判例検索β > 平成30年(行ケ)第10034号
審決取消請求事件 特許権 行政訴訟
事件番号平成30(行ケ)10034
事件名審決取消請求事件
裁判年月日平成31年3月20日
法廷名知的財産高等裁判所
裁判要旨特 判決年月日 平成31年3月20日 担
許 当 知財高裁第1部
権 部
事 件 番 号 平成30年(行ケ)第10034号
○ 先に行われた審決の予告までに当事者が申し立てた理由のうち,当該予告において
判断が留保され又は有効と判断された理由につき特許を無効にすべきものと判断する場
合のように,「当該理由により審判の請求を理由があるとする審決の予告をしていない
」場合は,実質的に訂正の機会が与えられなかったものであり,再度の審決の予告をし
なければならない。
○ 先に行われた審決の予告と実質的に同じ内容の理由により特許を無効にすべきもの
と判断する場合のように,実質的に訂正の機会が与えられていた場合は,審判長は,更
に審決の予告をする必要はない。
(事件類型)審決(無効)取消 (結論)棄却
(関連条文)特許法164条の2,特許法施行規則50条の6の2第3号
(関連する権利番号等)特許第3828158号
判 決 要 旨
1 本件は,発明の名称を「液晶表示デバイス」とする発明に係る特許についての無効審
決に対する取消訴訟である。本件審決は,一部の請求項につき甲1(引用例)に基づき新
規性ないし進歩性なしとするとともに,無効審判請求に係る請求項の全てにつきサポート
要件を満たさないとした。なお,本件審決に至るまでに審判長が審決の予告を2回行って
いる。
原告は,取消事由として,手続違背(特許法164条の2違反),サポート要件に関す
る判断の誤り,新規性・進歩性に関する判断の誤りを主張した。
2 本判決は,上記取消事由のうち手続違背の点につき,以下のとおり判示して,理由な
しとした。
(1)特許法164条の2所定の「経済産業省令」である特許法施行規則50条の6の
2第3号の規定によれば,先に行われた審決の予告までに当事者が申し立てた理由のうち,
当該予告において判断が留保され又は有効と判断された理由につき特許を無効にすべきも
のと判断する場合のように,「当該理由により審判の請求を理由があるとする審決の予告
をしていない」場合は,実質的に訂正の機会が与えられなかったものであり,再度の審決
の予告をしなければならない。他方,そうでない場合,すなわち,先に行われた審決の予
告と実質的に同じ内容の理由により特許を無効にすべきものと判断する場合のように,実
質的に訂正の機会が与えられていた場合は ,審判長は,更に審決の予告をする必要はない
ものと解される。審決予告の制度は,特許無効審判の審決に対する審決取消訴訟提起後の
訂正審判の請求につき,それに起因する特許庁と裁判所との間の事件の往復による審理の
-1-
遅延ひいては審決の確定の遅延を解消する一方で,特許無効審判の審判合議体が審決にお
いて示した特許の有効性の判断を踏まえた訂正の機会を得られるという利点を確保するた
めに,審決取消訴訟提起後の訂正審判の請求を禁止することと併せて設けられたものであ
るところ,上記の解釈は,この制度趣旨にかなうものである。
(2)本件審決と第2予告は,いずれもサポート要件につき,特許請求の範囲の記載は,
発明の詳細な説明の記載により当業者が本件訂正発明の課題を解決できると認識できる範
囲のものであるとは認められず,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術
常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとも認められな
いとして,サポート要件に適合しないと判断したものである。
本件審決と第2予告がそれぞれ認定した本件訂正発明の解決しようとする課題は,表現
こそ異なるものの,実質的には同じ内容を意味するものと理解される。
以上によれば,サポート要件との関係では,サポート要件違反により審判の請求を理由
があるとする第2予告の後,原告には実質的に訂正の機会が与えられたものといえるから,
更に審決の予告をすべき場合には当たらない。
(3)本件審決及び第2予告において判断の対象とされた新規性・進歩性の判断に当た
り対比される主引用例は,いずれも甲1(引用例)であり,同一である。
本件審決が認定した引用発明1Bと第2予告が認定した甲1の3発明とを対比すると,
両者は同一である。他方,本件審決が認定した引用発明1Aと第2予告が認定した甲1の
2発明については,本件審決では式(N-a)の化合物を含むのに対し,第2予告ではこ
れを含まない点その他の点で,液晶表示素子に係る混合物を構成する重合性液晶組成物の
一部が相違する。
しかし,甲1を主引用例として認定された引用発明に基づき,新規性又は進歩性が欠如
するとの無効理由により審判の請求を理由があるとする第2予告により,上記無効理由に
関しては,実質的に見て原告に訂正の機会が与えられたものといえる。
よって,新規性及び進歩性との関係では,第2予告の後更に審決の予告をすべき場合に
は当たらない。
-2-
裁判日:西暦2019-03-20
情報公開日2019-03-29 14:01:04
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平成31年3月20日判決言渡
平成30年(行ケ)第10034号
口頭弁論終結日

審決取消請求事件

平成31年2月20日
判原決告
パテント

ャフト

ミット

クテル

ハフツング

葛和塩崎杉江顕井上純木村伸也切美紗矢後知美松浦綾子大栗由美千野櫻子木同訴訟代理人弁理士

メルク

羽邦敏小被告D
同訴訟代理人弁護士

塚田IC原
ゲゼルシ
ベシュレン

清司進株式朋一一会郎社一設下雄介本高廣川芳樹清水義憲吉住和之中主一柳
弁理士

隆寺同樂塚長谷岳文1
原告の請求を棄却する。

2
訴訟費用は原告の負担とする。

3
この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を
30日と定める。
事実及び理由

第1

請求

特許庁が無効2014-800056号事件について平成29年11月6日にした審決のうち,特許第3828158号の請求項1,4ないし14,25ないし34に係る部分を取り消す。
第2

事案の概要

1
特許庁における手続の経緯



原告は,平成9年6月18日,発明の名称を液晶表示デバイスとする発
明について特許出願をし(パリ条約による優先権主張外国庁受理:1996年(平成8年)7月1日,欧州特許庁(EP)),平成18年7月14日,設定登録を受けた(特許第3828158号。請求項の数15。以下本件特許という。)。⑵

被告は,平成26年4月11日,特許庁に対し,本件特許に係る請求項1及
び4~14について無効審判請求をし,無効2014-800056号事件として係属した。



原告は,平成29年3月21日,他の請求項の記載を引用する請求項の記載
を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること(特許法134条の2第1項4号)等を内容とする訂正請求をした(甲67。以下本件訂正という。)。その結果,本件における無効審判請求の対象となる特許は,請求項1,4~14及び25~34に係るものとなった。


特許庁は,同年11月6日,本件訂正を認めた上,

特許第3828158号の請求項1,4ないし14,25ないし34に記載された発明についての特許を無効とする。

との別紙審決書(写し)記載の審決(以下本件審決という。)をし,その謄本は,同月16日,原告に送達された(なお,出訴期間として90日が附加された。)。


原告は,本件審決を不服として,平成30年3月15日,本件訴えを提起し
た。
2
特許請求の範囲の記載

本件訂正に係る本件特許の特許請求の範囲請求項1,4~14及び25~34の記載は,別紙1特許請求の範囲記載のとおりである(以下,請求項の順に本件訂正発明1などといい,これらの発明を併せて本件訂正発明という。)。本件訂正後の明細書(甲67添付の訂正明細書)及び図面(甲38)を併せて本件訂正明細書という。3
本件審決の理由の要旨



本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。要するに,①
本件訂正発明は,発明の詳細な説明に記載されたものではないから,これらの発明についての特許は,特許法36条6項1号に規定する要件(以下サポート要件という。)を満たしていない特許出願に対してされたものであり,②本件訂正発明14は,後記引用例記載の発明(以下引用発明1Aという。)と実質的に区別することができないから,特許法29条1項3号に該当し,③(ⅰ)本件訂正発明4,8,10,12,14,26,31及び33は,引用発明1A並びに甲1,9
及び19に記載の事項と本件優先日時点の常套手段に基づいて,(ⅱ)本件訂正発明6及び7は,引用例記載の別の発明(以下引用発明1Bという。)並びに甲1及び9に記載の事項と本件優先日当時の常套手段に基づいて,それぞれ当業者が容易に想到し得るものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,無効にすべきものである,などというものである。引用例:欧州特許出願公開第659865号明細書(甲1。1995年(平成7年)6月28日公開)


サポート要件適合性に関する判断

本件審決は,サポート要件適合性につき,おおむね以下のとおり判断した。ア
本件訂正発明の解決しようとする課題

本件訂正発明の解決しようとする課題は,偏光板の光学的性質を広い視角範囲にわたり増強させ,組み立てが容易であり,重合性液晶組成物が高融点を示し配向および重合に高温を要するという欠点を有していないホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向を有する補償膜の提供,このような補償膜を備えた液晶表示デバイスの提供,並びにこのような補償膜を調製できる重合性メソゲン物質の混合物の提供にあるものと認められる。イ
詳細な説明に記載された発明

一般に化学物質の発明の有用性をその化学構造だけから予測することは困難であり,試験してみなければ判明しないことは当業者の広く認識しているところである。したがって,化学物質の発明の有用性を知るには,実際に試験を行い,その試験結果から,当業者にその有用性が認識できることを必要とする。とされている。そして,全文訂正明細書の発明の詳細な説明の例1A~例3の具体例として化合物⑴~⑻が記載され,そのうちの化合物⑴~⑹について,本明細書に記載の補償板として使用することができるホメオトロピック配向を有するポリマーフィルムが得られたという試験結果が示されているところ,化合物⑴~⑻は,いずれもP-(Sp-X)n-MG-Rで示される式Iにおいて,Pが重合性基として
のアクリレート基(CH2=CHCOO-)であり,Spが炭素数3又は6個の直鎖状アルキレン基〔-(CH2)3-又は-(CH2)6-〕であり,Xが-O-であり,nが1であり,MGがメソゲン基である場合の反応性メソゲン化合物に該当する。すなわち,当該式Iで表される化合物において,P,Sp,Xがそれぞれ上記以外のものについては,当該化合物の有用性を当業者が認識できる程度の記載が,本件訂正明細書の発明の詳細な説明に見当たらない。
また,本件訂正明細書の発明の詳細な説明には,良好な配向を備えたポリマーフィルムを得るためには,重合性メソゲン物質の混合物の液晶相でホメオトロピック配向又は傾斜したホメオトロピック配向状態で重合を行うべきであり,好ましくは100℃又はそれ以下の低融点を有する重合性混合物を使用する必要があり,これにより低温で混合物の液晶相において硬化を行うことができる旨の記載がなされているところ,当該式Iで表される化合物の全てが,良好な配向を備えたポリマーフィルムを得るために必要な物性(好ましくは100℃以下の低融点を有する重合性メソゲン物質の混合物を形成し得る物性)を有し,これらがホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有する補償膜を好適に作製できる範囲にあることを裏付ける記載は,本件訂正明細書の発明の詳細な説明に見当たらない。

特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との対比

本件訂正発明のいずれについても,化合物⑴~⑹以外のメソゲンの全てが,実際に合成して使用することができ,これらがホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有する補償膜を好適に作製できる範囲にあることを当業者が認識できる程度に裏付ける記載は,本件訂正明細書の発明の詳細な説明に見当たらない。
そして,本件訂正明細書の記載によれば,本件訂正発明の式I(又はI’)の反応性メソゲン化合物のうち,100℃以下の低融点を有さないものがホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有する補償膜の提供をできる
範囲にあると解することはできない。
また,メソゲンの分子量や立体構造や極性基の有無等によっても,その反応性メソゲン物質としての物性が大きく異なることも当業者の技術常識であるところ,上記各本件訂正発明の式I(又はI’)の反応性メソゲン化合物の全てがホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有する補償膜,そのような補償膜を備えた液晶表示デバイスないしそのような補償膜を調整できる重合性メソゲン物質の混合物の提供をできる範囲にあるといえる本件特許の出願時の技術常識の存在も見当たらない。
したがって,本件訂正発明に係る本件訂正後の各請求項の記載は,いずれも,発明の詳細な説明の記載により当業者がその課題を解決できると認識できる範囲のものであるとは認められず,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとも認められない。


引用発明及びこれと本件訂正発明との対比

本件審決は,引用発明1A及び1Bにつき,別紙2引用発明記載のとおり認定した。
また,本件審決は,各引用発明と本件訂正発明4,6~8,10,12,14,26,31及び33との一致点・相違点につき,別紙3一致点・相違点記載のとおり認定した。


本件審決に至る審判の経緯


審判長は,平成27年11月4日,平成26年8月20日付け訂正請求(甲
43)を認めた上,

特許第3828158号の請求項1,4ないし7,9,11,13,14に係る発明についての特許を無効とする。特許第3828158号の請求項8,10,12に係る発明についての審判請求は,成り立たない。

との審決の予告をした(甲57。以下第1予告という。)。

審判長は,さらに,平成28年12月13日,同年2月8日付け訂正請求
(甲59)を認めた上,

特許第3828158号の請求項1,4ないし14,25ないし32に記載された発明についての特許を無効とする。

との審決の予告をした(甲66。以下第2予告という。)。
4
取消事由



手続違背(取消事由1)



サポート要件の判断の誤り(取消事由2)



新規性及び進歩性の判断の誤り(取消事由3)


本件訂正発明14に係る新規性判断の誤り(取消事由3-1)


本件訂正発明4,8,10,12,14,26,31及び33に係る進歩性
判断の誤り(取消事由3-2)

第3
1
本件訂正発明6及び7に係る進歩性判断の誤り(取消事由3-3)当事者の主張
取消事由1(手続違背)について

〔原告の主張〕


本件審決が,第2予告で認定された課題と異なる認定をしたこと


本件審決は,本件訂正発明の課題を前記第2の3⑵アのとおり認定した。
しかし,本件訂正発明の課題につき,第2予告では,補償膜において,広い視野範囲にわたり,例えば輝度の増大といった光学的性質を改善すること及び補償膜を構成する重合性液晶組成物を製造するにあたり,配向,及び重合に高温を要しないものとすることにあるとして,2点を並列に挙げていた。本件審決はこれをひとまとめにしており,第2予告の認定とは明らかに異なる。
また,高温を要しないことにつき,第2予告では,本件訂正発明1の「式Iの定義を満たすメソゲンの全てがホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有する補償膜を好適に作製できる範囲にあるとは認められない」としていた。本件審決の認定は,第2予告と異なると共に,本件訂正明細書の記載とも異なる。

さらに,第1予告では,課題につき第2予告と同様の認定がされていたところ,当時の訂正発明のいずれもサポート要件を満たすものとして通知されている。このため,第1予告以降,サポート要件についてさほど議論はなされなかった。しかも,サポート要件に係る判断が第2予告で覆った具体的な理由も示されていない。このような経緯を踏まえると,第2予告のサポート要件違反の理由につき,低融点を必要条件とし,また融点とホメオトロピック配向性との関係性を前提とするものに本件審決で変化する理由について,第2予告の文脈からは推測できない。イ
以上のとおり,本件審決は,サポート要件に関し,第2予告に至るまで低融
点であることが課題解決のための必要条件であることや融点とホメオトロピック配向性との関係性が前提となっていることを明確に提示しないままなされたものであり,原告からその点に関する主張立証や訂正請求の機会を奪った点で,特許法164条の2第1項の規定に反する。


第2予告で指摘していない式Iの例をサポート要件違反の根拠としたこと
本件審決は,本件訂正明細書の例1A~例3の化合物⑴~⑹以外のメソゲンの例として,括弧書で例を挙げた上,ホメオトロピック又は傾斜したホメオトロピック分子配向を有する補償膜を好適に作製できる範囲にあるとは認められず,本件訂正発明の課題を解決できないなどと判断した。
しかし,本件審決が示す例は,いずれも技術常識からは通常あり得ない置換基の組合せに基づくものである。
また,第2予告では,前記化合物⑴~⑹以外のメソゲンは本件訂正発明の課題を解決できない旨の指摘がされてはいるものの,その例は一切記載されていない。そもそも,本件審決で例示された前記メソゲン化合物については,審尋での質問に対して原告が回答したところ,第2予告において,そのようなメソゲン化合物の例について言及されなかったとの経緯がある。こうした経緯からは,このような技術常識に反するメソゲン化合物についての問題は特段の訂正請求を要することなく解消したものと解するのが相当であり,仮にその点になお疑義があるとすれば更な
る審決の予告が当然なされるべきである。
しかるに,本件審決は,一旦解消した問題を不意打ち的に蒸し返して判断したものであり,原告から問題点の解消に係る主張立証や訂正請求の機会を奪った点で,特許法164条の2第1項の規定に反する。


進歩性要件につき,本件訂正発明に係る好適なホメオトロピック配向の効果
の有無を最後まで認定することなく審決した点に審理不尽があること本件審決は,いずれの本件訂正発明についても,原告が主張した効果を認めるのか認めないのか,何をもって当業者が予測し得る範囲なのかなど,効果の具体的な評価検討を行わなかった。
発明の進歩性の認定には,通常,効果の有無の認定,評価,判断が不可欠なところ,本件審決は,これとは異なる手法によって進歩性を判断し,その特殊な審理手法を採用する理由も述べていない。この点で,本件審決は,審決をするのに熟したとはいえないにもかかわらずされたものであり,審理不尽により特許法164条の2第1項の規定に反する。


第2予告で認定された引用発明が本件審決では別の発明にすり替わったこと

本件訂正発明14の新規性要件の判断において,第2予告及び本件審決は,
いずれも本件訂正発明14と引用例記載の発明との対比により,本件訂正発明14には新規性欠如の無効理由がある旨を判断した。
しかし,第2予告における引用発明は引用例の実施例16等の記載に基づいて認定されたのに対し,本件審決における引用発明は,第2予告の引用発明から更に引用例の実施例41及び42の記載を考慮して認定された。このため,原告は,本件審決の判断について,あらかじめ訂正請求の機会や意見申立ての機会を与えられなかった。
このことと,上記変更の理由が述べられていない審理不尽が相俟って,本件審決は,特許法164条の2第1項の規定に反する。


第2予告での新規性欠如との理由が本件審決では新規性欠如かつ進歩性欠如
という理由に変化したこと
本来,ある特許発明について新規性違反の無効理由があると認められる場合,当該特許発明について進歩性違反の無効理由はもはや存在し得ず,新規性違反と進歩性違反との無効理由が同時に存在することはあり得ない。
したがって,本件審決による新規性違反と進歩性違反との両論併記自体,無効理由として不備である。
また,第2予告の無効理由と本件審決の無効理由は,実質上も形式上も一致していない。
これらの点から,本件審決は,特許法164条の2第1項の規定に反する。〔被告の主張〕


本件審決の認定した課題と第2予告の認定した課題との対比


本件審決が認定した本件訂正発明と第2予告が認定した本件訂正前の発明と
は,その認定した課題は同じであり,発明を無効とする理由も実質的に同じであるから,本件審決が判断の対象とした無効理由は審判の請求を理由があるとする審決の予告をしていないもの(特許法施行規則50条の6の2第3号)に当たらない。
したがって,この点について,第3の審決の予告をせずに本件審決をしたことに手続上の違法はない。


本件審決中の例示について

第2予告において,本件訂正明細書記載の例1A~例3の化合物⑴~⑹以外のメソゲン化合物の例につき言及がなかったとしても,前記のとおり,第2予告及び本件審決の対象とする無効理由は同一である。
また,技術常識に反するメソゲン化合物についての問題は特段の訂正請求を要することなく解消するわけがなく,そのようなメソゲンを含む化合物⑴~⑹以外の式Iのメソゲン化合物について指摘する第2予告がされたのであれば,それに対応して訂正請求すべきは当然である。原告は,にもかかわらず訂正をしなかったの
であり,第3の審決の予告をする必要はない。
したがって,この点につき,本件審決は,特許法164条の2第1項の規定に反しない。


第2予告及び本件審決における,新規性及び進歩性に係る無効理由の対比

第2予告における引用発明1Aと本件審決における引用発明1Aは,主に重
合性液晶組成物(F)を用いる点で一致し,後者の引用発明1Aを得るための重合性液晶組成物(F-3)に含まれる式(N-a)の化合物は,任意成分である第3の単官能(メタ)アクリレート化合物の一つにすぎない。また,前者の引用発明1Aを得るための重合性液晶組成物(F-1)と後者の重合性液晶組成物(F-3)は,いずれも配向させる前のものである。
したがって,第2予告と本件審決がそれぞれ対象とする無効理由は,実質的に同じである。
そうすると,本件審決が判断の対象とした無効理由は,審判の請求を理由があるとする審決の予告をしていないもの(特許法施行規則50条の6の2第3号)には当たらず,第3の審決の予告をせずに審決したことに手続上の違法はない。イ
効果の参酌について

原告が甲34-1に基づいて主張する効果は本件訂正明細書に記載されておらず,本件訂正発明4それ自体は,ホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック配向を有するものにすぎない。このような本件訂正発明4の効果は,引用例の記載から予測し得る範囲内のものである。
したがって,本件審決の時点において,本件無効審判事件は審決をするのに熟した場合にあったとするのが合理的かつ自然である。ウ
(ア)

本件訂正発明14について
前記のとおり,本件審決における本件訂正発明14についての,引用発明
1Aとの対比及び判断における無効理由は,第2予告のそれと実質的に同じである。原告は,第2予告の記載を見れば,本件訂正前の発明14が本件審決の引用発明1
Aを得るための重合性液晶組成物(F-3)とも同じ物であり,特許法29条1項3号に該当すると当然に推論できたのであって,原告は,この点につきあらかじめ訂正請求の機会や意見申立ての機会を与えられていたというべきである。(イ)

第2予告で示された新規性欠如との理由が,本件審決では新規性欠如と進
歩性欠如に変化したことについては,本件訂正発明14が,ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜の調製に用いられるためのという発明特定事項を有するものになったことによるものであり,このことは,本件審決及び第2予告の対象とする無効理由が実質的に同一であることとは関係がない。本件審決の

本件訂正発明14についての特許は,無効理由2により無効とするべきものである。

との判断は,あくまで予備的なものにすぎない。2
取消事由2(サポート要件の判断の誤り)について

〔原告の主張〕


本件訂正発明の課題の認定


本件訂正明細書の記載から把握される本件訂正発明の課題

(ア)

本件訂正明細書は,

本発明の課題の一つは,これらの性質を有する補償膜を提供することである。

などとし,本件訂正発明(請求項に記載の構成)に従い,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向を有する補償膜を提供することが,その課題を解決する手段であるとしている。前記これらの性質を有する補償膜とは,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向を有する補償膜であるから,本件訂正発明の課題は,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向を有する補償膜を提供することにほかならない。
(イ)

本件訂正明細書には,重合に高温を要する場合の問題点や広帯域反射型コ
レステリック偏光板用としての問題点等が指摘され,それらの欠点を有していないことが望まれる旨の記載は見られる。

しかし,高温を要しないことや重合性液晶混合物の融点が100℃以下であることが本件訂正発明にとっての必要条件であること,広帯域反射型コレステリック偏光板用として用いることができないと本件訂正発明が成り立たないこと,高温を要するとホメオトロピック配向又は傾斜したホメオトロピック配向を有する補償膜を提供できないことなどについて,本件訂正明細書から読み取ることはできない。イ
本件審決における課題の認定

本件審決は,本件訂正明細書には良好な配向を備えたポリマーフィルムを得るためには,重合性メソゲン物質の混合物の液晶層でホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向状態で重合を行うべきであり,好ましくは100℃またはそれ以下の低融点を有する重合性混合物を使用する必要があり,これにより低温で混合物の液晶相において硬化を行うことができる旨及び良好なホメオトロピック配向を備えたポリマーフィルムを得るためには,100℃以下の低融点を有する重合性混合物を使用することが必要である旨の記載がされていると認定したが,そのような記載はない。本件訂正明細書は,低融点を有する重合性混合物を使用する必要があるのではなく,そのような混合物を使用すると好ましいとしているのである。その好ましい理由は,重合操作を容易にするためや大量生産に重要であるからであって,低融点であることがホメオトロピック配向を有するポリマーフィルム製造の必要条件である旨本件訂正明細書が記載しているとする本件審決の認定は誤りである。
よって,本件審決には,解決すべき課題に関する認定に誤りがある。⑵

サポート要件に関する判断の誤り


前記のとおり,本件訂正発明の課題は,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向を有する補償膜を提供すること,このような補償膜を備えた液晶表示デバイスを提供すること,このような補償膜を作製するのに用いられる重合性液晶混合物を提供することである。したがって,本件において,サポート要件は,本件訂正発明が,その課題である広い視野範囲にわたる光学的性質の改
善を解決する,好適なホメオトロピック配向性を有する補償膜を提供するものであるか否かによって判断されるべきである。
そして,本件訂正発明の式Iで表される重合性メソゲン化合物のスペーサー基の有無が好適なホメオトロピック配向性を決定付ける傾向を示すことは,本件訂正明細書の記載や実験レポ-ト(甲34-1)により実証されている。したがって,本件訂正発明は,ホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有する補償膜によって,補償膜において,広い視野範囲にわたり,例えば輝度の増大といった光学的性質を改善するという課題を解決するものである。

他方,本件審決は,高温を要するものが存在するという甲1及び9を根
拠にして,課題を解決できないと判断している。
しかし,甲9には,一般式(R-2)に相当する化合物には高融点のメソゲン化合物が含まれる旨記載されるにとどまる。
また,甲1は,融点が80℃以下程度の液晶組成物を用いると,作製される光学異方フィルムのメソゲンの配向が不均一となることを述べているにすぎない。この融点が80℃以下という事項は,本件訂正明細書の記載によれば好ましい融点の範囲内であり,特に好ましい60℃以下の範囲ではないにすぎない。そもそも,本件訂正明細書には,100℃以下でないとホメオトロピック配向を備えたポリマーフィルムを得られないなどとは記載されていない。さらに,配向が不均一とは,メソゲンの配向が,場所によらず均等であるのではなく,場所場所で同じではない状態になることをいうのであって,配向が不均一であることは,ホメオトロピック配向にならないことを意味しない。したがって,甲1の記載は,本件訂正発明が本件訂正明細書記載の課題を解決できないとする証拠にはならない。ウ
以上のとおり,本件審決は本件訂正明細書の記載を読み誤り,その記載から
把握されるべき課題を誤認し,また,甲1記載の従来技術の理解を誤ったことに基づき,本件訂正発明の課題を誤って認定した。このような認定に基づきなされた本
件審決によるサポート要件違反の判断は,それ自体失当である。


式Iの反応性メソゲンの全てがホメオトロピック又は傾斜したホメオトロピ
ック分子配向を有する補償膜を好適に作製できる範囲にないとの認定について前記のとおり,サポート要件の充足性の認定に際し,本件訂正明細書の例1A~例3の化合物⑴~⑹以外のメソゲンの例として本件審決が挙げた例は,技術常識からは通常あり得ない置換基の組合せに基づくものばかりであり,審尋に対する原告の回答により既に解消した問題点である。また,本件審決は,前記例示されたもの以外の化合物を例示しておらず,あるとしてもそのような化合物に基づくサポート要件違反の理由も具体的に指摘していない。
そうである以上,サポート要件違反の根拠はない。
また,サポート要件の充足性の判断に当たり,出願時における技術分野の技術常識及び本件訂正発明の具体的な検討を行うことなく,本件訂正明細書に記載された化合物が特許請求の範囲に記載された化合物の一部にとどまることをもって,直ちにサポート要件充足性を否定することは許されないところ,本件審決は,この点においても審理不尽の違法がある。


小括

以上のとおり,本件審決は,本件訂正明細書の記載の解釈を誤り,本件訂正発明が解決しようとする課題を誤って認定したことに基づきサポート要件違反とした点で違法である。
〔被告の主張〕


本件訂正発明の解決しようとする課題及び課題解決について


本件訂正明細書の記載に接した当業者には,本件訂正発明の解決しようとす
る課題が,本件審決が認定したとおりであると理解される。

本件訂正発明の式Iで表される化合物は,共通する化学構造がない極めて広
範なものである。このような本件訂正発明で用いられるメソゲンは,アクリレート基以外の重合性基,例えばメタクリレート基を有するものであってよいが,本件訂
正明細書には,当業者が当該メソゲンの有用性を認識できる程度の記載はない。それどころか,当該メソゲンは良好な配向という点では有用でないというのが当業者の認識であった。そうすると,当業者は,当該メソゲンがホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有する補償膜を好適に作製できる範囲にあるなどとは推論しない。
また,本件訂正明細書の記載から,当業者は,上記課題を解決し,良好なホメオトロピック配向を備えたポリマーフィルムを得るためには,低融点を有する重合性混合物を使用することが必要であると推論する。実際,様々な文献において,高融点の重合性化合物については,これを用いて作成される光学異方フィルムのメソゲンの配向が不均一になるといった欠点があることが指摘されている。これに対し,本件訂正発明は,配向させる重合性メソゲン物質の混合物が高融点のものであってよく,しかも,上記課題を解決するための発明特定事項も有していない。そうすると,当業者は,本件訂正発明につき,上記課題を解決するものではなく,良好な配向を備えるものでもないと認識する。
さらに,本件訂正明細書記載の例1Aのポリマーフィルムは光学的に透明であるが,それを用いた図3の装置のリターデーションは対称ではない。しかも,フィルムは,配向性が悪いと光の散乱により不透明になることは,当業者の技術常識である。このため,本件訂正明細書の記載に接した当業者は,極めて広範な本件訂正発明が,対称なリターデーションを有し光学的に透明であるという効果を奏するものであるとも認識しない。

原告は,本件訂正発明の課題につき,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向を有する補償膜を提供することにほかならないなどと主張する。
しかし,本件訂正明細書の本発明の課題の一つは,これらの性質を有する補償膜を提供することにある,これらの課題が,本発明に従いの記載におけるこれらの性質,これらの課題とは,先行するJP05-142531に記載されているような液晶の配向はしばしば,達成が困難であり,また高温を要する。…。しかしながら,この刊行物に記載されている1種のみの重合性化合物を含有する重合性液晶組成物は一般に,高融点を示し,従って配向および重合に高温を要し,これはこのような膜を製造する場合,重要な欠点である。との記載を受けたものであって,この後にある

ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向を有する補償膜を提供することによって達成することができる。

との記載を受けたものでないことは,当業者に明白である。
したがって,原告の主張は,本件訂正明細書の記載に基づかない主張である。⑵

サポート要件に関する判断について


この点に関する原告の主張は,その前提とする本件訂正発明の課題について
の誤った理解に基づくものである。

配向が不均一であることはホメオトロピック配向にならないことを意味
するか否かは,本件訂正発明が前記課題を解決するものではなく,良好な配向を備えるものでもないという本件訂正明細書の記載に接した当業者の認識を左右するものではない。

本件審決の例示について

本件審決が括弧内で示した例示につき,第2予告で指摘がないことをもって既に解消したものと理解されるか否かは,第2予告で指摘された問題点が解消されたか否かとは関係がない。
第2予告が指摘した化合物⑴~⑹以外のメソゲン…の全てが「ホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有する補償膜を好適に作製できる範囲にあるとは認められない。」という問題点は,本件訂正によって解消されていない。また,本件審決が括弧内で示した例示が技術常識からは通常あり得ない置換基の組み合わせに基づくものばかりであるのであれば,原告は,極めて広範な本件訂正発明1の式Iの定義を満たすメソゲンの全てがホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有する補償膜を好適に作製できる範囲
にはないと知りながら,訂正する機会を何度も与えられても訂正をしなかったことになる。
3
取消事由3(新規性及び進歩性の判断の誤り)について

〔原告の主張〕


本件訂正発明14に係る新規性判断の誤り(取消事由3-1)について

本件審決は,引用発明1Aについて,重合性液晶組成物という物の
用途には,ホメオトロピック配向した光学異方フィルムの調製に用いられる用途も含まれているとした上で,本件訂正発明14と引用発明1Aの用途の相違につき実質的な差異があるとは認められないと判断した。
しかし,引用発明1Aの重合性液晶組成物は,これを光重合させて得られるフィルムがツイステッドネマチック配向の光学異方フィルムであると明確に定義されるものであるから,上記用途も含まれると認定することは,引用発明1Aを本件訂正発明14との対比に際して再び定義し直すに等しく,許容されない。また,相違点15に係る認定とも矛盾する。

用途発明として新規性が認められることについて

本件訂正発明14の重合性メソゲン物質の混合物は,これをホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜の調製に用いられるためという用途に供することにより,重合性メソゲン物質の混合物を基板に塗布しただけで,光学的に透明であり,垂直入射で見た場合に複屈折を伴わず,かつ視角の増大とともに増加する複屈折率を伴う,メソゲン基のホメオトロピック配向を示す,好適なホメオトロピック配向補償膜等が得られる,という属性が発見されたものである。このような属性はいかなる文献にも記載されていない。したがって,本件訂正発明14の用途は,未知の属性である。
また,本件訂正発明14の重合性メソゲン物質の上記属性により見出された用途は,従来知られている範囲とは異なる新たなものといえる。

以上より,仮に,引用発明1Aから重合性液晶組成物(F-4)の発明を認定することができたとしても,用途限定が付された本件訂正発明14は,引用発明1Aと文言上明確に相違する。


本件訂正発明4,8,10,12,14,26,31及び33に係る進歩性
判断の誤り(取消事由3-2)について

本件訂正発明4について

(ア)
a
相違点の認定について
本件審決は,本件訂正発明4と引用発明1Aの相違点として相違点2~4を
挙げているところ,相違点を細かく分断していること自体が適切ではない。むしろ,相違点2~4を統合した本質的にa1,a2,b,c,dからなることを特徴とする重合性メソゲン物質の混合物の重合あるいは共重合によって得られる少なくとも一つのアニソトロピックポリマー層がホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有することを特徴とし,補償膜が2枚または3枚以上のアニソトロピックポリマー層を含み,これらの層の少なくとも1枚がホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有する複合補償膜であることを相違点(以下相違点Aという。)とすべきである。
b
そうすれば,本件審決とは異なり,ホメオトロピック分子配向を有するアニ
ソトロピックポリマー層の形成に好適な重合性メソゲン物質の混合物を選択的に用いて調製されたホメオトロピック分子配向を有する複合補償膜を採用する動機付けを,単に引用例に(6m)化合物が記載されていることをもって導くことはできなかったはずである。
c
本件審決は,相違点2~4のいずれについても,ホメオトロピック分子配向
を有するアニソトロピックポリマー層の形成に好適な重合性メソゲン物質の混合物を選択的に用いたホメオトロピック分子配向を有する複合補償膜を採用することにより格別な効果を奏することについて考慮することなく,進歩性欠如の結論に至っている。

しかし,そもそも本件訂正発明は,所定のSp-X基を有する式Iの化合物自体の特性に基づき,本質的に当該化合物からなる混合物を基板に塗布するだけで好適なホメオトロピック配向光学補償膜を調製できるという新しい発見に基づき完成した発明であって,所定のSp-X基を有する化合物から本質的になる混合物をホメオトロピック配向光学補償膜の調製のために選択的に用いること自体に格別の意義がある。引用例を含む本件優先日前のいずれの文献にも,このような混合物をホメオトロピック配向光学補償膜の調製のために用いた例は見当たらない。d
引用発明1Aは,所定のSp-X基を有する化合物から本質的になる混合物
から調製された光学補償膜を配置する液晶表示デバイスに係るものであるが,その光学補償膜はあくまでもツイステッドネマチック配向補償板であって,ホメオトロピック配向補償板を示唆するものでも,その好適なホメオトロピック配向性を呈することを示唆するものでもない。したがって,本件訂正発明4が奏する効果を考慮すれば,相違点Aに係る構成は容易に想到できない。
(イ)
a
各相違点に係る構成の容易想到性の判断の誤り
相違点2について

前記のとおり,引用発明1Aは,ツイステッドネマチック配向補償板を配置する液晶表示素子の発明であって,ホメオトロピック配向補償板を配置する液晶表示素子に係るものではなく,これを示唆するものでもない。
また,一般式(R-2)の化合物については,100%の量で用いた場合の例において,予期しない熱重合に起因して光学異方性フィルムの配向が不均一になるという欠点が指摘されている。このため,これを引用発明1Aの重合性液晶化合物に更に含むようにすることにつき,少なくとも積極的な動機付けは阻害されている。これを含むようにするとの示唆があるとしても,その示唆が,敢えて引用発明1Aにおけるツイステッドネマチック配向補償板の調製のための動機付けになるとする根拠はない。まして,ツイステッドネマチック配向補償板をホメオトロピック配向補償膜に代え,その調製のために(R-2)化合物を更に含ませることは,どこに
も示唆がない。
b
相違点3について

引用発明1Aは,所定のSp-X基を有する化合物から本質的になる混合物から調製された光学補償膜を配置する液晶表示デバイスに係るものであるが,前記のとおり,その光学補償膜はあくまでもツイステッドネマチック配向補償板であって,ホメオトロピック配向補償板を配置するものではなく,また,これを示唆するものでも,その好適なホメオトロピック配向性を呈することを示唆するものでもない。c
相違点4について

前記のとおり,引用発明1Aのツイステッドネマチック配向補償板をホメオトロピック配向補償板とすることは容易ではなく,たとえ本件審決で認定されるような常套手段が存在したとしても,そもそもこのような常套手段をホメオトロピック配向補償板に適用する動機付けはない。
(ウ)

小括

以上のとおり,本件訂正発明4の引用発明1Aに対する進歩性に係る本件審決の判断には誤りがある。

本件訂正発明14について

本件審決は,仮に用途限定に関する相違点15に実質的な差異があるとしても,引用例の記載から,ホメオトロピック配向とすることは当業者が容易に想到し得ると判断した。
しかし,引用発明1Aの光学補償膜はあくまでもツイステッドネマチック配向補償板であって,ホメオトロピック配向補償板を示唆するものでも,その好適なホメオトロピック配向性を呈することを示唆するものでもないこと,本件訂正発明14は,所定のSp-X基を有する式Iの化合物自体の特性に基づき,本質的に当該化合物からなる混合物を基板に塗布するだけで好適なホメオトロピック配向光学補償膜を調製できるという効果を奏するものであり,引用例を含む本件優先日前のいずれの文献にも,このような混合物をホメオトロピック配向光学補償膜の調製のため
に用いた例は見当たらないことは,いずれも前記のとおりである。したがって,相違点15に基づく本件訂正発明14の進歩性に関する本件審決の認定,判断は誤りである。

本件訂正発明8,10,12及び26について

本件審決が,相違点を相違点9と3,相違点12と3又は相違点2と3のように細かく分断していること自体が適切でない。すなわち,相違点2及び3を分けて認定することが誤りであることは,前記のとおりである。また,相違点9及び12は,Sp-X基を有する式Iの化合物の存否に関する相違点である点で,相違点2と同様の趣旨であるから,相違点2及び3と同様に考えられる。
したがって,本件訂正発明8,10,12及び26の進歩性に関する本件審決の判断には誤りがある。

本件訂正発明31及び33について

本件審決が相違点を相違点9と3又は相違点12と3のように細かく分断して認定することが誤りであることは,前記のとおりである。
したがって,本件訂正発明31及び33の進歩性に関する本件審決の判断には誤りがある。


本件訂正発明6及び7に係る進歩性判断の誤り(取消事由3-3)について
本件訂正発明6及び7は,式Iの化合物が,Sp-Xとして炭素原子1~3個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,…により置き換えられてよくを有するのに対し,本件審決は相違点6を認定するにとどまり,本件訂正発明6及び7の発明特定事項である炭素原子数の範囲を看過した。
このため,(R-2)化合物は,少なくとも本件訂正発明6及び7に特定されるSp-X基の要件を満たさず,仮にこのような化合物を添加することが当業者にとって容易であったとしても,その結果として得られる引用発明1Bを変形した光学異方フィルムと本件訂正発明6及び7とは,相違点6が依然として残存する。したがって,この点に関する本件審決の認定,判断は誤りである。
〔被告の主張〕


本件訂正発明14に係る新規性判断の誤り(取消事由3-1)について

引用発明1Aを得るための重合性液晶組成物(F-3)は,配向させる前の
ものであって,少なくとも2つの6員環を有する液晶性骨格を部分構造として有する環状アルコール,フェノール又は芳香族ヒドロキシ化合物の(メタ)アクリル酸エステルである第一の単官能(メタ)アクリレートを含有し,室温で液晶相を示すことを特徴とする重合性液晶組成物の一例である。引用例には,このような重合性液晶組成物をホメオトロピック配向させた後重合させてもよい旨記載されているから,その記載に接した当業者は,引用発明1Aを得るための重合性液晶組成物(F-3)が,ツイステッドネマチック配向を有するアニソトロピックポリマー層を含む補償膜の調製だけでなく,ホメオトロピック配向の光学異方フィルムの調製にも用いられるものと理解する。
そして,この用途は,本件訂正発明14のホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜の調製に用いられるに相当する。したがって,引用発明1Aを得るための重合性液晶組成物は,本件訂正発明14と実質的に同じ物である。

用途発明について

光学的に透明であり,…ホメオトロピック配向は,本件訂正明細書記載の例1Aの混合物をシクロペンタノン中に溶解し,…硬化させて形成したアニソトロピックポリマーフィルムの効果であって,当該混合物それ自体の属性ではない。そして,本件訂正明細書の記載から,極めて広範な本件訂正発明14に係る混合物それ自体の属性が当業者に既知のメソゲンという性質であることは理解できるが,当該混合物それ自体の未知の属性については全く記載がない。また,引用例には,引用発明1Aを得るための重合性液晶組成物が,ホメオトロピック配向した光学異方フィルムを得るのに有用であることが記載されていること
から,本件訂正発明14の用途は,従来知られている範囲と異なる新たなものでもない。


本件訂正発明4,8,10,12,14,26,31及び33に係る進歩性
判断の誤り(取消事由3-2)について

(ア)

本件訂正発明4について
原告は,本件審決が相違点2~4を認定したことにつき,相違点を細かく
分断していること自体適切ではないなどと主張する。
しかし,そもそも,本件訂正発明4の発明特定事項はそれぞれ本件訂正発明4の課題を解決する技術的手段として一体不可分のものではない。
したがって,相違点を細かく分断していることが適切か否かという以前に,本件審決が相違点を細かく分断しているということはできない。
(イ)

本件訂正発明4が奏する効果を考慮するとしても,それは当業者が予測し
得る範囲内のものである。
(ウ)
a
各相違点に係る構成の容易想到性について
相違点2について

原告主張に係る一般式(R-2)の化合物についての背景技術は,引用発明1Aの重合性液晶組成物に一般式(R-2)の化合物を含むようにしてみる積極的な動機付けがあることとは関係がない。引用発明1Aを得るための重合性液晶組成物は,機械的強度及び耐熱性に優れ,均一でムラのない光学異方フィルムを提供することを課題の一つとする少なくとも2つの6員環を有する液晶性骨格を部分構造として有する環状アルコール,フェノール又は芳香族ヒドロキシ化合物の(メタ)アクリル酸エステルである第一の単官能(メタ)アクリレートを含有し,室温で液晶相を示すことを特徴とする重合性液晶組成物の一例であり,甲9の内容を知る当業者には,これが機械的強度と耐熱性で有利になる一般式(R-2)の化合物を含んでいてもよいと理解される以上,引用発明1Aを得るための重合性液晶組成物(F-3)にも,室温付近で液晶相を示す範囲で(R-2)化合物を含むようにしてみるという示唆があるといえる。また,引用例に,(R-2)化合物を更に含ませることなどが直接明記されていないとしても,引用発明1Aを得るための重合性液晶組成物に,室温付近で液晶相を示す範囲で,一般式(R-2)の化合物を課題達成に必要な量で更に含むようにしてみることは,課題の共通性があるという点で十分な動機付けがある。
b
相違点3について

引用発明1Aは,ツイステッドネマチック配向の光学異方フィルムを配置するものであるが,それを得るための重合性液晶組成物(F-3)は配向させる前のものであって,少なくとも2つの6員環を有する液晶性骨格を部分構造として有する環状アルコール,フェノール又は芳香族ヒドロキシ化合物の(メタ)アクリル酸エステルである第一の単官能(メタ)アクリレートを含有し,室温で液晶相を示すことを特徴とする重合性液晶組成物の一例である。引用例には,このような重合性液晶組成物をホメオトロピック配向させた後重合させてもよい旨が記載されており,引用発明1Aを得るための重合性液晶組成物(F-3)からホメオトロピック配向の光学異方フィルムを必要に応じ得ることの示唆がされている。また,極めて広範な本件訂正発明4は,好適なホメオトロピック配向性を呈するものではない。
c
相違点4について

上記a,bから,引用発明1Aのツイステッドネマチック配向補償板をホメオトロピック配向補償板とすることは容易である。
また,引用例によれば,光学異方フィルムは位相差板として使用できるものであって,本件審決で認定されるような常套手段をホメオトロピック配向補償板に適用することは,動機付け云々以前に当業者が適宜行う範囲内のことであるし,当業者には,位相差板として使用するのに上記常套手段をホメオトロピック配向補償板に適用する動機もある。

本件訂正発明14について

原告主張に係る本件訂正発明14の混合物をホメオトロピック配向光学補償膜の調製のために選択的に用いることの意義は,本件訂正明細書に記載がない。ウ
本件訂正発明8,10,12,26,31及び33について

前記ア(ア)と同様である。


本件訂正発明6及び7に係る進歩性判断の誤り(取消事由3-3)について

本件審決が,炭素原子数の範囲も含め少なくとも2個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲンを相違点と認定していることは明らかである。イ
引用発明1Bの重合性液晶組成物に,甲9記載のモノマー6mのジアクリレ
ート化合物を更に含むようにしてみることは,引用例に明確な示唆があるという点で,十分な動機付けがある。
さらに,甲9によれば,当該モノマー6mはあくまで別紙4化学式・図面等目録記載1⑴の一般化学式で示されたモノマーの一つであり,引用例で含んでいてもよいとされるジアクリレート化合物は,その一般化学式のxが4,5,6,8,10,11であるモノマーのみであるとは当業者には解されない。そうすると,モノマー6mすなわち機械的強度と耐熱性の問題を解決できる一般式(R-2)の化合物以外のLCモノマーについて検討し,機械的強度と耐熱性の観点から好適なxのものを採用して,それが引用発明1Bの重合性液晶組成物に室温付近で液晶相を示す範囲で含まれるようにしてみることも,当業者にとっては特段困難なことではない。
また,xが1~3のLCモノマーを採用したことに技術的意義は見いだせない。第4

当裁判所の判断

1
本件訂正発明



本件訂正発明に係る特許請求の範囲は,前記第2の2記載のとおりである。
また,本件訂正明細書(甲67添付の訂正明細書)には,おおむね以下の記載がある(なお,図面(甲38)及び化合物の化学式は別紙4化学式・図面等目録記載1⑵及び2を参照)。


(ア)

技術分野,従来技術及び解決しようとする課題
本発明は,液晶セルおよび少なくとも1枚の補償膜または偏光板と少なく
とも1枚の補償膜を有する光学補償板との組合わせを含み,該補償膜はa)少なくとも1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲンをb)開始剤
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤,
の存在下において含む,
重合性メソゲン物質の混合物の重合あるいは共重合によって得られる少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む液晶表示デバイスであって,上記アニソトロピックポリマー層がホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有することを特徴とする,前記液晶表示デバイスに関する。
本発明はまた,該補償膜の製造方法に関する。本発明はさらにまた,該補償膜の製造に使用される重合性メソゲン物質の混合物に関する。本発明はまた,広帯域反射型偏光板により透過される光の位相リターデーションの視角依存性を補償するために,該補償膜を使用することに関する。(1頁4行目~19行目)(イ)

EP0606940は,…広い波長範囲にわたり輝度の高い直線偏光され
た光を生じさせるコレステリック反射型偏光板を開示している。しかしながら,この偏光板の光学的性質,例えば輝度およびコントラスト比は,視角が大きくなるのに従い相当に劣化される。
従って,上記したもののような広帯域コレステリック反射型偏光板と一緒に使用した場合,広い視角範囲にわたり当該偏光板の光学的性質を改善する補償膜を利用できることが望まれていた。
補償膜は従来技術で開示されている。…反応性メソゲンの重合混合物から形成された補償膜はまた,開示されている。

例えば,JP05-142531には,膜の垂直方向に配向されているネマティック液晶ポリマーを含む補償板が記載されている。この補償板はガラスセルでホメオトロピック配向される液晶を配向させることによって形成される。しかしながら,JP05-142531に記載されているような液晶の配向はしばしば,達成が困難であり,また高温を要する。さらにまた,…ガラスセルで重合させ,引き続きガラス板を取り除く方法は複雑であり,工業的大規模製造に適していない。Heynderickx,Broer等によるMol.Cryst.Liq.Cryst.,203(1991),113~126頁には,非カイラルメソゲンジアクリレートとカイラルドープ剤との重合混合物から形成されたSTN用の補償膜が形成されている。…しかしながら,この刊行物に記載されている1種のみの重合性化合物を含有する重合性液晶組成物は一般に,高融点を示し,従って配向および重合に高温を要し,これはこのような膜を製造する場合,重要な欠点である。
さらにまた,JP05-142531およびHeynderickx,Broer等による刊行物に記載されている補償板は,…液晶ディスプレイと組合わされている広帯域反射型コレステリック偏光板の補償用にデザインされていない。従って,広帯域コレステリック反射型偏光板と一緒に使用した場合,この偏光板の光学的性質を広い視角範囲にわたり増強させ,組み立てが容易であり,かつまた前記の従来技術の補償膜の欠点を有していない補償膜に対する格別の要求が存在している。(1頁最終行~3頁3行目)
(ウ)

本発明の課題の一つは,これらの性質を有する補償膜を提供することにあ
る。本発明のもう一つの課題は,このような補償膜を備えた液晶表示デバイスを提供することにある。本発明のその他の課題は,以下の詳細な説明から当業者にとって直に明白である。
これらの課題が,本発明に従い,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向を有する補償膜を提供することによって達成することができることが見出された。(3頁4行目~10行目)


(ア)

好適な実施の態様
好適態様において,重合性混合物は,1個の重合性基を有する反応性メソ
ゲン化合物を含有する。これらの化合物は一般に,容易にまた安価に合成することができる。さらにまた,一反応性化合物のみを含有する混合物は,二反応性化合物を含有する混合物に比較して,望ましくない自発的重合に対して高い安定性を示す。もう一つの好適態様において,重合性混合物は,2個または3個以上の重合性官能基を有する反応性メソゲン化合物(多官能性化合物)を含有する。このような混合物を重合させると,三次元ポリマー網状構造体が形成される。このような網状構造体から形成された補償膜は自己支持性であり,また機械的安定性および熱に対する安定性を示し,およびまたその物理的性質の温度依存性は小さい。(6頁10行目~20行目)
(イ)

本発明による重合性混合物は,層形態で少なくとも1枚の基板上に塗布し,
配向させ,次いで重合させる。基板としては,例えばガラスまたは石英のシート,あるいはプラスティックフィルムまたはシートを使用することができる。重合前,重合中,および(または)重合後に,塗布混合物の上に第二の基板を配置することもできる。…
ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向を得るために,メソゲン物質は好ましくは,配向層を担持する基板上に塗布する。…本発明の好適態様において,シリカ塗布プラスティックフィルムを基板として使用する。本発明による重合性メソゲン混合物の重合は,これを熱または活性照射線にさらすことによって生じさせる。活性照射は,光,X-線またはガンマ線の照射あるいは高エネルギー粒子,例えばイオンまたは電子の照射を意味する。特に,紫外線光を使用すると好ましい。(7頁4行目~最終行)
(ウ)

良好な配向を備えたポリマーフィルムを得るためには,この重合を重合性
メソゲン物質の混合物の液晶相でホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向状態で行うべきである。従って,低融点,好ましくは100℃またはそ
れ以下,特に60℃またはそれ以下の融点を有する重合性混合物を使用すると好ましく,これにより低温で混合物の液晶相において硬化を行うことができる。これによりまた,重合操作を容易にすることができ,これは大量生産の場合に特に重要である。100℃以下の硬化温度が好適である。60℃以下の硬化温度は特に好ましい。(8頁26行目~9頁4行目)

好適態様において使用される反応性メソゲン化合物

本発明の好適態様において,重合性メソゲン物質の混合物に使用される反応性メソゲン化合物は,下記式Iで表わされる化合物である:
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有するスペーサー基であり,
Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-から選択される基または単結合であり,
nは,0または1であり,
MGは,メソゲン基またはメソゲン支持基であり,…,そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,…あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノであるか,あるいは独立して,P-(Sp-X)n-について示されている意味の一つを有する。(11頁19行目~12頁24行目)エ
実施例

前記および下記の例において,別段の記載がないかぎり,温度は全部が未補正であって,摂氏度で示されており,そして部およびパーセンテージは全部が重量による。下記の略号を使用して,化合物の液晶相挙動を示す:
K=結晶;N=ネマティック;S=スメクティック;Ch=コレステリック;I=アイソトロピック。これらの記号間の数値は相転移温度を摂氏度で示すものである。

例1A
下記の混合物を調製する:
化合物⑴

24.5%

化合物⑵

24.5%

化合物⑶

24.5%

化合物⑷

24.5%

イルガキュア651

2.0%

(Irgacure)
イルガキュアは市販の光開始剤である(CibaGeigyAG)。化合物⑴の製造はDE195,04,224に記載されている。化合物⑵~⑷は同様にして製造することができる。…
補償膜を製造するために,この混合物をシクロペンタノン中に溶解し,…濾過した。この試料を,…ガラス上に塗布し…,次いで窒素雰囲気下に50℃で溶剤を蒸発させた。この混合物を次いで,窒素雰囲気下に,70mW/cm2の照度を有する紫外線光に5分間さらすことによって硬化させ,3ミクロンの厚さを有するアニソトロピックポリマーフィルムを形成した。
このポリマーフィルムは,偏光光学顕微鏡下で,光学的に透明であり,垂直入射で見た場合,複屈折を伴わず,かつ視角の増大とともに増加する複屈折率を伴う,メソゲン基のホメオトロピック配向を示した。
このホメオトロピック薄膜を有するガラス板を,接着層により広波長帯域コレステリック薄膜のシートに接着させた。
この広波長帯域反射型偏光膜は,反応性コレステリックメソゲン化合物の重合した混合物からなる。この偏光板は,多種のピッチ長さのコレステリックラセンを示し,そして約260nmの帯域をもって,…広い反射帯域を有していた。…例1B
下記の測定において,反射型偏光板51および1Aの本発明によるホメオトロピ
ック補償膜52,四分の一波長薄膜(QWF)53および直線偏光板54(偏光軸はQWFの固定軸に対して45°である)を備えている…装置を通過する,市販LCDバックライト50からの光の輝度を,或る視角範囲(-60°~+60°)でミノルタ(Minolta)CS-100カラーカメラ55を用いて測定した。この測定値を図4に示す。
第一に,反射型偏光板51,QWF53および直線偏光板54からなり,本発明による補償膜52を備えていない未補償偏光板組合わせにかかわる結果(曲線4b)を,直線偏光板54を単独で用いた同一装置(曲線4a)と比較した。…約44%の明度の増加,すなわち輝度の増加が垂直方向…で測定された。しかしながら,視野角が大きくなるに従う,反射型偏光板それ自体による位相リターデーションの増加は,測定された輝度の顕著な減少を引き起こした。これは36°のクロスオーバー角で直線偏光板について測定された数値と一致した。
次いで,この結果を,反射型偏光板51,本発明によるホメオトロピック補償膜52,QWF53および直線偏光板54からなる補償偏光板組合わせ(4c)と比較した。クロスオーバー角は補償膜を用いない場合の約36°から補償膜を用いた場合の約47°に増加した。曲線4b(未補償)と曲線4c(補償済)とを比較した場合,ホメオトロピック補償膜を使用した場合に,全視角にわたり輝度が格別に増大されることを見ることができる。
図5は,補償済試料(5b)および未補償試料(5a)にかかわる色度差…を示している。曲線5bに示されているように,補償膜は,補償膜を用いない試料(曲線5a)と比較して,角度の増大に従い,色度差を減少させる。…例2
下記の混合物を調製する:
化合物⑸

69%

化合物⑹

19%

イルガキュア651

12%

(Irgacure)
二反応性化合物⑸は,WO93/22397に記載されている化合物の合成と同様にして製造することができる。化合物⑹は,化合物⑴~⑷と同様にして製造することができる。…
この混合物のシクロペンタノン中20%溶液を,シリカ塗布PET基板上に塗布し,次いで溶剤を蒸発させた。この混合物を60℃で紫外線光にさらすことによって硬化させ,ホメオトロピック配向膜を得た。この膜を,例1Bに記載の装置で補償膜として使用した場合,60°のクロスオーバー角が見出された。例3
下記の混合物を調製する:
化合物⑸

40%

化合物⑺

10%

化合物⑻

46%

イルガキュア907

4%

(Irgacure)
イルガキュアは,市販の光開始剤である(CibaGeigyAG)。化合物⑺および⑻は,化合物⑴~⑷と同様にして製造することができる。本明細書に記載の補償板として使用することができるホメオトロピック配向を有するポリマーフィルムを,例1Aに記載のとおりに,上記混合物の塗布,配向および硬化により製造した。
前記諸例は,前記例で用いられているものの代わりに,一般的または具体的に記載されている反応剤および(または)本発明の操作条件を用いて同様の成功をもって反復することができる。
前記記載から,当業者は本発明の本質的特徴を容易に確認することができ,また本発明の精神および範囲から逸脱することなく,各種用途および状態に適合させるために,本発明を変更および修正することができるものとする。(22頁15行目
~26頁最終行)


本件訂正発明の概要

前記⑴認定の記載によれば,本件訂正発明の概要は,以下のとおりのものと認められる。

本件訂正発明は,液晶セル及び少なくとも1枚の補償膜又は偏光板と少なく
とも1枚の補償膜を有する光学補償板との組合せを含み,該補償膜は少なくとも1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲン,開始材,必要に応じて2個又は3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物及び必要に応じて安定剤を含む,重合性メソゲン物質の混合物の重合又は共重合によって得られる少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む液晶表示デバイスであって,上記アニソトロピックポリマー層がホメオトロピック又は傾斜したホメオトロピック分子配向を有することを特徴とする,前記液晶表示デバイス,該補償膜の製造方法,及び該補償膜の製造に使用される重合性メソゲン物質の混合物に関する。従来技術として,広い波長範囲にわたり輝度の高い直線偏光された光を生じさせるコレステリック反射型偏光板が開示されているが,この偏光板の光学的性質,例えば輝度及びコントラスト比は,視角が大きくなるのに従い相当に劣化される。したがって,広帯域コレステリック反射型偏光板と一緒に使用した場合,広い視角範囲にわたり当該偏光板の光学的性質を改善する補償膜が望まれていたところ,本件訂正発明に従い,ホメオトロピック配向又は傾斜したホメオトロピック配向を有する補償膜を提供することによって達成することができることが見出された。イ
本件訂正発明の好適態様において,2個又は3個以上の重合性官能基を有す
る反応性メソゲン化合物を含有する重合性混合物を重合させると,三次元ポリマー網状構造体が形成される。このような網状構造体から形成された補償膜は自己支持性であり,また機械的安定性及び熱に対する安定性を示し,及びまたその物理的性質の温度依存性は小さい。
本件訂正発明による重合性混合物は,層形態で少なくとも1枚の基板上に塗布し,
配向させ,次いで重合させる。基板としては,例えばガラス又は石英のシート,あるいはプラスティックフィルム又はシートを使用することができる。ホメオトロピック配向又は傾斜したホメオトロピック配向を得るために,メソゲン物質は好ましくは,配向層を担持する基板上に塗布する。
また,本件訂正発明による重合性メソゲン混合物の重合は,これを熱又は活性照射線にさらすことによって生じさせる。活性照射は,光,X-線又はガンマ線等の照射を意味し,特に,紫外線光を使用すると好ましい。
良好な配向を備えたポリマーフィルムを得るためには,この重合を重合性メソゲン物質の混合物の液晶相でホメオトロピック配向又は傾斜したホメオトロピック配向状態で行うべきである。したがって,低融点,好ましくは100℃又はそれ以下の融点を有する重合性混合物を使用すると好ましく,これにより低温で混合物の液晶相において硬化を行うことができる。これによりまた,重合操作を容易にすることができ,これは大量生産の場合に特に重要である。

例1Aに示す重合体混合物をシクロペンタノン中に溶解し,ガラス上に塗布
し,窒素雰囲気下に50℃で溶剤を蒸発させた上,窒素雰囲気下に,70mW/cm2の照度を有する紫外線光に5分間さらすことによって硬化させ,3ミクロンの厚さを有するアニソトロピックポリマーフィルムを形成した。
このポリマーフィルムは,偏光光学顕微鏡下で,光学的に透明であり,垂直入射で見た場合,複屈折を伴わないメソゲン基のホメオトロピック配向を示し,また,視角の増大とともに増加する複屈折率を伴う,メソゲン基のホメオトロピック配向を示した。このホメオトロピック薄膜を有するガラス板を,接着層により広波長帯域コレステリック薄膜のシートに接着させた。
このホメオトロピック補償膜を使用した場合,全視角にわたり輝度が格別に増大される。また,補償膜は,補償膜を用いない試料と比較して,角度の増大に従い,色度差を減少させる。
例2では,2個の重合性官能基を有するメソゲン(化合物⑸)を含む混合物を重
合させて得られるホメオトロピック配向膜を補償膜とした。
2
取消事由1(手続違背)について



審判長は,特許無効審判の事件が審決をするのに熟した場合,審判の請求に
理由があると認めるときその他の経済産業省令で定めるときは,審決の予告を当事者等にしなければならない(特許法164条の2第1項)。上記経済産業省令で定めるときとして,特許法施行規則50条の6の2が規定されている。同条3号は,同条1号又は2号に掲げる審決の予告をした後であって事件が審決をするのに熟した場合にあっては,当該審決の予告をしたときまでに当事者…が申し立てた理由又は特許法153条第2項の規定により審理の結果が通知された理由(当該理由により審判の請求を理由があるとする審決の予告をしていないものに限る。)によって,審判官が審判の請求に理由があると認めるときは,審決の予告をしなければならない旨規定する。
この規定によれば,先に行われた審決の予告までに当事者が申し立てた理由のうち,当該予告において判断が留保され又は有効と判断された理由につき特許を無効にすべきものと判断する場合のように,当該理由により審判の請求を理由があるとする審決の予告をしていない場合は,実質的に訂正の機会が与えられなかったものであり,再度の審決の予告をしなければならない。他方,そうでない場合,すなわち,先に行われた審決の予告と実質的に同じ内容の理由により特許を無効にすべきものと判断する場合のように,実質的に訂正の機会が与えられていた場合は,審判長は,更に審決の予告をする必要はないものと解される。審決予告の制度は,特許無効審判の審決に対する審決取消訴訟提起後の訂正審判の請求につき,それに起因する特許庁と裁判所との間の事件の往復による審理の遅延ひいては審決の確定の遅延を解消する一方で,特許無効審判の審判合議体が審決において示した特許の有効性の判断を踏まえた訂正の機会を得られるという利点を確保するために,審決取消訴訟提起後の訂正審判の請求を禁止することと併せて設けられたものであるところ,上記の解釈は,この制度趣旨にかなうものである。



第1予告及び第2予告の内容等


第1予告

第1予告で示された認定判断のうち,サポート要件に係る部分は,以下のとおりである。
(ア)

本件特許に係る発明の課題

補償膜において,広い視野範囲にわたり,例えば輝度の増大といった光学的性質を改善すること,及び補償膜を構成する重合性液晶組成物を製造するにあたり,配向,及び重合に高温を要しないものとすることである。(イ)
a
判断
補償膜において,広い視野範囲にわたり,例えば輝度の増大といった光学的性質を改善するという課題は,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向を有する補償膜とすることにより解決されるものである。b
当時の請求項1記載の発明は,補償膜において,広い視野範囲にわたり,例えば輝度の増大といった光学的性質を改善するという課題を解決するものである。
また,当該発明の発明特定事項は全文訂正明細書に記載されている。したがって,当該発明は,発明の詳細な説明において,発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えているとはいえない。c
当時の請求項4~14記載の発明についても同様である。

d
したがって,当時の請求項1,4~14記載の発明は,発明の詳細な説明に
記載されたものではないとはいえない。

第2予告

第1予告を受け,原告は,平成28年2月8日付け訂正請求を行った。第2予告は,これを受けて行われた。
(ア)
a
サポート要件について
当時の請求項1,4~14及び25~32の解決しようとする課題
上記ア(ア)に同じ。
b
当該課題を解決するための手段

重合性メソゲン物質の混合物の重合あるいは共重合によって得られる少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層がホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有する補償膜,および該補償膜を備えた液晶表示デバイスの提供をするものである。c
(a)

判断
当時の請求項1記載の発明の式Iの定義を満たすメソゲンの全てが
ホメオトロピック又は傾斜したホメオトロピック分子配向を有する補償膜を好適に作製できる範囲にあるとは認められない。
当該発明の式Iを満たすメソゲンの中には,置換基における炭素数が1つ違うだけでも,その液晶としての物性が大きく異なる場合が存在しており,メソゲンの分子量や立体構造や極性基の有無などによっても,その液晶としての物性が大きく異なることも当業者の技術常識であるから,当時の全文訂正明細書の例1A~例2において試験された化合物⑴~⑹以外のメソゲンの全てがホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有する補償膜を好適に作製できる範囲にあるとは認められない。


当時の請求項4~14及び25~32記載の発明についても同様である。


したがって,当時の請求項1,4~14及び25~32記載の発明は,発明
の詳細な説明に記載されたものではない。
(イ)
a
新規性及び進歩性について
引用発明の認定

第2予告において認定された甲1記載の発明(以下甲1の2発明,甲1の3発明という。)は,以下のとおりである。(a)

甲1の2発明

偏光板と液晶セルの間に光学補償板として使用できる光学異方フィルムを配置す
る液晶表示素子であって,前記光学異方フィルムは,下記の式(I)の化合物25重量部,
下記の式(m)の化合物25重量部,
下記の式(a)の化合物50重量部
からなる重合性液晶組成物99重量部と光重合開始材1重量部から成る重合性液晶組成物を光重合させて得られた,ホモジニアス配向の光学異方フィルムである,前記液晶表示素子(判決注:上記式(I),(m)及び(a)は,別紙2引用発明記載1のものと同一である。)。⒝

甲1の3発明

重合性液晶組成物を光重合させて得られた,光学補償板として使用することができるホメオトロピック配向の光学異方フィルムであって,下記の式(a)の化合物50重量部,
及び下記の式(d)の化合物50重量部
からなる重合性液晶組成物100重量部と光重合開始剤1重量部からなる重合性液晶組成物を,2枚のガラス基板の間に挟持させ,ホメオトロピック配向していることを確認した後,紫外線を照射して光重合させて得られた,前記光学異方フィルム(判決注:上記式(a)及び(d)は,別紙2引用発明記載2のものと同一である。)。
b
当時の請求項14記載の発明について

当時の請求項14記載の発明は,甲1の2発明であるから,特許法29条1項3号に該当する。
(ウ)

第2予告を受け,原告は,本件訂正請求を行った。



サポート要件について


本件審決と第2予告は,いずれもサポート要件につき,特許請求の範囲の記
載は,発明の詳細な説明の記載により当業者が本件訂正発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとは認められず,また,その記載や示唆がなくとも当
業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとも認められないとして,サポート要件に適合しないと判断したものである。

(ア)

本件訂正発明の解決しようとする課題
本件審決が認定した本件訂正発明の解決しようとする課題は,前記第2の
3⑵アのとおりである。また,第2予告が認定した本件訂正発明の解決しようとする課題は,前記⑵イ(ア)aのとおりである。
(イ)

本件審決と第2予告がそれぞれ認定した本件訂正発明の解決しようとする
課題は,表現こそ異なるものの,実質的には同じ内容を意味するものと理解される。ウ
以上によれば,サポート要件との関係では,サポート要件違反により審判の
請求を理由があるとする第2予告の後,原告には実質的に訂正の機会が与えられたものといえるから,更に審決の予告をすべき場合には当たらない。⑷

新規性及び進歩性について


本件審決及び第2予告において判断の対象とされた新規性・進歩性の判断に
当たり対比される主引用例は,いずれも甲1(引用例)であり,同一である。イ
(ア)

引用発明の認定
本件審決の認定した引用発明1A及び1Bは,前記第2の3⑶のとおりで
ある。また,第2予告が認定した甲1の2発明及び甲1の3発明は,前記⑵イ(イ)aのとおりである。
(イ)

引用発明1Bと甲1の3発明とを対比すると,本件審決の認定と第2予告
の認定は同一である。他方,引用発明1Aと甲1の2発明については,本件審決では式(N-a)の化合物を含むのに対し,第2予告ではこれを含まない点その他の点で,液晶表示素子に係る混合物を構成する重合性液晶組成物の一部が相違する。しかし,甲1を主引用例として認定された引用発明に基づき,新規性又は進歩性が欠如するとの無効理由により審判の請求を理由があるとする第2予告により,上記無効理由に関しては,実質的に見て原告に訂正の機会が与えられたものといえる。
よって,新規性及び進歩性との関係では,第2予告の後更に審決の予告をすべき場合には当たらない。


まとめ

以上のとおり,本件審決は,第2予告をしたときまでに当事者が申し立てた理由で,当該理由により審判の請求を理由があるとする審決の予告をしたものを判断の対象としたものであり,当該理由により審判の請求を理由があるとする審決の予告をしていないときに該当しないから,第2予告の後更に審決の予告をしなければならない場合には当たらない。
したがって,再度の審決の予告をしないまま審決をしたことにつき,本件審決に違法はない。


原告の主張について


原告は,本件審決が認定した本件訂正発明の課題は第2予告で認定されたも
のと異なるなどと主張する。
しかし,本件訂正明細書においては,液晶表示デバイスの補償膜に係る従来技術及びそれが抱える欠点等につき前記1⑴ア(イ)のとおり説明し,これを受ける形で,本発明の課題の一つはなどとして,前記1⑴ア(ウ)のとおり,解決しようとする課題及び本件訂正発明がこの課題を解決できる旨が記載されている。本件審決は,これを踏まえ,本件訂正発明の課題を認定したものと理解される。他方,第2予告においても,これらと同旨の記載が当時の全文訂正明細書にあることを根拠に,発明の課題の認定が行われている。
このことと,第2予告の認定において,補償膜において,…光学的性質を改善することと補償膜を構成する…高温を要しないものとすることとは及びにより接続されていることを踏まえると,本件審決と第2予告とがそれぞれ認定した発明の課題が異なるものということはできない。
なお,原告は,課題の認定につき,第1予告では,第2予告と同様の認定がされながらサポート要件を満たすものとして通知されていたために,それ以降サポート
要件についての議論はさほどされなかったなどといった経緯から,第2予告のサポート要件違反の理由につき,本件審決において変化する理由は推測できないなどと指摘する。
しかし,上記のとおり,本件審決と第2予告とで認定した発明の課題が異なるとはいえない上,特許法施行規則50条の6の2第3号に基づく審決の予告と理解される第2予告においてサポート要件違反とする理由が明確に示され,原告もこれに対する反論を現に行っていること(甲68-1)に鑑みると,第1予告の内容がどうであれ,第1予告から第2予告,その後の本件審決へと至る経緯を考慮しても,本件審決に先立ち,第3の審決の予告を行って原告に主張立証や訂正の機会を与えなければならないとはいえない。

原告は,本件審決が第2予告で指摘していない式Iの例をサポート要件違反
の根拠とし,また,審尋における質問に対する回答によって一旦解消した問題を不意打ち的に蒸し返して判断したなどと主張する。
しかし,本件審決が括弧書で示した化合物は,実施例記載の具体的な化合物⑴~⑹以外のメソゲンが本件訂正発明の課題を解決しないことを説明するための例示にすぎず,その記載の有無が結論に影響を及ぼすものではない。その意味で,これらが第2予告において示されていなかったとしても,再度の審決の予告を行い訂正の機会を与える必要性を裏付けるものとはいえない。
また,原告主張に係る審尋における審判合議体の質問で例示された化合物に関しては,その「重合性基(P)がアクリレート基であるとした場合に,そのP-Sp-の選択肢として,例えばCH2CHCOO-O-(CH2)m-やCH2CHOO-OCOO-(CH2)m-のような化学構造のものまでもが本件第2訂正発明1の範囲に含まれてしまいます。」とされている。他方,本件審決で例示されたものは,Pがプロペニルエーテル基又はエポキシ基であり,Spが-O-CH2-C≡CH2-O-であり,Xが-O-である場合のメソゲン物質(本件訂正発明1)やPがプロペニルエーテル基であり,Spが-O-CH2-C≡C-CH2-O-CH2-O-COO-CH2-CO-S-であり,Xが-O-である場合のメソゲン物質(本件訂正発明4,5,7,8,10~14,25~34),Pがプロペニルエーテル基であり,Spが-O-CH2-O-であり,Xが-O-である場合のメソゲン物質(本件訂正発明6)であり,第2予告で例示された化合物と一致しない。そうである以上,上記解決済みとの原告の主張は,その前提を欠く。

原告は,本件訂正発明に係る好適なホメオトロピック配向の効果の有無を認
定することがないまま審決に至った点で,本件審決には審理不尽があるなどと主張する。
しかし,本件審決は,本件訂正発明のうち進歩性を欠くとしたものについては,いずれもその判断において,発明の効果につき

当業者が予測し得る範囲内のものである。

旨の判断を示している。そうである以上,本件審決に至る審理において本件訂正発明の効果に関する検討が行われていないとはいえない。エ
原告は,第2予告における引用発明が本件審決において別の発明にすり替わ
っており,その変更の理由も述べられていないことと併せ,本件審決には手続違背があるなどと主張する。
しかし,本件審決における引用発明1Aと第2予告における甲1の2発明とで相違があるとしても,実質的に見て,第2予告により原告には訂正の機会が与えられたものといえることは,前記のとおりである。

原告は,本件訂正発明14につき,第2予告では新規性欠如との理由が示さ
れていたのに対し,本件審決では新規性及び進歩性欠如の理由が示されており,無効理由が実質上も形式上も一致していないなどと主張する。
しかし,第2予告においても,その当時の訂正発明14につき新規性欠如及び進歩性欠如がいずれも無効理由として主張され,判断の対象とされていた(甲66)。このこと及び第2予告後に請求項14の訂正を含む本件訂正請求が行われたことに鑑みると,審判合議体が審決に当たり新規性についてのみならず進歩性についても
判断を示す必要があると考えたとしても,再度更に審決の予告をして原告に訂正の機会を与える必要があるとはいえない。

以上のとおり,これらの点に関する原告の主張はいずれも理由がない。


小括

したがって,取消事由1は理由がない。
3
取消事由2(サポート要件違反の判断の誤り)について



特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲
の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。そして,サポート要件の存在は,特許権者が証明責任を負うものと解される。⑵

本件訂正発明が解決しようとする課題


本件訂正明細書には,前記1⑴ア(イ)及び(ウ)の記載があり,また,本件訂
正発明の具体的な例として,メソゲン化合物⑴~⑷を用いた例1A及び例1B,メソゲン化合物⑸,⑹を用いた例2,メソゲン化合物⑸,⑺,⑻を用いた例3が記載されている(前記1⑴エ)。

これらの記載によれば,本件訂正発明の解決しようとする課題は,偏光板の光学的性質を広い視角範囲にわたり増強させ,組立てが容易であり,重合性メソゲン物質の混合物が高融点を示し配向及び重合に高温を要するという欠点を有していない補償膜の提供,及びこのような補償膜を備えた液晶表示デバイスの提供にあるものと認めるのが相当である。そして,本件訂正発明は,このような課題を解決するための手段として,特定の構造を有するメソゲン化合物を含む混合物の重合によって構成されるホメオトロピック配向又は傾斜したホメオトロピック配向を有する補償膜を用いたものであると認められる。


原告は,本件訂正発明が解決しようとする課題は,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向を有する補償膜を提供することであって,高温を要しないことや重合性液晶混合物の融点が低いことは必要条件ではないなどと主張する。
しかし,ホメオトロピック配向とはアニソトロピックポリマー層の光学対称軸が層に対して垂直に配向されているか,あるいは本質的に配向されていることを,傾斜したホメオトロピック配向とは上記層の光学対称軸が層平面に対して90度よりも小さいが,45度よりも大きく,好ましくは60度よりも大きく,特に75度よりも大きい範囲にあるチルト角を有することを意味するものである(本件訂正明細書4頁14行目~22行目)。補償膜等の光学異方性フィルム(偏光板)においては,その用途によって,ホメオトロピック配向のほかに,水平方向(ホモジニアス配向)など,種々の配向のものが用いられることは技術常識である(甲1-2,25,26等)ことに鑑みれば,本件訂正発明は,単に,ホメオトロピック配向又は傾斜したホメオトロピック配向を有する補償膜を得たものではなく,式Iに係るスペーサー基など,特定の構造を有するメソゲン化合物を用いて,好適なホメオトロピック配向又は傾斜したホメオトロピック配向を有する補償膜を提供することによって,光学的性質の改善や生産性の向上等を図ったものと理解することが,本件訂正明細書の発明の詳細な説明の記載に沿うものというべきである。したがって,この点に関する原告の主張は採用できない。


特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との対比


前記のとおり,特許請求の範囲に発明として記載して特許を受けるためには,
明細書の発明の詳細な説明に,当該発明の課題が解決できることを当業者において認識できるように記載しなければならない。そして,本件訂正発明におけるメソゲン化合物a,a1,a2を定義する式IないしI’は,請求項によってその具体的内容を多少異にするものの,いずれも当該式を構成する重合性基P,スペーサー基Sp,結合基X,メソゲン基MG,末端基Rといった基本骨格部分において非常に
多くの化合物を含む表現である上,これらに結合する置換基の選択肢も考慮すれば,その組合せによって膨大な数の化合物を表現し得るものとなっている。このような場合に,特許請求の範囲の記載が,明細書のサポート要件に適合するためには,発明の詳細な説明は,上記式が示す範囲と得られる効果との関係の技術的な意味が,特許出願時において,具体例の開示がなくとも当業者に理解できる程度に記載するか,又は,特許出願時の技術常識を参酌して,当該式が示す範囲内であれば,所望の効果が得られると当業者において認識できる程度に,具体例を開示して記載することを要するものと解するのが相当である。換言すれば,発明の詳細な説明に,当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる程度に,具体例を開示せず,特許出願時の当業者の技術常識を参酌しても,特許請求の範囲に記載された発明の範囲まで,発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない場合,サポート要件に適合するとはいえない。

前記のとおり,本件訂正発明におけるメソゲン化合物a,a1,a2を定義
する式IないしI’は,その組合せによって膨大な数の化合物を表現し得るものとなっている。
他方,本件訂正発明の実施例である例1A~例3においてメソゲン化合物として用いられている化合物⑴~⑻は,いずれも式Iにおいて,重合性基Pがアクリレート基(CH2=CHCOO-),Sp(スペーサー基)が炭素数3又は6個の直鎖状アルキレン基,Xが-O-,nが1という,化学構造が類似するごく限られた化合物に限られる。
例えば,重合性基Pがメタクリレート基であるモノマーを含むと安定な配向を得にくくなる場合が生じてくることが知られている(乙4)。また,例えばスペーサー基Spを構成する(その一部の置換えも含む。)アルキレン基として炭素数が1の場合と20の場合とでは化合物の特性が大きく異なることが予測されることなど,配合するメソゲン化合物の化学構造がその配向性や配向膜の特性に影響することは,現に引用例において様々な構造の化合物につき検討されていることからもうかがわ
れるように,本件優先日当時における当業者の認識であったと考えられる。そうすると,本件訂正明細書の発明の詳細な説明における他の記載を参酌しても,補償膜の調製に用いる混合物につき,上記具体例として示された化合物とは構造が異なる化合物を成分とする混合物に係る本件訂正発明の範囲にまで拡張ないし一般化した場合,すなわち本件訂正発明に係る式Iで表される広範な重合性メソゲン化合物のいずれかを含む混合物とした場合に,これによって,前記認定に係る本件訂正発明の課題を解決するような補償膜として好適なフィルムが得られるとはいえない。したがって,本件訂正明細書の発明の詳細な説明に開示されている内容からは,本件特許の特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明であり,本件訂正発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものとはいえない。そのように認識できる範囲のものというべき本件特許出願時の技術常識を認めるに足りる証拠もない。

本件訂正発明の解決しようとする課題のうち,高融点を示し配向および重合に高温を要するという欠点を有していない点について,本件訂正明細書の発明の詳細な説明には,低融点,好ましくは100℃またはそれ以下,特に60℃またはそれ以下の融点を有する重合性混合物を使用すると好ましく,これにより低温で混合物の液晶相において硬化を行うことができる。…60℃以下の硬化温度は特に好ましい。との記載がある。加えて,実施例(例1A)には,基板に塗布し,50℃で溶剤を蒸発させることによってホメオトロピック配向膜を得られることが示されている。もっとも,高温を要するという欠点を回避し得る融点を具体的に特定する記載はない。
他方,本件訂正明細書で液晶の配向に高温を要する例として掲げたJP05-142531(乙1)の【化2】で表される化合物について,引用例には,108~211℃という非常に高い温度範囲でネマチック相を示し,実際にこの化合物を含有する重合性組成物を液晶状態で重合して作製した光学異方フィルム(カラー偏光板)は外観も不均一であり,むらが生じる欠点があった。と記載されている。
また,本件訂正明細書で同様に高融点を有し,従って配向および重合に高温を要するものとして例示されたHeynderickx,Broer等の刊行物(乙2)に記載されている‘Scheme1’の化合物については,引用例にも,一般式(R-2)において,R5がメチル基の化合物80重量部及びR5が水素原子の化合物20重量部から成る液晶組成物は,80~121℃と室温よりかなり高い温度範囲でネマチック層を示し,また予期しない熱重合に起因してこのような重合性液晶組成物を用いて作製される光学異方フィルムのメソゲンの配向が不均一となるという欠点があった。と記載されている。ところが,これらの化合物はいずれも,本件訂正発明に係る式Iで定義される広範な化合物に含まれるのであって,本件訂正明細書の内部でいわば記載内容に矛盾を生じている。
そうすると,本件訂正発明に係る式Iで定義されるメソゲン化合物を含む混合物は,その全てが本件訂正発明の課題を解決し得る高融点を示し配向および重合に高温を要するという欠点を有していないものとはいえない。その点からも,本件訂正明細書の発明の詳細な説明に開示されている内容からは,本件特許の特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明であり,本件訂正発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものとはいえず,また,そのように認識できる範囲のものというべき本件特許出願時の技術常識を認めるに足りる証拠もない。

小括

以上より,本件訂正発明は,いずれも発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。

(ア)

原告の主張について
前記のとおり,本件訂正発明の解決しようとする課題に関する原告の主張
は採用できないから,これを前提とするサポート要件に関する判断の誤りに係る原告の主張は採用できない。
(イ)

原告は,融点が80℃以下程度の液晶組成物を用いると,作製される光学異方フィルムのメソゲンの配向が不均一となるとする引用例の記載につき,配向が不均一であることはホメオトロピック配向にならないことを意味しないなどと主張する。
しかし,仮に原告が主張するように配向が不均一とはホメオトロピック配向にならないことを意味するものではなく,場所場所で不均一である状態を意味するものであったとしても,補償膜等の光学異方フィルムとして均一な光学特性が求められることは技術常識であり,配向が不均一となることによって膜の透明性が損なわれれば,これと組み合わせて用いる偏光板の光学的性質を広い視覚にわたり増強するとの本件訂正発明の課題を解決しないことは明らかである。
(ウ)

原告は,本件審決がホメオトロピック分子配向を有する補償膜を好適に作
製できる範囲にあるとは認められないとして例示した化合物は,技術常識からは通常あり得ない置換基の組合せに基づくものばかりであるなどと主張する。しかし,例示に係る化合物が通常あり得ない置換基の組合せに基づくものばかりであるとする具体的な理由は示されていないし,当該例示につき審尋に対する原告の回答によって既に解消した問題点であるとはいえないことは,前記のとおりである。
(エ)


以上のとおり,この点に関する原告の主張は採用できない。
小括

したがって,本件訂正発明は,いずれも発明の詳細な説明に記載されたものであるとはいえないから,これらの発明に係る特許は,サポート要件を満たしていない。これと同旨の本件審決の判断に誤りはなく,取消事由2は理由がない。4
結論

よって,その余の点につき判断するまでもなく,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第1部

裁判長裁判官

高部眞
裁判官

杉浦正
裁判官

片瀬規子樹亮
(別紙1)
特許請求の範囲

1.液晶セルおよび少なくとも1枚の補償膜または偏光板と少なくとも1枚の補償膜を有する光学補償板との組合せを含む液晶表示デバイスであって,該補償膜はa)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基であり,これら
の基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも2種のメソゲン75~99重量%を
b)開始剤
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤,
の存在下において含む,
重合性メソゲン物質の混合物の重合あるいは共重合によって得られる少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含み,上記アニソトロピックポリマー層がホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有することを特徴とする,前記液晶表示デバイス。

4.液晶セルおよび少なくとも1枚の補償膜または偏光板と少なくとも1枚の補償膜を有する光学補償板との組合わせを含む液晶表示デバイスであって,該補償膜は
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個
または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,―CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノであるか,あるいは独立して,P-(Sp-X)n-について示されている意味の一つを有する,で表される化合物から選択される,少なくとも1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲンを
b)開始剤
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤,
の存在下において含む,
重合性メソゲン物質の混合物の重合あるいは共重合によって得られる少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含み,上記アニソトロピックポリマー層がホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有することを特徴と
し,補償膜が2枚または3枚以上のアニソトロピックポリマー層を含み,これらの層の少なくとも1枚がホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向を有する複合補償膜であることを特徴とし,
該重合性メソゲン物質の混合物が,本質的に
a1)1個の重合性官能基を有する少なくとも1種の式IおよびIIに従うメソゲンを15~85重量%,
a2)2個または3個以上の重合性官能基を有する少なくとも1種の式IおよびIIに従うメソゲンを10~80重量%,
b)開始剤を0.01~5重量%,
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物を0~20重量%,および
d)安定剤を0~1000ppm
からなることを特徴とする,
前記液晶表示デバイス。

5.液晶セルおよび少なくとも1枚の補償膜または偏光板と少なくとも1枚の補償膜を有する光学補償板との組合わせを含む液晶表示デバイスであって,該補償膜は
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO
-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,―CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO
-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,少なくとも1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲンを
b)開始剤
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤,
の存在下において含む,
重合性メソゲン物質の混合物の重合あるいは共重合によって得られる少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含み,上記アニソトロピックポリマー層がホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有することを特徴とし,補償膜が2枚または3枚以上のアニソトロピックポリマー層を含み,これらの層の少なくとも1枚がホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向を有する複合補償膜であることを特徴とし,
複合補償膜の少なくとも1層が,これらの層の少なくとも1つの別の層の光学対称軸とは異なる配向の光学対称軸を有することを特徴とし,
該重合性メソゲン物質の混合物が,本質的に
a1)1個の重合性官能基を有する少なくとも2種の式IおよびIIに従うメソゲンを75~99重量%,
b)開始剤を0.01~5重量%,
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物を0~20重量%,および
d)安定剤を0~1000ppm
からなることを特徴とする,
前記液晶表示デバイス。

6.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜であって,A)
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~3個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,
Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,メソゲン基またはメソゲン支持基であり,この基は好ましくは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレ
ン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,P-(Sp-X)n-について示されている意味の一つを有する,で表される化合物から選択される,少なくとも2個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲンを
b)開始剤,
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤,の存在下において含む,
重合性メソゲン物質の混合物を,少なくとも1つの基板上に層形態で塗布し,B)この混合物を,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向に配向させ,
C)この混合物を熱または活性照射線にさらすことによって重合させ,D)必要に応じて,工程A),B)およびC)を少なくとも1回以上反復し,次いで,
E)必要に応じて,重合した材料から基板の一方または両方を取り除く,ことによって得られることを特徴とする,前記補償膜。

7.少なくとも1つの基板がプラスティックフィルムであることを特徴とする,
請求項6に記載の補償膜。

8.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜であって,A)
a)式I’
P-(Sp-X)n-MG-R

I’

式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,メソゲン基またはメソゲン支持基であり,この基は好ましくは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲン,
および
式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~3個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個
のCH2基または隣接していない2個のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,
Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,P-(Sp-X)n-について示されている意味の一つを有する,で表される化合物から選択される,2個または3個以上の重合性官能基を有する
少なくとも1種のメソゲンを
b)開始剤,
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤,の存在下において含む,
重合性メソゲン物質の混合物を,少なくとも1つの基板上に層形態で塗布し,B)この混合物を,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向に配向させ,
C)この混合物を熱または活性照射線にさらすことによって重合させ,D)必要に応じて,工程A),B)およびC)を少なくとも1回以上反復し,次いで,
E)必要に応じて,重合した材料から基板の一方または両方を取り除く,ことによって得られることを特徴とする,前記補償膜。

9.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜であって,A)
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-
CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上CH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていて
もよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも2種のメソゲン75~99重量%を
b)開始剤,
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤,の存在下において含有する重合性メソゲン物質の混合物を,少なくとも1つの基板上に層形態で塗布し,
B)この混合物を,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向に配向させ,
C)この混合物を熱または活性照射線にさらすことによって重合させ,D)必要に応じて,工程A),B)およびC)を少なくとも1回以上反復し,次いで,
E)必要に応じて,重合した材料から基板の一方または両方を取り除く,ことによって得られることを特徴とする,前記補償膜。

10.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜であって,該補償膜が,
A)
a1)式I’
P-(Sp-X)n-MG-R

I’

式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個の
CH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,メソゲン基またはメソゲン支持基であり,この基は好ましくは,下記式II’に従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II’

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換である
か,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲン15~85重量%,および
a2)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~3個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,
Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,メソゲン基またはメソゲン支持基であり,この基は好ましくは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中
に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,P-(Sp-X)n-について示されている意味の一つを有する,で表される化合物から選択される,少なくとも2個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲン10~80重量%を
b)開始剤0.01~5重量%,
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物0~20重量%,および
d)安定剤0~1000ppm,の存在下において含む,
重合性メソゲン物質の混合物を,少なくとも1つの基板上に層形態で塗布し,B)この混合物を,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向に配向させ,
C)この混合物を熱または活性照射線にさらすことによって重合させ,D)必要に応じて,工程A),B)およびC)を少なくとも1回以上反復し,次いで,

E)必要に応じて,重合した材料から基板の一方または両方を取り除く,ことによって得られ,
該重合した材料が,三次元網状構造体を形成していることを特徴とする,前記補償膜。

11.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜であって,A)
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であってこの基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,メソゲン基またはメソゲン支持基であり,この基は好ましくは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中
に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノであるか,あるいは独立して,P-(Sp-X)n-について示されている意味の一つを有する,で表される化合物から選択される,少なくとも1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲンを,
b)開始剤
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および

d)必要に応じて,安定剤の存在下において含む,
重合性メソゲン物質の混合物を,配向層を担持しない少なくとも1つの基板上に層形態で塗布することにより,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向に配向させ,
C)この混合物を熱または活性照射線にさらすことによって重合させ,D)必要に応じて,工程A),B)およびC)を少なくとも1回以上反復し,次いで,
E)必要に応じて,重合した材料から基板の一方または両方を取り除く,ことによって得られることを特徴とする,前記補償膜。

12.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜であって,該補償膜が,
A)
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,

nは,1であり,
MGは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノであるか,あるいは独立して,P-(Sp-X)n-について示されている意味の一つを有する,
で表される化合物から選択される,少なくとも1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲンを
b)開始剤,
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤,の存在下において含む,
重合性メソゲン物質の混合物を,少なくとも1つの基板上に層形態で塗布し,B)この混合物を,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向に配向させ,
C)この混合物を熱または活性照射線にさらすことによって重合させ,D)必要に応じて,工程A),B)およびC)を少なくとも1回以上反復し,次いで,
E)必要に応じて,重合した材料から基板の一方または両方を取り除く,ことによって得られ,
該重合性メソゲン物質の混合物が本質的に下記成分からなることを特徴とする,前記補償膜:
a1)1個の重合性官能基を有する少なくとも1種の式IおよびIIに従うメソゲンを15~85重量%,
a2)2個または3個以上の重合性官能基を有する少なくとも1種の式IおよびIIによるメソゲンを10~80重量%,
b)開始剤を0.01~5重量%,
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物を0~20重量%,および
d)安定剤を0~1000ppm。

13.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有
する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜であって,A)
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または
2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも2種のメソゲンを
b)開始剤,
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤,
の存在下において含有する重合性メソゲン物質の混合物を,少なくとも1つの基板上に層形態で塗布し,
B)この混合物を,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向に転向させ,
C)この混合物を熱または活性照射線にさらすことによって重合させ,D)必要に応じて,工程A),B)およびC)を少なくとも1回以上反復し,次いで,
E)必要に応じて,重合した材料から基板の一方または両方を取り除く,ことに
よって得られることを特徴とし,
重合性メソゲン物質の混合物が,本質的に下記成分からなることを特徴とする前記補償膜:
a1)1個の重合性官能基を有する少なくとも2種の式IおよびIIに従うメソゲンを75~99重量%,
b)開始剤を0.01~5重量%,
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物を0~20重量%,および
d)安定剤を0~1000ppm。

14.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜の調製に用いられるための重合性メソゲン物質の混合物であって,
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,

MGは,メソゲン基またはメソゲン支持基であり,この基は好ましくは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノであるか,あるいは独立して,P-(Sp-X)n-について示されている意味のーつを有する,
で表される化合物から選択される,少なくとも1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲン,
b)開始剤
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤
を含む,前記混合物。

25.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜であって,該補償膜が,
A)
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式IIに従い選択され:

-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノであるか,あるいは独立して,P-(Sp-X)n-について示されている意味の一つを有する,で表される化合物から選択される,少なくとも1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲンを

b)開始剤,
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤,の存在下において含む,
重合性メソゲン物質の混合物を,配向層を担持しない少なくとも1つの基板上に層形態で塗布することにより,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向に配向させ,
C)この混合物を熱または活性照射線にさらすことによって重合させ,D)必要に応じて,工程A),B)およびC)を少なくとも1回以上反復し,次いで,
E)必要に応じて,重合した材料から基板の一方または両方を取り除く,ことによって得られ,
該重合性メソゲン物質の混合物が本質的に下記成分からなることを特徴とする,前記補償膜:
a1)1個の重合性官能基を有する少なくとも1種の式IおよびIIに従うメソゲンを15~85重量%,
a2)2個または3個以上の重合性官能基を有する少なくとも1種の式IおよびIIによるメソゲンを10~80重量%,
b)開始剤を0.01~5重量%,
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物を0~20重量%,および
d)安定剤を0~1000ppm。

26.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜であって,該補償膜が

A)本質的に
a1)式I’
P-(Sp-X)n-MG-R

I’

式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式II’に従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II’

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,

Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも1種の式I’およびII’に従うメソゲン15~85重量%,および
a2)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~3個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,
Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,

MGは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,P-(Sp-X)n-について示されている意味の一つを有する,で表される化合物から選択される,2個または3個以上の重合性官能基を有する少なくとも1種の式IおよびIIによるメソゲンを10~80重量%b)開始剤0.01~5重量%,
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物0~20重量%,および
d)安定剤0~1000ppmからなる,
重合性メソゲン物質の混合物を,少なくとも1つの基板上に層形態で塗布し,B)この混合物を,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向
に配向させ,
C)この混合物を熱または活性照射線にさらすことによって重合させ,D)必要に応じて,工程A),B)およびC)を少なくとも1回以上反復し,次いで,
E)必要に応じて,重合した材料から基板の一方または両方を取り除く,ことによって得られ,
重合した材料が,三次元網状構造体を形成していることを特徴とする,前記補償膜。

27.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜であって,該補償膜が,
A)
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,

MGは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも2種のメソゲンを
b)開始剤,

c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤,
の存在下において含有する重合性メソゲン物質の混合物を,配向層を担持しない少なくとも1つの基板上に層形態で塗布することにより,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向に配向させ,
C)この混合物を熱または活性照射線にさらすことによって重合させ,D)必要に応じて,工程A),B)およびC)を少なくとも1回以上反復し,次いで,
E)必要に応じて,重合した材料から基板の一方または両方を取り除く,ことによって得られることを特徴とし,
重合性メソゲン物質の混合物が,本質的に下記成分からなることを特徴とする前記補償膜:
a1)1個の重合性官能基を有する少なくとも2種の式IおよびIIに従うメソゲンを75~99重量%,
b)開始剤を0.01~5重量%,
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物を0~20重量%,および
d)安定剤を0~1000ppm。

28.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜であって,該補償膜が,
A)
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして

mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも2種のメソゲンを,
b)開始剤
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤の存在下において含む,
重合性メソゲン物質の混合物を,少なくとも1つの基板上に層形態で塗布し,B)この混合物を,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向に配向させ,
C)この混合物を熱または活性照射線にさらすことによって重合させ,D)必要に応じて,工程A),B)およびC)を少なくとも1回以上反復し,次いで,
E)必要に応じて,重合した材料から基板の一方または両方を取り除く,ことによって得られることを特徴とし,
重合性メソゲン物質の混合物が,下記成分を含有することを特徴とする前記補償膜:
a1)1個の重合性官能基を有する少なくとも2種の式IおよびIIに従うメソゲンを75~99重量%,

b)開始剤を0.01~5重量%,
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物を0~20重量%,および
d)安定剤を0~1000ppm。

29.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜の調製に用いられるための,重合性メソゲン物質の混合物であって,
該補償膜が,
A)
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,メソゲン基またはメソゲン支持基であり,この基は好ましくは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノであるか,あるいは独立して,P-(Sp-X)n-について示されている意味の一つを有する,で表される化合物から選択される,少なくとも1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲンを,
b)開始剤

c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤の存在下において含む,
重合性メソゲン物質の混合物を,配向層を担持しない少なくとも1つの基板上に層形態で塗布することにより,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向に配向させ,
C)この混合物を熱または活性照射線にさらすことによって重合させ,D)必要に応じて,工程A),B)およびC)を少なくとも1回以上反復し,次いで,
E)必要に応じて,重合した材料から基板の一方または両方を取り除く,ことによって得られることを特徴とする,
前記混合物。

30.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜の調製に用いられるための重合性メソゲン物質の混合物であって,
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,
Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,

で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも2種のメソゲン75~99重量%,
b)開始剤
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤
を含む,前記混合物。

31.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜の調製に用いられるための重合性メソゲン物質の混合物であって,
a1)式I’
P-(Sp-X)n-MG-R

I’

式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式II’に従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II’

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲン,および
a2)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,

Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~3個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,
Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,メソゲン基またはメソゲン支持基であり,この基は好ましくは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-
COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,P-(Sp-X)n-について示されている意味の一つを有する,で表される化合物から選択される,2個または3個以上の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲン,
b)開始剤,
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤
を含む,前記混合物。

32.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜の調製に用いられるための重合性メソゲン物質の混合物であって,
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,

nは,1であり,
MGは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも2種のメソゲン75~99重量%,

b)開始剤0.01~5重量%
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物0~20重量%,および
d)安定剤0~1000ppmを含む,
前記混合物。

33.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜の調製に用いられるための重合性メソゲン物質の混合物であって,本質的に
a)式I’
P-(Sp-X)n-MG-R

I’

式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式II’に従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II’

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中
に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも1種の式I’およびII’に従うメソゲン15~85重量%,
a2)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~3個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であっ
て,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,
Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,P-(Sp-X)n-について示されている意味の一つを有する,
で表される化合物から選択される,2個または3個以上の重合性官能基を有する少なくとも1種の式IおよびIIによるメソゲンを10~80重量%,b)開始剤を0.01~5重量%,
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物を0~20重量%,および
d)安定剤を0~1000ppm。
からなることを特徴とする,
前記混合物。

34.ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜の調製に用いられるための重合性メソゲン物質の混合物であって,本質的に,
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式IIに従い選択され:

-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも2種のメソゲン75~99重量%,
b)開始剤0.01~5重量%,
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物0~20重
量%,および
d)安定剤0~1000ppm,
からなることを特徴とする,前記混合物。

(別紙2)

引用発明

1
引用発明1A

偏光板と液晶セルの間に光学補償板として使用できる光学異方フィルムを配置する液晶表示素子であって,前記光学異方フィルムは,下記の式(I)の化合物15重量部,

下記の式(m)の化合物15重量部,

下記の式(a)の化合物30重量部,

及び下記の式(N-a)の化合物40重量部,

からなる重合性液晶組成物99重量部と光重合開始剤1重量部からなる重合性液晶組成物を光重合させて得られた,ツイステッドネマチック配向の光学異方フィルムである,前記液晶表示素子。

2
引用発明1B

重合性液晶組成物を光重合させて得られた,光学補償板として使用することができるホメオトロピック配向の光学異方フィルムであって,下記の式(a)の化合物50重量部,

及び下記の式(d)の化合物50重量部

からなる重合性液晶組成物100重量部と光重合開始剤1重量部からなる重合性液晶組成物を,2枚のガラス基板の間に挟持させ,ホメオトロピック配向していることを確認した後,紫外線を照射して光重合させて得られた,前記光学異方フィルム。

(別紙3)

一致点・相違点

1
本件訂正発明4

本件訂正発明4と引用発明1Aの一致点・相違点は,以下のとおりである。⑴

一致点

液晶セルおよび少なくとも1枚の補償膜または偏光板と少なくとも1枚の補償膜を有する光学補償板との組合わせを含む液晶表示デバイスであって,該補償膜はa)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中
に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,―CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノであるか,あるいは独立して,P-(Sp-X)n-について示されている意味の一つを有する,で表される化合物から選択される,少なくとも1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲンを
b)開始剤
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および

d)必要に応じて,安定剤,
の存在下において含む,
重合性メソゲン物質の混合物の重合あるいは共重合によって得られる少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含み,
該重合性メソゲン物質の混合物が,本質的に
a1)1個の重合性官能基を有する少なくとも1種の式IおよびIIに従うメソゲンを15~85重量%,
b)開始剤を0.01~5重量%,
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物を0~20重量%,および
d)安定剤を0~1000ppm
からなる,前記液晶表示デバイス。


相違点


相違点2

本件訂正発明4はa2)2個または3個以上の重合性官能基を有する少なくとも1種の式IおよびIIに従うメソゲンを10~80重量%の範囲で含むのに対して,引用発明1Aはそのような2個または3個以上の重合性官能基を有するメソゲンを含むものではない点。イ
相違点3

本件訂正発明4はアニソトロピックポリマー層がホメオトロピックまたは傾斜したホメオトロピック分子配向を有するのに対して,引用発明1Aはツイステッドネマチック配向を有するものである点。ウ
相違点4

本件訂正発明4は補償膜が2枚または3枚以上のアニソトロピックポリマー層を含み,これらの層の少なくとも1層がホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向を有する複合補償膜であることを特徴とするのに対して,引用
発明1Aは,このような特徴を有するものではない点。

2
本件訂正発明6

本件訂正発明6と引用発明1Bの一致点・相違点は,以下のとおりである。⑴

一致点

ホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜であって,A)
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~3個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,
Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,メソゲン基またはメソゲン支持基であり,この基は好ましくは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中
に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rを有する,
で表される化合物から選択される,重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲンを
b)開始剤,
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤,の存在下において含む,
重合性メソゲン物質の混合物を,少なくとも1つの基板上に層形態で配置し,B)この混合物を,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向に配向させ,
C)この混合物を熱または活性照射線にさらすことによって重合させ,D)必要に応じて,工程A),B)およびC)を少なくとも1回以上反復し,次いで,

E)必要に応じて,重合した材料から基板の一方または両方を取り除く,ことによって得られる,前記補償膜。


相違点


相違点6

本件訂正発明6は,式Iで表される化合物のSpが少なくとも1個のCH2基を残すことを条件とし,なおかつRは,P-(Sp-X)n-について示されている意味の一つを有するという少なくとも2個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲンを含むのに対して,引用発明1Bはそのような少なくとも2個の重合性官能基を有するメソゲンを含むものではない点。イ
相違点7

重合性メソゲン物質の混合物の配置が,本件訂正発明6では塗布であるのに対し,引用発明1Bでは挟持である点。

3
本件訂正発明7

本件訂正発明7と引用発明1Bは,相違点6及び7に加え,以下の相違点8において相違する。
相違点8:本件訂正発明7は,少なくとも1つの基板がプラスティックフィルムであるのに対し,引用発明1Bは,その点につき,明らかでない点。
4
本件訂正発明8

本件訂正発明8と引用発明1Aとの一致点・相違点は,以下のとおりである。⑴

一致点

少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜であって,A)
a)式I’
P-(Sp-X)n-MG-R

I’

式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,メソゲン基またはメソゲン支持基であり,この基は好ましくは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2
-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲンを,
b)開始剤,
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤,の存在下において含む,
を特徴とする,前記補償膜。


相違点

相違点3のほか,以下の相違点9及び10において相違する。

相違点9

本件訂正発明8は式I…で表される化合物から選択される,2個または3個以上の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲンを含むのに対して,引用発明1Aはそのような2個または3個以上の重合性官能基を有するメソゲンを含むものではない点。

相違点10

本件訂正発明8はA)重合性メソゲン物質の混合物を,少なくとも1つの基板上に層形態で塗布し,B)この混合物を,ホメオトロピック配向または傾斜したホメオトロピック配向に配向させ,C)この混合物を熱または活性照射線にさらすことによって重合させ,D)必要に応じて,工程A),B)およびC)を少なくとも1回以上反復し,次いで,E)必要に応じて,重合した材料から基板の一方または両方を取り除く,ことによって得られるのに対して,引用発明1Aは,これらA)~E)の製造方法により補償膜という物の発明を特定するものではない点。
5
本件訂正発明10

本件訂正発明10と引用発明1Aの一致点・相違点は,以下のとおりである。⑴

一致点

少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜であって,該補償膜が,
A)
a1)式I’
P-(Sp-X)n-MG-R

I’

式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,

MGは,メソゲン基またはメソゲン支持基であり,この基は好ましくは,下記式II’に従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II’

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも1種
のメソゲン15~85重量%を
b)開始剤0.01~5重量%,
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物0~20重量%,および
d)安定剤0~1000ppm,の存在下において含む,
重合性メソゲン物質の混合物を配向させた,前記補償膜。


相違点

相違点3及び10のほか,以下の相違点12及び13において相違する。ア
相違点12

本件訂正発明10はa2)式I…で表される化合物から選択される,少なくとも2個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲンを10~80重量%の範囲で含むのに対して,引用発明1Aはそのような少なくとも2個の重合性官能基を有するメソゲンを含むものではない点。イ
相違点13

本件訂正発明10は重合した材料が,三次元網状構造体を形成するのに対して,引用発明1Aは,三次元網状構造体を形成するものとして特定されていない点。

6
本件訂正発明12

本件訂正発明12と引用発明1Aの一致点・相違点は,以下のとおりである。⑴

一致点

少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜であって,該補償膜が,
A)
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-
COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノであるか,あるいは独立して,P-(Sp-X)n-について示されている意味の一つを有する,で表される化合物から選択される,少なくとも1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲンを
b)開始剤,
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤,の存在下において含み,
該重合性メソゲン物質の混合物が本質的に下記成分からなる,前記補償膜:a1)1個の重合性官能基を有する少なくとも1種の式IおよびIIに従うメソゲンを15~85重量%,
b)開始剤を0.01~5重量%,
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物を0~20重量%,および
d)安定剤を0~1000ppm。


相違点

相違点2,3及び10において相違する。

7
本件訂正発明14

本件訂正発明14と引用発明1Aの一致点・相違点は,以下のとおりである。⑴

一致点

少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜の調製に用いられるための重合性メソゲン物質の混合物であって,
a)式I
P-(Sp-X)n-MG-R

I
式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,メソゲン基またはメソゲン支持基であり,この基は好ましくは,下記式IIに従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基またはナフタレン-2,6-ジイル基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノであるか,あるいは独立して,P-(Sp-X)n-について示されている意味のーつを有する,で表される化合物から選択される,少なくとも1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲン,
b)開始剤
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および
d)必要に応じて,安定剤
を含む,前記混合物。


相違点

相違点15:本件訂正発明14はホメオトロピック分子配向または傾斜したホメオトロピック分子配向を有する少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜の調製に用いられるための重合性メソゲン物質の混合物であるのに対して,引用発明1Aはツイステッドネマチック配向を有するアニソトロピックポリマー層を含む補償膜の調製に用いられるための混合物である点。
8
本件訂正発明26

本件訂正発明26と引用発明1Aの一致点・相違点は,以下のとおりである。⑴

一致点

少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜であって,該補償膜が
A)本質的に
a1)式I’
P-(Sp-X)n-MG-R

I’

式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式II’に従い選択され:

-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II’

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも1種の式I’およびII’に従うメソゲン15~85重量%
b)開始剤0.01~5重量%,
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物0~20重
量%,および
d)安定剤0~1000ppmからなる,
重合性メソゲン物質の混合物を配向させた,前記補償膜。


相違点

相違点12,3及び10において相違する。

9
本件訂正発明31

本件訂正発明31と引用発明1Aの一致点・相違点は,以下のとおりである。⑴

一致点

少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜の調製に用いられるための重合性メソゲン物質の混合物であって,
a1)式I’
P-(Sp-X)n-MG-R

I’

式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式II’に従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II’

(式中,
A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも1種のメソゲン,
b)開始剤,
c)必要に応じて,2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物,および

d)必要に応じて,安定剤
を含む,前記混合物。


相違点

相違点9及び3において相違する。

10

本件訂正発明33

本件訂正発明33と引用発明1Aの一致点・相違点は,以下のとおりである。⑴

一致点

少なくとも1つのアニソトロピックポリマー層を含む補償膜の調製に用いられるための重合性メソゲン物質の混合物であって,本質的に
a)式I’
P-(Sp-X)n-MG-R

I’

式中,
Pは,重合性基であり,
Spは,炭素原子1~20個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であって,この基中,少なくとも1個のCH2基を残すことを条件として,さらに,1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基が,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-O-CO-,-S-CO-,-O-COO-,-CO-S-,-CO-O-,-CH(ハロゲン)-,-CH(CN)-,-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,Xは,-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCOO-または単結合であり,
nは,1であり,
MGは,下記式II’に従い選択され:
-(A1-Z1)m-A2-Z2-A3-

II’

(式中,

A1,A2およびA3は相互に独立して,1,4-フェニレン基であり,この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた,Nにより置き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり,この基中に存在する1個のCH2
基または隣接していない2個のCH2基はまた,Oおよび(または)Sにより置
き換えられていてもよく,あるいは1,4-シクロヘキセニレン基であり,これらの基は全部が未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲン,シアノまたはニトロ基により,あるいは炭素原子1~7個を有するアルキル基,アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく,これらの基中の1または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく,
Z1およびZ2はそれぞれ独立して,-COO-,-OCO-,-CH2CH2-,-OCH2-,-CH2O-,-CH=CH-,-C≡C-,-CH=CH-COO-,-OCO-CH=CH-または単結合であり,そして
mは,0,1または2である),そして
Rは,25個までの炭素原子を有するアルキル基であり,この基は未置換であるか,あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはCNにより置換されており,この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はまたそれぞれ相互に独立して,酸素原子が相互に直接結合しない様相で,-O-,-S-,-NH-,-N(CH3)-,-CO-,-COO-,-OCO-,-OCO-O-,-S-CO-,-CO-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく,あるいはRはまた,ハロゲンまたはシアノである,
で表される化合物から選択される,1個の重合性官能基を有する少なくとも1種の式I’およびII’に従うメソゲン15~85重量%,
b)開始剤を0.01~5重量%,
c)2個または3個以上の重合性官能基を有する非メソゲン化合物を0~20重量%,および
d)安定剤を0~1000ppm。

からなる,
前記混合物。


相違点

相違点12及び3において相違する。

(別紙4)

化学式・図面等目録

1
化学式





2
図面



図4



図5

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