判例検索β > 平成25年(ワ)第1356号
九州朝高生就学支援金差別国家賠償請求事件
事件番号平成25(ワ)1356
事件名九州朝高生就学支援金差別国家賠償請求事件
裁判年月日平成31年3月14日
法廷名福岡地方裁判所  小倉支部
結果棄却
裁判日:西暦2019-03-14
情報公開日2019-04-08 14:00:13
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主文1
原告らの請求をいずれも棄却する。

2
訴訟費用は原告らの負担とする。

第1

実及び理由
原告らの請求

1
事件
事件原告らに対し,それぞれ11万円及
びこれに対する平成26年1月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2
事件
被告は,

事件原告に対し,11万円及びこれに対す

る平成26年2月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。第2

事案の概要
本件は,学校法人福岡朝鮮学園(以下福岡朝鮮学園という。)が設置・
運営する九州朝鮮中高級学校の高級部(以下九州朝鮮高校という。)に在籍していた原告らにおいて,福岡朝鮮学園が平成22年11月29日付けで行った公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律(以下支給法という。)2条1項5号及び公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則(以下本件省令という。)1条1項2号ハの規定(以下ハ規定という。)(なお,いずれも当時の法規)に基づく九州朝鮮高校についての高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるとの指定を求める旨の申請に対し,文部科学大臣が本件省令を改正してハ規定を削除したこと等が支給法の委任の趣旨に反し違法である,あるいは,平成25年2
月20日に行った不指定の処分が文部科学大臣の裁量を逸脱・濫用した違法なものであり,原告らの平等権,中等教育・民族教育の授業料について経済
的援助を受ける権利を侵害し,憲法13条,14条,26条及び各種国際人権条約等に違反する,文部科学大臣が上記不指定の処分とともに本件省令を改正してハ規定を削除したことが原告らの期待権を侵害し違法である,上記不指定の処分までの審査に長期を要したことが行政手続法に違反するなどと主張して,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,それぞれ11万円及
びにこれに対する訴状送達の日(

事件につき平成

26年1月6日,

事件につき同年2月24日)の各

翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1
関係法令の定め等
(1)関係法令の定め
本件の関係法令等の定めは別紙3関係法令の定めのとおりである。(2)就学支援金制度の概要等

支給法の目的及び必要性等
(ア)支給法の目的は別紙3関係法令の定め1(1)のとおりである。(イ)高等学校等の後期中等教育段階の学校における教育に係る費用負担については,義務教育と異なり,憲法上無償であることが要求されるものではなく,また,私立学校を含め一律に無償とすることは実際上困難であること等から,受益者である生徒等に授業料等の負担を求めることを
原則としつつ,経済的理由により修学困難な者に対する奨学金事業の実施,公立高校における授業料減免,私立高校が行う授業料減免への補助等,主として低所得者層を対象として支援が行われてきた。
しかし,①高等学校等における教育を受けるには,授業料の他にも様々な費用がかかり,保護者には決して軽くない経済的負担を生じてい
る現状があり,特に,近年の経済情勢の悪化に伴い,その負担が相対的に重くなっていることから,進学の意欲のある者が,経済的理由で就学
が困難となることがないよう,一層の教育費負担軽減を図り,教育の機会均等を確保することが喫緊の課題となっていること,②今日,高等学校等は,その進学率が約98%(平成20年度学校基本調査)に達し,国民的な教育機関となっており,その教育の効果は広く社会に還元されるものとなっていることに鑑みれば,高等学校等の教育に係る費用につ
いて社会全体で負担していくことが適当であると考えられること,③諸外国では多くの国で後期中等教育を無償としており,国際人権A規約中の中等教育における無償化の漸進的導入に関する条項(13条2(b))について留保しているのは締約国のうち日本とマダガスカルのみとなっており,これを撤回するための施策を展開していくことが求められてい
ること等の状況の変化に伴い,全ての意志ある高校生等が安心して勉学に打ち込めるよう,高等学校等の教育に係る費用負担のあり方を見直し,受益者(個人)に応分の負担をさせるという考え方から,社会全体で負担するという考え方に重点を移して施策を進めることが国民的要請になっている。

支給法は,このような国民的要請に応え,高等学校等の授業料の実質無償化に向けた取組を進めるための施策の一環として,国が必要な経費を負担すること等により,公立高等学校について授業料を徴収しないこととするとともに,公立高等学校以外の高等学校等の生徒等が,その授業料に充てるために,高等学校等就学支援金の支給を受けることができ
ることとするものである。(乙2・3頁)

就学支援金の額
就学支援金は,受給資格を有する生徒に対して,①原則として,公立高等学校の生徒等の授業料の負担軽減額と同額の月額9900円(年間11
万8800円)を限度として支給し(支給法6条1項,本件施行令3条1項),②支給対象高等学校等が本件施行令4条1項に定める私立高校等で
ある受給権者であって同条3項に定めるいわゆる低所得世帯のものについては,例外的に,その額を上記①において支給すべきものとされる額の1.5倍又は2倍とする(支給法6条2項,本件施行令4条3項1号及び2号)。

支給法における就学支援金制度の仕組み等
(ア)支給法における授業料実質無償化の枠組み(乙2・4頁)
a
支給法は,高等学校等(支給法2条1項)の授業料の実質無償化のための具体的な制度設計として,公立高等学校(同条2項)については,生徒が負担する授業料相当額に係る資金を国が地方公共団体に助成することにより授業料を徴収しないこととし(支給法3条),一方
で,公立高等学校以外の高等学校等(私立高等学校等。同条3項)については,在学する生徒に対して就学支援金を支給し(支給法4条1項),学校設置者がこれを代理受領して授業料に充てるものとした(支給法8条)。
b
支給法において前記aのような2つの枠組みが採用されているのは,設置者や学校の種別に応じて,支給法制定の趣旨を実現する上で,最も合理的と思われる方法を採用したことによる。
すなわち,公立高等学校について,生徒が負担する授業料相当額の資金を国が地方公共団体に対して支給するとともに,地方公共団体が
負担していた授業料減免相当額については引き続き地方公共団体が負担することによって,公立高等学校の授業料を不徴収とすることとされたのは,①高等学校等の生徒の約7割を占め,我が国における高等学校教育の中核を担う公立高等学校については,支給法制定の趣旨を実現するため,授業料の無償化を確実に措置する必要性が高いこと,
②授業料の設定については,設置者である地方公共団体が権限を有するものの,広く地域住民に高等学校教育を提供する教育機関として,
組織運営の実態やそれに関する経費に一定の共通性を有しており,実際にも,ほとんどの地方公共団体において,地方交付税単価に準拠して授業料を設定するなど,授業料の額にあまり差がないため,国が標準的な授業料額を設定して授業料の不徴収に必要な経費を措置することが比較的容易であること,③就学支援金を個人に支給する場合に比
べ,受給資格の認定申請等の手続が不要になるなど,事務負担の軽減に資することによるものである。
他方,私立高等学校等については,①建学の精神に基づいて特色ある教育を行っており,授業料設定も含め,その自主性を尊重する必要があること,②平均授業料額が公立高等学校と比較して高く(平成2
1年度全日制授業料平均額35万4505円),国の支援により授業料の無償化を実現すれば多額の財政負担が生じることなどに鑑みると,公立高等学校と同様に授業料の不徴収を義務付けて,これに要する経費を国が措置することによる授業料の無償化を図ることは現実的に困難であったため,私立高等学校等の生徒等に公立高等学校の授業料の
額に相当する就学支援金(低所得世帯の生徒については増額した額)を一律に支給することとし,学校設置者がこれを代理受領して授業料に係る債権の弁済に充てることにより,公立高等学校と同程度の負担軽減を図る方法が採られた。
(イ)支給法における就学支援金制度の仕組み
a
支給法は,①私立高等学校等に在学する生徒又は学生で日本国内に住所を有する者に対し,当該私立高等学校等における就学について就学支援金を支給するものとし(支給法4条1項),②上記の生徒等は,就学支援金の支給を受けようとするときは,本件省令で定めるところ
により,その在学する私立高等学校等の設置者を通じて,当該私立高等学校等の所在地の都道府県知事に対し,当該私立高等学校等におけ
る就学について就学支援金の支給を受ける資格を有することについての認定を申請し,その認定を受けなければならないとする(支給法5条)とともに,③国が就学支援金の支給に要する費用の全額に相当する金額を都道府県に交付し(支給法15条),都道府県知事が受給権者である生徒等に対して就学支援金を支給することとした上で(支給
法7条1項),④支給対象高等学校等の設置者は,受給権者である生徒等に代わって就学支援金を受領し,当該受給権者の授業料に係る債権の弁済に充てるものとしている(支給法8条)(乙2・1~2頁)。b
前記a①のとおり,支給法における就学支援金制度を学校設置者に対する機関助成とせず,生徒等個人に対する助成としているのは,学
校法人以外のものが設置する高等学校,専修学校,各種学校に通う生徒を含め,その在学する学校の設置者の種類や意向にかかわらず,より幅広く後期中等教育段階において学ぶ生徒に対して確実な支援をすることを可能とするためである(乙2・4~5頁)。また,上記a④のとおり,私立高等学校等の設置者が受給権者に代わって就学支援金
を受け取り,これを授業料債権に充当する仕組みを採用した(支給法8条)のは,

支給法の目的(支給法1条)を達するために,受給権

者である生徒等個人に支給した高等学校等就学支援金が授業料以
外に流用されることを防止する必要があること,

地方公共団体等を

通じて受給権者である生徒等個人に直接支給する仕組みとする場合に
は事務的な負担が大きくなるため,極力これを抑制する合理的な仕組みとする必要があることによる(乙2・11頁)。
(ウ)支給対象外国人学校について
a
支給法2条1項5号,同条3項は,専修学校及び各種学校については,高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるものに限り就学支援金制度の対象となる私立高等学校等に含まれ
るものと定め,これを受けて,本件省令1条1項2号は,各種学校であって,我が国に居住する外国人を専ら対象とするもの(以下外国人学校という。)のうち,①高等学校に対応する外国の学校の課程と同等の課程を有するものとして当該外国の学校教育制度において位置付けられたものであって,文部科学大臣が指定したもの(同
号イ),②上記①に掲げるもののほか,その教育活動等について,文部科学大臣が指定する団体の認定を受けたものであって,文部科学大臣が指定したもの(同号ロ),③上記①②に掲げるもののほか,文部科学大臣が定めるところにより,高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるものとして,文部科学大臣が指定したもの(同号ハ
(ハ規定))を,就学支援金制度の対象となる私立高等学校等に含まれる各種学校,すなわち,支給対象外国人学校としている。そして,ハ規定による指定の基準及び手続等を定めるものとして,本件規程が定められた。
b
①本件省令1条1項2号イは,大使館等を通じて日本の高等学校に対応する外国の学校と同等の課程を有するものとして当該外国の学校教育制度において位置付けられていうことが確認できるもの(いわゆる民族系外国人学校)を,②同号ロは,国際的に実績のある学校評価団体の認証を受けていることが確認できるもの(いわゆるインターナ
ショナルスクール)を,それぞれ念頭に置いたものであり,大使館等の証明や国際的な評価機関による認証によって,高等学校の課程に類する課程を置くものであることが担保されるものを対象としたものである。③他方,上記①及び②のような制度的な担保のない外国人学校も存在し得るものと考えられたことから,ハ規定は,そのような外国
人学校については,その該当性の審査を文部科学大臣が個別に判断することとしたものである(甲A11,16,弁論の全趣旨)。

2
前提事実(争いがない事実若しくは文中に掲記の証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお,書証は特に断らない限り枝番を含む。)(1)当事者等
原告らは,いずれも平成22年4月1日以降に福岡朝鮮学園が運営する
九州朝鮮中高級学校の高級部(九州朝鮮高校)に在籍していた時期がある者である(甲B1~42。なお,九州朝鮮中高級学校校長の証明書(甲A161)によれば,原告ら全員が平成25年2月20日当時九州朝鮮高校の在学生であったとされているが,別紙1原告目録に記載された卒業年が平成24年(2012年)以前である者や入学年が平成25年(2013
年)である者がおり,実際には原告ら全員が平成25年2月20日の時点で九州朝鮮高校の在学生であったものではないと考えられる。)。(2)九州朝鮮中高級学校等
九州朝鮮中高級学校は,昭和31年に福岡県知事から学校教育法134条2項,同法4条1項に規定する各種学校の認可を受け,福岡朝鮮学園が
設置運営する私立学校であり,学校教育法に基づき,同校の入学者に対し中学校及び高等学校に準じた民族教育を実施し,併せて朝・日両国の親善に寄与しうる人材の育成を目的としている(甲A5,6,弁論の全趣旨)。なお,日本国内には,九州朝鮮中高級学校以外にも,朝鮮学校という名称を持ち,各都道府県知事から上記学校教育法に規定する各種学校の
認可を受けた私立学校が複数存在しており,同学校を設置運営する法人は,高級部・高級学校に加え,初級部・初級学校又は中級部・中級学校も設置運営している(以下,九州朝鮮高校及び上記各法人が設置運営する各学校の高級部・高級学校を併せて朝鮮学校,朝鮮高校又は朝鮮高級学校という。また,これらに,上記各法人が設置運営する初級部・初級
学校又は中級部・中級学校を含めて朝鮮学校ということがある。甲A20-5-6,弁論の全趣旨)。

(3)福岡朝鮮学園等によるハ規定に基づく指定を受けるための申請をめぐる経緯等

文部科学大臣は,平成22年4月1日の支給法施行に伴い,同日付けで,本件省令(別紙関係法令の定め3項)を定めた(甲A3)。


文部科学大臣は,平成22年11月5日付けで,本件規程(別紙関係法令の定め4項)を定めた(甲A4)。

平成22年11月当時の菅直人内閣総理大臣(以下菅総理大臣と
いう。)は,朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮という。)が同月23日に大韓民国領の延坪(ヨンピョン)島に対する砲撃を行ったことを契機に,同月24日,当時の髙木義明文部科学大臣(以下髙木大臣という。)に対し,九州朝鮮高校を含むすべての朝鮮高校について,ハ規定による支給対象外国人学校としての指定に関する手続を停止するよう指示した。
髙木大臣は,上記手続停止の理由について,北朝鮮による砲撃が,我が国を含む北東アジア地域全体の平和と安全を損なうものであり,政府を挙げて情報収集に努めるとともに,不測の事態に備え,万全の態勢を整えていく必要があることに鑑み,(ハ規定に基づく)指定の手続を一旦停止したと説明し(甲A46,53),菅総理大臣も同趣旨の説明を繰り返し行った(甲A47~51)。

福岡朝鮮学園は,平成22年11月29日付けで,九州朝鮮高校について,本件規程14条1項に基づき,ハ規定に基づく指定を受けるための申請(以下本件申請という。)をし,同月30日に文部科学省がこれを受け付けた(甲A12,乙1)。


菅総理大臣は,髙木大臣に対し,平成23年8月29日,朝鮮高級学校について,ハ規定による支給対象外国人学校としての指定に関する審査手続を再開するように指示した。


平成24年12月に実施された衆議院議員総選挙により,それまで与党であった当時の民主党を中心とした政権から,自由民主党(以下自民党という。)を中心とする政権への政権交代が起こった。上記政権交代後の下村博文文部科学大臣(以下下村大臣という。)は,同月28日,朝鮮高級学校については,拉致問題の進展がないこと,
朝鮮総聯と密接な関係にあり,教育内容,人事,財政にその影響が及んでいること等から,現時点での指定には国民の理解が得られず,不指定の方向で手続を進めたいとして,安倍晋三内閣総理大臣(以下安倍総理大臣という。)の了承を得たことを記者会見で明らかにした。キ
下村大臣は,平成25年2月20日付けでハ規定の削除を内容とする公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成25年文部科学省令第3号)を制定し,ハ規定を削除した(以下本件省令改正とい
う。)。上記改正に係る省令は,同日に公布され,公布の日から施行されるとともに(同省令附則1条),改正前のハ規定による指定を受けて
いる各種学校については,ハ規定は,当分の間,なおその効力を有することとされた(同省令附則2条)(乙35)。
また,下村大臣は,同日付けで,九州朝鮮高校を含む朝鮮高級学校について,ハ規定に基づく指定をしない旨の処分をした。九州朝鮮高校についての同処分(以下本件不指定処分という。)を福岡朝鮮学園に
対して通知した同日付け書面(甲A13)には,本件不指定処分の理由として,①ハ規定を削除したこと(以下本件理由①という。)及び②本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったこと(以下本件理由②という。)を理由とする旨が記載されている。3
争点
(1)国家賠償法1条1項の違法な処分等


本件不指定処分の違法性(本件不指定処分が文部科学大臣に与えられた裁量権を逸脱,濫用したものといえるか)

(ア)本件不指定処分の理由
(イ)ハ規定削除を理由とする本件不指定処分の違法性(本件理由①)(ウ)九州朝鮮高校が本件規程13条に適合するとは認めるに至らないと
した文部科学大臣の判断(本件理由②)が,裁量権の範囲を逸脱,濫用したものといえるか
(エ)本件規程15条違反
(オ)憲法及び条約違反等

ハ規定削除による期待権侵害


本件申請から処分までに要した期間等の違法性(行政手続法違反)
(2)損害
(3)相互保証
4
争点に対する当事者の主張等
(1)争点(1)ア(本件不指定処分の違法性)について

原告らの主張
(ア)本件不指定処分の理由
a
本件規程15条に基づき設置された高等学校等就学支援金の支給
に関する審査会(以下審査会という。)において,朝鮮高級学

校の本件規程13条適合性の検討が行われ,平成24年9月10日の第7回の会議までは指定の方向で議論が行われており,不指定の結論は出ていなかったが,下村大臣の同年12月の発言(前記2(3)カ)を受けるや否や,ハ規定が削除された。このような経過からすると,本件不指定処分の理由はハ規定を削除したこと(本件理由①)
のみであり,本件規程13条に適合すると認められなかったこと
(本件理由②)は本件処分の理由ではない。

b
そもそも本件理由①と本件理由②は両立しない。ハ規定削除(本件省令改正)の効力発生時点は省令の公布日である平成25年2月20日である。一方,本件不指定処分の効力発生時点は,九州朝鮮高校が本件不指定処分の内容を了知することができる状態になった時であり,九州朝鮮高校が本件不指定処分の通知書を受領したのは
同月21日以降である。そうすると,本件不指定処分の効力発生時には既にハ規定が削除されており,本件規程13条も存在しないから,本件理由①しか本件不指定処分の理由となり得ない。c
被告は,報道や九州朝鮮高校にファクシミリ送信された文書によって,平成25年2月19日中には九州朝鮮高校が本件不指定処分の内容を了知し得る状態に至っていた可能性があると主張するが,被告が行政処分の意思表示をしたのは同月20日であり,その意思表示が前日に届くことはない。
また,被告は,仮に,本件省令改正が本件不指定処分よりも先に

効力が生じ,かつ,本件省令改正が違法であると判断される場合であっても,ハ規定が存在することを前提とした本件理由②が是認されるのであれば,本件不指定処分は適法であることになるから,本件理由②が本件不指定処分の主たる理由と位置づけられるべきであると主張する。しかし,本件で問題となるのは,本件不指定処分時点での違法
性であり,本件不指定処分の時点ではハ規定が存在しないから,それを前提に違法性を検討すべきである。ハ規定削除が違法であることを前提に本件規程13条により不指定処分を行うことは禁反言により違法であるし,本件訴訟において,そのような主張をすることも禁反言により主張自体失当である。

(イ)ハ規定削除を理由とする本件不指定処分の違法性(本件理由①)a
ハ規定の削除自体が支給法による委任の趣旨に反し違憲違法であ

ること
支給法は,国際人権A規約13条2項(b)を受けて中等教育全般について無償教育の漸進的実現による教育の機会均等を目指しており,受給資格を日本国民に限定せず,外国人学校も平等に適用対象とすることを求めている。もっとも,外国人学校は多種多様な学校を含む各種学校制度によって運営されているため,無償化の対象とすべき学校を適切に拾い上げる必要がある。そこで,支給法2条1項5号は,各種学校の中でも支給法の適用対象とする学校を高等学校の課程に類する課程を置くものとした上で,その範囲について,文部科学省令
に委ねた。このような支給法の目的や,委任の趣旨を踏まえれば,ハ規定は,本件省令1条1項2号イ,ロの各規定に当てはまらない外国人学校であっても平等に支給法が適用される余地を残すことによって,後期中等教育段階における教育にかかる経済的負担の軽減を図りもって教育の機会均等に寄与するという支給法の目的の実現を可及的に可
能にすることに存在意義があると解される。
ところが,ハ規定を削除すると,本件省令1条1項2号イ,ロに
当てはまらない外国人学校や新たに設立された外国人学校は,無償化制度の枠内に入ることが不可能となる。ハ規定の削除は,各種学校制度の下で運営されている外国人学校の中でも,本件省令1条1項2号
イ,ロによって申請できる学校と,そうでない学校の間に,不合理な差を生じさせるから,憲法14条に反する。また,そのような状況は,支給法2条の委任の趣旨及びハ規定の位置付けからは想定されていない事態であり,支給法2条1項5号の委任の趣旨に反し,憲法41条,73条6号本文に違反する。

b
本件におけるハ規定削除は政治・外交目的によるものであって,

委任の趣旨を逸脱し,違憲,違法であること

ハ規定は,支給法の制定にあたっての国会における議論を踏まえ
て,朝鮮高校をはじめとした外国人学校に対して支給法の適用の道を開くべく定められたものである。そして,支給法制定にあたって,朝鮮高校の指定については,教育上の観点から制度的・客観的に判断することが繰り返し答弁されており,政治・外交上の事情は考慮しない
とされていた。それにもかかわらず,被告は,支給法の委任の趣旨を離れて,政治・外交上の理由により,朝鮮高校を排除する目的でハ規定を削除した。ハ規定の削除は本末転倒で,支給法の委任の趣旨に反し,憲法41条等に反するものである。
c
したがって,ハ規定を削除したことを理由とする本件不指定処分は違法である。

(ウ)九州朝鮮高校が本件規程13条に適合するとは認めるに至らないとした文部科学大臣の判断(本件理由②)が,裁量権の範囲を逸脱,濫用したものといえるか
a
本件不指定処分が政治・外交的配慮を持ち込んでなされたもので
あり違法であること
支給法の趣旨・目的と省令への委任の趣旨からすれば,省令を制
定する際はもちろん,具体的な指定においても,政治・外交的配慮に基づき特定の教育施設を排除することは許されない。ハ規定に基づく
指定の判断をする際,政治・外交的配慮を行ってはならないことは,支給法の前後を通じて政府統一見解として再三にわたって表明されてきた立法者意思である。ところが,下村大臣の発言(前記2(3)カ)に代表されるような数々の客観的事実によれば,本件不指定処分は,支給法の趣旨・目的及び立法者意思に反し,政治・外交的配慮を持ち
込んでなされた違法なものであることは明らかである。
b
本件規程13条自体の違憲・違法性

本件規程は,支給法2条1項5号の委任により定められた本件省
令の再委任によって高等学校の課程に類する課程を置くものとの
要件の具体的な基準を定めることだけが許されているに過ぎない。そして,ここでいう課程は,学校教育法25条,33条,48条,
52条及び66条所定の教育課程と同義と解すべきであるが,本件規
程13条はこれを逸脱している。
すなわち,本件規程13条の適正な学校運営の要件は,学校
教育法の専修学校に関する条項や私立学校法に同様の規定がなく,本件省令1条1項2号イ,ロにもなく,ハ規定の外国人学校にのみ特別な要件を課しており,その存在自体が九州朝鮮高校の生徒に不
合理な差別を課すものであって,憲法14条,国際人権規約A規約2条2項及び人種差別撤廃条約1条2項に反する。このような加重な要件を再委任規定に過ぎない本件規程13条で定めることは,憲法41条・同法73条6号にも反する。
また,本件規程13条の高等学校等就学支援金の授業料に係る債権の弁済への確実な充当との部分は,支給法8条に関係する規程であるが,同条は,立法事項を下位の法令に委任していないから,支給法による具体的な委任がない規程であり,憲法41条に違反する。c
本件規程13条に関する被告の法解釈は不当に要件を加重する誤
ったものであること
(a)流用のおそれがないことを要件とすべきでないこと
被告は,本件規程13条に適合すると認められるためには,九
州朝鮮高校が受領した就学支援金の流用のおそれがないこと,
適正な学校運営がなされていることについて十分な確証が必要で

あると主張する。
しかし,支給法の仕組み上,学校の設置者が生徒に代わり就学支

援金を受領すると同時に,生徒の授業料にかかる債権の弁済に充てる扱いになっており(同法8条),学校の設置者による就学支援金の流用や学生らによる授業料の二重払といった事態は全く想定されていない。仮に,二重払の状況が生じれば即座に事実が発覚するはずであり,学校が就学支援金を学校運営に使わずに学外に流用し,さらに,生徒から授業料を徴収するという取扱いは実質的に不可能である。したがって,就学支援金の指定手続にあたって,流用のおそれがなく,適正な学校運営がなされていることについて十分な確証が必要であるとする被告の主張は,支給法の解釈を誤り,不
当に要件を加重したものであって失当である。
(b)不当な支配がないことを要件とすべきではないこと
被告は,本件規程13条の法令に基づく学校の運営を適正に行わなければならないについて,教育基本法16条1項の不当な支配を受けていないことを要すると主張する。
しかし,本件規程13条に教育基本法16条1項を読み込んで,
自主性が歪められていないとの“悪魔の証明”を学校側に求
めた上で,朝鮮高校の生徒たちの就学支援金受給権を否定するこ
とは,教育の機会均等を図り,生徒たちの学習権の充実を目指し
た支給法の趣旨に反する。本件規程は,判断権者の主観的・恣意

的な判断を排斥し,教育上の観点から客観的に判断を行うために
制定されたものであるから,本件規程13条の解釈運用を行なう
際にも,判断権者の政治・外交上の意図や主観が入り込まないよ
うにしなければならず,教育基本法16条1項の不当な支配
のような主観が入り込む概念を本件規程13条の法令に読み

込むのは,その裁量を逸脱し違法である。
(c)被告の主張する4要件が誤りであること

被告は,訴訟の終盤になって,ハ規定の高等学校の課程に類する課程を有するといえるためには,申請者において,①当該学校における教育内容が教育基本法の理念に沿ったものであること,②支給した就学支援金が授業料以外の用途に流用されるおそれがないこと,③外部団体・機関から不当な人的,物的な支配を受けていな
いこと,④反社会的な活動を行う組織と密接に関連していないことを主張・立証することを要すると主張するようになったが,このような4要件は,支給法及びその下位規範にも一切規定されておらず,何ら法的な根拠がないものであり,独自の見解に基づいてなされた後付けの主張でしかないから,採用の余地はない。

その内容においても,上記①については,教育内容に踏み込んでいることが明らかであるが,これは立法経過や国会答弁の内容に明らかに反するものであり,また,上記②から④については,いずれも抽象的な要件で,主観的・恣意的な運用が可能であるから,支給法の趣旨に反するものであって,著しく不合理で失当である。

d
九州朝鮮学園が本件規程13条に適合すること

(a)本件規程に基づく申請を行った外国人学校の審査の際,適正な学校の運営の観点から確認された内容は,①私立学校法に基づく理事会の開催,②財務諸表の作成等が行われていること,③所管する都道府県から過去5年間において法令違反を理由とする指導・勧告等を受けたことがないことであり(甲A20の2の3,甲A20の3の2),九州朝鮮高校も,これらの観点から審査がされたが,いずれも問題がなかった(甲A20の5の6)。したがって,九州朝鮮高校には本件規程13条適合性が認められる。

大阪地裁平成29年7月28日判決によれば,上記①から③の要件を満たした場合には,特段の事情がない限り,本件規程13

条適合性が認められるところ,この特段の事情が認められるた
めには,被告が判断の基礎にした関係証拠を客観的に評価し,不当な支配が存在しているおそれや可能性にとどまらない,具
体的かつ確実な事象が発見されることが必要であるが,以下のとおり,九州朝鮮学園においてそのような事象はない。
(b)流用のおそれがないこと
九州朝鮮高校が,北九州市から継続的に交付されていた補助金の
目的外流用に関する指摘をされたことがなかったのは,法令に基づく適正な学校運営がなされてきたからである。

そもそも就学支援金の制度上,流用のおそれなどおよそ想定し難
いし,万一流用が発覚した場合でも,事後的に改善を促すことは可能である。
よって,九州朝鮮高校が,就学支援金を他の目的に流用するおそ
れはない。

(c)不当な支配を受けていないこと
教育基本法16条1項によって禁止されるのは,教育が…自主的に行われることを歪めるような『不当な支配』(最高裁判所昭和51年5月21日大法廷判決刑集30巻5号615頁)で
あるところ,九州朝鮮高校は,自主的に運営されており,北朝鮮

又は朝鮮総聯から教育の自主性を歪めるような不当な支配を
受けてはいない。
九州朝鮮高校は,いわゆる外国人学校の一種であるが,異国の
地で教育を行う外国人学校に対して,本国又は関連する民族団体
がその教育活動等を支援することは自然なことであり,外国人の

子どもの学習権を充足させるために必要でこそあれ,何ら忌避さ
れるべきものではなく,そのような関係性があることは不当な支配に該当するものではない。また,朝鮮学校は,日本による植民地支配により奪われた母国語・民族性を回復するために設立
されたという歴史的沿革から,朝鮮総聯を含む支援者らから支援
を受けて教育事業を行っているが,人事,財政及び教育内容のい
ずれの側面においても,教育機関としての独立性をもって,自身
の判断で教育活動を行っている。
よって,外国人学校の自主性の観点からしても,九州朝鮮高校
が自主性を歪められている事実はなく,同校は不当な支配を
受けていない。

(d)被告主張を裏付ける具体的証拠がないこと
被告が提出した証拠は,新聞記事や公安調査庁の報告書,各種
団体からの申入書等,いずれも朝鮮学校に対する偏見に溢れた資
料ばかりであり,その内容は信ぴょう性に欠ける上,そこで指摘
されている疑惑は全て事実に反するか,本国ないし民族団体とし

て異国の地における民族教育を支援するために行っている最低限
度の活動について触れたものに過ぎず,不当な支配や就学支援金
流用の危険性及び蓋然性を基礎づけるものとはいえず,九州朝鮮
高校が北朝鮮や朝鮮総聯から不当な支配を受けている可能性
や就学支援金の流用のおそれを裏付ける具体的証拠は存在し

ない。
(e)以上のとおり,九州朝鮮高校は,上記(a)記載の3要件を満たし,かつ,本件規程13条適合性を疑わせる特段の事情も存在せず,
本件規程13条に適合していたのであるから,本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったことを理由としてなされた本件不指
定処分は違法である。
(エ)審査会の意見聴取を行っておらず判断過程が違法であること
本件規程15条は,文部科学大臣がハ規定に基づく指定を行うにあたり,あらかじめ,教育制度に関する専門家その他の学識経験者で構成される会議(審査会)の意見を聴取することを必須としている。これは,文部科学大臣において教育上の観点から客観かつ公正な判断ができることを担保するものである。したがって,諮問を経ないでされた判断や当該諮問機関の審理・決定(答申)の過程に重大な法規違反があること等によりその決定(答申)自体に法が右諮問機関に対する諮問を経ることを要求した趣旨に反すると認められるような瑕疵があるときは,当該行政処分は違法と解される(最高裁昭和50年5月29日第一小法廷判決
民集29巻5号662頁)。
下村大臣は,平成24年9月10日の第7回審査会以降,平成25年2月20日の本件不指定処分に至るまで,一度も審査会を開催せず,審査会の最終的な審査結果も出ていない状況で本件不指定処分をしており,法律上必要な手続を経ていないことが明らかである。本件におい
て,審査会の意見を聴いていないことは重大な手続的瑕疵であって,本件不指定処分の違法事由となる。
(オ)本件不指定処分が憲法や条約等に違反すること
本件不指定処分により九州朝鮮高校に所属する生徒の就学支援金に対する憲法上及び法律上の権利が侵害された。国籍を問わず,朝鮮高
校に所属する生徒について,全国一律に就学支援金の支給が否定されており,朝鮮高校に通う生徒であるが故の支給の否定は生徒の平等権(憲法14条,26条,世界人権宣言26条,A規約2条2項及び同13条,市民的及び政治的権利に関する国際規約26条,子どもの権利条約2条及び28条,あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際
条約5条(e)の(v))を否定するものであると同時に,支給法で具体化された中等教育の授業料について経済的援助を受ける権利(憲法26
条を具体化した権利)及び民族教育においても授業料について経済的援助を受ける権利(各種国際人権条約,憲法13条,26条を具体化した権利)を侵害し,違憲・違法である。

被告の主張
(ア)本件不指定処分の理由
a
本件理由①と本件理由②が論理的に両立し得ないとしても,本件
省令改正の効力発生時期は平成25年2月20日であるのに対し,本件不指定処分の効力発生時期は,その前日に報道がされた状況や九州朝鮮高校にファクシミリで送信された文書等の本件不指定処分の通知状況等を全体として通覧した場合には,同月19日とみる余
地もあるから,本件省令改正と本件不指定処分のいずれが時間的に先行し,いずれが本件不指定処分の理由として成り立ち得るかは,一概にはいえない。
b
本件理由①と本件理由②が併記されたのは,本件不指定処分に先立ち,本件規程13条適合性と本件省令改正とが並行して検討された経緯があったからであり,本件不指定処分に至る検討経過を忠実に反映するものである。また,これによって福岡朝鮮学園における本件不指定処分に対する不服申立ての検討が困難になったとも認められないから,何ら問題はない。

c
仮に,本件省令改正が本件不指定処分より先に効力を生じたとし

て,本件省令改正が違法であると判断されたとしても,本件理由②が本件不指定処分を理由あらしめることになる。すなわち,本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったという文部科学大臣の判断(本件理由②)が是認されれば,本件省令改正と本件不指定処分の先後関係や,本件省令改正の有効,無効にかかわらず,本件不指定処分が違法とされる余地はなくなるのである。

したがって,本件理由②が本件不指定処分の主たる理由として位置づけられるべきである。
(イ)九州朝鮮高校が本件規程13条に適合するとは認めるに至らないとした文部科学大臣の判断(本件理由②)が,裁量権の範囲を逸脱,濫用したものといえるか
a
本件不指定処分は,外交的,政治的理由によるものでないこと
本件規程13条の適合性は,処分時に存在した客観的事情により
判断されるものであり,外交的,政治的理由などといった判断権者の内心ないし主観によってその適合性を判断するものでないから,本件不指定処分が外交的,政治的理由により行われたものであるから違法
であるという原告らの主張は,そもそも失当である。
また,本件不指定処分は,外交的,政治的理由により行われたも
のでない。下村大臣の大臣就任前の野党議員としての発言をもって,本件不指定処分が政治的,外交的理由によってされたとはいえないし,文部科学大臣としての発言は,本件不指定処分の理由を述べたもので
はない上,財政問題を含む拉致問題以外の問題点も指摘して,結論として国民の理解が得られないという見解を示したものにすぎないから,これをもって,拉致問題の解決という政治的,外交的理由によって本件不指定処分がされたとはいえない。
b
本件規程13条が支給法2条1項5号及びハ規定の委任の範囲内において定められ,又は支給法の細則的事項を定める規定として適法・有効であること
支給法2条1項5号及びハ規定所定の高等学校の課程とは,高
等学校学習指導要領の教育課程と同義ではなく,教育内容,学校

の組織及び運営体制を含む教育そのものとして,教育課程よ
りも広い概念とされていることは,学校教育関係法令上,課程と

教育課程という語句を使い分けていることからも明らかである。
したがって,ハ規定を根拠とする支給対象外国人学校としての指定を受けるための要件として,就学支援金の授業料に係る債権の弁済への確実な充当が行われること,高等学校の教育課程の履修を含む学校運営が法令に従った適正なものであると認められることを要するものと
した本件規程13条の規定は,支給法2条1項5号及びハ規定の委任の範囲において定められたものであって,適法,有効である。
また,支給法1条,8条等によれば,支給法は,法令に基づく学
校の運営が適正に行われ,就学支援金の授業料に係る債権の弁済への確実な充当が行われることを当然の前提として,当該支給対象高等学
校等に就学支援金を交付するのであって,確実な弁済や法令に基づく学校の適正な運営が確実に行われることを確認できない教育施設に対して就学支援金を交付するような事態を想定していないことが明らかである。ハ規定及び本件規程13条の規定は,支給法19条を受けて,就学支援金を受けることのできる教育施設の条件として,高等学校等
就学支援金の授業料に係る債権の弁済への確実な充当など法令に基づく学校の運営が適正に行われることを定めているのであるから,これらの規定は,支給法の趣旨を体現し,その細則的事項を定める執行命令の規定として適法・有効であるとみることもできる。
c
本件規程13条適合性の判断の枠組み
教育関係法令である支給法並びにその下位規範である本件省令及
び本件規程を解釈するに当たっては,教育関係法令の根本法たる性質を有する教育基本法の理念及び基本原則に沿わなければならないから,支給法2条1項5号及びハ規定の高等学校の課程に類する課程と

は,単に学校教育法の定める高等学校の学科を授業として教えているといった形式的なことを指すだけでなく,当該高等学校の教育内容や
運営が教育基本法の理念及び基本原則に沿ったものであることを含意する。したがって,ハ規定の高等学校の課程に類する課程を有す
るといえるためには,申請者において,①当該学校における教育内容が教育基本法の理念に沿ったものであること,②支給した就学支援金が授業料以外の用途に流用されるおそれがないこと,③外部団体・機
関から不当な人的,物的な支配を受けていないこと,④反社会的な活動を行う組織と密接に関連していないことを主張・立証することを要する。
そして,上記①~④に該当するか否かの評価には教育的観点からの一定の専門的,技術的判断を要し,当該判断は,文部科学行政に通暁
する文部科学大臣の専門的,技術的判断に委ねられている。なお,ここでいう文部科学大臣の裁量権は,あくまで本件規程13条の適合性判断に当たってのものであり,同条の要件を離れて,文部科学大臣の主観が問題となる性質のものではない。
d
本件不指定処分が文部科学大臣に与えられた裁量権を逸脱,濫用したものではないこと
朝鮮高級学校については,破壊活動防止法に基づく調査対象団体となっているなど反社会的組織としての側面があることが強く疑われる朝鮮総聯と人事面で密接な関連を有しており,その教育内容について
も,朝鮮総聯の事業体が出版する教科書を使用し,北朝鮮とその国家主席を賛美礼賛し絶対的価値として崇める内容が見られた。また,朝鮮総聯が朝鮮高校を利用して資金を集めていると疑われる状況が認められた。
そこで,文部科学大臣は,九州朝鮮高校を含む各朝鮮高級学校に

ついて,朝鮮総聯や北朝鮮との密接な関係が疑われ,その関係性等により法令に基づく適正な学校運営がされていることについて十分な確
証が得られなかったことから,九州朝鮮高校が本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったものである。かかる判断は,何ら不合理なものでなく,その裁量権を逸脱,濫用するものではない。
(ウ)ハ規定削除を理由とする本件不指定処分の違法性(本件理由①)a
ハ規定を削除する本件省令改正は,支給法の委任の趣旨を逸脱し
ておらず,適法,有効であること
支給法は,いかなる学校について高等学校の課程に類する課程
を有するものとして就学支援金の支給対象校とするかについて,行政機関の広範な専門技術的裁量に委ねている。
他方,朝鮮高級学校についての本件規程適合性の審査において,

本件規程13条適合性に疑念を生じさせる多数の事情があり,その真偽を判断する調査手法がないため,その審査に限界があり,ハ規定自体に問題があることが明らかになった。また,朝鮮高級学校以外にハ規定を根拠として申請をする学校がない状況は,教育行政を司る文部科学大臣がよく把握していた。

このように,審査に限界があり,問題があることが明らかとなっ
たハ規定について,他に申請をする学校がないと判断し得た文部科学大臣が,これを放置せずに削除することは,支給法の適切な運用を担う文部科学大臣に課された責務であり,その専門技術的な裁量の範囲内であるから,本件省令改正が支給法の委任の趣旨を逸脱しないこと
は明らかである。
b
ハ規定の削除が外交的,政治的理由にされたとの原告らの主張に
ついて
委任命令が授権法の委任の趣旨を逸脱するか否かの判断は,所管

大臣の主観にかかわらず,授権規定の文理,委任の趣旨,授権法の趣旨,目的等に照らして判断すべきであるから,外交的,政治的理
由は無関係である。
この点をおくとしても,各朝鮮高級学校に対する審査の過程で,
ハ規定の問題性が把握され,審査を担当する文部科学省の事務方職員においてもハ規定の削除が検討されていた。ハ規定の削除は,文部科学省内でもかねてからの懸案事項であったものについて,ハ規
定の存在自体に問題があることを踏まえて行われたものである。かかる省令改正の経緯において,下村大臣の外交的,政治的意見が,殊更に省令改正の内容や方向性に影響を与えたという事情は認められないのであって,その意味においても,本件省令改正が外交的,政治的理由によるものでないことは明らかである。

(エ)本件規程15条違反の主張について
a
審査会の意見は文部科学大臣の判断の際の考慮要素の1つに過ぎないこと
本件規程13条に定める指定要件を充足するか否かの検討は,そ
の性質及び内容からして自ずと専門的,技術的検討を伴うものであり,
まずは教育行政に通暁する文部科学大臣の専門的,技術的判断に委ねられており,審査会の意見も,同大臣の判断の際の考慮要素の1つに過ぎない。
一般に,行政処分に際して特定の機関に諮問することが規定されている場合の当該機関の意見については,諮問した行政庁を拘束しない
し,本件規程15条は,意見を聴くと定めるのみで,拘束する場
合に用いられる議によりなどの文言を用いていないから,審査会
の意見が同大臣の判断を拘束するものでないことは明らかである。b
本件不指定処分は,審査会の意見を踏まえたものであること
朝鮮高級学校の指定の可否については,審査会の審査において,さまざまな問題点が指摘され,積極的な意見が出されず,審査会におい
て結論を出すには限界があるとの意見もあり,審査会において明確な結論を出すことが困難な状況だったのであり,原告らが主張するように,審査会が朝鮮高級学校の指定に向けて積極的であったとはいえない。
文部科学大臣は,上記のような審査会の審査状況のほか,文部科

学省職員からも,朝鮮高級学校に対する審査に限界がある旨の報告を受けたことも考慮した上で,九州朝鮮高校が本件規程13条に定める基準に適合するものとは認めるに至らないと判断し,本件不指定処分をしたのであり,むしろ審査会の意見を踏まえて本件不指定処分をしたのである。

(オ)本件不指定処分が憲法や条約等に違反するとの主張について本件不指定処分は,九州朝鮮高校が本件規程13条に適合すると認めるに至らないことを理由としてされたものであり,本件規程に定める指定の基準及び手続等を離れて,原告らのみを差別して不指定としたものではなく,不合理な差別的取扱いではないから憲法14条等に
違反するものではないし,九州朝鮮高校における原告らの人格形成及び学習権等を何ら否定するものではないから憲法13条等に違反しない。
(2)争点(1)イ(ハ規定削除による期待権侵害)

原告らの主張
ハ規定削除の違法性については前記(1)ア(イ)のとおり。
原告らは違法なハ規定削除により,将来にわたっても就学支援金を受け取ることができなくなった(受給に対する期待権の侵害)。原告らが就学支援金を受け取る唯一の方法は,ハ規定に基づく指定を受けること
であった。しかし,被告が,委任の趣旨に反することが明らかであるにもかかわらずハ規定を削除したことにより,原告らは将来にわたって就
学支援金の支給を受けることが不可能となった。被告は,ハ規定を削除したことにより,原告らの受給に対する期待権をも侵害したのである。イ
被告の主張
国家賠償法1条1項の違法は,当該個別の国民の権利ないし法的利益に対する侵害があることを前提としており,原告らに,同法の保護が得られ
る具体的な権利ないし法的利益が存在しない場合には,公権力の行使に当たる公務員の職務行為が国賠法上違法となる余地はない。
そして,前記(1)イ(イ)で述べたとおり,本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったとの文部科学大臣の判断(本件理由②)が裁量権の逸脱ないし濫用とされる余地がない以上,本件不指定処分は適法であり,九
州朝鮮高校は支給対象とならなかったのであって,原告らは就学支援金の受給権を有しないことはもちろん,その受給を期待し得る地位にもなかったというほかない。仮に,原告らが,九州朝鮮高校がハ規定の下での支給対象としての要件を満たさない場合であっても,ハ規定が存在する限り就学支援金を将来受給し得る可能性が論理的に皆無ではないといえることへ
の期待を有していたとしても,そのような抽象的な期待は国賠法上保護された権利ないし法的利益と評価することはできない。
(3)争点(1)ウ(本件申請から処分までに要した期間等の違法性)についてア
原告らの主張
(ア)標準処理期間を定めていない点
行政手続法6条は,申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるべき義務を規定しているが,文部科学大臣は本件規程14条1項の申請に対する処分をするまでの標準処理期間を定めていなかったから,行政手続法6条に違反している。

(イ)申請から処分までの期間が行政手続法7条に違反すること
外国人学校が本件規程14条1項の申請を行い,それに対する指定
処分がされた実例は2例あり,ホライゾンジャパンインターナショナルスクールが申請から約9か月後に,コリア国際学園は申請から約6か月後に指定を受けている。ところが,文部科学大臣が本件処分を行ったのは,福岡朝鮮学園による申請から2年2か月後であるから,この間,文部科学大臣が何らの処分を行わなかったことは,申請に対して行政庁が相当期間内に応答すべき義務(行政手続法7条)に違反するものであった。
(ウ)申請から審査再開までの審査停止が行政手続法7条に違反すること被告は,本件申請に対し,平成23年8月29日まで約9か月にわたり審査手続を停止しているが,この審査停止には根拠がなく,行政
手続法7条に違反する。この審査停止について,当時の文部科学大臣等は超法規的措置であったこと,すなわち法的根拠を伴わずに行われたものであることを明言していた。
(エ)審査再開から処分までの期間が行政手続法7条に違反すること平成23年8月29日に本件申請に対する審査が再開(実質的には
開始)されてから本件不指定処分までに,ホライゾンジャパンインターナショナルスクール及びコリア国際学園の審査期間を大幅に上回る1年7か月もの長期間を要している点が行政手続法7条に違反する。イ
被告の主張
(ア)標準処理期間を定めていない点(行政手続法6条)について標準処理期間の設定については,努力義務にとどまるものであり,標準処理期間の設定がなくても処分が違法となるものではない。また,標準処理期間の設定が努力義務とされているのは,事例ごとのばらつきが著しい処分や,事例が極めて少ない処分など,標準処理期間の設定が困
難な場合のありえる事情に配慮したためであるところ,ハ規定に基づく支給対象外国人学校の指定は前例がなく,慎重な検討を要するものであ
り,標準処理期間の設定が困難な場合であった。
(イ)審査期間(行政手続法7条)について
行政手続法7条は,正当な理由による遅滞を許容していると解され,直ちに申請の審査を開始したとしても公正な判断を下せず,申請者の権利利益が害されるおそれがある場合には,当該状況が止むまで審査
を開始しなかったとしても,同条に違反しないと解すべきである。北朝鮮による砲撃事件を契機として大韓民国との戦争が勃発する可能性も否定できない緊急事態であるとの報道もあった中で,北朝鮮と密接な関係を有する朝鮮高級学校を就学支援金の支給対象とするか否かについて,本件規程15条による審査会の委員が,平常時のように
客観的かつ公正な審査を行うことができなくなるおそれが否定できず,審査手続の継続によって,かえって朝鮮高級学校の利益が害されることを回避する必要があったため,審査手続を一時停止せざるを得ない状況にあった。
また,審査の過程で,朝鮮高級学校について法令に基づく適正な学
校運営がされていることに疑念が生じ,審査に時間を要した。
(4)争点(2)(損害)について

原告らの主張
(ア)慰謝料

各自10万円

原告らは被告の違法違憲な行為によって甚大な精神的苦痛・損害を
被った。原告らが受けた精神的損害は一人当たり10万円を下らない。(イ)弁護士費用

各自

1万円

原告らは,被告の違法違憲な行為によって,弁護士に委任して訴訟を提起せざるを得なくなった。原告ら一人当たり1万円の弁護士費用は,相当因果関係の範囲内の損害である。


被告の主張

否認する。
(5)争点(3)(相互保証)について

被告の主張
外国人である原告らについては,日本国に対する損害賠償請求権が認められるには,当該外国の国家賠償制度において,相互の保証(国
家賠償法6条)があることを要する。そして,かかる相互の保証があることの主張立証責任については,国家賠償法1条・2条によって,日本の国又は地方公共団体に対して損害賠償請求をする外国人にある。しかし,本件においては,原告らの国籍が明らかにされておらず,日本人が当該外国の公務員の違法行為によって被害を受けた場合に,当該外
国に対して国家賠償を請求できるとの主張,立証もされていないから,相互保証があるとは認められないというべきである。

原告らの主張

(ア)相互保証要件の訴訟上の位置づけは抗弁であり,被告において立証責任を負うべきものである。

(イ)原告らは,韓国籍,朝鮮籍又は日本国籍である。このうち,韓国籍の原告らについては,韓国には国家賠償法に相互保証の規定があることから日本の国家賠償法の適用がある。また,朝鮮籍の原告らについても,韓国籍と二重国籍となることから韓国の国家賠償法の相互保証規定により,同様に日本の国家賠償法の適用がある。

第3
1
当裁判所の判断
認定事実
前記前提事実並びに後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。

(1)支給法の制定経緯等

平成21年夏の衆議院選挙により自民党から民主党への政権交代が生
じ,内閣総理大臣となった鳩山由紀夫内閣総理大臣(以下鳩山総理大臣という。)は,第173回国会における所信表明演説で高校の実質無償化を進める旨を述べた(甲A27)。これを受けて,支給法案が,内閣提出法案として提出され,平成22年3月5日から同月12日までの間,衆議院文部科学委員会で審議され,同月19日から同月30日までの間,
参議院文教科学委員会で審議された後,可決・成立し,同月31日に公布された。支給法の制定に至る国会審議等の経緯の概要は次のとおりである。

平成22年3月5日の衆議院文部科学委員会における質疑(乙4の1)(ア)当時の川端達夫文部科学大臣(以下川端大臣という。)は,平成22年3月5日,衆議院文部科学委員会における質疑(乙4の1)において,朝鮮高級学校を拉致,ミサイル,核問題があるから外交的に除外するとの方針なのかという趣旨の質問(馳浩委員)に対し,(前略)何度も申し上げますように,その学校が高等学校の課程に類する課程であるかどうかということを普遍的,客観的に判断するという立場で決めてまいりたいと思いますので,今御指摘のような問題は判断の対象ではございません。と答弁した(乙4の1・10頁)。(イ)また,川端大臣は,支給法案は高等学校の課程に類する課程を置く,日本にある外国人学校のすべてに適用するということになるのか
という趣旨の質問(宮本岳志委員)に対し,(前略)文部科学省令において対象を定める際の客観性を保持するために,高等学校の課程に類する課程として,その位置づけが,学校教育法その他により制度的に担保されているということを規定することと予定をいたしております。そういう意味から,自動的に外国人学校の高等課程に類するものすべてが今の時点で対象になっているということではありません。と答弁した(乙4の1・16頁)。

(ウ)さらに,川端大臣は,支給法案で朝鮮高級学校を除外すべきか否かにつき現在どのような状況になっているかという趣旨の質問(松本龍委員)に対し,(前略)専修学校でどういうものが入れるのか,各種学校でどういうものが入れるのかという,要するに,まさに高等学校の課程に類する課程というものをどういう物差しで評価するのかということにすべての議論が集約されるのではないかというふうに思っております。その基準と確認方法についていろいろ検討しているところであります。加えて,この国会の審議も踏まえながら,最終的に省令として決めたいというふうに思っております。(乙4の1・20頁)と答弁し
た。
(エ)川端大臣は,①支給法における支援金制度の対象となる各種学校についてどのような線引きをするかという趣旨の質問(下村博文委員。後の文部科学大臣)に対し,(前略)高等学校の課程に類する課程としてその位置づけが学校教育法その他により制度的に担保されているという概念から,基本的には入りません。そういう意味では,制度的に担保されていないから原則として支給対象とはしないという方向を今検討しておりますけれども,学校教育法上,専修学校にはなれないために例外的に各種学校の認可を受けているのが外国人学校でございます。そういう意味で,例外的に各種学校の認可を受けているもので一定の要件を満たすものについては,就学支援金の支給対象とすることとしたいと考えております。なお,その際の要件として,客観的に我が国の高等学校の課程に類する課程であることが認められるものということでそのような外国人学校を指定することと考えておりまして,今その中身は検討しておるところでありますし,国会の議論を踏まえながら最終的に決めたいと思っております。と答弁し,②無償化の対象から朝鮮高級学校を除外することを示唆するような内閣総理大臣等の発言につき川端大臣が
どのように返答をしたかに関する質問(下村博文委員)に対し,(前略)文部科学省としては,外交上の配慮とかいろいろなこと,そういう観点でこれを判断の材料にする考えはありません…(中略)制度上,先ほど来きょうも申し上げておりますように,高等学校の課程に類する課程というものをどう客観的に判断できるかということだけを物差しにさせていただきたいと答弁し,③北朝鮮と我が国とは国交がなく,教育内容のチェックもすることができないにもかかわらず,朝鮮高級学校を就学支援金制度の対象とするのかという趣旨の質問(下村博文委員)に対し,(前略)外国人学校は,どういう客観的物差しでどういう方法でそれを確認するのかというのが,みんなにわかりやすく,そしてはっきりとある種の制度的な客観的担保がないと,おっしゃるように国としての責務を果たすことができないということの中で,まさにこの国会の議論も踏まえて検討させていただきたいし,いろいろな意見をまたいろいろお聞かせもいただきたいと思っております。と答弁した(乙4の1・38頁から39頁)。


平成22年3月9日の衆議院文部科学委員会における質疑(甲A32,証人三輪定宣)
三輪定宣千葉大学名誉教授は,平成22年3月9日,参考人として招致された衆議院文部科学委員会において朝鮮人学校を本法から除外するという議論もありますが,意見,出生等あらゆる差別を禁止した人権A規約の二条や,子どもの権利条約二条,人種差別撤廃条約等の国際法規はもとよりですけれども,信条等の差別を禁じた憲法十四条,教育基本法四条にも違反すると考えますと述べ(甲A32・22頁),あらためて特定の国籍を有する子供たちが通う学校を法案の対象から排除しようという動き
があることについての見解を問う趣旨の質問(宮本岳志委員)に対し,もしこのことが現実になりましたら,国際的に相当大きな問題に発展するという危険を,私,直観ですけれども,感じております。といいますのは,世界の国際法規は,すべて,あらゆる種類の差別を厳しく禁ずるという流れがあって,しかも,それがどんどん強くなっているわけですね。そういう中で,国際人権規約も,教育の目的として,諸国民の間の友好と平和を促進するということを明確に示しているわけですね。そういう立場の教育が民族的な差別を是認するようなことでは,到底,その条約の精神とも合致しないわけですね。ですから,もちろん今議論の最中ではありますけれども,私は,やはりそこは本当に冷静になっていただきたい,本当に長い目でアジアの友好とか世界の友好について考えていただきたいと述べた(甲A32・33頁)。


平成22年3月10日の衆議院文部科学委員会における質疑(乙4の2)
川端大臣は,平成22年3月10日の衆議院文部科学委員会における質疑において,朝鮮高級学校に対する対応を質す趣旨の質問(川口浩委員)
に対し,(前略)基本的には,各種学校というのは,高等学校の課程に類する課程とみなせるという制度的担保がありませんので基本的には対象外としたいと思っているのですが,各種学校の中の外国人学校だけは,制度上,専修学校の高等課程になれないということで適用を除外されているので,なれないということの中で置かれているから,実質上,高等学校の課程に類する課程とみなせるかどうかを判断基準をしっかりつくって判断をすることを省令で決めたいというふうにしておりますので,(中略)客観的にこの学校が高等学校の課程に類する課程を有するというふうに判断するのに,どういう基準,方法でやるかということを今一生懸命検討していると答弁した(乙4の2・5頁)。
また,川端大臣は,①朝鮮高級学校が高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省がそれを判断・確認することができるかとい
う趣旨の質問(馳浩委員)に対し,

現時点で担保されている制度で直ちに行うということはできない環境にあります。

と答弁し,②外交上の問題を考慮して,支給法における支援金制度の対象となる各種学校に関する省令に含めるか否かの判断基準とするのかという趣旨の質問(馳浩委員)に対し,文部科学省といたしましては,各種学校の対象範囲の議論については,先ほどありましたような民族教育の有無という観点とか,外交上の配慮という観点,国交があるかないかという観点で判断するものではないということで,あくまで高等学校の課程に類する課程ということでの位置づけを制度上どう担保するか。(中略)今お問い合わせの部分でいえば,民族教育の有無とか,外交上の配慮という観点や,あるいは国交の有無という観点でこれを判断するというものではないということでございます。と答弁した(乙4の2・23頁)。オ
自民党の決議(甲A39)
自民党政務調査会の文部科学部会及び拉致問題対策特別委員会は,平成
22年3月11日付けで,朝鮮学校は無償化の対象とすべきでない事を強く表明する決議と題する書面を作成した。同書面には昨日,自民党は正式に『高校授業料支給法案』への反対を決定したが,民主党は今週末に衆議院で法案を強行採決する構えを見せている,法案には,いまだに内容が決定されていない重要事項があり,無償化の対象となる各種学校に,朝鮮学校を含めるかについても,三月も中旬に入った今日に至るまで,政府側の方針は示されていない,朝鮮学校については,以下の通り,無償化の対象とするにあたっての課題が存在するとして,無償化の対象となる外国人学校については,『高等学校の課程に類する課程を置くもの』として文部科学省令で定めるとされているが,いまだ国会審議の中で,客観的・普遍的な判断基準が示されていないこと,客観的・普遍的な判断基準が決定されても,朝鮮学校については,現行法のもとでは,その基準に合致しているかを判断する方法及び権限がない事を,政府においても国会答弁で認めていること,朝鮮学校には本国である北朝鮮が強く関与しており,教科書も労働党の工作機関である統一戦線事業部が作成しているとされ,純粋な教育機関ではなく,北朝鮮の体制を支えるためのイデオロギー学校・対日工作機関である疑いがあること,以上の理由から,朝鮮学校は無償化の対象とすべきでないなどの記載がある(甲A39)。カ
平成22年3月12日の衆議院文部科学委員会における質疑(甲A10,乙4の3)

平成22年3月12日の衆議院文部科学委員会における質疑において,松野頼久内閣官房副長官は,(前略)就学支援金の支給対象について,いわゆる高校実質支給法案は,日本国内に住む高等学校等の段階の生徒が安心して教育を受けることができるようにするものであります。このために,外国人学校の取り扱いに関しましても,外交上の配慮などにより判断するべきものではなく,教育上の観点から客観的に判断するべきものであり,政府としては以下のように考えるものでございます。本法案においては,外国人学校を含む専修学校等及び各種学校に係る就学支援金の支援の対象範囲については,高等学校の課程に類する課程として位置づけられるものを文部科学省令で定めることとしております。これまでの各大臣の発言につきましては,高等学校の課程に類する課程としての位置づけを判断する基準や方法についてはさまざまな論点があることを述べたものでございます。文部科学省令については,国会における審議も踏まえつつ,文部科学大臣の責任において判断するものでございます。と説明した(乙4の3・1頁)。

そして,上記のような政府見解ではこれ以上質問をすることができないとする下村博文委員の発言に対して,川端大臣は,先ほどの松野官房副長官の御発言は,当然ながらこの審議の経過,そして私の発言も踏まえた政府の統一見解でございます。加えて,総理及び関係閣僚が発言をしてきた経過も,政府として統一的に,これまでの各大臣の発言は,高等学校の課程に類する課程としての位置づけを判断する基準や方法については,さまざまな論点があることを述べたものであるというまさに統一見解を出したところでありまして,最終的に,政府統一見解として,文部科学省令については,国会における審議も踏まえつつ,文部科学大臣の責任において判断するものであるということを改めて政府として確認したところでございます。と述べた(乙4の3・2頁)。キ
平成22年3月19日の参議院文教科学委員会における質疑(乙4の4)
平成22年3月19日の参議院文教科学委員会における質疑において,川端大臣は,外国人学校を含む各種学校が支給法における支援金制度の対象となるか否かを問う趣旨の質問(大島九州男委員)に対し,(前略)各種学校はまさに任意,自由な学校でありますので,基本的には対象にならない。ただ,外国人学校だけは制度上専修学校になれない規定になっておりますので,この学校に関してだけは高校の課程に類するものとみなせるかどうかを客観的に判断できるようにして判定すべきだというふうに思っておりまして,国会でもいろんな御議論がありますが,その部分で客観性を担保する仕組みを今議論をしているところであると答弁した(乙4
の4・4頁)。

平成22年3月25日の参議院文教科学委員会における質疑(乙4の5)
平成22年3月25日の参議院文教科学委員会における質疑において,
川端大臣は,支給法の成立後に定められることが予定されている支給対象外国人学校の範囲についての省令の内容に関する質問(水岡俊一委員)に
対し,(前略)外国人学校については,教育内容等について法令上特段の定めがなく,本国における正規の課程と同等の教育活動や独自の教育課程に基づく自由な教育活動を行っており,我が国の学校制度をそのまま当てはめて判断することは適当ではないと考えられます。このため,外国人学校について高等学校の課程に類する課程であることを制度的に担保するための要件として,一つは,我が国の高等学校に対応する本国の学校と同等の課程であると公的に認められること,二番として,国際的に実績のある評価機関による客観的な認定を受けていることとし,これらの要件を満たすものを支給対象としたいと考えております。さらに,これらの二つの方法以外にも,客観的に我が国の高等学校の課程に類する課程であることが認められる基準や方法について,教育の専門家等による検討の場を設け,関係者の意見も聞きながら検討していきたいと考えています。(中略)いわゆる教育専門家による検討の場で基準と評価方法と判定の仕組みを御議論いただいて,それに基づいて決めるという第三の道をつくろうと考えております。と答弁した(乙4の5・3頁)。

平成22年3月30日の参議院文教科学委員会における質疑(乙4の6)
平成22年3月30日の参議院文教科学委員会における質疑において,川端大臣は,朝鮮高級学校について,授業内容がいかなるものか確認する
方法があるのかとの質問(義家弘介委員)に対し,(前略)何らかの評価基準を,文部科学省が決めるという前に,客観的に,制度的,専門的に議論をいただいて,中身をどう判断するのか,申し上げましたように,国交がない,国際の認証機関の認証を受けていないという人たちを何かの基準と方法で判断できるかどうかを検討の場を通じて御議論いただいて,それを踏まえて私たちとしては判断をしたいということを申し上げているところでございます。と答弁した(乙4の6・5~6頁)。
また,鳩山総理大臣は,朝鮮高級学校が就学支援金支給の対象学校とする指定の対象となるか否かとの質問(義家弘介委員)に対し,(前略)最終的に,これは当然,(中略)検討の場を設けるということになったと。その検討の場でしっかりと検討するということでありまして,決して丸投げをするということではなくて,むしろこのようなことをすべて文科省の中で決定をするというよりも,むしろ第三者的な判断というものをしっかりと求めて,そこでより正しい判断というものがなされることが必要ではないかということで検討の場がつくられたと思っております。と答弁した(乙4の6・6頁)。
(2)本件規程の制定に至る経緯等

平成22年4月1日,支給法の施行と共に本件省令が公布され,本件省令中のハ規定において,文部科学大臣が定めるところにより,高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるものとして,文部科学大臣が指定したものを支給対象校とする旨が定められた。このため,文部科学
大臣は,同年5月26日,諮問機関として高等学校等就学支援金の支給に関する検討会議(以下検討会議という。)を設置し,検討会議に対し,ハ規定に関して,制度的・客観的な高等学校の課程に類する課程としての位置付けを担保し,就学支援金の円滑な支給を行うために,文部科学大臣の指定に当たって必要な事項の検討を依頼した(甲A11・4
頁)。検討会議は,同日から同年8月19日までの間に5回にわたり会議を開催し,文部科学大臣は上記会議の結果等を受けて同年11月5日に本件規程を定めた。本件規程の制定に至る検討会議の会議等の概要は次のとおりである。
(ア)平成22年5月26日に開催された第1回の会議において,委員から

情報公開・学校運営に関して,財務諸表を毎年徴収するなど各種学校に課せられた義務に加え,上乗せして求めることが必要な事項もあるのではないか。

といった発言があった(乙5の1・1~3頁)。(イ)平成22年6月30日に開催された第2回の会議において,委員から

判断の客観性を担保する仕組みを組み込んでおくというのであれば,大学の設置認可などからすれば,第三者の意見を聴くというのが普通のやり方だろう。

との発言があった(乙5の1・4~5頁)。
(ウ)平成22年7月16日に開催された第3回の会議においては,委員から,就学支援金を代理受領する以上は,わが国の法令を遵守することはもちろんのこと,学校運営の体制がきちんとしているかどうかという観点が重要といった発言や,

文部科学省としては,就学支援金の支給を適正に行うために必要な限りにおいて学校運営の適切さを確認する必要があるが,学校運営を全体として見る立場にあるのは所轄庁である都道府県知事である。

との発言があった(乙5の1・6~7頁)。(エ)平成22年7月26日に開催された第4回の会議及び同年8月19日に開催された第5回の会議においては,朝鮮高級学校の様子を撮影した映像の視聴が行われた上で,検討会議のまとめとなる高等学校の課程に類する課程を置く外国人学校の指定に関する基準等についての素案に関する討議が行われ,委員からは教育活動を見ないというわけではない。全体として見た上で個別の指導内容までは踏み込まないということ,どういうことを教育されているかという項目・主題は見るのだが,具体的な内容については各校にまかされている,それは他の学校種についても同じだとの発言や,教育活動について何も見ないという誤解を与えないようにすべきとの発言があった(乙5の1・8~10頁)。

高等学校の課程に類する課程を置く外国人学校の指定に関する基準等について(報告)(甲A11)
検討会議は,5回にわたる会議の検討結果として平成22年8月30日
付け高等学校の課程に類する課程を置く外国人学校の指定に関する基準等について(報告)と題する報告書(甲A11)を作成して文部科学大臣に対する報告をした。
同報告書は,①法令に基づく適正な学校の運営についての項目において,就学支援金は,支給法において,生徒が在学する学校が生徒に代理して受領し,生徒の授業料に係る債権の弁済に充てることとされていること,各種学校の運営については,学校教育法,私立学校法などにおいて諸規定が設けられていることを挙げた上で,就学支援金に係る文部科学大臣の指定を受ける各種学校については,各校が就学支援金の管理を適正に行
うとともに,これらの関係法令の諸規定を遵守していることは当然であり,高等学校の課程に類する課程を置くものに求められる基準において,就学支援金の管理その他の法令に基づく学校の運営が適正に行われることを改めて求めることが適当であるとし(甲A11・8頁),②また,就学支援金の授業料への確実な充当についての項目において,就学支
援金は,学校への助成金ではなく,法令に定める学校へ就学する生徒の学習活動を支援するため,受給権者である生徒個人に対して支給されるものであり,学校は生徒の申請に基づき,就学支援金を代理受領し,生徒が支払うべき授業料の一部に充当するものであるとした上で,各学校においては,就学支援金が確実に生徒の授業料に充てられるようにするとともに,
その原資が貴重な税金であることを踏まえ,経理の透明化を図るよう求めるものとし(甲A11・14頁),③さらに,体制・手続の項目において,外国人学校の指定については,外交上の配慮などにより判断すべきものではなく,教育上の観点から客観的に判断すべきものであるということが法案審議の過程で明らかにされた政府の統一見解である。このため,審査は,教育制度の専門家をはじめとする第三者が,専門的な見地から客観的に行い,対象とするかどうかについて意見を取りまとめ,最終的には,文部科学大臣の権限と責任において,外国人学校の指定がなされることが適当であるとしている(甲A11・15頁)。ウ
髙木大臣は,平成22年11月5日付けで,本件規程を定めるととも
に,これに関する文部科学大臣談話(以下単に文部科学大臣談話という。)を公表した(甲A4,16)。

文部科学大臣談話は,本件規程の就学支援金制度における位置付けについて,各種学校のうち,学校教育法第124条により専修学校になることができないことから各種学校となっている外国人学校でも,日本国籍を持つ生徒も含め多くの生徒たちが,後期中等教育段階の学びを行っていることから,制度の対象となっており,後期中等教育の判断にあたっては,各種学校である外国人学校について,制度的・客観的に「高等学校の課程に類するかどうかにより判断する」こととし,まず,本件省令1条1項2号イ,ロに規定する外国人学校については,同年4月1日から制度の対象とされているとした上で,同号イ,ロに定める方法では確認することができない後期中等教育に相当する外国人学校が存在し得ると考えられることから,同号ハにおいて文部科学大臣が定めるところにより,高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるものとして,文部科学大臣が指定したものも就学支援金制度の対象としており,本件規程は,同号ハにある高等学校の課程に類する課程を置くものとして指定する際の基準,手続等を定めたものであるとしている(甲A16)。
(3)本件規程に基づく申請と審査の経過等

福岡朝鮮学園は,九州朝鮮高校につき,平成22年11月29日付けで本件規程に基づく指定の申請をした。ただし,同月24日以降,朝鮮高級学校に対する支給対象外国人学校としての指定に関する手続は停止され
ている(前記第2の2(3)ウ,エ)。
なお,上記手続停止によって同じく指定に関する手続が停止された学校
法人東京朝鮮学園が平成23年1月17日付けで行った異議申立てに対し,文部科学大臣は,行政不服審査法50条2項(平成26年法律第68号による廃止前の法律)により,本件規程に基づく申請に係る不作為の理由について平成22年11月23日の北朝鮮による砲撃が,我が国を含む北東アジア地域全体の平和と安全を損なうものであり,政府を挙げて情報収集に努めるとともに,不測の事態に備え,万全の態勢を整えていく必要があることに鑑み,当該指定手続を一旦停止しているとの通知をした(甲53)。

文部科学大臣は,平成23年7月1日,本件規程15条に基づき,教育制度に関する専門家その他の学識経験者で構成される審査会(前記第2の4(1)ア(ア)a参照)を設置した。審査会は,本件規程に基づく指定等に関する意見を検討事項とし,本件規程に定める指定の基準に基づいて審査を行うものとされており,その庶務は文部科学省初等中等教育局財務課高校修学支援室(以下支援室という。)が所管することとされた(甲A2
0の1の1及び5)。
審査会は,同日から同年11月2日にかけて3回にわたる会議において,ハ規定に基づく指定の申請があった学校法人ホライゾン学園が設置するホライゾンジャパンインターナショナルスクール(高等部)及び学校法人コリア国際学園が設置するコリア国際学園(高等部)について,本件規
程の基準適合性を審査し,上記各学校法人において,私立学校法に基づく,理事会の開催,財務諸表の作成等が行われていること,各学校を所管する都道府県への確認により,直近5年間において教育基本法,学校教育法等の法令に違反していることを理由とする指導・勧告等を受けたことがないことが判明したとして,上記各学校の本件規程13条適合性を認め
た。そして,この審査結果を受けて,文部科学大臣は,ホライゾンインターナショナルスクール(高等部)について同年8月30日,コリア国際学
園(高等部)について同年12月2日,それぞれハ規定に基づく指定をした(甲20の1~3(それらの枝番を含む。))。

菅総理大臣は,北朝鮮が,韓国延坪島砲撃後,当該砲撃に匹敵するような軍事力を用いた行動をとっていないことから,平成23年7月に南北間及び米朝間の対話が行われるなど北朝鮮と各国との対話の動きが生じてい
ることも踏まえれば,事態は,上記砲撃以前の状況に戻ったと総合的に判断できるとして(乙38),平成23年8月29日,髙木大臣に対し,朝鮮高級学校について,ハ規定による支給対象外国人学校としての指定に関する審査手続を再開するように指示した(前記第2の2(3)オ)。これを受けて,審査会は,同年11月2日以降の会議において,朝鮮高
級学校についての審査を行った(甲A20の4~8(それらの枝番を含む。))。審査会における朝鮮高級学校に関する会議の経過及び審査会の庶務を所管する支援室による調査の状況等の概要は以下のとおりである。

平成23年11月2日に開催された審査会の第4回の会議について(甲A20の4の1,3,7及び9,乙6の1)
(ア)平成23年11月2日に開催された審査会の第4回の会議において,資料2として配布された朝鮮高級学校の審査(ポイント)と題する書面には,審査事項に関し,2.学校経理,就学支援金の適正な使用についての項目において,校地等が仮差押を受けている愛知・九州(及び校地等に抵当権が設定されている理由が確認できない場合,京都・広島)については,学校運営の不適正を理由に指定しないこととするかが検討項目とされている。また,3.朝鮮総連との関係についての項目において,朝鮮高級学校と朝鮮総聯との関係が,教育基本法
16条1項の不当な支配に当たるかどうか引き続き検討する必要があるとされ,過去の報道等に基づき,教育内容への影響,人事への影響
及び財政への影響を学校側に確認すべきとされている。さらに,4.法令に基づく適正な運営についての項目において,各学校の法令違反の有無は,基本的に設置認可を行う所轄庁が判断すべきであることや,法令違反の考え方として,教育基本法を始めとする学校に関係する法令に関する重大な違反が該当する旨の指摘がされている(甲A20の4の3)。
(イ)第4回の会議において,資料6として配布された各朝鮮高級学校の法令に基づく適正な運営の確認と題する書面には,九州朝鮮高校について,本件規程13条の法令に基づく学校の適正な運営の観点から,校
地・校舎について,仮差押を受けている点が法令違反となるか整理が必要との指摘がされている(甲A20の4の7)。
(ウ)第4回の会議においては,上記資料等に基づき朝鮮高級学校の審査のポイント,申請書類の内容等について検討がされ,審査のポイント等に関する議論の中で,

朝鮮高級学校の審査に当たっては,これまで審査を行ってきたケースと異なり,時間がかかる可能性がある。懸念される点が多く指摘されていることもあり,いろいろな点を明らかにしていく必要があるのではないか。

との意見が出された。また学校の校地・校舎に仮差押えがされている学校について,学校運営ができなくなる可能性がある旨の意見が出され,支援室から朝鮮高級学校の校地・校舎が仮差押を受けているケースの債権者は株式会社整理回収機構(RCC)であり,朝鮮学校については,教育機関であることから,差押には慎重に対応するとの見解を示しているとの説明があったのに対し,どのような目的により債務が発生したのかについて,学校の説明が不十分な場合は,学校運営の適正さが確認できないため,十分な説明がなされるまで指定は行うことができないのではないかとの意見が出された(甲A20の4の9,乙6の1)。


審査会の第4回の会議後の支援室による調査等
(ア)支援室は,審査会の第4回の会議の結果や朝鮮高級学校に関する報道の状況等をふまえ,平成23年11月9日,九州朝鮮高校を含む各朝鮮高級学校に対し,文書により,概ね,①教科書内容の変更には,北朝鮮本国の決裁が必要との新聞報道の真偽,②教育内容について朝鮮総聯の指導を受けることの有無,③朝鮮総聯の傘下と指摘される団体への生徒や教員の自動的加入の有無等,④朝鮮総聯幹部の役員兼務の有無,人事に関する北朝鮮(金正日総書記)または朝鮮総聯の関与の有無,⑤朝鮮総聯のホームページに朝鮮学校の管理運営は,朝鮮総連の協力のもとに,教育会が責任をもって進めているなどの記載があることを前提に,教育会の構成,管理運営等の事項について照会した(乙7)。これらに対し,九州朝鮮中高級学校は,次のとおり回答した(乙
8)。
上記①について,

事実ではありません。教科書編纂委員会で,日本と世界各国の教科書内容を参考にし独自的に編纂しています。(教科書編纂委員会とは,全国の朝鮮学校で使う教科書を編纂することを目的に組織される機関です。)

。同②について,

ありません。国語,歴史,地理,社会など民族科目に対しては,祖国の学者と専門家たちのアドバイスを受けないと作れないから,総聯の協力を得ています。

。同③について,教員と学生たちは,教職同や朝青に自動的に加入していません。本人たちが申請したうえで,任意に加入しています。教職同は,教員の質向上,権利擁護をはじめとする,民族教育発展のための活動,教員の福利厚生のための活動,日本をはじめとする世界各国の教職員たちと交流活動をおこなっています。学校での朝青活動は,日本学校の生徒会と同様,教員の適切な指導のもとで,学生たちが自発的に学校生活の充実と改善をはかる活動,部活動などの課外活動,ボランティア活動,各学年とクラスとの連携を通じ学校行事に積極的に参加する活動をおこなっています。。同④について,学校法人朝鮮学園では,寄付行為にのっとり役員を教職員,保護者,卒業生,同胞学識経験者などから選出しています。朝鮮学校に子供を送っている保護者,卒業生,学識経験者たちは総聯関係者と総聯系同胞たちです。総聯関係者が役員に選出される場合は,寄付行為に掲げている学園の理念を尊守すること,理事会の意思決定に従うことを条件にしています。,人事に関する北朝鮮(金正日総書記)ま
たは朝鮮総聯の関与につき

そのような事実はありません。ただし,校長は教職同の役員になっています。校長とその他の教職員の採用,移動は校長と教務部長の意見具申,保護者の意見などを参考にし,理事会で検討,決定しています。

。同⑤について,朝鮮総聯HPの記述は正確でない為,現在記述の変更を要請しています。朝鮮学校が学校法人として認可を得るまでは教育会職員が学校を管理運営していました。しかし,学校法人認可取得後は,学校管理運営を学園理事会が行っています。現在の教育会は日本のPTAにあたる教育関係団体で教職員や保護者が任意で入会しています。上記で述べたように保護者の大多数が総聯系の同胞ですので,総聯や総聯関係団体の役職員を含みます。また,法人の役職員も保護者が含まれています。教育会は,寄付金収集や民族教育の権利擁護,生徒募集,学校施設や教育環境の整備など学校や子供たちの利益となる活動を行っています。唯一の意思決定機関は,学園理事会であり,教育会は意思決定機関ではなく,予算・決算,人事,教育内容などの関与は出来ません。朝鮮学園では,各学校に担当者を配置して学校事務全般,経理補佐業務などを行っています。。
(イ)支援室は,平成23年11月11日,九州朝鮮高校に対し,文書により,貸借対照表には長期借入が記載されていないにもかかわらず,校地・校舎が仮差押されている理由・経緯について照会した(乙9)。これに対し,九州朝鮮中高級学校は,貸借対照表に未記載の借入は存在しないとした上で,校地・校舎が株式会社整理回収機構(以下機構という。)に仮差押されている理由について,真実は当校による借入ではないのに,機構が当校による借入であると思いこみ,当校から借入金を回収するために仮差押を行ったものであるとし,機構が借入金を回収するために提起をした訴訟の第一審判決において九州朝鮮高校による借入が否定されたこと,訴訟がなお福岡高等裁判所に係属してい
るため訴訟記録を開示できないことなどを回答した(乙10)。
(ウ)支援室は,平成23年12月2日,各朝鮮高級学校に対し,文書により,過去5年間において都道府県及び市町村から交付された補助金等について照会した(乙11)。
これに対し,九州朝鮮中高級学校は,補助金の交付を受けていること
に加えて,過去5年間に福岡県と北九州市から受給している補助金について一部重複して受領したとの問題を指摘されたことがある旨回答した(乙12)。

平成23年12月16日に開催された審査会の第5回の会議について(甲A20の5の1,4,10及び11,乙6の2)
(ア)平成23年12月16日に開催された審査会の第5回の会議においては,上記オの書面審査の結果をまとめた資料(甲A20の5の10)が配布されたほか,資料3として高校無償化に係る朝鮮学校の審査状況(概要)と題する書面(甲A20の5の4)が配布された。同書面に
は1.総連等との関係の項目の冒頭に審査の観点として,教育
基本法16条1項の不当な支配に該当するかという点が挙げられて
おり,『不当な支配』の考え方として,国民全体の意思を離れて一部の勢力が教育に不当に介入する場合を指すもの,一般論としては,ある団体が教育に対して影響を及ぼしていることのみをもって,直ちに『不当な支配』があるとはいえない…これまでのところ,御指摘の『朝鮮学校』の所轄庁である都道府県知事からは,それらの教育施設においてお尋ねの点を含む法令違反による行政処分等を行った実績はないとの報告を受けているとされていた。(イ)第5回の会議においては,各朝鮮高級学校に対する実地調査の内容,主たる教材の記述,各朝鮮高級学校に対する書面による確認結果等について検討がされ,その中で,実地調査の結果では,授業における生徒の様子など特に懸念されるところは見当たらなかったようだが,朝鮮高級学校と朝鮮総連との関係など学校運営に不透明なことがあれば,疑念がないようクリアにしていく必要があるのではないか。,

朝鮮高級学校を取り巻く状況は非常に複雑になっており,学校に対する確認は,相当大変だろうが,しっかりチェックして,その状況を審査会に報告してほしい。

との意見が出された(甲A20の5の11,乙6の2)。キ
審査会の第5回の会議後の支援室による調査等
支援室は,上記オの書面照会の結果等をふまえて,平成24年1月19日,各朝鮮高級学校に対し,文書により,理事会・評議員会の開催が確認
できる書類(出席者への旅費・謝金,飲料代等の支出に関する領収書や理事から提出された委任状等)の提出を求めるとともに,提出済みの財務諸表に記載がない長期借入れの有無を照会した(乙13)。
これに対し,九州朝鮮中高級学校は,理事会・評議委員会出席者への旅費,謝金,飲料代等は支出していないこと,欠席する理事,評議員からは
口頭で理事会,評議委員会に委任する旨を確認しているため委任状等に該当するものはないこと,提出済みの財務諸表に記載のない長期借入れはな
いことなどを回答した(乙14)。

平成24年3月26日に開催された審査会の第6回の会議について(甲A20の6の1,2,5及び8,乙6の3)
(ア)平成24年3月26日に開催された審査会の第6回の会議において,
資料1として支援室による調査等の状況をまとめた高校無償化に係る朝鮮高級学校の審査状況(概要)と題する書面(甲A20の6の2)が配布された。同書面には,審査基準のうち,裁量の余地のない外形的な基準(教員数,校地・校舎の面積等)については,全校が基準を満たしているとの記載や,報道内容のうち,審査基準(法令に基づく学校の
運営)に抵触し得る事項及び申請内容の重大な虚偽となり得る事項については,重大な法令違反に該当する事実は確認できていないとの記載がある。ただし,教育基本法への適合性については別途検討がされており,朝鮮総聯による教育基本法16条1項に該当する不当な支配が認められれば重大な法令違反に該当することから必要な確認を行ったと
して,確認結果の概要が記載されているが,朝鮮総聯による不当な支配が認められる旨の記載はない。また,同書面には,九州朝鮮高校について,学校運営に関する過去の問題として

総連地方本部が旧朝銀から借入をする際に,学校名義の書類・議事録が旧朝銀によって偽造され,法人理事長印が使用された。⇒整理回収機構との訴訟では,学園の債務ではないと認定(現在,高裁で係争中)

との記載がある。(イ)また,同会議において資料4として配布された朝鮮高級学校への留意事項(素案)と題する書面(甲A20の6の5)には,特定の団体による『指導』の下に,学校運営が行われているとの誤解を招くことのないよう,学校として自主的に運営を行うとともに,(中略)学校運営に関する積極的な情報提供に努めることとの記載がある。(ウ)第6回の会議においては,朝鮮高級学校に係る審査状況(上記(ア)参
照),仮に支給対象外国人学校として指定する場合の留意事項(素案)(上記(イ)参照)等につき検討がされた。その中で,総連関連団体からの寄付等の割合がわずかであるからといって,直ちに影響力がないとは言えない。一方,外部からの支援を全て断てというのも難しい。教育的な影響力が,どの程度生徒に対して及んでいるかを把握しておく必要があるのではないか。との指摘があり,支援室から法令に基づく学校運営が適正になされているかどうかという基準で,問題になるのが,教育基本法第2条第5号の教育の目標と,第16条の不当な支配の禁止に違反しないかどうか。学校と総連の間に一定の関係があるとしても,それが本当に教育基本法違反か否かが,審査における重要な判断基準になる。との説明がされた。また,

法令違反とまで判断しがたい場合でも,適正に学校運営が行われているかどうかは慎重に判断すべきではないか。

いくら確認しても,すっきり指定することができるようにならない。留意事項の内容について検討すること自体はよいが,学校運営などの面で適正かどうか判断しがたいとも思われる。

そもそも,この審査会において,指定の可否を議論し,結論を出すのは限界があるのではないか。

といった意見も出された(甲A20の6の8)。ケ
審査会の第6回の会議後の支援室による調査等
(ア)支援室は,平成24年3月30日,各朝鮮高級学校に対し,文書によ
り,朝鮮学校における教育活動が朝鮮総聯により不当な支配(教育基本法第16条)を受けているとの指摘もあることを踏まえ,審査に当たっての判断材料の1つとしたいとして,①全国の朝鮮初中級学校から選抜された生徒約100人が1~2月に北朝鮮を訪問し,故金正日氏,金正恩氏への忠誠を誓う歌劇を披露していたとの報道の真偽等,②金正
恩氏の肖像画の掲示の有無,③故金正日氏の葬儀について,朝鮮学校の施設が使用され,生徒の動員が行われたとの報道の真偽等を照会した
(乙15)。
これに対し,九州朝鮮中高級学校は,上記①について,中級部生徒2名,教職員1名が参加したが,学校行事としての参加ではなく,高級部の生徒は含まれていない旨,上記②について,掲示しておらず,検討もしていない旨,上記③について,追悼行事のため組織された追悼委員会
から学園の施設の使用申請があったので,通常の一般貸出しとして貸したこと,生徒に出席の指示等はしていない旨を回答した(乙16)。(イ)支援室は,平成24年8月24日,各朝鮮高級学校に対し,上記(ア)と同様に不当な支配についての指摘があることを踏まえて審査に当たっての判断材料の1つとしたいとして,文書により,同年6月5~7
日に全国の朝鮮学校長を対象に開かれた講習には,校長69人が出席し,議長が金正恩指導体系が確立されるよう確実に教育せよと指示したとの新聞報道に関して,そのような講習会に高級部の校長その他の教員が参加した事実の有無,教育内容に関して特定の示唆を受けた事実の有無等を照会した(乙17)。

これに対し,九州朝鮮中高級学校は,校長が不在だったので,代理で教務部長が,全国朝鮮高級学校校長会の主催する全国朝鮮学校校長講習会に参加したが,教育内容に関し特定の示唆を受けることはなかった旨回答した(乙18)。

平成24年9月10日に開催された審査会の第7回の会議について(甲A20の7の1,3,5及び7,乙6の4)
平成24年9月10日に開催された審査会の第7回の会議においては,資料として,上記ケの照会結果をまとめた書面(甲A20の7の3)及び上記ク(イ)と同様に特定の団体による支配の下に,学校運営が行われているとの誤解を招くことのないよう努めることなどの記載がある朝鮮高級学校への留意事項(素案)(甲A20の7の5)等が資料として配
布され,審査状況及び上記留意事項(素案)等につき検討がされた。その中では,

本審査会として,結論として1つの方向性を示すことが求められているのか。場合によっては,委員の間にいろいろな意見があってまとまらない,ということもありうるのか。

との質問に対し,支援室から

最終的に,どちらかの方向性は示していただくことになるが,その際に,少数意見を併記することも考えられる。

との回答がされており,

本審査会でとりまとめたものを参考に,最終的には大臣が決定することになるということか。

との質問に対し,支援室から

そのとおり。

との回答がされている。また,

大阪朝鮮学園が,補助金不支給の取消しを求めて,大阪府及び大阪市を提訴するという報道もあるが,仮に,指定に係る審査に関して,訴訟が起こされた場合の文科省の対応はどうなるのか。

との質問に対し,支援室から

仮に裁判になれば,これまでの経緯として厳正な審査を行ってきたことを主張することになる。

との回答がされている。さらに,書面による学校への確認については,報道等で指摘される事実に関して,学校側が一様に否定する結果になっている。こちらも捜査権があるわけではないので,真偽の確証を得ることについては限界がある側面もあるが,審査基準に関わることについては,引き続きしっかり確認してほしい。との意見も出された。そして,支援室から,今後の予定等につき,

今回の議論を踏まえながら,今後も審査作業を進めていく。

次回の審査会については,決まり次第,連絡する。

との説明がされた(甲A20の7の7)。サ
審査会の第7回の会議後の支援室による調査等
(ア)支援室は,平成24年10月5日,各朝鮮高級学校に対し,上記ケと同様に不当な支配についての指摘があることを踏まえて審査に当た
っての判断材料の1つとしたいとして,文書により,各朝鮮高級学校から2~3人ずつ選ばれた生徒が在日本朝鮮青年同盟代表団として,教員
や朝鮮大学校生らと8月23日~9月1日に平壌を訪問し,金正恩第1書記に忠誠を示す行事に参加したとの報道に関して,そのような行事(青年節慶祝大会)への生徒,教職員の参加の有無などを照会した(乙19)。
これに対し,九州朝鮮中高級学校は,青年節慶祝大会が祖国で例年行
われている青年の日を祝う行事であり,生徒1名及び教員1名が参加したこと,同行事について,金第1書記名による参加指示はなかったこと,夏休み中に希望者が個人的に参加したもので学校は関与していないこと,参加した生徒が決議文を読み上げるようなことはなかったことなどを回答した(乙20)。

(イ)支援室は,平成24年10月19日,各朝鮮高級学校に対し,文書により,朝鮮総聯が故・金日成主席,金正日総書記の肖像画を新しい肖像画太陽像に10月中に交換するように指示したとの報道に関して,そのような案内又は指示の有無等について照会した(乙21)。
これに対し,九州朝鮮中高級学校は,朝鮮総聯の指示はなく,購入の
予定はない旨を回答した(乙22)。

支援室内部においては,審査会における審議の経過や各朝鮮高級学校への照会に対する回答結果等を踏まえると,ハ規定に基づく審査には限界があり,審査会を継続しても朝鮮高級学校について本件規程13条に適合す
るとの意見の一致を見ることは困難であるという見方が強くなっていた(乙77)。
(4)報道その他による情報等
審査会による審査が行われていたころ,次のような報道,文部科学大臣に対する申入れ,公表されていた公安調査庁の見解等があり,支援室はこれら
の報道等によって朝鮮高級学校及び朝鮮総聯等に関する情報を得ていた(乙77・5頁)。


国内の新聞報道等
(ア)平成22年2月11日の産経新聞において,北朝鮮が過去半世紀以上にわたり日本国内の朝鮮学校に対して合計460億円の資金提供をし,平成21年にも約2億円の教育援助金を送金していたことが明らか
になった旨の報道がされた(乙24の1)。
(イ)平成22年2月21日の産経新聞において,朝鮮学校で学費納入時に朝鮮総聯傘下団体の活動費を同時に徴収していたこと,朝鮮総聯が学校行事で寄付名目などで保護者らから多額の資金を吸い上げていた実態が判明した旨が報道された(乙33の2)。

(ウ)平成22年3月11日の産経新聞において,政府が国会で審議中の支給法案の対象に朝鮮学校を含める方向で検討を進めていることが分かったとした上で,朝鮮労働党の対南工作部署に所属していた元幹部の話として,朝鮮学校で使用されている教科書には金正日総書記の決裁が必要であり,北朝鮮の政治的影響の強い教科書を使用する学校が無
償化の対象となる高校の課程に類する課程を置くものにあたるか議論が残りそうである旨が報道された(乙24の2)。
(エ)平成22年8月5日の産経新聞において,朝鮮総聯関係者による話として,朝鮮高級学校に対する支給法適用を検討するために実施された文部科学省の視察の前に,東京の朝鮮総聯中央本部に教育関連幹部や全国
の朝鮮学校の校長が集められて対策会議が開かれたこと,その後,朝鮮総聯が,朝鮮高級学校に対して,故金日成主席及び金正日総書記を礼賛する現代朝鮮歴史などの歴史授業を視察当日のカリキュラムから外すこと並びに職員室や校長室から故金日成主席及び金正日総書記の肖像画等を撤去して故金日成主席の業績を称える図書資料が収められた部屋
にしまい,その部屋を施錠するように命じたことなどが報道された(乙52)。

(オ)平成22年9月26日のMSN産経ニュースにおいて,朝鮮高級学校の生徒のうち,朝鮮総聯の幹部等の子供については,朝鮮総聯が学費と同程度の額を教育手当として出すこととされており,同手当は,生徒や保護者が受け取らず,学校側の会計上で学費と相殺する形で処理されており,実質上,学費が免除されていること,このため朝鮮高級学校が支給法の対象となった場合には免除者分も就学支援金が支給され,実質的に朝鮮総聯側の利益になる可能性があることなどが報道された(乙24の3)。
(カ)平成23年10月26日の産経新聞において,九州朝鮮高校を含む1
3校の朝鮮学校の校舎や敷地が,整理回収機構に仮差押えをされており,この点が文部科学省の定める無償化適用基準に抵触する疑いがある旨が報道された(乙24の4)。
(キ)平成23年11月1日の産経新聞において,元朝鮮総聯関係者が東京都から理事会議事録の提出を求められた際,理事でもなかった同僚が『上からの指示で過去までさかのぼって議事録を書き,提出した』と述べたなどとして,朝鮮学校を運営する学校法人朝鮮学園の理事会が有名無実化しており,実質的に朝鮮総聯直轄組織に運営されている疑いがあること,理事会の存在は無償化にとどまらず,学校認可の前提となっていることから,申請基準に抵触する可能性もでてきたことなどが報道
された(乙24の5)。
(ク)平成23年11月18日の産経新聞において,朝鮮総聯直轄組織である教育会の元幹部の話として,朝鮮学校への自治体からの補助金を教育会が管理しており,朝鮮総聯が補助金を流用したり,補助金を担保に在日朝鮮人系金融機関である朝銀信用組合から借入をすることもあっ
た旨が報道された(乙33の1)。
(ケ)平成24年10月17日の東京新聞において,朝鮮総聯が傘下の団体
や朝鮮学校に対して,各施設に掲げる故金日成主席及び金正日総書記の肖像画を,新しい肖像画に交換するよう指示し,同肖像画は朝鮮総聯中央宣伝広報局が一括して準備し,費用は対象機関が負担するよう指示が出た旨が報道された(乙24の6)。

上記ア以外の報道等
(ア)在日本大韓民国民団発行の平成22年3月17日の民団新聞には,朝鮮高級学校の高校3年では,全科目週30時間のうち7時間が民族教育に値しない思想教育もしくはそれに準じることに割り当てられており,そのような問題は朝鮮学校の上部団体が朝鮮総聯であり,人事や配置まで朝鮮総聯の指示を受けるという垂直支配に起因してい
るとの記載がされている(乙25の2)。
(イ)在日本大韓民国民団発行の平成23年1月1日の民団新聞には,NPO法人の代表が総連の新たな内部文書を公開し,朝鮮学校は金日成-金正日親子へ『忠誠の電文』を送るという思想・政治運動を学校ぐるみで展開しているとして自治体による朝鮮学校への補助金支出
に反対の姿勢を示した旨の記事が掲載されている(乙25の1)。(ウ)北朝鮮の平成24年4月4日の労働新聞には,総連は,我が共和国の堂々たる海外同胞組織であり,在日朝鮮学校は総連組織が運営する合法的な民族教育機関である旨の記載がある(乙25の3)。
(エ)在日本朝鮮人総聯合会中央常任委員会が平成3年2月1日に発行した
冊子朝鮮総聯には,

朝鮮学校の管理運営は,朝鮮総聯の指導のもとに,教育会が責任をもって進めている。

との記載がある(乙25の4)。

各種団体からの申入書の記載
(ア)北朝鮮による拉致被害者家族連絡会及び北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会の作成に係る,川端大臣宛ての平成22年8
月25日付け朝鮮学校への国庫補助に反対する要請文には,朝鮮学校の生徒らは,学内で組織運営されている『在日本朝鮮青年同盟(朝青)』という政治組織に全員加盟して,北朝鮮の金正日政権を支える政治活動に参加しています。(中略)総連は世論喚起のデモや集会に朝鮮学校生徒を『朝青』組織を通じて大々的に動員しています。朝鮮学校は純粋な教育機関ではなく,拉致被害者をいまだに返さない朝鮮労働党の日本での工作活動拠点なのです。との記載がある(乙26)。(イ)在日本大韓民国民団中央本部の作成に係る,川端大臣宛ての平成22年7月27日付け朝鮮学校『高校無償化』に関する申し入れ書に
は,問題は教育を受ける子供たちの側にあるのではなく,教育機関たる朝鮮学校そのものにあるのです。(中略)朝鮮学校は運営面においても教科内容の面においても,また教育全般面においても朝鮮総連の指導を通じ北朝鮮政府の完全なコントロール下にあり,日本社会一般の常識をはるかに越えるような教育,指導が行われています。,就学支援金が(中略)本来の趣旨から外れて実際には朝鮮総連への迂回支援に繋がることを本団は憂慮するとの記載がある(乙27の1)。また,在日本大韓民国民団中央本部の作成に係る,平野博文文部科学大臣宛ての平成24年2月13日付け朝鮮高級学校『高校授業料無償化・就学支援金支給制度』についての申し入れ書にも上記と同趣旨の記載がある(乙27の2)。


公安調査庁による調査等
(ア)公安調査庁は,平成16年12月2日の衆議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会(乙86),平成17年2月16日の衆議院予算委員会(乙85),平成26年11月18日の参議院内閣委員会(乙8
7),平成28年5月12日の衆議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会(乙88)等において,繰り返し,朝鮮総聯やその傘下団体
について破壊活動防止法等に基づく調査の対象としている旨を明らかにしている。
(イ)公安調査庁は,破壊活動防止法や無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づき,オウム真理教に対する観察処分の実施など,団体の規制及び規制のための調査を行うとともに,国際テロや北朝鮮情勢など国内外の情報を収集・分析しており,毎年の国内外の公安動向を回顧し,今後を展望する内外情勢の回顧と展望を作成
し,その内容を公安調査庁ウェブサイトで公開している。平成21年から平成25年(各前年11月末現在)にかけての内外情勢の回顧と展望には次の記載がある(乙28~32)。a
平成21年(2009年)1月版(平成20年における国内外の公安動向を回顧し(11月末現在),今後を展望したもの。)には,朝鮮総聯は,(中略)北朝鮮建国60周年に際しては,幹部活動家,若手活動家,商工人など各階層別の代表団を総勢数百人規模で北朝鮮に派遣し,(中略)これら代表団の一部は,朝鮮労働党幹部から,思想教育の徹底などを図るよう指導を受けた。との記載がある(乙32)。
b
平成22年(2010年)1月版には,

朝鮮総聯は,(中略)活動家・会員に対する思想教育を強化するとの方針を改めて打ち出した。

,朝鮮総聯は,(中略)活動家1人が自己に割り当てられた在日朝鮮人5世帯に対する教育・宣伝普及の責任を負う『5戸担当宣伝員体系』の再整備に努める,

朝鮮総聯は,朝鮮人学校での民族教育を『愛族愛国運動』の生命線と位置付けており,学年に応じた授業や課外活動を通して,北朝鮮・朝鮮総聯に貢献し得る人材の育成に取り組んでいる。

,朝鮮人学校では,一律に朝鮮総聯傘下事業体『学友書房』が作成した教科書を用いた朝鮮語での授業を行っている。例えば,高級部生徒用教科書『現代朝鮮歴史』では,北朝鮮の発展ぶりや金正日総書記の『先軍政治』の実績を称賛しているほか,朝鮮総聯の活動成果などを詳しく紹介している。,朝鮮総聯は,このほか,教職員や初級部4年生以上の生徒をそれぞれ朝鮮総聯の傘下団体である在日本朝鮮人教職員同盟(教職同)や在日本朝鮮青年同盟(朝青)に所属させ,折に触れ金総書記の『偉大性』を紹介する課外活動を行うなどの思想教育を行っている。との記載がある(乙31)。
c
平成23年(2011年)1月版には,朝鮮総聯は,2010年(平成22年)初頭から,第22回全体大会(22全大会)に向け,活動を活発化させた。(中略)朝鮮人学校への生徒勧誘活動や会員に対する思想教養活動などの組織強化に向けた活動に集中的に取り組むなどして大会への気運醸成に努めた。,朝鮮総聯は,我が国政府の『高校無償化』措置に関し,朝鮮総聯中央に『対策委員会』を設置し(2月),朝鮮人学校生徒への『無償化』適用実現に向けた活動に組織を挙げて取り組んだ。これら活動では,主に,朝鮮人学校教職員・父兄・生徒,日本人支援者らを前面に出して,『無償化』適用を求める世論の幅広い喚起に努め,我が国政府や政界関係者への要請活動,記者会見,集会・デモ,街頭署名運動などを継続的に実施するとともに,国連人権理事会などの国際機関に対しても『適用除外は人権侵害・差別』などと訴えた。また,北朝鮮による延坪島砲撃事件を受けた我が国政府の『無償化』手続停止に対しても,緊急記者会見(11月)で抗議声明を出すなど,早期の適用を改めて求めた。との記載がある(乙30)。
d
平成24年(2012年)1月版には,7月に開催された『総聯の新たな全盛期を開くための中央熟誠者大会』では,『朝鮮人学校への生徒勧誘活動に取り組み,来年度の学生数増加が確定した』,思想教育においては,特に,権力の『世襲』に対する組織内の否定的な反応に留意しつつ,段階的に学習・伝達の対象を拡大していくものとみられる。また,組織拡大に向けては,基層組織と並んで,卒業生や生徒父兄なども含め多数の在日韓国・朝鮮人と関わりを有する朝鮮人学校を『活動の拠点』と位置付け,『同胞再発掘運動』の活発化に努めていくものとみられる。との記載がある(乙29)。e
平成25年(2013年)1月版には,朝鮮総聯は,我が国政府の『高校無償化』措置に関し,かねて朝鮮人学校生徒への適用を実現すべく諸活動に取り組んできたところ,2月から3月までの間,日本人支援者らを前面に出して『無償化』適用を求める集会や街頭署名運動などを集中的に実施した。また,7月から9月までを『無償化』適用実現のための『3か月集中戦』期間に設定し,主として朝鮮人学校の教職員,父兄,生徒らを動員して,各地で街頭宣伝活動を繰り広げたほか,我が国政府や政界関係者に対する要請活動などを行い,早期の適用を改めて求めた。との記載がある(乙28)。(ウ)

公安調査庁長官は,平成22年11月17日の参議院予算委員会に
おいて,朝鮮学校と朝鮮総聯の関係について,

朝鮮総連の影響は,朝鮮人学校の教育内容,人事,財政に及んでいると,このように承知しております。

との答弁をした(乙34)。

広島地方裁判所平成19年4月27日判決(乙40。以下広島地裁平成19年判決という。)広島地裁平成19年判決は,朝銀広島信用組合(以下朝銀広島という。)の学校法人広島朝鮮学園(以下広島朝鮮学園という。)等に対
する貸金債権を譲り受けたとする者が貸金の支払等を求めた事案についての判決であるところ,同判決においては,①広島朝鮮学園の実印が朝鮮学校の日常の管理運営を行っていた教育会の金庫で保管されていたこと(27頁),②朝銀広島と広島朝鮮学園は,朝鮮総聯広島県本部の強力な指導の下にある傘下組織のようになっており,両者一体となって学校移転のためのプロジェクトを進めていたこと(46頁),③広島朝鮮学園が学校法人の形態をとったのは,日本社会において行政の補助や助成を受
けられる地位を確保するためであり,学校の日常的な管理運営(学費や職員の給与に関する出納も含む。)は学校単位で設けられている教育会が行っていたものであると学園関係者が認識していたこと(46頁),④平成4年4月及び同年5月に,広島朝鮮学園が学校の移転・建設のために設立した組織名義の預金口座から,朝鮮総聯広島県本部への融通金ないし
その関連で合計5000万円が出金されたこと(58頁から59頁)などが認定されている。

朝鮮総聯のホームページの内容
朝鮮総聯のホームページ上では,平成24年3月1日時点において,

朝鮮学校の管理運営は,朝鮮総聯の協力のもとに,教育会が責任をもって進めている。

と記載されていた(乙159)。(5)政権交代後の経緯

政権交代と文部科学大臣への説明
平成24年12月16日に実施された衆議院議員総選挙により,それ
まで与党であった当時の民主党を中心とした政権から,自民党を中心とする政権への政権交代が起こり,安倍晋三内閣が発足し,文部科学大臣として下村大臣が就任することとなった(前記第2の2(3)カ)。当時の文部科学省初等中等教育局内の,支援室を含む高校教育改革プロジェクトチームにおいては,審査会の審議等によっても結論を得るに
至らず,朝鮮高級学校について,本件規程13条に適合すると認めるに至らない状況にあったことが省として残された大きな課題と認識されてお
り,さまざまな情報がある中で具体的な調査権がないために事実確認が困難であること,既にハ規定により指定を受けた外国人学校のほかにはハ規定に基づく申請をしているのは朝鮮高級学校のみであり,他にハ規定の対象となり得る外国人学校はないことから,審査に限界があるハ規定を廃止することもあり得るとして検討が進められていた。このような検討を踏ま
えて,上記高校教育改革プロジェクトチームの責任者ら文部科学省の事務方幹部は,新たに文部科学大臣に就任することとなった下村大臣に対して,同月26日深夜から翌日にかけて,状況説明を行うとともに,①引き続き審査を継続していく案,②本件規程に適合するに至っているとの確証が得られないとして不指定の処分をする案,③ハ規定そのものに限界があ
るため,不指定処分と同時にハ規定を削除する省令改正の手立てを行う案の3案を提示し,下村大臣から③案についての了承を得た(乙77)。イ
平成24年12月28日の記者会見における下村大臣の発言
下村大臣は,平成24年12月28日の記者会見において,本日の閣僚懇談会で,私から,朝鮮学校については拉致問題の進展がないこと,朝鮮総連と密接な関係にあり,教育内容,人事,財政にその影響が及んでいること等から,現時点での指定には国民の理解が得られず,不指定の方向で手続を進めたい旨を提案したところ,総理からもその方向でしっかり進めていただきたい旨の御指示がございました。このため,野党時代に自民党の議員立法として国会に提出した朝鮮学校の指定の根拠を削除する改正法案と同趣旨の改正を,省令改正により行うこととし,本日からパブリック・コメントを実施することにいたします。なお,今後,朝鮮学校が都道府県知事の認可を受け,学校教育法第1条に定める日本の高校となるか,又は北朝鮮との国交が回復すれば現行制度で対象と成り得ると考えていると述べるとともに,支給法に基づく審査につき,外交上の配慮などにより判断しないと,民主党政権時の政府統一見解として述べていたことについては,当然廃止をいたしますと述べた(甲A60の1)。ウ
本件省令改正に係る意見公募手続(行政手続法39条)の実施(甲A19,乙71)
文部科学省は,平成24年12月28日,本件省令改正に先立ち,改正案の概要を公示し,同日から平成25年1月26日までの間,本件省令改
正に関する意見等を公募した(乙71)。
文部科学省は,平成25年2月20日,上記意見公募手続の結果を公示し,上記意見公募手続において,合計30,510件の意見が寄せられたとして,主な意見を別紙に挙げ,同意見に対する文部科学省の考え方を示した。その中で,

外交上の配慮などにより判断しないと言っていたのに方針を変えるのか。

との意見に対し,『外交上の配慮などにより判断』しないとの民主党政権時の政府統一見解は廃止した上で,朝鮮学校については,拉致問題の進展がないこと,朝鮮総連との密接な関係にあり教育内容,人事,財政にその影響が及んでいることを踏まえると,現時点での指定には国民の理解が得られないと判断するものです。との見解が,
文部科学省の考え方として示されている(乙71)。

本件省令改正に係る決裁・供覧文書(乙72)
支援室の担当者は,平成25年2月4日,件名を公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則の一部を改正する省令についてとする本件省令改正に係る決裁・供覧文書(文書番号・24文科初第1127号。以下本件省令改正に係る決裁・供覧文書という。)を起案した。本件省令改正に係る決裁・供覧文書には,伺い文の欄に

本件は,標記省令改正を行おうとするものである。

と記載され,決裁日は,平成
25年2月15日とされている。また,本件省令改正に係る決裁・供覧文書には,本件省令改正に係る省令案と公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則の一部を改正する省令案等の概要と題する文書等が添付されており,同文書には,改正の概要としてハ規定を削除して就学支援金制度の対象となる外国人学校を本件省令1条1項2号イ,ロの類型に限ること,施行日を交布の日(2月中旬予定)とすることが記載され,参考として下村大臣の平成24年12
月28日の閣僚懇談会における拉致問題の進展がないこと,朝鮮総連と密接な関係にあり教育内容,人事,財政にその影響が及んでいることを踏まえると,現時点での指定には国民の理解を得られない,朝鮮学校を不指定とする方向で今後手続を進めてまいりたいとの発言等が引用されている。


本件不指定処分に係る決裁・供覧文書(乙73)
支援室の担当者は,平成25年2月4日,件名を公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校就学支援金の支給に関する法律施行規則第1条第1項第2号ハの規定の削除に伴う朝鮮高級学校の不指定についてと
する本件不指定処分に係る決裁・供覧文書(文書番号・24文科初第1130号。以下本件不指定処分に係る決裁・供覧文書という。)を起案した。
本件不指定処分に係る決裁・供覧文書には,伺い文の欄に

本件は,公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校就学支援金の支給に関する法律施行規則第1条第1項第2号ハの規定の削除に伴い,朝鮮高級学校を不指定とするものである。

と記載され,決裁日は,平成25年2月15日とされており,

施行日は官報の掲載日に合わせるため,平成25年2月20日とした。

との手書きの記載がされている。また,本件不指定処分に係る決裁・供覧文書には,本件不指定について通知することとな
る書面(前記第2の2(3)キ参照)と同内容の文書及び公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則の一部を改正する省令案等の概要と題する文書(上記エ参照)等が添付されている。

平成25年2月19日の記者会見における下村大臣の発言と本件不指定処分等
下村大臣は,平成25年2月19日の記者会見において,

朝鮮学校については,明日,20日付で改正省令を公布いたします。同時に各朝鮮学校に不指定の通知を発出する予定です。

と述べ,パブリック・コメントについて

合計3万510件のパブリック・コメントが寄せられました。

内容を精査した結果,賛成が1万5846件,反対が1万4164件,その他500件ありました。

などと発言した(甲A60の
2)。
下村大臣は,平成25年2月20日付けで本件省令改正と本件不指定処分を行い(前記第2の2(3)キ),本件不指定処分に係る通知文書は,同日付けで福岡朝鮮学園宛てに発送された。また,本件省令改正は,同日,官報に公告され,公布された。

(6)本件不指定処分及び本件省令改正後の朝鮮高級学校及び朝鮮総聯等を巡る報道等

朝鮮総聯のホームページ
朝鮮総聯のホームページ上では,平成25年5月2日時点において,民族教育に関し,

朝鮮総連と在日同胞は,幼稚園から初級学校,中級学校,高級学校,大学校にいたる120余校の各級学校を日本各地に設立して,在日同胞子女に民主主義的民族教育を実施している。

などと記載されていた(乙23)。

東京都の調査
東京都は,地方自治法232条の2に基づいて,朝鮮学校を含む私立外国人学校に対して補助金を交付していたが,朝鮮学校の教育内容,朝鮮総
聯との密接な関係性等について様々な疑義が呈されたことから,平成22年度以降,朝鮮学校を補助対象から除外し,補助金交付の当否を判断するために,平成23年12月から平成25年10月まで調査を行い,同年11月にその調査結果を調査報告書(乙41)としてまとめた。同調査報告書では,①朝鮮学校は朝鮮総聯と密接な関係にあり,教育内容や学校運営
について,強い影響を受ける状況にあること,②学校敷地内に教育目的以外に継続的に使用される施設がある,朝鮮総聯及びその関係団体等に経済的便宜を図るなど,東京朝鮮学園は準学校法人として不適正な財産の管理・運用を行っていることが指摘された。
上記①の根拠としては,社会の教科書に朝鮮総聯が朝鮮学校を設置・運
営している旨の記述があること,歴史・音楽の教科書は北朝鮮の指導者を礼賛するなど特有の内容であり,現代朝鮮歴史(高級部)の教科書には,敬愛する金日成主席様,敬愛する金正日将軍様等の記述が4
09頁中に353回登場すること,朝鮮学校の職員室及び高級部の教室には金日成及び金正日の肖像画が掲示されていること,高級部の生徒は朝青
に加盟しているが,朝青は朝鮮総聯の傘下団体であり,その組織規約には朝青は,自己の全ての事業を総聯の指導の下に進めるなどと規定されていること,各朝鮮学校内には朝鮮総聯の傘下団体である教育会や教職同が存在することなどの事情が挙げられており,また,上記②の根拠としては,A学校及びB学校の敷地内に朝鮮総聯支部等の事務所が存
在しており,東京朝鮮学園は学校施設の一部を朝鮮総聯支部等に無償で長期間貸与していること,朝鮮大学校のグラウンドを朝鮮総聯関連企業の負債のために担保提供していることなどの事情が挙げられている。

報道
(ア)平成27年6月13日の産経新聞において,神奈川県が朝鮮学校に通う生徒等に直接支給している学費補助金につき,朝鮮総聯と関係が深い
とされる教育会が保護者に納付させるケースがあった旨が報道された(乙57)。
(イ)平成27年9月30日及び同年10月10日の産経新聞において,神奈川県が朝鮮学校に通う児童・生徒へ直接支給する学費補助金が保護者から学校側へ納付させられていた問題で,補助金を受けた世帯のうち9
割を超える世帯が,前年度,学校側に合計約3098万円を納付していたことが神奈川県の調査で分かったことなどが報道された(乙60,61)。
2
争点(1)ア(ア)(本件不指定処分の理由)について
(1)原告らは,審査会の第7回の会議までは指定の方向で議論が進んでいたのに下村大臣の発言を受けるやハ規程が削除された経緯からすれば,本件
点ではハ規定が削除されているために本件理由①しか本件不指定処分の理由にならない関係にあるなどと主張して,本件不指定処分の理由は本件理由①に限られると主張する。
(2)しかし,前記のとおり,審査会においては,平成24年3月26日の第6回の会議において,朝鮮高級学校に対する朝鮮総聯からの影響に関する懸念が示され,

いくら確認しても,すっきり指定することができるようにならない。留意事項の内容について検討すること自体はよいが,学校運営などの面で適正かどうか判断しがたいとも思われる。

,そもそも,この審査会において,指定の可否を議論し,結論を出すのは限界があるのではないかなどの指定に消極的とみられる意見が出され(前記1(3)ク(ウ)),同年9月10日の第7回の会議においても審査会として委員の間にいろいろな意見があってまとまらない,ということもありうるのかな
ど,審査会として統一の結論を出すこと自体が難しい状況にあったことをうかがわせる発言や,大阪朝鮮学園が補助金不支給の取消しを求めて大阪
府及び大阪市を提訴するとの報道をふまえて仮に,指定に係る審査に関して,訴訟が起こされた場合の文科省の対応はどうなるのかなど,審査会として指定に消極的な結論を示した場合に朝鮮学園側から提起される訴訟やその対応について話が及んでいる状況(前記1(3)コ)に鑑みると,原告らが主張するように,審査会の第7回の会議までは指定の方向で議論が進んでいたという経緯は認められない。
(3)ア

他方,本件省令改正の効力発生は平成25年2月20日であり,本件不指定処分の効力発生は,本件不指定処分に係る通知書面が福岡朝鮮学園に到達した時点であり,その時点は,証拠上明確ではないものの,上
記本件省令改正の効力発生の時より後であった可能性が高いと考えられる。
しかし,その判断に至る事実経過についてみると,上記(2)で述べるとおり,審査会の第6回,第7回の会議において,朝鮮高級学校を支給対象として指定する方向で議論は進んでおらず,むしろ指定に消極的な状況が
うかがわれる上,文部科学省内においても審査会を継続しても朝鮮高級学校について意見の一致をみることは困難であるという見方が強くなっていたものである(前記1(3)シ)。そして,朝鮮高級学校について,本件規程13条に適合すると認めるに至らない状況にあることが同省の課題として認識される中で,これを前提に文部科学大臣に就任することとなった下
村大臣に対し,事務方からの状況説明が行われるとともに,審査を継続すること,不指定の処分をすること,不指定の処分と同時にハ規定を削除することの3案が提案され,第3の案について下村大臣の了承を得たこと(前記1(5)ア)などの経緯に鑑みれば,不指定処分をするとともに,その判断を前提として本件省令改正が行われたものと認められるのである。
このような経緯に照らすならば,本件理由①と本件理由②が論理的に相容れないとか,その効力発生時点について本件省令改正が本件不指定処分
に先んずるか否かなどの議論にかかわらず,本件不指定処分の理由は,本

したがって,本件不指定処分の理由が本件理由①のみであるとする原告らの主張は採用できない。

(4)そして,そもそも本件規程13条に適合するとは認めるに至らないとし
た文部科学大臣の判断(本件理由②)に裁量権の逸脱・濫用が認められないのであれば,仮に本件省令改正が違法であったとしても,原告らに対して就学支援金は支給されないこととなるのであるから,本件不指定処分の違法性を検討する上では,本件理由②の判断が文部科学大臣の裁量権の範囲を逸脱・濫用したものといえるかを判断すれば足り,ハ規定削除を理由
とする本件処分(本件理由①)の違法性(争点(1)ア(イ))について判断する必要は認め難い。
3
争点(1)ア(ウ)(九州朝鮮高校が本件規程13条に適合するとは認めるに至らないとして本件不指定処分をした文部科学大臣の判断(本件理由②)が,
裁量権の範囲を逸脱,濫用したものといえるか)について
(1)本件規程に基づき支給対象外国人学校としての指定がされるための要件について
原告らは,本件規程が,本件省令の再委任によって高等学校の課程に類する課程を置くものという要件の具体的な基準を定めることのみを許
されているところ,ここに課程とは,学校教育法25条,33条,48条,52条及び66条の教育課程と同義と解すべきであるから,本件規程13条は委任の範囲を逸脱している,本件規程13条について,流用のおそれがないことや不当な支配がないこと等の要件を加重することは不当であるなどと主張する。そこで,以下検討する。


就学支援金制度と本件規程の位置付けについて
支給法は,公立高等学校について授業料を徴収しないこととするととも
に,私立高等学校等の生徒等については,その授業料に充てるために就学支援金の支給を受けることができるようにすることにより,高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り,もって教育の機会均等に寄与することを目的とするものであるところ(支給法1条,2条2項及び3項参照),支給法2条1項5号は,就学支援金制度の対象となる私立高等学校等のうち,専修学校及び各種学校については,高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるものに限るとして,就学支援金制度の対象となるものの要件を文部科学省令に委ねた。これを受けて定められたのが本件省令であり,本件省令1条1項2号ハ(ハ規定)
は,支給法2条1項5号にいう高等学校の課程に類する課程を置くものについて,文部科学大臣が定めるところにより,高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるものとして,文部科学大臣が指定したものと定めた。
そして,ハ規定を受けて定められた本件規程は,第1章において総則,第2章において指定の基準,第3章において指定の手続等をそれぞれ定めているところ,上記指定の基準については,修業年限,授業時数,同時に授業を行う生徒(数),授業科目,教員数,教員の資格,校地等,校舎等,校舎の面積,設備に関する基準が定められている(本件規程2条~11条)ほか,本件規程12条が,学校教育法等の規定による
学校運営の状況に関する自己評価及びその結果の公表並びに情報の積極的な提供や,私立学校法の規定による財産目録等の備付け及び閲覧,その他の法令に基づく情報の提供等が適正に行われるべきことを定め,さらに,本件規程13条が,本件規程12条に規定するもののほか,指定教育施設は,高等学校等就学支援金の授業料に係る債権の弁済への確実な充当など
法令に基づく学校の運営を適正に行わなければならない旨を定めている。以上の諸規定に照らせば,ハ規定を根拠として支給対象外国人学校とし
ての指定を受けることができるのは,本件規程の第2章に定める上記の各要件を全て充足しているものと認められる場合に限られるのであって,それ以外の場合,すなわち,上記各要件を充足していると認められない場合や上記各要件を充足していると認めるに至らない場合には,ハ規定を根拠として支給対象外国人学校としての指定を受けることはできない。

本件規程13条について
(ア)支給法が,高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り,もって教育の機会均等に寄与することを目的とし(1条),支給対象高等学校等(6条)の設置者が,受給権者に代わって就学支援金を受給し,
受給権者の授業料に係る債権の弁済に充てることとする(8条)という仕組みを採用していることからすると,支給法は,公的な資金から支出される就学支援金が受給権者である生徒等に対する授業料に係る債権に確実に充当されることを要請しているものであって,設置者によって他に流用されるおそれが否定できないにもかかわらず,就学支援金を支給
することを許容するものではない。そして,就学支援金制度の対象とされる私立高等学校及び専修学校(高等課程)については,財務関係を含む学校運営の適正が求められており(学校教育法14条,42条,43条,62条,133条,学校教育法施行規則66条から68条,189条,私立学校法25条1項,47条参照),就学支援金が授業料に係る
債権の弁済として確実に充当が行われることを確認できる態勢等の整っていることが,就学支援金を支出するための当然の前提となっているものと考えられるのである。そうすると,外国人学校についても,就学支援金助成制度の対象となるためには,同様に,就学支援金が授業料に係る債権の弁済として確実に充当が行われることを確認できる態勢等の整
っていることが,就学支援金を支出するための当然の前提となっているものというべきである。

(イ)また,各種学校については,学校教育法134条2項,私立学校法64条5項の規定により,適正な学校運営を求める趣旨,内容の学校教育法の規定や私立学校法の規定が準用されているところ,高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定める各種学校を就学支援金の支給対象となる学校とする旨を定める支給法2条1項5号の文言等からすると,支給法は,高等学校の課程に類する課程の履修を含む適正な学校運営を求める学校教育法や私立学校法の規定ないしその趣旨に適合するものと認められない各種学校を就学支援金支給の対象となる学校とするものではないと解される。

(ウ)さらに,支給法の立法の過程を見ると,文部科学大臣において,支給法案は高等学校の課程に類する課程を置く本邦内の外国人学校の全てに適用するということになるのかという趣旨の質問に対し,(前略)文部科学省令において対象を定める際の客観性を保持するために,高等学校の課程に類する課程として,その位置づけが,学校教育法その他により制度的に担保されているということを規定することと予定をいたしております。そういう意味から,自動的に外国人学校の高等課程に類するものすべてが今の時点で対象になっているということではありません。と答弁する(前記1(1)イ(イ))など,支給対象外国人学校への指定に際して学校教育法その他の関係法令に基づく適正な学校運営がされ
ていることを考慮することは念頭に置かれていたものということができる。
(エ)加えて,本件規程の制定に当たっての検討会議における議論等を見ても,検討会議においては,第1回の会議から学校運営が議題に上り,委員からは,

情報公開・学校運営に関して,財務諸表を毎年徴収するなど各種学校に課せられた義務に加え,上乗せして求めることが必要な事項もあるのではないか。

との発言(第1回の会議。前記1(2)ア
(ア)),

就学支援金を代理受領する以上は,わが国の法令を遵守することはもちろんのこと,学校運営の体制がきちんとしているかどうかという観点が重要。

との発言(第3回の会議。前記1(2)ア(ウ)),文部科学省としては,就学支援金の支給を適正に行うために必要な限りにおいて学校運営の適切さを確認する必要があるという趣旨の発言(第3回の会議。前記1(2)ア(ウ))などがされており,適正な学校運営がされていることの検討の必要性が指摘されていたものといえる。また,指定に関する基準等に係る報告(甲A11)においても,法令に基づく適正な学校の運営についての項目において,就学支援金は,支給法
において,生徒が在学する学校が生徒に代理して受領し,生徒の授業料に係る債権の弁済に充てることとされていること,各種学校の運営については,学校教育法,私立学校法などにおいて諸規定が設けられていることを挙げた上で,就学支援金に係る文部科学大臣の指定を受ける各種学校については,各校が就学支援金の管理を適正に行うとともに,これ
らの関係法令の諸規定を遵守していることは当然であり,高等学校の課程に類する課程を置くものに求められる基準において,就学支援金の管理その他の法令に基づく学校の運営が適正に行われることを改めて求めることが適当であるとされている(前記1(2)イ)。
(オ)以上からすれば,本件規程13条は,上記のような支給法の目的や仕
組み,私立高等学校や専修学校(高等課程)に適用される法令の規定並びに就学支援金が公的な資金から支出されることをも踏まえ,ハ規定を根拠とする支給対象外国人学校としての指定を受けるための要件として,就学支援金の授業料に係る債権の弁済への確実な充当が行われることや,高等学校の教育課程の履修を含む学校運営が学校教育法,私立学校法等
の法令に従った適正なものであると認められることを要するとしたものと解される。そして,教育基本法が他の全ての教育関係法規の基本法た
る性質を有し,全ての教育関係法規は教育基本法に定められた基本的理念を実施するための法律として解釈されるべきであるという観点等からしても,本件規程13条の法令から教育基本法を排除すべき理由はなく,本件規程13条の要件適合性の判断に当たっては,教育基本法16条1項の不当な支配に係る事情についても判断の要素として考慮
すべきであると解される。

本件規程13条が支給法2条1項5号及びハ規定の委任の範囲において定められたものであるか否かについて
この点,学校教育法66条は

中等教育学校の課程は,これを前期3年の前期課程及び後期3年の後期課程に区分する。

と定め,同法125条2項は

専修学校の高等課程においては,(中略)中学校における教育の基礎の上に,心身の発達に応じて前条の教育を行うものとする。

と定めており,これらの規定にいう課程とは,学校が提供し,生徒等が履修すべき体系化された教育そのものを指すものと解されるのであり,同法に
おいても学校運営の適正が求められていることからすれば,上記の体系化された教育は,法令に従って適正に運営されている学校が提供するものであることが前提とされているものというべきである。また,同法128条4号が目的又は課程の種類に応じた教育課程及び編制の大綱と定めて課程と教育課程とを使い分けており,高等学校に関する規定であ

る同法52条から54条においても,課程と教育課程とが使い分
けられているのである。さらに,支給法ないし本件省令において,学校教育法におけるのと異なる意味内容のものとして課程の語を用いる合理的理由は見当たらないことなどを勘案すれば,支給法2条1項5号及びハ規定の高等学校の課程とは,高等学校学習指導要領の教育課程に

限らず,広く内容,学校の組織及び運営体制も含むものと解すべきである。そうすると,ハ規定を根拠とする支給対象外国人学校としての指定を受
けるための要件として,就学支援金の授業料に係る債権の弁済への確実な充当が行われること,高等学校の教育課程の履修を含む学校運営が法令に従った適正なものであると認められることを要するものとした本件規程13条の規定は,支給法2条1項5号及びハ規定の委任の範囲内において定められたものということができる。


以上に述べたところからすれば,本件規程13条が委任の範囲を逸脱しているとか,その解釈において不当な要件を加重していると認めることはできず,原告らの主張を採用することはできない。

(2)朝鮮高級学校についての本件規程13条に適合すると認めるに至らないとの文部科学大臣の判断が裁量権を逸脱・濫用したものといえるか原告らは,九州朝鮮学園について,私立学校法に基づく理事会の開催や財務諸表の作成等が行われており,所管都道府県から過去5年間において法令違反を理由とする指導・勧告等を受けたことがないなど適正な学校運営が行われており,流用のおそれや不当な支配はないのであって,むしろ,
本件不指定処分が政治・外交的配慮を持ち込んでなされたものである旨主張する。そこで,以下検討する。

本件規程13条適合性の判断についての文部科学大臣の裁量権について支給法2条1項5号は,各種学校につき高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるものに限り就学支援金の支給対
象とするものと規定し,いかなる各種学校が支給対象となるかの定めを文部科学大臣の定める文部科学省令に委任している。これは,学校教育法1条の規定する学校及び専修学校(同法124条)として認可を受けることができないものの(同法1条,124条,134条参照),後期中等教育を行っている外国人学校が存在し,支給法の目的からすると,そのような
外国人学校についても就学支援金の支給対象とし,もって教育の機会均等を図ることが望ましいと考えられる一方,各種学校には,様々な学校が存
在し,その教育課程や形態について制度的・客観的な基準が存在しないことに照らせば,いかなる学校の生徒等に対して就学支援金を支給すべきかについては,その性質上,教育行政に通じた文部科学大臣の専門的,技術的な判断に委ねるべきであるとの趣旨に基づくものである。
そして,上記(1)イにおいて述べたとおり,本件規程13条は,支給対
象外国人学校の指定の基準の1つとして,就学支援金が授業料に係る債権に確実に充当される学校であることや,法令に基づく適正な学校運営が行われている学校であることを定めているところ,このような内容の検討は,本件規程の定める他の指定の基準についてとは異なり,その性質及び内容からして専門的,技術的検討を伴うものであって,本件規程13条適合性
の判断は,文部科学行政に通じる文部科学大臣の専門的,技術的判断に委ねられているものというべきである。
また,本件規程13条の要件適合性の判断に当たって,教育基本法16条1項の不当な支配に係る事情を判断の一要素として考慮することが当然に許容されているものというべきこともまた上記(1)イにおいて述べ
たとおりであるところ,上記のとおり本件規程13条適合性の判断が文部科学大臣に委ねられていることに加えて,教育基本法16条1項の不当な支配が存するかどうかやその程度といった事柄もまた,その性質及び内容に照らせば,専門的,技術的検討が必要となることからすると,本件規程13条適合性の判断の中で考慮される教育基本法16条1項の不当な支配に係る事情の判断についてもまた,文部科学大臣の専門的,技術的判断に委ねられているものというべきである。

朝鮮高級学校についての本件規程13条に適合すると認めるに至らないとの文部科学大臣の判断が裁量権を逸脱・濫用したものといえるか
まず,公安調査庁は,朝鮮総聯について繰り返し破壊活動防止法等に基づく調査対象としている旨を表明し(前記1(4)エ(ア)),その調査結
果として公表されている内外情勢の回顧と展望の記載(前記1(4)エ(イ))や,国会における答弁の内容(前記1(4)エ(ウ))等は,朝鮮総聯が朝鮮高級学校等の朝鮮人学校と密接な関係にあり,朝鮮人学校の教育内容,人事,財政に影響を及ぼしているとするものであるところ,公安調査庁が法務省設置法29条及び公安調査庁設置法等の法律によって設置された国家機関であり,一定の調査,分析能力を備えた組織であると考えられることに照らせば,文部科学大臣において,これらの資料や国会答弁の内容に一定の信を置くことは不合理とはいえない。また,朝鮮総聯のホームページにおいても,学校運営法人ではなく,朝鮮総聯の協力のも
とに教育会が朝鮮学校の運営をしている旨が表明されている(前記1(4)カ)。さらに,広島地裁平成19年判決において,朝鮮学校を設置する学校法人が朝鮮総聯の地方本部の強力な指導の下にある傘下組織のようになっており,適正な学校運営がされていないことを疑わせる事情や,朝鮮総聯の地方本部が朝鮮学校を利用して資金を集めているこ
とを疑わせる事情が指摘されている(前記1(4)オ)。そして,報道や申入れ等において,朝鮮総聯等による朝鮮高級学校等の朝鮮学校に対する支配関係や,朝鮮高級学校の資産や補助金が朝鮮総聯の資金に流用されている疑いについて繰り返し指摘され(前記1(4)ア,イ,ウ),これらの中には朝鮮高級学校を支給対象外国人学校として指定することに反対
する立場からのものが存するとはうかがわれるものの,上記のような一定の信頼を置くことができる調査報告等の記載や判決の記載等と整合する内容を含んでいる。
他方,支援室が九州朝鮮高校を含む朝鮮高級学校に対して朝鮮総聯等との関係について回答を求めたことに対する九州朝鮮高校側からの回答は,
朝鮮総聯等による影響を否定するものではあるが(前記1(3)オ,キ,ケ,サ),必ずしも客観的な裏付け等を伴うものではなく,その回答をもって
直ちに数々の疑問を払拭できるものでもない。
そして,これらの調査資料等に基づいて,審査会は第4回から第7回まで,合計4回にわたり会議を重ねたものの,本件規程13条適合性が認められるとの積極的意見が述べられたことはなく,むしろ,本件規程13条適合性についていくら確認をしてもすっきり指定をすることがで
きるようにはならない旨の意見や,審査会における審査の限界を指摘する意見等が述べられており(前記1(3)エ(ウ),カ(イ),ク(ウ),コ),文部科学省内においても朝鮮高級高校について本件規程13条適合性を認めることが困難であるとの認識があって,その旨を下村大臣に対しても説明しているのである(前記1(3)シ,(5)ア)。

以上述べてきたところからすると,九州朝鮮高校につき,就学支援金の授業料に係る債権の弁済への確実な充当が行われることや,学校運営が法令に従った適正なものであることについて,十分な確証を得ることができず,本件規程13条に適合するものと認めるに至らないとした文部科学大臣の判断をもって,不合理なものということはできず,その判断について,
文部科学大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用した違法があると認めることはできない。

本件不指定処分が政治・外交的配慮を持ち込んだものであり違法であるか
この点,支給法の制定前において,自民党(下村大臣が属している。)の拉致問題対策特別委員会の関与によって,朝鮮高級学校を支給法の対象とすることに反対する旨の朝鮮学校は無償化の対象とすべきでない事を強く表明する決議と題する書面が作成されており(前記1(1)オ),下村大臣自身も文部科学大臣に就任後の記者会見において,朝鮮高級学
校を不指定処分とする理由として拉致問題の進展がないことを挙げるとともに,外交上の配慮などにより判断しない旨の民主党政権時代の
政府統一見解を廃止する旨を述べており(前記1(5)イ),文部科学省も本件省令改正に先立つ意見公募手続において寄せられた意見に対する同省の考え方の中で,上記下村大臣の発言と同旨を記載していることから(前記1(5)ウ),下村大臣が本件不指定処分をした背景には,本件理由①,本件理由②だけでなく,朝鮮高級学校を支給対象校とすることが
拉致問題との関係で相当でないという外交上の考慮もうかがわれるところである。
しかし,本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったことが本件不指定処分の理由であること自体については,下村大臣が就任後の記者会見において朝鮮高級学校を不指定処分とする理由として朝鮮総連と密接な関係にあり,教育内容,人事,財政にその影響が及んでいることと述べ(前記1(5)イ),本件不指定処分の理由を記載した通知書の記載(前記第2の2(3)キ)や本件不指定処分に係る決裁・供覧文書に上記通知書と同内容の文書が添付されていること(前記1(5)オ)からも明らかであり,この判断が違法といえないことは前記(2)に述べるとおりで
ある。そして,本件申請が本件規程13条に適合すると認めるに至らなかった以上,文部科学大臣としてはいずれにせよ不指定処分をせざるを得ないのであるから,本件不指定処分にあたり,前述のような背景が存するとしても,直ちに本件不指定処分が違法の評価を受けるものではない。


以上によれば,原告らの文部科学大臣の判断が裁量権を逸脱・濫用したなどとする主張は,採用することができない。

4
争点(1)ア(エ)(本件不指定処分が本件規程15条に反するか)について原告らは,平成24年9月10日以降一度も審査会が開催されておらず,
最終的な審査結果も出ていない状況で行われた本件不指定処分は,文部科学大臣がハ規定に基づく指定を行うに当たり,あらかじめ教育制度に関する専
門家その他の学識経験者で構成される会議の意見を聴取する旨を定めた本件規程15条に反し違法であると主張する。
しかし,本件規程15条には審査会の意見を聴くものとすると規定されているに止まるし,また,検討会議の報告において審査は,教育制度の専門家をはじめとする第三者が,専門的な見地から客観的に行い,対象とするかどうかについて意見を取りまとめ,最終的には,文部科学大臣の権限と責任において,外国人学校の指定がなされることが適当であるとされていることなどからすれば,本件規程15条は,審査会の意見が文部科学大臣の判断に資することから設けられたものと考えられるのであり,その意見は,文部科学大臣が本件規程13条に定める要件を充足するか否かを判断する際
の考慮要素の一つに止まるものと理解するのが相当である。
また,前記のとおり,審査会の第7回までの会議において,教育基本法16条1項の不当な支配がされていることや,適正な学校運営がされていないことが疑われる事情について議論がされたが,結論を出すには至らず,この審査会において指定の可否を議論し結論を出すのは限界があるのではな
いかという意見まで出されていた状況にあったこと(前記1⑶コ)からすれば,審査会の審査を継続せず,それまでの審査会で出された委員の種々の意見を考慮した上で本件不指定処分をした下村大臣の判断が不合理なものということはできない。
したがって,本件不指定処分が審査会の最終的な審査結果が出ていない状
況で行われたことが,違法であるとは認められず,原告らの主張を採用することはできない。
5
争点(1)ア(オ)(本件不指定処分が憲法及び条約等に反するか)について原告らは,被告によるハ規定の削除と本件不指定処分が,原告らの平等権
(憲法14条,26条,世界人権宣言26条,A規約2条2項及び同13条,市民的及び政治的権利に関する国際規約26条,子どもの権利条約2条及び
28条,あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約5条(e)の(v)),支給法で具体化された中等教育の授業料について経済的援助を受ける権利(憲法26条を具体化した権利)及び民族教育においても授業料について経済的援助を受ける権利(各種国際人権条約,憲法13条,26条を具体化した権利)を侵害し,違憲・違法であると主張する。

しかし,前記のとおり,本件不指定処分の理由は,九州朝鮮高校が支給要件である本件規程13条の基準に適合していると認めるに至らなかったことにあり,原告らの人種,信条や社会的身分を理由にしたものとは認められない。本件規程13条の適合性の審査が,朝鮮高級学校について,本件規程14条に基づく申請を行った他の外国人学校に比べて入念になった経過は認め
られるものの,それは朝鮮高級学校について法令に基づく適正な学校運営を行っているか否かについて疑義が生じ,調査が必要となったためであって,合理的な理由に基づくやむを得ない取扱いである。したがって,本件不指定処分が原告らの平等権を侵害するものとは認められない。
また,本件不指定処分は,九州朝鮮高校が民族教育を行うことを禁じるも
のではなく,その生徒が九州朝鮮高校に進学,通学し民族教育を受けることを制約するものでもない。九州朝鮮高校の生徒らが就学支援金を受け取ることができないため,これを受け取る場合に比して就学費用の負担が重くなることにはなるが,本件規程に基づく指定を受けるための福岡朝鮮学園の申請が法律上の要件を充たすといえないことは前判示のとおりであり,上記の負
担が,中等教育の授業料について経済的援助を受けることについての憲法上の権利や民族教育の授業料について経済的援助を受ける憲法上の権利を侵害するとは認められない。
したがって,原告らの主張を採用することはできない。
6
争点(1)イ(ハ規定削除による期待権侵害)について
原告らは,ハ規定の削除(本件省令改正)によって原告らの就学支援金の受
給に対する期待権が侵害されたと主張する。
この点,そもそも,原告らの一部については,ハ規定の削除(本件省令改正)時点において九州朝鮮高校に在籍していたことに疑義があるため,ハ規定の削除による期待権侵害を論ずる前提に問題がある(前記第2の2(1))。この点を措くとしても,原告らは支給法の規定のみをもって直ちに就学支援金に
対する具体的な権利を付与されているわけではなく,福岡朝鮮学園が本件規程14条に基づく申請を行い,文部科学大臣がハ規定による指定を行うことによって,初めて就学支援金の受給資格を得ることができるという抽象的な地位を有しているに止まる。また,九州朝鮮高校は,本件省令改正の当時,朝鮮総連から不当な支配を受けているとの合理的疑いを払拭できないなど,
本件規程13条に適合すると認めるに至らないという判断を受けており,その判断に裁量権の逸脱,濫用が認められないことは上記3のとおりであるから,原告らが就学支援金を得られる具体的な可能性があったということもできない。
そうすると,ハ規定の削除の違法性について判断するまでもなく,ハ規定の
削除により,原告らの就学支援金に関する法的利益が侵害されたとは認められず,原告らの主張を採用することはできない。
7
争点(1)ウ(本件申請から本件処分までに要した期間等の違法性(行政手続法違反))について

(1)行政手続法6条について
原告らは,文部科学大臣が本件規程14条1項の申請に対して処分をするまでの標準処理期間を定めていない点が行政手続法6条に違反すると主張する。
しかし,同条は,行政庁に対して努力義務を課すものに過ぎないと解され,
同条に従った標準処理期間を定めていなかったこと自体をもって国家賠償法上の違法性があると認めることはできない。

(2)行政手続法7条について
原告らは,本件申請から審査再開までの審査停止,あるいは上記審査再開又は本件申請から本件不指定処分までに長期の審査期間を要したことが行政手続法7条に違反すると主張する。

本件申請から審査再開までの審査停止について
福岡朝鮮学園が本件申請をした平成22年11月29日(申請書の作成日付。甲A12)あるいは同月30日(文部科学省の受付日付(乙1)。なお,行政手続法7条の申請は受理とは異なり申請の到達を意味し,本件においては申請の到達日時は上記両日のいずれか不明であるが,同条
の適用を検討する上で有意の差ではない。)の時点では,内閣総理大臣の指示により,すべての朝鮮高級学校について,ハ規定による支給対象外国人学校としての指定に関する手続が停止されており,平成23年8月29日の内閣総理大臣の指示により同手続が再開されるまでの間に約9か月を要した事実が認められる。

しかし,上記の手続停止は,その直前である同月23日に北朝鮮による韓国延坪島砲撃事件が起きたことによるものであり,文部科学大臣は,上記手続停止に対する学校法人東京朝鮮学園の異議申立てに対し,平成22年11月23日の北朝鮮による砲撃が,我が国を含む北東アジア地域全体の平和と安全を損なうものであり,政府を挙げて情報収集に努めるととも
に,不測の事態に備え,万全の体制を整えていく必要があることに鑑み,当該指定手続を一旦停止している旨を通知している(前記1(3)ア)。その後,菅総理大臣は,北朝鮮が上記事件の砲撃に匹敵するような軍事力を用いた行動をとっていないことから,平成23年7月には南北間及び米朝間の対話が行われるなど北朝鮮と各国との対話の動きが生じていることを
踏まえ,事態は上記の砲撃以前の状態に戻ったと総合的に判断できるとして,平成23年8月29日,髙木大臣に対し審査手続を再開するよう指示
している(前記1(3)ウ)。
上記のような当時の情勢を踏まえれば,被告が指定の可否の審査手続を開始しなかったことが,殊更に審査を引き延ばすものであったとは認め難いし,状況の変化に応じて審査手続の再開が行われていることに鑑みると,上記手続の停止が行政手続法7条又はその趣旨に反するものとは認められ
ない。

審査再開から本件不指定処分までの期間について
朝鮮高級学校についてのハ規定による支給対象外国人学校としての指定に関する手続が再開されてから平成25年2月20日に本件不指定処分がされるまで,約1年6か月を要している。

しかし,審査会は,審査手続き再開後の平成23年11月,同年12月,平成24年3月及び同年9月の4回にわたって会議を行っており,また,支援室は,朝鮮高級学校の学校運営が適正に行われているか否かについて疑義が存することもあって,審査会の各会議の間に,繰り返し書面による質問等を行っているのである(前記1(3)エ~サ)。このように,朝鮮高
級学校に対しては,その調査,検討が必要な状況にあったものであり,それゆえに相応の時間を要することも致し方ないことというべきであるから,審査手続きの再開から本件不指定処分までに1年6か月を要したとしても,それをもって違法というまでには至らないというべきである。

本件申請から本件不指定処分までの期間全体について
原告らが指摘するように本件申請から本件不指定処分までには約2年3か月を要している。しかし,本件申請から審査再開までの期間及び審査再開から本件不指定処分までの期間については,前判示のとおり,いずれも違法であるということはできず,これらの期間を通じてみても,長いとい
う印象はあるものの,直ちに行政手続法7条に違反するとまでいうことはできない。

(3)したがって,原告らの主張を採用することはできない。
第4

結論
以上によれば,その余の争点について判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がないから,これを棄却すべきである。

よって,主文のとおり判決する。
福岡地方裁判所小倉支部第3民事部

裁判長裁判官

鈴木
裁判官

小川
裁判官

三好博清明治
別紙1
原告目録
(省略)

別紙2
被告目録
(省略)

別紙3
関係法令の定め
1
支給法(平成25年法律第90号による改正前のもの)
(1)1条(目的)

この法律は,公立高等学校について授業料を徴収しないこととするとともに,公立高等学校以外の高等学校等の生徒等がその授業料に充てるために高等学校等就学支援金の支給を受けることができることとすることにより,高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り,もって教育の機会均等に寄与することを目的とする。

(2)2条(定義)
1項

この法律において高等学校等とは,次に掲げるものをいう。
1号

高等学校(専攻科及び別科を除く。以下この条及び4条3項にお

いて同じ。)
2号

中等教育学校の後期課程(専攻科及び別科を除く。次項及び4条

3項において同じ。)

3号

特別支援学校の高等部

4号

高等専門学校(第1学年から第3学年までに限る。)

5号

専修学校及び各種学校(これらのうち高等学校の課程に類する課
程を置くものとして文部科学省令で定めるものに限り,学校教育
法(昭和22年法律第26号)1条に規定する学校以外の教育施

設で学校教育に類する教育を行うもののうち当該教育を行うにつ
き同法以外の法律に特別の規定があるものであって,高等学校の
課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるもの
(5条及び7条1項において特定教育施設という。)を含
む。)

2項

この法律において公立高等学校とは,地方公共団体の設置する高

等学校,中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部をいう。3項

この法律において私立高等学校等とは,公立高等学校以外の高等
学校等をいう。

(3)3条
1項

学校教育法6条本文の規定にかかわらず,公立高等学校については,授業料を徴収しないものとする。ただし,授業料を徴収しないことが公立高等学校における教育に要する経費に係る生徒間の負担の公平の観点から相当でないと認められる特別の事由がある場合は,この限りでない。
2項

国は,公立高等学校における教育に要する経費のうち,前項の規定の適用がないとしたならば地方公共団体が徴収することとなる授業料の月
額の標準となるべき額として政令で定める額(6条3項において公立高等学校基礎授業料月額という。)を基礎として政令で定めるところにより算定した額に相当する金額を地方公共団体に交付する。
(4)4条(受給資格)
1項

高等学校等就学支援金(以下就学支援金という。)は,私立高等
学校等に在学する生徒又は学生で日本国内に住所を有する者に対し,当該私立高等学校等(その者が同時に二以上の私立高等学校等の課程に在学するときは,これらのうちいずれか一の私立高等学校等の課程)における就学について支給する。

2項

就学支援金は,前項に規定する者が次の各号のいずれかに該当するときは,支給しない。
1号

高等学校等(修業年限が3年未満のものを除く。)を卒業し又は
修了した者

2号

前号に掲げる者のほか,私立高等学校等に在学した期間が通算し
て36月を超える者

3項

前項2号の期間は,その初日において私立高等学校等に在学していた
月を一月(その初日において私立高等学校等である高等学校又は中等教育学校の後期課程の定時制の課程又は通信制の課程のみに在学していた月その他の政令で定める月にあっては,一月を超えない範囲内で政令で定める月数)として計算する。
(5)5条(受給資格の認定)
前条1項に規定する者(同条2項各号のいずれかに該当する者を除く。)は,就学支援金の支給を受けようとするときは,文部科学省令で定めるところにより,その在学する私立高等学校等(その者が同時に2以上の私立高等学校等の課程に在学するときは,その選択した一の私立高等学校等の課程)
の設置者を通じて,当該私立高等学校等の所在地の都道府県知事(当該私立高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(当該私立高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては,都道府県教育委員会)に対し,当該私立高等学校等における就学について就学支援金の支給を受ける資格を有することについての認定を申請し,その認定を受けなければならな
い。
(6)6条(就学支援金の額)
1項

就学支援金は,前条の認定を受けた者(以下受給権者という。)
がその初日において当該認定に係る私立高等学校等(以下支給対象高等学校等という。)に在学する月について,月を単位として支給され
るものとし,その額は,一月につき,支給対象高等学校等の授業料の月額(授業料の額が年額その他月額以外の方法により定められている場合にあっては,授業料の月額に相当するものとして文部科学省令で定めるところにより算定した額をいい,受給権者が授業料の減免を受けた場合にあっては,文部科学省令で定めるところにより当該授業料の月額から
当該減免に係る額を控除した額をいう。)に相当する額(その額が支給対象高等学校等の設置者,種類及び課程の区分に応じて政令で定める額
(以下この項において支給限度額という。)を超える場合にあっては,支給限度額)とする。
2項

支給対象高等学校等が政令で定める私立高等学校等である受給権者であって,その保護者(学校教育法16条に規定する保護者をいう。)その他の受給権者の就学に要する経費を負担すべき者として政令で定める
者(以下この項及び17条1項において保護者等という。)の収入の状況に照らして特に当該保護者等の経済的負担を軽減する必要があるものとして政令で定めるものに対して支給される就学支援金に係る前項の規定の適用については,同項中定める額とあるのは,定める額に政令で定める額を加えた額とする。
3項

1項の支給限度額は,公立高等学校基礎授業料月額その他の事情を勘案して定めるものとする。

(7)7条(就学支援金の支給)
1項

都道府県知事(支給対象高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(支給対象高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)に
あっては,都道府県教育委員会。以下同じ。)は,受給権者に対し,就学支援金を支給する。
2項

就学支援金の支給は,受給権者が5条の認定の申請をした日(当該申請が支給対象高等学校等の設置者に到達した日(次項において申請日という。)をいう。)の属する月(受給権者がその月の初日において当
該支給対象高等学校等に在学していないとき,受給権者がその月について当該支給対象高等学校等以外の私立高等学校等を支給対象高等学校等とする就学支援金の支給を受けることができるときその他政令で定めるときは,その翌月)から始め,当該就学支援金を支給すべき事由が消滅した日の属する月で終わる。

3項

受給権者がやむを得ない理由により5条の認定の申請をすることがで
きなかった場合において,やむを得ない理由がやんだ後15日以内にその申請をしたとき(当該申請が支給対象高等学校等の設置者に到達したときをいう。)は,やむを得ない理由により当該認定の申請をすることができなくなった日を申請日とみなして,前項の規定を適用する。4項

前3項に定めるもののほか,就学支援金の支払の時期その他就学支援金の支給に関し必要な事項は,文部科学省令で定める。

(8)8条(代理受領等)
支給対象高等学校等の設置者は,受給権者に代わって就学支援金を受領し,その有する当該受給権者の授業料に係る債権の弁済に充てるものとする。(9)15条(交付金)
1項

国は,就学支援金の支給に要する費用の全額に相当する金額を都道府県に交付する。

2項

国は,毎年度,予算の範囲内で,就学支援金に関する事務の執行に要する費用に相当する金額を都道府県に交付する。

(10)17条(報告等)
1項

都道府県知事(14条1項又は2項に規定する就学支援金に係る場合にあっては,文部科学大臣)は,この法律の施行に必要な限度において,受給権者,その保護者等若しくは支給対象高等学校等の設置者(国及び都道府県を除く。)若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者に対し,報告若しくは文書その他の物件の提出若しくは提示を命
じ,又は当該職員に質問させることができる。
2項

前項の規定による質問を行う場合においては,当該職員は,その身分を示す証明書を携帯し,かつ,関係者の請求があるときは,これを提示しなければならない。

3項

1項の規定による権限は,犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(11)19条(文部科学省令への委任)
この法律に定めるもののほか,この法律の実施のため必要な事項は,文部科学省令で定める。
2
公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行令(以下本件施行令という。)(平成25年政令第200号による改正前のもの)
(1)3条(支給限度額)
法6条1項の政令で定める額は,次の各号に掲げる支給対象高等学校等の区分に応じ,それぞれ当該各号に定める額とする。

1号

私立高等学校等(次号から4号までに掲げるものを除く。)
9900円

(2号以下略)
(2)4条(支給限度額の加算)
1項

法6条2項の政令で定める私立高等学校等は,次に掲げる私立高等学校等とする。

1号

国(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)2条1項
に規定する独立行政法人及び国立大学法人を含む。)及び地方公
共団体(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)2条
1項に規定する地方独立行政法人を含む。次号において同じ。)
以外の者の設置する私立高等学校等

(2号以下略)
2項

法6条2項の政令で定める者は,次の各号に掲げる場合の区分に応じ,それぞれ当該各号に定める者とする。
1号
2号

3項

受給権者に保護者(括弧内略)がいる場合
受給権者に保護者がいない場合

当該保護者

当該受給権者(括弧内略)

法6条2項の政令で定める受給権者は,次の各号に掲げる者とし,同
項の規定により読み替えて適用する同条1項の政令で定める額に政令で定める額を加えた額は,当該各号に掲げる者の区分に応じ,それぞれ当該各号に定める額とする。
1号

保護者等(括弧内略)の市町村民税所得割(括弧内略)の額(括
弧内略)が1万8900円(括弧内略)未満である受給権者(括

弧内略)
当該受給権者の支給対象高等学校等についての前条各号に掲げ
る区分に応じ,それぞれ当該各号に定める額に当該額の2分の1
に相当する額を加えた額
2号

保護者等が市町村民税所得割を課されない者である受給権者(保
護者等国内居住受給権者に限る。)
当該受給権者の支給対象高等学校等についての前条各号に掲げる
区分に応じ,それぞれ当該各号に定める額に当該額を加えた額

3
本件省令
(1)1条(専修学校及び各種学校)
1項

公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律(以下法という。)2条1項5号に掲げる専修学
校及び各種学校のうち高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるものは,次の各号に掲げるものとする。
1号

専修学校の高等課程

2号

各種学校であって,我が国に居住する外国人を専ら対象とする
もののうち,次に掲げるもの

高等学校に対応する外国の学校の課程と同等の課程を有する
ものとして当該外国の学校教育制度において位置付けられたも
のであって,文部科学大臣が指定したもの


イに掲げるもののほか,その教育活動等について,文部科学

大臣が指定する団体の認定を受けたものであって,文部科学大
臣が指定したもの

イ及びロに掲げるもののほか,文部科学大臣が定めるところ
により,高等学校の課程に類する課程を置くものと認められる
ものとして,文部科学大臣が指定したもの

(2項以下略)
(2)3条(受給資格の認定及び通知等)
1項

法5条に規定する認定の申請は,同条に規定する者が,様式第1号による申請書をその者が在学する私立高等学校等(その者が同時に二以上の私立高等学校等の課程に在学するときは,その選択した一の私
立高等学校等の課程。以下この項及び次項において同じ。)の設置者を通じて,当該私立高等学校等の所在地の都道府県知事(当該私立高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(当該私立高等学校等が法2条1項5号に規定する特定教育施設である場合を除く。)にあっては,都道府県教育委員会。以下同じ。)に提出することによ
って行わなければならない。
2項

都道府県知事は,法5条に規定する認定をしたとき又は認定をしなかったときは,その旨を同条に規定する申請を行った者に対し,その者が在学する私立高等学校等の設置者を通じて,通知しなければならない。

(3項略)
4
公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則第1条第1項第2号ハの規定に基づく指定に関する規程(以下本件規程という。)

第1章

総則

(1)1条(趣旨)

公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則(平成22年文部科学省令第13号。以下規則という。)1条1項2号ハの規定による指定の基準及び手続等については,この規程の定めるところによる。
第2章

指定の基準

(2)2条(修業年限)
規則1条1項2号ハの規定に基づき各種学校のうち高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるもの(以下指定教育施設という。)の修業年限は,原則として3年以上とする。
(3)3条(授業時数)
指定教育施設の授業時数は,学科ごとに,1年間にわたり800時間以上とする。
(4)4条(同時に授業を行う生徒)
指定教育施設において,一の授業科目について同時に授業を行う生徒数は,
40人以下とする。ただし,特別の事由があり,かつ,教育上支障のない場合は,この限りでない。
(5)5条(授業科目)
指定教育施設においては,中学校又はこれに準ずる学校を卒業した者等に対して,中学校又はこれに準ずる学校における教育の基礎の上に,心身の発
達に応じて,高度な普通教育に類する教育を施すにふさわしい授業科目を開設しなければならない。
(6)6条(教員数)
1項

指定教育施設に置かなければならない教員の数は,次の表に定めるところによる。(表省略)

2項

前項の教員の数の半数以上は,専任の教員(常勤の校長が教員を兼ねる場合にあっては,当該校長を含む。)でなければならない。ただ
し,専任の教員数は3人を下ることができない。
(7)7条(教員の資格)
指定教育施設の教員は,次の各号のいずれかに該当する者で,教職に関する専門的教育を受け,その担当する教育に関し,専門的な知識等を有するものでなければならない。
1号

専修学校設置基準(昭和51年文部省令第2号)19条1号から4号までのいずれかに該当する者

2号

専修学校設置基準19条5号に該当する者として,次のいずれかに該当するもの


各種学校で高等学校卒業程度を入学資格とするものを卒業した後,学校,専修学校,各種学校,研究所,病院,工場等においてその担当する教育に関する教育,研究又は技術に関する業務(以下関連業務という。)に従事した者であって,当該各種学校の修業年限と当該関連業務に従事した期間(以下関連業務従事期間とい
う。)とを通算して4年以上となるもの


外国の学校,学校教育法(昭和22年法律26号)1条に規定す
る学校以外の教育施設で学校教育に類する教育を行うもののうち当該教育を行うにつき同法以外の法律に特別の規定があるもの,又は設備及び編制に関して専修学校若しくは各種学校に準ずる教育施設
等を卒業した者であって,専修学校設置基準19条2号から4号までの各号に相当する修業年限,関連業務従事期間又は資格を有するもの

その担当する教育に関連した法令に基づく免許若しくは資格等

(以下免許等という。)に関し,その取得のための受験資格又
は履修要件(以下受験資格等という。)として大学卒業程度の
要件を課されているものを取得した者,受験資格等として短期大学
卒業程度の要件を課されている免許等を取得した者で取得後2年以上関連業務に従事したもの,又は受験資格等として高等学校卒業程度の要件を課されている免許等を取得した者で取得後4年以上関連業務に従事したもの

大学,短期大学又は高等専門学校の助教の資格を有する者

(8)8条(校地等)
1項

指定教育施設は,次条に定める校舎等を保有するに必要な面積の校地を備えなければならない。

2項

指定教育施設は,前項の校地のほか,目的に応じ,運動場その他必要な施設の用地を備えなければならない。

(9)9条(校舎等)
1項

指定教育施設の校舎には,目的,生徒数又は課程に応じ,教室,教員室,事務室その他必要な附帯施設を備えなければならない。

2項
指定教育施設の校舎には,前項の施設のほか,なるべく図書室,保健室等を備えるものとする。

(10)10条(校舎の面積)
指定教育施設の校舎の面積は,次の表に定める面積以上とする。ただし,地域の実態その他により特別の事情があり,かつ,教育上支障がない場合は,この限りでない。(表省略)
(11)11条(設備)
指定教育施設は,目的,生徒数又は課程に応じ,必要な種類及び数の機械,器具,標本,図書その他の設備を備えなければならない。
(12)12条(情報の提供等)
指定教育施設においては,学校教育法134条2項において準用する同法
42条及び43条並びに学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)190条において準用する同規則66条1項の規定による学校運営の状況に
関する自己評価及びその結果の公表並びに情報の積極的な提供,私立学校法(昭和24年法律第270号)64条5項において準用する同法47条1項及び2項の規定による財産目録等の備付け及び閲覧,その他の法令に基づく情報の提供等が適正に行われなければならない。
(13)13条(適正な学校運営)
前条に規定するもののほか,指定教育施設は,高等学校等就学支援金の授業料に係る債権の弁済への確実な充当など法令に基づく学校の運営を適正に行わなければならない。
第3章

指定の手続等

(14)14条(指定の申請)
1項

規則1条1項2号ハの規定による指定を受けようとする教育施設の設置者は,次に掲げる書類を添えて,文部科学大臣に申請しなければならない。
1号

学則
学級編制表

4号

年間指導計画

5号

施設の状況を記載した書類

6号

設備の状況を記載した書類

7号

教職員編制表

8号

常勤教員の略歴を記載した書類

9号

2号
3号

当該教育施設の概要を記載した書類

財産目録,貸借対照表,収支計算書,事業報告書及び監査報告

10号
設置者の寄附行為若しくは定款又はこれらに類する規約

11号

設置者の理事及び評議員その他の役員の名簿

12号

理事会及び評議員会その他の役員で構成される会議の開催状

況を記載した書類
13号

学校点検及び評価の状況,積極的な情報提供の状況,財産目
録等の備付け及び閲覧の状況を記載した書類

2項

文部科学大臣は,前項各号に掲げるもののほか,指定のために必要な書類の提出を求めることができる。

3項

1項の規定による申請は,規則1条1項2号ハの規定による指定を受けようとする年度の前年度の5月31日までに行わなければならない。

(15)15条(意見の聴取)
文部科学大臣は,規則1条1項2号ハの規定による指定を行おうとするときは,あらかじめ,教育制度に関する専門家その他の学識経験者で構成される会議で文部科学大臣が別に定めるものの意見を聴くものとする。
(16)16条(定期的な書類の提出等)
1項

文部科学大臣は,指定教育施設の設置者に対し,毎年度,文部科学大臣が別に定める日までに,14条1項各号に掲げる書類及び高等学校等
就学支援金が生徒の授業料に係る債権の弁済に充当されていることが確認できる書類の提出を求めるものとする。
2項

文部科学大臣は,前項に規定するもののほか,指定の基準に適合しているかどうかを確認するため必要があると認めるときは,指定教育施設の設置者に対し,必要な書類の提出又は報告を求めることができる。
(17)17条(指定の取消し)
1項

文部科学大臣は,指定教育施設が次の各号のいずれかに該当するときは,規則1条1項2号ハの規定による指定を取り消すことができる。1号

第2章(注・2条~13条)に規定する指定の基準に適合しなく
なったとき。

2号

重大な法令違反があり,指定が適切でないと認められるとき。

3号

前条に規定する書類の提出又は報告の求めに対し,正当な理由な
くこれに応じないとき。

2項

文部科学大臣は,前項の指定の取消を行う際には,必要に応じ,あらかじめ,教育制度に関する専門家その他の学識経験者で構成される会議で文部科学大臣が別に定めるものの意見を聴くことができる。

(18)18条(留意事項及びその履行の状況の確認)
1項

文部科学大臣は,指定教育施設の設置者が留意すべき事項(次項において留意事項という。)があると認めるときは,当該者に対し,当該事項の内容を通知するものとする。

2項

文部科学大臣は,留意事項の履行の状況を確認するため必要があると認めるときは,指定教育施設の設置者に対し,その履行の状況について報告を求めることができる。

(19)19条(その他)
この規程に定めるもののほか,指定教育施設の指定の基準及び指定の手続等に関し必要な事項は,文部科学大臣が別に定める。
以上
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