判例検索β > 平成24年(ワ)第121号
損害賠償請求事件
事件番号平成24(ワ)121
事件名損害賠償請求事件
裁判年月日平成31年2月19日
法廷名大津地方裁判所
裁判日:西暦2019-02-19
情報公開日2019-04-16 10:01:19
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主1文
被告A1及び被告B1は,原告甲に対し,連帯して,187
8万8684円及びうち1505万4942円に対する平成2
7年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払
え。

2
被告A1及び被告B1は,原告乙に対し,連帯して,187
8万8684円及びうち1505万4942円に対する平成2
7年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払
え。

3
原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

4
訴訟費用のうち,原告甲と被告A1及び被告B1との間に生じ
たものは,これを4分し,その1を同原告の,その余を同被告
らの負担とし,原告乙と被告A1及び被告B1との間に生じた
ものは,これを4分し,その1を同原告の,その余を同被告ら
の負担とし,原告らとその余の被告らとの間に生じたものは,
原告らの負担とする。
事実及び理由
第1請求
1⑴

被告A2,被告A3,被告B2,被告B3,被告C2及び被告C3は,原告甲に対し,連帯して1929万9289円及びこれに対する平成23年10月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。⑵

被告A2,被告A3,被告B2,被告B3,被告C2及び被告C3は,原告乙に対し,連帯して1929万9289円及びこれに対する平成23年10月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2⑴

被告A1,被告B1及び被告C1は,原告甲に対し,被告A2,被告A3,被告B2,被告B3,被告C2及び被告C3と連帯して1929万9289円及びこれに対する平成23年10月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。



被告A1,被告B1及び被告C1は,原告乙に対し,被告A2,被告A3,被告B2,被告B3,被告C2及び被告C3と連帯して1929万9289円及びこれに対する平成23年10月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2事案の概要
1本件は,中学2年生で自殺した亡Xの両親である原告らが,亡Xの自殺の原因は,同学年の生徒であった被告A1,被告B1及び被告C1(以下,被告A1,被告B1及び被告C1を合わせて被告少年らという。)から受けたいじめにあるとして,被告少年らの親又はその配偶者である被告A2,被告A3,被告B2,被告B3,被告C2及び被告C3(以下,被告少年らの親又はその配偶者であるこれらの被告6名を合わせて被告父母らという。)に対し,被告少年らに責任能力がなかったことを理由に民法714条1項に基づき,又は被告父母らに監督義務の懈怠があったことを理由に同法709条に基づき,連帯して(同法719条),原告ら各自が亡Xから相続した死亡逸失利益及び慰謝料並びに原告ら固有の慰謝料等の合計額3859万8578円から大津市負担部分を除いた1929万9289円及びこれに対する亡Xの死亡日の翌日である平成23年10月12日(以下,年の記載のない月日の記載は平成23年のものとする。)から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める(被告父母らに対する同法714条1項に基づく請求と同法709条に基づく請求は選択的併合と解される。)とともに,被告少年らに対し,責任能力があった場合には,同条に基づき,監督義務の懈怠を理由に損害賠償責任(同条)を負うとされる被告父母らと連帯して(同法719条),上記金員の支払をそれぞれ求める事案である。
なお,原告らは,民事訴訟法41条1項に基づく同時審判の申出をしているが,同申出は,法律上両立し得ない関係にある民法714条1項に係る被告父母らに対する請求(前記第1の1)と,同法709条に係る被告少年らに対する請求(前記第1の2)につきされているものと解される。
2前提事実(当事者間に争いがない事実若しくは当裁判所に顕著な事実又は後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
⑴ア

亡Xは,平成▲年▲月▲日生まれで,死亡当時,大津市立a中学校(以下本件中学校という。)の2年3組(以下,特記しない限り学年と学級は亡X在籍当時の本件中学校のものを指す。)に在籍していた。原告甲と原告乙は,亡Xの父母であり,原告らの間には,亡Xの3歳上の姉である丙(以下長姉という。)と亡Xの双子の姉である丁(以下丁又は次姉という。)がいる。(甲455,弁論の全趣旨)


被告A1は,亡Xの死亡当時,亡Xと同じ2年3組に在籍していた。被告A2と被告A3は,被告A1の父母である(以下,被告A1,被告A2及び被告A3を合わせて,被告Aらという。)。


被告B1は,亡Xの死亡当時,亡Xと同じ2年3組に在籍していた。被告B2は被告B1の母であり,被告B3は,平成22年に被告B2と婚姻した同人の配偶者である(以下,被告B1,被告B2及び被告B3を合わせて被告Bらという。)(弁論の全趣旨)。


被告C1は,亡Xの死亡当時,亡Xとは別の学級である2年1組に在籍していた。被告C2と被告C3は被告C1の父母である(以下,被告C1,被告C2及び被告C3を合わせて被告Cらという。)。


亡Xは,10月11日午前8時10分頃,自宅のあるマンションの14階
から地上に飛び降り,出血性ショックにより死亡した。(甲485)⑶

原告らは,平成25年10月9日,独立行政法人日本スポーツ振興センターから,大津市教育委員会を通じて,亡Xの死亡に係る災害共済給付金(死亡見舞金)2800万円を受領した(甲487)。



原告らは,大津市も被告として本件訴訟を提起し,前記第1の被告らに大津市を加え,請求額も原告ら各自につき3859万8578円及びこれに対する遅延損害金としていたが,平成27年3月17日の本件口頭弁論期日において,大津市及びその余の被告らに対する請求を二分し,大津市に対して1929万9289円及び遅延損害金の支払を,その余の被告らに対して同額の金員の連帯支払をそれぞれ求める訴えに変更した上,同日の和解期日において,大津市との間で,大津市が原告ら各自に対して既払金(前記⑶の災害共済給付金2800万円)を除き,和解金としてそれぞれ650万円(総額1300万円)を支払う旨の訴訟上の和解をした。そして,原告らは,同年4月3日,大津市から,上記和解金を受領した(甲488)。

第3争点及び争点に対する当事者の主張
1争点


被告少年らによるいじめの有無,態様等及び共同不法行為の成否



被告少年らの行為と亡Xの自殺との因果関係の有無



被告少年らの責任能力の有無



被告父母らの監督義務の懈怠の有無等



損害額



損害の填補の有無

2争点に対する当事者の主張


被告少年らによるいじめの有無,態様等及び共同不法行為の成否
【原告らの主張】

被告少年らは,亡Xに対し,いじられキャラとの役割を一方的に押し付け,その役割が入れ替わることのない関係性の中で,1学期以降,別紙一覧表のとおり,亡Xを転倒させ,殴打し足蹴にするなどして負傷させる,蜂の死骸を食べさせようとするといった暴行のほか,下半身を半ば露出させて嘲笑する,顔面に落書きをする,眼前で亡Xの筆記用具や教科書等を損壊する,自殺の練習や万引き等を強要し,自宅を荒らすといったいじめを長期間にわたり継続的に行った。


これらのいじめは,一連一体の継続的なものとして行われ,亡Xに耐え難い精神的,肉体的苦痛を与えたもので,全体として亡Xに対する共同不法行為を構成するものである。

【被告Aらの主張】

原告らが被告A1によるいじめであると主張する行為に対する認否は別紙一覧表の被告Aらの認否・反論欄記載のとおりであり,被告Aらにおいて認めたもの以外に原告らの主張する被告A1の言動は存在しない。

被告A1と亡Xは,4月以降,亡Xが被告A1や被告B1の自宅に頻繁に遊びにきて時には宿泊し,夏休みにはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下USJという。)に3人で遊びにいき,花火大会にも行くなど非常に仲が良かった。9月中旬頃には,亡Xが原告甲に無断で購入したゲーム機について,被告A1が貸したことにして,原告甲への口裏合わせに協力することもあった。このような関係にある中において行われた被告Aらが認めた被告A1の上記アの言動は,亡Xに対する嫌がらせなどではなく,男子中学生の友人間における遊びやけんかの範囲内にある行為であったから,亡Xに対する不法行為を構成するようなものではない。
なお,別紙一覧表行為番号54について,被告A1は,何ら関与しておらず,その存在も知らなかったから,他の被告少年らとの共同不法行為が成立することはない。
【被告Bらの主張】

原告らが被告B1によるいじめであると主張する行為に対する認否は別紙一覧表の被告Bらの認否・反論欄記載のとおりであり,被告Bらにおいて認めたもの以外に原告らの主張する被告B1の言動は存在しない。

亡Xは,被告B1が転居してから初めて自宅に遊びにきた友人であり,夏休みには,頻繁に遊びにきて1週間に2回程度はそのまま宿泊していくようになり,被告B1の兄とも親しくなって一緒に遊んでいた。また,被告B1と亡Xは,夏休みに,祭りや花火大会,ゲームセンター,USJに行くなどして楽しい思い出を共有し,夏休みを経て,お互いに最も親しく,一緒に過ごすことの多い友人となっていた。学級の中でいじられ役であった亡Xに対して被告B1がちょっかいを出すこともあったが,それは亡Xとの間で形成された信頼関係を前提としたもので,ふざけた言動もお互いに許し合っており,嫌がらせをしようとしたものではない。被告Bらにおいて認めた被告B1の上記アの言動についても,そのような友人関係や別紙一覧表記載の経緯及び言動の内容,これらの言動を経ても亡Xと被告B1の互いの態度に変化がなかったこと等に照らせば,亡Xに対するいじめとして違法と評価されるものでないことは明らかである。

【被告Cらの主張】

原告らが被告C1によるいじめであると主張する行為に対する認否は別紙一覧表の被告Cらの認否・反論欄記載のとおりであり,被告Cらにおいて認めたもの以外に原告らの主張する被告C1の言動は存在しない。

被告C1と亡Xとの関わりは上記ア記載の程度である。これに加え,被告C1は,亡Xや他の被告少年らとは学級も異なり,亡Xとの接点も希薄で,自身が居合わせていない場面で亡Xと他の被告少年らとの間でどのようなやり取りがあったのかも把握していなかったのであるから,被告C1の上記行為が亡Xに対する不法行為を構成するものではなく,他の被告少年らとの間に共同不法行為が成立することもない。


被告少年らの行為と亡Xの自殺との因果関係の有無
【原告らの主張】

亡Xは,前記⑴【原告らの主張】記載のとおり,元は仲の良かった被告少年らから受けた執拗で苛烈な暴行や屈辱的な言動,その他の陰湿ないじめにより耐え難い身体的,精神的苦痛を被り,自己肯定感を喪失する中で,これを同級生や教員らが看過したことから疎外感,孤立感を更に深めて精神的に追い詰められて自殺を決意し,実行したもので,被告少年らによる亡Xに対するいじめの執ようさ,苛烈さ及び悪質さ等からすれば,これにより亡Xが希死念慮を抱き自殺に至ることに高度の蓋然性があることは明らかであり,被告少年らによるいじめと亡Xの自殺との間には事実的因果関係がある。


いじめは被害者に身体的,精神的苦痛を与え,短期間で孤独感,無力感及び無価値感を覚えさせるなど深刻な影響を及ぼし,時に急性ストレス障害(ASD)や心的外傷後ストレス障害(PTSD)その他の精神症状を発症させるなどして,希死念慮による自殺を生じさせる行為であり,特に暴行その他の有形力の行使を伴う場合には,被害者をより一層耐え難い状態に追い詰めることになるし,思春期のいじめは仲間集団から排除されることによる強い孤立感を感じさせることになるから,そのようないじめは,一般的に被害者に希死念慮を抱かせ,最終的には自殺を決行させるものであり,このようないじめによる自殺は通常起こり得る結果であるといえる。
亡Xは,被告少年らから前記⑴【原告らの主張】記載のとおり,正に被告少年らから執拗で苛烈な暴行や屈辱的な言動,その他の陰湿な行為を伴ういじめを受け,耐え難い身体的,精神的苦痛によって追い詰められ,学校でつらいことがあった旨示唆した上で希死念慮を示すなどした後に自殺したもので,ASD,PTSDその他の精神的疾患に罹患していたとも推認される状況にあったのであるから,被告少年らのいじめと亡Xの自殺との間には,相当因果関係が認められるというべきである。
なお,被告C1は,亡Xのみならず,他の被告少年らにとっても苦手意識を抱かせるような異質さ,特異性を有し,亡Xにとっては何をされるか分からない脅威となる存在であったが,その被告C1が被告B1と共に10月8日に亡X宅を訪れ,部屋を荒らして漫画本や腕時計を窃取し,いじめから逃避することができる最も安全で唯一の場所である亡Xの自宅まで奪ったことが,亡Xを最終的に追い詰める決定的な出来事となったというべきである。
いじめによる死亡結果の発生を特別損害とみた場合であっても,前記⑴【原告らの主張】記載の加害行為を自ら行った被告少年らは,具体的な加害行為の態様や程度,亡Xの被った心身の苦痛や孤立の状況等を全て認識しており,亡Xが自殺すること又は亡Xが耐え難い苦痛により追い詰められ,自殺に追いやられる危険な状態に陥っていることを認識又は予見することができる状況にあった。
以上によれば,被告少年らの加害行為と亡Xの自殺による損害との間には相当因果関係が認められるというべきである。

なお,被告らは,亡Xの家庭に問題がある旨主張するが,そもそも酷い嫌がらせやいじめ,暴行等を受けるストレスは人生の中でもまれに経験するような強いものであるのに対して,家庭問題は日常的に経験するストレスで一般的に問題とならない程度のものにすぎない。
この点をおくとしても,亡Xが小学6年生の頃に滋賀県中央子ども家庭相談センター(以下相談センターという。)所長に対して本件中学校の校長が行った虐待通告は合理的な根拠のないもので,亡Xやその長姉に対する虐待事象が確認されないとして約2か月で終了しており,亡Xが小学校の頃から家庭で繰り返し虐待を受けていたなどという事実は存在しない。原告甲は,社会性や常識を持った人物に育ってほしいと考えて子が不適切な言動を取ったときは厳しく口頭で叱り,同じことを繰り返した場合にはたたくこともあったが,理由もなく日常的にたたくというようなことはなく,子らが中学生になってからは,たたくこと自体控えるようになっており,子と親との信頼関係を壊すようなものではなかった。また,原告ら家族は,十分にコミュニケーションを取ってごく普通の家庭生活を送っており,原告乙と長姉が近くで別居して暮らすようになった後は家族がそろう機会はなかったものの,各自が連絡を取り一緒に過ごすことができ,親子関係も良好に維持されていた。さらに,原告甲が祖父母の金員を盗んでいた亡Xに書くように指導した反省文は,内容も常識的で,亡Xを精神的に追い込むようなものではなかった。そして,亡Xは原告甲を慕っており,自殺直前の時期でも,中間試験前には一緒に問題集を解き,試験後には手応えを報告し,自殺の前日に原告乙と墓参に出掛けた際には原告甲の好物を選んで購入し,帰宅後は原告甲の作った夕食を取るなどしていた。これらの事情に照らせば,被告らの指摘する家庭問題など存在しないことは明らかというべきである。【被告Aらの主張】

前記⑴【被告Aらの主張】欄記載のとおり,被告A1の亡Xに対する言動で問題とされるのは9月中旬頃から10月中旬頃までの約3週間における男子中学生同士の遊びや単なるけんかの範囲内にある行為にすぎない上,被告A1と亡Xは非常に仲が良く,亡Xがしばしば被告Aら宅に泊まったり,夏休みには被告B1らと共にUSJや花火大会に出掛けたり,9月中旬頃にも亡Xの依頼で被告A1が原告甲に対する口裏合わせをするような友人関係にあった。
被告A1の言動や亡Xとの友人関係が上記のようなものであったのに対し,亡Xの家庭環境等についてみると,亡Xは,小学生の頃から原告甲によって顔や頭を殴られるなど体罰を含む厳しいしつけを受けていたが,原告甲の暴言を契機に原告乙が2月に自宅を出て別居し,7月には亡Xの長姉も原告甲とのけんかを契機に自宅を出て原告乙の下で暮らすようになったことから,両名と離れて自宅で原告甲及び次姉と生活するようになり,7月頃には担任のア教諭に対し,父親が嫌であり,何かあっても家には連絡をしないでほしいなどと述べるようになっており,大好きなゲーム機も原告甲から取り上げられていた。そのような中,9月頃以降,亡Xが祖父母宅から金員を窃取したり,原告甲に無断で被告Aらや被告Bら宅に外泊したり,夏休みに被告A1らとUSJに出掛けていたことが原告甲の知るところとなり,亡Xは同原告から殴られたり足蹴にされたりしたほか,掃除用具の柄の部分で何度もふくらはぎをたたかれ,同月15日には体罰を受けた後に泣きながら本件中学校に電話をするような状況に置かれていた。その後,亡Xは,原告甲から,同月23日に予定されていた被告Bら宅での外泊を取り止めさせられ,以後の外泊を一切禁止されたが,さらに,亡Xの発達障害を疑って心療内科での診察を検討していた原告甲からお前は病気であるというようなことを言われて自宅を飛び出し,同月25日には帰宅せずに自宅のあるマンション一階のソファで一晩過ごすなどしていた。また,亡Xは,10月7日には,被告A1らに対し,原告甲が被告A1と被告C1のことを悪く言っている旨述べて甲死ねなどと口にするようになった。そのような中,亡Xは,死亡前日の同月10日には原告乙と一緒に隣県への墓参りに出掛け,帰宅途中,帰りたくないママ,どうしたら戻ってくんのなどと述べたが,原告乙から離婚も考えている旨初めて告げられた。亡Xは,同日,帰宅後に原告甲からの指示で祖父母の金員を盗んでいたことについての反省文の書き直しをさせられたが,反省文には

わるい友達は一人もいない。それだけはわかってほしい。

などと記載していた。死亡当日の同月11日,亡Xは,自宅のテレビの後ろにパンの袋を捨てたことについて,原告甲から午前7時頃に電話で叱責され,通話の最中に亡Xが一方的に電話を切ったため午前7時57分にも原告甲から再度電話を受け,上記の点について注意をされた。その約13分後の午前8時10分頃に,遺書を残すことなく,自宅のあるマンションの14階から転落して死亡した。
これらを総合すると,亡Xは,中学2年生の男子にとって精神的負担を伴う衝撃的な出来事である父母の離婚を亡Xと強いきずなを有していた別居中の母から前日に告げられたこと,父から暴力や厳しい叱責等を受けてゲームや友人との交遊を禁じられるなどしていたこと,そのような父から反省文を作成させられる中で,死亡当日の早朝に更に叱責されたこと等によって,悲しみ,気分の落ち込み,孤独,無力,希望の無さ,無価値感等の感情を抱き,これにより希死念慮が発生し,衝動的に自殺したとみるのが相当であり,被告A1の言動と亡Xの死亡との間に事実的因果関係は存在しないというべきである。

本件において認められる各事情からすると,亡Xの自殺は通常損害と評価できるものでは到底ない。また,上述した被告A1の亡Xに対する言動の内容や経過,被告A1と亡Xとの関係性,亡Xの置かれていた環境,そのような亡Xの環境を被告A1が知らなかったこと等に照らせば,被告A1において,亡Xの自殺を予見することは不可能であった。
以上によれば,被告A1の行為と亡Xの死亡との間に相当因果関係を認めることができないことは明らかである。
【被告Bらの主張】

本件では,①2月に原告乙が,7月に亡Xの長姉がいずれも原告甲との不仲を理由に自宅を出て別居するようになり,10月10日には当初半年間の予定で別居していた原告乙がいつ自宅に戻るのか尋ねた亡Xに対して離婚も考えている旨告げるに至るなど亡Xの家族関係が崩壊していたこと,②原告甲がしつけと称して亡Xを小学生の頃から厳しく叱責し,時に殴打したり,足蹴にしたり,殺すぞと申し向け,亡Xが中学生になってからも顔面にあざができるほど殴打しており,9月にも亡Xが原告甲に無断でUSJに行ったり,被告Bら宅に宿泊したり,預金を引き出すなどしていたことを知って亡Xを怒鳴り付け,顔や頭を殴打し,体を足蹴にし,掃除用具の柄で何度もふくらはぎをたたくなど懲戒権をはるかに逸脱した身体的虐待を加えて亡Xとの関係が悪化していたこと,③原告甲が発達障害の特徴に合致する言動のあった亡Xに対して暴力を伴う叱責により一方的な価値観を押し付けて抑圧し自尊心を損なわせて自宅における亡Xの居場所を奪っていたこと,④原告甲が亡Xの問題行動の原因が被告少年らにあると決め付けて校外で被告少年らと遊ぶことを禁止するなどして亡Xに対する監督を強化し,被告少年らとの交友,祖父母宅,学校の教職員との関係といった亡Xの居場所を失わせていったこと,⑤亡Xは原告甲によって学習塾に通わされ成績が良くなるまで大好きなゲーム機を取り上げられていたが,10月上旬に返却された中間テストの成績が良くなかったこと,⑥児童支援機関から亡Xの発達障害の可能性について指摘を受けた原告甲が9月25日に亡Xに対して病気かもしれない旨告げたところ,亡Xが自宅を飛び出して一人で野宿をして一夜を明かすなど精神的に大きな衝撃を受けていたこと(亡Xは発達検査の受検予定日の前日に自殺しており,自身が病気であるといわれたことやその検査をすることが心理的負担となったことがうかがわれる。),⑦亡Xが祖父母宅から金員を盗んだ上に嘘をついて隠蔽しようとしたことについて,被告少年らによる恐喝を疑う原告甲から執拗に厳しく金員の使途を追及され,叱責されながら手書きで繰り返し反省文の書き直しをさせられたことで心理的圧迫を受けていたこと等,被告少年らの行為とは別の多数の要因が亡Xの自殺に強く影響しており,被告少年らの行為と亡Xの自殺との間に事実的因果関係は存在しない。イ
被告少年らの行為は,仮に亡Xの自殺の一因となっているとしても,苛烈で執ようなものでも長期間にわたる反復継続的なものでもないから,亡Xの自殺によって生じた損害は通常損害ではなく特別損害である。そして,被告B1の亡Xに対する行為の内容や,そもそも被告B1が自らの行為についていじめに当たるとの認識すら有していなかったこと等に鑑みれば,被告B1において亡Xの自殺を予見し,又は予見し得たといえないことは明らかである。

【被告Cらの主張】

被告C1の亡Xに対する言動の内容及び程度は前記⑴【被告Cらの主張】欄記載のとおりで,その関わりは限られている上,いずれも亡Xの同意や理解があり,亡Xの心理的負荷となるようなものではなかった。他方,亡Xの家庭環境についてみると,原告乙と亡Xの長姉は原告甲の言動を理由に亡Xの意向に配慮することなく自宅を出て別居し,原告乙は当初半年間の予定であった別居期間を延長している状況にあり,そのような中で,原告乙は,亡Xの死亡の前日に,いつ戻ってくるのか尋ねる亡Xに対して離婚も考えている旨返答していた。また,原告甲は,亡Xに対して,9月15日以降,亡Xが無断で外泊やUSJに行くなどしていたことを知って亡Xのふくらはぎを掃除用具の柄でたたき,同月21日には亡Xが自己名義の預金を無断で引き出して使用していたことを知って金員の使途を書き出させたり,テストの成績が良くなるまでという条件でゲーム機を取り上げ,以後の外出や外泊を禁止するなどし,同月25日には亡Xが祖父母宅で金員を窃取していたことを知って児童支援機関に相談したところ発達障害の可能性を示唆されたことから亡Xに対して病気かもしれないと述べ,いら立った亡Xが投げ捨てるような言葉を残して自宅を出て野宿をするような状況を作出し,亡Xの自殺の数日前には祖父母宅から現金を持ち出した件について複数回反省文を書かせ,亡Xの自殺の当日にはパンの袋が放置されていたことの注意のため2回にわたり電話をするなどしていた。これらの家庭環境や原告甲との関係性が亡Xにとって心理的負荷となっていたと考えられること等も併せ考慮すれば,被告C1の言動と亡Xの自殺との間に事実的因果関係は存在しないというべきである。

上記の点に加え,亡X,被告A1及び被告B1とは学級も異なり亡Xとの接点も希薄で,自身が居合わせていない場面で亡Xと被告A1及び被告B1との間でどのようなやり取りがあったのかも把握していない被告C1が亡Xの自殺を予見することなど到底不可能であるから,被告C1の言動と亡Xの自殺との間には相当因果関係も存在しないというべきである。



被告少年らの責任能力の有無
【原告らの主張】
被告少年らのいじめは,いずれも極めて悪質かつ重大で,卑劣なものであるが,そのほとんどが公衆の面前で繰り返し行われており年齢相応ではない短絡的なものといえること,被告少年らが亡Xの自殺後も死者に対する冒とくを繰り返し,反省の色は皆無でいじめを受ける側の心情に思いを致すことができないこと等に鑑みれば,当時,被告少年らは,法律上非難され何らかの法的責任が生じることを認識し得る精神能力を有しておらず,道徳上非難されることを認識する知能も欠いており,責任能力がなかったことは明らかである。
したがって,被告父母らは,民法714条に基づく損害賠償義務を免れない。
【被告Aらの主張】
被告A1は,本件当時,中学2年生の通常の生徒であり,自己の行為の法律上の責任を弁識するに足りる知能を備えていない者であったことをうかがわせる事情は存在しないから,責任無能力者であったといえないことは明らかである。
【被告Bらの主張】
否認ないし争う。
【被告Cらの主張】
被告C1の年齢からして,本件当時に被告C1が責任無能力者であったといえないことは明らかである。


被告父母らの監督義務の懈怠の有無等
【原告らの主張】

被告A2及び被告A3について
被告A2及び被告A3は,中学2年生の頃には被告A1の学習意欲が落ち,夏休みの宿題をしなくなったのに指導を疎かにしており,10月5日に被告A1が亡Xとけんかをしたとして本件中学校から呼出しを受けた際にも,被告A1が亡Xを殴り無理矢理に殴り返させていることや周囲には日頃の様子をいじめと心配する声があるという状況を認識しながら,いじめではないという担任教諭の言葉を鵜呑みにし,その場限りの表面的な指導や雑談の中で言及するに留まっており,適切な措置を執らずにこれを放任した。
被告A2及び被告A3が被告A1の動静を日頃からきめ細かく観察し,真剣に向き合っていれば被告A1によるいじめは回避できたはずであるから,被告A2及び被告A3の監督義務の懈怠と亡Xの死亡の結果との間には因果関係がある。

被告B2及び被告B3について
被告B1は,中学生になると欠席や遅刻が増えて怠学するようになり,中学1年生の2学期には万引きと喫煙で警察に補導され,9月9日には他の生徒と机の片付けに際して言い争いとなり,腰に机をぶつけられたことに立腹し硬い水筒を投げてその生徒の頭に当てるなど,怠学・万引きに留まらず他者への暴力行為が現れ,その非行性が深まっていたほか,夏休みには亡Xを連日のように自宅に呼んで週2回程度宿泊させ,深夜にも招き入れるなど問題行動が生じていたところ,被告B2及び被告B3はしばしば本件中学校から呼出しを受けるなどしてこれらを知りながら,時に表面的な注意をする程度で,被告B1の指導を行えるだけの関係性を築くこともなく放任していた。
被告B2及び被告B3が被告B1の動静を日頃からきめ細かく観察し,真剣に向き合っていれば被告B1によるいじめは回避できたはずであるから,被告B2及び被告B3の監督義務の懈怠と亡Xの死亡の結果との間には因果関係がある。


被告C2及び被告C3について
被告C1は,中学生になると欠席や遅刻が増え,授業を妨害し,怠学するようになったが,被告C2及び被告C3は,これを知っていた上,被告C1の授業妨害や粗暴な言動,万引き等について何度も本件中学校から呼出しを受け,被告C1が文化祭前頃には他の生徒の乳首を強くつまむなどして負傷させたことについて被害者の下に謝罪に行ったこともあるのに適切に対処することなく放置しており,9月12日頃には被告C1が登校せずにコインランドリーのトイレに1日籠もり,10月7日頃には朝の6時半頃に自宅を飛び出すなど明らかな問題行動に及んでいたのに適切な指導をしていなかった。
被告C2及び被告C3が被告C1の動静を日頃からきめ細かく観察し,真剣に向き合っていれば被告C1によるいじめは回避できたはずであるから,被告C2及び被告C3の監督義務の懈怠と亡Xの死亡の結果との間には因果関係がある。
【被告Aらの主張】

そもそも前記⑴【被告Aらの主張】ア記載の被告A1の行為は不法行為と評価されるものではなく,亡Xの自殺との間に事実的因果関係も存在しないから,被告A2及び被告A3に不法行為責任は生じない。

この点をおくとしても,亡Xが苦痛に感じたとされる被告A1の行為は10月5日のトイレ内での出来事のみであるところ,被告A3は,当日に呼び出されてア教諭から状況の説明とともに当該行為を亡Xに対するいじめとは認識していない旨の報告を受けた後,被告A1から事情を聞いた上で注意し,被告A2にも報告しているのであるから,被告A1の行為に対する監督義務は尽くされている。また,仮に,当該監督義務の不履行があったとしても,被告A1は以後亡Xに対して苛烈ないじめと評価されるような行為をしておらず,その後に原告乙からの離婚の意向の告知や原告甲からの叱責を受けて同月11日に亡Xが自殺したという経緯があることや,被告A1と亡Xの関係性,亡Xの家庭環境等を被告A2及び被告A3が知り得なかったことに鑑みれば,被告A2及び被告A3に故意又は過失があるとはいえないし,被告A2及び被告A3の監督義務違反と亡Xの自殺との間に事実的因果関係や相当因果関係があるともいえない。


被告A2及び被告A3は被告B1及び被告C1の亡Xに対する行為など知り得ず,被告B2及び被告B3の被告B1に対する指導状況,被告C2及び被告C3の被告C1に対する指導状況についても知り得ないから,被告A2及び被告A3と他の被告らとの間で共同不法行為が成立する余地はない。
【被告Bらの主張】
被告B2及び被告B3は,前記⑴【被告Bらの主張】ア記載の被告B1の亡Xに対する行為について本件中学校から知らされたことはなく,全く関知してないから,被告B2及び被告B3には被告B1の行為や亡Xの自殺について予見可能性がなく,相当因果関係は存在しない。
【被告Cらの主張】
そもそも前記⑴【被告Cらの主張】ア記載の被告C1の行為が不法行為と評価されるものではなく,亡Xの自殺との間に事実的因果関係も存在しないから,被告C2及び被告C3の監督義務が問題となる余地はない上,被告C2及び被告C3は,クラスになじむことができずに遅刻や早退が増加しているという被告C1が当時抱えていた問題に対して情報を共有し,被告C1を諭して出席を促すなど適切な対応をしていたのであり,監督義務の懈怠と評価されるような事情は存在しない。


損害の有無及びその額
【原告らの主張】

亡Xの損害
逸失利益

3959万7157円

亡Xは,死亡当時14歳であったから,平成21年度賃金センサス産業計・企業規模計・男子労働者・学歴計・全年齢平均賃金529万8200円を基礎とし,就労可能期間を18歳から67歳までとし,生活費控除率を5割とすると,逸失利益の額は3959万7157円となる(529万8200円×(1-0.5)×14.9474=3959万7157円。小数点以下切り捨て。以下同じ。)。
慰謝料

2000万円

亡Xは,被告少年らのいじめにより悩み,苦しみ抜いた末に14歳で命を絶たなければならなかったのであり,その精神的,肉体的苦痛に対する慰謝料の額は2000万円を下らない。

原告らの損害
慰謝料

各500万円

亡Xは,心の優しい,友人や後輩を大切にする,ムードメーカー的存在であり,中学2年生という難しい時期にあっても,原告らが将来を楽しみにし,愛情を持って育てた大切な息子であった。その亡Xをいじめによる自殺という最も悲しい形で失った原告らの精神的苦痛は言葉では表し難く,その悲しみが薄れることはない。それにもかかわらず,いじめが存在したとの教育委員会の判断を独善的な観点から批判する文書が配布され,亡Xの自殺の責任が原告甲にあるかのような内容の電子メールが送付されるなどして,原告らの精神的苦痛はより大きなものとなっている。こうした原告らの精神的苦痛を慰謝する足りる金額は,各自500万円を下らない。
葬儀費用

弁護士費用

60万円
各350万円

亡Xからの相続分と原告らの損害の合計額は,原告ら各自につき,3509万8578円であるから,弁護士費用の額はそれぞれ350万円とするのが相当である。

小計
以上によれば,原告ら各自の損害額は3859万8578円となり,大津市との和解の際に2分の1に分けた被告らに対する損害の額は,原告ら各自につき1929万9289円となる。

【被告らの主張】
争う。


損害の填補の有無
【被告らの主張】
原告らは,亡Xの自殺に関し,独立行政法人日本スポーツ振興センターからの災害共済給付金(死亡見舞金)2800万円と大津市からの和解金1300万円の合計4100万円を受領しており,既に損害が填補されている。
【原告らの主張】
原告らに対する大津市等からの既払金4100万円については,大津市に対する請求金額(元本と遅延損害金で4100万円を超える額)に充当され,被告らに対する請求について損益相殺等の影響が生じるものではない。
第4当裁判所の判断
1前記前提となる事実,後掲各証拠(ただし,後記認定に反する部分は採用しない。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。なお,認定事実の末尾に付記した【1】などの数字は,別紙一覧表の行為番号を指す(ただし,その一部のみを含む場合もある。)。
⑴ア

亡Xは,平成22年4月に本件中学校に入学した男子生徒であり,卓球部に所属しており,2年生当時の身長は170センチメートルを超えていた。亡Xは明るく温厚で,親しみやすい性格であり,級友の笑いを誘うような目立った言動も見られ,周囲の雰囲気を和ませる人柄であったが,学校生活では,整理整頓が不得手で,字が汚く,忘れ物や提出物の不提出が多かった。なお,亡Xは,級友からは,自信家の側面もあるとも見られており,本件中学校の教員らからは,規範意識が十分でなく,人と違うことをしたり困らせたりして自分に興味を持たせようとする傾向があって,多少の配慮を要する生徒である,自分より立場が下だと思う生徒には余計な干渉をして授業中にも迷惑を掛けるが,立場が上だと思う生徒には何も言えずに従っており,ルーズな面が目立つとも見られていた。(甲49,51,52,55,57,103,105,121,225,226,457,乙イ3の7,乙ロ20の1,証人ア,原告乙本人)
亡Xは,本件中学校入学当時は自宅である原告甲宅で原告ら及び二人の姉と生活していたが,原告ら夫婦の間ではさ細なことで口論に発展することが頻繁にあり,口論の際に原告甲から気違いと言われたことを契機に,2月20日以降,原告乙が自宅から自転車で5分程度の距離に位置する自身の実家の銭湯から更に徒歩二,三分程度の距離に位置するアパートで別居して生活するようになった。亡Xは,週に一,二回,原告乙の別居先を訪問していた。(甲477,478,乙ロ3・乙ハ44・乙ニ7(いずれも同一の平成24年11月4日付け原告乙の警察官調書。以下原告乙調書という。),証人丁,原告甲本人,原告乙本人)
亡Xについては,当時在籍していた小学校が原告甲の亡Xに対する言動を長姉から聴取して相談センターに虐待通告をしたことがあったが,2か月間亡Xのモニタリングが継続された後,虐待事象が確認されなかったとして,案件の係属が終結された。また,亡Xは,本件中学校に入学した平成22年4月頃,背の低い生徒に対してチビとからかって殴られたこと,同年9月頃に隣の学級の生徒に死ね死ね‥との電子メールを送ったこと,すれ違いざまに当該生徒の肩をたたくことを繰り返したこと等についてそれぞれ指導を受けたことがあった。亡Xがこれらの指導を受けた際には,原告らも本件中学校に呼び出されたが,原告甲は,教員の前や自宅で亡Xの頭部等をたたいて叱っており,翌日に亡Xの足等にあざを確認した当時の担任教諭が尋ねたところ,亡Xは原告甲にたたかれて生じたと申告していた。他方,原告乙は,本件中学校で実施された三者懇談会の際に亡Xの学習及び生活の態度を叱責し,感情的になって一人で帰宅することがあり,そのような言動について教員から留意されていた。(甲226,454の2,455,乙イ4の1,17,原告甲本人)

被告A1は,亡Xと同学年の男子生徒で,水泳部に所属しており,2年生当時の身長は170センチメートル程度であった。被告A1は,目立ちたがりで,自ら面白いことをしたり,他人をからかったりすることで皆を笑わせて注目を集めようとするところがあり,級友からは,人の輪の中心にいるような存在で,優しくて思いやりがある面も有していると評される一方で,力が強く,悪ふざけが過ぎて騒々しい,人をからかう際に以前より乱暴になったなどと思われていた。また,教員の中には,被告A1について,一見すると好印象であるが,教員が見ていないところでは手を抜く面や,けんかの際の形相等に凄いものがあり,表裏のある人物であると見る向きもあり,部活動の際の練習の態度が良くないとの評価も受けていた。(甲11の1・2,49,51,52,55,57,60,225,乙ロ20の1,証人ア)


被告B1は,亡Xと同学年の男子生徒で,入学当初はサッカー部に所属していたが,1年生のうちに退部しており,2年生当時の身長は160センチメートルを少し超える程度であった。被告B1は,級友からは,明るい人物であるが調子に乗りすぎて悪ふざけが過ぎるような面や,人の悪口を陰で言う傾向があり,すぐに逆上し物に当たったりする短気で激しいところがあると評され,教員からは,学力が低く,学習や学校生活の面では無気力であり,授業中に近くにいる生徒に余計な干渉をすると評価されていた。
被告B2は,被告B1が1年生の時,万引き及び喫煙の疑いで本件中学校から1回ずつ呼出しを受けたことがあり,万引きの件については,被告B1が万引きを認めたので,万引きがいけないことであると指導した上で,万引きをした店舗に被告B1と共に謝罪に赴き,喫煙の件については,被告B1が喫煙の事実を否定し,その場に居合わせただけであると説明したので,そのことを前提にした指導を行った。
なお,被告B1の出席状況は,1年生に5日欠席,65日遅刻,2年生1学期に1日欠席,19日遅刻,2学期(10月7日まで)に14日遅刻というものであった。
(甲51,55,57,60,225,226,乙イ24の1,25,26,乙ハ56,証人ア,被告B2本人)

被告C1は,亡Xと同学年の男子生徒で,入学当初は柔道部に所属していたが,1年生のうちに退部していた。被告C1は,級友からは,明るい性格で,よく冗談をいう人物であると評されていたが,他方で,プライドが高く,逆上しやすい部分があり,周囲の状況を考えないことがあるとも評され,教員からは,授業中に授業の妨げとなるような大声を出したり,歌を歌ったり,他の生徒に余計な干渉をしたり,授業中に歩き回って退室したりして迷惑を掛けていると評価されていた。このため,被告C3は,本件中学校から,複数回,被告C1が授業の妨げになる行為に及んで注意されることがあった旨の報告を受け,その都度,被告C1に対し,人の迷惑になることをしてはいけないと指導した。
被告C1の出席状況は,1年生に欠席8日,遅刻18日,2年生1学期に欠席9日,遅刻16日,2学期(10月7日まで)に欠席7日,遅刻5日であった。
(甲49,51,55,60,225,226,318,381,乙イ5の2,26,被告C3本人)

⑵ア

亡Xと被告A1及び被告B1は,2年生になるまで互いに面識はなかったが,クラス替えによって4月から2年3組のクラスメートとなり,亡Xと被告B1の教室内での席が近かったことや,3名が携帯型ゲーム機の同じゲームを愛好していたこと等もあって親しくなり,5月中旬頃以降,被告A1と共通の小学校の出身である他の2名のクラスメートと共に,休み時間や部活動に参加しなかった日の放課後を一緒に過ごすようになり,やがて昼食も一緒にとるようになった。(甲44,49,51,52,55,60,475,乙ロ20の1,乙ハ56)
1学期には,被告A1,被告B1及び亡Xを含むその周辺の生徒の間では,休み時間に廊下等で,互いの肩を持って相手に足をかけて転ばせようとするこかし合いや,相手の首に背後から腕を回して後ろに引っ張り,時にそのまま床に転んだりする首絞め,相手のズボンを下ろすズボンずらしが遊びとして行われていた。この頃,こかし合いは被告A1及び被告B1が互いに又は亡Xやその他の者に仕掛けることが,首締めは被告B1が被告A1や亡Xに対して仕掛けることが,ズボンずらしは被告A1が他の者に仕掛けることが多く,亡Xがこれらの遊びを被告A1及び被告B1に仕掛けることはほとんどなかったが,こかし合いで亡Xが勝つことや,亡Xが被告A1及び被告B1以外の友人に身体的接触を伴う技を仕掛けることもあった。(甲44,52,60,406,475,乙ロ20の1,乙ハ33,56)
亡Xは,1学期の後半頃には,休日等に被告A1や被告B1の自宅を訪れるようになり,被告A1及び被告B1が連れだって亡Xの自宅を訪れたことも少なくとも一度はあった。(甲55,60,乙ロ20の1,乙ハ56)

他方,亡Xについては,6月21日,ある生徒がペンを持ち去られたとしてア教諭に訴え出たところ,亡Xが持ち去っていたことが判明したというトラブルがあり,ア教諭が原告甲にその旨を連絡した翌日,亡Xから原告甲にたたかれた,家には連絡をしないでほしいと告げられたことがあった。(乙イ12の4ないし7,証人ア)
7月頃,公立高校の2年生であった亡Xの長姉が,原告甲から注意を受けたことを契機に原告甲宅を出て,原告乙の下で生活するようになった。(甲477,478,乙イ4の1,甲302・乙ロ4・乙ハ39・乙ニ8(これら4通はいずれも同一の平成24年10月20日付け亡Xの次姉の警察官調書。以下次姉調書という。),原告甲
本人)
原告甲は,7月の三者面談の際,ア教諭から亡Xが提出物を期限内に出せないことを指摘され,交付された成績表の成績も悪かったことから,同月20日以降,亡Xと次姉を自宅近くの学習塾に通わせるとともに,成績が向上するまでとの約束で携帯型ゲーム機等を取り上げ,亡Xの趣味であるコンピューターゲームをすることを禁止した。(甲10の1・2,乙ハ45,原告甲本人)
しかし,亡Xは,別居した原告乙から,お年玉等が預け入れられた亡X名義の郵便貯金口座(以下本件貯金口座という。)のキャッ
シュカードを亡Xのものであるとして渡されており,幾許かの預金を下ろすこと自体については原告乙の了承を得ていたところ,同月22日,本件貯金口座から7万円を引き出し,原告甲に取り上げられたものとは別の機種の携帯型ゲーム機及びこれに対応するゲームソフトを購入した。(乙ロ19,乙ハ40,45,原告甲本人,原告乙本人)⑶ア

夏休みになると,亡Xは,週に数回以上被告Bら宅を訪れるようになり,そのうち週に一,二回程度は,原告甲に無断で被告Bら宅に宿泊した。また,亡Xは,被告少年らと花火大会に出掛けたり,原告甲に無断で被告A1及び被告B1と3人でUSJに行って遊んだ後,被告A1と共に被告Bら宅に宿泊したりするなどしており,深夜に被告Bら宅を訪れ,このような時間に一人で帰らせられないので宿泊するよう被告B2に勧められて被告Bら宅に宿泊することもあった。(甲8,60,乙ハ56,59,61,62,被告B1本人,被告B2本人)

亡Xは,夏休みを上記のように被告B1や被告A1と過ごす一方で,原告乙宅や原告ら双方の祖父母宅にも宿泊しており,この間,自己名義の本件貯金口座から,7月28日に3万円,8月1日に2万4000円を引き出したほか,同月19日以降9月25日頃まで,原告らの双方の実家から,それぞれの祖父母等の金員を数千円から数万円ずつ複数回無断で持ち出して遊具等の購入に充てていた(なお,亡Xは3月頃から銭湯を営む母方祖父母宅から金員を持ち出していた。)。(乙ロ5の2・乙ハ40,45,46,原告甲本人)


この頃,亡Xは,卓球部の友人に対し,自身の状況について家出をしているなどと述べていたが,原告甲及び次姉と天橋立に泊り掛けで旅行し,海水浴やバーベキューを楽しむなどもしていた。(甲456,乙イ7の10,証人丁)

⑷ア

9月に2学期が始まると,2年3組の中で席替えがあり,亡Xは被告B
1の後ろの席になった。(乙ハ44,56)
また,被告C1は,2学期以降,休み時間などに2年3組を訪れて被告A1,被告B1,亡Xらと過ごすようになり,やがて一日に2回から4回程の頻度で2年3組を訪れるようになった。(甲49,51,55,57,60,乙イ5の2,乙ニ16,20,)

被告A1は,夏休みの課題に手を付けず,2学期になっても未提出のままであり,ア教諭からは,2学期になって言葉遣いが乱暴になり,授業中にノートを取らないなど怠惰な態度を示すようになった,いらいらした様子を示すことがあり留意する必要があると評価されていた。(証人ア,被告A1本人)
被告B1は,2学期に入った後,9月9日に2年3組の女子生徒に水筒を投げてぶつけたとして,教諭に自宅の訪問を受けたことがあり,被告B2は,被告B1に対し,先にやられたとしても物を投げてはいけないと指導したことがあった。被告B1は,同月13日は7時間目の授業に出席せずに無断で下校し,同月14日は2時間目及び3時間目の授業を無断で欠席するなどし,同月15日に母子で指導を受けた。また,被告B1は,同月16日,被告C1と共に2年3組の男子生徒の胸部をつねって負傷させたが,当該生徒は後難を懸念して同じ学級の被告B1については被害を申告しなかった。(甲57,140,乙イ7の1・8・9,16の3,被告B2本人)
被告C1は,2学期に入った後,9月8日は帰りの会に出席せずに下校し,同月12日は理由なく欠席して1日コインランドリーのトイレに籠もるなどしたため,母子で指導を受けた。また,被告C1は,同月16日,被告B1と共に2年3組の男子生徒の胸部をつねって負傷させたことから,被告C3と共に上記男子生徒宅に謝罪に赴いたことがあった。さらに,被告C1は,10月5日,ライターを所持していたことが発覚して本件中学校から被告C3にその旨連絡されたことがあったほか,同月7日には午前6時30分に自宅を飛び出したことがあった。(甲57,140,乙イ7の6・8・9,12の2・3,被告C3本人)

本件中学校内では,2学期が始まった後も,亡Xと被告A1及び被告B1は,周辺の生徒らを含めた1学期と同様のグループで過ごすことが多かったが,9月半ば頃には,教室や廊下において,被告A1がこかし合いによって下に組み敷かれた亡Xをそのまま押さえ込んだり,首締めや相手の頭を脇に抱えて絞めるヘッドロックをして倒された亡Xの上にまたがって押さえ込んだりするほか,被告B1が被告A1による押さえ込み等に加勢したり,自ら亡Xに首絞めやヘッドロックをしたり,被告A1及び被告B1が肩パンと称して亡Xの身体を殴るなどして,亡Xが痛がったり,苦しそうにしたりする素振りを見せることが増えるようになった。また,被告A1及び被告B1は,個別に,又は協力して,亡Xに対するズボンずらしを行い,時には亡Xの下着や臀部が露出するほどズボンを下げることもあった。これらの状況を目撃した生徒らの中には,被告A1及び被告B1からそのような行為をされた際やその直後に亡Xが笑っている場面を目にしたことがあっても,亡Xが一方的にやられている,やり過ぎではないかといった印象を抱く者が相当数存在した。【32】【37】(甲44,52,92,93,106,119,120,149ないし159,223,227,309,378ないし380,406,475,476,乙ロ2。この点,被告A1は,ズボンずらしを1回やったこと以外の事実は否認し,被告B1も上記各事実を否認するが,多数のクラスメートが上記事実を目撃した旨警察官に供述していたのであり,その内容も相互に符合しているから,上記各証拠により上記事実を認めることができる。なお,被告A1は,亡Xに肩パン等をしたことを自認していた(甲238,309,乙ロ6の2)。)また,被告A1は,9月8日に本件中学校のグラウンドで体育祭の綱引きの予選が行われていた際に,体育座りをしていた亡Xに対し,後ろから近づいて亡Xの頚部に腕を巻き,そのまま亡Xの身体を被告A1の体の上に乗せるような形で後ろに倒れ込み,亡Xの頚部を絞める首絞めを仕掛けたり,亡Xの上に乗って肩を押したりするなどした。被告B1も,上記予選の際,うつ伏せになっていた亡Xの腰の辺りにいきなりまたがるように座り,亡Xの頚部に腕を回して亡Xの身体を後ろにのけ反らせるように引っ張るなどした。これらの行為を仕掛けられた亡Xは苦しそうな様子で,解放された後もつらそうな表情であった。【37】(甲33,56,61,141の1,309,406,乙イ7の8,7の10,被告A1本人。この点,被告A1及び被告B1は上記事実を否認するが,被告A1自身が亡Xの背後から手を首に回して引き倒したことを自認し(甲33,61,被告A1本人),かつ,1学期は亡Xと昼食を共に取っていた仲の良いクラスメートが明確かつ具体的に被告A1による上記行為を目撃した旨警察官に供述していたのである(甲141の1)のであるから,上記各証拠により被告A1の行為に係る上記事実を認定できる。また,被告B1は,亡Xにまたがってその身体をのけ反らせるように引っ張ったことを自認していた(甲56)のであるから,被告B1の行為に係る上記事実も上記各証拠により認定できる。)このような状況が続くと,日頃は皆が笑うような態度で応じることの多い亡Xの反応が乏しくなることが増え,そのことに対しても被告A1及び被告B1が苛立ちを見せるようになっていたが,そのような時間が過ぎると,亡Xは再び何事もなかった様子で被告A1及び被告B1らと行動を共にしていた。なお,亡Xが被告A1及び被告B1に対して両被告からされているような態様で手を出すことはなかった。(甲52,93,105,106,309,379)
また,被告A1及び被告B1は,亡Xの筆箱又はその中身や亡Xの弁当を隠すことがあったほか,9月の中旬頃以降,亡Xの眼鏡を取り上げ,これを隠したり,返すように求めて追い掛ける亡Xを面白がってからかうということが複数回あった。【20】【38】(甲33,74,105,108,357,乙イ2の9・16・60ないし62・65,5の1。この点,被告A1及び被告B1は上記各事実を否認するが,被告A1自身,その可能性を否定しておらず(甲33),被告B1もその事実を自認していた(甲56)上,複数のクラスメートが上記事実を目撃した旨警察官に供述していたのであるから,上記各証拠により上記事実を認めることができる。)
他方,学校外では,亡Xは,少なくとも,9月頃以降,被告A1及び被告B1と共に,複数回,近隣の商業施設で文房具や菓子等を万引きするなどしていた。(甲10の1・2,337,乙イ2の61,7の9,乙ハ56,被告B1本人)
⑸ア

ア教諭は,9月15日午後5時頃,被告B2から,夏休み中に亡Xが頻繁に被告Bら宅に宿泊しており深夜に訪れていたことや,USJに被告B1及び被告A1と出掛けたこと等を知らされ,同日午後6時45分頃,これらの状況を原告甲に電話で告げた。(甲477,乙イ3の7,7の6,12の4,16の3,乙ハ45,62,証人ア,被告B2本人)これらの無断外泊や遠出を知らなかった原告甲は,同日,体調不良で早退して自宅にいた亡Xを詰問したが,亡Xが当初はこれらを否定しようとし,さらに,詰問の過程で判明した亡Xの所持する本件貯金口座のキャッシュカードについて原告甲の財布から抜き出したものと誤解した上で,亡Xが明らかに事実と異なる説明や曖昧な説明をしたとして,激しく怒り,亡Xを怒鳴り付けて顔や頭をたたいたり,体を蹴ったりするなどした上,掃除用具の柄で亡Xのふくらはぎを複数回たたく罰を与え,見かねた次姉から制止された。(甲10の1・2,乙イ3の7,7の8,12の4,乙ハ40,45,次姉調書,証人丁,原告甲本人)
その後,亡Xは,自宅を出て母方の祖父母宅に行き,同日午後8時頃,同宅から本件中学校にア教諭と話したいと泣きながら電話をしたが,ア教諭は帰宅した後であった。亡Xは,その日は母方の祖父母宅に宿泊した。(甲258,乙イ3の7,7の4,12の1・4ないし7,16の3,次姉調書,証人ア)
亡Xは,翌16日も体調不良で学校を欠席したが,夕方,自宅に電話をしてきたア教諭に対し,昨日の状況を説明し,ア教諭から原告甲に話す前に亡Xに話してほしかった等と述べた。なお,亡Xは,その後数日間は,原告甲とまともに口をきかなかった。(甲5の2,乙イ12の1・4ないし7,16の3,証人ア)

原告甲は,台風の影響で休校となった9月21日,亡Xが本件貯金口座から引き出していた金額を確認し,亡Xにその使途をノートに書き出させたが,掲記された使途が全てであるとは思えず,亡Xが何者かに金員を取られている可能性があると考えた。また,原告甲が亡Xの部屋に携帯型ゲーム機等があるのを発見して亡Xに問い質したところ,亡Xは,実際には自らが購入したものであったが,事情を知らない原告甲に被告A1から借りたものであると説明した。これらの状況や,亡Xが被告Bら宅に無断外泊していた状況を受けて,原告甲は,同日,亡Xを伴い,被告Bら宅を訪れ,被告B2に対し,迷惑を掛けたことを謝罪し,以後は子ども同士の遠出や外泊をさせない意向であるので承知しておいてほしい旨告げた。亡Xは2学期が始まった後も被告Bら宅を訪れており,以前から連休中の9月23日に宿泊する約束をしていたが,上記の際に被告B2からこれを知らされた原告甲は,同日の被告Bら宅での宿泊についても断った。また,原告甲は,亡Xと共に被告Aら宅を訪れ,応対した被告A1に対し,上記ゲーム機を返却する趣旨で手交し,後刻に電話連絡のあった被告A3に対して今後の亡Xの交遊の方針について被告B2に告げたのと同趣旨の発言をした。なお,被告A1は,原告甲と亡Xが訪れる前に亡Xから話を合わせるように依頼されてこれを了承しており,亡Xの上記ゲーム機を自身のものとして受け取ったが,翌日学校で再び亡Xに上記ゲーム機を交付した。(甲8,10の1・2,477,乙イ7の6・10,乙ロ5の1・2,乙ハ45,46,62,原告甲本人,被告A1本人,被告B2本人)


この頃,亡Xは,被告A1及び被告B1らとの会話の中で,本件貯金口座から金員を引き出して使用していることが原告甲の知るところとなり,その金額が大きいので,亡Xだけではなく被告A1及び被告B1に何か買ってやっているのではないかと原告甲から疑われていること等を話題にした。被告A1及び被告B1は,疑われたことに腹を立て,原告甲を罵るなどした。(甲52,54,55,406,乙ハ56,57)⑹このような中,亡Xは,本件中学校内で,以下のような扱いを受けた。ア
被告B1は,少なくとも9月中旬頃から下旬頃にかけて,2年3組の教室
付近の廊下で,周囲に被告A1を含めた複数の男子生徒がいる状況で,複数回,仰向けに寝た状態の亡Xにまたがって抵抗する同人の頚部を絞めたり,同様に亡Xにまたがって手で防御している同人の顔面付近を殴打するなどした。この際,殴られる度に反動で亡Xの頭部が廊下の壁に繰り返し当たっている様子を目撃した女子生徒が被告B1に止めるよう注意したが,周囲の男子生徒のいずれかが遊びであるので大丈夫である旨述べるだけで,被告B1は,被告A1から制止されるまで亡Xを殴打し続け,制止された後もなお亡Xを足蹴にした。これを見た同級生らの中には,亡Xがいじめられているとの印象を持った者も複数存在した。さらに,被告B1は,この頃,被告A1やその他の級友もいる中で,亡Xを足蹴にしたことが複数回あり,被告A1も,2年3組の教室又はその付近の廊下で,亡Xを強く足蹴にしたり,顔面を殴打したりしたことがあった。【22】(甲44,91,111,112,118,186,227,234,370,371,378,381,382。この点,被告A1及び被告B1は上記事実を否認するが,2年3組の前を通行するなどしていたクラスメート及び同級生が上記事実を目撃した旨警察官に供述していたのであり,その内容も相互に符合しているのであるから,上記各証拠により上記事実を認めることができる。)

9月中旬頃から下旬頃にかけての授業中,被告B1が振り向いた際に後ろの席に座っていた亡Xの頬に黒色のペンを接触させたため,亡Xは授業終了まで頬を押さえて過ごし,帰りの会の前の休み時間に洗面所に洗い流しにいった。この様子を見ていた被告A1は,被告B1と相談して洗面所から戻った亡Xの顔にペンで更に落書きをすることを思いつき,帰りの会が始まる前の2年3組の教室内で,被告A1において亡Xを転倒させ,仰向けの状態の亡Xの背後から腕を首に回して圧迫するなどして押さえ込み,被告B1が馬乗りになるなどして,「嫌だ。」などと言って抵抗していた亡Xの顔に被告B1がペンで髭のような落書きをした。ア教諭が止めに入って被告A1及び被告B1は手を離したが,亡Xの様子を見た周囲は笑っていた。なお,亡Xもその後は笑いを浮かべ,再び落書きを洗い流すために洗面所に赴いていた。【9】(甲33,44,104,135ないし140,141の1・2,142ないし145,309,406,475,474,乙ロ20の1,23,24,乙イ2の44,乙ハ56,57,60,証人ア,被告A1本人,被告B1本人。なお,被告A1及び被告B1は亡Xが嫌がっていたことを否認するが,多数のクラスメートが亡Xは嫌がっていた旨警察官に対して供述していたのであるから,上記各証拠により上記事実を認定することができる。)

被告A1は,9月中旬頃から下旬頃にかけて,2年3組の教室内で,被告B1やその他の級友もいる中で,亡Xを床に倒し,その背後から羽交い締めにする首絞めやヘッドロックをすることが複数回あり,その様子を見かねたア教諭から制止されることもあった。【44】(甲11の1・2,44,92,93,106,証人ア。この点,被告A1は上記事実を否認するが,複数のクラスメートが上記事実を目撃した旨警察官に供述していたのであり,ア教諭も被告A1が亡Xに羽交い絞めをしていたが,ひどかったので,声掛け,あるいは,同教諭が被告A1に羽交い絞めを仕掛けた旨証言等していることから,上記各証拠により上記事実を認めることができる。)



他方,この頃,亡Xは,学校外では,以下のような状況にあった。ア
亡Xは,連休中の9月23日(金曜日・秋分の日)ないしその翌日から,自宅ではなく父方の祖父母宅に宿泊するなどしていたが,同月25日(日曜日)の朝,祖母の作った朝食を食べる際,涙を流しながら

こんなにおいしい朝ご飯を食べたことはない。

と繰り返し述べ,食事が終わって祖母とソファーに座っていた際,祖母の首に前から抱き付き,泣きじゃくりながら

暗くて静かな山の中に行って死にたいねん。

と述べた。亡Xの様子がおかしいと感じた祖母は,

つらいことがあったのか。

と尋ねたが亡Xからは応答がなく,重ねて

家でつらいことがあったのか。

と尋ねたところ,亡Xは首を横に振った。さらに,祖母が学校?と尋ねると,亡Xは首を縦に振った。祖母が学校でどんなことがあったの?と尋ねたが,亡Xは一切答えなかった。そこで,祖母は,亡Xに対し,

そんなにつらかったら学校は行かないでもいい。お父さん,お母さんに頼んであげてもいい。

と声を掛けた。(乙イ12の1・4ないし7,乙ハ45,原告甲本人)


そのようなやり取りをする一方で,9月25日,亡Xは父方の祖母の財布から数千円を抜き取った。同祖母からこれを知らされた原告甲が母方の祖父母にも確認したところ,亡Xが以前から双方の祖父母等の金員を複数回抜き取っていたことが判明した。亡Xは,その後に訪れた母方の祖母から金員の抜き取りについて注意を受け,その日の夜,父方の祖母からも,同様に注意を受けたが,その際,最後に我慢できなくなったら同祖母に連絡をしてほしい,そのときには一緒に暗い山の中でもどこでも行くからと伝えられた。(乙イ7の4・6・7,12の1・4ないし7)
他方,原告甲は,事態を重く受け止め,同日中に相談機関に電話で亡Xの様子を告げて相談し,軽度の発達障害がある可能性を告げられたことから,亡Xに軽度の発達障害があると思い込み,心療内科を受診させようと考え(その時期について,原告甲は中間テスト終了後と考え,9月29日の時点で発達検査は10月13日が受診予定とされていた。),自宅に戻っていた亡Xに対し,受診のため休校する必要がある関係からその都合を確認する際,何度も同じことを繰り返すのは病気かもしれんのやでなどと述べたところ,亡Xは,大変苛立った様子で病気であれば病気でよい旨一方的に言い放って自宅を後にした。結局,亡Xは自宅の近隣マンションの一階にあるソファーで一夜を明かした。原告甲は,9月26日午前1時頃まで亡Xを自宅で待っていたが寝入ってしまい,午前5時頃に目覚めて亡Xを探しにいこうとしたところ,午前6時頃に亡Xが帰宅した。(甲10の1・2,乙イ7の4・6・7,12の1・4ないし7,乙ハ45,証人ア,原告甲本人)

原告甲は,亡Xの金銭の抜き取りが判明した翌日の9月26日(月曜
日),本件中学校を訪れ,ア教諭らに対し,亡Xの行状と相談センターに相談したこと等について説明し,金銭の問題は亡Xに言わないように要望した。同日,遅刻して3時間目から登校した亡Xは,ア教諭に対し,原告甲とは話していないこと,祖母の財布から500円を抜き取ったことについて祖母から裏切られたと言われたこと,自宅にいてもいつも命令されて面白くないこと,父親,長姉及び次姉はいずれも亡Xより立場が上なので逆らえないことなどを話した。ア教諭は,原告甲の話を聞いて亡Xに発達障害がある可能性を否定できないと考えていたが,原告甲からの要望を踏まえてこれらの点には言及せず,家族に心配を掛けて掛けてはいけないなどと指導した。(甲5の2,10の1・2,乙イ3の7,4の1,7の4・6・7,12の1・4ないし7,16の3,乙ハ45,証人ア)


被告B1は,9月下旬頃,被告A1や級友二名がいる中で,被告B1が亡Xの首に紐をかけて絞めようとするのを亡Xが防いで脱出しようとする遊びをした際,亡Xが簡単に防御して脱出したことに苛立って立腹し,2年3組教室前の廊下において,かなり興奮した状態で,亡Xを転倒させ,倒れた亡Xの頚部を左足で強く踏みつけ,このままでは大変なことになると判断した被告A1によって制止された。亡Xは涙を流しており,頚部には跡が残っていたが,教室に戻って次の授業の担当の教諭やア教諭から首の跡について尋ねられた際には,次姉によって付けられた旨述べて本当のことを話さなかった。【23】(甲44,50,56,184,319,373ないし377,384の1・2,385,386,406,乙イ2の50,3の6,乙ハ48,56)


被告B1は,亡Xが遅刻して3時間目から登校した9月26日(月曜日)の授業中,後ろの席の亡Xの方を振り向くと,亡Xの筆箱からオレンジ色のインクペンを取り出し,やめてくれ等と述べて亡Xが嫌がる素振りを示しているのに,インクの芯の部分を取り出した上ではさみで切断し,インクがこぼれる状態にして亡Xの筆箱に戻すなどして,筆箱の内部や筆記用具等に広範囲にわたってオレンジ色のインクを多量に付着させた。この際,被告B1は,はさみで亡Xの消しゴムについても切断し,筆箱についても切れ目を入れて破損させており,こぼれたインクは,亡Xの両手や机,机上の教科書などにも多量に付着した。授業をしていた教師はこれに気付いて事情を尋ねたところ,亡Xは困ったような表情で

こんなんされた。

とは述べるものの,大丈夫などと答えるのみでそれ以上事情を説明ようとはしなかった。亡Xは,様子を見て気の毒に思った友人2名とその後の休み時間に筆箱等を洗ったが,筆箱等に付着したインクは水で洗っても十分にはとれなかった。【8】(甲44,50,56,105,120,141の1,193の1,325ないし329,333ないし337,474,乙ロ23,乙ハ56,61,被告B1本人)
このほか,時期は必ずしも明らかでないものの,被告B1が亡Xの筆箱を亡Xの席からゴミ箱に投げ入れたこともあった。【17】(甲56)⑽
被告A1及び被告B1は,9月26日又は同月27日,被告C1から譲り受けた制汗スプレーで遊んでいたところ,遅刻してきた亡Xに対し,遅刻した罰であるなどとして,亡Xが嫌がって抵抗しているにもかかわらず,被告B1において制汗スプレーの内容物が無くなるまで亡Xに制汗剤をかけ続けた。【10】(甲33,44,61,93,108,141の1,309,乙イ12の4ないし7,16の3。被告A1及び被告B1は,亡Xに制汗剤をかけ続けたことを否認するが,複数のクラスメートがこれを目撃した旨警察官に対して具体的に供述していたのであるから,上記事実を認めることができる。)


被告A1及びB1は,本件中学校の文化祭が行われた9月28日(水曜日)の昼休みに,2年3組の教室内で,亡Xがやめてよなどと繰り返し述べているにもかかわらず,亡Xの机の中にあった同人のテスト成績カード(生徒の試験の点数を保護者に知らせるために生徒を通じて学校から保護者に交付され,内容を確認した保護者が確認印を押して再び生徒を通じて学校に返還される方法で一年間使用されるもの。)1枚をその眼前で細かく破り捨てた。この際の亡Xの様子は,近くの席に座っていた生徒からは大変悲しそうに見えた。また,被告B1は,上記のテスト成績カードを破り捨てた際又はこれに近接する日時頃に,亡Xの英語の教科書の表紙を背の部分で引き裂くとともに,歴史の資料集の表紙を大きく引き裂き,テストに用いられた同人のプリントを引き裂いて小さく丸めるなどしたほか,同人の家庭科のプリントや文化祭のプログラムの表紙に,被告B1の印をそれぞれ十か所以上押印するなどした。【21】(甲44,50,56,61,64,105,106,119,121,140,141の1,193の1,344,345,348ないし356,358ないし360,406,474ないし476,乙イ2の44,15,乙ロ6の2,23,乙ハ52,56,被告A1本人。被告B1は,成績カードを破ったこと及び被告B1の印を押印したこと以外の事実を否認するが,複数のクラスメートによる上記事実を目撃した旨の警察官に対する供述があり,実際に,亡Xの英語の教科書及び歴史の資料集の表紙が破られた状態で残され,破られたプリントが修復された状態で残存していた(甲64,344,乙イ15)ことからすれば,上記各証拠により上記各事実を認めることができる。なお,被告A1は,本人尋問において,亡Xの成績カードを破ったことを自認している。)
なお,破られ丸められていた亡Xのプリントは,セロハンテープを貼り付けて補修されていた。また,亡Xのノートには,Xキモイシネ

などの記載がなされていた。(甲64,345,乙イ15)
後日,亡Xは,ア教諭から既に提出期限の徒過していたテスト成績カードの提出を求められたが,紛失したなどと述べてこれに応じず,再三の提出要求を受けて,10月3日の週に,友人に手伝ってもらってセロハンテープを貼り付けて補修した同カードを提出することとなり,その状態を見て使用に耐えないと判断したア教諭からテスト成績カードの再発行を受ける結果となった。(乙イ12の4ないし7,16の3,証人ア)

本件中学校の体育祭のあった9月29日(木曜日)に,体育祭の会場であったa陸上競技場において,以下の出来事があった。

被告少年らは,昼前後頃,a陸上競技場メインスタンドの2年3組の席として指定された観覧席付近において,亡Xを含む数名の友人と,あらかじめ罰ゲームを決めて,じゃんけんをして負けた者が,その罰ゲームを受けるというじゃんけん罰ゲームという遊びをしており,じゃんけんに負けた者が無関係の女子生徒に突然土下座ないし告白する罰ゲームをするなどして興じていた。
この中で,亡Xは,被告少年らを含む現場にいた生徒らのいずれかから,近隣の商業施設から万引きをしたと告白するよう要求され,その旨大声で告白させられた。【43】
また,手等を鉢巻きで縛るなどして拘束するということが罰ゲームの候補として挙がったが,参加者が皆そのような罰ゲームを前提としてのじゃんけんを嫌がっていたところ,参加者の間に亡Xでいいかという雰囲気が形成され,亡Xもじゃんけんをすることなく手等を鉢巻き等で拘束されることを了承した。その結果,被告少年ら及びその周りにいて一緒に遊んでいた者が,亡Xに対して,鉢巻きを用いて,その両手首を後ろ手で縛ったり,その両足首を縛ったり,亡Xの口にガムテープを貼るなどした(なお,このガムテープは被告C1が持ち込んだもので,この際,被告A1は,鼻で呼吸することが得意でない亡Xのために,口に貼られたガムテープを緩めた。)。さらに,そのような状態で亡Xの手を鉢巻きで手すりに結び付けたり,応援席に寝転がらせたりしたほか,亡Xの眼鏡を外し,両手首を後ろ手に縛られ口にガムテープを貼られた状態の同人を押したり蹴ったりして歩かせるなどした。また,この間,亡Xが,被告A1に背負われた状態で,被告B1,C1から足蹴にされたりしたこともあった。さらに,被告C1は,じゃんけん罰ゲームとして,亡Xのすねにガムテープを貼り付けて剥がすなどしたが,被告C1を含む亡X以外の者もこの罰ゲームを受けた。なお,被告A1はこのじゃんけんには参加しなかった。【39】【40】
ところで,亡Xに対する上記各行為は,a陸上競技場メインスタンドで体育祭を観覧する他の生徒がいる中で行われたもので,これを見た他の生徒の中には,止めるように注意する者,亡Xが見世物にされているとの印象を持った者,他の男子生徒に助けてあげてほしいと依頼する女子生徒も存在した。
(甲32ないし34,45ないし47,56,58,61,67,68,75ないし77,79,80,82ないし90,92,93,94の1・2,98,99,101,105,106,109,111,114,115,117ないし119,121,122,123の1・2,124,125,126の1・2,127,128の1・2,129,258,309,365,406,475,乙イ2の50,3の4,乙ロ20の1,23,乙ハ57,乙ニ16,被告A1本人,被告B1本人,被告C1本人。この点,被告らは,亡Xがその了解の下で手足を鉢巻きで縛られ,口にガムテープが貼られたこと以外の事実を否認するが,複数のクラスメートや同級生が上記各事実を目撃した旨警察官に具体的に供述しており,付近を通りかかって指導した教諭による警察官に対する供述とも符合するのであるから,上記各証拠により上記事実を認定することができる。なお,被告C1は亡Xのすねにガムテープを貼ってはがしたことを自認していた(甲56,58,128の3)。)

被告少年ら,亡Xらは,同日昼頃,a陸上競技場メインスタンドで,負けた者が付近に落ちていた蜂の死骸を食べるという罰ゲームを前提として,じゃんけんを行ったところ,亡Xが負けたものの,蜂の死骸を食べることを拒否して逃げ出したので,被告A1と被告B1が追い掛け,上記メインスタンドの階段踊り場で,被告A1が亡Xを転倒させ,腕で亡Xの腕等を押さえ,その状態の亡Xに対して,被告B1が手に蜂の死骸を持って亡Xに食べさせようとした。亡Xが止めてくれ等と必死に抵抗し,被告A1に背後から押さえられて仰向けになった状態で,絶対に口に蜂を入れさせないという様子で口を閉じたので,被告B1が亡Xの唇の上に蜂の死骸を乗せたところ,亡Xがこれを吹き飛ばし,これを契機に被告A1及び被告B1の行為は収束した。【41】(甲58,61,67,68,103,140,141の1,170,173ないし177,179,180,187,188,192,193の1・2,194ないし196,309,406,474,475,乙ロ20の1,乙ハ56,乙ニ406)

亡Xは,アンケートに,体育祭はa陸上競技場ではなく本件中学校のグラウンドで開催された方が良かったとの感想を記載していたが,これを提出することはなかった。(甲11の1・2)


被告B1は,文化祭等の後の9月30日(金曜日)から10月の初め頃の間の休み時間中,亡Xがいない間に,亡Xの机上に同人のスポーツバックを置いてその上で黒板消しをたたき,スポーツバックの内外や机をチョークの粉塗れにした。その後に自席に戻った亡Xはなんやこれなどと驚いていた。【14】(甲44,56,141の1,406)


ア教諭は,9月末頃から,日頃元気な亡Xの表情が暗いと感じており,同月30日には教室で2年3組の生徒が被告A1及び被告B1の亡Xに対する言動についてあれ,いじめちゃうんなどと指摘するのを聞き,放課後に亡Xに確認したが,亡Xは,特に問題はなく大丈夫という趣旨の回答をした。(乙イ10の5,証人ア)


9月29日又は30日頃,亡Xは,学習塾の帰りに,同じ学習塾に通う友人に,万引きしていると皆が言っているので,やめようと思って断ったら被告B1とかに殴られると話した。また,それまで,その塾において,亡Xが友人に俺死にたいわなどと力のない声で1日に二,三回告げ,友人が死ぬなよなどと声を掛けると,亡Xは分からんなどと応答
することが繰り返されていたが,体育祭の頃から死にたいという言葉を口にすることがなくなった。(乙イ2の15,6の2)


被告A1は,10月3日(月曜日)の昼休みに,2年3組の教室付近の廊下で,被告B1及び他の級友2名のいる中,

やり返してこい。

などと述べて亡Xの上半身を何度も小突くように殴り,亡Xが渋々ながら小突き返すと,更に力を強めて亡Xの顔面や上半身等を殴るなどし,その結果,亡Xの眼鏡がゆがんだ。被告A1と亡Xは,5時間目の授業が始まった後,被告A1は手指の痛みを,亡Xは頬の痛みをそれぞれ訴えてほぼ同時に保健室に行き処置を受けたが,イ養護教諭に対し,被告A1は荒々しい態度を示しながら亡Xの話し方にイライラしたので殴った旨,亡Xは表情の乏しい様子で顔を殴られて痛い旨,それぞれ述べた。処置を受けた亡Xは,2年3組の教室に戻った後,授業中,自席で机に顔を伏せていた。【45】(甲44,199,203ないし205,208,218ないし220,228,231,232,237,475,乙イ2の44,3の3・5・6・8,7の9,13の4。この点,被告A1は,ボクシングのまねごとをしていたにすぎないとして上記事実を否認するが,複数のクラスメートが上記事実を目撃した旨警察官に供述していた上,被告B1も被告A1が廊下で亡Xを一方的に殴り,亡Xが殴り返さなかったところを見た旨警察官に供述し(甲237),被告A1自身が,保健室において,イ教諭に対し,ボクシングのまねごとをしていたとの説明をしておらず,亡Xの話し方にイライラして殴ったと説明をしていたのであるから,上記各証拠により上記事実を認めることができる。)
ア教諭は,イ教諭から,5時間目の終了後,被告A1が亡Xの顔を殴ったこと,被告A1の様子がおかしいこと,早急に指導していく必要があることを告げられ,とうとうやりましたかなどと応答した後,帰りの会の際に亡Xに事情を尋ねたが,亡Xは,被告A1の手が顔に当たっただけで,大丈夫,大丈夫等と述べるにとどまったため,翌朝の2年生の教諭の打合せでは,大丈夫でしたと報告した。(甲134,205,乙イ10の5,16の3)

被告A1は,10月4日(火曜日)の帰りの会の前である午後3時20分頃,2年3組の教室付近の廊下で,亡Xの顔面,胸部及び腹部等を殴打するなどし,人だかりを見た本件中学校のウ教諭及びエ教諭が駆け付ける騒ぎとなった。この際,亡Xの反撃はほとんど奏効しておらず,途中から様子を見た生徒は,被告A1が亡Xを一方的に強く殴ったり蹴ったりしており,制止しないと危険だと感じていた。なお,上記教諭らが駆け付けた際には,興奮した様子の被告A1がいるだけであったが,上記教諭らが周囲の生徒に何があったのか尋ねると,被告A1と亡Xがけんかしていた旨告げられた。この際の状況は,駆け付けた教諭らから,当日にア教諭に,翌5日の学年の打合せにおいて本件中学校の2年生を担当する教諭らにそれぞれ報告された。【47】(甲44,109,113,185,222,224ないし226,229,258。この点,被告A1は,上記事実を否認するが,教諭らが駆け付けたというエピソード(なお,【49】とは別の機会・教員によるものである。)を伴って廊下で被告A1が亡Xを殴っていたことを目撃した旨の多数の同級生の警察官に対する供述があり,現場に臨場した教諭らの供述とも良く符合することからすれば,上記各証拠により上記事実を認めることができる。)
⒅ア

亡Xは,10月5日(水曜日),帰りの会の前の休み時間である午後2時15分頃から午後2時20分頃までの間,被告B1に眼鏡を取り上げられ,本件中学校中校舎3階男子トイレまで同被告を追いかけた。その場に居合わせた被告A1は,亡Xの言動が気に入らなかったことから,亡Xに殴っていいかと尋ね,いいと答えた亡Xの顔面を殴打し,
やり返さないともっと強くするぞと言った。亡Xは仕方なくといった様子で被告A1の腕の辺りを一発殴り返したところ,被告A1が亡Xの顔面や上半身を,亡Xが被告A1の上半身を,それぞれ複数回強く殴り合う状況となった。殴り合いは,被告A1の求めに応じて被告A1と亡Xが互いに抱き合う形で終了したが,亡Xの顔面にはあざができていた。この間,同トイレ及びその付近には,亡Xと被告A1のほか,被告B1,被告C1以外に二人の同級生が同トイレにいたが,被告A1以外の者が亡Xに手を出すこともこれを制止することもなかった。【49】(甲31,33,34,44,50,58,61,193の1,229,246,249,252ないし257,259ないし261,263ないし265,309,406,475,乙イ3の7,7の1・6・8・9,12の1・4ないし7,16の3,乙ロ6の1,20の1,23,乙ハ56,57,60,乙ニ16,被告A1本人。この点,被告A1は,亡Xに殴るから殴り返せと述べて1発ずつ殴り合った後に抱き合って教室に戻ったと主張し,上記事実のうち,これと異なる部分を否認するが,極めて多数の同級生が亡Xと被告A1のトイレでの殴り合いを目撃した旨警察官に供述していたのであり,しかも,このうち教諭に助けを求める行動に出た生徒もいたことからすれば,被告A1が主張するように1発ずつの殴り合いで終了したはずがなく,被告A1自身,キ教諭からの聞き取りに対し,何発か殴ったことを認めていた(甲309)のであるから,上記各証拠により上記事実を認定することができる。)
2年3組の女子生徒の数名は,垣間見えた上記トイレの中の様子や物音から亡Xが被告A1らから暴力を振るわれていると認識して,付近にいたオ教諭に対してはその旨を,2年3組の教室にいたア教諭に対しては亡Xがいじめられている旨を告げるなどして亡Xを助けるよう求めたが,オ教諭が駆け付けた際には,既に被告A1や亡Xは上記トイレから出てくるところであった。教室に戻ると,亡Xは,顔面のあざについて尋ねた級友に対し,自分でやったなどと説明していたが,被告A1及び被告B1は,女子生徒が教諭に報告したことについてちくんなやなどと不満を述べていた。(甲31,44,233,249,252,259,260,379,乙イ6の2,16の3)

ア教諭は,放課後に亡Xと被告A1を呼んで二人を同席させた上で事情を確認した。被告A1は,以前から亡Xに対してやり返すように言っていたのにやり返してこず,ウジウジしている話し方や態度に腹が立っており,今日もウジウジしていたので殴っていいかと尋ねて殴った旨述べた。他方,亡Xは,つらそうな表情をして,被告A1の殴るぞの言葉にいいよと答えると殴られ,亡Xからも被告A1の胸から肩の辺りを一発殴り,その後,数発ずつ殴ったこと,やり返さないともっと強くするぞと言われたので今日はやり返そうと思っていたこと,これまで強くやり返したことはなく,初めて強く殴り返したが,今日のこのことについては嫌だったこと等を述べた。ア教諭は,亡Xと被告A1に互いに謝罪をさせ,帰宅するためのバスの時刻が到来した被告A1が先に退出した。被告A1が退出した後でア教諭が亡Xに再び確認したところ,亡Xは,同教諭に対し,今日は嫌だったが,被告A1とは友達でいたいなどと述べた。(甲258,乙イ7の1,12の1・4ないし7,16の3,乙ロ6の1,20の1,証人ア,被告A1本人)

ア教諭は,同日中に原告甲と被告A3に子らを伴って来校するように求め,先に亡Xと二人で来校した原告甲及び後から一人で来校した被告A3に対し,学年主任の教諭と共に個別に面談し,被告A1及び亡Xの両名から聞いたトイレでの経緯や,今回の件について一部の生徒からいじめではないかとの指摘もあるが担任としてはけんかであると認識していること等について説明した。なお,被告A3は,被告A1のことで本件中学校に呼び出されたのは,入学直後の合宿でけんかをした件以来2度目のことであった。(甲225,226,乙イ3の7,7の8,12の1・4ないし7,16の3,乙ロ7の1・3,22の2,26,乙ハ45,証人ア,被告A3本人)
なお,原告甲は,同日までに,亡Xの部屋から以前に被告A1に返したはずの携帯型ゲーム機等を発見し,亡Xが被告A1の使い走りとして当該ゲーム機の所持を強いられているのではないか等と疑っていたため,ア教諭から学校に呼び出された際にこれを持参し,ア教諭との面談の前に,亡Xに対し,これから被告A1やその親に対して確認するが,当該ゲーム機は本当に被告A1から亡Xが借りたものであるのかについて,原告甲において真実を知っているなどと虚実を交えて質したところ,亡Xは,原告甲の疑念とは異なり,当該ゲーム機が被告A1のものではなく亡Xのものであることを明らかにした。(甲10の1・2,乙イ7の6,16の3,原告甲本人)
また,原告甲は,同日の面談の後,亡Xと共に近隣の商業施設に赴いたところ,被告A1や被告B1を見かけ,被告A1がア教諭からの呼出しに応じていないことを不快に思うとともに,被告A1及び被告B1らの態度に万引き等のよからぬことをしているのではないかと疑念を抱き,亡Xに対し,被告A1や被告B1らと当該商業施設で万引きをしているのではないか,原告甲は当該商業施設から聞かされて知っている,当該商業施設に聞きにいこうなどと虚実を交えて質したところ,亡Xは,当初は否定していたものの,やがて自分だけが菓子や消しゴムを万引きしていたが他の人はしていないなどと述べるに至った。(乙イ6の2,10の4,16の3,乙ハ40,45,原告甲本人)
この際,亡Xは,原告甲から,被告A1や被告B1からいじめられているのではないかと複数回尋ねられたが,いずれの質問に対してもじゃれているだけであると回答した。(甲10の1・2)
原告甲は,その直後にア教諭に電話をかけ,被告A1が上記商業施設にいたこと,亡Xが当該商業施設での万引きを認めたことを報告するとともに,亡Xは否定しているが被告A1や被告B1らも万引きをしているのではないか,被告A1に対する指導結果は報告してほしいなどと告げた。(甲226,乙イ6の2,7の1,12の1・4ないし7,16の3,乙ハ40,45,原告甲本人)
他方,被告A3は,帰宅後,被告A1からア教諭の説明内容を踏まえて事情を確認し,殴るから殴り返せという形で殴ることを強要するのは良くない旨などを説諭し,父親である被告A2にもこの件を報告したが,被告A2が被告A1に重ねて指導したりすることはなかった。(甲8,乙ロ7の3,22の2,25,被告A1本人,被告A2本人,被告A3本人)

ア教諭と学年主任の教諭による指導の状況は,同日,事態を受けて開かれた2年生の担当教員による緊急の集約会議において報告され,今後の対応が検討された。同会議では,同日の事態は被告A1と亡Xのけんかであると位置付けられたが,いじめを疑う必要があるとの意見が出されたこと等も踏まえ,週明けの同月11日に本件中学校の生徒らに対して実施される予定であった善行迷惑調査の調査結果に留意する方針が了承された。(甲225,226,258)


10月7日(金曜日)は前日から行われていた中間試験の最終日であったが,被告B1は,同日の午前中,亡Xの鞄を開けて中から袋に入った状態のパンを取り出し,亡Xがやめて等と言って嫌がってい
たにもかかわらず,これを食べたため,亡Xの昼食用のパンは残り僅かとなった。なお,被告B1は,それまでにも複数回,亡Xの昼食であるパン等を取り上げ,亡Xの承諾なしに食べていたが,被告B1がこのようなことをするのは,亡Xに対してのみであった。【11】【12】【52】
また,被告B1は,同日,亡Xに対し,Xうざいおまえ嫌いやねんみんなに嫌われてるの気付かへんのけなどと亡Xをひぼうする言葉を多数投げ掛けており,周囲の者は,日頃とは異なり亡Xの表情が引きつっていると感じていた。
(甲44,92,141の1,392ないし400,406,474。この点,被告B1は,上記事実を否認するが,1学期に亡Xと一緒に昼食をとっていたクラスメートが,2学期になって初めて亡Xが一緒に昼食をとろうと言ってきたという印象的なエピソードを伴って具体的に被告B1が亡Xのメロンパンを取り上げて食べた状況を供述しており(甲141の1,474),この者以外にも複数のクラスメートが亡Xのパンや握り飯を被告B1が亡Xの了解を得ずに食べてしまった旨警察官に供述していたのであるから,上記各証拠により上記事実を認定することができる。)
亡Xは,同日,4時間目の終了した午後零時40分過ぎ頃,本件中学校中校舎3階男子トイレにおいて,他の生徒も複数いる中で,ふざけた様子の被告A1及び被告B1のいずれかから,なんやねん,死ねや,なんで泣いてんねんなどと声をかけられ,胸ぐらを掴まれたり,顔面を殴打されたり,足で蹴られて痛いと声を上げたり
するなどした。この頃,亡Xは,上記男子トイレにおいて,うつむきながら手で目を隠すようにして鼻をすすりながら,一人で涙を流しているところを目撃され,居合わせて声を掛けた生徒に対し,大丈夫と返答した。亡Xは,午後零時50分頃,保健室を訪れ,イ教諭に対し,手を伸ばしながらああ,やっとテストが終わったと述べると
ともに,自然に鼻血が出てきたと説明したが,いじめを疑うイ教諭から

いつから殴られるようになったんや。

と尋ねられ,

2学期から殴るのがきつくなった。

と不安そうな様子で答えた。【53】(甲44,205,312,315,317,318,320,475,乙イ2の34,13の4。この点,被告A1及び被告B1は上記事実を否認するが,同級生が10月7日の中間テストが全て終了した後に上記事実各を目撃した旨警察官に供述していたのであり(甲317,318,320),これに沿うクラスメートの警察官に対する供述(甲475)もある上,その直後に保健室で手当てを受けた亡Xがイ教諭に2学期から殴られるのがきつくなったと述べたことも併せ考慮すると,上記各証拠により上記各事実が認められる。なお,保健室備付けの救急処置の記録(乙イ13の4)には,亡Xの処置時刻として亡X以外の者の筆跡で11:50と記載されているが,イ教諭
の警察官調書には

ああ,やっとテスト終わった。

と述べて手を伸ばしていたという亡Xの様子が極めて具体的に記載されている(甲205)ことから,亡Xの保健室来室時刻は午前11時50分ではなく,中間テストが全て終了した午後零時40分以降であり,上記の11:50の記載は12:50の誤記であると認められる。)10月7日,亡Xは,被告A1らに殴られて話しづらくなった等と述べて,被告A1及び被告B1らのグループではなく,1学期の頃に昼食を共にしていた友人らのグループに入って昼食を取った。なお,被告B1が午前中にパンを取り上げて食べたため,亡Xが食べたパンの量は僅かであった(甲44,141の1,399,474,乙イ7の11)。
被告A1及び被告B1は,亡Xから,9月中旬以降,原告甲が被告A1と被告B1が亡Xに対して銀行口座から預金を引き出させるなどしているのではないかと疑っていることを告げられて立腹し,甲死ねX死ねなどと発言することがしばしばあったが,10月7日には,原告甲が被告A1と被告B1が自ら万引きをしたり,亡Xに万引きをさせているのではないかと疑っていること,被告A1と被告B1のどちらがリーダーであるのか把握しようとしていること等を告げられて更に立腹し,昼食後から地域清掃作業が開始されるまでの間に,2年3組の教室内において,亡Xの前で甲死ねなどと怒ったよう
に大声で繰り返し言い,その様子を見て事情を聞いた被告C1も加わると,被告少年らは,全員がそれぞれ甲死ねと大声を出し,その
全員又はいずれかがX死ねなどと大声を出した。亡Xは,それ以
前の機会には一緒になって甲死ねと言うこともあったが,この日
は顔をしかめていた。【33】(甲33,34,44,50,52,54,58,61,73,104,107,108,141の1,233,234,270ないし277,279,280,309,474,475,乙イ2の44・49,乙ロ20の1,24,乙ハ56,57,乙ニ16,被告A1本人。被告少年らは,亡Xと一緒に甲死ねと言っただけであると主張し,その余の上記事実を否認するが,複数のクラスメートが上記事実を目撃した旨警察官に供述し,被告C1もXも一緒に死ねと言ったこと自認していたのである(甲58,279)から,上記各証拠により上記事実を認めることができる。)イ
原告甲は,10月7日以降,亡Xに対し,祖父母らの金銭を盗んだこと等について,祖父母らに向けた反省文を作成するように求め,体裁が不十分であったり,原告甲が把握している事実が記載されていなかったことから,嘘の部分が残っていれば泥棒と同じことになるなどと申し向けて書き直させた結果,亡Xは,同月10日までに,それぞれの祖父母らに対して,反省文を各3通作成した。なお,亡Xは,父方の祖父母に対する反省文の最後に

それでも,俺には,悪い友達は一人もいない。それだけは,わかってほしい。

などと記載していた。(甲10の1・2,乙イ6の2,10の4,乙ロ5の2,乙ハ40,45,46,原告甲本人)


被告B1及び被告C1は,10月8日(土曜日)午後3時頃,前触れなく原告甲宅を訪問した。なお,同宅を訪れるのは,被告B1が3回目であり,被告C1は初めてであった。
当時,原告甲宅には,亡Xと次姉が在宅しており,被告B1及び被告C1は,原告甲宅に30分ほど滞在したが,この間,被告B1及び被告C1のいずれかが奥の和室の戸を開けて次姉の被っていたかぶり布団を勢いよくまくったり,その後に自室に移動して内鍵をかけていた次姉に声をかけて部屋の扉を開けようとしたほか,被告B1が亡Xにこかし合いを仕掛けるなどして暴れ,被告B1と亡Xが揉み合いになった際に被告B1の持参していた煙草の箱を亡Xが踏んだことや被告C1に亡Xの足が当たったことに被告B1及び被告C1が激高して亡Xに詰め寄ったり,被告C1が怒った口調で亡Xに漫画くれやと申し向けたり,亡Xを自室の外に出した上で室内を荒らし,更に学習机の袖机とその背後の壁との隙間に亡Xの財布を隠すなどした。亡Xは両名を歓迎しておらず,原告甲が帰宅するなどと述べて早々に退去するよう求めたため,被告B1及び被告C1は,原告甲宅を退去したが,この際,亡Xの財布を隠したことを明かさなかったほか,亡Xの意向に反して,被告C1が亡Xの漫画本18冊と同人が原告甲から次姉とそろいで誕生日の祝いとして贈られた腕時計1個を持ち去った。亡Xは,被告B1及び被告C1の退去後,自身の財布が見当たらないことに気付いて自宅内を2時間ほど探したが,発見することができなかったため,同日午後5時33分以降,被告B1の携帯電話に4度にわたり電話をかけ,2回目の電話をかけた午後5時36分には,被告B1の携帯電話に留守番電話機能を使って

あのぅ,スケットダンスの漫画,なんか,お父さんが売るとか言ったから,売るとか言っとるから,ちょー返して。

という内容の伝言をするなどした。これに対し,被告B1から同被告及び被告C1のいるa公園に来るよう求められたため,亡Xは,a公園に赴いて,被告B1及び被告C1に対し,財布の返還を強く求めるとともに漫画の返還を求めたが,両被告が財布のことは知らない旨述べるとともに,書籍を直ちに返還することも拒んだことから,亡Xは財布の所在を知らされたり,書籍等の返還を受けたりすることなく帰宅し,その日の夜,原告甲に対し,翌日に卓球大会に行くのにお金が要るとして,財布が無くなったことを告げた。【54】
亡Xの死亡後,長姉により亡Xの自室内の机の後ろから同人の財布が発見された。その際,当該財布に在中していた金額は35円であった。(甲8,11の1・2,32,34,50,58,96,283,286,291,293,294,296,297,300ないし303,305ないし308,乙イ7の6,乙ハ53,56,57,61,乙ニ12の1,16,20,被告B1本人,被告C1本人。この点,被告B1及び被告C1は,亡X宅を訪れ,退去する際,被告C1が漫画本18冊及び腕時計1個を持ち帰ったことは認め,その余の事実は否認するが,亡Xと共に自宅にいた次姉が,上記の事実を,自ら体験した事実及び被告B1及び被告C1が退去した後に亡Xから聞かされた事実として,検察官及び警察官に供述していた(甲32,300,301)ところ,亡Xのクラスメートや同級生が被告B1及び被告C1から亡Xの漫画本を盗み,財布を盗んだ,あるいは,机の下に隠したと聞かされたと警察官に供述しており(甲50,297,306,307),実際に財布が亡Xの机の背後から発見されたこと(甲293)から,上記各証拠により上記事実を認定することができる。)
亡Xは,10月9日(日曜日),所属していた卓球部の活動として近隣の体育館で開催された卓球大会に参加し,午前8時頃から午後3時頃まで卓球部の友人らと行動を共にした。亡Xは,同日の朝には,ぼうっとして少し下を向いており,日頃亡Xのことを元気で賑やかな人物だと考えていた同部の友人が少し驚くほど元気のない様子であったが,試合には数回勝利し,試合の合間には楽しそうに同部の友人と隠れん坊をして遊ぶこともあり,友人に対し,真偽は不明であるものの,当日参加していた同部の別の生徒の握り飯1個を無断で食べ,当該生徒のその他の握り飯を潰したなどと述べることもあった。(甲108,299,397)
なお,亡Xは,卓球部の友人に対し,かねてから,原告甲と被告A1及び被告B1について愚痴をこぼしており,原告甲に対しては,勉強をしろとうるさい,自宅の壁を手拳で壊した,力では敵わないなどと,被告A1及び被告B1に対しては,一緒に遊びたくないなどと述べていた(なお,原告甲については元力士で力が強いなどと自慢もしていた。)が,10月9日の卓球大会からの帰路では,翌日は被告A1らと遊ばなくてはならず,被告A1らが亡Xの自宅に呼びにくること,被告A1らを自宅に入れると部屋の中を荒らされたり,物を盗られたりするかもしれないことを落ち込んだ様子で心配しながら話し,上記友人から,自宅を空けて留守にすればよいのではないかとのアドバイスを受けた。(甲298,299)同日,卓球大会から帰宅していた亡Xは,夕食の準備をしている長姉に対し,どうしたらばれずに学校を休めるかなどと質問したが,長姉が理由を尋ねるといいわと返答して質問を終えた。(乙イ7の6,10の4,21の1)

10月10日(月曜日・体育の日),被告A1,被告B1及び被告C1は3名で原告甲宅に向かったが,インターホンを押しても応答がなかったため,同宅を辞去した。(甲308,乙ロ20の1)


亡Xは,同日,原告乙及び次姉と共に石川県にある原告乙の祖母の墓参りに出掛け,原告甲の好物を土産に購入して帰路についたが,道中,原告乙に対し,

ママ,いつ,戻って来んの。パパに1回,ママに戻って来てって言ったらって話したけど,パパは『俺から戻って来てとは言わん』って言ってた。ママ,どうしたら戻って来んの。

等と話しかけた。これに対し,原告乙は,戻りたい気持ちもあるが,戻ってから原告甲とどう接していいか分からず自信がない旨述べるとともに,離婚も考えていることを初めて亡Xに告げた。亡Xは,帰路の車内で,

帰りたくない。もう着くんか。嫌やなぁ。

等と発言したが,次姉と共に帰宅し,原告甲と3名で夕食を取り,原告甲への土産も共に賞味した。(甲456,乙イ10の4,原告乙調書,原告甲本人,原告乙本人)

亡Xは,同日夜,祖父母らに対する反省文を書き上げた。(甲10の
1・2,乙イ7の6,10の4,乙ハ45,46,原告甲本人)
亡Xは,同月11日(月曜日),午前6時頃に原告甲が仕事のために自宅を出た後,自宅の固定電話から,長姉の携帯電話に,午前6時31分と午前6時46分の2回にわたり電話をかけたが,電話はつながらなかった。(乙イ7の6,26)
原告甲は,同日午前7時頃,職場から自宅に電話をかけて亡Xが起きているか確認するとともに,亡Xに対し,パンの袋をテレビの後ろに放置しないよう注意したところ,注意を受けている最中に,亡Xが電話を切ったため,同日午前7時57分頃,原告甲は再び自宅に電話をかけて,亡Xに再度パンの袋の件について注意をした。(乙イ7の6,10の2・4,証人丁,原告甲本人)
亡Xは,同日午前8時10分頃,自宅のあるマンションの14階から飛び降りて自殺した。(前記前提事実⑵)
亡X死亡後,被告A1,被告B1及び被告C1が,亡Xの机において,トランプ遊びに興じたり,被告A1及び被告B1が,学級通信に掲載された亡Xの顔写真に爪で傷付けたりしたことがあった。(甲11の1・2,107,108,118,141の1,乙イ16の2,被告A1本人)原告らは,平成25年10月9日,独立行政法人日本スポーツ振興センターから,大津市教育委員会を通じて,災害共済給付金(死亡見舞金)2800万円を受領した。また,原告らは,大津市も被告として本件訴訟を提起し,前記第1の被告らに大津市を加え,請求額も3859万8578円及びこれに対する遅延損害金としていたが,平成27年3月17日の本件口頭弁論期日において,大津市及びその余の被告らに対する請求を二分し,大津市に対して1929万9289円及び遅延損害金の支払を,その余の被告らに対して同額の金員の連帯支払をそれぞれ求める訴えに変更した上,同日の和解期日において,大津市との間で,大津市が原告ら各自に対して既払金(独立行政法人日本スポーツ振興センターからの災害共済給付金2800万円)を除き,和解金としてそれぞれ650万円(総額1300万円)を支払う旨の訴訟上の和解をした。そして,原告らは,同年4月3日,大津市から,上記和解金を受領した。(前記前提事実⑶,⑷)2前記認定事実を踏まえ,各争点について判断する。


争点⑴(被告少年らによるいじめの有無,態様等及び共同不法行為の成否)及び争点⑵(被告少年らの行為と亡Xの自殺との因果関係の有無)について
争点⑴のうち,被告少年らによるいじめの有無,態様等の認定については,その理由も含め,前記1の認定事実で説示したとおりであり,ここでは,その共同不法行為の成否について判断する。以下では,まず,争点⑵のうち,亡Xの自殺の原因について判断した上で,争点⑴の共同不法行為の成否,争点⑵の相当因果関係の有無の順に判断する。ア
亡Xの自殺の原因(争点⑵)
前記認定事実によれば,亡Xが自殺に至るまでの被告少年らとの関わりは,以下のとおりである。
亡Xと被告A1及び被告B1は,2年生で同じクラスになり,5月中旬以降,共通の趣味であるゲームを通じて次第に親しくなり,1学期のうちに,休み時間にこかし合いや首絞め,ズボンずらしに興じたり,放課後もその行動を共にしたりし,その後,昼食も一緒にとったり,休日にお互いの自宅を訪れるなど,次第にその関係を深めていき(前記認定事実⑵ア),夏休みに入ると,亡Xが頻繁に被告Bら宅を訪れ,週に一,二回は宿泊を伴うようになり,被告A1及び被告B1と,花火大会やUSJに出掛けるなど,その関係を更に深めていった(同⑶ア)。
このような3名の親密な関係は,2学期に入っても継続したが,被告A1がこかし合いやヘッドロックで転倒した亡Xの上にまたがって押さえ込み,被告B1も,これに加勢したり,自らこれらの行為に及ぶようになったり,被告A1及び被告B1が亡Xに肩パンをしたりして,亡Xを痛がらせたり苦しがらせたりするようになり,ズボンずらしも,下着や臀部が露出するまでするようになり,綱引き予選の際には,被告A1が亡Xを倒して首絞めを仕掛けたり,被告B1がうつ伏せの亡Xの上にまたがって頚部を後ろから引っ張ったりするなど,1学期と比べて亡Xに対する行動が次第にエスカレートし,周囲にやりすぎとの印象を与えるようになるとともに,これらの行為に対する亡Xの反応も乏しくなってきた(同⑷ウ)。また,被告A1及び被告B1が亡Xの文房具,弁当及び眼鏡を隠したりするなどの行為も見られるようになった(同⑷ウ)。このように,2学期に入ると,被告A1,被告B1及び亡Xとの間で,仕掛ける側と仕掛けられる側,いじる側といじられる側という役割が固定化した関係が構築され,被告
A1及び被告B1による,仕掛ける行為やいじる行為が次第に強
いものにエスカレートしていき,対等な友人間のふざけ合いといえない場面もしばしばみられるようになった。そして,亡Xとしては,被告A1及び被告B1のこれらの行為をどのように受け止めてよいのか,とまどいを見せることもあり,被告A1及び被告B1の期待した反応と異なったため,同人らが苛立ちを覚える結果となった。
このような状況の中,被告C1が被告A1,被告B1,亡Xらの学級を訪れ,これらの者の関係に参入するようになり,これらの者の間における上記のような亡Xの位置付けがより明確に固定化されることとなった。また,亡Xの金銭問題を契機に,原告甲が被告A1及び被告B1の関与を疑い,そのことが亡Xから被告A1及び被告B1に伝えられた結果,被告A1及び被告B1の亡Xに対する対応・行為がより厳しいものに変質し,遊びという名の下に,亡Xを床に倒して首を絞めたり,顔面を殴打したり,顔面に落書きをしたり,あるいは,亡Xを足蹴にするという暴行に及ぶようになった(前記認定事実⑸,⑹)。亡Xは,親しい関係を構築したはずの被告A1及び被告B1から,上記のような暴行を受け始めるようになり,急激に被告A1及び被告B1の関係が悪化していくのを感じ,その間に,祖母に希死念慮を吐露し,その原因が家庭ではなく学校にあることを示唆することもあった(同⑺ア)。
さらに,2学期が始まって1か月も経たない9月下旬には,亡Xに対する行為がより深刻化し,被告B1は,亡Xに仕掛けた遊びで同人が簡単に脱出したというだけで激高し(そのこと自体に被告B1の亡Xを格下と位置付ける意識が強く現れている。),亡Xを転倒させてその頚部を踏み付け(前記認定事実⑻),亡Xのインクペンのインク芯を切断してインクを大量に筆箱に付着させたり(同⑼),亡Xのスポーツバックをチョークの粉まみれにしたりした(同⒀)ほか,被告A1と共に制汗スプレーを使い切るまで亡Xに吹き付けたり(同⑽),亡Xのテスト成績カードを破ったり(同⑾)と,友人間のいたずらの域を大きく逸脱する行為に及ぶようになった。
そして,同月29日に開催された体育祭において,被告少年らは,じゃんけん罰ゲームと称しながらじゃんけんを経ないまま,亡Xの口にガムテープを貼ってその手足を鉢巻きで緊縛したり,すねにガムテープを貼ってはがしたり,じゃんけん罰ゲームとは無関係に亡Xを足蹴にしたりしたほか,じゃんけん罰ゲームにおいてじゃんけんに負けた亡Xに,蜂の死骸を食べさせようとし,その口の上に蜂の死骸を乗せ,その様子を楽しむなどした(同⑿)が,他の参加者が受けた罰ゲームが,せいぜい,すねにガムテープを貼ってはがす,女子生徒に土下座するといった程度にすぎなかったことを考慮すると,亡Xのみが著しく均衡を欠く罰ゲームを受けたことになる上,亡Xの様子を見た他の生徒や教諭が鉢巻きでの緊縛を制止し,あるいは,亡Xの死亡後に多数の目撃者が名乗り出るなど周囲に極めて強烈な印象を残すような異常な状況に亡Xが置かれていたということができる。これらの行為を受けた結果,担任の教諭が亡Xの表情が暗いと感じるようになり,亡Xも学習塾の友人に対して頻繁に希死念慮を吐露していたが,体育祭の後はこのような行動も見られなくなった(同⒂)。
その後も,10月3日から同月5日にかけて,被告A1が,亡Xの態度に苛立ちを覚えたという理由から,同人の顔面等を殴打するという暴行に及ぶとともに反撃を強いるという出来事が連続し,これを目撃した生徒が教諭に制止するよう求めるなどして教諭が現場に臨場し,その後,保健室で手当てを受けたり,また,最終日には保護者が学校に呼び出されたりするという状況に至った(前記認定事実⒃ないし⒅)。そして,中間テスト最終日の同月7日には,被告B1が亡Xが昼食として持参してきたパンを無断で食べたり,被告A1が亡Xにトイレで顔面を殴ったり足を蹴るなどし,ここに至り,亡Xは,1学期に昼食を共にしていたグループと共に昼食をとるなど,被告少年らとの関係からの離脱ともみられる行動に出るようになった(同⒆)。それでも,被告少年らは,原告甲や亡Xに死ねと叫ぶなど,亡Xに対する攻撃が止むことはなく,翌8日土曜日には,被告B1及び被告C1が前触れなく亡Xの自宅を訪問し,亡Xの部屋に押し入って傍若無人の態度で振る舞い,亡Xの財布を机の後ろに隠したり,漫画本及び時計を持ち去ったりするなどし,亡Xが財布や漫画本の返却を求めてもこれに応じない態度を崩さず,亡Xをひどく困惑させた(前記認定事実⒇)。翌9日,卓球大会に参加した亡Xは,その帰路,友人に対し,被告少年らが自宅に来て自宅を荒らされたり,物を取られたりすることを危惧する心情を伝え,帰宅後,夕食の準備をする長姉に学校を休む
このような経過を経て,10月10日の休日に石川県に原告乙及び次姉と墓参りに行った翌日の同月11日午前8時10分頃,亡Xは自殺した。
前記認定事実によれば,亡Xの自殺に至るまでの原告ら家族との関わりは,以下のとおりである。
亡Xが小学校に在籍していた当時,原告甲による亡Xへの虐待に係る通告が相談センターにされたことがあるものの,結局,虐待事象が確認されないまま案件の係属が終結された。亡Xが本件中学校1年生の頃には,複数回,本件中学校から指導を受けることがあり,その際,原告甲が亡Xの頭部をたたいて叱り,翌日に亡Xの足に原告甲の懲戒によって生じたと考えられるあざが確認された(前記認定事実⑴ア)。亡Xが2年生になってからも,担任の教諭が原告甲に学校内のトラブルを伝えたところ,亡Xが原告甲にたたかれたと申告することがあった

そして,亡Xが2年生に進級する直前の3月には,原告甲の暴言が原
因で原告乙が自宅を出て原告甲らと別居するようになり(前記認定事実⑴ア),7月には長姉も自宅を出て原告乙と同居を開始し(同⑵イ,亡Xは,父親である原告甲及び次姉と自宅で起居を共にし,時
折,母親である原告乙らの別居先を訪れるような生活状況となった。原告甲は,7月の1学期の三者面談において,亡Xの提出物の管理に問題があると指摘され,成績が悪かったこともあって,亡Xにコンピューターゲームを禁止し,学習塾に通わせることにしたが,亡Xは,本件貯金口座から出金してゲーム機等を購入するなどし(前記認定事,夏休みには,被告Bら宅で宿泊を繰り返したり,祖父母
宅に宿泊したりして,自ら家出と称し,自宅にいることを避けて
いた(同⑶)。
そのような中,被告B2及び担任の教諭を介して,亡Xが無断で被告Bら宅での外泊を繰り返し,USJに出掛けたことが原告甲の知るところとなり,本件貯金口座のキャッシュカードを抜き取ったとの疑惑も生じたため,原告甲が亡Xを怒鳴り,顔や頭をたたく,体を蹴る,掃除用具の柄でふくらはぎを数回たたくという懲戒を加え,見かねた次姉に制止される事態となった(前記認定事実⑸ア)。亡Xは,母方祖父母宅に避難し,その後,数日間は原告甲とまともに口をきかなくなり,原告甲が亡Xによる本件貯金口座からの多額の出金を知って被告A1及び被告B1の関与を疑うようになったため,そのことを亡Xが
Xに対する言動・対応がより厳しいものとなった。
さらに,亡Xが父方及び母方の祖父母宅で現金を抜き取っていたことが判明したため,原告甲が相談機関に相談し,亡Xの発達障害の可能性を示唆されたことから,亡Xを叱責することを控えつつ,病気の可能性を伝えたところ,亡Xは,自宅を飛び出して近隣マンションで一夜を過ごし,翌日,担任の教諭に対し,自宅ではいつも命令されて面白くないこと,原告甲,長姉及び次姉はいずれも亡Xより立場が上であるので逆らえないことなどを話した(前記認定事実⑺)。そして,10月5日,亡Xと被告A1が殴り合いをしたことから,原告甲が学校に呼び出され,近隣の商業施設で亡Xが万引きしていたことも判明したが,亡Xを叱責するようなことはなかった(前記認定事実⒅ウ)。原告甲は,同月7日,亡Xに祖父母宛に反省文を作成させ,亡Xは,これを同月10日に完成させた(同⒆イ,同

,同月

10日の夕食は原告甲及び次姉と一緒にとっており,原告甲への石川県への墓参りの際

なお,墓参りから

の帰路,亡Xは,原告乙から,原告甲と離婚を考えていることを初め
10月11日朝には,亡Xは,午前7時頃,原告甲からテレビの後ろに放置されたパンの袋について注意され,亡Xから途中で電話を切ったが,午後7時57分頃,再び,原告甲から電話で注意を受けた。そして,亡Xは,午前8時10分頃,自殺した。
亡X

Xは,共通の趣

味であるゲームを通じて親しくなった被告A1及び被告B1との間で友人関係を形成し,1学期から夏休みを通じてその関係を次第に深めていったが,2学期に入ると被告A1及び被告B1が仕掛ける側,いじる側,亡Xが仕掛けられる側,いじられる側という関係
が固定化し,これが,被告A1及び被告B1において,亡Xを格下と位置付ける意識の形成につながり,被告A1及び被告B1のこうした意識が亡Xに対する暴行などの厳しい対応となって現れるようになり,行為が更にエスカレートしていったことが認められる。そして,こうした行為は,それ自体が亡Xに心理的負荷を与えることに加え,被告A1及び被告B1との友人関係の崩壊と上下関係の構築・固定化に伴う亡Xの強い孤立感・無価値感の形成に結び付いていったということができる。亡Xは,こうした状況の中,祖母や塾の友人に希死念慮を示唆,吐露することがあり,その原因は学校に求められることも示唆していたが,体育祭後は希死念慮を口にすることすらなくなった。10月上旬には,亡Xは,被告A1から連日にわたって強く暴行されることになり,ここに至り,被告少年らとの関係からの離脱ともみられる行動に出たが,その翌日の休日には,被告B1及び被告C1に自宅に訪問されて強く困惑させられることとなったことから,自宅においても被告少年らとの関係から解放されないとの強い不安感を抱くことになり(このことは,翌日に卓球部の友人に述べた心情に顕著に現れている。),長姉への相談からも明らかなとおり,本件中学校への登校自体を避けられないかを考えるようになっていった。こうした事実経過の中,亡Xは,3連休が明けた11日朝の登校時刻に自殺したのであるから,亡Xの自殺の主たる原因は,被告少年らの

行為

及びそこから形成された亡Xとの関係性にあったと優に認めることができる。
なお,被告A1及び被告B1と亡Xとの関係に変化がみられるようになったのは2学期に入ってからであり,亡Xが自殺したのは10月11日であったことから,僅か1か月余りの間に自殺に至ったことになる。青少年の自殺は,長い道程の準備状態を経た後に,何らかの直接の契機によって生じるとの指摘もある(甲441,乙ハ43)が,他方で,子どもは,心理社会的な未熟さにより衝動的に行動し,年齢が低いほど死のうと思ってから決行するまでの時間が短い(甲428,438),あるいは,このような事案では自殺の条件を加害者側が短時間で整えるという特徴がある(甲425)との指摘もあり,本件においても被告A1及び被告B1と亡Xとの関係が急激に変化し,亡Xに対する言動が短期間のうちにエスカレートしていったこと,子どもの場合には,人間関係が家庭と学校を中心とした限られたものになるため,その中で問題が起こると,大人とは比較にならないストレスが生じると指摘されていること(甲409,421,439,乙ニ10)などを考慮すると,上記の期間の短さが亡Xの自殺の原因を被告少年行為及びそこから形成された亡Xとの関係性に求めるこ
との支障とはならない。
また,亡Xは,自殺の前日に完成させた父方祖父母に宛てた反省文中に

それでも,俺には,悪い友達は一人もいない。それだけは,わかってほしい。

と記載した(前記認定事実⒆イ)が,これは,被告A1及び被告B1が亡Xの金銭問題に関与していないことを示すもの,あるいは,希死念慮の高まりの中で生じたしゅん巡の現れにすぎず,やはり,亡Xの自殺の主たる要因が被告少年らの前
こから形成された亡Xとの関係性という学校の問題にあったとの前記判断を左右するものとはいえない。
この点,亡Xの自殺の原因について,被告らは,亡Xの家庭環境が原因であり,被告少年らとは無関係であると主張する。なるほど,児童生徒の自殺の原因は,学校問題だけではなく,家庭事情などの多様な要因が背景にあって,これらの要因が複雑に関連する旨,自殺の危険の背後には安心感の持てない家庭環境の存在があるとされ,夫婦仲が悪く緊張感のある家庭では成長過程で受けるはずの愛情を十分に受けることができず,過干渉の場合には,愛情が歪んだ形でしか子どもに届かないことが多く,家庭に居場所を見つけられなくなるところ,そのような子どもが困難に直面したときに自殺の危険が高まる旨などが指摘されているところである(甲409,421,438,乙ニ10)。本件においても,

Xは,母親で

ある原告乙と別居していた上,厳格な父親である原告甲と立場が上の姉に逆らえない環境の下で日々の生活を送っており,自殺の前日に母親である原告乙にいつ戻ってくるのか尋ねたところ,原告甲との離婚を考えていると告げられたというのであるから,亡Xには,亡Xに安心感を与える家庭環境が整っておらず,かつ,離婚によって母親不在という現在の状態が将来にわたって継続する可能性もあることを自殺の直前に知らされたことになる。その意味で,亡Xの家庭環境がその自殺の一要因として作用したことは否定できない。
しかしながら,

原告甲の懲戒に対して亡Xが自

殺を考えるほど追い込まれるような心情に至っていたという事情はうかがわれない(原告甲の亡Xに対する懲戒が厳格なものであったことは否めないが,亡Xが原告甲の懲戒や過干渉にうとましさ以上の感情を抱いていたことまではうかがわれない。)。結局のところ,被告少年らの前

Xとの関係性という学

校における問題がなければ,亡Xがあえて自殺に至ったとは到底認められず,家庭の問題は,せいぜい,上記の学校における問題を抱えるようになった亡Xに対し,亡Xの問題を家庭内で受け止めて家庭において安心感を与えることができず,その自殺を防止できなかったという意味において,亡Xの自殺の一要因として作用したということ以上のものを見いだすことができない。したがって,

亡Xの家庭

環境によって,亡Xの自殺の主たる要因が被告少年らの前
及びそこから形成された亡Xとの関係性という学校の問題にあったとの前記判断が左右されることはない。

被告少年らの共同不法行為の成否(争点⑴)
被告A1及び被告B1は,前記ア

説示から明らかなとおり,2学

期以降,亡Xに対する暴行等の個々の行為を通じて心理的負荷を与えるとともに,これらの行為の積み重ねの中で,亡Xとの間に形成・深化されていった友人関係を,仕掛ける側と仕掛けられる側,いじる側といじられる側という関係に変容させ,上下関係の構築・固定
化に結び付け,そのような関係性の中で,亡Xを精神的に追い詰める行動を積み重ねていったのであるから,被告A1及び被告B1の亡Xに対する行為を個別に取り上げて自殺との結び付きにおいて違法な権利侵害か否かについて評価するのは相当ではなく,これらの行為の積み重ねが,全体として,亡Xに対し,希死念慮を抱かせるに足りる程度の孤立感・無価値感を形成させ,さらに,このような関係が今後も継続するなどの無力感・絶望感を形成させるに足りるものであって,かつ,各自が,亡Xとの上記のような関係性の下において,他方の行為の主要部分を相互に認識しながらそのような行為に及んでいたのであれば,被告A1及び被告B1の一連の行為が,一体として,亡Xが自殺するという生命侵害との関係において,違法な権利侵害行為に該当し,かつ,これらの行為を相互の意思関与の下に共同したと評価することができると解される。
そして,
すなわち,被告A1及び被告B1の行為は,こかし合い,首絞め,ズボンずらしなどを亡Xに仕掛けることから始まったが,その後,こかし合いで亡Xを転倒させた後にその上にまたがって押さえ込んだり,肩パンをしたり,下着や臀部が露出するまでズボンをずらすなどエスカレートし,その結果,仕掛ける側と仕掛けられる側,いじる側
といじられる側という役割の固定化を生じさせるに至った。そし
て,被告A1及び被告B1は,原告甲の被告A1及び被告B1に対する疑念を聞かされた後,遊びという名の下に,亡Xを床に倒して首を絞めたり,顔面を殴打したり足蹴にしたり,顔面に落書きをするという行為に及ぶようになり,その後間もなく,亡Xを転倒させてその頚部を踏み付けたり,亡Xのインク芯を切断して亡Xの筆箱等をインクまみれにしたり,亡Xのスポーツバックにチョークの粉を大量にふりかけたり,制汗スプレーを亡Xに使い切るまで吹き付けたり,亡Xのテスト成績カードを破ったりと,友人間のいたずらの域を大きく逸脱する行為に及ぶようになった。さらに,被告少年らは,体育祭において,亡Xに対し,じゃんけん罰ゲームと称して口にガムテープを貼ってその手足を鉢巻きで緊縛したり,すねにガムテープを貼ってはがしたり,蜂の死骸を食べさせようとしたりするなど,周囲に極めて強烈な印象を与える内容であり,かつ,他のゲーム参加者との間に著しく均衡を欠く罰ゲームを亡Xに行った。そして,10月3日から同月5日及び同月7日には,被告A1が亡Xの顔面を殴打するなどして教諭らが介入するなどの事態が続き,同月8日に被告B1が被告C1と共に亡Xの自宅を前触れなく訪問して亡Xの財布を隠したり,漫画本や時計を持ち去ったりした。
これらの一連の行為の積み重ねは,亡Xに対し,希死念慮を抱かせるに足りる程度の孤立感・無価値感を形成させ,さらに,被告少年らとの関係からの離脱が困難であるとの無力感・絶望感を形成させるに十分なものであったというべきであるから,これらの一連の行為が,一体として,亡Xが自殺するという生命侵害との関係において,違法な権利侵害行為に当たり,かつ,被告A1及び被告B1は,お互いの亡Xに対する行為の主要部分を十分に認識していたのであるから,これらの行為を相互の意思関与の下に共同したということもできる。これに反する被告A1及び被告B1の主張は到底採用できない。
被告C1の行為についても,上記の亡Xと被告A1及び被告B1の関係性を前提にして,亡Xに希死念慮を抱かせるに足りる孤立感・無価値感・無力感・絶望感の形成という観点から,被告A1及び被告B1と一体となってこれに関与していたといえるのであれば,同様に,違法な生命侵害行為を被告A1及び被告B1と共同したと評価できる。この点,前記認定事実によれば,被告C1が亡Xに対して直接した加害行為は,①体育祭の日のじゃんけん罰ゲームに参加して亡Xの口にガムテープを貼ったり,手足を鉢巻きで緊縛したり,すねにガムテープを貼ってはがしたりし,②中間テストの最終日に亡X及び原告甲に死ねと罵倒し,③10月8日に亡Xの自宅を被告B1と共に前触れなく訪問し,亡Xの財布を隠し,漫画本及び時計を持ち去った上,亡Xの返還要求に応じなかったことにとどまり,これ以外には,被告A1及び被告B1の加害行為をその周囲で傍観していたことがある程度にすぎない。そうすると,被告C1が,上記の亡Xと被告A1及び被告B1の関係性を前提にして,亡Xに希死念慮を抱かせるに足りる孤立感・無価値感・無力感・絶望感の形成という観点から,被告A1及び被告B1と一体となってこれに関与していたというには足りないというべきである。なるほど,被告C1の上記③の行為は,亡Xに被告少年らとの関係からの離脱が困難であるとの無力感・絶望感を抱かせるのに決定的な役割を果たしたということができ,亡Xの自殺の引き金となる直接の契機,ないし,これにつながるものに当たり得るといえるにしても,そのことのみをもって,被告C1が亡Xの自殺に至るまでの準備状態の形成について被告A1及び被告B1と同様の役割を果たしたことまで推認させるものではなく,亡Xが自殺するという生命侵害との関係において,違法な権利侵害行為に当たるものとまではいえない。

相当因果関係の有無(争点⑵)
Xに対する加害行為は,一連の行
為の積み重ねにより,亡Xに対し,希死念慮を抱かせるに足りる程度の孤立感・無価値感を形成させ,さらに,被告少年らとの関係からの離脱が困難であるとの無力感・絶望感を形成させるに十分なものであり,そのような心理状態に至った者が自殺に及ぶことは,一般に予見可能な事態であるといえるから,亡Xの自殺は通常損害に含まれるというべきである。したがって,被告A1及び被告B1の加害行為と亡Xの自殺との間には相当因果関係が認められる。


争点⑶(被告少年らの責任能力の有無)及び争点⑷(被告父母らの監督義務の懈怠の有無等)について
被告A1及び被告B1は,亡Xに対する前記⑴イの加害行為当時,中学校2年生であり,前記認定事実に係る同人らの言動を踏まえても,自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかった(民法712条)とは認められない。
その場合でも,被告A1の監督義務者である被告A2及び被告A3並びに被告B1の監督義務者である被告B2に監督義務違反があり(なお,被告B3については,被告B1に対して監督義務を負うことについての発生原因事実の主張立証が一切ない。),これと未成年者の不法行為によって生じた損害との間に相当因果関係を認め得るときには,上記監督義務者らが民法709条に基づき損害賠償責任を負うが,その監督義務違反は民法820条所定の日常的な監督義務の違反では足りず,具体的な結果との関係で,これを回避すべき監督義務の違反が認められる必要があると解される(最高裁判所平成18年2月24日第二小法廷判決・裁判集民事219号541頁参照)。
本件においては,被告A1の人物評上大きな問題は見られず(前記認定事実⑴イ),被告A3が学校に呼び出されたのは,10月5日に被告A1と亡Xが殴り合ったことについてのものが2度目であり(なお,1度目は入学直後の合宿でけんかをした件についてのものであった。),この殴り合いについて,担任の教諭からけんかであるとの認識が示され,帰宅後,被告A1に対して,事情を確認した上で,殴るから殴り返せという形で殴ることを強要するのは良くない旨説諭したというのであり(同⒅ウ),これ以外に,被告A2及び被告A3に被告A1の亡Xに対する加害行為や亡Xとの関係性を認識する契機があったことについての主張立証はないのであるから,被告A2及び被告A3に,被告A1が亡Xに対する前記⑴イの加害行為に及ばないようにさせることについて,監督義務違反があったと認めることはできないし,日常的な監督義務違反も認め難い。
次に,被告B2は,被告B1の喫煙の疑いや万引きで本件中学校から呼び出されたことがあり,その都度,被告B1を万引きした店舗に同行して謝罪させたり,被告B1が喫煙を否定したので,それを前提にした指導を行ったものである(前記認定事実⑴ウ)が,結局,被告B1は万引き(同⑷ウ)や喫煙(同⒇)を続けており,その指導は奏功しなかった。また,被告B1は,夏休み明けに女子生徒に水筒をぶつけたり,授業を無断欠席して,母子で学校から指導を受けたりしたほか,男子生徒の胸部をつねって負傷させる行為にも及んでおり
被害者が後難をおそれて被告C1のみを加害者として被害申告したため,被告B1の行為が顕在化することはなかった。),日常的な監督義務が十分に尽くされていたのかについて,疑問の余地なしとしない。もっとも,亡Xとの関係においては,亡Xが夏休みに週に数回以上被告Bら宅を訪れ,週に一,二回は宿泊するという関係になり,一緒にUSJに出掛けるなど,両者の関係に何らかの問題があったことを被告B2において認識しておらず,これについて疑念を抱く契機も存在しなかったというほかない。また,被告B1の問題行動において暴力的な行為が顕在化したのは,友人に水筒をぶつけたことのみであり,被告B2において,被告B1が他人に対して暴力的な行動に出て被害を生じさせることを疑って,そのようなことのないように指導を徹底しなければならないような契機までは存在しなかった。したがって,被告B2に,被告B1が亡Xに対する前記⑴イの加害行為に及ばないようにさせることについて,監督義務違反があったとまでは認められない(なお,被告B1が既に成人していることや,被告B2の記録からうかがわれる資力を前提にすると,被告B2に限って具体的な結果との関係での義務違反が必要との前記原則を緩和する必要性自体乏しい。)。⑶

争点⑸(損害額)及び争点⑹(損害の補填の有無)について亡Xは,平成▲年▲月▲日生まれで,死亡当時13歳11か月であったから,平成23年賃金センサス産業計・企業規模計・男子労働者・学歴計・全年齢平均賃金526万7600円を基礎とし,就労可能期間を18歳から67歳まで,生活費控除率を5割とし,中間利息を控除する(18.4934-3.5460)と,逸失利益の額は3936万8462円となる。また,亡Xの死亡慰謝料は2000万円,原告らの固有の慰謝料はそれぞれ300万円が相当であり,亡Xの葬儀費用に係る原告らの損害は60万円(原告ら各自30万円ずつ)であると認められる。したがって,原告らの損害賠償債権は,亡Xから相続したものを含め,それぞれ,3298万4231円となる。
他方,

原告らは,各自,平成25年10月9日

に災害共済給付金1400万円を,平成27年4月3日に大津市から和解金650万円の支払を受けたのであるからこれらを原告らの損害から控除する必要があるが,これらのうち1400万円(災害共済給付金)及び529万9289円(和解金)の合計1929万9289円が元本に,残りの120万0711円(和解金)が遅延損害金に充当されたと解される(災害共済給付金は填補の対象となる特定の損害と同性質であり,かつ,相互補完性を有する損害の元本との間で損益相殺的な調整を行うべきであり,本件においては,制度の予定するところと異なってその支給が著しく遅滞したなどの特段の事情も認められない。)。そうすると,原告ら各自の3298万4231円の損害賠償債権は,平成25年10月9日の災害給付金の給付により,元本が1898万4231円となるとともに,平成23年10月12日から平成25年10月9日までの1年363日分の確定遅延損害金は328万9386円となる。そして,平成27年4月3日の和解金の支払により,元本が1368万4942円となるとともに,平成25年10月10日から平成27年4月3日までの1年176日分の確定遅延損害金は140万6913円となり,同日までの確定遅延損害金合計469万6299円から和解金のうち遅延損害金充当分120万0711円を控除すると,その残額は349万5588円となる。
また,弁護士費用は,事案の難易,認容額その他諸般の事情を考慮し,137万円が相当であると認められる。そして,これについての平成23年10月12日から平成27年4月3日までの3年174日の確定遅延損害金は23万8154円となる。
第5結論
以上のとおり,原告らの請求は,被告A1及び被告B1に対し,原告ら各自について,不法行為に基づく損害賠償金元本1505万4942円及び平成23年10月12日から平成27年4月3日までの確定遅延損害金の残金373万3742円の合計1878万8684円並びに上記元本に対する同月4日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるから,その限度で認容し,その余の請求は全て理由がないからこれらをいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。なお,事案に鑑み,仮執行宣言は付さないこととする。
大津地方裁判所民事部

裁判長裁判官

西岡繁靖
裁判官

芝田由
裁判官

平井美平衣瑠
【別紙】

一覧表

時期

行為
番号

原 告 ら

行為主体
ABC
111

被告A1は,中学2年生の1学期に入った
頃から,亡Xと柔道の足技でこかし合うとい
うことをするようになり,1学期の終わり頃
には,被告B1と一緒になって,プロレス
ごっこのようなことをして亡Xを倒した後,
亡Xに馬乗りになるということをするように
なった。

2学期まで
○○

被告Aらの認否・反論

被告Bらの認否・反論

中学2年生の1学期に入った頃か
ら,亡Xと柔道の足技でこかし合う
という遊びをするようになり,1学
期の終わり頃には,亡Xと被告B1
と一緒にプロレスごっこのような遊
びをしていた事実については認め
るが,その余は否認する。
被告A1と亡Xは,ヘッドロックの掛
け合い,柔道の足技のようなもの
を掛けてのこかし合い,倒れた者
の上に他の者が乗って下の者が
脱出できるかどうかを試すといっ
た遊びをしていたことがあるが,こ
れらは当時,一定の範囲の生徒
の間で流行していたもので,こか
し合いについて被告A1の相手と
なるのは,亡Xよりも被告B1の方
が多く,それ以外の生徒が相手と
なることもあった。

被告B1,被告A1及び亡Xが,中
学2年生の1学期頃から,廊下や
教室の後ろでこかし合いの遊びを
していたことは認める。もっとも,
被告B1が亡Xからこかされること
もあったように,遊びにすぎない。
また,こかし合いから,柔道の寝
技のような体勢でふざけ合うことも
あったが,これも遊びであり,暴行
やいじめにはあたらない。

否認する。

否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。

被告B1及び被告A1は,1学期の理科室
での実験中,亡Xの消しゴムを隠した。

平成23年7月頃から,被告少年らは,b店
否認する。
などにおいて,万引きをするようになった。
夏休み中には,亡Xもこれに参加を強要さ
れるようになり,平成23年9月頃からは,
亡Xがこれを拒むと殴り付けるなどの暴力
を受けるようになった。
また,被告少年らは,万引きをする代わり
に亡Xに金品を要求した。平成23年7月以
降,被告少年らは,亡Xに対して,暴行脅
迫を加えてキャッシュカードの暗証番号を○○○
家族から聞き出させ,これにより銀行預金
口座から同人をして現金を引き出させるな
どの方法で恐喝,金品要求行為を繰り返し
ていた。
被告A1,被告B1,亡X等4人が一緒にb
店を訪れた際には,被告A1及び被告B1
は,亡Xに対して,あれパクってこいと,
電動消しゴム,シャープペンシル,ボール
ペンを万引きを命じた。

○○

29教室におけるいじめ
学月
被告A1及び被告B1は,平成23年9月以
期2
降,教室において,仰向けになった亡Xに
9
馬乗りになり拳骨で顔面を殴打したり,倒

れた亡Xの腹部や臀部をまるでサッカー

ボールのように何度も蹴り上げたりといっ
4た暴行を加えた。また,被告A1及び被告○○

B1は,机に突っ伏して泣いている亡Xに対
して,謝ってるやん等と言いつつ強引に
亡Xの顔を上げさせ,ほんまに泣いてるでと言って笑っていた。
平成23年9月初旬以降,被告A1は教室
の隅に亡Xを連れ込み,背中や腹部を複
5数回殴打し,亡Xが泣くまで暴行を執拗に○
繰り返した。

被告Cらの認否・反論

第一段落については,被告B1
否認する。
は,9月初旬頃から,原告甲に
よって遊びが禁止されるまでの
間,亡Xとb店で3,4回,文房具を
万引きをしたことがある。もっとも,
亡Xに万引きを強要した事実はな
く,暴力も振るってない。むしろ,
亡Xは,自ら積極的に万引きして
いた。
第二段落及び第三段落について
は,否認する。亡Xが引き出した金
員を使っていたのであり,被告少
年らが恐喝したという事実は全く
ない。

否認する。

否認する。前記のとおり,こかし合
いの遊びをすることはあったが,
記載のような暴行をした事実は一
切ない。

否認する。

否認する。

否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。

被告A1及び被告B1は,平成23年9月中
旬頃,2年3組教室において,被告A1にお
いて亡Xを一回殴打し,被告B1が傍であ
おる中,さらに亡Xの顔面を数回殴打し,
被告B1がそういうネチネチしたところが○○嫌なんやと怒り出すと,被告A1はさらに亡Xの両肩をつかんで引っ張り,亡Xを前
屈みにさせた状態で腹部付近を膝蹴りす
る等の暴行を加えた。

被告A1及び被告B1は,9月ころ,亡Xに
対して,

おまえ,きもいな。

ほんま,おまえきもいねん。

と亡Xの肩をたたき,被告B1は,亡Xを見て,

イライラする。やら○○れているのにニコニコしてうれしがっているみたいで腹が立つ。

と自分で殴っておきながら殴られる態度を責めた。

否認する。
ただし,被告A1,被告B1,被告C
1,亡Xその他同級生との間で,
お前きもいなぁということを言い
合うことはあった。

否認する。亡Xが亡くなった後の
聴き取りの際に,先生から,亡Xに対してイライラしていたのではないかと聞かれため,イライラしたことはあると答えたことはある。
被告B1は,平成23年9月12日又は同月
26日のどちらかの日の3時限目と4時限
目の間の休み時間に,被告B1が,亡Xの
筆箱からオレンジ色のペンを取り出して,
ペンを分解し,インクだけを取り出して,イ
ンクをはさみで切った。被告B1がインク部
分の切れたボールペンとはさみを持ってい
て,亡Xが被告B1にやめてえや等と
言っていた。被告B1は,切ったペンの先を
振って,インクを少し床にこぼした後,筆箱
の中にこぼれるように,ペンの芯を振って
汚すと,分解したままのペンを筆箱の中に
戻して筆箱をインクまみれにした。このと
き,壊れたボールペンのインクで,亡Xの筆
箱も机の上もインクまみれになって汚れ
た。被告B1は,黙ったまま真顔で,ボール
ベンとはさみを持っていた。

平成23年9月頃に,被告B1が亡
Xのオレンジ色のボールペンをは
さみで切ったこと,切ったペンから
インクが垂れ,筆箱が汚損したこ
とは認めるが,その余は否認す
る。ボールペンを切った際,亡Xは
強く嫌がるそぶりを見せておらず,
苦笑いをしていた。亡Xと一緒に
文房具の万引きをしていた被告B
1がそのような友人間のふざけ合
いとして行い,文房具に執着のな
かった亡Xがそのような行為として
許容していたものである。



【別紙】

一覧表

時期

行為
番号

原 告 ら

行為主体
ABC
111

平成23年9月中旬から末頃のある日の授
業の終わり頃,亡Xの前に座っていた被告
B1が後ろを振り向いた時,持っていたペン
が当たり亡Xの顔に線が入った。授業終了
後,亡Xはトイレにインクを落としに行った
が,その間,被告A1は被告B1に対して
ひげを書いたら面白いんちゃう猫のひげみたいにしたら面白いと提案し,被告B1もそやなやったろかと応じた。そこで
被告A1は,帰りの会が始まる前,2年3組
の教室内の後方出入口付近で,トイレから○○
戻った亡Xの首に右手を回して捕まえるよ
うにし,膝を折って亡Xを仰向けに倒した。
その後,被告A1又は被告B1若しくは両名
が交互に,亡Xに馬乗りになり,他方が亡
Xの手や肩を押さえて,油性の名前ペンで
亡Xの顔に猫の髭を1~3本描いた。被告
A1は,その後も,亡Xの頸部を後方から腕
で圧迫して押さえ付けた。

被告Aらの認否・反論

被告Bらの認否・反論

被告A1が,平成23年9月中旬
頃,本件中学校2年3組の教室内
で,亡Xに対し,被告A1におい
て,背後からその頸部を腕で圧迫
する等しながら共に床に倒れ込ん
だ上,被告B1において,亡Xの顔
にペンで落書きをした事実につい
ては認めるが,その余の事実は否
認する。
これは,担任のア教諭も在室する
中で行われ,亡Xも笑い,恥ずか
しそうな様子も見せずにいたもの
で,続いて被告A1もア教諭から亡
Xと同様に寝転んだ状態で後ろか
ら首に腕を回して動けなくするよう
な体勢を取らされるなどしたもの
であった。

被告Cらの認否・反論

被告B1が平成23年9月頃に被
告A1に背後から押さえられた状
態の亡Xの頬にペンで線を書いた
ことは認めるが,被告B1が猫のひげみたいにしたら面白い,
やったろか等と述べた事実は否
認する。その際,亡Xは笑いなが
ら止めるように言っており,その後
の様子も平常と変わらず,被告B
1との関係に変化はなかった。

被告A1は,平成23年9月末頃の1時間目
被告A1は被告C1から制汗スプ
と2時間目の間の休み時間に,2年3組教
レーをもらい,被告A1自身の脇に
室の亡Xの机の周辺で,前日に被告C1か
かけ,また,亡Xが登校していない
らもらった制汗スプレー(エイトフォー)を被
間に,被告A1が被告B1の後ろの
告B1と掛け合っていた。そこに亡Xが遅刻
亡Xの席に座り,被告B1とスプ
してやってきたところ,被告A1及び被告B
レーを掛け合っていたところ,亡X
1は,亡Xに対して,

何で遅刻してきたんが登校してきたため,被告A1がそや。罰や。

等と言いながら,亡Xの顔面にの席を離れ,自分の席に戻ろうと
向けて制汗スプレーを吹き付けた。亡X
した際に,亡Xを驚かそうとして,
は,つめたやめてと痛がりながら,手
頭にスプレーを掛けたところ,亡X
でこれを防ごうとしたが,被告A1及び被告○○○は手を頭に掲げたので,当該スプB1は同じ場所に掛け続けた。さらに,被告
レーが手に掛かり,亡Xは

つめA1及び被告B1は,亡Xの腕をつかんで同た。

と言った。なお,その際に被じ場所に制汗スプレーを吹き掛け続けてい
告A1が亡Xにスプレーを掛けた時
た。また,被告B1は,亡Xの机の中にも制
間は1,2秒程度である。
汗スプレーを吹き付けくさいと言って笑っ
上記事実以外は否認する。
ていた。被告A1及び被告B1は,スプレー
缶の中身が無くなるまで亡Xに対する噴射
を続けると,最後にスプレー缶を潰してい
た。

第1文は認めるがその余は否認当時,被告C1が学校に制汗スプ
する。
レーを持ってきていたことはある
被告B1と被告A1が被告C1の制が,その余は不知。
汗スプレーを掛け合っていたとこ
ろ,そこに,亡Xがきたため同人に
もスプレーが掛かってしまったこと
はある。

被告B1は,体育祭の少し前,2年3組の
教室で,亡Xの机の横のフックにかかって
いるビニール袋を見て,今日のパン何か見せてーやと言い,亡Xがいいよと答えたことから袋の中を見るやうまそーやん,食べるでと言ったかと思うと,袋を開けてぱくっと一口食べた。亡Xはいきなりのこと
に驚き返せといつになく強い口調で言っ
たが,被告B1はこれを無視して全部食べ
てしまった。亡Xは

なんで食べたんや。お昼の分がなくなるやんか

と抗議したが,被告B1はこれを無視して次の授業が行われ
る体育館に向かった。

被告B1が亡Xのパンを食べたこと
はあるが,無断で食べたものでは
ない。逆に被告B1のパンや飲み
物を亡Xにあげたこともある。
なお,被告B1が亡Xのパンを食
べたのは,合計2回ある。そのうち
1回は亡Xがくれたもので,もう1
回は,被告B1が亡Xにちょうだいなといったところ,亡Xはいいよとは言わなかったが食べた。いず
れも,互いに弁当のおかずを譲り
合う関係にある中で,亡Xの明示
又は黙示の承諾の下に行ったも
のである。

被告B1は,平成23年9月ころ,亡Xがい
ないときに,亡Xの机に置いてあるおにぎ
りを勝手に食べた。



否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。



被告B1は,平成23年9月中旬から10月
否認する。
初め頃,教室内で,亡Xの机に手をかけて
後ろに倒し,プリントや教科書が床に散ら
ばり,その中にあった亡Xのテスト成績カー
ド1枚を拾い上げ中身を見て,亡Xにお前まだ出してへんのかと言って,成績カードを二つ折りにして,上下に破り,破いた破
片を重ね合わせて更に破り,何度も細かく
破り,破いた紙片をぱらぱらと床上に捨
て,続いて,被告A1において亡Xの机から
英語の教科書を取り出し,亡Xに破るぞ○○○
と言って脅し,被告B1が床上の教科書を
拾い上げ教科書の表紙を破って剥がし床
に放り投げたり,2年夏休み明け確認テス
トを破ったりした。亡Xはやめてよーと
言ってた。その後,成績カードは再発行さ
れた。また,被告少年らは,亡Xの教科書
やプリント等に落書きをしたり,靴で踏み付
けたり,破いたり,印を押したりした。

被告B1が1回だけ亡Xの机の中否認する。
にあった成績カードを取り出して
破いたことがあること,被告B1が
亡Xの机上に出ていた紙類に印を
押したことがあることは認めるが,
その余は否認する。
亡Xの整理されていない机の中で
ぐちゃぐちゃになり,再発行を要す
るような状態のものを破いたもの
で,ふざけ合いの範疇で亡Xの承
諾の下行ったものである。
押印の件も,他の級友のいる場
で,対等な友人関係を前提とし
て,いじられ役であった亡Xに
ちょっかいを出していたもので,友
人間のふざけ合いとして亡Xから
許容されていた。

【別紙】

一覧表

時期

行為
番号

原 告 ら

被告B1は,文化祭後の平成23年9月終
わりから10月始め頃までの休み時間,亡
Xが席を外しているときに,周囲の生徒に
内緒やでと言いながら,教室の黒板消し
1個ないし2個を持って亡Xの机に近づき,
亡Xが机の横に置いていた青色と黄色の
ナイキのスポーツバッグを机の上に置き,
黒板消しをはたいて,チョークの粉を同
バッグの中や上に落とした。チョークの粉
は同バッグ以外にも飛散し亡Xの机の上に
も落ちた。被告B1は,チョークの粉をかけ
終ると,同バッグを元の場所に戻した。そ
の後自席に戻った亡Xは,チョークの粉だ
らけになったバッグや机を見てなんやこれと驚いていたが,被告B1はその様子を笑いながら見ていた。

行為主体
ABC
111

○○

被告B1は,平成23年9月ころ,授業中,
亡Xにノートの切れ端やプリントの紙片を
丸めて食べさせていた。

被告Bらの認否・反論
被告B1がふざけて,黒板消しを
はたいて亡Xのバッグの上に
チョークの粉を落としたことは認め
るが,その余は否認する。
他の級友のいる場で,対等な友人
関係を前提として,いじられ役で
あった亡Xにちょっかいを出してい
たもので,友人間のふざけ合いと
して亡Xから許容されていた。



被告A1と被告B1は,9月ころ,授業中,6
㎝×3㎝くらいの消しゴムを5㎜角より小さ
く千切って亡Xの後ろから投げ付けたり,か
けたりした。

被告Aらの認否・反論

被告A1が,亡Xに対し,千切った
消しゴムを投げたことがあることは
認めるが,その余の事実は否認
する。
なお,亡Xも被告A1や被告B1に
対して,千切った消しゴムを投げ
付けており,この3名で千切った消
しゴムをお互いに投げ付けあって
いたものである。

1学期の頃に,被告B1,被告A1
等が,ちぎった消しゴムや消しカス
を丸めた物を投げ合って遊んでい
たことはある。その際,近くにいた
亡Xにちぎった消しゴムや,消しカ
スがあたったことはあり得る。もっ
とも,亡Xに向かってそれらを投げ
付けた事実はない。
仮にこのような行為があったとして
も,他の級友のいる場で,対等な
友人関係を前提として,いじられ
役であった亡Xにちょっかいを出し
ていたもので,友人間のふざけ合
いとして亡Xから許容されていた。

否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。



被告B1は,平成23年9月ころ,亡Xの席
から筆箱を取り上げ,これを離れたところ
にあるゴミ箱に投げ入れた。

詳しい経緯・時期は記憶にない
が,被告B1が亡Xの筆箱をゴミ箱
に投げ入れたことは認める。
他の級友のいる場で,対等な友人
関係を前提として,いじられ役で
あった亡Xにちょっかいを出してい
たもので,友人間のふざけ合いと
して亡Xから許容されていた。



被告A1及び被告B1は,2学期になってか
ら,亡Xのテスト用紙を教室内の壁若しくは
○○
黒板に亡Xの承諾なしに貼り出した。

否認する。

否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。

平成23年9月中旬,被告B1,被告A1
が,亡Xに,

(クラスの一人の女子生徒に)告白しなければ友達やめるぞ。

と言い,さらに,その女子生徒に聞こえるようにコクレよ!と言っていた。
亡Xは

そんなん無理やし。

と言うと,被告A1と被告B1が,

あいつ(女子生徒)やば○○いしな。

と言っていた。こうしたことが3回ほどあった。

じゃんけんで負けた罰ゲームに,
女子生徒に告白をするというよう
なことをしたことはあるが,それは
1回程度だけと記憶している。
上記以外は否認する。
被告少年らも負けた際には当然
に行っていた。

1度だけ,じゃんけん罰ゲームで
負けた亡Xに対して,告れよと
言ったことは認める。ただし,告白しなければ友達をやめるぞと
いった事実,亡Xがそんなん無理やしといった事実,被告B1があいつやばいしななどと言った事実はない。
じゃんけん罰ゲームは,お互いの
合意に基づく偶然性の高い遊びで
あり,被告少年らも罰ゲームを実
行している。

平成23年9月中旬,10分休みの時間に,
亡Xの眼鏡を隠しながら回していた。こうし
たことは,ほぼ毎日のことで,1日に2回の
ときもあった。眼鏡を取るのは,最初は被
告A1,被告B1であった。眼鏡が取られ,
○○
回されてしまったときは,亡Xは,視力が悪
いことから,机にうつ伏せるようにしていた
り,返してーと言いながら追いかけたりし
ていた。

否認する。

否認する。被告B1が亡Xの眼鏡
を取ったことはない。

被告B1は,平成23年9月28日午後零時
ころから同日午後1時45分ころまでの間,
2年3組教室内で,亡Xがやめ,やめろ
と嫌がっているにもかかわらず,イライラするわと言いながら,特に理由もなく,オレンジ色で,元々見開きの二つ折りの再発
行を受けた成績カード1枚をびりびりに細
かくなるまで破り,英語と歴史の教科書計○○
2冊の表紙を破り取った。被告B1が破っ
ている間,被告A1は亡Xの横にいた。被
告B1は,成績カードや教科書を破った
後,破った成績カードや破った教科書を亡
Xの机の中に入れた。

否認する。

2年3組の教室内で亡Xの成績
カード1枚を破って毀損させたこ
と,その場に被告A1もいたことは
認めるが,日時が平成23年9月2
8日午後0時ころから同日午後1
時45分ころまでの間であったとす
る点や成績カードの色や形状は不
知である。その余は否認する。な
お,成績カードを破いた行為は,
友達同士のふざけ合いの範疇に
含まれるものであり,亡Xの承諾
があった。

被告Cらの認否・反論

【別紙】

一覧表

時期

行為
番号

原 告 ら

行為主体
ABC
111

被告Aらの認否・反論

廊下におけるいじめ
被告少年らは,平成23年9月以降,教室
否認する。
前廊下において,亡Xの顔面,肩,胸部,
腹部,臀部,足を殴ったり蹴ったりし,こいやと亡Xを挑発して亡Xが手を出すや直ちにボコボコにするなどしたり,亡Xに四つん
22ばいになるように指示して四つんばいに
○○○
なった亡Xの上に跨った状態で傍の者と談
笑したりするなどのいじめを日々繰り返し
た。暴行の頻度や程度は日増しにエスカ
レートしていった。

被告B1は,平成23年9月下旬頃,2年3
組教室前廊下において,亡Xに対して突然
に怒り出し,ブチ切れた様子で亡Xの顔面
を拳骨で殴打し,仰向けに突き倒し,起き
上がろうとする亡Xの右頬から頚部付近を
上靴の底で踏み付けにした。踏み付けら
れた勢いで亡Xの頭は廊下に打ち付けら
れ,眼鏡が飛んで行った。
倒した亡Xが起き上がろうとするとき,亡X
の顔から右の首あたりは赤くなっていた。
9月下旬頃の登校時,被告A1は,亡Xに
対し,2年2組又は3組の教室付近廊下に
おいて床に押し倒し,首を絞めるなどの暴
行を加えた。

平成23年9月頃,被告B1が,2
年3組教室前の廊下で亡Xを倒
し,頚部付近を踏んだことは認め
るが,拳骨で殴打したこと,亡Xが
頭を打ったこと,眼鏡が飛んで
いったことについてはいずれも否
認する。
亡Xは,教師に対し,被告B1をか
ばっており,その後の関係に変化
がなかったことから,被告B1の行
為を許していた。
否認する。



被告A1は,平成23年9月中旬頃,2年3
組教室前の傘立てに腰を掛け,自分の足
をハードルとしてこれを亡Xに飛び越えるよ
うに命じ,亡Xがこれを飛び越えようとした
ときに自分の足をひっかけて亡Xを転倒さ○○
せ,廊下にうつぶせに倒れていた亡Xの腰
あたりに馬乗りになった。被告B1は,この
様子をみて笑っていた。

否認する。

否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。

平成23年9月中旬,廊下で,被告A1と被
告B1が亡X

土下座しろ。

と言って,他のクラスの生徒たちに土下座することを強い
ていた。
亡Xは,大声ですいませんでした!と2○○
回ほど言わされた。

否認する。

じゃんけんゲームの罰ゲームで土
下座をするという遊びをしたことが
あったが,実際に誰が土下座をし
たのかについては覚えていない。
じゃんけん罰ゲームは,お互いの
合意に基づく偶然性の高い遊びで
あり,被告少年らも罰ゲームを実
行している。

9月半ば頃の午前中の休み時間,2年3組
の教室前の廊下で,被告A1は,亡Xの
ボールペンを2つにへし折って,廊下に落○
として足で踏み付けた。

否認する。

被告A1及び被告B1は,平成23年9月か
ら10月にかけて,3階男子トイレにおい
て,仰向けに倒れている亡Xの腰部付近を
蹴ったり,胸倉をつかんで顔面を殴打する○○
等の暴行を加えた。殴られた亡Xの眼鏡の
左右の高さが違ってしまうほどの威力で
あった。

被告Cらの認否・反論

否認する。前記のとおり,こかし合否認する。
いの遊びをすることはあったが,
記載のような暴行をした事実は一
切ない。



トイレにおけるいじめ
被告A1及び被告B1は,遅くとも9月中旬
頃から,亡Xをトイレに連れ込み,やり返してこないのか等と挑発しながら,抵抗しないことを理由に,四肢にあざができるま
で殴る蹴るの暴行を連日にわたって加え
ていた。
28被告B1が亡Xを羽交い絞めにし,被告A1○○
が,顔面を殴ったり腹部を回し蹴りするな
どすることが多かった。
暴行の発覚を隠すためであると思われる
が,亡Xの眼鏡は外し,これを周囲の生徒
に持たせていた。

被告Bらの認否・反論

否認する。

被告B1は,亡Xと一緒にトイレに
行くことがあったが,被告B1から
亡Xをトイレに誘ったことはない。
トイレ内で被告A1が亡Xを殴って
いるのを見たことがあるのは10月
5日の1回だけである。
被告B1が亡Xを殴った事実,羽
交い締めにした事実,眼鏡を取っ
た事実についてはいずれも否認
する。

否認する。

否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。

教室・廊下におけるいじめ(亡Xは,これらのいじめを,教室でも受けたし,廊下でも受けた)平成23年9月頃の休み時間2年3組の教
否認する。
室後方の開いた窓においてや,10月3日
被告A1は,他の生徒から注目を
から5日頃までの間2-3教室前廊下の窓
浴びるためにこのようなことをして
において,被告A1は,窓枠の上にある手
いたのであり,他の生徒ができる
摺に腰かけ,そのまま外に向かって体重を
ようになれば,自分自身だけしか
かけて落ちるような動きをし,落ちる寸前
できない特技がなくなってしまうた
30のところで両手で窓枠をつかむという度胸○○
め,亡Xを含む他の生徒に強要し
ためしのようなことを自分でやった後に,亡
たこともなければ,強要しようと考
Xに対し,お前もやれよ

やらな殴るで。

えたこともない。
などと言い,同じようにさせようとしていた。
なお,被告B1は,亡Xの自殺後,自殺本番いきよったと言っていた。
否認する。被告A1がそのような動
作をしていたことはあったが,亡X
に強制したようなことはない。ま
た,被告B1が自殺本番行きよったと言った事実はない。

【別紙】

一覧表

時期

行為
番号

原 告 ら

被告Aらの認否・反論

平成23年9月から10月ころ,2年2組教
室前の廊下や教室の清掃ロッカー近くで被
告A1が亡Xにむかついて,被告A1が亡X
の顔面や腹部を右のげんこつで振り上げ
るような感じで何発も殴った。被告B1は,
やれーと言って扇動していた。被告B1○○
が亡Xの眼鏡を顔から外して持っていた。
被告A1は何発も殴り,亡Xは1発殴り返し
た。被告A1は,亡Xの肩を持って屈ませた
状態で亡Xの腹を1回膝蹴りした。

否認する。

被告A1は,平成23年9月下旬から10月
上旬の3,4時間目の間の休み時間など
に,2年3組教室や教室前廊下で,後ろか
ら亡Xに気付かれないようそっと近付いた
り,亡Xに馬乗りになったり,うつぶせに
なった亡Xに覆いかぶさるように乗るなどし
て体を押さえるなどの方法で,亡Xのズボ
ンとパンツを片手でつかむと腰から足に向
けて引き下げることを日常的に行ってい
た。亡Xは明らかに嫌がっている様子であ○
り,顔を真っ赤にしながら何とか逃れようと
必死にもがいていた。1分ほどすると亡X
のお尻の割れ目が見えるくらいまでパンツ
がずり下がり,パンツがめくれ上がることも
あった。そのとき被告A1は,

タグがないやんけ。パンツ反対にはいてるんちがうか

などと大声で言ったこともあった。
被告Bらの認否・反論
否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。

平成23年10月7日の昼頃,2年
3組の教室内で,亡Xと共に甲死ね言った事実は認めるが,その
余の事実については,否認する。
これは,亡Xが,被告A1らに対し
て,普段から,亡Xの父親につい
ての多くの不満を述べており,当
日も教室で,被告A1が亡Xらと一
緒に居る際にも,亡Xが,亡Xの父
親から,

『被告A1と被告B1が万引きをしている。』ということを言わ○○○れ,また,『生徒会長をなめるな』とも言われた。

と愚痴をこぼし,「甲,死ね。」と叫びだしたため,そ
れに合わせて被告A1らも一緒に
叫んだものである。

2年3組の教室内において,亡X
から,原告甲が被告少年らが亡X
に銀行口座から現金を引き出させ
たと思っているということを聞いた
こと,それを聞いて被告B1が甲死ねと言ったことは認める。被告A1が亡Xを蹴ったとする点は不
知。その余は否認する。
被告B1は,亡Xから,

お父さんが勝手にA1とB1が万引きしているとか決め付けて言ってくる。自分でお金を使っていることもA1とB1に取られていると決め付けよる。どっちが主犯やとか,言ってくる。うっとしい。死んでほしい

等と言われたため,原告甲に対して,腹
を立てていた。そのため,亡Xと一
緒に甲死ねといったことはあっ
た。このとき亡Xも自ら甲死ねと
言っており,被告B1の上記発言
は亡Xに対する共感を示すもの
で,同人を傷つけるものではな
かった。

教室・廊下・トイレにおけるいじめ(亡Xは,これらのいじめを,教室でも受けたし,廊下でも受けたし,トイレでも受けた)平成23年9月以降(10月も含む),被告
否認する。
否認する。被告B1がそのような
少年らは,亡Xに対し,昼休みなど,毎日
行為をした事実はない。
34のように殴る蹴るの暴行,脅迫を繰り返し○○○
ていた。

平成23年9月頃下旬以降,被告A1及び
被告B1が亡Xに対し,体の各部に対して,
殴る蹴るの暴行を多数回にわたり加え続○○
けた。

その他の場所におけるいじめ
9月ころ,被告B1及び被告A1は移動教室
のとき,亡Xに,毎回のように,自分たちの
36荷物を持たせていた。
〇○

被告Cらの認否・反論

平成23年9月から10月頃に,廊
下で,被告A1が,亡Xの後ろから
ズボンをずらす遊びをしたことは
認めるが,その余の事実は否認
する。
不意打ちでズボンをずらすいたず
らは,亡X以外の生徒に対して頻
繁に行い,亡X以外の生徒から被
告A1がされることもあったが,亡
Xに対して行ったのは1回のみで
あり,同人が嫌がったため以後は
行わなかった。

平成23年10月4日から7日かそれ以外
の9月10月の昼頃,2年3組の教室や廊
下で,被告少年らは,原告甲が,被告少年
らが亡Xに銀行口座から現金を引き出させ
たと思っているということを聞き,甲死ね,Xも死ね

死ね。お前の家族全員死ね

X死ね,Xのお父さんうざい等と言い,亡Xは言われるままだった。被告A1は,教室
から出て行く際,亡Xのお尻を思いっきり蹴
り上げた。
行為主体
ABC
111

否認する。

2年3組教室内において,1度だ
け甲死ね等の発言があった現
場に居合わせたことは認める。
被告C1が,2年3組の教室を訪問
した際,原告甲が,被告A1と被告B1が亡Xに銀行口座から現金を引き出させたと思っているという話が挙がっており,甲死ね等
の発言が出ていたため,被告C1
もふざけて一緒になって同様の発
言をしていたにすぎず,亡Xを畏
怖させる意図などなかった。
なお,亡Xも同調して同様の発言
をしており,被告C1の上記意図を
認識していたはずである。
被告A1が,亡Xのお尻を蹴り上げ
たとの事実は不知。

否認する。

否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。

じゃんけんで負けた者が荷物を持否認する。被告B1がそのようなつことがあった。被告A1や被告B行為をした事実はない。
1も負けたことがあり,その際は荷
物を持っていた。
上記の事実以外は否認する。

被告少年らは,平成23年9月以降,亡Xに
否認する。
対する肩パンチを日課とするなど,顔面殴
打や腹部膝蹴り等の殴る蹴るといった暴
行,ヘッドロックや柔道の足技等の格闘技
の技を掛ける暴行,たすき掛けしているか
ばんをつかみ体ごと振り回すといった暴行
を加えていた。これら暴行によって,亡X
は,アザや擦り傷といった傷害を負わされ
た。とくに,被告B1は,平成23年9月の綱
引き予選会において,亡Xの後ろから近づ
き,右手を背後から首の前に回し,その右○○○
手を左手で押さえるような姿勢でそのまま
亡Xを後ろに引き倒し,自分の上に亡Xを
仰向けに乗せた状態で首を絞め続けた。
被告A1は,そうした状態の亡Xに馬乗りに
なって,亡Xの肩などを持って揺すった。さ
らに被告B1は,うつ伏せになった亡Xの腰
のあたりにまたがるように座って,首に腕
を回して後ろに仰向けに反り返らせた。

否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。

被告A1と被告B1は,平成23年9月ころ,
何回も亡Xの筆箱や筆箱の中身,かばん
〇○
や弁当を隠した。

否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。

否認する。

否認する。

【別紙】

一覧表

時期
9月29日

a








行為主体
被告Aらの認否・反論
ABC
111
ハチマキやガムテープで身体を拘束してのいじめ,すね毛剥がし
被告少年らは,平成23年9月29日昼前
体育大会の日に,メインスタンドに
後頃a総合運動公園陸上競技場メインスタ
おいて,じゃんけん罰ゲームをし
ンドの内の多数の場所において,被告C1
ていた。
が拘束ごっこをしようと提案したことか
じゃんけん罰ゲームとは,じゃんけ
ら,亡Xの両手をハチマキで後ろ手に縛
んに負けた者が,罰ゲームをする
り,両足をハチマキないしガムテープで括
というものであった。
り,口をガムテープで塞いだ状態で,押し
じゃんけんをして負けた人に,鉢
たり蹴ったりからかったりし,あるいは,亡
巻きで手を縛ろうということになっ
Xの両手をハチマキで後ろ手に縛りその場
た。
に立たせガムテープで両手両足を観覧席
その際のメンバーは,被告A1,亡
後方の棒等付近の鉄柵に縛り付け口にガ
X,被告B1,被告C1,その他数
ムテープを貼り,又は,亡Xを被告C1が亡
名の生徒であった。
Xの背後に立ち両肩を押さえ付け,被告B
しかし,ほとんどの者がこれを嫌
1が亡Xの両足首をそろえてつかんで地面
がっていたところ,亡Xが俺が縛ら
に押さえ付け,被告A1が亡Xの両手をハ
れていいと申し出た。
チマキで後ろ手に縛り,両足もハチマキで
そして,誰かが鉢巻きで,亡Xの手
縛り,ガムテープを亡Xの口から首の後ろ
首と足を縛り,誰かが亡Xの口に
までぐるりと巻き付けるように貼り付けるな
ガムテープを貼った。
どした。
被告A1は亡Xの腕を後ろ手に両
被告A1は,亡Xを縛るに際し,亡Xの体が
腕を近づけるようにしただけであ
硬かったことから,亡Xの肩を持って後ろに
る。
反らせ,縛りやすくなるように亡Xの両腕を
その後,被告A1は,亡Xが鼻をよ
内側に引き寄せた。また,被告A1は,亡X
く詰まらせていたことを思い出した
の鼻や口が覆い隠れるほどガムテープを
ため,口に貼られていたガムテー
貼ったが,亡Xが呼吸しにくそうにしている
プを少し剥がし,息がしやすいよう
のを見て,一旦ガムテープを剥がした上
に貼り直した。
で,鼻の部分に隙間ができるように貼り直
その際の亡Xは,嫌がる様子はな
した。
く,抵抗している様子もなかった。
被告少年らは,後ろ手に縛られ身動きが
亡Xが縛られているのを解こうとす
取れない亡Xの腹部をドンドンと殴り付け,
ることもなかった。
被告A1が動画で撮ったれと言ったのに
数分後,その様子を見ても特に面
呼応して,被告B1が自分のズボンのポ
白いことはなかったので,誰かが
ケットから折り畳み式携帯電話を取り出し
亡Xの手足の鉢巻きを解いた。
撮影を開始し,口々に万引きしたって言その後,じゃんけんで負けた者えや等と怒鳴り付けながら,嫌がる亡Xのが,すねにガムテープを貼り,剥
足を蹴り,被告B1が亡Xの口のガムテー
がすというゲームが始まった。
プを剥がしたときに,亡Xが万引きしたと
しかし,被告A1はこれには参加し
言うや,いいの撮れた言いよったとは
ていない。
しゃぎ立てた。
亡X,被告C1,被告B1,その他
さらに,被告少年らは,共同して,被告C1
生徒が参加し,そのうちの二人くら
においては,後ろ手に縛られた亡Xの脛に
いが負けていた。
長さ24cmほどのガムテープを貼り付け,
39これを上から下に剥がし,被告A1におい○○○上記の事実は認めるが,その余ては,ハチマキで後ろ手に縛られてベンチ
の事実は否認する。
に座らされた亡Xの足元にしゃがみこみ,
足にガムテープを貼ってこれを剥がしてす
ね毛を抜き,ガムテープに付いたすね毛を
見て,毛が付いてるーと言っていた。被
告B1は,亡Xのすねに貼ったガムテープ
を一気に剥がして,毛,抜けた等と言っ
て遊んでいた。
これらの様子を周囲で見ていた女子生徒

やり過ぎ。誰か止めて。

と叫び,別の男子生徒はやめとけと注意した。被告B
1は,これに対していい子ぶるなと悪態
をついたが,結局,被告少年らは,渋々,
亡Xの頭部のガムテープを剥がした。この
とき,亡Xの髪の毛が抜け,亡Xは,赤く腫
れ上がった顔を痛みに歪ませていた。
その後,亡Xはハチマキで目隠しをされ,
眼鏡返して,眼鏡返してと訴えていた
が,被告少年らは,いくぞの掛け声とと
もに,後ろ手に縛られた亡Xの背中を押し
て,歩けや早よ,歩け等と言いなが
ら,観覧席の下の方へ連れて行った。
この間通りかかったカ教諭から何してんの,遊ばんときややめなさいと注意されると,被告C1や被告B1は,同教諭の
傍に駆け寄り,何でもない,遊んでるだけやと申告し,いじめをやめることなく継続した。
2年4組観覧席最前列付近で,亡Xの両目
にハチマキを括り付け,そのハチマキを後
ろから思い切り引っ張った。亡Xは,その勢
いで後ずさり,体は後ろに反り返って,首も
後ろにガクっとなった。亡Xは,歯を食いし
ばって辛そうにしていたが,被告B1は傍
で大笑いをしていた。
また,被告少年らのうちの1人は,2年3組
観覧席と2年4組観覧席の間の通路沿い
で,亡Xの首にかけたハチマキ両端を馬の
手綱のように持って,亡Xの首を引っ張り,
亡Xを後ろにのけ反らせた。
行為
番号

原 告 ら

被告Bらの認否・反論

被告Cらの認否・反論

2年3組観覧席付近において亡X
がハチマキで手足を縛られたりガ
ムテープを貼られたりしたことは認
める。しかし,その具体的な内容
は不知である。被告B1が押さえ
付けたり縛ったり貼ったり剥がした
りしたことや他の少年との間に共
謀があったことは否認する。動画
の撮影やカ教諭から注意されたこ
とも否認する。
ハチマキで括ったり,ガムテープを
貼ったりした行為は,じゃんけん罰
ゲームをきっかけにしたもので,こ
れらの行為をしたのは,被告C1
であった。時間は全体で5~10分
程度で,被告B1は,いつもどおり
亡Xがいじられているという印象を
受けたにすぎず,亡Xもふざけ合
いの一環としてこれを許容してい
た。

2年3組観覧席付近において亡X
がハチマキで手足を縛られたりガ
ムテープを貼られたりしていたこ
と,その場に居合わせたことは認
める。
その具体的な行為主体や行為態
様,その余の事実は否認ないし不
知。
じゃんけん罰ゲームの遊びの一環
で亡Xの同意に基づいてされたも
のであり,行われた行為も,目撃
した亡Xの次姉においてもふざけ
ていると思ったとの認識を持つ程
度のもので,執拗かつ長時間に及
ぶものでもなかった。なお,被告C
1は同日に他の罰ゲームを受けて
いる。

【別紙】

一覧表

時期

行為
番号

原 告 ら

行為主体
ABC
111

被告Aらの認否・反論

亡Xをおぶっての暴行
被告少年らは観覧席のどこかの階段を降
否認する。
りたところのシャッター付近で,亡Xの腰部
付近を蹴り上げた。被告B1及び被告C1も
その場にいて笑っていた。また,2年3組観
覧席最前部付近で,被告A1が亡Xをおん
40ぶし,被告B1や被告C1がその後ろから
○○○
亡Xの臀部や腰部を交互に何度も足蹴に
した。足蹴は,強めの横蹴りであり,亡Xは
蹴られる度に痛そうな表情を浮かべてい
た。

被告Bらの認否・反論

被告Cらの認否・反論

否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。

否認する。

メインスタンド内で倒れた状態の
亡Xの唇の上に蜂の死骸をのせ
たことは認めるが,その余は否認
する。
被告B1が転倒させたのではなく,
転倒させることについての共謀も
ない。また,蜂を食べるという罰
ゲームを前提にしてじゃんけん
ゲームが行われ,亡Xもゲームに
参加してじゃんけんに負けた経緯
がある。この罰ゲームでは,その
場から逃げ出すというリアクション
に出た亡Xを追いかけ,最終的に
は亡Xが唇の上に乗せられた蜂を
吹き飛ばしたところで終了したもの
で,亡Xの口の中に蜂を押し込ん
で食べさせようとした者もおらず,
周囲の生徒も笑っていた。このよ
うに,被告B1が唇の上に蜂の死
骸をのせたのは,少年らのふざけ
合いの一環であって,亡Xの承諾
の範囲内のことである。

体育大会の日に,亡Xが唇の上に
蜂の死骸を乗せられていたこと,
被告C1がその状況に居合わせた
ことは認める。その余は否認ない
し不知。
被告C1は蜂の死骸を食べるとい
う罰ゲームを前提としたじゃんけ
んには加わっているが,亡Xがじゃ
んけんに負けた後の行為には関
与していない。

否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。

否認する。

被告少年らは,体育祭の日,メインスタンド
否認する。
裏2階男子トイレ前通路において,亡Xを
取り囲むように立ち,被告A1が亡Xの左大
腿部から左臀部付近を回し蹴りし,顔面を
サンドバックのように何発も殴った。亡Xは○○○
両手で顔面をガードしていたが,被告A1
はそのガードしている腕の上から何発も
殴っていた。さらに被告A1は,亡Xの腹部
を何発も膝で蹴り上げた。

被告少年らは共同して,体育祭の日,2年
否認する。
3組観覧席の一番下の通路や2年4組応
援席と2年8組応援席の間の通路におい
て,亡Xに対して,被告C1がbで万引きしたから土下座しろと命令し,bの方向を向○○○いて膝をついて土下座させたり,同級生の
女子生徒らにすみませんでしたと土下
座をさせたりした。

負けた人が女子生徒に土下座を否認する。
するというじゃんけん罰ゲームの
中で,じゃんけんで負けた亡Xが
女子生徒に土下座をしたことは認
めるが,その余は否認する。な
お,被告C1も同じく女子生徒に土
下座する罰ゲームをしている。

蜂を食べさせようとした
被告A1は,午前10時頃から昼休み・昼頃
体育大会の日に,メインスタンドの
にかけて,a陸上競技場メインスタンド内の
傍で,じゃんけん罰ゲームをして
多数の場所で,亡Xをこもごも羽交い絞め
いた。
して押し倒したり,亡Xの後ろから手を首の
じゃんけん罰ゲームとは,じゃんけ
前に回して,膝を折って仰向けにこかし,
んに負けた者が,罰ゲームをする
仰向けに寝転んだ亡Xの上に跨って,肩を
というものであった。
押さえたり,亡Xの腕や足を後ろで押さえ
そして,じゃんけんに負けた者が
たり,亡Xをサンドバックの様に何回も殴っ
蜂を食べることになった。
たり蹴ったり,両手を後ろで縛り,シャッ
じゃんけんをする前に罰ゲームの
ターに追い詰めたり,角に追い詰めたり,
内容が決められ,これに了解した
両手両足をハチマキで縛り,観客席の後ろ
者が,このゲームに参加した。
にある棒に後ろ手で括り付けたりするなど
亡Xがじゃんけんに負けた。
して,被告B1が亡Xの口に貼ったガム
しかし,亡Xは罰ゲームをすること
テープをはがすなどして口にハチをいれよ
を拒否した。
41うとして口を開けろなどと迫った。被告C○○○そこで,被告A1が,亡Xの後方か1はその場にいて亡Xのリアクション見たさ
ら倒して,押さえ付けた。
に一緒に騒いでいた。亡Xは,口を閉じ,
そして,被告B1が,亡Xの口の上
頭を右に左に振って抵抗したが,被告A1
に蜂を置いた。
が亡Xの顎を下に押したりして無理矢理口
亡Xは,口の上の蜂を,息で吹き
を開けようとさせる等して,被告B1が蜂を
飛ばした。
亡Xの唇辺りや口に落とした。被告A1や
その後もその場にいた仲間で,行
周囲の者は,面白そうに笑っていた。亡X
動を共にした。
の上には,被告B1が跨ることもあった。こ
のとき,被告A1が亡Xの腰の付近を思
上記の事実については認めるが,
いっきり蹴っていた。なお,被告A1は,じゃ
その余の事実は否認する。
んけんをして負けた人が蜂を食べるという
遊びはしていなかったと供述している。
その他

1
0



被告A1は,平成23年10月初め頃の昼休
み,2年3組教室後方ロッカー前において,
亡Xの両脇に手を入れて羽交い締めにし,
亡Xを前に押し倒し,亡Xの顔や体を床に
打ち付けた。さらに,被告A1は自分の足を
軸にして亡Xを羽交い締めにしたまま後ろ
に倒れ込み,仰向けになった亡Xの腕をぐ○
いぐい締め付けた。亡Xがやめろや,やめろやと抵抗していたところ,教壇で食事を摂っていたア教諭は,近寄ってきて,被
告A1に対して離せそんなに好きやったら先生が相手したるなどと声をかけた。
否認する。

被告A1及び被告B1は,平成23年10月
3日又は同月4日,3階男子トイレにおい
て,亡Xのしゃべり方がイライラするという
理由から,亡Xの顔面や腹部を殴打し,
お前も殴り返してこいよと亡Xを挑発し,
亡Xが仕方なく被告A1の上半身を1発殴
ると更に殴るように挑発し亡Xがやり返す○○
や亡Xの顔面や上半身をますます強打し
た。教室に戻った亡Xの右目下や左頬等
にはアザができていた。その後5時間目に
入った頃,被告A1と亡Xは保健室に行っ
た。

否認する。
休憩時間に互いにボクシングのま
ねのようなことをしていた際に手
が亡Xの顔面に当たってしまった
もので,亡Xが痛みを訴えたことか
ら被告A1は謝罪し,その後保健
室に同行している。

被告A1は,平成23年10月4日,4限目
の道徳(学活)の授業終了後,教室におい
て,亡Xを押し倒し,馬乗りになり,拳で亡○
Xの顔面を殴った。

否認する。

被告A1と亡Xが保健室に行ったと
する点は不知。その余は否認す
る。被告B1がそのような行為をし
た事実はない。

【別紙】

一覧表

時期

行為
番号

原 告 ら

行為主体
ABC
111

被告A1は,平成23年10月4日,2年3組
教室前廊下において,亡Xの顔面や腹部
等を殴ったり蹴ったりする暴行を加えた。○

被告B1が,平成23年10月5日午前の国
語の授業中に,亡Xがやめて!と言うの
も聞かずに,亡Xの筆箱に入っていたペン
をへし折って,インクを亡Xの机や服に付
着させ,まだ新品であった筆箱の中をイン
クまみれにした。

被告Aらの認否・反論

被告Bらの認否・反論

否認する。

9月中旬から下旬頃,被告B1が,
亡Xのペンをはさみで切り,筆箱
のなかにインクを垂らしたことは認
める。当時,被告B1は,亡Xと一
緒にbで万引きしたことがあり,ペ
ンを切ったらどうなるんだろうとい
う興味から,どうせ万引きをしたのものだろうとの軽い気持ちで亡Xのペンを誰かのはさみで切っ
た。その際,亡Xはやめてとは
言っていなかった。



被告A1及び被告B1は,平成23年10月
平成23年10月5日午後2時頃,
5日午後2時頃,中学校中校舎3階の男子
3階男子トイレにおいて,亡Xに対
トイレで亡Xの態度をウジウジしたものであ
して

やられたら,やり返せよ。

とる等と感じたことから立腹する等し,被告A
言ったところ,亡Xはわかったと
1において亡Xの眼鏡を大便器の方に投
応答した。
げ捨て,亡Xの胸倉をつかんで頬を殴打し
その後,亡Xに対して

殴るから,たり,腹部を下から突き上げるように殴打殴り返せよ。

といって,亡Xの顔したりする等し,さらに亡Xに馬乗りになっ
面を1発殴り付けた。
て顔面等を殴打する等の暴行を加えた。ま
すると,亡Xが被告A1の肩若しく
た被告B1も亡Xの上半身を小突いた。亡
は腕辺りを一発殴り返してきた。
Xは何も言わずにじっと耐えていたが,被
その後,被告A1は,亡Xと抱き合
告A1がやり返してこいや等と挑発を始
い,教室へ戻った。
め,実際にやり返さないと終わらないという
上記の事実は認めるが,その余
感じになったために,被告A1に対して殴り
の事実は否認する。
返した。被告C1はこれらの様子を傍で止
被告C1からちょっかいを出された
○○○亡Xがやられるままでやり返さな
めることなく見ていた。
いことに違和感を覚えていた被告
A1が,亡Xに対して殴るから殴り
返せと言い,同人がこれを了承し
たことから,亡Xを殴り,同人も被
告A1に対して殴り返したというも
ので,その後二人は互いに抱擁し
て終わらせており,同日中の後刻
に事情を聴取した担任のア教諭に
対しても,亡Xは

今日はつらかった‥嫌やったけど,まあ許す。

などと述べて,同席した被告A1とは
友人であるとの認識を示してい
る。

10月5日にトイレ内において被告
A1が亡Xの顔面を殴ったこと,被
告A1がなんでやり返してこないんだなどと言ったこと,これに対して亡Xも被告A1を殴り返したこ
とは認める。その余は否認する。
被告B1はこれを目撃しているが,
手を出すなどして加担しておら
ず,被告A1との間に共謀もない。
なお,二人の殴り合いは,最終的
には抱擁しあって終わっており,
亡Xは被告A1を許している。

被告B1は,中間試験中の平成23年10
月6日,亡Xに対してきもいねんと言い,
亡Xの定規を割った。

否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。

被告B1は,2年生の中間テストが終わっ
た時期である平成23年10月7日,突然後
ろの席の亡Xの方に振り向き,手を伸ばし
て亡Xの机の中から答案用紙を取り出し,
亡Xがやめろというのを無視して,これを
1~2回破き,くしゃくしゃに丸めて亡Xの机
の中に戻した。

被告Cらの認否・反論



否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。


被告B1は,10月7日の午前中,2年3組
の教室で,亡Xが抵抗して被告B1の手や
かばんを押さえたがきかず,亡Xのかばん
から無理やりパンを取り出し,亡Xが取り返
そうとするのもきかず,パンを食べた。同様
のことは,少なくとも9月に1回,10月に2
回はあった。



被告A1及び被告B1は,平成23年10月
7日4時間目終了後,3階男子トイレにお
いて,亡Xに対してなんやねん,死ねや
などと言いながら,亡Xの胸倉をつかみ,
左太もも付近を膝蹴りする等,殴る蹴るの
暴行を加えた。トイレの外にまでなんで泣○○いてんねん!という被告B1の怒号が聞こえた。暴行の後,亡Xは一人トイレで涙を
流し,鼻血を出しながら保健室へと向かっ
た。

被告B1が亡Xのパンを亡Xに無
断で食べたことがあることは認め
る。それが平成23年10月7日で
あったという点,亡Xが抵抗したと
いう点は否認する。
被告B1は2度,亡Xの持ってきた
パンを食べたことがある。1度目
は,亡Xに対して,メロンパンを
ちょうだいと言ったところ,亡X
がいいよと言ったために食べ
た。2度目は,平成23年9月頃,
亡Xのソーセージパンをちょうだいと言って,明確な返事のないまま食べた。もっとも,従前から,被
告B1が亡Xにパンをあげたり,お
弁当を分けてあげたこともあり,亡
Xのパンを食べたことは亡Xの黙
示の承諾に基づくものである。
否認する。

否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。

被告C1が現場に居合わせたこと
は認める。
ただし,他の生徒も大勢駆け付け
ており,被告C1も他の生徒と状況
的に変わるところはなかった。

【別紙】

一覧表

時期

行為
番号

原 告 ら
被告C1は,被告B1と一緒になって,平成
23年10月8日午後3時過ぎころから同日
午後3時30分ころまでの間,亡Xの自宅を
訪れた。しばらくすると,被告C1は亡Xに
対してマンガくれやとしつこく言い始め
た。亡Xは帰ってと言っていたが,被告B
1と被告C1は,亡Xに10まで数えるように
命じると亡Xの部屋に入って行った。この
間に,被告B1と被告C1は,亡Xのコミック
本18冊(時価5400円),亡Xが13歳の
誕生日プレゼントに父からもらったGショッ
クの腕時計1点(時価3740円)を窃取し,
亡Xの部屋を荒らし,その後,同腕時計を
廃棄した。また,その際,被告B1は,亡X
の財布を亡Xの机の下に隠した。
同日午後5時36分ころ,亡Xは被告B1に
対して,コミック本及び財布を返してほしい
と被告B1の携帯電話に録音し,被告C1
に対しても本を返してと言ったが,被告C1
と被告B1は返さなかった。

被告C1及び被告B1は,平成23年10月
9日午後7時ころ,公園で,煙草の火を亡X
の体に近づけて遊んでいた。

行為主体
ABC
111

被告Aらの認否・反論

被告C1が,被告B1とともに,同
日同時刻ころ亡Xの自宅を訪問し
ていたこと,自宅を出る際にコミッ
ク本18冊と腕時計1点を持ち帰っ
たことは認める。
その余は,否認ないし不知。

否認する。被告B1がそのような
行為をした事実はない。

○○

被告Cらの認否・反論

被告B1が被告C1と共に平成23
年10月8日午後3時過ぎ頃から同
日午後3時30分頃までの間に亡
Xの自宅にいたこと,被告C1がコ
ミック本18冊と腕時計1点を持ち
帰ったこと,その後に亡Xが被告B
1の携帯電話の留守電にコミック
本の返却を求めるメッセージを残
していたことは認め,その余は否
認する。
被告B1は亡Xの部屋の中で亡X
とこかし合いなどをして遊んでお
り,そのときに部屋が散らかった
可能性はあるが,意図的に荒らし
たり,財布を隠したことはない。マ
ンガ本18冊と腕時計1点は,被告
C1が亡Xから譲り受けたもので
あって窃取した事実はなく,被告B
1が共謀した事実もない。亡Xがコ
ミック本の返却を求めてきた理由
は,原告甲が売ると言っていると
いうことであった。

○○

被告Bらの認否・反論

否認する。

コミック本も腕時計も,亡Xの了解
を得て譲り受けたものであり,窃
取はしていない。腕時計は亡Xが
原告甲からプレゼントされたもの
であったが,亡Xが原告甲の言動
を契機として野宿をするなど原告
甲を拒絶する姿勢を示していたこ
と等に照らせばこれを譲られたこ
とも不自然ではない。
したがって,被告B1との共謀の事
実もない。

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