判例検索β > 平成30年(わ)第306号
強盗致傷被告事件
事件番号平成30(わ)306
事件名強盗致傷被告事件
裁判年月日平成30年10月1日
法廷名札幌地方裁判所
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平成30年10月1日宣告
強盗致傷被告事件
主文
被告人を懲役3年6月に処する
未決勾留日数中80日をその刑に算入する。
札幌地方検察庁で保管中の包丁1本を没収する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,金品を強取しようと考え,平成30年3月31日午後7時38分頃,北海道江別市内のA方玄関において,宅配業者を装い,応対に出たA(当時77歳)に対し,持っていた包丁の刃先を同人に向けた状態で示して脅迫し,その反抗を抑圧して金品を強取しようとしたが,同人が被告人の身体を押すなどして室内に逃げ込んだため,その目的を遂げず,その際,Aに全治約11日間を要する左手第一指切創の傷害を負わせたものである。
(証拠の標目)
(略)
(法令の適用)
被告人の判示行為は刑法240条前段に該当するところ,所定刑中有期懲役刑を選択し,なお犯情を考慮し,同法66条,71条,68条3号を適用して酌量減軽をした刑期の範囲内で被告人を懲役3年6月に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中80日をその刑に算入し,札幌地方検察庁で保管中の包丁1本は,判示強盗致傷の用に供した物で被告人以外の者に属しないから,同法19条1項2号,2項本文を適用してこれを没収し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
(量刑の理由)
本件は,被告人が,民家を狙い凶器を用いて強盗を実行しようとし,その際家人
に傷害を負わせたという強盗致傷の事案である。
被告人は,被害者の抵抗によりあえなく金品奪取に失敗しており,稚拙な面も認められるが,包丁等を持参した上,一人暮らしの高齢女性の家に目星をつけ,宅配業者を装って被害者を玄関口に呼び出すなど相応の準備や工夫をしており,脅迫の態様も危険なものといえる。犯行の結果については,傷害は比較的軽いものにとどまっているが,被害者は大きな精神的苦痛を被っており,決して軽微とはいえない。被告人は,借金の返済に窮し,闇金融業者からたびたび脅迫的な要求を受け,追い詰められた末にやむなく犯行に及んだ旨述べているが,その発端はパチンコなどの浪費にあったのであるから,動機は身勝手といわざるを得ない。
これらの事情に鑑みると,本件は,同種事案の中では,相対的に軽い部類に属するとはいえ,一定の実刑はやむを得ない。
そして,以上のほか,被告人に前科はなく,反省と謝罪の態度を示していること,生活面においては債務整理を進めていることなども併せて考慮し,その刑期については,主文程度が相当であると判断した。
(求刑・懲役6年,主文同旨の没収

弁護人の科刑意見・懲役3年,執行猶予)

平成30年10月1日
札幌地方裁判所刑事第3部

裁判長裁判官

駒田秀和
裁判官

坂田正史
裁判官

先﨑春奈
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