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土地明渡等請求本訴、所有権移転登記手続請求反訴事件
事件番号平成30(受)1563
事件名土地明渡等請求本訴,所有権移転登記手続請求反訴事件
裁判年月日令和元年7月18日
法廷名最高裁判所第一小法廷
裁判種別判決
結果破棄差戻
原審裁判所名大阪高等裁判所
原審事件番号平成30(ネ)148
原審裁判年月日平成30年6月8日
判示事項都市計画区域内にある公園について,湖南市地域ふれあい公園条例(平成17年湖南市条例第35号)に基づく公告がされたことをもって,都市公園法2条の2に基づく公告がされたとはいえない
裁判日:西暦2019-07-18
情報公開日2019-07-18 16:00:04
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平成30年(受)第1563号

土地明渡等請求本訴,所有権移転登記手続請求

反訴事件
令和元年7月18日

第一小法廷判決

主文
原判決中,上告人敗訴部分を破棄する
前項の部分につき,本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
理由
上告代理人中原淳一の上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除く。)について
1
本件本訴は,上告人が,第1審判決別紙物件目録記載の2筆の土地(以下
本件土地という。)を公園の敷地として占有する被上告人に対し,本件土地につき上告人が所有権を有することの確認並びに所有権に基づく本件土地の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求めるものである。都市公園法は,地方公共団体が都市計画区域内において設置する公園等を都市公園と定義し(2条1項1号),都市公園はその供用開始に当たり所定の事項を公告することにより設置されるとした上(2条の2),都市公園を構成する土地物件については私権を行使することができない(32条)と規定していることから,上告人の本件土地の明渡請求及び賃料相当損害金の支払請求の可否に関して,本件土地を敷地とする公園(以下本件公園という。)が同法に基づいて設置された都市公園に当たるか否かが争われている。
2
(1)

原審の確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
アールシステム株式会社(当時の商号は株式会社高森ハウス。以下本件会社という。)は,滋賀県知事が都市計画区域に指定した旧石部町内にある本件土地を含む一団の土地について,宅地開発のため,滋賀県知事から都市計画法所定の開発行為の許可を受け,当該許可に係る開発行為に関する工事を完了し,昭和60年6月21日,当該工事が完了した旨の公告がされた。
本件土地については,本件会社が所有していたところ,上記開発行為に関する工事により公園として整備されたことから,同月22日,その所有権が本件公園を管理すべき者である旧石部町に帰属した(都市計画法40条2項)が,旧石部町への所有権移転登記はされなかった。
(2)

旧石部町と旧甲西町は,平成16年10月1日,合併して被上告人とな
り,被上告人が旧石部町の権利義務を承継した。
(3)

被上告人は,要旨次のとおり規定した湖南市地域ふれあい公園条例
(平成17年湖南市条例第35号。以下本件条例という。)を制定し,本件条例は,平成17年12月22日に公布,施行された。

本件条例は,湖南市地域ふれあい公園を設置することにより,市民の福祉の
増進及び地域のコミュニティ活動の推進を図ることを目的とし(1条),市長は,上記公園を設置するときは,その名称,位置及び利用開始の期日を公告する(2条)。

本件条例の施行に伴う経過措置として,本件条例の施行の際に現に設置して
いる公園で,2条の公告がされていないものは,同条の規定にかかわらず,本件条例の施行の日において本件条例の公園となるものとし(付則2項),市長は,本件条例の施行の日から遅滞なく,同項の公園について同条に定める事項を公告しなければならない(付則3項)。
(4)

被上告人の市長は,平成17年12月26日,本件公園につき,名称を
宝来坂中央児童遊園,位置を湖南市宝来坂3丁目2806番19他,利用開始の期日を平成16年10月1日として,本件条例付則3項に基づく公告をした。なお,本件公園については,都市公園法2条の2に基づく公告はされていない。
(5)

本件会社は,平成27年3月2日,破産手続開始の決定を受け,破産管財人が選任された。上告人は,同年12月24日,本件土地を本件会社の破産管財人から買い受け,その所有権移転登記を受けた。
3
原審は,上記事実関係等の下において,要旨次のとおり判断し,上告人の本
訴請求のうち本件土地の明渡請求及び賃料相当損害金の支払請求に係る部分を棄却すべきものとした。
都市計画区域内にある本件土地については,公園として整備され,本件条例に基づき本件公園の名称,位置及び利用開始の期日が公告されており,都市公園法2条の2に基づく公告がされたといえる。したがって,本件公園は,地方公共団体が都市計画区域内においてこの公告により設置した公園として,都市公園法に基づいて設置された都市公園に当たると解すべきである。本件公園が湖南市地域ふれあい公園として公告されたことは,このように解することの妨げとなるものではない。4
しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
都市公園法2条の2は,都市公園は,その管理をすることとなる者が,当該都市公園の供用を開始するに当たり都市公園の区域その他政令で定める事項を公告することにより設置されるものと規定し,都市公園法施行令9条は,上記の政令で定める事項は,都市公園の名称及び位置並びに供用開始の期日とすると規定している。これらの規定は,都市公園についてはこれを構成する土地物件に対する私権の行使の制限(同法32条)等が予定されていることから,都市公園を設置するための要件として,その管理をすることとなる者において都市公園の区域,名称,位置及び供用開始の期日を公告することにより,都市公園としての供用開始を明らかにし,その区域をもって同法の適用対象となる都市公園の範囲を画することとした趣旨であると解される。
これに対し,本件条例に基づく公告は,都市公園としての供用開始ではなく,湖南市地域ふれあい公園としての利用開始を明らかにするだけのものであり,その区域を公告することは予定されていない(前記2(3)アの本件条例2条参照)。したがって,都市計画区域内にある公園について,本件条例に基づく公告がされたことをもって,都市公園法2条の2に基づく公告がされたということはできない。
5
以上と異なる見解の下に,都市公園法2条の2に基づく公告がされていない
本件公園が同法に基づいて設置された都市公園に当たるとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れない。そして,上告人の本件土地の明渡請求及び賃料相当損害金の支払請求が権利濫用に当たるか否か等について,更に審理を尽くさせるため,同部分につき本件を原審に差し戻すこととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官
木澤克之

山口

裁判官


裁判官

池上政幸

深山卓也)
裁判官

小池


裁判官

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