判例検索β > 平成30年(わ)第4641号
弁護士法違反
事件番号平成30(わ)4641
事件名弁護士法違反
裁判年月日平成31年4月25日
法廷名大阪地方裁判所
裁判日:西暦2019-04-25
情報公開日2019-06-25 03:32:56
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主文
被告人を懲役1年6月に処する
この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,訴訟事件,非訟事件及び審査請求等に関する行為その他一般の法律事務等を目的とする弁護士法人A法律事務所の代表社員弁護士,Bは,同法人の社員弁護士として,いずれも同法人の業務に従事していたものであるが,被告人及びBは,共謀の上,同法人の業務に関し,株式会社Cの取締役であったDらが,弁護士又は弁護士法人でなく,かつ,法定の除外事由がないのに,別紙犯罪事実一覧表(掲載省略)記載のとおり,平成29年1月18日頃から平成30年8月8日頃までの間,大阪市a区bc丁目d番e号f号室所在の弁護士法人A法律事務所等において,Eほか11名から,F株式会社等の債権者に対する債務整理等の法律事件に関する依頼を受け,
同事件の債務整理手続等につき前記Eらに助言,
指導し,
同人らの債権者との間で和解交渉をするなどの法律事務を取り扱った際,これらの法律事務を取り扱わせ,同事件の和解書等に弁護士法人印又は弁護士印を押印させるなどし,もって法律事件に関して法律事務を取り扱うことを業としていた者に自己の名義を利用させたものである。
(証拠の標目)
省略
(法令の適用)
罰条
包括して刑法60条,弁護士法77条1号,27条後段

刑種の選択

懲役刑を選択

刑の執行猶予

刑法25条1項

(量刑の理由)
被告人は,司法書士事務所から広告費収入を得ていた会社の役員で,同事務所の運営にも携わっていた者らと結託し,弁護士でなければ取り扱えなくなった債権額が140万円を超える債務整理等を同人らが事務員らに非弁行為として行わせることを前提として,弁護士法人を新たに設立してその代表社員弁護士に就任し,弁護士資格を有する自身や共犯者が適法にこれらの法律事務を取り扱っているかのような外形を作出して非弁活動を助長していた。このように本件は,弁護士である被告人や共犯者らがほとんど法律事務に携わらないという形態であって,現に,依頼者の中には,弁護士でない者の判断によって自己の希望と異なる内容で勝手に和解を成立させられた者も存在することや,犯行の期間が約1年8か月間にも及び,起訴されただけでも実際に行われた個別の非弁活動が12件にも達することをも踏まえると,本件は,国民の公正円滑な法律生活を保持し,法律秩序を確立しようとした法の趣旨に真っ向から反するものであって,違法性の程度は大きいというべきである。しかも,被告人は,月額100万円もの報酬の支払を約束されて本件犯行に及んだのであって,強く非難されなければならない。もっとも,その一方で,非弁提携の仕組み自体は前記の司法書士事務所の運営者らが主導して作り上げていて,
被告人は,
同事務所で事務員として勤務する中,
偶々,弁護士資格を有していたことから,上記運営者らに取り込まれた面があることは否定できない。
また,
被告人が本件を思いとどまらなかったことを後悔し,
反省の弁を述べていることのほか,前科前歴がなく,夫が公判に出廷し,今後の監督を誓っていることに照らし,更生の余地は十分に認められる。そして,本件により,
弁護士資格を失うなど社会的制裁が見込まれることなども併せて考慮し,被告人に対しては主文の刑に処した上,その刑の執行を猶予することとした。(求刑・懲役1年6月)
令和元年5月7日
大阪地方裁判所第2刑事部

裁判長裁判官

西川篤志
裁判官

荒井智也
裁判官

森朋美
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