判例検索β > 平成30年(わ)第725号
強盗致傷被告事件
事件番号平成30(わ)725
事件名強盗致傷被告事件
裁判年月日平成31年1月31日
法廷名札幌地方裁判所
裁判日:西暦2019-01-31
情報公開日2019-02-22 10:00:28
戻る / PDF版
主文
被告人を懲役3年に処する
この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
被告人をその猶予の期間中保護観察に付する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,平成30年9月9日午前10時6分頃,札幌市a区・・・所在のB店において,商品として陳列されていた同店店長C管理のたばこ3箱(販売価格合計1380円)を窃取し,同店西側駐車場に駐車中の自動車に乗り込んだ際,前記犯行に気付いて追跡してきたC(当時37歳)が同車運転席ドアを開けるなどして逃走を阻止しようとしたことから,同日午前10時7分頃,前記駐車場において,逮捕を免れるため,Cが同車運転席ドアなどをつかんでいたにもかかわらず,あえて同車を発進させた上,加速し,Cを地面に転倒させる暴行を加え,よって,Cに加療約2週間を要する右手掌擦過創等の傷害を負わせたものである。(証拠の標目)

(法令の適用)
罰刑酌条種の量選減
刑法240条前段(同法238条)


有期懲役刑を選択


刑法66条,71条,68条3号

刑の執行猶予

刑法25条1項


刑法25条の2第1項前段

護観察
訴訟費用の不負担

刑事訴訟法181条1項ただし書

(量刑の理由)
被告人は,被害者が運転席ドアを開け,ドアと車体との間に挟まれる状態でドアや車体をつかんで被告人の逃走を阻止しようとしていたにもかかわらず,自動車を発進させて時速約20キロメートル近くまで加速し,被害者を振り切るように地面に転倒させたもので,その行為は,被害者に大怪我をさせるおそれがあった危険で悪質な行為である。しかし,幸いにも被害者の負った傷害は加療約2週間程度にとどまった上,万引きによる被害額も高額とはいえない。
そうすると,本件犯行は,自動車を使用した事後強盗の中ではやや軽い事案といえ,執行猶予もありうるといえる。
そこで,その他の事情を検討すると,被告人は,万引きを含む複数の前歴を有する上,本件犯行の約1年半前にはスーパーで商品を万引きした件により罰金刑に処せられている。それにもかかわらず,被告人は,本件でためらうことなくたばこ3箱を万引きしており,手慣れた手口であることからすると,窃盗に対する抵抗感は乏しかったといわざるを得ない。
もっとも,被告人は,今回,初めて正式裁判を受けたことにより,自らが犯した罪の重さやギャンブル等の生活面での問題点を強く意識するに至り,事実関係を認めた上,被害者に謝罪し,二度と犯罪を繰り返さない旨述べている。また,被害弁償は未了であるが,勤務先の社長による金銭管理の結果,現時点で一定額の弁償金を準備できており,今後被害弁償が行われる見込みは相当程度高い。さらに,勤務先の社長が今後も引き続き被告人の雇用と金銭管理を行う旨誓っていることに加え,被告人の母親が被告人を同居させて生活面での監督を行う旨述べていることからすると,被告人の更生環境は,一人暮らしで生活面の乱れもあった本件犯行当時に比べ,一定程度整えられたといえる。
以上によれば,被告人については,社会内で更生する機会を与えるのが相当であるが,被告人が二度と犯罪を繰り返さないという強い自覚を持ち続けるようにするとともに,更生環境を盤石なものとするためには,その猶予の期間中,保護観察所の指導監督に服させることが必要である。
(求刑

懲役6年)

平成31年1月31日
札幌地方裁判所刑事第2部

裁判長裁判官

中桐圭一
裁判官

向井志穂
裁判官

川口寧
トップに戻る

saiban.in