違反金
これは,原告らの活動に用いられていた車(前記(ク))に関する違反金であって,原告らの活動に関連する経費とみるべきものである。
(タ)訴外Fの専属契約金等
平成26年12月,原告らとともに5tionとして活動していた訴外Eが脱退を表明したことから,5tionとしての活動を継続していくために,新たなメンバーを加入させる必要が生じた。訴外Fに対する「専属契約金」等は,このために必要になった費用であって,原告らの活動に関連する経費であることが明らかである。

(チ)平成27年5月18日から同月20日までの韓国出張費
これは,5tionの新メンバーとして加入した後,原告らからいじめを受け続けて,変調をきたし,韓国に一時帰国していた訴外Fと面談し,その状況を確認するために,被告代表者が韓国に出張した際の費用である。したがって,これらの費用は,原告らの活動に関連する経費と
みるべきものである。

解決金の支払
被告は,別紙1ないし3記載のものとは別に,平成27年7月,解決金
として,原告らに合計395万8277円を,また原告Aに68万3588円を支払った。
(5)争点(5)(報酬①ないし報酬③の支払時期)(原告らの主張)
契約当初から1年間,被告は月毎に精算して報酬の支払を現実に行っているのであるから(甲7ないし17),月毎に精算する合意が原告らと被告と
の間でなされていたことは明らかである。2年間もの長期契約期間中に報酬は一切支払われないとする合意など,日本での芸能活動が唯一の収入源であ
る原告らがするはずがない。また,専属契約書及び附属合意書には,契約終了時に精算する方式に関する規定は一切ない。
被告の主張する韓国アーティストの報酬に関する一般的事情及びウェブサイト(乙19)上の記事の内容の真実性は不知。そもそも,乙19に記載されている韓国アイドルは子どもの頃からレッスンなどを無料で会社から受けさせてもらっているのであり,5tionとして従前から活動し,SHOWBOXを満席にするほどの人気があって売上の見込める原告らとの契約とは事情が異なり,何らの指標にもならない。また,乙19の記事は,韓国で活動するアイドルについて書かれているものである。原告らは被告との契約期
間中は専ら日本で活動しているが,ビザの関係上,日本滞在中の活動は芸能活動に制限されており,原告らはアルバイトなど他の収入を得る活動はできない。したがって,附属合意書にも記載されている日本滞在中の原告らの生活保障は当たり前のことに過ぎず(附属合意書5項),乙19に記載されているアイドルと原告らを同一に考える根拠にはならない。

(被告の主張)
専属契約書及び附属合意書(乙1)では,収益を原告らと被告との間で分配すること(専属契約書10条)や,その分配割合(附属合意書1項ないし3項)については規定されているが,収益の分配(原告らに対する報酬の支払)を行うべき時期については,何ら規定が置かれていない。この点,韓国
では,原告らのような「アイドル」と称されるアーティストが専属契約を締結する場合,一般に,アーティストへの報酬は,芸能活動から得られた収益を分配するという方式で算定・交付され,その収益の分配(報酬の支払)については,月ごとに固定額の給与として分配を行う「月給制」は採られず,一定の期間における売上から経費を差し引いた利益を歩合で受け取る「歩合
制」が多く採用されている。「歩合制」の場合,歩合の基礎となる利益が生じない場合もあることから,ある程度の利益が出た時点でまとめて分配する
「精算」という方法が採用されている。この場合,「精算」までの間は分配金(報酬)の交付はなされないことから,通常,「歩合制」方式が採用される場合には,家賃や被服費,食費などアーティストが日常生活を送っていく上で必要な経費について,所属先の会社等が支出している(以上につき,乙19。我が国においても,このような方式でアーティストに対する報酬が支払われる例がまま見られるところである。)。そして,本件においても,専属契約期間中,原告らの衣食住に関する費用は,被告の出捐によって賄われていた。また,「精算」方式は,典型的には,養成を要する「新人のアイドル」が芸能事務所との間で専属契約を結ぶようなケースを念頭に用いられて
いるものであるところ,本件契約当時の5tionはメインボーカルの訴外G(芸名)が脱退し,一からコンテンツを制作し,ダンスや日本語のレッスンをする必要があるなど,原告らは「新人同然」であったこと,その原告らが5tionとして芸能活動を開始するためには多額の初期費用を掛けることが必要であったといった事情があり,「精算」方式が合理的とされる典型
例と同様の事情があった。したがって,本件の専属契約では,韓国のアーティストの専属契約の一般的な場合と同様に,「歩合制」方式に伴う「精算」によって収益の分配(報酬の支払い)を行う合意がなされており,具体的には,契約期間の満了時である平成27年8月5日までの間の収益を基に分配金(報酬)の算定・支払を行うこととされたものというべきである。これに
対し,原告らが主張する「月払い」方式では,被告が原告らのために投資した経費とそれによって生じる売上とが全く対応しないこととなり,収益の分配が適正でないものとなるため,営利企業である被告がそのような不合理な方式を採用したとは考えられない。
被告は,専属契約期間中,原告らに対し,金員を交付していたことがあっ
たが,これは,専属契約を締結した後,原告らから「日常生活費等を負担するだけでなく,自分たちで自由に使うことができる金員を交付してもらいた
い」旨の希望が繰り返し表明されたことから,この希望に応じるべく,「精算」までは金額が未確定である原告らへの分配金(報酬)を暫定的に支払うこととしたものであり,いわゆる給料の「前借り」に相当するものである。それゆえ,
専属契約期間中,
被告が原告らに対し金員を交付していたことと,
専属契約において「精算」方式が採用されていたこととは,何ら矛盾するものではない。
以上のとおり,本件の専属契約では,契約期間の満了時である平成27年8月5日までの間の収益を基に分配金
(報酬)
の算定・支払を行うという
「精
算」方式を採ることとされたものである。

(6)争点(6)(被告による非債弁済(民法705条)の成否)(原告らの主張)
仮に被告が主張するように,原告ら及び被告との間で,報酬①及び報酬②について,売上から経費を控除した額を分配の対象とする,という合意が成立していたとしても,被告は,報酬①及び報酬②の算定方法について,売上
から経費を控除した額を基に報酬を算定すべきであると認識していながら,あえて,売上から経費を控除する前の収入を基に報酬を算定して,原告らに報酬を支払ってきたのであるから,報酬の過払分については,「その時(債務の弁済時)において」,「債務の存在しないことを知って」,「債務の弁済として給付をした」ことになる(民法705条)。したがって,被告が,
原告らに対して支払った金員は非債弁済に当たり,報酬過払金の返還を求めることはできない。
(被告の主張)
民法705条は,
「(給付の)時において債務の存在しないことを知って」
との文言から明らかなとおり,当該給付がなされた時点で債務が不存在であ
った場合について規定したものである。しかし,本件の専属契約では,収益の分配(報酬の支払)に関し,「精算」方式が採られており,専属契約期間
中に被告が原告らに対して金員を交付した際,
収益分配債務
(報酬支払債務)
の弁済期は到来しておらず,その金額も未確定であったが,債務自体は契約時にすでに発生し存在していたものである。したがって,本件は「(給付の)時において債務の存在しない」場合に当たらないから,被告が原告らにした給付について民法705条は適用されない。
この点を措くとしても,本件では,被告が「(債務の不存在を)知って」給付をしたものとはいえず,民法705条は適用されない。そもそも,同条がいわゆる非債弁済について給付の返還を請求することができないものとしている趣旨は,ある者が債務の不存在を知りながら弁済をした場合,それは
「一種の贈与の意思を伴う」ものであって,贈与に準ずる行為であるということができ,それを後になって返還請求することは,信義則上「自己の先行する行為と矛盾する振る舞い」
であって認められるべきではないからであり,
同条にいう「(債務の不存在を)知って」とは,単に債務が存在しないことを認識していたことをいうものではなく,当該給付をした者に「贈与意思」
ないし「贈与意思に準ずる財貨喪失の意思」があったことをいうものと解すべきである。本件で,被告が原告らに金員を交付していたのは,原告らの強い希望に応じ,「精算」までは金額が未確定である原告らへの分配金(報酬)を暫定的に支払うこととしたためであり,被告は,「精算」の際に,それまでの間の収益に基づいて分配金(報酬)の金額を算定した結果,被告が支払
うべき分配金(報酬)の金額が原告らに交付済みの金員の金額を下回った場合(過払いが生じた場合)は,過払分の返還を求めることを留保して,原告らに金員を交付したのである。そして,このように原告らへの金員の交付があくまでも暫定的なものであることは,その都度,被告代表者から原告らに対し伝えられており,
原告らもそのことを承知した上で金員を受領していた。

したがって,原告らに金員を交付した時,被告に「贈与意思」ないし「贈与意思に準ずる財貨喪失の意思」
などなかったことは明らかであり,
本件は(債


務の不存在を)知って」給付をした場合に当たらないから,民法705条は適用されない。
(7)争点(7)(未払報酬額ないし過払報酬額)
(原告らの主張)
原告ら一人当たりの報酬①ないし報酬③に係る未払報酬額は,それぞれ別
紙1ないし3の「差額」欄中の「原告ら」(報酬②については「原告ら(主位的)」)欄右の「一人当たり」欄末尾の合計金額のとおりであり,その合計は1004万3026円である。そして,同額から原告らが個別に受領した既払金(前記(4)(原告らの主張)ウ参照)を控除した各原告の未払報酬額は,別紙原告ら請求額内訳「個人別請求額」欄に各記載のとおり,原告Aが
847万9821円,原告B及び原告Dが各916万3409円,原告Cが872万3600円である。
(被告の主張)
原告らの報酬①ないし報酬③に係る過払報酬額ないし未払報酬額は,それぞれ別紙1ないし3の「差額」欄中の「被告」欄末尾の合計金額のとおりで
ある。そして,別紙過払い額等一覧表のとおり,報酬①ないし報酬③に係る過払報酬額ないし未払報酬額から解決金として支払った金額(前記(4)(被告
の主張)ウ参照)を控除すると,原告ら合計で947万円5060円の過払いとなっており,原告ら一人当たりの過払報酬額は236万8765円である。

第3
1
争点に対する判断
認定事実
前記前提事実のほか,証拠(括弧内に掲記のもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。

(1)5tionは,アーティストグループとして平成13年12月に韓国で結成された。原告Aは,グループ結成当初からのメンバーであり,平成24年
2月に原告Bが加入した。5tionは,平成24年8月,訴外K-Storyのもと,原告A,原告B,訴外Eほか2名をメンバーとして,日本においてアーティスト活動を開始したが,平成25年8月頃までには,原告A,原告B及び訴外E以外の2名のメンバー
(メインボーカル)
が脱退し,
同月,
新たに,原告C及び原告Dがメンバーとして加わった。(乙23,弁論の全趣旨)
(2)平成25年5月頃,原告A,原告B及び訴外Eは,5tionとしてライブ活動等を行っていても,訴外K-Storyからほとんど報酬をもらうことができなかったことから,訴外人物のあっせんにより被告との契約を被告
代表者に願い出た。(乙23,原告D本人,被告代表者本人)
(3)原告A,原告B及び訴外Eは,平成25年8月5日,被告との間で,マネジメント委託等を内容とする専属契約及び附属合意
(本件契約)
を締結した。
(甲1,2)
(4)原告C及び原告Dは,同月中旬頃,被告との間で,マネジメント委託等を
内容とする専属契約及び附属合意
(本件契約)
を締結した。
その際,
原告A,
原告B及び訴外Eが,原告C及び原告Dに対し,報酬に関する規定を中心に専属契約書及び附属合意書の内容を説明し,同人らはその内容を把握した上で,専属契約書及び附属合意書に署名した。(乙1,2,原告D本人)(5)原告ら及び訴外Eは,上記各契約後から同年10月までは,撮影やレコー
ディングを行い,同年11月から,被告の運営するライブ会場であるSHOW
BOXでのライブ活動を開始した。同月には,合計15回のライブを開
催した。(甲24)
(6)被告は,同年11月,12月,平成26年3月,5月,7月(6月分),8月(7月分及び8月分),11月(10月分)及び12月(11月分),原告ら及び訴外Eに対し,
SHOW

BOXでの公演等による報酬を支払い,

その際,報酬の内訳が記載された明細書を交付した(同年10月(9月分)
は明細書のみを交付した。)。(甲7ないし17)
(7)訴外Eは,平成27年2月,5tionを脱退した。そして,訴外Fは,同年3月,5tionに加入し,同年6月,5tionを脱退した。したがって,平成25年8月に本件契約が締結された後,5tionは,平成27年6月までは,原告ら4人を含む5人で活動し,それ以降は,原告ら4人で
活動している。(争いのない事実)
(8)被告代表者は,平成27年7月8日,原告らに対し,精算書(甲18別紙)を示して,原告らへの報酬が過払いになっている旨述べ,原告ら各自に同精算書に署名するよう求めたが,原告らは内容の確認を要するとして,署名しなかった。(甲18,原告D本人)

(9)原告らは,被告から,平成27年5月10日に各自20万円を,同年7月8日に各自50万円
(上記20万円と合わせて税込み87万9617円)
を,
それぞれ受領した。原告Aは,同月9日,被告から54万4000円(税込み68万3588円)を受領した。また,原告Cは,平成26年に被告から35万円(税込み43万9809円)を受領していた。(乙4)

(10)本件契約は,
遅くとも,
平成27年8月5日の経過をもって終了した。
(甲
1,3)
2
争点(1)(報酬①及び報酬②の算定において収益から経費を控除すべきか)について

(1)前記前提事実(3)アないしウによれば,原告らと被告との間で締結された専属契約書(甲1,乙1,2)10条では,「収益の分配など」との表題のもと,「収益分配の対象となる収益は,5tionの芸能活動で発生したすべての収入から,5tionの公式的な芸能活動の現場で直接的に要する費用(車両維持費,衣食住の費用,交通費などの芸能活動の補助・維持のため
に必要的にかかる実費)と広告手数料などを支出した費用を差し引いた金額をいう。」旨規定されている。また,専属契約書16条では,「被告と5t
ionは,この契約の内容を補充したり,この契約で定めない事項を規定するため,附属合意書を作成することができる。」旨定め,これを受けて,附属合意書(甲2,乙1,2)1項ないし3項において,「収益の分配など」という表題のもとに,SHOW
BOXでの公演の収益等の分配について規

定されている。
以上のとおり,専属契約書では,収益分配の対象となる「収益」を収入から費用を差し引いた金額として一義的に明確に規定しているところ,附属合意書は,あくまで専属契約書の内容を補充したり,専属契約書で規定されていない事項を規定するためのものにすぎないのであるから,このような専属
契約書及び附属合意書の規定の仕方からすれば,附属合意書1項ないし3項における分配の対象となる「収益」は,専属契約書10条3項に定める「費用を差し引いた金額」と解するのが自然であり,これに反して,附属合意書1項及び2項において,SHOW

BOXでの公演による収益及びSHOW

BOXでの写真撮影等による収益について,専属契約書における定義とは異なる定めをしたものとうかがわせる事情は特に認められない。以上に加え,分配の対象となる金額の算出にあたっては,収益から経費を控除するのが一般的であり,
当事者の合理的意思解釈にも合致するものと考えられるところ,
本件の報酬①及び報酬②において,収益から経費を控除しないものと殊更に合意すべき事情は特に認められないことも考慮すれば,附属合意書1項及び
2項における分配の対象となる収益とは,専属契約書10条で定められているように,収入から経費を控除した金額をいうものと解すべきである。したがって,報酬①及び報酬②の算定においては収益から経費を控除すべきものと認めるのが相当である。
(2)原告らの主張について


原告らは,附属合意書の内容は専属契約書で定められた内容に優先する
ものとして合意されているところ,原告らと被告は,専属契約書10条で
は本来予定されていない芸能活動であるSHOW

BOXにおける公演活

動に関する収益の分配方法を定めるべく,附属合意書1項及び2項を規定したものである旨,
また,
報酬③では経費について言及しているのに対し,
報酬①及び②では言及していないことからすれば,報酬①及び報酬②については,売上から経費を控除しないものと合意していたことは明らかであり,その趣旨は,報酬③では経費の予測が困難なため事後的に経費を売上から控除することとしたのに対し,報酬①及び②では経費の予測が可能であったため,
経費分も含めて分配比率を決定したものである旨を主張する。
しかしながら,専属契約書4条において,5tionの芸能活動が「作
詞・作曲・演奏・歌唱などミュージシャンとしての活動」(1項),「舞台公演」(3項)とされていること,附属合意書8項において,5tionは,SHOW

BOXでの公演を義務的に1か月に10回から12回以

上を公演する旨規定されていること,
実際にも,
前記認定事実(5)のとおり,
5tionは本件契約後に初めてライブを開催した11月には合計15回のライブをSHOW
OW

BOXにおいて開催していることからすれば,SH

BOXでの公演は,むしろ原告らの主たる活動と認められるから,
SHOW

BOXにおける芸能活動が専属契約書10条において本来予定

されていない芸能活動ということはできない。
また,報酬③では経費について言及しているのに対し,報酬①及び②では言及していないが,
そのことのみをもって専属契約書における明確な
「収
益」の定義とは異なる定めをあえてしたものと解することはできないところ,専属契約書10条及び16条を踏まえれば,いずれの収益についても経費を控除するものと解すべきであることは前記(1)のとおりである。イ
また,原告らは,被告が,実際にも,報酬①については経費を控除する
ことなく報酬を支払っており,報酬③については経費を控除して報酬を支払っていたことから,被告自身が報酬①及び②については,運営経費を控
除せずに総売上を基に報酬を算定することを認識していたとも主張する。しかしながら,明細書(甲7~17)によれば,報酬①については経費を控除していなかったものの,原告らと被告との分配比率については附属合意書に定められた割合とは異なっており,また,報酬②については経費を控除していたものであり,いずれも実際の算定は附属合意書の定めとは
異なっており,原告らの指摘する点は上記認定を左右するものではない。ウ3
よって,上記原告らの主張は採用できない。

争点(2)(報酬②における原告らへの分配の割合)について
(1)前記前提事実(3)イ及びウによれば,原告A,原告B及び訴外Eと被告との間で締結された附属合意書(甲2)2項には,「SHOW

BOXでの

公演の収益以外の写真撮影,物品販売などの収益の分配は,被告が20%,5tionが80%とする。」旨規定されているのに対し,原告C及び原告Dと被告との間で締結された附属合意書(乙1,2)2項には,「SHOWBOXでの公演の収益以外の写真撮影,物品販売などの収益の分配は,被告が30%,5tionが70%とする。」旨規定されていることが認められる。
(2)また,前記認定事実(3)及び(4)によれば,原告C及び原告Dと被告との間で締結された附属合意書が時間的に後であること,原告A,原告B及び原告Eが原告C及び原告Dに附属合意書の内容を説明し,同人らはその内容を把
握した上で附属合意書に署名したことが認められ,
これらの事実からすれば,
原告ら4名は,原告C及び原告Dと被告との附属合意書(乙1,2)2項においては,分配割合を被告が30%,5tionが70%とされていることについて理解していたものと認められる。そうすると,原告C及び原告Dと被告との間では,附属合意書(乙1,2)2項の記載どおりの合意がされた
ものと明らかに認められるし,また,5tionのメンバー内で被告との分配割合が異なるのは不合理である(原告ら自身も,「これまで被告から報酬
が支払われた際に,原告A及び原告Bと,原告C及び原告Dとの間で,特段の差異を設けて支給された事実はなく,原告らは,全員同額の分配金を受領していた」旨主張している。)から,原告C及び原告Dと被告との間で附属合意書が締結された時点で,原告A及び原告Bと被告との附属合意書2項の分配割合も,被告が30%,5tionが70%とすることに変更する合意
がなされたものと認めるのが相当である。
よって,
報酬②における原告らへの分配割合は70%であると認められる。これに反する原告らの主張は採用できない。
4
争点(3)(平成27年3月の被告による公演開催義務違反の有無)について原告らは,被告が,附属合意書8項によって,原告らに対し,SHOW
B
OXにおける公演を1か月当たり(最低でも)10回以上開催する義務を負っているところ,平成27年3月は,SHOW

BOXにおける公演は一切開催

されなかったため,公演開催義務に違反していると主張する。
そこで検討するに,附属合意書(甲2,乙1,2)8項は,「5tionは,SHOW

BOXでの公演は義務的に1か月に10回から12回以上を公演す
るものとする。」旨規定していることが認められ,SHOW

BOXでの公演

を義務的に行うこととされている主体は,原告らであり,被告とはされていない。したがって,被告が公演開催義務を負っていることを前提とする原告らの上記主張は採用できない。
原告らは,この規定は,裏を返せば,被告が専属契約におけるマネジメント義務の一内容として,原告らに対して公演をする機会を保証していたことにほかならず,
被告はSHOW

BOX公演の開催義務を負っていたと主張するが,

上記規定は,あくまで原告らの義務を規定するのみで,専属契約書及び付属合意書の他の規定をみても,被告がSHOW
BOXでの一定回数の公演の開催

を原告らに保証するかのような規定は存在しないから,上記認定を左右するものではない。

5
争点(4)(報酬①ないし報酬③における売上,経費及び既払金の額)について
(1)基本的な認定方法

報酬①ないし報酬③における売上,経費及び既払金の額について,原告
らは,明細書(甲7ないし17)がある期間については同各明細書に記載された金額を主張する(ただし,報酬①及び報酬②の経費を除く。)のに対し,被告は,被告及びスーパーリッチ社の総勘定元帳(乙7ないし18)に記載された金額を主張する。

そこで,まず売上及び既払金について検討するに,被告及びスーパーリ
ッチ社の総勘定元帳はその記載内容に照らして一応信用できるものと考えられるが(なお,原告らも明細書がない期間については,上記総勘定元帳に基づき売上を主張している。),被告が原告らに交付した明細書(甲7ないし17)は,被告が公演等の行われた月の直後に自ら作成し,ほぼ毎月にわたって原告らに交付していたものであること,その記載内容も報酬①ないし報酬③に対応して,SHOW
BOXでの公演,SHOW

Xでの写真撮影(チェキ),SHOW

BO

BOX以外での公演等に分けて,

収益や運営経費等が1円単位で記載され,5tionメンバー(原告ら及び訴外E)各人の受領額が記載されていること,被告及びスーパーリッチ社の総勘定元帳(乙7ないし10)とも一部整合していること,その他その記載内容が信用できないものとすべき事情は特にうかがわれないこと,以上の事実からすれば,各明細書の売上及び既払金の記載は上記総勘定元帳よりも信用できるものといえる。
したがって,明細書が存在する期間については明細書記載の金額を採用し,明細書が存在しない期間ないし活動内容については,原告らが主張す
る限りで上記総勘定元帳記載の金額を採用するのが相当である。

次に,経費について検討するに,原告らは,被告及びスーパーリッチ社
の総勘定元帳の記載は不合理であり,報酬②の一部の経費を除いて信用できない旨主張する。そこで検討するに,前記前提事実(3)アのとおり,専属契約書10条において,「収益分配の対象となる収益は,5tionの芸能活動で発生したすべての収入から,5tionの公式的な芸能活動の現場で直接的に必要とされる費用(車両維持費,衣食住費用,交通費などの芸能活動の補助・維持のために必要的にかかる実費)と広告手数料などを支出した費用を控除した金額をいう。」旨規定されており,「直接的に必要とされる費用」との文言はあるものの,括弧内に例示された費用項目や「広告手数料など」との記載も併せて考慮すると,控除すべき費用(経
費)とは,5tionの芸能活動に関して生じる費用を広く含む趣旨と解するのが相当である。ここで,総勘定元帳に記載された経費の内容をみると,原告らが経費として計上することが不合理であると指摘する費用を含め,
いずれも5tionの活動に関して支出された費用であると認められ,被告においては,経理担当者が5tionの活動に関する経費を分類し,
税理士が定期的に事務所を訪問して分類についての指導等を行っていたものとうかがわれること(被告代表者本人)も踏まえると,総勘定元帳に記載されている経費が,原告らが不合理であると指摘する一部の費用を含めて,経費として計上することが不合理であり,売上から控除すべきものではないと認めることはできない。

したがって,経費に関する被告及びスーパーリッチ社の総勘定元帳は信用できるものといえ,そこに記載された金額を採用するのが相当である。上記総勘定元帳が信用できないとする原告らの主張は採用できない。なお,経費についても明細書記載の金額を採用する考え方もあり得るが(原告らは別紙3のとおり報酬③についてのみ明細書記載の金額を主張す
る。),明細書にはSHOW

BOXでの公演に関する経費については,

全く記載されていない月も多いところ,各人の報酬算定においては経費が
控除されていないことから,そもそも経費が発生しているのに記載が省略されていることがうかがわれる。また,SHOW

BOX以外での公演等

についても,経費が一切記載されていないものが多くみられる。そうすると,明細書における経費の額は,全体として総勘定元帳よりも信用できるとはいえないから,これを採用するのは相当でない。

以上を踏まえた報酬①ないし報酬③の売上,経費及び既払金の額は,以
下のとおりである。なお,個別の認定に係る事項については各項において詳述する。
(2)報酬①について
報酬①における売上,経費及び既払金の額は,それぞれ別紙1の「売上」欄中の「裁判所」欄,「経費」欄中の「被告」欄,及び「受け取った額」欄中の「原告ら」欄記載の各金額が,同各欄右の「証拠」欄記載の各証拠により認められる。
(3)報酬②について

報酬②における売上,経費及び既払金の額は,それぞれ別紙2の「売上」欄中の「裁判所」欄,「経費」欄中の「裁判所」欄,及び「受け取った額」欄中の「原告ら」欄記載の各金額が,同各欄右の「証拠」欄記載の各証拠により認められる。
なお,経費について,総勘定元帳(乙12)では,各月の「SHOWBO
X公演場賃館料」が計上されているところ,同費用はいずれも報酬①に関する経費を記載した総勘定元帳(乙11)にも計上されており,二重に計上されていることから,報酬②の経費からは同費用を除いた額を認定した。(4)報酬③について
報酬③における売上,経費及び既払金の額は,それぞれ別紙3の「売上」
欄中の「裁判所」欄,「経費」欄中の「裁判所」欄,及び「受け取った額」欄中の「原告ら」欄記載の各金額が,同各欄右の「証拠」欄記載の各証拠に
より認められる。
なお,「アメーバスタジオ」に関する経費について,被告は,総勘定元帳(乙14)記載の金額を主張するところ,同総勘定元帳記載の各費用は,いずれも報酬①に関する経費を記載した総勘定元帳(乙11)にも計上されており,二重に計上されていることから,報酬③の経費としては認定しなかっ
た。
また,「グッズ」に関する売上及び経費について,原告らは,損益報告書(甲19)に記載された金額を主張するところ,損益報告書は被告が作成して原告らに交付したものと認められるものの,平成26年11月までの集計結果であり,また,各月の金額は不明である。一方,総勘定元帳(乙10,
15,17,18)は期間及び内容において詳細であり,より正確であると考えられることから,総勘定元帳記載の金額を採用した。ただし,平成25年10月分のイイノホールでのグッズ販売分5250円については明細書(甲
7)と総勘定元帳(乙17の1)の双方に計上されていることから,同総勘定元帳に基づく認定においては同額を控除した額(6万円)を認定した。ま
た,平成25年6月及び7月の「DVD販売」(乙10の1)については,本件契約締結以前となることから,認定しなかった。
6
争点(5)(報酬①ないし報酬③の支払時期)について
(1)報酬①ないし報酬③の支払時期について,原告らは月ごとであると主張し,
被告は契約終了時であると主張する。
そこで検討するに,報酬の支払時期について,専属契約書及び附属合意書(甲1,2,乙1,2)には何ら定めがないところ,前記認定事実(2)のとおり,原告A及び原告Bは,以前契約していた訴外K-Storyから,ライブ活動等を行っていてもほとんど報酬をもらうことができなかったことから,
訴外人物のあっせんにより被告との契約を被告代表者に願い出て,本件契約締結に至ったものである。そして,前記認定事実(6)のとおり,被告は,原告
らがSHOW

BOXでのライブ活動を開始し収益を上げるようになった平

成25年11月以降,
同月,
12月,
平成26年3月,
5月,
7月
(6月分)

8月(7月分及び8月分),11月(10月分)及び12月(11月分)に,原告ら及び訴外Eに対し,
SHOW
BOXでの公演等による報酬を支払い,

その際,
報酬の内訳が記載された明細書を交付していたこと
(同年10月
(9
月分)は明細書のみを交付)が認められ,同年12月までは,概ね毎月報酬を支払っていた。また,明細書には当該明細書の対象とする期間が明示されるとともに,平成26年7月以降に交付された明細書(甲12ないし17)には,「6月収益精算書」,「7月分収益精算表」などと記載されているこ
と,その内容として,SHOW
真撮影(チェキ),SHOW

BOXでの公演,SHOW

BOXでの写

BOX以外での公演等に分けて収益等が記載

され,5tionメンバー(原告ら及び訴外E)各人の受領額が記載されていることが認められる。そして,これらの月々の支払が仮払金であり,後に改めて精算されるものである旨などが被告から原告らに伝えられていたといった事実は認められない(この点について,明細書を交付する度に仮払金であることを原告らに伝えていた旨の被告代表者の供述は,何らの裏付けがなく,上記の明細書の記載内容や原告D本人の供述とも矛盾するため信用できない。)。
そうすると,原告らと被告との間では,報酬の支払時期について,概ね月
ごとに支払う旨の合意があったものと認めるのが相当である。
(2)これに対して,被告は,韓国では,原告らのようなアーティストの専属契約を締結する場合には,一般に歩合制が多く採用され,日常生活に必要な経費は会社が支出し,ある程度の利益が出た時点で精算する方式が採用されているところ,被告も原告らの衣食住に関する費用を出捐していたし,また,
本件契約当時の5tionは,メインボーカルであった訴外G(芸名)の脱退により新人同然で多額の初期費用を要する状況にあり,精算方式が合理的
とされる典型例と同様の事情があったから,精算方式により収益を分配する合意がされている旨,また,専属契約期間中に原告らに金員を交付していたことは,原告らの希望に応じた暫定的なものであるから,精算方式が採用されていたこととは矛盾しない旨を主張する。
しかしながら,韓国でのアーティスト専属契約における一般的な収益の分配方式がただちに本件の専属契約に当てはまるものではなく,
上記のとおり,
本件契約には報酬の支払時期について何らの規定はなく,精算方式によるべきことが推認される規定も存在しない。また,5tionは,前記5の別紙1ないし3のとおり,本件契約締結の3か月後の11月には500席のイイ
ノホール(甲22)でコンサートを開いた上,SHOW

BOXでも15回

のライブを開催し(甲24),その後も安定してライブ活動等を行い,売上を上げていたことが認められるから,本件契約締結と前後して,メインボーカル2名が脱退するという状況の変化があったことを考慮しても,被告が主張するところの精算方式が合理的とされる典型例(新人ないし新人同然の場合)とは大きく異なる状況にあったといえる。また,被告の認識としても,メインボーカルのうち1名(アーティスト名「G」)が脱退したのは原告A及び原告Bが被告と本件契約を締結した後であった(乙23,被告代表者本人)というのであるから,被告も,当該契約締結時点では,5tionが新人同然という認識ではなかったものと推認される。さらに,被告が原告らの
衣食住に関する費用を出捐していたとしても,それらを月々の経費として収益から控除する方式がただちに排除されるものではないし,
前記(1)のとおり,
被告は平成25年11月から平成26年12月までは,毎月のように原告らの報酬を算定して支払を行っていたところ,その支払が暫定的なものであることを示すものはなく,かえって,報酬を算定の上,支払うべき報酬がなか
った場合にも,明細書のみを交付していること(甲15),平成26年10月以降に交付された明細書(甲15~17)には「受領額」欄のほか「仮払
金」欄が設けられているところ,算定された報酬は「受領額」欄に記載されていること,といった事情からすれば,上記支払は暫定的なものではなく,月ごとに精算の上,確定的に支払われたものと認めるのが相当である。以上述べたところからすれば,報酬支払時期を契約終了時の精算方式とする被告の上記主張は採用できない。

7
争点(7)(未払報酬額ないし過払報酬額)について

(1)報酬①について
別紙1の各月につき,「支給すべき額」欄中の「裁判所」欄記載の各金額(売上より経費が上回った月については0円。小数点以下は四捨五入。以下同じ。)から「受け取った額」欄中の「原告ら」欄記載の各金額を控除した「差額」欄中の「裁判所」欄記載の各金額が,未払報酬額ないし過払報酬額である。そして,原告ら一人当たりの同各金額は同欄右の「一人当たり」欄記載のとおりであり,その合計額は過払報酬額が253万0473円となっている。

なお,前記認定事実(7)のとおり,平成25年8月に本件契約が締結された後,5tionは,平成27年6月までは原告ら4人を含む5人で,それ以降は原告ら4人で活動していたものであるから,同月までの一人当たりの報酬は各人20%ずつと,同年7月以降の一人当たりの報酬は各人25%ずつと計算するのが相当である。

(2)報酬②について
別紙2の各月につき,「支給すべき額」欄中の「裁判所」欄記載の各金額から「受け取った額」欄中の「原告ら」欄記載の各金額を控除した「差額」欄中の「裁判所」欄記載の各金額が,未払報酬額である。そして,原告ら一人当たりの同各金額は同欄右の「一人当たり」欄記載のとおりであり,その
合計額は未払報酬額が451万1639円となっている。
(3)報酬③について

別紙4の各月につき,「支給すべき額」欄記載の各金額から「受け取った額」欄記載の各金額を控除した「差額」欄中の「裁判所」欄記載の各金額が,未払報酬額ないし過払報酬額である。そして,原告ら一人当たりの同各金額は「一人当たり」欄記載のとおりであり,その合計額は未払報酬額が131万5431円となっている。なお,別紙4は,別紙3の「売上」及び「経費」欄中の各「裁判所」欄,並びに「受け取った額」欄中の「原告ら」欄を抜き出した上,月ごとに並び替えて,「支給すべき額」及び「差額」を計算したものである(なお,被告から明細書が配布されていた時期においては明細書が配布された月ごとに整理するのが相当である。)。また,前記前提事実(3)
のとおり,附属合意書(乙1,2)3項には,報酬③につき,5tion(5人)の50%の分配金は,それぞれ訴外E25%,原告A25%,原告B25%,原告D及び原告C25%(1/2)ずつ分配することとする旨の定めがあったが,被告は,明細書(甲7~17)に基づく支払において,上記規定に反して,各人につき20%ずつの均等配分としていたことから,被告と
原告らとの間では,各メンバーについて均等配分とする合意がなされていたものと認められる
(原告ら自身も均等配分を前提とした主張をしている。。

(4)合計額

原告らは,報酬①における過払報酬債務と報酬②及び報酬③における未
払報酬債権とを相殺した上で,なお残存する未払報酬債権を請求していることはその主張から明らかであるところ,報酬①ないし報酬③における未払報酬額の合計は一人当たり329万6597円であると認められる。イ
原告Aの未払報酬額
前記認定事実(9)のとおり,
原告Aは合計156万3205円を個別に受

領しているから,原告Aの未払報酬額は,上記金額を控除した173万3392円であると認められる。

原告B及び原告Dの未払報酬額

前記認定事実(9)のとおり,
原告B及び原告Dはそれぞれ合計87万96
17円を個別に受領しているから,原告B及び原告Dの未払報酬額は,それぞれ上記金額を控除した241万6980円であると認められる。エ
原告Cの未払報酬額
前記認定事実(9)のとおり,
原告Cは合計131万9426円を個別に受

領しているから,原告Cの未払報酬額は,上記金額を控除した197万7171円であると認められる。
(5)商事債務
被告の未払報酬債務は商行為によって生じた債務であるから,その遅延損害金利率は商事法定利率年6分の割合による(商法514条)。

第4

結論
以上によれば,
その余の点について判断するまでもなく,
原告らの本訴請求は,

主文の限度で理由があるからこれらを認容し,原告らのその余の本訴請求及び被告の反訴請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第47部

裁判長裁判官


裁判官


裁判官

髙中康人俊彦慎平櫻
別紙

本訴原告・反訴被告

事者目録
A
(以下「原告A」という。)

本訴原告・反訴被告

B
(以下「原告B」という。)

本訴原告・反訴被告

C
(以下「原告C」という。)

本訴原告・反訴被告

D
(以下「原告D」という。)

上記4名訴訟代理人弁護士

池田尚弘同八田博司
本訴被告・反訴原告

株式会社藝元
(以下「被告」という。)

同訴訟代理人弁護士

山縣同植敦木彦亮
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