判例検索β > 平成31年(わ)第11号
強盗
事件番号平成31(わ)11
事件名強盗
裁判年月日令和元年5月22日
法廷名高知地方裁判所  中村支部
裁判日:西暦2019-05-22
情報公開日2019-06-25 03:32:30
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令和元年5月22日判決宣告
平成31

11号
主文
被告人を懲役4年6月に処する
未決勾留日数中30日をその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,パチスロ等に多額の金員を費やしたため公租公課等の支払に困り,現金を強取しようと考え,平成31年2月25日午後1時40分頃,高知県土佐清水市ab番地c甲郵便局において,同郵便局局員A(当時54歳)に対し,その右手首をつかみながら,刃先を出したカッターナイフをその顔面等に突き付け,同郵便局局員B(当時54歳)に対し,同カッターナイフをその胸部に突き付け,

金を出せ。早くしないと刺すぞ。

などと語気鋭く申し向けて脅迫し,前記Aらの反抗を抑圧した上,前記Bにキャッシャーから同郵便局局長C管理の現金100万円を排出させた上で差し出させて強取したものである。
(法令の適用)
罰酌条量減
刑法236条1項


刑法66条,71条,68条3号

未決勾留日数の算入

刑法21条

訴訟費用の不負担

刑訴法181条1項ただし書

(量刑の理由)
被告人は,本件犯行前に現場を複数回下見した上で,マスクやニット帽のほか犯行用の着衣を用意して本件犯行に及んでおり,手袋をしない,自動車の駐車場所を事前に検討しておかないなどの稚拙な点もあるものの,本件犯行は計画的犯行といえる。
また,本件犯行における被害額は100万円と高額である上,被告人が本件犯行に及んだ動機は,被告人はパチスロに多額の金員を費やしたために相当額の税金や社会保険料等を滞納することとなり,その支払に困ったからというものであるところ,自己の浪費を強盗によって穴埋めしようという自己中心的なものであって,酌むべき事情があるとはいえない。
そうすると,本件の犯情は相当に悪質であり,被告人には相応の刑が科されるべきである。
他方で,被告人が本件犯行に用いた凶器はカッターナイフであり,殺傷能力が高いとまではいえない上,被告人は,カッターナイフを郵便局員らの顔等に近づけてはいるが,刃を郵便局員らの身体に触れさせるなどまではしていないことなどからすると,本件の犯情のうち暴行態様は,強盗の事案の中では相対的に軽い部類に属するといえる。
また,被告人は,本件犯行を計画し,準備した上で犯行現場付近まで出向いたものの,勇気が出ず,実際に犯行に及ぶまでに2時間程度は逡巡していたことが認められ,その犯意が極めて強固であったとまではいえない。
これらの被告人に有利な事情に加え,被告人には前科前歴がないこと,被告人の勤務先が被告人を今後も雇用する旨述べている上,被告人においてもギャンブル依存症の診察等を受け,借金等についても弁護士に相談する旨述べていること,被告人の姉が公判廷に出廷して,被告人の金銭を管理し,再犯防止に協力する旨述べていることなどからすれば,被告人の今後の生活の立直しが期待できること,被告人が逮捕当初から罪を認め,被害者らに謝罪文を渡すなどして反省していることなどの被告人にとって酌むべき事情を考慮すると,被告人に対しては強盗罪の法定刑の最下限をもって処断するにはやや重いものといえ,酌量減軽した上で,主文の刑期,刑事施設に収容するのが相当であると判断した。
(求刑

懲役6年)

令和元年5月22日
高知地方裁判所中村支部
裁判官田野倉真也
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