判例検索β > 平成31年(わ)第216号
入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反、公契約関係競売入札妨害被告事件
事件番号平成31(わ)216
事件名入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反,公契約関係競売入札妨害被告事件
裁判年月日令和元年6月19日
法廷名神戸地方裁判所
裁判日:西暦2019-06-19
情報公開日2019-07-17 12:00:12
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令和元年6月19日宣告
平成31年(わ)第216号

入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員によ

る入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(以下官製談合防止法という)違反,公契約関係競売入札妨害被告事件
判決主文
被告人を懲役1年6月に処する
この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
【犯罪事実】
被告人は,平成29年4月1日から平成30年3月31日まで兵庫県西宮市土木局道路公園部道路建設課副主査として,同年4月1日から同市土木局道路部道路建設課副主査として,同市内の道路の新設改良工事及び公共施設の土木工事の設計,施工管理,竣工検査等の職務に従事していたもの,分離前の相被告人Aは,土木工事業等を営むB株式会社の技術管理部長として,同社が入札参加予定の工事に係る積算業務等に従事していたものであるが,被告人は,次の各行為をした。第1

同市が平成29年5月29日に入札を執行した西第a号線道路改良(bc丁目)工事の事後審査型制限付き一般競争入札に関し,前記職務に従事する者として適正に入札等に関する職務を行う義務があるのに,その職務に反し,Aと共謀の上,同月23日頃,
(住所省略)所在のスナックCにおいて,A
に対し,前記入札における秘密事項である同工事の設計金額(税込み)が8160万9120円である旨教示し,よって,同月29日,兵庫県西宮市六湛寺町10番3号所在の西宮市役所において執行された同工事の入札において,B株式会社をして,教示された設計金額から最低制限価格に近接した金額として算出した金額であり,実際の最低制限価格である6685万6200円に近接
した6686万5000円で入札させて同工事を落札させ
第2

同市が平成30年8月21日に入札を執行した法面補強(d)工事の事後審査型制限付き一般競争入札に関し,前記職務に従事する者として適正に入札等に関する職務を行う義務があるのに,その職務に反し,Aと共謀の上,同月7日頃及び同月10日頃,前記西宮市役所において,携帯電話機のショートメッセージサービスを利用して,Aに対し,前記入札における秘密事項である同工事の設計金額(税込み)が4968万8640円で,共通仮設費のうちの木根等処分費の伐採工の単価
(税抜き)
が7755円である旨教示し,
よって,
同月21日,前記西宮市役所において執行された同工事の入札において,B株式会社をして,教示された設計金額等から最低制限価格に近接した金額として算出した金額であり,実際の最低制限価格である4073万9600円に近接した4073万9800円で入札させて同工事を落札させ

もって偽計を用いるとともに入札等に関する秘密を教示することにより,公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為を行った。
【法令の適用】
罰条
判示第1及び第2の各行為中
各官製談合防止法違反の点
いずれも官製談合防止法8条
各公契約関係競売入札妨害の点
いずれも刑法60条,96条の6第1項
科刑上一罪の処理
判示第1及び第2

いずれも刑法54条1項前段,10条(1罪として重い
官製談合防止法違反の罪の刑で処断。ただし,罰金刑の
任意的併科については,公契約関係競売入札妨害罪につ
いて定めたそれによる。


刑種の選択
判示第1及び第2の罪
併合罪の処理

いずれも懲役刑を選択
刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の重い判示
第1の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予

刑法25条1項

訴訟費用の負担

刑事訴訟法181条1項本文

【量刑の理由】
本件は,
西宮市の土木局の職員である被告人が,
懇意となった建設会社
(以下
本件会社という)の技術管理部長に対し,2回にわたって土木工事の入札に関する秘密事項である設計金額等を教示し,同社に工事を落札させたという,官製談合防止法違反,公契約関係競売入札妨害の事案である。
工事の設計等に携わっていた被告人が設計金額等を漏えいしたことにより,本件会社は,最低制限価格を高い精度で推知し,同価格に極めて近接した価額で2件の公共工事を落札したものであって,本件犯行は,被告人の著しい任務違背により入札の公正を大きく損なった悪質なものである。
また,被告人は,本件会社が工事を行えば作業が円滑に進み,税金の無駄も減ると考える一方,同社との良好な関係を築くことで,自分の仕事も楽になり,職場の評価も上がるなどとも考え,本件各犯行に及んだというのであって,適正に職務を行う義務がある公務員の立場をないがしろにした身勝手な動機というほかなく,酌量の余地に乏しい。
もっとも,本件各犯行は被告人が飲食接待を受けるなどして業者と癒着する中で行われたものではあるが,そうした利益を得る目的でなされたものとまではいえない。また,被告人が本件各犯行を認めて反省の弁を述べていること,被告人には前科前歴がないこと,被告人の母が出廷して監督を誓約していること,本件により公務員の地位を失うことになることなどの事情もある。
そこで,被告人に対しては,主文の刑に処した上,今回はその刑の執行を猶予す
ることが相当であると判断した。
よって,主文のとおり判決する。
(求刑

懲役1年6月)
令和元年6月19日
神戸地方裁判所第2刑事部

裁判長裁判官

小倉
裁判官

安達拓
裁判官

小林薫哲浩
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