判例検索β > 平成30年(ネ)第1406号
未払賃金等支払請求控訴事件
事件番号平成30(ネ)1406
事件名未払賃金等支払請求控訴事件
裁判年月日平成30年12月21日
法廷名大阪高等裁判所
原審裁判所名大津地方裁判所  彦根支部
原審事件番号平成27(ワ)163
裁判日:西暦2018-12-21
情報公開日2019-02-06 08:17:04
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主1文
原判決中,平成25年4月1日から同年8月31日までの皆勤手当に係る損害賠償請求に関する部分を取り消す。

2
本件控訴及び控訴人の当審における追加請求に基づき,被控訴人は,控訴人に対し,32万円及びうち5万円に対する平成25年10月29日から,うち27万円に対する平成27年12月4日から各支払済みまでそれぞれ年5分の割合による金員を支払え。

3
第2項の部分に係る訴訟の総費用は,被控訴人の負担とする。

4
この判決の第2項は仮に執行することができる。

事実及び理由
第1

当事者の求めた裁判
主文第1,2項と同旨(主文第2項につき,控訴人は,当審において,平成25年9月1日から同27年11月30日までの皆勤手当に係る損害賠償として,27万円及び遅延損害金の請求を追加した。)

第2
1
事案の概要等(以下,略語は特記しない限り原判決の例による。)事案の要旨
本件は,一般貨物自動車運送事業等を営む被控訴人との間で,期間の定めのある労働契約(以下有期労働契約という。)を締結して被控訴人においてトラック運転手(配車ドライバー)として勤務した控訴人が,被控訴人
と期間の定めのない労働契約(以下無期労働契約という。)を締結している労働者(正社員)と控訴人との間で,無事故手当,作業手当,給食手当,住宅手当,皆勤手当,通勤手当,家族手当,賞与,定期昇給及び退職金(以下本件賃金等という。)に相違があることは労働契約法20条(労働契約法の一部を改正する法律(平成24年法律第56号。平成25年4月1日
施行)2条による改正後のもの。以下同じ。)に違反しているなどと主張して,被控訴人に対し,

労働契約に基づき,控訴人が被控訴人に対し,本件賃金等に関し,正社員と同一の権利を有する地位にあることの確認を求め,
主位的に,被控訴人が控訴人の手取賃金として最低でも月額30万円を支払う旨約したにもかかわらず,平成23年11月10日から同25年9月10日まで,
これを下回る手取賃金額しか支払わなかったとして,

労働契約に基づき,上記30万円との差額68万2578円の未払賃金及びこれに対する遅延損害金の支払を求め,
予備的に,仮に上記約定が認められないとしても,手取賃金として最低でも月額30万円が支払われるものと期待させるなどした被控訴人の行為が不法行為を構成し,これにより,控訴人が上記

の差額分相当の

損害を被ったと主張して,不法行為に基づき,同額の損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求め,

主位的に,控訴人が本件賃金等に関し正社員と同一の権利を有することを前提に,労働契約に基づき,平成21年10月1日から同25年8
月31日までの間に正社員に支給された無事故手当,作業手当,給食手当,住宅手当,皆勤手当及び通勤手当(以下本件諸手当という。)と,同期間に控訴人に支給された本件諸手当との差額及びこれに対する遅延損害金の支払を求め,
予備的に,不法行為に基づき,同額の損害賠償及びこれに対する遅延
損害金の支払を求めた
事案である。なお,控訴人は,平成27年4月15日午後5時,大津地方裁判所彦根支部による破産手続開始決定を受け,A(控訴人破産管財人)が破産管財人に選任された。

請求について,本件諸手当のうち通勤手当に関す
る労働条件の相違は強行法規である労働契約法20条に反して無効であり,かかる労働条件の定めをした被控訴人の行為は不法行為を構成するとして,労働契約法の一部を改正する法律が施行された平成25年4月1日から同年8月31日までの差額分合計1万円を損害と認め,同額の損害賠償及びこれに対する遅延損害金を控訴人破産管財人に支払うよう命じる判決をした(上記不法行為に基づく損害賠償請求権はこれに対する遅延損害金を含め破産財団を構成するところ,上記損害賠償請求権等に係る訴訟手続を受継した控訴人破産管財人にこれを支払うよう命じたものである。なお,控訴人破産管財人は,平成27年6月4日,受継対象債権を破産財団から放棄し,控訴人が上記受継の対象となった損害賠償請求権に係る訴訟手続を当然に受継し
た。)。
控訴人及び被控訴人は,原判決中それぞれ自己の敗訴部分を不服として控
控訴人は,当審(差戻前控訴審)において,主位的に労働契約に基づき,
日から同27年11月10日までの手取賃金月額30万円との差額合計101万5498円及びこれに対する遅延損害金,同ウの各請求につき平成25年9月1日から同27年11月30日までの本件諸手当未払分合計148万5000円及びこれに対する遅延損害金の支払請求を追加した。

も棄却すべきものとした上,本件諸手当のうち原判決が損害と認めた通勤手当相当額のほか,無事故手当,作業手当,給食手当の支給に関する部分は労働契約法20条に違反して無効であるから,同条が施行された平成25年4月1日以降も上記各手当を支給しない取扱いをした被控訴人の対応(ただし,
通勤手当については同年12月31日まで)は控訴人に対する不法行為を構
成し,上記各手当の不支給額相当の損害を被ったとして,控訴人の控訴及び当審追加請求に基づき,平成25年4月1日から同27年11月30日までの期間(以下本件期間という。)の上記各手当不支給額相当の77万円及びこれに対する遅延損害金の支払を命じ,本件諸手当のうち住宅手当及び皆勤手当の不支給については労働契約法20条違反とは認めず,同不支給額相当の損害賠償請求を棄却した。
これに対し,被控訴人は上告兼上告受理申立てをし,控訴人は附帯上告兼
附帯上告受理申立てをしたが,最高裁判所は,被控訴人の上告及び控訴人の附帯上告を棄却し,上記各受理申立てに係る事件を上告審として受理した上,被控訴人の上告を棄却するとともに,正社員に対し上記皆勤手当を支給する一方で,被控訴人と有期労働契約締結している労働者(契約社員)に対してこれを支給しないという労働条件の相違は不合理であると評価するこ
とができるから,
労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たる
と判断し,控訴人の附帯上告に基づき,差戻前控訴審判決中,控訴人の平成25年4月1日以降の皆勤手当に係る損害賠償請求に関する部分を破棄し,控訴人が皆勤手当の支給要件を満たしているか否か等について更に審理を尽くさせるため同部分につき本件を大阪高等裁判所に差し戻し,
その余の附

帯上告を棄却する旨の判決をした(平成28年

第2099号,第2100

号同30年6月1日第二小法廷判決・民集72巻2号88頁)。
よって,差戻後控訴審である当審の審判の対象は,控訴人の上記
求のうち,ウの予備的請求である

の各請

の請求(不法行為に基づく本件期間の皆

勤手当に係る損害賠償請求)の当否のみということになる。

2
前提事実
(争いがないか,
下記各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定でき
る事実)
被控訴人(昭和46年2月1日設立)は,一般貨物自動車運送事業等を目的とし,東京証券取引所市場第一部へ株式を上場する株式会社であり,平
成25年3月31日現在の従業員数は4597人(うち社員662人,臨時雇用者3935人)であった。
控訴人は,平成20年10月6日頃,被控訴人との間で,以下の内容の有期労働契約を締結し,乗務員(トラック運転手,配車ドライバー)として被控訴人の配送業務に従事している。上記労働契約は,その後順次更新されている(以下,更新の前後を問わず,控訴人と被控訴人との間の労働契約を本件労働契約という。。
)(乙11)
期間

平成20年10月6日から平成21年3月31日まで(た
だし,更新する場合があり得る。


勤務場所
業務内容

乗務員

勤務時間

午前5時から午後2時まで(うち休憩時間60分)

賃金

被控訴人彦根支店

時給1150円,通勤手当3000円(ただし,時給はそ

26年1月以降,正社員と同様の基準により5000円が
支給されるようになった。
〔乙12の2,弁論の全趣旨〕

昇給・賞与

原則として昇給及び賞与の支給はしない。ただし,会社
の業績及び勤務成績を考慮して,昇給し又は賞与を支給す
ることがある。

正社員に適用される就業規則(以下本件正社員就業規則という。

は,従業員が5年以上勤務した後に退職するときは退職金を支給する旨定めている(第27条)
。また正社員に適用され,就業規則の性質を有する給与
規程(以下本件正社員給与規程という。
)は,基本給は年齢給,勤続給
及び職能給で構成すること(第11条,第12条)
,会社の業績に応じて賞
与を支給すること(第35条)
,等級手当,役職手当,皆勤手当等13種類
の各種手当を支給すること(第22条~第34条)等を定めている。そし
て,上記各手当のうち皆勤手当については,乗務員が全営業日を出勤したときに限り,月額1万円を支給する,ただし,所属する事務所により支給しないことがある(第33条)旨の本件正社員給与規程の定めがある。(乙1,
13)
契約社員等に適用される嘱託,臨時従業員およびパートタイマーの就業規則(以下本件契約社員就業規則という。
)は,基本給は時間給として
職務内容等により個人ごとに定めること(第29条)
,賞与及び退職金は,

いずれも原則として支給しないこと(第38条本文,第39条)
,通勤手
当,時間外勤務手当,休日勤務手当,深夜勤務手当を支給すること(第30条~第33条)等を定めている。しかし,本件契約社員就業規則には,皆勤手当をはじめ,本件正社員給与規程に定める各種手当の多くについての定めはない。
(甲1の3)

上記のとおり,契約社員である控訴人については,正社員と比較すると,それぞれ異なる就業規則が適用されることにより,賃金の内容が相違している。そして,控訴人の勤務している彦根支店においては,本件期間中正社員である乗務員に対して月額1万円の皆勤手当が支給されていたが,契約社員である乗務員の控訴人には支給されなかった。

3
争点及び争点に関する当事者の主張
本件労働契約に基づく控訴人の労働条件である皆勤手当の不支給の不合理性
(控訴人の主張)

有期労働契約である本件労働契約と,被控訴人の正社員である乗務員と被控訴人との無期労働契約との間においては,①労働時間について相違はなく,②配車担当者の指示に基づいて配送業務を行うという点で業務内容も同一で,かつ配送業務の地域も異ならず,③配送業務を行う者の間に配転の有無や責任についての相違もない。それにもかかわらず,皆勤に対してインセ
ンティブを付与することで皆勤を奨励する趣旨の皆勤手当を,正社員である乗務員にのみ支給するという労働条件の相違は,業務内容及び業務に伴う責任の程度(以下,併せて職務の内容という。
)や職務の内容及び配置の
変更の範囲等の事情を考慮しても不合理と認められるものであるというべきであり,かかる不合理な相違のある本件労働契約上の労働条件は,労働契約法20条によって無効であり,控訴人に対し皆勤手当を不支給とした被控訴人の行為は控訴人に対する不法行為を構成する。
(被控訴人の主張)
正社員である乗務員にのみ皆勤手当を支給するという労働条件の相違は,皆勤手当の趣旨や職務の内容のほか,契約社員である控訴人にも皆勤を奨励する趣旨で賃上げがなされたこと等の事情を考慮すると,不合理と認められ
るものであるとはいえない。
すなわち,①正社員である乗務員は,控訴人を含む契約社員である乗務員と異なり,他の乗務員の模範となることが求められ,皆勤手当には,乗務員の皆勤を奨励する趣旨のほかに,他の乗務員の模範となるべき正社員である乗務員に対し,当日欠勤をすれば皆勤手当を不支給にするというペナルティ
としての側面があるのに対し,契約社員は当日欠勤をしても賃金減額に直結することはないこと,②正社員である乗務員は,新人教育を担当し,必要に応じて他の事業所へ応援に赴くことも求められ,班長ともなれば班長会議に出席し,決定事項の伝達及び徹底等の業務が課せられること(業務内容の相違)
,③正社員である乗務員は,目標管理制度の下に品質の高い業務遂行が求
められ,班長ともなれば,その部下の業務分担や目標を定め,進捗を管理したり班員(部下)の休日(シフト)を調整したりする必要などがあるのに対し,契約社員には目標管理制度は採られていないなど,正社員である乗務員に求められる責任は,
契約社員のそれより重いこと
(業務に伴う責任の相違)

④被控訴人は,契約社員である乗務員について,時間給の増減のため評価表
記載の各項目の達成度を評価し,その合計点数に応じて増加すべき金額を設定しているが,評価点の20点満点中,皆勤を奨励する趣旨で,皆勤手当と同様の観点による評価項目に4点を割り当てており,
控訴人もこの評価表で,
皆勤が評価されて時間給が増額されてきたのであり(これに対し,被控訴人の彦根支店における正社員である乗務員については,本件正社員給与規程により年齢給,勤続給が増額することがあるものの,当日欠勤・遅刻がないからといって直ちに職能給を昇給していない。,控訴人に対し皆勤の事実を考)
慮して昇給が行われたことが明らかであること,以上の事情からすると,皆勤手当を,正社員である乗務員にのみ支給するという労働条件の相違は,不合理と認められるものとはいえない。
したがって,本件労働契約上の皆勤手当に関する労働条件は,労働契約法
20条に違反しておらず,控訴人に対し皆勤手当を不支給とした被控訴人の行為は控訴人に対する不法行為を構成しない。
被控訴人の故意又は過失の有無
(控訴人の主張)
被控訴人には,労働契約法20条に違反して皆勤手当を控訴人に支給しな
かったことについて,故意又は過失がある。
(被控訴人の主張)
被控訴人には,控訴人への皆勤手当不支給について,労働契約法20条に違反しているとの認識はなかった。また,労働契約法20条については,多様な解釈がみられただけでなく,規定の内容が明確ではなく,具体的事情に
よって結論が左右され得るものであり,裁判所による判断の集積もなく,本件の皆勤手当について,上告審判決で初めて労働契約法20条にいう不合理と認められるものと判断されたのであるから,被控訴人には,同条の施行後直ちに控訴人に対して皆勤手当を支給すべき注意義務があったとはいえない。したがって,被控訴人には,皆勤手当を控訴人に支給しなかったことにつ
いて,故意又は過失がなかった。
控訴人の損害額
(控訴人の主張)
控訴人は,
本件期間中皆勤していることから,
同期間について,
皆勤手当の
支給要件を満たしており,皆勤手当が支給されなかったことによる控訴人の損害額は,皆勤手当相当額である1か月1万円の32か月分である合計32万円である。
被控訴人は,本件期間のうち,4日間(平成26年10月19日,同27年3月17日,同年5月17日,同年6月29日)について,控訴人が当日欠勤(出勤日当日になって被控訴人に欠勤を申し出て欠勤すること)していることから4か月分について支給要件を満たさない旨主張するが,控訴人は,
上記4日間について,本件契約社員就業規則に基づく年次有給休暇を取得している。年次有給休暇の取得が事後的であっても,正社員である乗務員には同様の場合に皆勤手当が支給されていることから,上記4か月分についても支給要件を満たすというべきである。
(被控訴人の主張)

控訴人は,本件期間のうち,4日間(平成26年10月19日,同27年3月17日,同年5月17日,同年6月29日)について当日欠勤しており,4か月分については支給要件を満たさない。当日欠勤があると,その乗務員が担当する配送ルートを他の乗務員に割り当てるなどの配車の変更を余儀なくされるから,皆勤手当の支給要件を満たさないのは当然であり,当日欠
勤について被控訴人が事後的に年次有給休暇を認める場合であっても,無給になるのを避けるための被控訴人の配慮の結果にすぎず,被控訴人が,皆勤手当の支給要件である全営業日を出勤したものと認めているわけではない。
また,被控訴人は,控訴人の時間給の増減を評価するに際し,皆勤手当と
同趣旨の評価項目を20点満点中4点相当としていることから,控訴人の職務能力給のうち20%は皆勤手当と同趣旨の評価が加味されているというべきである。具体的には,平成25年4月1日を始期とする本件労働契約における職務能力給360円の20%に相当する72円に,1か月の所定労働時間168時間を乗じると,次の計算式のとおり1万2096円となるのに対し,正社員である乗務員に支給される皆勤手当が月額1万円であるから,控訴人に皆勤手当相当額の損害が生じたとはいえない。

72円×168(時間)=1万2096円
第3

当裁判所の判断
当裁判所は,正社員である乗務員に支給される皆勤手当を契約社員である乗務
員の控訴人に支給しないという労働条件の相違は,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに該当し,控訴人についてその支給要件を満たすから,被控訴人に対し,不法行為に基づき,平成25年4月1日から同27年11月30日までの間の皆勤手当相当額の損害賠償を求める控訴人の請求は理由があるものと判断する。その理由は,以下のとおりである。
1
認定事実
前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。
業務の内容等
被控訴人の彦根支店における乗務員(トラック運転手)の主な業務は,正社員,契約社員を問わず,配車担当者の指示に基づいて配送業務(荷物の積
み込み,運転による配送,配送先での荷下ろしなど)を行うものである。もっとも,正社員は,上記業務のほかに,新人教育を担当し,必要に応じて他の事業所へ応援に赴き,班長であれば班長会議に出席し,決定事項の伝達及び徹底やその部下の業務分担や目標を定めるなどの業務も併せて課せられることがあるし,目標管理シートの作成を義務づけられるなど,契約社員に
は課せられない業務を課せられることがある。
(甲58,
乙5,
12の1・2,
原審証人B,同C)
契約社員と正社員との処遇等における差異
正社員については,公正に評価された職務遂行能力に見合う等級・役職への格付けを通じて,従業員の適正な処遇と配置を行うとともに,教育訓練の実施による能力の開発と人材の育成,
活用に資することを目的として,
等級・
役職制度が設けられているが,
契約社員についてはこのような制度が設けら
れていない。
(乙9,12の2,原審証人C)
また,本件正社員就業規則上,被控訴人は,業務上必要がある場合は,従業員の就業場所の変更を命ずることができると定めており
(第12条1項)

正社員については出向を含む全国規模の広域移動の可能性があるが,本件契

約社員就業規則には配転又は出向に関する定めがなく,
契約社員については
就業場所の変更や出向が予定されていない。
(甲1の3,乙1,12の2,
原審証人C)
契約社員の雇用契約期間及びその更新
本件契約社員就業規則は,臨時従業員及びパートの雇用契約期間は6か月
以内,嘱託の雇用契約期間は1年であること(第5条1項)
,雇用契約を延
長する必要がある場合は,①契約期間満了時の業務量,②従事している業務の進捗状況,③有期契約従業員の能力,業務成績,勤務態度,④会社の経営状況を判断基準として個別に契約を更新すること(同条2項)をそれぞれ定めている。
(甲1の3)

契約社員の賃金及び昇給
本件契約社員就業規則は,契約社員の賃金(給与)を,①基本給,②通勤手当,③時間外勤務手当,④休日勤務手当,⑤深夜勤務手当とすること(第28条)
,基本給は,時間給として職務内容等により個人ごとに定めること(第29条)
,契約社員には,昇給を原則として行わないが,会社の業績と

本人の勤務成績を考慮の上昇給することがあること(第37条)をそれぞれ定めている。なお,同就業規則には,契約社員に対し皆勤手当を支給する旨の定めはない。
(甲1の3)
契約社員の時間給増減のための評価制度
被控訴人においては,
契約社員の時間給増減の評価のために評価表を作成
し,各項目の達成度を評価する制度を設けている(同制度の開始年度は明らかでない。。評価期間は1年間(4月1日~翌年3月31日)で,評価項目)
を,①仕事の正確性,仕事の速さなどの成績,②遅刻,体調管理などの勤務態度,
③車両事故,
商品破損などの事故に分けて合計20点満点で評価する。
そのうち,
皆勤手当と同様の観点による評価項目であると被控訴人が主張す
るのは,②の遅刻及び体調管理であり,この評価項目には20点満
点中4点が割り当てられている。なお,同評価項目にいう遅刻の具体的内容は遅刻はないかであり,評価期間中に遅刻が0回で2点,1回で1点,3回で0点,3回以上は回数ごとにマイナス1点ずつ減点され,体調管理
の具体的内容は
体調不良(伝染病は除く)による当日欠勤はないか
であり,評価期間中に当日欠勤が0回で2点,1回で1点,2回で0点,3
回以上で回数ごとにマイナス1点ずつ減点されることとされている。(乙2
5の1~3)
時間給の支給基準としては,前期時給単価を基準にし,評価点20点で15円増額,同18点以上で10円増額,同16点以上で5円増額,同10点以上で維持,10点以下で(契約)継続の可否も審議である(以上の評価
表作成基準及びそれに基づく支給基準を併せて本件運用基準という。。)
(乙25の1)
控訴人の時給額(金額が記載されたカッコ内は職務能力給の時給額)及び評価点数

平成20年10月6日~同21年3月31日

1150円(乙11)


平成24年4月1日~同25年3月31日

1160円(360円)

(甲3の1)

平成25年4月1日~同26年3月31日

1160円(360円)

(甲3の2,乙24の1)
。評価点数は19点(乙25の1)


平成26年4月1日~同27年3月31日

1174円(374円)

(乙24の2・3)
。評価点数は19点(乙25の2)


平成27年4月1日~同28年3月31日

1188円(388円)

(乙24の4・5)

平成28年4月1日~同29年3月31日

1200円(乙24の6)


平成29年4月1日~同30年3月31日

1212円(412円)

(乙24の7・8)
。評価点数は20点(乙25の3)


平成30年4月1日~同30年9月30日

1226円
(426円)乙


24の9)
2
争点⑴(本件労働契約に基づく控訴人の労働条件である皆勤手当の不支給の不合理性)について
不合理性の判断基準

労働契約法20条は,有期契約労働者と無期契約労働者との間で,期間の定めがあることにより労働条件に相違があり得ることを前提に,業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(職務の内容)
,当該職務の内容及び配置の変
更の範囲その他の事情を考慮して,その相違が不合理と認められるものであってはならないとするものであり,職務の内容等の違いに応じた均衡のとれ
た処遇を求める規定であると解される。また,同条にいう不合理と認められるものとは,有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が不合理であると評価することができるものであることをいうと解するのが相当である。
そして,有期契約労働者と無期契約労働者との個々の賃金項目に係る労働
条件の相違が不合理と認められるものであるか否かを判断するに当たっては,両者の賃金の総額を比較することのみによるのではなく,当該賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきものと解するのが相当である。なお,ある賃金項目の有無及び内容が,他の賃金項目の有無及び内容を踏まえて決定される場合もあり得るところ,そのような事情も,有期契約労働者と無期契約労働者との個々の賃金項目に係る労働条件の相違が不合理と認められるものであるか否かを判断するに当たり考慮されることになるものと解される(最高裁平成28年(受)第442号同30年6月1日第二小法廷判決・民集第72巻2号202頁参照。以下,この判決を長澤運輸最高裁判決という。。

被控訴人においては,正社員に適用される本件正社員就業規則及び本件正社員給与規程と,契約社員に適用される本件契約社員就業規則とがあり,契
約社員と正社員とで皆勤手当の支給の有無につき相違のあることが,上記のとおり契約社員と正社員とでそれぞれ異なる就業規則等が適用されることにより生じるものであるから,当該相違は,労働契約法20条にいう期間の定めがあることにより生じたものであるということができる。そこで,皆勤手当の趣旨を踏まえて,契約社員と正社員との間で皆勤手当の支給の有無
につき相違のあることが,
同条の定める考慮要素に照らし,
不合理と認められるものであるか否かを検討する。

皆勤手当の趣旨
皆勤手当は,正社員のうち乗務員のみに対し,全営業日を出勤したときに限り支給され

皆勤手当は,被控訴

人が運送業務を円滑に進めるには実際に出勤する乗務員を一定数確保する必要があることから,乗務員に皆勤を奨励する趣旨で支給されるものであると解するのが相当である(被控訴人の取締役執行役員である原審証人Cは,運送業では荷主との契約を遵守することが非常に重要であり,乗務員の突然の休暇取得が最も困る事態であることから,予定どおり皆勤した
乗務員に対し皆勤手当を支給することとした旨上記と同様の趣旨の証言をしている。。


考慮要素からする不合理性の有無
職務の内容並びに職務の内容及び配置の変更の範囲
前記1⑴の認定事実によると,
被控訴人の彦根支店における乗務員
(ト
ラック運転手)の主な業務は,配車担当者の指示に基づいて配送業務を
行うものであり,同業務及び同業務に伴う責任の程度において,契約社員と正社員との間で異なるところはない。したがって,皆勤手当の趣旨である運送業務を円滑に進めるため実際に出勤する乗務員を一定数確保する必要性について,契約社員と正社員との間で差異が生じるものではない。

前記1

の認定事実によると,契約社員と正社員との間で,能力の開

発と人材の育成,活用に資することを目的とする等級・役職制度の有無や,配転及び出向の可能性などの点で相違があるものの,これらの相違は,上記皆勤手当の趣旨とは合理的な関連性がないといえる。
その他の事情(他の賃金項目の有無及び内容との関連)
ところで,前記1

の認定事実によれば,本件契約社員就業規則上

は,契約社員である乗務員には皆勤手当の支給がなく,昇給も原則として行わないこととされているが,一方で,被控訴人は,契約社員の時間給増減の評価のために,評価表作成基準及びそれに基づく支給基準(本件運用基準)を作成し,各項目の達成度を評価する制度を設けている。及び内容が,他の賃金項目の有無及び内容を踏まえて決定される場合」という事情,すなわち,契約社員である乗務員への皆勤手当不支給に対する合理的な代償措置と評価できるのであれば,かかる代償措置を踏まえて皆勤手当不支給が決定されているということができるから(長澤運輸最高裁判決参照)契約社員である乗務員に皆勤手当が支給されないこ,
とが,
不合理と認められるもの
と評価するについての評価障害事実に
なるということができる。
しかしながら,前記1

の認定事実によると,①契約社員である乗

務員は,被控訴人の業務量や経営状況等を考慮して雇用契約が更新されるか否かが決せられるものであるから,次期の雇用契約の更新が必ずしも法的に保障されていないこと,②本件契約社員就業規則上,契約社員である乗務員の昇給は原則として行わないとされており,例外的に会社の業績と本人の勤務成績を考慮して昇給することがあるとされているのみである上
(第37条)本件運用基準による昇給が本件契約社員就業

規則に規定されていないから,被控訴人において,契約社員である乗務
員の昇給を行わないとの上記原則を変更したと評価することはできないことからすると,本件正社員給与規程で定められた正社員である乗務員の皆勤手当に対比すると,本件運用基準による契約社員である乗務員の時間給の増額が,皆勤の事実が認められるだけで必ずなされることが保障されているものではないことが明らかである。

また,本件運用基準において,被控訴人が皆勤手当と同様の観点による評価項目と主張するのは,
遅刻の有無及び体調管理の適否であ
るが,
遅刻とは文字どおり遅刻の有無であり,
体調管理とは伝染
病を除く体調不良による当日欠勤の有無であって,支給(昇給)要件において,皆勤手当支給の要件である全営業日を出勤とは必ずしも一
致しない上,本件運用基準は評価期間である1年間を通しての評価をする基準であり,しかも評価表の満点20点中,
遅刻の有無及び体調管理の適否に合計4点が割り当てられているだけであり,評価点16点以上ではじめて時給が増額されることとなるにすぎないから,皆勤手当が皆勤の事実のみによって当然に支給されるのに対して,契約社員の
場合,1か月ごとの皆勤の事実が必ず昇給に結びつくものではない(例えば,前半の半年間が皆勤でも,後半の半年間に遅刻や当日欠勤があれば,1年間全体として評価されない場合があり得るし,1年間を通して皆勤していても他の評価が低く,合計点が16点に達しなければ上記皆勤の事実は全く評価に反映されないことになる。。

加えて,前記1
の認定事実によると,1年間を通して遅刻や体調不

良による当日欠勤がなく,その結果,
遅刻及び体調管理の評価項
目で合計4点となり,本件運用基準での評価が昇給に結びついたとしても,昇給額は最大でも時給15円にとどまるから,1日あたり8時間,1か月あたり168時間とすると,上記昇給に結びついた部分は,以下の計算式のとおり,月額504円,年額6048円程度であると認めら
れる。前記1

の認定事実によると,控訴人の本件期間中の時給額の増

額による賃金の増額は,上記の額にさえ達していない(これに対し,後記のとおり,控訴人に皆勤手当が支給されれば,月額1万円,年間12万円である。。

(月額)15円×168(時間)×4点/20点=504円
(年額)504円×12(か月)=6048円
以上のとおりであるから,本件運用基準による時給の増額は,そもそも皆勤の評価が直ちに賃金に反映するのか不確実な制度であるというだけでなく,控訴人のように再雇用がなされ,他の評価項目も年間を通して高評価であり,皆勤の事実が事実上昇給に反映されていると見得る
余地がある場合であっても,皆勤手当(月額1万円,年額12万円)と比べると,
わずかの金額
(最大でも月額504円,
年額6048円程度)
にすぎないのであるから,契約社員である乗務員について,皆勤を奨励する趣旨で翌年の時給の増額がなされ得る部分があることをもって,皆勤手当を不支給とする合理的な代償措置と位置づけることはできない。
なお,雇用が継続されることにより次年度以降も昇給の効果が継続することになり得るが,上記のとおり,雇用継続に法的な保障がないことからすると,このことをもって上記判断を左右しない。
したがって,本件運用基準による時給の増額は,契約社員である控訴人に皆勤手当が不支給とされることが不合理と認められるものと評価するについて,評価障害事実にはならないというべきである。
被控訴人の主張について
これに対し,被控訴人は,①皆勤手当の趣旨には,乗務員の皆勤を奨励する趣旨だけでなく,他の乗務員の模範となるべき正社員である乗務員に対し,
当日欠勤があれば皆勤手当を不支給とするペナルティとしての側面があること,②正社員である乗務員は,新人教育を担当し,必要に応じて他の事
業所への応援も行い,
班長ともなれば班長会議に出席するなど種々の業務が
あるほか,目標管理制度の下に品質の高い業務遂行が求められるなど,契約社員である乗務員とは職務の内容が相違することを挙げ,
契約社員である控
訴人に皆勤手当を支給しないことが不合理と認められるものとはいえない旨を主張する。

しかし,①皆勤手当は,実際に出勤する乗務員を確保する必要性から,皆勤を奨励する趣旨で支給されるのであるから,その反面として,皆勤しなければ皆勤手当の不支給という事実上のペナルティの趣旨を含むのは当然のことである。したがって,皆勤手当不支給がペナルティの趣旨を有するからといって,
正社員に支給される皆勤手当を契約社員に支給しないことが不合

理と認められるとの前記認定判断を左右するものではない。
②正社員である
乗務員と契約社員である乗務員との間には,新人教育担当の有無,班長業務の有無,目標管理制度の有無など職務の相違点がある(前記1⑴の認定事
社員と契約社員との間で職務の内容に異なるところがないし,
被控訴人が運
送業務を円滑に進めるには実際に出勤する乗務員を一定数確保する必要性が高く,
乗務員に皆勤を奨励するという皆勤手当の趣旨と関連するのはあくまで配送業務であって,
そのほかに正社員が課せられる職務の内容は皆勤手
当の趣旨と合理的な関連性があるとはいえない。
被控訴人の上記主張はいず
れも採用することができない。
以上のとおりであるから,皆勤手当の趣旨を踏まえると,契約社員と正社員との皆勤手当の支給における相違は,
労働契約法20条に定める考慮要素

(職務の内容,
職務の内容及び配置の変更の範囲,
その他の事情)
に照らし,
不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。
したがって,労働契約法20条に違反する皆勤手当の不支給は,均衡待遇を要求する控訴人の法的な利益を侵害するものとして不法行為になり得るものである。

3
争点

(被控訴人の故意又は過失の有無)について

前記2のとおり,本件期間において,被控訴人が控訴人に対する皆勤手当を不支給としたことは,労働契約法20条に違反し,控訴人に対する不法行為となり得るところ,①労働契約法20条は,規定の内容や趣旨からして,強行法規として私法上の効力を有し,有期労働契約のうち同条に違反する労働条件の相違を設ける部分は無効となると解されること,②同条に違反する場合には,有期労働契約のうち上記のとおり労働条件の相違を設ける部分が無効になるだけでなく,不法行為となり得ることが,同条施行時(平成25年4月1日)よりも前に,厚生労働省労働基準局長の平成24年8月10日
付け基発0810第2号労働契約法の施行についてと題する通達や多数の文献によって指摘されていたこと(甲13,49,50,52の1,乙2,20)③被控訴人は,

東京証券取引所市場第一部に株式を上場する株式会社
であり,平成25年3月31日現在の従業員数は4597人(うち社員662人,臨時雇用者3935人)という規模の大きな会社であったから(前提
管理能力を有していたと推認されること,④被控訴人においては,正社員とにおいて,度々組合員である契約社員(パート労働者)の待遇改善を要求され,平成24年7月17日には,格差是正の件(手当支給)として,団体交渉の内容となっていたこと
(甲5の1・2,
26,
乙6,
控訴人本人
(原審)

を指摘することができる。

以上の各事情によると,
被控訴人は,
労働契約法20条の施行時までには,
同条の趣旨に合致するように,契約社員である乗務員の控訴人の労働条件である諸手当について,正社員である乗務員の労働条件と均衡のとれた処遇とするように取り組むべき注意義務があったというべきである。しかるに,被控訴人が労働契約法20条の施行時までに何らかの形で上記取組みをしたこ
とを認めるに足りる証拠はないから,被控訴人は,控訴人に対して皆勤手当を支給しないという違法な取扱いをしたことについて過失があったというべきである。
これに対し,被控訴人は,労働契約法20条について多様な解釈がみられただけでなく,規定の内容が明確ではなく,具体的事情によって結論が左右
され得るものであり,裁判所による判断の集積もなかったなどの点から,皆勤手当不支給について被控訴人に過失がなかった旨主張する。
しかし,
前記⑴の事情に照らすと,
被控訴人が指摘する事情を考慮しても,
被控訴人には過失があったというべきである。被控訴人の上記主張を採用することはできない。

そうすると,被控訴人は,控訴人に対し,上記不法行為により控訴人が被った損害を賠償すべき義務がある。
4
争点

(控訴人の損害額)について

証拠(乙27)及び弁論の全趣旨によると,控訴人には,本件期間中,年次有給休暇を取得した日を含めて,欠勤扱いになった日はなく,皆勤手当の支給要件である乗務員が全営業日を出勤したときに該当するか又はそれと同視できる事情がある。したがって,控訴人は,本件期間の皆勤手当相当額32万円(1万円×32(か月)
)の損害を被ったことが認められる。
被控訴人は,①控訴人が本件期間のうち,4日間(平成26年11月22日,同27年3月17日,同年5月17日,同年6月29日)について,当日欠勤をしており,事後的に年次有給休暇が認められる場合であっても,4か月分については支給要件を満たさないこと,②平成25年4月1日を始期とする本件労働契約における職務能力給360円の20%(72円)に,皆勤手当と同趣旨の評価が加味されているから,1か月の所定労働時間で計算すると,控訴人に皆勤手当相当額の損害が生じたとはいえない旨主張
する。
まず①の主張について検討すると,
確かに,
被控訴人の主張する4日間に
ついて,
控訴人は当日欠勤をしており,
年次有給休暇届を後日提出している
ところ(乙26の2~5,27)
,このような場合に,被控訴人が有給休暇
の取扱いと皆勤手当の取扱いを区別することは,皆勤手当の趣旨に照らし
一般論としてあり得ないわけではない。
しかし,
年次有給休暇を取得した場
合に,
賃金の減額その他不利益な取扱いをすること
(このような不利益な取
扱いには,本件において年次有給休暇取得を理由に皆勤手当を支給しない取扱いをすることも含まれる。
)は,労働基準法附則136条(努力義務を
定めたものと解される。
)からすると,できるだけ避けるべきものであると

ころ
(最高裁平成5年6月25日第二小法廷判決・民集47巻6号4585頁参照)年次有給休暇の取得の場合に,

事前の届出と事後の届出の場合で,
皆勤手当の支給を区別することは,本件正社員給与規程上明記されていない上(乙13)
,正社員である乗務員については,事後的な届出による年次
有給休暇の場合であっても,
皆勤手当が支給されていることが認められ
(甲

66の1~4,67,弁論の全趣旨)
,これを支給しない取扱いをしている
と認めるに足りる証拠はない。したがって,本件正社員給与規程は,正社員である乗務員について,
年次有給休暇の取得に関し,
事後の届出であっても,
皆勤手当の支給要件を充たすものとして取り扱われていると解される。契約社員である乗務員に皆勤手当を支給しないことが不合理であると認められることは前記説示のとおりであるから,契約社員である乗務員についてもこの点について別異に解する根拠はなく,
控訴人は,
年次有給休暇を取得

した上記4日の属する4か月分についても,皆勤手当の支給要件を満たすというべきである。
次に②の主張について検討するに,前記2のとおり,契約社員について,本件運用基準の下で,
皆勤を奨励する趣旨も含めて翌年の時給の増額がなさ
れることがあるとしても,このことをもって,皆勤手当を不支給とする合理
的な代償措置と位置づけることはできないから,
上記増額分を損害から控除
することはできない(そもそも,控訴人が採用された平成20年10月6日から平成25年4月1日までの4年余りの間に時給が増額した分はわずか10円にすぎないから,
上記時給増加分に皆勤が評価された部分が含まれる
としても,
被控訴人の主張するように職務能力給360円の20%とするの

はおよそあり得ないというべきである。。

被控訴人の上記各主張はいずれも採用することはできない。
第4

結論
以上のとおりであるから,平成25年4月1日から平成27年11月30日
までの皆勤手当に係る損害賠償を求める控訴人の請求(当審における追加請求を含む。
)は理由があるから認容すべきところ,これと異なる原判決は不当であって,
本件控訴は理由があるから,
原判決中,
平成25年4月1日から同年8月
31日までの皆勤手当に係る損害賠償請求に関する部分を取り消し,同部分に係る控訴人の請求及び当審における追加請求を認容することとして(なお,遅
延損害金の起算日は,平成25年4月1日から同年8月31日までの分については訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな同年10月29日であり,同年9月1日から平成27年11月30日までの分については同年12月2日付け訴えの変更申立書送達の日の翌日であることが記録上明らかな同月4日である。),主文のとおり判決する。

大阪高等裁判所第14民事部

裁判長裁判官

田中俊次
裁判官

竹内浩史
裁判官

浅見宣義
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