判例検索β > 平成30年(ワ)第13381号
不正競争行為差止請求事件 不正競争 民事訴訟
事件番号平成30(ワ)13381
事件名不正競争行為差止請求事件
裁判年月日平成30年12月26日
法廷名東京地方裁判所
裁判日:西暦2018-12-26
情報公開日2019-01-22 12:00:09
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平成30年12月26日判決言渡

同日原本領収

裁判所書記官

平成30年(ワ)第13381号

不正競争行為差止請求事件

口頭弁論終結日平成30年10月29日

当事者の表示


別紙1当事者目録記載のとおり

主文1
原告の請求をいずれも棄却する。

2
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由

第1

請求

1被告は,
別紙2被告商品目録記載の商品を製造し,
輸入し,
譲渡し,
引き渡し,
又は譲渡若しくは引渡しのために展示してはならない。
2被告は,別紙2被告商品目録記載の商品を廃棄せよ。
第2
事案の概要

1本件は,原告が,医療機器である携帯用ディスポーザブル低圧持続吸引器として原告の販売する別紙3原告商品目録記載の商品(廃液ボトル及び吸引ボトルで構成されているものであり,以下原告商品という。
)の形態について,原告の商品等表
示として需要者の間に広く認識されており,
同様の医療機器として被告の販売する別
紙2被告商品目録記載の商品
(廃液ボトル及び吸引ボトルで構成されているものであ

り,以下被告商品という。
)の形態が原告商品の形態と類似し,被告による被告商
品の製造販売は,原告商品と混同を生じさせる行為であって,不正競争防止法(以下不競法という。
)2条1項1号の不正競争に当たる旨を主張して,被告に対し,同法3条1項及び2項に基づき,被告商品の製造,輸入,譲渡,引渡し,又は譲渡若しくは引渡しのための展示の差止め並びに被告商品の廃棄を求める事案である。
2前提事実(当事者間に争いのない事実)
⑴当事者
原告は,各種合成樹脂,同製品の製造,販売等を業として行う株式会社である。被告は,医薬品,医療機器等の製造,販売及び輸出入等を業として行う株式会社である。
⑵原告商品及び被告商品の製造販売
原告は,
昭和59年から,
SBバック
という製品名で携帯用ディスポーザブル低
圧持続吸引器を構成する各機器又はそれらの機器一式(以下,これらを総称してSBバックという。)を製造し,販売している。SBバックのうちの排液ボトル及び吸引ボトルで構成されているものが原告商品であり,別紙4原告商品説明書記載1⑴の写真の向かって左側が排液ボトル,右側が吸引ボトルである。

被告は,平成30年1月頃から,被告商品を製造し,販売している。被告商品については,別紙5被告商品説明書1⑴の写真の向かって左側が排液ボトル,右側が吸引ボトルである。
⑶原告商品及び被告商品の形態
原告商品の形態及び寸法は,別紙4原告商品説明書に記載のとおりであり,被告商
品の形態及び寸法は,別紙5被告商品説明書に記載のとおりである。両商品を対比した写真は,別紙6原告商品と被告商品の対比写真のとおりである。3争点
⑴原告商品の形態が周知な商品等表示といえるか(争点1)⑵原告商品の形態と被告商品の形態とは類似するか(争点2)
⑶被告商品の製造販売は,原告商品と混同を生じさせるか(争点3)第3

争点に対する当事者の主張

1争点1(原告商品の形態が周知な商品等表示といえるか)について【原告の主張】
⑴携帯用ディスポーザブル低圧持続吸引器には様々な形態のものがあるが,原告商品の形態には,主たる構成として2つの透明のボトルから成る点,取り分け,直方体の排液ボトル,
丸みを帯びた略立方体の吸引ボトル本体及びその上部に取り付けられた球体のゴム球体という形状の異なる3つのパーツをまとまりよく一体化して構成されている点に他の製品にはみられない特徴があり,
原告独自の顕著な特徴を有す
るものである。
⑵原告は,昭和59年から平成30年1月の被告商品の販売まで,原告商品を独占的に製造し,販売してきており,広く原告商品の販売促進活動を行って普及に努めてきた。その一例として,原告は,多くの病院において,原告商品のイラスト等を用いた説明資料を配布して,原告商品の機能,特徴や使用方法を説明する説明会を数多く開催し,医療従事者への原告商品の普及,浸透に努めてきた。原告の販売促進の努力の結果,
携帯用ディスポーザブル低圧持続吸引器の代表的な商品として知られるよ
うになり,医療従事者に広く使用されている。原告商品は,近年のポータブル低圧持続吸引器国内市場において30%程度のシェアを有している。
また,原告商品の形態は,発売当初より教科書的な文献を含め多くの書籍,雑誌等に掲載されている。
⑶その結果,原告商品の形態は,昭和61年には原告の商品の形態であると需要
者から広く認識されるに至っており,周知な商品等表示(不競法2条1項1号)に該当する。
⑷被告は,原告商品の形態がその機能及び効用を発揮するために必然的,不可避的に採用せざるを得ないものであると主張するが,
携帯用ディスポーザブル低圧持続
吸引器としての機能は、人体創腔からの滲出液を吸引排出することであり,その機能
を発揮するための形態としては,
材質の選択,
透明または不透明,
(ボトルを必要とし
ても)ボトルの数・形状・大きさ,目盛の有無・入れ方等々,その形態選択には無数の選択肢があることから,
原告商品の形態が商品の機能及び効用を発揮するために必
然的,不可避的な形態のものであるということはできない。
また,被告は,医療機器である原告商品が需要者である医療従事者に販売される際
に,
医療従事者に対して訴求されるべき要素は商品の形態ではなく商品の機能であり,需要者が着目するのも商品の機能面での特徴であるから,
原告商品の形態自体が出所
表示機能を有することはないと主張するが,医療機器であっても,需要者である医療従事者が形態に着目して商品を選択することは行われており,商品形態が出所表示機能を有し得ることは他の商品と変わらない。特定の商品の形態が同種の商品と識別し得る独自の特徴を有し,かつ,長期間にわたり継続的にかつ独占的に使用されるなどした場合には,
商品の形態は自他識別機能や出所表示機能を有するに至り得るというべきである。
【被告の主張】
⑴原告商品は,医療従事者を需要者とする医療機器であり,医療従事者が,患者の生命及び身体の安全に関わる医療機器を選定するに当たって重視するのは,当該商
品の機能であってその形態ではないこと,原告商品の取引の流れやその際の包装形態,原告商品自体に商品名及び原告の会社名が表示されていることなどから,原告商品の形態は,自他識別機能及び出所表示機能をおよそ備えていない。
原告商品の形態は,
携帯用ディスポーザブル低圧持続吸引器としての機能及び効用
を発揮するために選択されたものであり,同種製品でも採用されている一般的なあり
ふれた形態を組み合わせたものにすぎないから,原告商品の形態は,独自の特徴を有しているとはいえない。
⑵原告商品の形態が掲載されている書籍等においては,原告商品の形態のみが掲載されているのではなく,
常に原告の会社名や商品名も併せて記載されており,
また,
書籍等に掲載されている原告商品の画像の大半から,原告商品に商品名が表示されて
いることが見てとれるのであるから,原告商品の形態自体が,その形態のみで出所表示機能を発揮しているのではない。
⑶原告商品の形態は,単に機能を発揮する観点から選択されたにすぎず,その機能及び効用を発揮するために必然的,不可避的に採用せざるを得ない商品形態である。⑷したがって,原告商品の形態は,それ自体が出所表示機能を有するものではな
く,その機能及び効用を発揮するために必然的,不可避的に採用せざるを得ない商品形態であるから,商品等表示には当たらない。
2争点2(原告商品の形態と被告商品の形態とは類似するか)について【原告の主張】
被告商品の形態は,原告商品の形態とほぼ全部において同一であり,被告が主張する点は細部の差違にすぎないから,両商品の形態は類似する。
【被告の主張】
原告商品及び被告商品の双方において,商品本体にそれぞれの商品名及び会社名が表示されており,かかる商品名及び会社名の表示が,その形態に結びついて出所表示機能を発揮していること,また,商品名の表示及び会社名の表示の外観が原告商品のものと被告商品のものとで大きく異なっていること,原告商品と被告商品とは色彩が
異なること,仮に需要者が原告商品及び被告商品の形態に着目するとしても,主として着目されるのは原告商品と被告商品の機能上の差異をもたらす箇所であるところ,被告商品は原告商品と異なる機能を有しており,その機能の差異があることから原告商品と被告商品は外観及び形態上異なるものとなっていることからすると,原告商品と被告商品は類似するとはいえない。

3争点3(被告商品の製造販売は,原告商品と混同を生じさせるか)について【原告の主張】
被告商品の形態は,
原告の商品等表示である原告商品の形態に酷似するものである
から,被告商品に接した需要者において,被告商品を原告商品又は原告のシリーズ商品,
原告のグループ会社の商品又は原告のライセンス商品であるとの誤認混同が生ず
るおそれが高い。
被告は,医療機器の取引の流れに照らせば,需要者である医療従事者が,商品の購入に際して,
その形態に着目することにより原告商品と被告商品を誤認混同することはあり得ないと主張するが,医療従事者は,多くの医療機器を使いこなしているのであり,その医療機器の形態が類似していれば,取引の特殊性の有無にかかわらず原告
商品と被告商品とを誤認混同するおそれがあるというべきである。【被告の主張】
医療機関においては,多数の医療従事者が関与し,試用期間を設けて商品の機能や安全性等に着目して,慎重に医療機器の選定が行われ,製品名や規格等に着目して,販売代理店を通じた発注や物品の管理が行われるのであるから,通常,医療機器の購入に関して,商品の形態に着目されることはなく,形態を手がかりにして商品を購入することはない。
また,
医療機関においては,
一般に,
主として経済合理性の観点や,
使用方法の相違等による医療事故を防止し安全性を確保する観点から,用途が同じであり容量等が同様の医療機器については一種類のみを採用するという,いわゆる一増
一減ルールが採用され,実際上,一つの医療機関又は診療科において,原告商品と被告商品が同時に採用されるといった事態は生じ得ず,
医療従事者が原告商品と被告商

品を取り違え,使用方法を誤るといった事態の発生も想定し得ない。さらに,原告商品と被告商品にはそれぞれに商品名及び会社名が明確に表示されている。以上の原告商品及び被告商品の取引の実情を踏まえると,需要者である医療従事者において,原告商品及び被告商品の形態に着目して混同が生ずるおそれはない。したがって,被告商品の製造販売行為により,
需要者である医療従事者において原告商品との混同を生

じさせることはない。
さらに,原告及び被告は,医療機器の分野において,相当程度のシェアを有している競合企業同士であり,このことは医療従事者にとって公知の事実である。また,被告は,
被告商品を,
マルチチャネルドレナージポンプ
シリーズとして展開して

販売活動を行っており,その際,被告商品にArgyleとの商標を付しているから,需要者においては,被告商品に表示された被告の会社名や,被告商品に付されたArgyleとの商標を目にした場合,被告が製造販売しているシリーズ製品であることを即座に認識でき,
被告商品の形態から原告商品又は原告のシリーズ商品,
原告のグループ会社の商品又は原告のライセンス商品であると誤認するおそれはない。

第4
1
当裁判所の判断
事実認定
前記前提事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,証拠番号は特記しない限り枝番を含む。。

⑴原告商品について
ア原告商品は,医療機関において,手術後の患者の体内等に残留した体液等を体外に排出するために用いられる医療機器としてのドレナージ吸引装置である,携帯用
ディスポーザブル低圧持続吸引器SBバックのうちの排液ボトル及び吸引ボトルである。
イドレナージ吸引装置は,
吸引方法において,
バルーン吸引,
蛇腹
(バネ)
吸引,
握り型吸引等に分類され,そのうちの携帯用ディスポーザブル低圧持続吸引器には
様々な形態のものが存在する。
SBバックは,バルーン吸引の方法を用いるドレナージ吸引装置である。原告によって出願された,発明の名称を医療用吸引集液器とする特許権(特許出願公告番号昭63-1859号)に係る発明を商品化したものであるが,その特許出願公告公報(特公昭63-1859公報)には,発明の目的として,
本発明は,上述した従来の医療用吸引集液器にあつた種々の制約を解消せんとして,鋭意研究・検討した結果完成するに至つたものであり,その目的とするところは,創腔からの滲出液の集液量増加に伴う吸引圧の著しい低下がなく,常にほぼ一定の吸引圧を有し,使用中のトラブルで創部へ逆流する危険性がなく,携帯に便利な剛性容器で構成され,常時,排液量が精度良く直読できると共に,衛生的且つ操作性の優れた携帯型医療用吸引集液器を提供することにある。,発明の効果として,以上の如く本発明の医療用吸引集液器は,創腔からの滲出液の集液量増加に伴う吸引圧の変動が小さく,創腔に常に適切な陰圧を負荷でき,治癒促進効果が大きい。採取された滲出液が逆流する陽圧発生の危険がなく取扱い容易であり,集液ゾーンと陰圧保持ゾーンが分離され,集液貯留が全て剛性容器で行われる為,使用中は常に集液量測定を精度良く簡便に行うことができると共に,大部分の使用症例では途中の吸引再セット時の排液操作が必要なく,集液を追加できる。従つて,患者には治癒促進を,医療従事者には管理上の簡便さを提供できる理想的な医療用吸引集液器である。と記載されている。ウ原告は,
昭和59年から,
SBバックを,
その形態を変更することなく製造し,
販売している。
SBバックのように主たる構成として2つの透明のボトルから構成される形態は,平成30年1月頃に被告商品が販売されるまでは,SBバック以外の製品にはみられない形態であった。
エ原告は,SBバックの販売開始以来,平成14年頃から発行している医療機器の総合カタログ
(SBバックも掲載されている。を定期的に更新し,

医療機関に頒布
してきたほか,
少なくとも平成10年から医療機器の展示会等にSBバックを展示するなど,医療機関に対する説明会や個別の説明を常時実施してきた。
(以上につき,甲1,2,11,24ないし27,乙3,弁論の全趣旨)⑵原告商品の医療従事者向け書籍等への掲載状況
原告商品は,次のとおり,多数の医療従事者向け書籍等に掲載されてきた。ア外科病棟看護マニュアル(改訂第2版)
(株式会社医学教育出版社

昭和6

1年7月25日発行
(第2版)219頁には,

SBバックの紹介と取扱い方が写真付
きで掲載されている(甲3)


外科病棟マニュアル-病棟担当医のチューブマネージメント
(株式会社医

学書院

昭和63年11月1日発行)143頁には,
ポータブル持続吸引SBバックとの写真説明付きでSBバックの写真が掲載されている(甲4)。
ウ集中治療基本手技マニュアル
(株式会社南江堂
平成元年7月15日発行)

375頁には,
低圧持続吸引器の例としてSBバックが掲載され,
その特徴として
2ボトル方式で持続吸引可能と記載されている(甲5)


手術室ケアマニュアル第二版
(株式会社メディカ出版

平成10年10

月30日発行(第2版)
)346頁には,手術介助手順として,ドレナージについての
器械・器具の例としてSBバックが挙げられている(甲6)


図解ドレナージハンドブック
(株式会社中外医学社

平成7年11月1

0日発行)
11頁には,
ドレナージに必要な器具と材質陰圧ドレーン

として,
SBバックの写真が掲載されている(甲7)


ナースのためのチューブ管理マニュアル
(株式会社学習研究社

平成10

年12月25日発行)
213頁以下には,
ドレナージバックの例
としてSBバック
の写真が掲載され,その使用方法が説明されている(甲8)

キ改訂版/全科術前・術後マニュアル
(株式会社照林社

平成10年7月10

日発行(第2版)
)94頁には,
吸引ドレーン(SBバック)との写真説明付きでS
Bバックの写真が掲載されている(甲9)

ク続・まんがで見る手術と処置
(株式会社照林社

平成8年4月10日発行)

35頁には,
低圧持続吸引バッグ(SBバック)との説明付きでSBバックのイラストが掲載されている(甲10)


全科ドレーン管理マニュアル
(株式会社照林社

平成11年9月10日発

行)134頁以下には,
SBバックとの表題で,外観写真や構成の説明図ととも
に,使用部位・適応,装置の構成,各部名称と機能,使用手順,保守・点検,使用上の注意・トラブルシューティングが説明されているほか,販売元/資料請求先として原告の社名と連絡先が記載されている(甲11)

コ看護のための最新医学講座[第2版]16婦人科疾患
(株式会社中山書店

平成18年8月4日発行(第2版)
)308頁には,
携帯用ディスポーザブル低圧持続吸引器(SBバック)との写真説明付きで術後留置するドレーンの例としてSBバックの写真が掲載されている(甲12)

サ月刊ナーシングVol.23No.10
(株式会社学研プラス

平成1

5年9月20日発行)
6頁以下には,
心臓手術後ドレナージの解説として,
SBバック(住友ベークライト株式会社)との写真説明付きでSBバックの写真が掲載され,SBバックの機能と特徴,使用方法等について説明されている(甲13)。
シ最新ナースのための全科ドレーン管理マニュアル
(株式会社照林社


成17年9月20日発行)146頁以下には,ドレナージ吸引装置としてSBバックとの表題が付され,外観写真とともに,使用部位・適応,装置の構成,各部名称と機能,使用手順,保守・点検,使用上の注意・トラブルシューティングが説明されているほか,販売元/資料請求先として原告の社名と連絡先が記載されている(甲14)


ドレナージ管理&ケアガイド
(株式会社中山書店

平成20年8月4日

発行)4頁には,
代表的な吸引システムの1つとしてSBバック(住友ベークライト)との写真説明付きでSBバックの写真が掲載されており,SBバックがポータブル持続吸引器のうちのバルーンタイプを代表するものとされている(甲15)。

エキスパートナース・ガイド術後ケアとドレーン管理
(株式会社照林社

平成21年9月29日発行)261頁には,
SBバック(住友ベークライト)との
写真説明付きでSBバックの写真が掲載され,構造と使用方法が説明されている(甲16)


臨床に活かせるドレーン&チューブ管理マニュアル
(株式会社学研メディ

カル秀潤社,平成23年12月5日発行)189頁には,
SBバックとの説明付き
でSBバックの絵とドレーンの挿入部位及び留置位置の説明が記載されている(甲1
7)


まるごと知りたい手術と術後ケア
(エキスパートナース2012年11月

臨時増刊号)
(株式会社照林社

平成24年10月20日発行)11頁には,
SBバック(住友ベークライト株式会社)との写真説明付きでSBバックの写真が掲載されている(甲18)


ドレーン管理デビューはじめてでもすぐできるすぐ動ける
(株式会

社学研メディカル秀潤社,平成27年6月5日発行)126頁には低圧持続吸引システムのうちのポータブル持続吸引の例として,
SBバックを正面から撮影した写真が
掲載されている(甲19)

⑶被告商品について
被告商品は,平成30年1月から販売されている。被告商品は,被告において販売しているマルチチャネルドレナージポンプのなかのプレシジョン型であり,他のタイプとしては,
バルブ型フラップ型等がある(甲20)


⑷原告商品の形態と被告商品の形態との対比
原告商品の形態及び寸法は,別紙4原告商品説明書に記載のとおりであり,被告商品の形態及び寸法は,別紙5被告商品説明書に記載のとおりである。両商品を対比した写真は別紙6原告商品と被告商品の対比写真のとおりであるが,これを対比すると,以下のとおりである。
ア主たる構成
原告商品と被告商品は,主たる構成として,排液ボトル及び吸引ボトルの2つのボトルを有している点で共通する。

イ排液ボトル
共通点
原告商品と被告商品の排液ボトルは,①透明の縦長の直方体のボトルで,正面・背面から見ると四隅の角は円みを帯びている点,
②ⅰボトルの正面に,
排液ボトル

表示され,0ないし370mLまでに100mL単位の大きな目盛と数字,50mL
単位の中くらいの目盛,10mL単位の小さな目盛が入っている点,ⅱ正面右下に斜めに少量目盛として線5本が入っており,一番下の線と下から2番目の線の間に10,下から5番目の線の右上に50と表示されている点,③ボトル上面の,正面から見て左端奥の位置にやや広径の排液口があり,排液口にはふたが付いている点,④ⅰボトル上面の,中央部に集液ポートを取り付ける口があり,この中央部の口に短
く細い管状の集液ポートがはめられ,この集液ポートにチューブが接続することができる点,ⅱ集液ポートには,板クランプが取り付けられている点,⑤ボトル上面の,正面から見て右端手前付近に口があり,この口に連結チューブが接続されており,この連結チューブを介して吸引ボトルに連結されている点が共通する。相違点

原告商品と被告商品の排液ボトルは,①排液ボトルの目盛や文字の色が,原告商品では水色であるのに対し,被告商品では紺色である点,②排液ボトルの文字は原告商品では水色地に白抜きであるのに対し,被告商品では紺色の文字で表示されている点,③排液ボトルの表示位置が,原告商品では正面中央部であるのに対し,被告商品では正面左寄りである点が相違する。
ウ吸引ボトル
共通点
原告商品と被告商品の吸引ボトルは,①ⅰ透明の直方体のボトルで,排液ボトルと比べると,横幅は少し広く,高さは3分の2程度である点,ⅱ正面・背面から見ると四隅の角が円くカーブを描いている点,②正面に,吸引ボトルと表示され,また社
名,商品名が記載されている点,③ⅰボトル上面の,正面から見てやや右寄りの位置
にやや広径の口があり,この口に青系の色の球体であるゴム球が,ゴム球の下部から出ている短く太い管状の部分を介して接続されている点,ⅱゴム球の上部はボトル内の空気を排気することのできる短い管状の口が出ており,
排気弁が取り付けられてい
る点,④ボトル上面の,正面から見て左端奥の位置に口があり,ここに連結チューブが連結ポートを介して接続され,この連結チューブにより排液ボトルに連結されてい
る点,⑤ⅰボトル下面の中央の位置に,広径の口があり,キャップで開閉される構造となっている点,ⅱキャップには収縮チューブを介してバルーン(風船)が取り付けられており,
ゴム球を圧縮することによって内部の空気が排気され陰圧となった吸引ボトル内で膨張したバルーンが,
その復元力で生じる吸引圧によって体内の排液を排
液ボトルに吸引する構造となっている点が共通する。

相違点
原告商品と被告商品の吸引ボトルは,
吸引ボトルの文字や,社名,商品名等の文
字の色,ゴム球の色が,原告商品では水色の地に白抜き又は水色であるのに対し,被告商品では紺色である点が相違する。
エ寸法

原告商品の寸法と被告商品の寸法を表にすると,次のとおりであり,ほぼ同一の寸法である。
(単位:mm)
部位

原告商品

被告商品

130

130

59

59

183

183

④吸引ボトル幅

69

70

⑤ゴム球体直径(水平方向)

50

50

⑥排液ボトル奥行き

59

60

⑦吸引ボトル奥行き

60

60

⑧吸引ボトル下部のキャップ直径

35

35

①排液ボトル高さ
②排液ボトル幅
③吸引ボトル高さ

⑸ポータブル低圧持続吸引器国内市場における原告及び被告のシェアについて平成18年から平成28年までのポータブル低圧持続吸引器国内市場における原告のシェアは30%ないし40%であり,そのうちの8割ないし9割はSBバックであったから,SBバックの販売数量は同市場において30%程度を占め,業界首位であった。また,同市場における被告のシェアは約5ないし15%であった。(甲2,2
7)

⑹原告商品及び被告商品の取引態様について
ア原告商品及び被告商品のような医療機器は,一般に,専門家である医療従事者
が,医療機器の製造販売業者や販売業者の担当者から,当該医療機器の特色,機能,使用方法等に関する説明を受けて当該医療機器の購入を決め,医療機器専門の販売業者に対して当該医療機器を発注するというプロセスをたどって取引される。すなわち,
主として中規模以上の医療機関における医療機器の一般的な採用プロセスは以下のとおりである。

医療機器の製造販売業者や販売業者の営業担当者が,
医療機関を訪問し,
医師,
看護師等の医療スタッフのほか,医療機関の用度課等の医療機関における医療機器の調達や管理を行う部署の担当者に対して,新規に採用してほしい商品を紹介する。商品紹介により,医療機関が医療機器の新規採用を検討することとした場合,営業担当者は医療機関において,医師,看護師その他の医療従事者に向けた商品の説明会を開催する。
上記の商品説明会を経て,医療機関においては,新規に採用される可能性のある医療機器を,臨床において1週間ないし1か月程度試行的に使用する。この間,医師だけでなく,
かかる医療機器を使用する看護師やその他の医療スタッフが様々な角度から当該医療機器の評価を行う。
これらを経て,医療機関においては,医師,看護師,その他の医療スタッフや用度課の職員等から構成される材料委員会(名称は,各医療機関による。)が開催さ

れ,構成メンバーによる協議の上,医療機器を新規に採用することが決定される。なお,小規模の医療機関においても,営業担当者が医師等を訪問し,商品カタログや商品を用いて機能や安全性について説明を行った上,これを受けた医療機関は,臨床での試用を通じて,
機能や実際の使用に耐え得るか否かを確認した上で採用を決
定する点に変わりはない。

イ多くの医療機関においては,医療機器の使用について,いわゆる一増一減のルールが採用されている。ここで,一増一減のルールとは,主として経済合理性の観点や,使用方法の相違等による医療事故を防止し安全性を確保する観点から,用途が同じであり容量等が同様の医療機器については,一種類のみを採用するという原則的な取扱いのことをいう。

(以上につき,乙6,7,弁論の全趣旨)
⑺アンケート結果について
被告が,
医療機器の販売代理店の担当者及び医療機関の担当者に対して行った一般的な汎用医療機器の採用プロセスに関するアンケート調査の結果は,次のとおりである(原告は上記アンケート調査結果に疑問を呈するが,その正確性に疑問を生じさせ
る事情は認められない。。


医療機器の販売代理店の担当者10名に対して行った記入式アンケート調査結果によれば,
営業担当者が医療機関に対して商品を勧める際にアピールするポイントとして,
医療機器の性能,
安全性,
利便性,
使いやすさ,
価格等が挙げられている。
イ医療機関の担当者5名に対して行った記入式アンケート調査結果によれば,医療機器を新規に採用する際に重視される要素として,機能,価格,安全性,使いやすさ等が挙げられている。

医療機関及び医療機器の販売代理店の担当者107名に対して行った複数回
答制の選択式アンケート調査結果によれば,医療機器の新規採用時に重視するポイントとしては,価格,機能,品質,使い勝手,安定供給等が上位を占めている。(以上につき,乙6ないし8)
2争点1(原告商品の形態が周知な商品等表示といえるか)について⑴不競法2条1項1号は,
他人の周知な商品等表示と同一又は類似の商品等表示
を使用することをもって不正競争と定めたものであるところ,その趣旨は,周知な商品等表示の有する出所表示機能を保護するため,周知な商品等表示に化体された他人の営業上の信用を自己のものと誤認混同させて顧客を獲得する行為を防止すること
により,事業者間の公正な競争を確保することにある。商品の形態は,商標等と異なり,本来的には商品の出所を表示する目的を有するものではないが,商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有するに至る場合がある。そして,このように商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有し,
同号にいう
商品等表示
に該当するというためには,①特別顕著性を有すること,すなわち,商品の形態が客
観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有していること及び②周知性を備えていること,すなわち,その形態が特定の事業者によって長期間独占的に使用され,又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により,需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていることを要すると解するのが相当である。

もっとも,
商品の形態が商品の技術的な機能及び効用を実現するために他の形態を選択する余地のない不可避的な構成に由来する場合,そのような商品の形態自体が商品等表示に当たるとすると,
当該形態を有する商品の販売が一切禁止されることにな
り,結果的に,特許権等の工業所有権制度によることなく,当該形態によって実現される技術的な機能及び効用を奏する商品の販売を特定の事業者に独占させることにつながり,しかも,不正競争の禁止には期間制限が設けられていないことから,上記独占状態が事実上永続することとなる。したがって,上記のような商品の形態に商品等表示該当性を認めると,
不競法2条1項1号の趣旨である周知な商品等表示の有す
る出所表示機能の保護にとどまらず,商品の技術的な機能及び効用を第三者が商品として利用することまで許されなくなり,それは,当該商品についての事業者間の公正な競争を制約することにほかならず,かえって,不競法の目的に反する結果を招くこ
とになる。したがって,商品の形態が商品の技術的な機能及び効用を実現するために他の形態を選択する余地のない不可避的な構成に由来する場合には,商品等表示に該当しないと解するのが相当である。
⑵ア

これを本件についてみるに,前記認定のとおり,原告商品は,携帯用ディス
ポーザブル低圧持続吸引器であるSBバックのうちの排液ボトル及び吸引ボトルで構成されるものであるところ,携帯用ディスポーザブル低圧持続吸引器には様々な形態のものが存在する中で,
SBバックのように主たる構成として2つの透明のボトル
から構成される形態,取り分け,直方体の排液ボトル,丸みを帯びた略立方体の吸引ボトル本体及びその上部に取り付けられた球体のゴム球体という形状の異なる3つのパーツをまとまりよく一体化して構成されている形態は,平成30年1月頃に被告
商品が販売されるまでは,
SBバック以外の製品にはみられない形態であったのであ
り,吸引方法が異なる蛇腹(バネ)吸引や握り型吸引に属する吸引器はもとより,同じくバルーン吸引に分類される吸引器であり,株式会社メディコンが製造し,販売するデイボールリリアバックの形態もSBバックの形態とは,大きく異なっている
(甲11,
25,
乙4)そうすると,

原告商品の形態は,
①特別顕著性,
すなわち,

客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有していると認められる。これに対し,被告は,原告商品は,医療従事者を需要者とする医療機器であり,医療従事者が,
患者の生命及び身体の安全に関わる医療機器を選定するに当たって重視するのは,当該商品の機能であってその形態ではないことなどから,原告商品の形態は,自他識別機能及び出所表示機能をおよそ備えていない旨を主張する。しかしながら,医療機器であっても,その使用に当たっては商品の形態が使用感や使いやすさ,利便性等に大きな影響を与えるのであるから,医療機関が商品を選定する際に考慮要素になると考えられるのであり,このことは,被告が行ったアンケート結果においても,利便性(乙6の1)
,使いやすさ(乙6の2,3,9,乙7の2)
,使い勝手(乙
6の5,7,9,乙8の3)
,大きさ・寸法(乙6の2,6)等が挙げられていること
から裏付けられている。したがって,原告商品の形態が自他識別機能及び出所表示機
能をおよそ備えていないということはできない。
また,被告は,原告商品の形態は,携帯用ディスポーザブル低圧持続吸引器としての機能及び効用を発揮するために選択されたものであり,同種製品でも採用されている一般的なありふれた形態を組み合わせたものにすぎない旨を主張する。しかしながら,原告商品を構成する直方体の排液ボトルの形状,略立方体の吸引ボトルの本体及
びその上部に取り付けられた球体のゴム球それぞれの形態が個々の形態としてありふれた形状であったとしても,原告商品の形態は,これらを組み合わせて一体化したものであり,しかも,他の同種製品にはみられない形態であったのであるから,原告商品の形態がありふれた形態ということはできない。
イそして,前記認定のとおり,原告は,昭和59年から,SBバックを,その形
態を変更することなく製造し,販売しているところ,SBバックの形態は,平成30年1月頃に被告商品が販売されるまでは,SBバック以外の製品にはみられない形態であったこと,
平成18年から平成28年までのポータブル低圧持続吸引器国内市場におけるSBバックの販売数量は同市場において30%程度を占め,業界首位であったこと,原告は,SBバックの販売開始以来,平成14年頃から発行している医療機
器の総合カタログを定期的に更新し,医療機関に頒布してきたほか,少なくとも平成10年から医療機器の展示会等にSBバックを展示するなど,医療機関に対する説明会や個別の説明を常時実施してきたこと,SBバックの形態が多数の医療従事者向け書籍等に掲載されてきたことなどからすれば,原告商品の形態は,②その形態が原告によって長期間独占的に使用されてきたことにより,
少なくとも被告商品が販売され
た平成30年1月頃には,
原告の出所を示すものとして需要者である医療従事者に広
く認識されるに至ったということができる。
これに対し,被告は,原告商品の形態が掲載されている書籍等において,原告商品の形態のみならず,常に原告の会社名や商品名も併せて記載されていることなどから,原告商品の形態自体がその形態のみで出所表示機能を発揮しているのではない旨主張するが,上記説示のとおり,原告商品の形態は,その形態が原告によって長期間独
占的に使用されてきたことにより周知性を獲得したと認められるのであるから,個別の表示の態様が原告商品の形態と原告の会社名や商品名とが併せて表示されていたとしても,上記認定を左右しないというべきである。
ウさらに,前記認定のとおり,原告商品の形態は,携帯用ディスポーザブル低圧持続吸引器に様々な形態のものが存在し,排液ボトルや吸引ボトルの形状にも様々な
選択肢がある中で,これらを組み合わせて一体的に構成されたものであるから,商品の形態が商品の技術的な機能及び効用を実現するために他の形態を選択する余地のない不可避的な構成に由来する場合には該当しないと認められる。これに対し,被告は,原告商品の形態は,単に機能を発揮する観点から選択されたにすぎず,その機能及び効用を発揮するために必然的,不可避的に採用せざるを得な
い商品形態である旨を主張する。
しかしながら,前記認定のとおり,原告商品は,創腔からの滲出液の集液量増加に伴う吸引圧の変動が小さく,創腔に常に適切な陰圧を負荷できること,採取された滲出液が逆流する陽圧発生の危険がなく取扱い容易であること,集液ゾーンと陰圧保持ゾーンが分離され,集液貯留が全て剛性容器で行われるため,使用中は常に集液量測
定を精度良く簡便に行うことができるとともに,途中の吸引再セット時の排液操作が必要なく,集液を追加できることなどの機能を有しているところ,このような機能を有するための構成としては,ボトルの数,形状及び透明性,目盛の形状,排液口の位置,大きさ,形状及び色彩,集液ポートの位置及び形状,排液ボトルと吸引ボトルの連結態様,ゴム球の位置,大きさ,形状及び排気弁の有無等の様々な選択肢があるのであるから,被告の主張は採用できない。
⑶以上のとおり,原告商品の形態は,少なくとも被告商品が販売された平成30年1月頃には,
不競法2条1項1号にいう商品等表示として需要者の間に広く認識されたものとなっていたと認められる。
3争点2(原告商品の形態と被告商品の形態とは類似するか)について⑴不競法2条1項1号の
類似
に該当するか否かは,
取引の実情の下において,

需要者又は取引者が,両者の外観,称呼又は観念に基づく印象,記憶,連想等から両者を全体的に類似のものと受け取るおそれがあるか否かを基準に判断すべきである。⑵これを本件についてみるに,前記認定のとおり,原告商品の形態と被告商品の形態とは,外観において,主たる構成として排液ボトル及び吸引ボトルの2つのボトルを有している点で共通するほか,排液ボトル及び吸引ボトル自体の形状も多数の点
が共通し,その寸法もほぼ共通する。他方,排液ボトルについては,目盛や文字の色等が相違し,吸引ボトルについては,
吸引ボトルの文字や,社名,商品名等の文字
の色,ゴム球の色等が相違し,社名や商品名の称呼も相違する。
以上の共通点及び相違点を総合すると,外観上の共通点が極めて多数に上ることに比して,
相違点はいずれも細部の相違であり,
色彩の相違も同系色での相違にすぎず,

社名や商品名の表示の相違も全体的な構成からは一部分にとどまることからすれば,上記共通点は,
上記相違点よりも需要者に強い印象を与えるものであると評価することができる。したがって,原告商品の形態と被告商品の形態については,称呼が相違するものではあるが,需要者が外観に基づく印象として,両者を全体的に類似のものと受け取るおそれがあると認められ,不競法2条1項1号の類似に該当すると認
められる。
4争点3(被告商品の製造販売は,原告商品と混同を生じさせるか)について原告は,被告商品の形態は,原告の商品等表示である原告商品の形態に酷似するものであるから,被告商品に接した需要者において,被告商品を原告商品又は原告のシリーズ商品,
原告のグループ会社の商品又は原告のライセンス商品であるとの誤認混同が生じるおそれが高い旨を主張する。
不競法2条1項1号の混同を生じさせる行為とは,商品又は役務について出所が同一であると誤認させ,
あるいはその営業につき主体が同一であると誤認させる場
合に限られず,
他人の周知の商品等表示と同一又は類似のものを使用する者と当該他人との間にいわゆる親会社,
子会社の関係や系列関係等の緊密な営業上の関係又は同
一の表示の商品化事業を営むグループに属する関係が存すると誤信させる行為も含
まれると解される。
そこで,これを本件についてみるに,前記認定によれば,原告商品及び被告商品の取引態様については,専門家である医療従事者が,医療機器の製造販売業者や販売業者の担当者から,当該医療機器の特色,機能,使用方法等に関する説明を受けて,当該医療機器の購入を決め,
医療機器専門の販売業者に対して当該医療機器を発注する

というプロセスをたどって取引されているのであり,しかも,多くの医療機関においては,医療機器の使用について,医療機関が医療機器を採用するにあたっては,同種の医療機器については,
一種類のみを採用するという原則的な取扱いであるいわゆる
一増一減のルールが採用されているというのである。そして,原告商品と被告商品には商品自体には商品名及び会社名が記載され,それぞれ別々のパンフレット(甲1,
20)が作成されて別々に販売される上,需要者である医療従事者も医療機器に関する専門知識を有する者なのであるから,被告商品の販売行為によって需要者である医療従事者において原告商品と被告商品の出所が同一であると誤認するおそれがあるとは認められない。また,原告及び被告は,医療機器の分野において,相当程度のシェアを有する競合会社であり,
ポータブル低圧持続吸引器国内市場における原告のシ

ェアは約30ないし40%,被告のシェアは約5ないし15%である。上記の取引形態等からすると,
需要者である医療従事者において原告と被告が競合関係にあることを十分に認識している状況であり,
原告商品の形態と被告商品の形態が類似している
ことのみから,原告と被告との間に親会社,子会社の関係や系列関係等の緊密な営業上の関係又は同一の表示の商品化事業を営むグループに属する関係が存すると誤信するおそれがあるとは認められない。そうすると,被告による被告商品の製造販売行為が,不競法2条1項1号にいう混同を生じさせる行為に当たると認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
5結論
以上のとおりであるから,
原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,
主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第29部

裁判長裁判官

山田真紀伊藤清隆西山芳樹
裁判官

裁判官

(別紙一覧)

別紙1当事者目録
別紙2被告商品目録
別紙3原告商品目録
別紙4原告商品説明書
別紙5被告商品説明書
別紙6原告商品と被告商品の対比写真

(別紙1)
当事者目録

原告
住友ベークライト株式会社

同訴訟代理人弁護士

中同板井同山田同澤井同沖
同訴訟代理人弁理士

鶴被田
日本コヴィディエン株式会社

告志典子徹子達崎彬也宗雄
同訴訟代理人弁護士
桑山斉同河村光同田中瑞紀
同補佐人弁理士

岩井智子同中村剛
(別紙2)
被告商品目録

商品名
マルチチャネル

商品番号

ドレナージ

ポンプ

5220-370

(プレシジョン)

(別紙3)
原告商品目録

SBバックとの名称の携帯用ディスポーザブル低圧持続吸引器のうち,SBバックチューブなしセット(排液ボトル及び吸引ボトル)
(製品番号MD-5
3300)
SBバックチューブなしセット(低圧品)
(排液ボトル及び吸引ボトル)
(製品番号
MD-53600)
(これらと同じ排液ボトル及び吸引ボトルは,製品番号MD-53331,MD-5
3341,MD-53351,MD-53361,MD-53631,MD-53641,
MD-53651,
MD-53730,
MD-53750,
MD-53760,
MD-5363S,MD-5365S,MD-53732N,MD-53752N,MD-53762N,MD-53734N,MD-53754N,MD-53632N,MD-53652N,MD-53662N,MD-53634N,MD-536
54Nのセット商品にも含まれている。


(別紙4)
原告商品説明書

1原告商品の写真
写真は,製品番号MD-53300のものである(製品番号MD-53600の商品も,バルーンの柔軟性の違いがあるのみで,形態は同じである。。)
⑴正面

⑵底面

2原告商品の形態


別紙3原告商品目録に記載の全ての商品が以下のとおりの形態を有しており,
主たる構成として,排液ボトル,吸引ボトルの2つのボトルを有している。⑵排液ボトル
ア透明の縦長の直方体のボトルで,正面・背面から見ると四隅の角は円みを帯びている。
イボトルの正面には,中心部に水色の地に白抜きで排液ボトルと表示されており,0ないし370mLまでに100mL単位の大きな水色の目盛と数字,50mL単位の中くらいの水色の目盛,10mL単位の小さな水色の目盛が入っており,また,正面右下に斜めに少量目盛として水色の線5本が入っており,一番下の線と下から2番目の線の間に水色の字で10
,下から5番目の線の右上に水色の字で50と表示されている。
ウボトル上面の,正面から見て左端奥の位置にやや広径の排液口があり,排液口には水色のふたが付いている。
エボトル上面の,中央部に集液ポートを取り付ける口があり,この中央部の口に短く細い管状の集液ポートがはめられ,
この集液ポートにチューブを接続することが
できる。集液ポートには,板クランプが取り付けられている。
オボトル上面の,正面から見て右端手前付近に口があり,この口に連結チューブが接続されており,この連結チューブを介して吸引ボトルに連結されている。⑶吸引ボトル
ア透明の直方体のボトルで,排液ボトルと比べると,横幅は少し広く,高さは3分の2程度である。正面・背面から見ると四隅の角が円くカーブを描いている。イ正面に,水色の地に白抜きで吸引ボトルと表示され,また水色の字でSBバックと表示され,SUMITOMOBAKELITEとの社名,注意事項

が記載されている。
ウボトル上面の,正面から見てやや右寄りの位置にやや広径の口があり,この口に水色の球体であるゴム球が,
ゴム球の下部から出ている短く太い管状の部分を介し
て接続されている。
ゴム球の上部はボトル内の空気を排気することのできる短い管状
の口が出ており,排気弁が取り付けられている。
エボトル上面の,正面から見て左端奥の位置に口があり,ここに連結チューブが連結ポートを介して接続され,
この連結チューブにより排液ボトルに連結されている。
オボトル下面の中央の位置に,広径の口があり,キャップで開閉される構造となっている。このキャップには収縮チューブを介してバルーン(風船)が取り付けられ
ており,
ゴム球を圧縮することによって内部の空気が排気され陰圧となった吸引ボトル内で膨張したバルーンが,
その復元力で生じる吸引圧によって体内の排液を排液ボ
トルに吸引する構造となっている。

(別紙5)
被告商品説明書

1被告商品の写真
⑴正面

⑵底面

2被告商品の形態
⑴主たる構成として,排液ボトル,吸引ボトルの2つのボトルを有している。⑵排液ボトル
ア透明の縦長の直方体のボトルで,正面・背面から見ると四隅の角は円みを帯びている。
イボトルの正面には,左寄りに紺色の字で排液ボトルと表示されており,0
ないし370mLまでに100mL単位の大きな紺色の目盛と数字,50mL単位の中くらいの紺色の目盛,10mL単位の小さな紺色の目盛が入っており,また,正面右下に斜めに少量目盛として紺色の線5本が入っており,
一番下の線と下から2番目
の線の間に紺色の字で10
,下から5番目の線の右上に紺色の字で50と表示
されている。

ウボトル上面の,正面から見て左端奥の位置にやや広径の排液口があり,排液口には紺色のふたがついている。
エボトル上面の,中央部に集液ポートを取り付ける口があり,この中央部の口に短く細い管状の集液ポートがはめられ,
この集液ポートにチューブを接続することが
できる。集液ポートには,板クランプが取付けられている。
オボトル上面の,正面から見て右端手前付近に口があり,この口に連結チューブが接続されており,この連結チューブを介して吸引ボトルに連結されている。⑶吸引ボトル

ア透明の直方体のボトルで,排液ボトルと比べると,横幅は少し広く,高さは3分の2程度である。正面・背面から見ると四隅の角が円くカーブを描いている。イ正面に,紺色の字で吸引ボトルと表示され,また紺色の字でArgyleマルチチャネルドレナージポンプと表示され,COVIDIENとの社

名,使用方法が記載されている。
ウボトル上面の,正面から見てやや右寄りの位置にやや広径の口があり,この口に紺色の球体であるゴム球が,
ゴム球の下部から出ている短く太い管状の部分を介し
て接続されている。
ゴム球の上部はボトル内の空気を排気することのできる短い管状
の口が出ており,排気弁が取り付けられている。

エボトル上面の,正面から見て左端奥の位置に口があり,ここに連結チューブが連結ポートを介して接続され,
この連結チューブにより排液ボトルに連結されている。
オボトル下面の中央の位置に,広径の口があり,キャップで開閉される構造となっている。このキャップには収縮チューブを介してバルーン(風船)が取り付けられており,
ゴム球を圧縮することによって内部の空気が排気され陰圧となった吸引ボト
ル内で膨張したバルーンが,
その復元力で生じる吸引圧によって体内の排液を排液ボ
トルに吸引する構造となっている。

(別紙6)
原告商品と被告商品の対比写真

⑴正面

(左:原告商品

右:被告商品)

⑵底面

(左:原告商品

右:被告商品)

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