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殺人未遂被告事件
事件番号平成30(わ)331
事件名殺人未遂被告事件
裁判年月日平成30年9月25日
法廷名札幌地方裁判所
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平成30年9月25日宣告
平成30年(わ)第331号

殺人未遂被告事件
判決主文
被告人を懲役3年に処する
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,妻であるA(以下「被害者」という。当時83歳)と同居して生活していたが,共に高齢であることやその健康状態等から,夫婦二人の将来を悲観して,被害者と無理心中しようと考え,平成30年1月20日午前零時頃,北海道小樽市a丁目b番c号甲d号室の当時の被告人方において,被害者に対し,殺意をもって,その顔面,頭部,頸部等を文化包丁(刃体の長さ約16.8センチメートル)で多数回切り付けるなどしたが,自らの意思により被害者を助けるため119番通報を行ったことから,被害者に全治約2週間を要する顔面,頭部,頸部切創等の傷害を負わせたにとどまり,被害者を死亡させるに至らなかった。
(法令の適用)
罰刑条種の選
刑法203条,199条


有期懲役刑

法律上の減軽

刑法43条ただし書,68条3号

刑の執行猶予

刑法25条1項

訴訟費用の不負担

刑事訴訟法181条1項ただし書

(量刑の理由)
被告人は,就寝中で無防備・無抵抗の被害者に対し,その顔面,頭部,頸部等を包丁で多数回切り付けるなどしたものであって,その態様は,生命に関わる多量の出血のおそれをも含む危険なものであるといえる。しかし,被告人は,強固な殺意に基づいて攻撃を継続したわけではなく,自ら119番通報をしたため,被害者が負ったけがは幸いにも全治約2週間という比較的軽いものにとどまった。なお,弁護人は,被告人が犯行後119番通報をしたことから被告人には自首が成立する旨主張するが,その通報内容からすれば,被告人が捜査機関に対して自己の犯罪事実を申告したとは評価できないから,被告人に法律上の自首は成立しない。本件に至る経緯を見ると,被害者の意思や事情を十分考えることなく,無理心中を決意して殺害しようとしたことは身勝手と言わざるを得ない。もっとも,被告人が,高齢で聴覚に障害を抱える妻と二人で暮らしており,両名の健康状態も悪化した上,その子らとの関係が断絶し,孤立した状況にあり,将来を悲観していた中で,解決策が見出せず,精神的に追い詰められて突発的に本件に及んでしまった点には酌むべき点もある。
以上によれば,配偶者に対する殺人未遂(単独犯)の事案の中で,本件は重い部類に属するものではない。その上で,被害者が被告人を許していること等も考慮して,主文の執行猶予判決が相当であると判断した。
(検察官

大友隆,長谷川麻理,国選弁護人

鷲見悠〔主任〕,磯田丈弘

席)
(求刑

懲役4年)

平成30年9月25日
札幌地方裁判所刑事第1部

裁判長裁判官

島戸
裁判官

平手純健太郎
各出

裁判官

亀井直子
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